JP2006278296A - 電圧変換装置、燃料電池発電システムおよび発電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 構成を複雑化することなく、低温下においても燃料電池を短時間に始動させることが可能な電圧変換装置、燃料電池発電システムおよび発電方法を提供する。
【解決手段】 DC−DCコンバータ5(第2の電圧変換回路52)を、水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方に隣在させる。また、DC−DCコンバータ5内の温度検出回路53が、これらの部位での水温を検出する。さらに、制御回路4が所定の基準水温(基準水温Tc)を設定する。検出水温が基準水温Tcよりも低い低水温状態のときには、第2の電圧変換回路52の出力電圧を第2の出力電圧Vout2(=42V)から第1の出力電圧Vout1(=14V)へより低い電圧に設定変更すると共に、第1の負荷を増加させ、さらに第1および第2の電圧変換回路51,52の出力を互いに第1の負荷に対して共通接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】 DC−DCコンバータ5(第2の電圧変換回路52)を、水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方に隣在させる。また、DC−DCコンバータ5内の温度検出回路53が、これらの部位での水温を検出する。さらに、制御回路4が所定の基準水温(基準水温Tc)を設定する。検出水温が基準水温Tcよりも低い低水温状態のときには、第2の電圧変換回路52の出力電圧を第2の出力電圧Vout2(=42V)から第1の出力電圧Vout1(=14V)へより低い電圧に設定変更すると共に、第1の負荷を増加させ、さらに第1および第2の電圧変換回路51,52の出力を互いに第1の負荷に対して共通接続する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば燃料電池自動車に好適に用いられる電圧変換装置、燃料電池発電システムおよび発電方法に関する。
近年、燃料電池を動力源とする燃料電池自動車の開発が活発に行われている。この燃料電池は、例えば水素などの燃料ガスと例えば酸素などの酸化剤ガスとを反応させることにより、発電させるものである。また、これら燃料ガスおよび酸化剤ガスは、例えば燃料電池スタック内においてイオン伝導性膜を挟んで配置された2つ電極に、それぞれ供給されるようになっている。
一般に、燃料ガスおよび酸化剤ガスにはそれぞれ、イオン伝導成膜の劣化に起因して反応が起こらなくなるのを防止するため、水蒸気が混合されるようになっている。このように、燃料電池を用いた発電システムにおいては、水の供給が必要となる。そのため、一般にはこれらのガスを加湿する水タンクが設けられ、燃料電池スタックに水が供給されるようになっている。
ここで、低温下で(例えば、寒冷地や冬場などに)燃料電池自動車を始動させる場合、水タンクや、この水タンクと燃料電池スタックとの間を循環させる水経路における水分が凍結してしまい、発電ができなくなってしまうことがある。そこで従来は、ヒータなどの加熱手段を用いて水分を解凍させるようにしていたが、解凍するのに時間がかかることから、燃料電池が発電できるようになるまで、すなわち燃料電池自動車が始動できるようになるまでには、長時間を要していた。
そこで、燃料電池自動車が短時間で始動できるようにするため、例えば特許文献1には、上記した水タンクとは別に容量が小さく加熱機能または保温機能を備えた予備タンクを設け、低温での始動時にはヒータによって予備タンク内の水分を解凍させ、燃料電池へ供給するようにした技術が開示されている。
ところで、このような加熱手段としてのヒータは、一般にDC−DCコンバータによって駆動されることで、発熱するようになっている。このDC−DCコンバータは、直流の入力電圧をスイッチング素子よりなるスイッチング回路によってパルス電圧に変換したのち、このパルス電圧をトランスによって降圧または昇圧し、このトランスの出力電圧を整流回路および平滑回路等によって再び直流電圧に変換するという機能を有する、電圧変換装置である。
ここで、上記特許文献1では、予備タンクの容量が小さいとはいえ、やはりヒータによって加熱しなければならならず、短時間で始動できるようにするには、ヒータを多数設けたり、大型化したりする必要が生じる。したがって、このDC−DCコンバータも多数設けたり大型化したりすることで、大電力化する必要が生じる。また、上記特許文献1では、新たに加熱機能や保温機能を備えた予備タンクを設ける必要がある。
ところが、このように新たに予備タンクを設けたり、ヒータを増加または大型化(DC−DCコンバータを増加または大型化)したりした場合、自動車全体の重量が増加し、燃費が悪化しまうこととなる。また、部品点数の増加や各部品の大型化などにより、製造コストが高くなってしまうことにもなる。
このように、従来の技術では、低温下においても短時間で始動させることが可能な燃料電池発電システムを簡易に構築するのが困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、構成を複雑化することなく、低温下においても燃料電池を短時間に始動させることが可能な電圧変換装置、燃料電池発電システムおよび発電方法を提供することにある。
本発明の電圧変換装置は、燃料電池と、水を貯蔵する水タンクと、これら燃料電池と水タンクとの間で水を循環させる水経路とを含んで構成された燃料電池発電システムに対して適用され、燃料電池から供給された電圧を変換して第1の負荷を駆動するためのものであって、水タンクまたは水経路の少なくとも一方における水の温度を検出する温度検出手段と、燃料電池から供給された入力電圧を第1の出力電圧に変換して第1の負荷を駆動する第1の電圧変換回路と、水タンクまたは水経路の少なくとも一方に隣在し、上記入力電圧を第1の出力電圧よりも高い電圧からなる第2の出力電圧に変換して第1の負荷とは異なる第2の負荷を駆動する第2の電圧変換回路と、第1および第2の電圧変換回路の出力同士を接続または切断する接続素子と、温度検出手段によって検出された検出水温が所定の基準水温よりも高い高水温状態のときには第1の電圧変換回路の出力のみを第1の負荷に接続させる一方、検出水温が基準水温よりも低い低水温状態のときには第2の電圧変換回路の出力電圧を第1の出力電圧に設定すると共に第1の負荷を増加させ、さらに1および第2の電圧変換回路の出力同士を互いに第1の負荷に対して共通接続させるように、第1および第2の電圧変換回路ならびに接続素子を制御する制御回路とを備えたものである。
本発明の電圧変換装置では、水タンクまたは水経路の少なくとも一方において、水の温度が検出される。そして得られた検出水温と所定の基準水温との比較により、これらの部位が高水温状態であるか、あるいは低水温状態であるかが判断される。検出水温が基準水温よりも低い低水温状態のときには、第2の電圧変換回路の出力電圧が第2の出力電圧から第1の出力電圧へとより低い電圧に設定変更されると共に、第1の負荷が増加する。このような設定状態のもので、さらに第1の電圧変換回路の出力に加えて第2の電圧変換回路の出力もが第1の負荷に接続され、互いに第1の負荷に対して共通接続する。すなわち、第1および第2の電圧変換回路の出力電圧がいずれもより電圧の低い第1の出力電圧となり、その状態のもとで、大きさの増加した第1の負荷が駆動される。したがって、第2の電圧変換回路が低効率状態となって熱が発生し、さらにこの第2の電圧変換回路が上記水タンクまたは水経路の少なくとも一方に隣在していることから、発生した熱がこれらの部位に伝導し、水温が上昇する。
本発明の電圧変換装置では、上記第2の電圧変換回路が、入力電圧をスイッチングすることにより交流電圧を生成するスイッチング素子と、このスイッチング素子により生成された交流電圧を変圧する変圧器と、この変圧器により変圧された交流電圧を整流する整流素子を含むと共にこの整流素子に基づいて出力電圧を生成する出力回路とを有するように構成することが可能である。このように構成した場合、低水温状態のときに、これらスイッチング素子および整流素子での電力損失が大きくなることで、第2の電圧変換回路が低効率状態となる。
本発明の電圧変換装置では、上記接続素子を、電界効果型トランジスタを含んで構成することが好ましい。このように構成した場合、低水温状態のときに接続素子においても電力損失が発生することから、この分の発熱についても、水温の上昇のために供し得ることとなる。
本発明の電圧変換装置では、上記温度検出手段は、例えば、サーミスタを含んで構成することが可能である。
本発明の電圧変換装置では、上記第2の負荷が、低水温状態のときには駆動不要なものであり、上記制御回路が、低水温状態のときに第2の電圧変換回路が第2の負荷を駆動するのを停止させるようにすることが好ましい。このように構成した場合、低水温状態のときに、第2の電圧変換回路が第1の電圧変換回路と共に第1の負荷のみを駆動することとなり、本来駆動すべき第1の負荷へ供給される電力量がより増加する。
本発明の燃料発電システムは、第1の負荷を駆動するための発電を行うものであって、燃料電池と、水を貯蔵する水タンクと、これら燃料電池と水タンクとの間で水を循環させる水経路と、水タンクまたは水経路の少なくとも一方における水の温度を検出する温度検出手段と、燃料電池から供給された入力電圧を第1の出力電圧に変換して第1の負荷を駆動する第1の電圧変換回路と、水タンクまたは水経路の少なくとも一方に隣在し、上記入力電圧を第1の出力電圧よりも高い電圧からなる第2の出力電圧に変換して第1の負荷とは異なる第2の負荷を駆動する第2の電圧変換回路と、第1および第2の電圧変換回路の出力同士を接続または切断する接続素子と、温度検出手段によって検出された検出水温が所定の基準水温よりも高い高水温状態のときには第1の電圧変換回路の出力のみを第1の負荷に接続させる一方、検出水温が基準水温よりも低い低水温状態のときには第2の電圧変換回路の出力電圧を第1の出力電圧に設定すると共に第1の負荷を増加させ、さらに第1および第2の電圧変換回路の出力同士を互いに第1の負荷に対して共通接続させるように、第1および第2の電圧変換回路ならびに接続素子を制御する制御回路とを備えたものである。
本発明の発電方法は、燃料電池と、水を貯蔵する水タンクと、これら燃料電池と水タンクとの間で水を循環させる水経路とを含んで構成された燃料電池発電システムに対して適用され、第1の負荷を駆動するための発電を行うものであって、水タンクまたは水経路の少なくとも一方における水の温度を検出して検出水温を求め、燃料電池から供給された入力電圧を第1の出力電圧に変換して第1の負荷を駆動する第1の電圧変換回路を構成し、上記入力電圧を第1の出力電圧よりも高い電圧からなる第2の出力電圧に変換して第1の負荷とは異なる第2の負荷を駆動する第2の電圧変換回路を構成すると共に第2の電圧変換回路を水タンクまたは水経路の少なくとも一方に隣在させ、検知水温が所定の基準水温よりも高い高水温状態のときには第1の電圧変換回路の出力のみを第1の負荷に接続する一方、検出水温が基準水温よりも低い低水温状態のときには第2の電圧変換回路の出力電圧を第1の出力電圧に設定すると共に第1の負荷を増加させ、さらに第1および第2の電圧変換回路の出力同士を互いに第1の負荷に対して共通接続するようにしたものである。
本発明の電圧変換装置、燃料電池発電システムまたは発電方法によれば、第2の電圧変換回路を水タンクまたは水経路の少なくとも一方に隣在させると共にこれらの部位での水温を検出し、低水温状態と判断されたときには、第2の電圧変換回路の出力電圧を第2の出力電圧から第1の出力電圧へより低い電圧に設定変更すると共に第1の負荷を増加させ、さらに第1および第2の電圧変換回路の出力を互いに第1の負荷に対して共通接続するようにしたので、第2の電圧変換回路が低効率状態となって発熱し、これにより水温を上昇させることができるので、構成を複雑化することなくとも、低温下において燃料電池を短時間に始動させることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る燃料電池発電システムの全体構成を表すものである。この燃料電池発電システムは、燃料電池1で生成された電力をDC−DCコンバータ5およびインバータ7に供給することで、DC−DCコンバータ5の負荷およびモータ8に対する駆動を行うものである。なお、本発明の一実施の形態に係る発電方法は、本実施の形態に係る燃料電池発電システムによって具現化されるので、以下、併せて説明する。
この燃料電池発電システムは、燃料電池1と、水タンク2と、二次電池3と、DC−DCコンバータ4(第1のDC−DCコンバータ)と、DC−DCコンバータ5(第2のDC−DCコンバータ)と、このDC−DCコンバータ5の負荷であるラジエータ60、ヒータ61、補機用バッテリ62、補機63および追加負荷64と、インバータ7と、モータ8とを備えている。
燃料電池1は、例えば図示しない水素(H2)などの燃料ガスと例えば図示しない酸素(O2)などの酸化剤ガスとの反応に基づいて発電するものである。また、これら燃料ガスおよび酸化剤ガスは、例えば図示しない燃料電池スタック内において、図示しないイオン伝導性膜を挟んで配置された2つ電極にそれぞれ供給されるようになっている。また、この燃料電池1には、水タンク2から水経路WL1を介して、水が供給されるようになっている。この燃料電池1へ供給される水は、燃料ガスおよび酸化剤ガスを加湿し、イオン伝導性膜の劣化に起因して反応が起こらなくなるのを防止するために用いられる。このようにして燃料電池1で生成された電力は、DC−DCコンバータ5およびインバータ7へ供給される。
二次電池3は、この燃料電池発電システムの始動時に用いられ、燃料電池1が始動するまでの間の補助電源として機能するものである。二次電池3は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、または電気二重層コンデンサなどにより構成される。また、この二次電池3から供給された電圧は、DC−DCコンバータ4によって電圧変換されると共に安定化され、DC−DCコンバータ5およびインバータ7へ供給される。このようにして燃料電池発電システムの始動時には、燃料電池1の代わりに二次電池3からDC−DCコンバータ4を介してDC−DCコンバータ5およびインバータ7へ電力が供給されるようになっている。
インバータ7は、燃料電池1から(または始動時には、DC−DCコンバータ4から)供給された直流電圧を交流電圧に変換し、モータ8へ供給するものである。このようにして生成された交流電圧によって、モータ8が駆動される。例えば、この燃料電池発電システムが燃料電池自動車に適用される場合、車両の駆動ユニットや燃料電池発電システム用のコンプレッサーが駆動される。
DC−DCコンバータ5は、燃料電池1から(または始動時には、DC−DCコンバータ4から)入力端子T1,T2を介して供給された入力直流電圧Vinを、この入力直流電圧Vinとは異なる電圧の出力直流電圧Vout1(第1の出力電圧;例えば14V),Vout2(第2の出力電圧;例えば42V)へと変換するものであり、括弧内に数値を例示したように、出力電圧Vout2は出力電圧Vout1よりも高い電圧値となるように設定される。DC−DCコンバータ5は、この第1の出力電圧Vout1によって第1の負荷であるヒータ61、補機用バッテリ62、補機63および追加負荷64を、また第2の出力電圧Vout2によって第2の負荷であるラジエータ60を、それぞれ駆動する。これらの負荷のうち、第1の出力電圧Vout1によって駆動される第1の負荷は、DC−DCコンバータ5の出力端子T31,T41からそれぞれ、出力ラインLO1および接地ラインLGを介して接続されている。一方、第2の出力電圧Vout2によって駆動される第2の負荷は、DC−DCコンバータ5の出力端子T32,T42からそれぞれ、出力ラインLO2および接地ラインLGを介して接続されている。なお、詳細は後述するが、図1に模式的に示したように、このDC−DCコンバータ5内には、これら出力ラインLO1,LO2同士を接続または切断することが可能なスイッチ素子(後述する接続素子57)が設けられており、低温時にはこれら出力ラインLO1,LO2同士を接続するようになっている。
ラジエータ60は、DC−DCコンバータ4、DC−DCコンバータ5およびインバータ7内を循環している水経路WL2内の水を、ファンによる冷風CLによって冷却するためのものである。また、この水経路WL2内の水は、これらの機器に対する冷却水として用いられるものである。したがって、ラジエータ60は、この燃料電池発電システムの通常動作時(低温時以外のとき)にのみ使用されるものであり、後述するように、低温時にはその動作が停止するようになっている。
ヒータ61は、低温下での(例えば、寒冷地や冬場などでの)始動時に、水タンク2内や水経路WL1内の水を加熱して水温を上昇させるためのものであり、発生した熱Q1を伝導させることができるような位置に配置されている(隣在している)。このヒータ61は、例えばシーズヒータなどにより構成される。補機用バッテリ62は、DC−DCコンバータ5から供給される電力を貯蔵すると共に、その電力に基づいて補機63を駆動するためのバッテリである。この補機63としては、例えば、エアコン、ヘッドライト、パワーウインド、パワーステアリング、またはラジオなどが挙げられる。また、追加負荷64は、後述するように低温時にのみ駆動される負荷であり、例えばヒータ61と同様のヒータにより構成される。この追加負荷64についてはその他の負荷を利用することもできるが、追加負荷64をヒータにより構成することにより、追加負荷64を加熱手段として機能されることもできるのでより好適である。この追加負荷64では、DC−DCコンバータ5の制御出力端子TSから供給されるスイッチ信号LS0により例えばリレーや電界効果型トランジスタなどからなるスイッチ素子S0が駆動されることで、DC−DCコンバータ5との接続が制御されるようになっている。
ここで、このDC−DCコンバータ5は、ヒータ61と共に低温時に水タンク2内や水経路WL1内の水を加熱する加熱手段としても機能しており、DC−DCコンバータ5(下記の第2の電圧変換回路52)において発生した熱Q2が水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方に伝導できるような位置に配置されている(隣在している)。詳細は後述するが、このように配置されていることで、低温時において、これらの部位における水温をより早く上昇させることができるようになっている。なお、このDC−DCコンバータ5は、本発明に係る「電圧変換装置」の一具体例に対応する。
図2は、DC−DCコンバータ5の回路構成を表すものである。このDC−DCコンバータ5は、入力端子T1,T2と出力端子T31,T41との間に接続された第1の電圧変換回路51と、入力端子T1,T2と出力端子T32,T42との間に接続された第2の電圧変換回路52と、この第2の電圧変換回路52に接続された温度検出回路53および制御回路54と、この制御回路54と制御出力端子TSとの間に接続された負荷調整回路58と、出力端子T31,T32間に挿入配置された接続素子57と、この接続素子57と制御回路54との間に接続されたハイサイドドライバ55と、このハイサイドドライバ55に接続されたチャージポンプ回路56とを備えている。入力端子T1,T2は、前述のように燃料電池1、DC−DCコンバータ4およびインバータ7に接続され、出力端子T31は、出力ラインLO1を介してヒータ61、補機用バッテリ62、補機63および追加負荷64(第1の負荷)に接続され、出力端子T32は出力ラインLO2を介してラジエータ60(第2の負荷)に接続されている。なお、出力端子T41,T42は、互いに接地ラインLGを介して上記第1および第2の負荷に共通接続されている。
第1の電圧変換回路51は、入力端子T1,T2から供給される入力直流電圧Vinを異なる電圧(図2の例の場合、より低い電圧)の出力直流電圧Vout1(第1の出力電圧)へと変換し、上記第1の負荷を駆動する回路である。一方、第2の電圧変換回路52は、入力直流電圧Vinを異なる電圧(図2の例の場合、より低い電圧)の出力直流電圧Vout2(第1の出力電圧)へと変換し、上記第2の負荷を駆動する回路である。この第2の電圧変換回路52はまた、後述するように、低温時には入力直流電圧Vinを第2の出力電圧Vout2へと変換し、第2の負荷であるラジエータ60の代わりに、第1の電圧変換装置51と共に第1の負荷を駆動するようになっている。そしてこの第2の電圧変換回路525は、前述のようにヒータ61と共に低温時に水タンク2内や水経路WL1内の水を加熱する加熱手段としても機能するようになっている。このような第2の電圧変換回路52に対する制御は、後述するように、温度検出回路53、制御回路54、ハイサイドドライバ55、チャージポンプ回路56および接続素子57によって行われる。以下、まず第1の電圧変換回路51および第2の電圧変換回路52について詳細に説明する。
まず、第1の電圧変換回路51について説明する。
第1の電圧変換回路51は、1次側高圧ラインH1と1次側低圧ラインL1との間に設けられたスイッチング回路511と、1次側巻線CA1およびこれと磁気結合する2次側巻線CB1,CC1を有するトランス512と、トランス512の2次側に設けられた整流回路513と、この整流回路513に接続された平滑回路514とを備えている。第1の電圧変換回路51はまた、出力電圧制御回路515を備え、さらにこの出力電圧制御回路515内には、スイッチング回路511に接続されたスイッチング制御回路516が設けられている。
スイッチング回路511は、入力直流電圧Vinをほぼ矩形波状の単相交流電圧に変換する単相スイッチング回路であり、また、4つのスイッチング素子S11〜S14をフルブリッジ接続してなるフルブリッジ型のスイッチング回路である。具体的には、スイッチング素子S11,S12の一端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S13,S14の一端同士が互いに接続され、これら一端同士が互いにトランス512の1次側巻線CA1を介して接続されている。また、スイッチング素子S11,S13の他端同士が互いに1次側高圧ラインH1を介して入力端子T1に接続されると共に、スイッチング素子S12,S14の他端同士が互いに1次側低圧ラインL1を介して入力端子T2に接続されている。なお、スイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)などのスイッチ素子が用いられる。
スイッチング回路511では、スイッチング素子S11,S14がオンすることにより、1次側高圧ラインH1から順にスイッチング素子S11、1次側巻線CA1およびスイッチング素子S14を通って1次側低圧ラインL1に至る第1の電流経路に電流が流れる一方、スイッチング素子S2,S3がオンすることにより、1次側高圧ラインH1から順にスイッチング素子S3、1次側巻線CA1およびスイッチング素子S2を通って1次側低圧ラインL1に至る第2の電流経路に電流が流れるようになっている。
トランス512の1次側巻線CA1は、その一端がスイッチング素子S1,S2の一端同士と接続され、その他端がスイッチング素子S3,S4の一端同士と接続されている。また、2次側巻線CB1,CC1の一端同士(センタタップ)は互いに接続され、接地ラインLGを介して出力端子T41に導かれている一方、それらの他端はそれぞれ、整流回路513における整流ダイオードD11,D12のアノードと接続されている。つまり、第1の電圧変換回路51はセンタタップ型のものである。このトランス512は、スイッチング回路511によって変換された交流電圧を降圧または昇圧(この例では、降圧)し、一対の2次側巻線CB1,CC1の他端から互いに180度位相が異なる交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の降圧または昇圧の度合いは、1次側巻線CA1と2次側巻線CB1,CC1との巻数比によって定まる。
整流回路513は、一対の整流素子(整流ダイオードD11,D12)からなる両波整流型のものである。整流ダイオードD11のアノードは2次側巻線CB1の他端と接続され、整流ダイオードD12のアノードは2次側巻線CC1の他端と接続されている。また、これら整流ダイオードD11,D12のカソード同士は互いに出力ラインLO1上で接続されている。つまり、この整流回路513はカソードコモン接続の構造を有しており、トランス512の交流出力電圧の各半波期間をそれぞれ整流ダイオードD11,D12によって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
平滑回路514は、チョークコイル514Lと平滑コンデンサ514Cとを含んで構成されている。チョークコイル514Lは出力ラインLO1に挿入配置されており、その一端は整流ダイオードD11,D12のカソード同士と接続され、その他端は平滑コンデンサ514Cの一端、および出力ラインLO1を介して出力端子T31に接続されている。平滑コンデンサ514Cは、出力ラインLO1上のチョークコイル514Lの他端と接地ラインLGとの間に接続されている。また、出力ラインLOの端部には、出力端子T41が設けられている。平滑回路514はこのような構成により、整流回路513で整流された直流電圧を平滑化し、直流出力電圧Vout1(第1の出力電圧)を生成するようになっている。
出力電圧制御回路515は、出力ラインLO1と接地との間に配置された一対の抵抗器515C1,515C2と、これらの抵抗器とスイッチング制御回路516との間に配置された誤差増幅器Amp1とを有する。抵抗器515C1の一端は出力ラインLO1上のチョークコイル514Lの他端と出力端子T31との間に接続され、その他端は抵抗器515C2の一端および誤差増幅器Amp1の反転入力端子と接続されている。また、抵抗器515C2の他端は接地されている。つまり、これら一対の抵抗器515C1,515C2は、第1の出力電圧Vout1の分圧抵抗として機能している。誤差増幅器Amp1の非反転入力端子には基準電圧Ref1が供給され、その出力端子はスイッチング制御回路516の入力端子に接続されている。このような構成により出力電圧制御回路515は、第1の出力電圧Vout1を検出すると共に分圧し、その分圧された電圧(分圧電圧)と基準電圧Ref1との電位の大小を比較することで、分圧電圧が基準電圧Ref1と同電位となるようにこれらの電位差を誤差増幅するようになっている。このようにして、出力電圧制御回路515では、常に第1の出力電圧Vout1が監視されると共に、その電位の大小が検出されるようになっている。
出力電圧制御回路515はまた、前述のようにスイッチング制御回路516を有している。このスイッチング制御回路516は、誤差増幅器Amp1からの出力信号に基づいて一定のパルス幅(デューティ比)をなすスイッチング信号LS11〜LS14を出力し、スイッチング素子S11〜S14の動作(スイッチング動作)を制御する回路である。具体的には、誤差増幅器Amp1からの出力信号が上下するのに応じて、スイッチング信号LS11〜LS14のパルス幅を可変(デューティ比を制御)し、出力電圧Vout1が安定化するような制御を行っている。
次に、第2の電圧変換回路52について説明する。なお、図2に示した第2の電圧変換回路52の構成要素において、第1の電圧変換回路51の構成要素と対応するものについては、第1の電圧変換回路51についての符号に「10」または「1」を加えた符号を付し、適宜説明を省略する。
第2の電圧変換回路52は、基本的には第1の電圧変換回路51と同様の回路構成であり、1次側高圧ラインH2と1次側低圧ラインL2との間に設けられたスイッチング回路521と、1次側巻線CA2およびこれと磁気結合する2次側巻線CB2,CC2を有するトランス522と、トランス522の2次側に設けられた整流回路523と、この整流回路523に接続された平滑回路524とを備えている。第2の電圧変換回路51はまた、出力電圧制御回路525を備え、さらにこの出力電圧制御回路525内には、スイッチング回路521に接続されたスイッチング制御回路526が設けられている。
スイッチング回路521、トランス522、整流回路523および平滑回路524は、それぞれ、第1の電圧変換回路におけるスイッチング回路511、トランス512、整流回路513および平滑回路514と同様の構成および機能を有している。例えば、スイッチング回路521は、4つのスイッチング素子S21〜S24をフルブリッジ接続してなるフルブリッジ型のスイッチング回路であり、これにより入力直流電圧Vinをほぼ矩形波状の単相交流電圧に変換するようになっている。また、トランス522はセンタタップ型の構成であり、スイッチング回路521によって変換された交流電圧を降圧または昇圧(この例では、降圧)し、2次側巻線CB2,CC2から互いに180度位相が異なる交流電圧を出力するようになっている。また、整流回路523は、一対の整流素子(整流ダイオードD21,D22)からなるカソードコモン接続の両波整流型のものであり、トランス522の交流出力電圧の各半波期間をそれぞれ整流ダイオードD21,D22によって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。また、平滑回路524は、チョークコイル524Lと平滑コンデンサ524Cとを含んで構成され、整流回路523で整流された直流電圧を平滑化し、出力端子T32,T42の間に直流出力電圧Vout2を出力するようになっている。なお、スイッチング素子S21〜S24は本発明における「スイッチング素子」の一具体例に対応し、トランス522は本発明における「変圧器」の一具体例に対応し、整流ダイオードD21,D22は本発明における「整流素子」の一具体例に対応する。また、整流回路523および平滑回路524は、本発明における「出力回路」の一具体例に対応する。
第1の電圧変換回路51と第2の電圧変換回路52とで異なるのは、出力電圧制御回路の構成である。出力電圧制御回路525は、出力電圧制御回路515と同様の構成要素として、出力ラインLO2と接地との間に配置された一対の抵抗器525C1,525C2と、これらの抵抗器とスイッチング制御回路526との間に配置された誤差増幅器Amp2と、この誤差増幅器Amp2に接続されたスイッチング制御回路526とを有する。抵抗器525C1の一端は出力ラインLO2上のチョークコイル524Lと出力端子T32との間に接続され、その他端は抵抗器525C2の一端および誤差増幅器Amp2の反転入力端子と接続され、抵抗器525C2の他端は接地されている。このような構成により、一対の抵抗器525C1,525C2は、第2の出力電圧Vout2の分圧抵抗として機能している。ここで、この出力電圧制御回路525はさらに、抵抗器525C3を有しており、その一端は電源Vccに接続され、その他端は接続点P1において誤差増幅器Amp2の非反転入力端子に接続されるようになっている。また、この接続点P1はまた、後述する制御回路54の出力端子と接続されるようになっている。つまり、出力電圧制御回路515における誤差増幅器Amp1の非反転入力端子には、一定の基準電圧Ref1が供給される一方、出力電圧制御回路525における誤差増幅器Amp2の非反転入力端子には、電源電圧Vccと制御回路54とによって定められる可変の基準電圧V1が供給されるようになっている。このような構成により出力電圧制御回路525では、第2の出力電圧Vout2を検出すると共に分圧し、その分圧された電圧(分圧電圧)と可変の基準電圧V1との電位の大小を比較するようになっている。なお、スイッチング制御回路526は、スイッチング制御回路515と同様に、誤差増幅器Amp2からの出力信号に基づいて一定のパルス幅(デューティ比)をなすスイッチング信号LS21〜LS24を出力し、スイッチング素子S21〜S24の動作(スイッチング動作)を制御する回路である。具体的には、誤差増幅器Amp2からの出力信号が上下するのに応じて、スイッチング信号LS21〜LS24のパルス幅を可変(デューティ比を制御)し、出力電圧Vout2が安定化するような制御を行っている。
次に、温度検出回路53、制御回路54、ハイサイドドライバ55、チャージポンプ回路56、接続素子57および負荷調整回路58について詳細に説明する。
温度検出回路53は、サーミスタ531と抵抗器532とを有する。抵抗器532の一端は電源Vccに接続され、その他端は接続点P2でサーミスタ531の一端に接続され、サーミスタ531の他端は接地されている。つまり、接続点P2には、これら抵抗器532およびサーミスタ531によって分圧された電源電圧Vcc(分圧電圧)が印加されるようになっている。また、サーミスタ531は温度に応じてその抵抗値が変化する特性を有し、温度に応じてその両端の電圧値が変化するようになっている。したがって、温度検出回路53はこのような構成により、水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方における水の温度(水温T)に応じて接続点P2の電位を変化させることで、この水温Tを検出するようになっている。なお、本実施の形態のサーミスタ531は、温度が低くなるほど抵抗値が大きくなるNTCサーミスタにより構成されている。また、温度検出回路53は、本発明における「温度検出手段」の一具体例に対応する。
制御回路54は、比較器541と、抵抗器542〜545と、NPNトランジスタ546と、抵抗器547,548とを有する。比較器541の非反転入力端子は接続点P2に接続され、その反転入力端子には基準電圧Ref4が供給され、その出力端子は接続点P3に接続されている。また、抵抗器542の一端は電源Vccに接続され、その他端は接続点P3に接続されている。抵抗器543の一端は接続点P3に接続され、その他端はハイサイドドライバ55の信号入力端子HIに接続されている。抵抗器544の一端は接続点P3に接続され、その他端は負荷調整回路58の入力端子に接続されている。抵抗器545の一端は接続点P3に接続され、その他端はNPNトランジスタ546のベースに接続され、NPNトランジスタ546のエミッタは接地されている。また、抵抗器547,548は互いに並列接続されており、それぞれの一端同士は出力電圧制御回路525における接続点P1に接続され、また、抵抗器547の他端はNPNトランジスタ546のコレクタに接続される一方、抵抗器548の他端は接地されている。
このような構成により制御回路54では、温度検出回路53から供給される接続点P2の電位に基づいて、出力電圧制御回路525における誤差増幅器Amp2の非反転入力端子へ供給される基準電圧V1が生成されるようになっている。具体的には、接続点P2の電位が基準電圧Ref4よりも低いときには、比較器541から「L」レベルの出力信号が出力され、NPNトランジスタ546がオフ状態となることから、基準電圧V1は、直列接続された抵抗器523C3と抵抗器548とにより定まる一方、逆に接続点P2の電位が基準電圧Ref4よりも高いときには、比較器541から「H」レベルの出力信号が出力され、NPNトランジスタ546がオン状態となることから、基準電圧V1は、抵抗器523C3と、互いに並列接続された抵抗器547,548との直列接続により定まるようになっている。
ハイサイドドライバ55は、上記したパルス信号入力端子HIに加え、信号出力端子HO、バイアス端子HBおよび基準電位端子HSを備えている。信号入力端子HIには、制御回路54から、比較器541の出力信号が抵抗器543を介して制御信号SIG1として入力され、基準電位端子HSは接地ラインLG2を介して接地されている。バイアス端子HBはチャージポンプ回路56と接続点P4で接続され、信号出力端子HOは、接続素子57内で、後述する抵抗器572を介してNチャネルFET573のゲートGに接続されている。また、チャージポンプ回路56は、ダイオード561と、コンデンサ562とを有する。ダイオード561のアノードは電源Vccに接続され、そのカソードはコンデンサ562の一端と接続点P4で接続され、コンデンサ562の他端は接地されている。
このような構成によりチャージポンプ回路56では、電源Vccから供給される電荷が、ダイオード561を介してコンデンサ562に保持されると共に、その保持された接続点P4の電位が、ハイサイドドライバ55のバイアス端子HBへ印加されるようになっている。また、ハイサイドドライバ55では、バイアス端子HBと基準電位端子HSとの間に印加されるバイアス電圧(この場合、基準電位端子HSは接地されているので、チャージポンプ回路56から供給される接続点P4の電位となる)の大きさに応じて、制御信号SIG1の入力に同期すると共にこの制御信号SIG1にオフセット電圧(図示せず)を重畳してなる制御信号SIG2が出力されるようになっている。なお、このようにして入力された制御信号SIG1にオフセット電圧を重畳し、制御信号SIG2を生成するのは、接続素子57において後述するNチャネルFET571のソースSとゲートGとの電位差を大きくし、NチャネルFET571がオン状態となるのを可能にするためである。
接続素子57は、第1および第2の電圧変換回路51,52のそれぞれ出力ラインLO1,LO2間に挿入配置されたNチャネルFET571と、抵抗器572,573とを有する。NチャネルFET571のソースSは出力ラインLO1におけるチョークコイル514Lの他端と出力端子T31との間に接続され、そのドレインDは出力ラインLO2におけるチョークコイル524Lの他端と出力端子T32との間に接続され、そのゲートGは抵抗器572,573の一端同士と互いに接続されている。また、抵抗器572の他端はハイサイドドライバ55の信号出力端子HOに接続され、抵抗器573の他端はNチャネルFET571のソースSに接続されている。このような構成により接続素子57は、ハイサイドドライバ55の信号出力端子HOから出力される制御信号SIG2に応じて、第1の電圧変換回路51および第2の電圧変換回路52の出力同士、具体的には出力ラインLO1,LO2同士を接続または切断する(スイッチング動作する)ようになっている。より具体的には、NチャネルFET571のゲートGとソースSとの電位差、すなわち制御信号SIG2と第1の出力電圧V1との電位差が、所定のしきい値電圧よりも大きい場合には、NチャネルFET571がオン状態となり、出力ラインLO1,LO2同士が接続される一方、逆にこれらの電位差が所定のしきい値電圧よりも小さい場合には、NチャネルFET571がオフ状態となり、出力ラインLO1,LO2同士が切断されるようになっている。
負荷調整回路58は、第1の電圧変換回路51の負荷(第1の負荷)の大きさを調整することにより、間接的に第1の電圧変換回路51を制御する回路である。具体的には、制御回路54における比較器541の出力信号に基づいてスイッチ信号LS0を生成し、制御出力端子TSを介してスイッチ素子S0へ供給することにより、第1の電圧変換回路51と追加負荷64との接続を制御する回路である。この負荷調整回路58では、比較器541の出力信号が「L」レベルのときには、スイッチ素子S0をオフ状態とするようなスイッチ信号LS0が出力される一方、比較器541の出力信号が「H」レベルのときには、スイッチ素子S0をオン状態とするようなスイッチ信号LS0が出力されるようになっている。
なお、これら制御回路54、ハイサイドドライバ55、チャージポンプ回路56および負荷調整回路58を、これらの代わりに(あるいはこれらに加えて)、例えばマイコンなどにより構成し、スイッチング回路511,521内のスイッチング素子S11〜S14,S21〜S24、およびスイッチ素子S0の動作をソフトウェアによって制御するようにしてもよい。
次に、図3を参照して、以上のような構成の燃料電池発電システムの動作を、その特徴部分であるDC−DCコンバータ5の動作を中心にして説明する。ここで、図3は、水温Tと燃料電池発電システムの動作状態との関係を表したものであり、(A)は第2の出力電圧Vout2を、(B)は接続素子57の動作状態を、(C)はラジエータ60の動作状態を、(D)は追加負荷64の接続状態を示している。なお、以下、一例として、第1の出力電圧Vout1=14V、第2の出力電圧Vout2=42Vに設定されているものとして説明する。
まず、水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方における水の温度(水温T)が、制御回路54により設定されている所定の基準水温(基準水温Tc)よりも高い高水温状態のときの動作について説明する。
燃料電池1で生成された電力は、DC−DCコンバータ5およびインバータ7へと供給される。インバータ7では、この供給された直流電圧が交流電圧へと変換され、モータ8へ供給される。そしてこの交流電圧によってモータ8が駆動されることで、その動力を用いて負荷が駆動される。
一方、DC−DCコンバータ5では、燃料電池1から供給された入力直流電圧Vinは、それぞれこれと異なる電圧(図2の例では、より低い電圧)である出力直流電圧Vout1,Vout2(第1および第2の出力電圧)へと変換される。そして第1の出力電圧Vout1(=14V)によって第1の負荷のうちの補機用バッテリ62および補機63が駆動され、第2の出力電圧Vout2(=42V)によって第2の負荷であるラジエータ60が駆動される。このようにして、補機用バッテリ62および補機63が動作する一方、ラジエータ60が動作することによって、水経路WL2内の水が冷風CLによって冷却され、DC−DCコンバータ4、DC−DCコンバータ5およびインバータ7が冷却される。なお、このときは後述するようにスイッチ素子S0がオフ状態となることから、追加負荷64とDC−DCコンバータ5との間は切断され、追加負荷64は駆動されないようになっている。
具体的には、このDC−DCコンバータ5では、以下のような電圧変換動作がなされる。
第1の電圧変換回路51では、スイッチング回路51において、スイッチング制御回路516からのスイッチング信号LS11〜LS14に応じて、スイッチング素子S11,S14がオン状態でスイッチング素子S12,S13がオフ状態の期間と、スイッチング素子S12,S13がオン状態でスイッチング素子S11,S14がオフ状態の期間とが交互に切り換えられる。このようなスイッチング動作により、スイッチング回路511では、入力直流電圧Vinに基づいて交流のパルス電圧が生成され、トランス512の1次側巻線CA1へ供給される。トランス512では、このパルス電圧が変圧され、その2次側巻線CB1,CC1から、変圧されたパルス電圧が出力される。そしてこの変圧されたパルス電圧は、整流回路513の整流ダイオードD11,D12により整流され、平滑回路514のチョークコイル514Lおよび平滑コンデンサ514Cにより、その整流された電圧波形が平滑化される。このようにして第1の出力電圧Vout1(=14V)が補機用バッテリ62および補機63へと供給され、駆動される。
この際、第1の出力電圧Vout1は、出力電圧制御回路515によって常に監視され、この第1の出力電圧Vout1の電位に基づいて、第1の出力電圧Vout1の分圧電圧が基準電圧Ref1に合うように誤差増幅器Amp1の出力信号が上下し、スイッチング制御回路516によって、この定格電圧状態を維持するような制御パルスの幅(ディーティ比)のスイッチング信号LS11〜LS14が出力され、定格電圧状態を維持するように、各スイッチング素子S11〜S14の動作が制御される。
一方、第2の電圧変換回路52においても、第1の電圧変換回路51と同様の動作により、入力直流電圧Vinに基づいて第2の出力電圧Vout2(=42V)が生成され(図3(A))、ラジエータ60へと供給されることで、ラジエータ60が駆動され、上記のように水経路WL2へ冷風CLを供給するように動作する(図3(B))。
また、この第2の出力電圧Vout1も、出力電圧制御回路525によって出力電圧制御回路515と同様にして常に監視され、スイッチング制御回路516と同様にしてスイッチング制御回路526によって、第2の出力電圧Vout2の電位に基づいてスイッチング信号LS21〜LS24のパルス幅(デューティ比)が制御され、第2の出力電圧Vout2が定格電圧状態を維持するような制御がなされる。ただし、この出力電圧制御回路525では、前述のように、電源電圧Vccと制御回路54とによって定められる可変の基準電圧V1と第2の出力電圧Vout2との電位が比較されることにより、このような制御がなされるようになっている。
ここで、温度検出回路53では、水温Tが高水温状態となっていることから、サーミスタ531の両端の電圧値が小さくなり、接続点P2の電位が基準電圧Ref4の電位よりも低くなるように設定されている。したがって、比較器541の出力信号が「L」レベルとなり、NPNトランジスタ546がオフ状態となることから、前述のように基準電圧V1が、直列接続された抵抗器523C3と抵抗器548とにより定まることとなる。この場合、基準電圧V1の電位と第2の出力電圧Vout2の電位とから、第2の出力電圧Vout2(=42V)を維持するようなスイッチング信号LS21〜LS24のパルス幅(デューティ比)が設定される。
また、ハイサイドドライバ55およびチャージポンプ回路56では、このようにして比較器541の出力信号が「L」レベルとなることから、制御信号SIG1に基づいて、前述のように接続素子57(具体的には、NチャネルFET571)がオフ状態となるような制御信号SIG2が生成される(図3(C))。したがって、NチャネルFET571がオフ状態となることから、高水温状態のときには出力ラインLO1,LO2同士は切断され、第1の負荷である補機用バッテリ62および補機63が第1の電圧変換回路51のみによって駆動される一方、第2の負荷であるラジエータ60が第2の電圧変換回路52によって駆動されることとなる。
また、負荷調整回路58では、同様にして比較器541の出力信号が「L」レベルとなることから、前述のようにスイッチ素子S0がオフ状態となるようなスイッチ信号LS0が出力され、追加負荷64とDC−DCコンバータ5との間が切断される。したがって、高水温状態のときには追加負荷64が駆動されないよう、第1の電圧変換回路51の負荷の大きさが調整される(図3(D))。
次に、水温Tが所定の基準水温(基準水温Tc)よりも低い低水温状態のとき、特に、このような低水温状態においてこの燃料電池発電システムを始動する際の動作について説明する。
まず、この燃料電池発電システムの始動時には、燃料電池1が始動するまでの間、二次電池3が、補助電源として機能する。具体的には、二次電池3から供給された電圧がDC−DCコンバータ4によって電圧変換されると共に安定化され、DC−DCコンバータ5およびインバータ7へ供給される。
DC−DCコンバータ5のうち、第1の電圧変換回路51では、高水温状態のときと同様の電圧変換動作がなされ、DC−DCコンバータ3から供給された入力直流電圧Vinが、これと異なる電圧(図2の例では、より低い電圧)である出力直流電圧Vout1(第1の出力電圧)へと変換される。そしてこの第1の出力電圧Vout1(=14V)によって第1の負荷のうちの定常的な負荷である補機用バッテリ62および補機63に加え、低水温状態における負荷であるヒータ61も駆動される。このようにしてヒータ61が駆動されることで、ヒータ61で発生した熱Q1により水タンク2または水経路WLの少なくとも一方における水が加熱され、その水温Tが上昇することとなる。
一方、第2の電圧変換回路51では、このような低水温状態においては高水温状態とは異なり、以下のような電圧変換動作がなされる。
まず、水温Tが低下している場合、温度検出手段57におけるサーミスタ571の抵抗値が上昇することから、その両端の電圧値が大きくなり、接続点P2の電位が基準電圧Ref4の電位よりも高くなる。したがって、比較器541の出力信号が「H」レベルとなり、NPNトランジスタ546がオン状態となることから、前述のように基準電圧V1が、抵抗器523C3と、互いに並列接続された抵抗器547,548との直列接続により定まることとなる。つまり、抵抗器547,548が並列接続状態となることから、高水温状態のときと比べて、基準電圧V1の電位が低くなる。したがって、高水温状態のときと比べて誤差増幅器Amp2の出力信号が低くなり、スイッチング制御回路526によってスイッチング信号LS21〜LS24のパルス幅(デューティ比)が小さくなるように設定されることから、第2の電圧変換回路52の出力電圧が、高水温状態のときよりも低下することとなる。本実施の形態のDC−DCコンバータ5では、この低水温状態のときには、第2の電圧変換回路52の出力電圧は、第2の出力電圧Vout2(=42V)から、第1の電圧変換回路51と同じ第1の出力電圧Vout1(=14V)へ設定変更されるようになっている(図3(A))。
また、第2の電圧変換回路52の出力電圧が、第2の出力電圧Vout2(=42V)から第1の出力電圧Vout1(=14V)へと低下することから、第2の負荷であるラジエータ60を駆動することができず、ラジエータ60の動作が停止することとなる(図3(B))。なお、このラジエータ60は、前述のように水経路WL2内の水を冷却するためのものであることから、低水温状態のときにその動作が停止しても、特に問題とはならない。
また、ハイサイドドライバ55およびチャージポンプ回路56では、このようにして比較器541の出力信号が「H」レベルとなることから、制御信号SIG1に基づいて、前述のように接続素子57(具体的には、NチャネルFET571)がオン状態となるような制御信号SIG2が生成される(図3(C))。したがって、NチャネルFET571がオン状態となることから、低水温状態のときには出力ラインLO1,LO2同士が接続され、第1の負荷であるヒータ61、補機用バッテリ62および補機63が第1の電圧変換回路51に加え、第2の電圧変換回路52よっても駆動されることとなる。したがって、上記のように第2の負荷であるラジエータ60はその動作が停止していることからも、低水温状態のときには、第2の電圧変換回路52は第1の電圧変換回路51と共に第1の負荷のみを駆動することとなり、本来駆動すべき第1の負荷へ供給される電力量がより増加する。
さらに、負荷調整回路58では、同様にして比較器541の出力信号が「H」レベルとなることから、前述のようにスイッチ素子S0がオン状態となるようなスイッチ信号LS0が出力され、追加負荷64とDC−DCコンバータ5との間が接続される。したがって、低水温状態のときには、高水温状態のときと比べて追加負荷64の分、第1の負荷が増加するように設定される(図3(D))。
このようにして、低水温状態のときには、第2の電圧変換回路52の出力電圧が第2の出力電圧Vout2(=42V)から第1の出力電圧Vout1(=14V)へとより低い電圧に設定変更されると共に、高水温状態のときと比べて追加負荷64の分、第1の負荷が増加する。そしてさらに、出力ラインLO1,LO2同士が接続され、第1の電圧変換回路51の出力と第2の電圧変換回路52の出力とが、互いに第1の負荷に対して共通接続する。すなわち、第1および第2の電圧変換回路51,52の出力電圧がいずれもより電圧の低い第1の出力電圧Vout1(=14V)となり、その状態のもとで大きさの増加した第1の負荷が駆動されることから、第2の電圧変換回路52が低効率状態となる。よって、この第2の電圧変換回路52内の各素子(スイッチング素子S21〜S24、トランス522の1次側巻線CA2および2次側巻線CB2,CC2、整流ダイオードD21,D22、チョークコイル524Lなど)において電力損失に起因した熱Q2が発生し、さらにこの第2の電圧変換回路52が前述のように水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方に隣在していることから、発生した熱Q2がこれらの部位に伝導し、水温が上昇する。
このように、DC−DCコンバータ5内における第2の電圧変換回路52の各素子での発熱量が増加し、また、DC−DCコンバータ5(第2の電圧変換回路52)が水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方と隣在していることから、これらの水温Tが上昇し、加熱手段がヒータ61のみである従来例と比べて、燃料電池1が短時間に始動しやすくなる。
以上のように、本実施の形態では、DC−DCコンバータ5(第2の電圧変換回路52)を水タンク2または水経路WL1の少なくとも一方に隣在させると共に、DC−DCコンバータ5内の温度検出回路53がこれらの部位での水温を検出し、検出された水温が、設定される所定の基準水温(基準水温Tc)よりも低い低水温状態のときには、第2の電圧変換回路52の出力電圧を第2の出力電圧Vout2(=42V)から第1の出力電圧Vout1(=14V)へより低い電圧に設定変更すると共に第1の負荷を増加させ、さらに第1および第2の電圧変換回路51,52の出力を互いに第1の負荷に対して共通接続するようにしたので、従来、低水温状態では停止していた第2の電圧変換回路52が動作すると共に低効率状態となって発熱し、これにより水タンク2や水経路WLにおける水温を上昇させることができ、構成を複雑化することなくとも、低温下において、燃料電池1を短時間に始動させることが可能となる。
また、特にスイッチング回路521のスイッチング素子(スイッチング素子S21〜S24)では電力損失(スイッチング損失)が大きく、さらに、整流回路523の整流素子(整流ダイオードD21,D22)では、第1の電圧変換回路51における整流素子(整流ダイオードD11,D12)と比べて高耐圧のもの(第2の出力電圧Vout2=42Vであるため)であることから電力損失(導通損失)が大きくなり、発熱量の増加が大きい。さらに、これらの素子を電界効果型トランジスタにより構成した場合には、ソース・ドレイン間を流れる電流の2乗に比例して電力損失を増加させることができ、より発熱量を増加させることができる。
また、低温時のみにDC−DCコンバータ5内の第2の電圧変換回路52を低効率状態とするので、定格電力値を変更する必要はなく、このようなDC−DCコンバータを多数設けたり、大型化したりする必要はない。また、従来からの加熱手段であるヒータ61についても、多数設けたり、大型化したりする必要がない。よって、制御回路54、接続素子57を追加するだけでDC−DCコンバータ5の発熱を大きくすることができ、上述したような効果を得ることができる。
さらに、第2の負荷をラジエータ60により構成し、低水温状態では駆動不要なものとしたので、低水温状態のときに、本来駆動すべき第1の負荷へ供給される電力量を増加させることができ、ヒータ61での発熱量をより増加させることができる。よって、低温下において、燃料電池1をより短時間に始動させることが可能となる。なお、この第2の負荷をラジエータ60以外の他の負荷により構成し、低水温状態のときにも第2の負荷を駆動するように構成してもよい。このように構成した場合、ヒータ61での発熱量が減少するが、従来と比べ、燃料電池1を簡易かつ短時間に始動させることは可能である。
さらに、本発明の具体的な実施例について説明する。
図2に示した回路構成のDC−DCコンバータ5を、以下のような条件で構成した。まず、第1の電圧変換回路51の出力電圧(第1の出力電圧Vout1)を14Vとし、出力電流Iout1を120Aとした。一方、第2の電圧変換回路52の出力電圧(第2の出力電圧Vout2)を42Vとし、出力電流Iout2を40Aとした。また、トランス512における1次側巻線CA1および2次側巻線CB1,CC1の巻数比をそれぞれ、CA1:CB1:CC1=10:1:1とする一方、トランス522における1次側巻線CA2および2次側巻線CB2,CC2の巻数比をそれぞれ、CA2:CB2:CC2=10:3:3とした。また、スイッチング素子S11〜S14,S21〜24をいずれも電界効果型トランジスタにより構成し、それらのオン抵抗Rds1(on)を、いずれも0.1Ωとした。また、接続素子57も電界効果型トランジスタにより構成し、そのオン抵抗Rds2(on)を、いずれも0.02Ωとした。また、整流ダイオードD11,D12の順方向電圧降下Vf1を、いずれも0.9Vとする一方、整流ダイオードD21,D22の順方向電圧降下Vf2を、いずれも1.7Vとした。
このような条件のもとでは、低水温状態において、第2の電圧変換回路52のスイッチング素子S21〜S24で発生する電力損失(導通損失)Ploss(SW)、および整流ダイオードD21,D22で発生する電力損失Ploss(Di)、ならびに接続素子57で発生する電力損失(導通損失)Ploss(接続)は、以下の式(1)〜(3)のようにして求められる。
Ploss(SW)∝Rds1(on)×(Iout2/n)2×(S21〜S24のオンデューティ)
=0.1Ω×(40A×(3/10))2×0.5
=7.2W …(1)
ここで、nは、2次側巻線CB2,CC2の巻数に対する1次側巻線CA2の巻数の巻数比を表している。また、ここでは、S21〜S24のオンデューティを50%(0.5)としている。
Ploss(Di)=Vf2×Iout2
=1.7V×40A=68W …(2)
Ploss(接続)=Rds2(on)×(Iout2)2
=0.02Ω×(40A)2=32W …(3)
=0.1Ω×(40A×(3/10))2×0.5
=7.2W …(1)
ここで、nは、2次側巻線CB2,CC2の巻数に対する1次側巻線CA2の巻数の巻数比を表している。また、ここでは、S21〜S24のオンデューティを50%(0.5)としている。
Ploss(Di)=Vf2×Iout2
=1.7V×40A=68W …(2)
Ploss(接続)=Rds2(on)×(Iout2)2
=0.02Ω×(40A)2=32W …(3)
ここで、上記式(1)から分かるように、スイッチング素子S21〜S24で発生する電力損失(導通損失)Ploss(SW)は1素子当たり7.2Wとなり、4素子では28.8Wとなる。そして、これらスイッチング素子S21〜S24で発生するスイッチング損失も加えると、スイッチング素子S21〜S24で発生する電力損失の合計Ploss-total(SW)は約40W程度となる。
このようにして、Ploss-total(SW)=約40W,Ploss(Di)=68W,Ploss(接続)=32Wとなることから、これらの電力損失を合計すると、約140Wとなる。ここで、従来より低水温状態において水タンク2内や水経路WL1内の水に対する加熱手段として用いられているヒータ61では、例えばシーズヒータの場合、その発熱量は約500W程度である。したがって、低水温状態において第2の電圧変換回路52のスイッチング素子S21〜S24で発生する電力損失(導通損失)Ploss(SW)や、整流ダイオードD21,D22で発生する電力損失Ploss(Di)、接続素子57で発生する電力損失(導通損失)Ploss(接続)によっても、十分に水タンク2内や水経路WL1内の水に対する加熱手段として機能することが分かる。よって、これらの部位における水温の上昇を早めることができ、低温下において、燃料電池1を短時間に始動させることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれら実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。すなわち、上記実施の形態等では、燃料電池発電システムおよびDC−DCコンバータ5の構成を具体的に挙げて説明したが、これらの構成はこれに限定されるものではなく、他の構成としてもよい。
例えば、上記実施の形態等では、接続素子57が、電界効果型トランジスタ(NチャネルFET571)を含んで構成されている場合の例について説明してきたが、この電界効果型トランジスタの代わりに(あるいはこれに加えて)、他のスイッチ素子(例えば、バイポーラトランジスタ、IGBT、リレーなど)を含んで構成するようにしてもよい。このように構成した場合、電界効果型トランジスタにより構成した場合と比べ、接続素子57での電力損失、すなわち素子での発熱量が減少するが、従来と比べ、燃料電池1を簡易かつ短時間に始動させることは可能である。また、ハイサイドドライバ55およびチャージポンプ回路56が不要となり、回路構成が簡素化するという効果がある。
また、上記実施の形態等では、水温Tの温度検出手段を、サーミスタ531を含んだ温度検出回路53により構成した場合の例について説明してきたが、例えばサーモスタットなどにより構成してもよく、また、水温Tを直接的または間接的のいずれによって検出するように構成してもよい。
また、上記実施の形態等では、低水温状態の際に、第2の負荷であるラジエータが低電圧である第1の出力電圧Vout1(=14V)では駆動できず、動作しないように構成されていたが、その他に、例えば温度検出回路53および制御回路54によって低水温状態のときにはその動作を停止させる制御を行うように構成したり、また、低水温状態のときにはラジエータ60と第2の電圧変換回路52との間の接続を切断するように構成してもよい。
また、上記実施の形態等では、負荷調整回路58の制御によって新たな負荷である追加負荷64をDC−DCコンバータ5に接続させることにより、第1の電圧変換回路51の負荷を増加させる場合の例について説明してきたが、例えばそのような追加負荷64を設けず、ヒータ61や補機63自身の負荷の大きさを増加させることにより、電圧変換回路の負荷を増加させるように構成してもよい。
また、上記実施の形態等では、DC−DCコンバータ5内の第1および第2の電圧変換回路51,52を、いずれもいわゆるフルブリッジ型により構成した場合について説明してきたが、例えばいわゆるハーフブリッジ型やチョッパ型、フォワード型、フライバック型などの種々の構成のものに適用することが可能である。
1…燃料電池、2…水タンク、3…二次電池、4…第1のDC−DCコンバータ、5…第2のDC−DCコンバータ、51…第1の電圧変換回路、52…第2の電圧変換回路、511,521…スイッチング回路、512,522…トランス、513,523…整流回路、514,524…平滑回路、515,525…出力電圧制御回路、516,526…スイッチング制御回路、53…温度検出回路、531…サーミスタ、54…制御回路、541…比較器、546…NPNトランジスタ、55…ハイサイドドライバ、56…チャージポンプ回路、57…接続素子、571…NチャネルFET、58…負荷調整回路、60…ラジエータ、61…ヒータ、62…補機用バッテリ、63…補機、64…追加負荷、7…インバータ、8…モータ、WL1,WL2…水経路、Vin…入力直流電圧、Vout1…出力直流電圧(第1の出力電圧)、Vout2…出力直流電圧(第2の出力電圧)、LO1,LO2…出力ライン、LG1,LG2,LG…接地ライン、Q1,Q2…熱、CL…冷風、T1,T2…入力端子、T31,T32,T41,T42…出力端子、TS…制御出力端子、H1,H2…1次側高圧ライン、L1,L2…1次側低圧ライン、P1〜P4…接続点、S0…スイッチ素子、S11〜S14,S21〜S24…スイッチング素子、LS0…スイッチ信号、LS11〜LS14,LS21〜LS24…スイッチング信号、CA1,CA2…1次側巻線、CB1,CB2,CC1,CC2…2次側巻線、D11,D12,D21,D22…整流ダイオード、514L,524L…チョークコイル、514C,524C…平滑コンデンサ、Amp1,Amp2…誤差増幅器、Ref1,Ref2,Ref4,V1…基準電圧、Vcc…電源電圧、SIG,SIG2…制御信号。
Claims (7)
- 燃料電池と、水を貯蔵する水タンクと、前記燃料電池と前記水タンクとの間で前記水を循環させる水経路とを含んで構成された燃料電池発電システムに対して適用され、前記燃料電池から供給された電圧を変換して第1の負荷を駆動するための電圧変換装置であって、
前記水タンクまたは前記水経路の少なくとも一方における前記水の温度を検出する温度検出手段と、
前記燃料電池から供給された入力電圧を第1の出力電圧に変換して前記第1の負荷を駆動する第1の電圧変換回路と、
前記水タンクまたは前記水経路の少なくとも一方に隣在し、前記入力電圧を前記第1の出力電圧よりも高い電圧からなる第2の出力電圧に変換して前記第1の負荷とは異なる第2の負荷を駆動する第2の電圧変換回路と、
前記第1および第2の電圧変換回路の出力同士を接続または切断する接続素子と、
前記温度検出手段によって検出された検出水温が所定の基準水温よりも高い高水温状態のときには前記第1の電圧変換回路の出力のみを前記第1の負荷に接続させる一方、前記検出水温が前記基準水温よりも低い低水温状態のときには前記第2の電圧変換回路の出力電圧を前記第1の出力電圧に設定すると共に前記第1の負荷を増加させ、さらに前記第1および第2の電圧変換回路の出力同士を互いに前記第1の負荷に対して共通接続させるように、前記第1および第2の電圧変換回路ならびに前記接続素子を制御する制御回路と
を備えたことを特徴とする電圧変換装置。 - 前記第2の電圧変換回路は、
前記入力電圧をスイッチングすることにより交流電圧を生成するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子により生成された交流電圧を変圧する変圧器と、
前記変圧器により変圧された交流電圧を整流する整流素子を含むと共に前記整流素子に基づいて前記出力電圧を生成する出力回路とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧変換装置。 - 前記接続素子は、電界効果型トランジスタを含んで構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電圧変換装置。 - 前記温度検出手段は、サーミスタを含んで構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電圧変換装置。 - 前記第2の負荷は、前記低水温状態のときには駆動不要なものであり、
前記制御回路は、前記低水温状態のときに前記第2の電圧変換回路が前記第2の負荷を駆動するのを停止させる
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電圧変換装置。 - 第1の負荷を駆動するための発電を行う燃料電池発電システムであって、
燃料電池と、
水を貯蔵する水タンクと、
前記燃料電池と前記水タンクとの間で前記水を循環させる水経路と、
前記水タンクまたは前記水経路の少なくとも一方における前記水の温度を検出する温度検出手段と、
前記燃料電池から供給された入力電圧を第1の出力電圧に変換して前記第1の負荷を駆動する第1の電圧変換回路と、
前記水タンクまたは前記水経路の少なくとも一方に隣在し、前記入力電圧を前記第1の出力電圧よりも高い電圧からなる第2の出力電圧に変換して前記第1の負荷とは異なる第2の負荷を駆動する第2の電圧変換回路と、
前記第1および第2の電圧変換回路の出力同士を接続または切断する接続素子と、
前記温度検出手段によって検出された検出水温が所定の基準水温よりも高い高水温状態のときには前記第1の電圧変換回路の出力のみを前記第1の負荷に接続させる一方、前記検出水温が前記基準水温よりも低い低水温状態のときには前記第2の電圧変換回路の出力電圧を前記第1の出力電圧に設定すると共に前記第1の負荷を増加させ、さらに前記第1および第2の電圧変換回路の出力同士を互いに前記第1の負荷に対して共通接続させるように、前記第1および第2の電圧変換回路ならびに前記接続素子を制御する制御回路と
を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。 - 燃料電池と、水を貯蔵する水タンクと、前記燃料電池と前記水タンクとの間で前記水を循環させる水経路とを含んで構成された燃料電池発電システムに対して適用され、第1の負荷を駆動するための発電を行う発電方法であって、
前記水タンクまたは前記水経路の少なくとも一方における前記水の温度を検出して検出水温を求め、
前記燃料電池から供給された入力電圧を第1の出力電圧に変換して前記第1の負荷を駆動する第1の電圧変換回路を構成し、
前記入力電圧を前記第1の出力電圧よりも高い電圧からなる第2の出力電圧に変換して前記第1の負荷とは異なる第2の負荷を駆動する第2の電圧変換回路を構成すると共に前記第2の電圧変換回路を前記水タンクまたは前記水経路の少なくとも一方に隣在させ、
前記検知水温が所定の基準水温よりも高い高水温状態のときには前記第1の電圧変換回路の出力のみを前記第1の負荷に接続する一方、前記検出水温が前記基準水温よりも低い低水温状態のときには前記第2の電圧変換回路の出力電圧を前記第1の出力電圧に設定すると共に前記第1の負荷を増加させ、さらに前記第1および第2の電圧変換回路の出力同士を互いに前記第1の負荷に対して共通接続する
ことを特徴とする発電方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005100227A JP2006278296A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 電圧変換装置、燃料電池発電システムおよび発電方法 |
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JP2005100227A Withdrawn JP2006278296A (ja) | 2005-03-30 | 2005-03-30 | 電圧変換装置、燃料電池発電システムおよび発電方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010146689A1 (ja) * | 2009-06-18 | 2010-12-23 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム |
-
2005
- 2005-03-30 JP JP2005100227A patent/JP2006278296A/ja not_active Withdrawn
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