JP2007066725A - 電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 出力側に接続されるバッテリの劣化に対して、より適切な対応を取ることが可能な電源装置を提供する。
【解決手段】 充放電電流検出回路5Aが、バッテリ8Aの充電電流Ib1を検出する。また、指令部12が、検出された充電電流Ib1に基づいて、バッテリ8Aの故障状態を判断する。さらに、指令部12が、その判断結果に基づいて、AC/DCコンバータ3とバッテリ8Aとの間に設けられたスイッチ素子6Aを制御し、充電電流Ib1の調整を行う。充電電流Ib1の過電流に起因した、AC/DCコンバータ3の動作停止が回避される。
【選択図】 図1
【解決手段】 充放電電流検出回路5Aが、バッテリ8Aの充電電流Ib1を検出する。また、指令部12が、検出された充電電流Ib1に基づいて、バッテリ8Aの故障状態を判断する。さらに、指令部12が、その判断結果に基づいて、AC/DCコンバータ3とバッテリ8Aとの間に設けられたスイッチ素子6Aを制御し、充電電流Ib1の調整を行う。充電電流Ib1の過電流に起因した、AC/DCコンバータ3の動作停止が回避される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、出力側にバッテリおよび負荷が接続される電源装置に関する。
一般に、自動車には、ワイパー、ヘッドライト、ルームライト、オーディオ機器、空調機および各種計器類等の車両搭載機器を駆動するための電源として、例えば12V程度の直流の電圧(バッテリ電圧)を供給するバッテリが搭載されている。
通常、このようなバッテリに対する充電は、エンジンの回転を利用して駆動される交流発電機からの高圧(例えば、200V程度)の交流出力電圧に基づいて、いわゆるレギュレータなどの電源装置が、より低圧の直流電圧を生成し、バッテリに供給することで行われる。
この電源装置としては、例えば、上記交流出力電圧に基づく直流入力電圧をスイッチ回路でのスイッチング動作によってスイッチングするようにしたものが挙げられる。このようなスイッチ回路でのスイッチング動作に伴って生成される電圧は、整流回路によって整流された後、直流出力電圧として出力されるようになっている。
ところで、このバッテリは、経時的要因等により劣化し、バッテリ電圧が所望の電圧よりも低下してしまうことがある。そこで、このようなバッテリの劣化状態を把握し、劣化対策を施すことは重要である。
そこで、例えば特許文献1には、このような電源装置に接続されたバッテリの劣化を判定するため、バッテリの放電時の電圧を検出するようにした技術が開示されている。
しかしながら、この特許文献1には、バッテリの劣化を判定した後の具体的な対処方法については、何ら記載されていない。
したがって、例えば上記したように、電源装置の出力側に接続されたバッテリが劣化し、そのバッテリ電圧が低下してしまったような場合には、バッテリの劣化対策としては不十分である。なぜならば、判定結果に基づいて適切な対応を取らないと、電源装置からこのバッテリへの充電電流(電源装置の出力電流)が過電流となり、通常このような電源装置に対して設けられている過電流保護装置などにより、電源装置の動作が停止されてしまうからである。
このように、従来の技術では、電源装置の出力側に接続されたバッテリが劣化したとしても、それに対する具体的な対策がなされておらず、劣化対策としては不十分であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、出力側に接続されるバッテリの劣化に対して、より適切な対応を取ることが可能な電源装置を提供することにある。
本発明の電源装置は、出力側にバッテリおよび負荷が接続されるものであって、直流出力電圧を生成してバッテリおよび負荷へ供給する電源部と、この電源部と上記バッテリとの間に配設された第1のスイッチ素子と、バッテリの充電電流を検出する第1の電流検出手段と、検出された充電電流に基づいてバッテリの故障状態を判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段による判断結果に基づいて第1のスイッチ素子を制御することにより、充電電流の調整を行う第1の電流調整手段とを備えたものである。
本発明の電源装置では、電源部によって直流出力電圧が生成され、出力側に接続されたバッテリおよび負荷へ供給される。また、バッテリの充電電流が随時検出され、検出された充電電流に基づいてバッテリの故障状態が判断される。そしてその判断結果に基づいて、電源部とバッテリとの間に設けられた第1のスイッチ素子が制御され、これにより、充電電流の調整がなされる。
本発明の電源装置では、上記第1の判断手段が、検出された充電電流が所定の第1の閾値よりも小さいときにはバッテリは正常であると判断する一方、検出された充電電流が第1の閾値よりも大きいときにはバッテリは故障していると判断し、上記第1の電流調整手段が、バッテリが正常であると判断された場合には、第1のスイッチ素子をオン状態として充電電流が定常的に流れるようにする一方、バッテリが故障していると判断された場合には、充電電流を制限するように構成可能である。このように構成した場合、電源装置からバッテリへ流れる充電電流における過電流状態が、回避される。
本発明の電源装置では、上記第1の判断手段が、バッテリが故障していると判断した場合、さらにその故障の程度を判断すると共に、上記第1の電流調整手段が、判断された故障の程度をも考慮して、充電電流の調整を行うようにするのが好ましい。このように構成した場合、故障の有無に加えて故障の程度も考慮されることから、バッテリの劣化に対して、さらに適切な対策がなされ得る。また、この場合において、第1の電流調整手段が、故障の程度が所定の故障状態よりも進行していると判断された場合には、第1のスイッチ素子をオフ状態として充電電流を遮断する一方、故障の程度が所定の故障状態には至っていないと判断された場合には、第1のスイッチ素子をパルス幅変調制御して充電電流を減少させるように構成可能である。
本発明の電源装置では、上記第1の電流検出手段が、さらに、バッテリの放電電流を検出し、上記第1の判断手段が、さらに、検出された放電電流に基づいて負荷の異常状態を判断し、上記第1の電流調整手段が、さらに、第1の判断手段による判断結果に基づいて第1のスイッチ素子を制御することにより、放電電流の調整を行うようにするのが好ましい。このように構成した場合、バッテリの充電電流の調整に加え、放電電流の調整を行うことができる。
本発明の電源装置では、上記第1の判断手段が、検出された放電電流が所定の第2の閾値よりも小さいときには負荷は正常であると判断する一方、検出された放電電流が第2の閾値よりも大きいときには負荷は異常であると判断し、上記第1の電流調整手段が、負荷が正常であると判断された場合には、第1のスイッチ素子をオン状態として放電電流が定常的に流れるようにする一方、負荷が異常であると判断された場合には、放電電流を制限するようにするのが好ましい。このように構成した場合、バッテリから負荷へ流れる放電電流における過電流状態が、回避される。
本発明の電源装置では、上記第1の判断手段が、負荷が異常であると判断した場合、さらにその異常の程度を判断し、上記第1の電流調整手段が、判断された異常の程度をも考慮して、放電電流の調整を行うようにするのが好ましい。このように構成した場合、異常の有無に加えて異常の程度も考慮されることから、負荷の異常に対して、さらに適切な対策がなされ得る。この場合において、第1の電流調整手段が、異常の程度が所定の異常状態よりも進行していると判断された場合には、第1のスイッチ素子をオフ状態として放電電流を遮断する一方、異常の程度が所定の異常状態には至っていないと判断された場合には、第1のスイッチ素子をパルス幅変調制御して放電電流を減少させるように構成可能である。
本発明の電源装置では、上記電源部と負荷との間に配設された第2のスイッチ素子と、負荷へ供給される負荷電流を検出する第2の電流検出手段と、検出された負荷電流に基づいて負荷の異常状態を判断する第2の判断手段と、この第2の判断手段による判断結果に基づいて第2のスイッチ素子を制御することにより、負荷電流の調整を行う第2の電流調整手段とをさらに備えるようにするのが好ましい。このように構成した場合、バッテリの充放電電流検出によるバッテリの故障判断および負荷の異常判断に加え、負荷電流検出による負荷の異常判断がなされることから、バッテリの充放電電流の調整に加え、負荷電流の調整を行うことができる。
本発明の電源装置では、上記第2の判断手段が、検出された負荷電流が所定の第2の閾値よりも小さいときには負荷は正常であると判断する一方、検出された負荷電流が第2の閾値よりも大きいときには負荷は異常であると判断し、上記第2の電流調整手段が、負荷が正常であると判断された場合には、第2のスイッチ素子をオン状態として負荷電流が定常的に流れるようにする一方、負荷が異常であると判断された場合には、負荷電流を制限するようにするのが好ましい。このように構成した場合、電源装置から負荷へ流れる負荷電流における過電流状態が、回避される。
本発明の電源装置では、上記第2の判断手段が、負荷が異常であると判断した場合、さらにその異常の程度を判断し、上記第2の電流調整手段が、判断された異常の程度をも考慮して、負荷電流の調整を行うようにするのが好ましい。このように構成した場合、異常の有無に加えて異常の程度も考慮されることから、負荷の異常に対して、さらに適切な対策がなされ得る。この場合において、第2の電流調整手段が、異常の程度が所定の異常状態よりも進行していると判断された場合には、第2のスイッチ素子をオフ状態として負荷電流を遮断する一方、異常の程度が所定の異常状態には至っていないと判断された場合には、第2のスイッチ素子をパルス幅変調制御して負荷電流を減少させるように構成可能である。
本発明の電源装置では、検出された充電電流の値と所定の設定電流値との大小を判断する第3の判断手段と、検出された充電電流値が上記設定電流値よりも小さいと判断された場合には、第2のスイッチ素子をパルス幅変調制御して負荷電流を減少させることにより、充電電流を優先的に増加させる第3の電流調整手段とをさらに備えるようにするのが好ましい。このように構成した場合、負荷電流よりもバッテリへの充電電流のほうが優先的に増加するので、バッテリの電圧が安定化し、バッテリの劣化に対してさらに適切な対策がなされ得る。
本発明の電源装置によれば、バッテリの充電電流を検出すると共に検出された充電電流に基づいてバッテリの故障状態を判断し、その判断結果に基づいて電源部とバッテリとの間に設けられた第1のスイッチ素子を制御して充電電流の調整を行うようにしたので、出力側に接続されるバッテリの劣化に対して、より適切な対応を取ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の構成を表すものである。この電源装置は、高圧(例えば、400V程度)の交流電圧を発生する交流電圧発生部11と、この交流電圧をより低圧(例えば、12V程度)の直流出力電圧Voutに変換する電圧変換部2と、この電圧変換部2に対して指令を発する指令部12とから構成され、例えばハイブリッドカー等の車載用に好適に用いられるものである。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の構成を表すものである。この電源装置は、高圧(例えば、400V程度)の交流電圧を発生する交流電圧発生部11と、この交流電圧をより低圧(例えば、12V程度)の直流出力電圧Voutに変換する電圧変換部2と、この電圧変換部2に対して指令を発する指令部12とから構成され、例えばハイブリッドカー等の車載用に好適に用いられるものである。
交流電圧発生部11は、エンジンの回転等を利用することにより、上記のように高圧の交流電圧を発生し、この交流電圧を後述する電圧変換部2内のAC/DCコンバータへ供給するものである。
電圧変換部2は、上記のように高圧の交流電圧を低圧の直流出力電圧Voutに変換するものであり、出力側にバッテリ8Aおよび負荷8B,8Cが接続されている。また、この直流出力電圧Voutに基づく充電電流Ib1をバッテリ8Aへ供給することにより、バッテリ8Aを充電する(バッテリ電圧Vbを供給する)と共に、直流出力電圧Voutに基づく負荷電流ILB,ILCをそれぞれ負荷8B,8Cへ供給することにより、負荷8B,8Cを駆動するようになっている。さらに、充電されたバッテリ8Aから、負荷8B,8Cに対して放電電流Ib2が供給されることにより、バッテリ8Aによっても、これら負荷8B,8Cを駆動できるようになっている。
この電圧変換部2は、入力側が交流電圧発生部11に接続されたAC/DCコンバータ3と、指令部12に接続されたスイッチ制御部4と、このスイッチ制御部4に接続されると共に、AC/DCコンバータ3とバッテリ8Aとの間に設けられた充放電電流検出回路5Aおよびスイッチ素子6Aと、バッテリの両端間に設けられたバッテリ電圧検出回路7とを有している。なお、AC/DCコンバータ3の出力側には、負荷8B,8Cがそれぞれ並列に接続されると共に、AC/DCコンバータ3側から順に充放電電流検出回路5Aおよびスイッチ素子6Aを介して、これら負荷8B,8Cに対して並列にバッテリ8Aが接続されている。
AC/DCコンバータ3は、交流電圧発生部11から供給される高圧の交流電圧をより低圧の直流出力電圧Voutに変換し、出力側のバッテリ8Aおよび負荷8B,8Cへ供給するものであり、電圧変換部2の主要機能をなすものである。
図2は、AC/DCコンバータ3の構成の一例を表したものである。このAC/DCコンバータ3は、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられた入力整流回路31およびスイッチング回路32と、1次側巻線331および2次側巻線332A,332Bを有するトランス33と、このトランス33の2次側に設けられた出力整流回路34と、この出力整流回路34に接続された平滑回路35と、スイッチング回路32を駆動する駆動回路39とを有している。
このAC/DCコンバータ3はまた、トランス33の1次側に配置され、入力電流Iinを検出するおよび入力電流検出回路36と、トランス33の2次側に配置され、直流出力電圧Voutを検出する出力電圧検出回路37と、直流出力電圧Voutを一定に保つための制御信号を駆動回路39へ出力すると共に、出力電流Ioutの過電流状態を回避してAC/DCコンバータ3を保護する機能を有する過電流保護回路38とを有している。
入力整流回路31は、それぞれ逆方向に直列接続された入力整流ダイオードD1,Dと、入力整流ダイオードD3,D4と、入力整流ダイオードD5,D6とが、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧レインL1Lとの間で並列接続された構成となっている。より具体的には、入力整流ダイオードD1のアノードと入力整流ダイオードD2のカソードとは、接続点P4で互いに接続され、この接続点P4は入力端子Xへ導かれている。また、入力整流ダイオードD3のアノードと入力整流ダイオードD4のカソードとは、接続点P5で互いに接続され、この接続点P5は入力端子Yへ導かれている。また、入力整流ダイオードD5のアノードと入力整流ダイオードD6のカソードとは、接続点P6で互いに接続され、この接続点P6は入力端子Zへ導かれている。このような構成により入力整流回路31は、これら入力端子X,Y,Zを介して交流電圧発生部11から入力される交流電圧を整流して直流入力電圧Vinを生成し、スイッチング回路32へ供給するようになっている。
スイッチング回路32は、4つのスイッチング素子S1〜S4を有しており、フルブリッジ型の回路構成となっている。具体的には、スイッチング素子S1,S2の一端同士が互いに接続されると共に、スイッチング素子S3,S4の一端同士が互いに接続されている。また、スイッチング素子S1,S3の他端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S2,S4の他端同士が互いに接続され、これら他端同士は、それぞれ1次側高圧ラインL1Hまたは1次側低圧ラインL1Lを介して、入力整流回路31(それぞれ、入力整流ダイオードD1,D3,D5のカソードまたは入力整流ダイオードD2,D4,D6のアノード)に接続されている。スイッチング回路32はこのような構成により、駆動回路39から供給される駆動信号SG1〜SG4に応じて、入力整流回路31から供給される直流入力電圧Vinを、入力交流電圧(パルス電圧)に変換するようになっている。
なお、スイッチング素子S1〜S4は、例えば電界効果型トランジスタ(MOS−FET;Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)などのスイッチ素子から構成される。
トランス33は、1次側巻線331と、一対の2次側巻線332A,332Bとを有している。このうち、1次側巻線331は、その一端がスイッチング素子S1,S2の一端同士に接続され、その他端がスイッチング素子S3,S4の一端同士に接続されている。すなわち、この1次側巻線331は、スイッチング回路32にHブリッジ接続されるようになっている。一方、2次側巻線332A,332Bの一端同士は互いに接続され、接地ラインLG上を平滑回路5を介して出力端子TGに導かれている。つまり、後述する出力整流回路34は、センタタップ型のものである。このような構成によりトランス33は、スイッチング回路32によって生成された入力交流電圧を降圧し、2次側巻線332A,332Bの各端部から、互いに180度位相が異なる出力交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の降圧の度合いは、1次側巻線331と2次側巻線332A,332Bとの巻数比によって定まる。
出力整流回路34は、一対の出力整流ダイオード34A,34Bからなる単相全波整流型のものである。出力整流ダイオード34Aのアノードはトランス33の2次側巻線332Aの他端に接続され、出力整流ダイオード34Bのアノードはトランス33の2次側巻線332Bの他端に接続されている。また、これら出力整流ダイオード34A,34Bのカソード同士は互いに接続され、出力ラインLOに接続されている。つまり、この整流回路34はセンタタップ型のカソードコモン接続の構成となっており、トランス33からの出力交流電圧の各半波期間を、それぞれ出力整流ダイオード34A,34Bによって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
なお、整流ダイオード34A,34Bをそれぞれ、MOS―FETの寄生ダイオードから構成するようにしてもよい。
平滑回路35は、チョークコイル351と平滑コンデンサ352とを含んで構成されている。チョークコイル351は、出力ラインLO上に挿入配置されており、その一端は出力整流ダイオード34A,34Bのカソード同士に接続され、その他端は出力端子TOに接続されている。また、平滑コンデンサ352は、出力ラインLO(具体的には、チョークコイル351の他端)と接地ラインLGとの間に接続されている。また、接地ラインLGの端部には、出力端子TGが設けられている。このような構成により平滑回路35は、出力整流回路34で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成し、これを出力端子TO,TGから出力するようになっている。
入力電流検出回路36は、カレントトランス360と、ダイオード36Dと、抵抗器36Rとから構成されている。カレントトランス360の1次側巻線361は、1次側低圧ラインL1L上に挿入配置(具体的には、入力整流回路31とスイッチング素子S2,S4の他端同士との間に配置)されており、2次側巻線362の一端は接地される一方、他端はダイオード362Dのアノードに接続されている。また、ダイオード362Dのカソードは抵抗器362Rの一端に接続され、これらダイオード362Dのカソードおよび抵抗器362Rの一端は互いに、過電流保護回路38に接続されている。なお、抵抗器362Rの他端は、2次側巻線362の一端と共に接地されている。入力電流検出回路36はこのような構成(半波整流回路の構成)により、カレントトランス360の1次側巻線361を流れる入力電流Iinを検出すると共に、この入力電流Iinの大きさに対応する入力電流検出電圧を過電流保護回路38へ出力するようになっている。なお、この入力電流検出回路36の配置は図1に示したものには限られず、例えば1次側高圧ラインL1H上に挿入配置(具体的には、入力整流回路31とスイッチング素子S1,S3の他端同士との間に配置)するようにしてもよく、また、スイッチング素子S1,S2の一端同士から1次側巻線331を介してスイッチング素子S3,S4の一端同士に至る経路内に挿入配置するようにしてもよい。後者の場合、入力電流検出回路36を、いわゆる全波整流回路により構成すればよい。
出力電圧検出回路37は、出力ラインLO上の接続点P7と、過電流保護回路38との間に挿入配置されている。出力電圧検出回路37はこのような構成により、AC/DCコンバータ3の直流出力電圧Voutを検出すると共に、この直流出力電圧Voutの大きさに対応する出力電圧検出電圧を過電流保護回路38へ出力するようになっている。なお、この出力電圧検出回路37の具体的な回路構成としては、例えば、接続点P7と接地との間に配置された図示しない分圧抵抗よって、直流出力電圧Voutを検出すると共にこれに応じた出力電圧検出電圧を生成するものが挙げられる。
過電流保護回路38は、出力電圧検出回路37から出力される出力電圧検出電圧に基づいて、直流出力電圧Voutが所定の電圧を保つための制御信号を駆動回路39へ出力すると共に、この出力電圧検出電圧に加え、入力電流検出回路36から出力される入力電流検出電圧に基づいて、AC/DCコンバータ3からの出力電流Ioutの過電流状態を回避してAC/DCコンバータ3を保護するための制御信号を、駆動回路39へ出力するものである。この過電流保護機能について具体的に説明すると、過電流保護回路38は、出力電流Ioutを以下の(1)式によって算出することにより、出力電流Ioutが過電流か否かを判断し、過電流であると判断した場合には、スイッチング回路32におけるスイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を停止させるような制御信号を、駆動回路39へ出力するようになっている。なお、直流入力電圧Vinについては、予め設定された電圧値が用いられる。
直流入力電圧Vin/直流出力電圧Vout=出力電流Iout/入力電流Iin=n …(1)
(n;トランス33の1次側巻線331と2次側巻線332A,332Bとの巻数比)
直流入力電圧Vin/直流出力電圧Vout=出力電流Iout/入力電流Iin=n …(1)
(n;トランス33の1次側巻線331と2次側巻線332A,332Bとの巻数比)
駆動回路39は、スイッチング回路32内のスイッチング素子S1〜S4を駆動するためのものである。具体的には、過電流保護回路38から出力される制御信号に基づいて、スイッチング素子S1〜S4に対する駆動信号SG1〜SG4をそれぞれ出力し、これらスイッチング素子S1〜S4をパルス幅変調(PWM;Pulse Wave Modulation)によって駆動する。より具体的には、これら駆動信号SG1〜SG4のデューティ比変化に従って、直流出力電圧Voutを一定に保つように制御すると共に、出力電流Ioutが過電流状態となった場合には、駆動信号SG1〜SG4のデューティ比を0としてスイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を停止させるようになっている。
図1の説明に戻り、充放電電流検出回路5Aは、AC/DCコンバータ3の出力側の接続点P2と下記のスイッチ素子6Aの一端との間に挿入配置された抵抗器51Aと、入力側がこの抵抗器51Aの両端に接続されると共に出力側が後述するスイッチ制御部4内のA/Dコンバータ41に接続された差動増幅器52Aとを有している。このような構成により充放電電流検出回路5Aは、AC/DCコンバータ3からバッテリ8Aへ流れる充電電流Ib1、およびバッテリ8Aから負荷8B,8Cへ流れる放電電流Ib2を、抵抗器51Aの両端間の電圧によって検出すると共に、この両端間の電圧を差動増幅器52Aによって増幅し、充放電電流検出電圧VAとしてA/Dコンバータ41へ出力するようになっている。
スイッチ素子6Aは、充放電電流検出回路5Aによって検出される充電電流Ib1や放電電流Ib2の大きさに応じて後述するスイッチ制御部4内の駆動部43から出力されるスイッチ駆動信号SAに基づいて、抵抗器51Aとバッテリ8Aの一端との間を接続または遮断するものである。なお、このスイッチ素子6Aは、例えばMOS−FETやIGBTなどのスイッチ素子などから構成される。
スイッチ制御部4は、スイッチ素子6Aに対する制御を行う部分であり、指令部12に接続されたCPU(Central Processing Unit)42と、このCPU42と充放電電流検出回路5Aとの間に接続されたA/Dコンバータ41と、CPU42とスイッチ素子6Aとの間に接続された駆動回路43とを有している。
A/Dコンバータ41は、充放電電流検出回路5Aから出力されるアナログ信号からなる充放電電圧検出電圧VAをデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を、CPU42を介して指令部12へ出力するものである。
CPU42は、スイッチ制御部4全体を統括する部分であり、A/Dコンバータ41から出力されるデジタル信号からなる充放電電圧検出電圧VAを指令部12へ出力すると共に、後述する指令部12から出力されるスイッチ素子6Aに対する制御指令を、駆動部43へ出力するようになっている。
駆動部43は、CPU42から出力される制御指令に従って、実際にスイッチ素子6Aを駆動する部分である。
また、指令部12は、CPU42から出力される、デジタル信号からなる充放電電圧検出電圧VA、すなわち充電電流Ib1や放電電流Ib2の大きさに応じて、それぞれバッテリ8Aの故障状態や負荷8B,8Cの異常状態を判断すると共に、それらの判断結果に基づくスイッチ素子6Aに対する制御指令を、CPU12を介して駆動部43へ出力し、スイッチ素子6Aを制御することにより、充電電流Ib1や放電電流Ib2の調整を行うものである。なお、指令部12は、例えばこの電源装置が車載用である場合には、例えばECU(Electronic Control Unit)などから構成される。
ここで、図3を参照して、充電電流Ib1または放電電流Ib2の大きさと、バッテリ8Aおよび負荷8B,8Cの状態との関係について、詳細に説明する。なお、図中の横軸はバッテリ電流を表しており、それぞれ、順方向(接続点P1,P2からバッテリ8Aへの方向)へ流れる充電電流Ib1を正の値と、逆方向(バッテリ8Aから接続点P1,P2への方向)へ流れる放電電流Ib2を負の値とし、それらの絶対値がバッテリ電流の大きさを表している。また、図中の電流値Ith11,Ith12,Ith21,Ith22は、それぞれ閾値電流を表している。
まず、充電電流Ib1について説明すると、指令部12は、デジタル信号からなる充放電電圧検出電圧VAに基づいて、充電電流Ib1が閾値電流Ith11よりも小さいと分かったときには、バッテリ8Aは正常である(バッテリ電圧Vbが所望の電圧となっている)と判断する。
一方、充電電流Ib1が閾値電流Ith11よりも大きいと分かったときには、指令部12は、バッテリ8Aは故障している(バッテリ電圧Vbが所望の電圧よりも低下している)と判断する。また、このようにバッテリ8Aが故障していると判断した場合、指令部12は、さらにその故障の程度を判断するようになっている。具体的には、指令部12は、充電電流Ib1の大きさに応じて、バッテリ8Aが所定の故障状態(閾値電流Ith12の状態)よりも進行していると判断した場合には、このバッテリ8Aは完全に故障している(バッテリ電圧Vbがほとんど出力されていない)と判断する一方、バッテリ8Aが閾値電流Ith12の状態には至っていないと判断した場合には、このバッテリ8Aは完全に故障しているわけではなく、劣化している(バッテリ電圧Vbが低下している)と判断する。このようにして、バッテリ8Aの故障の有無だけでなく、故障の程度も考慮されることから、後述するように、充電電流Ib1の調整がより適切になされるようになっている。
また、放電電流Ib2についても同様に、指令部12は、デジタル信号からなる充放電電圧検出電圧VAに基づいて、放電電流Ib2の絶対値が閾値電流Ith21の絶対値よりも小さいと分かったときには、負荷8Bおよび負荷8Cは正常である(例えば、短絡していない等)と判断する。
一方、放電電流Ib2の絶対値が閾値電流Ith21の絶対値よりも大きいと分かったときには、指令部12は、負荷8Bまたは負荷8Cの少なくとも一方が異常である(例えば、短絡している等)と判断する。また、このように負荷8B,8Cが異常であると判断した場合にも、指令部12は、さらにその異常の程度を判断するようになっている。具体的には、指令部12は、放電電流Ib2の大きさに応じて、負荷8B,8Cが所定の異常状態(閾値電流Ith22の状態)よりも進行していると判断した場合には、これら負荷8Bまたは負荷8Cの少なくとも一方は完全に異常状態である(例えば、完全に短絡している等)と判断する一方、負荷8B,8Cが閾値電流Ith22の状態には至っていないと判断した場合には、これら負荷8B,8Cの少なくとも一方は完全な異常状態ではなく、劣化している(例えば、完全には短絡していない等)と判断する。このようにして、負荷8B,8Cの異常の有無だけでなく、異常の程度も考慮されることから、後述するように、放電電流Ib2の調整がより適切になされるようになっている。
図1の説明に戻り、バッテリ電圧検出回路7は、バッテリ8Aの両端間に配置され、互いに直列接続された一対の抵抗器71,72から構成されている。具体的には、抵抗器71の一端はバッテリ8Aの一端に接続され、抵抗器72の一端はバッテリ8Aの他端に接続され、抵抗器71,72の他端同士は接続点P3において互いに接続されている。また、接続点P3は、スイッチ制御部4内のCPU42に接続されている。このような構成によりバッテリ電圧検出回路7は、バッテリ8Aの両端間の電圧、すなわちバッテリ電圧Vbを抵抗器71,72の分圧として検出し、CPU42へ出力するようになっている。なお、このようにして検出されたバッテリ電圧Vbは、後述するように、バッテリ8Aの故障状態を判断する際の参考として、考慮されるようになっている。
バッテリ8Aは、AC/DCコンバータ3から供給される出力電流Ioutを、充電電流Ib1として充電し、所定のバッテリ電圧Vbを出力するものである。そしてこのようにして充電されたバッテリ電圧Vbは、放電電流Ib2として負荷8B,8Cへ供給され、例えばAC/DCコンバータが停止している場合などにも、これら負荷8B,8Cを駆動できるようになっている。また、負荷8B,8Cは、この電源装置から出力される直流出力電圧Voutに基づいて、AC/DCコンバータ3から負荷8B,8Cへそれぞれ供給される負荷電流ILB,ILCによって駆動されるものであり、例えばこの電源装置が車載用とである場合、ワイパーや、ヘッドライト、ルームライト、オーディオ機器、空調機または各種計器類等などから構成される。
ここで、AC/DCコンバータ3が本発明における「電源部」の一具体例に対応する。また、スイッチ素子6Aが本発明における「第1のスイッチ素子」の一具体例に対応し、充放電電流検出回路5Aが本発明における「第1の電流検出手段」の一具体例に対応し、指令部12が本発明における「第1の判断手段」の一具体例に対応し、指令部12およびスイッチ制御部4が本発明における「第1の電流調整手段」の一具体例に対応する。また、閾値電流Ith11が本発明における「第1の閾値」に対応し、閾値電流Ith21が本発明における「第2の閾値」に対応する。
次に、以上のような構成の電源装置の動作について説明する。最初に、この電源装置の基本動作について説明する。
まず、交流電圧発生部11によって交流電圧が生成され、AC/DCコンバータ3へ入力される。そしてAC/DCコンバータ3では、以下のような電圧変換動作がなされる。
入力整流回路31は、入力端子X,Y,Zから入力されるこの交流電圧を、入力整流ダイオードD1〜D6によって整流し、直流入力電圧Vinとして出力する。次に、スイッチング回路32は、この直流入力電圧Vinをスイッチングして入力交流電圧を生成し、これをトランス33の1次側巻線331に供給する。トランス33の2次側巻線332A,332Bからは、変圧(ここでは、降圧)された出力交流電圧が取り出される。
出力整流回路34は、この出力交流電圧を出力整流ダイオード4A,4Bによって整流する。これにより、出力ラインLOと接地ラインLGとの間に整流出力が発生する。
平滑回路35は、この出力ラインLOと接地ラインLGとの間に生じる整流出力を平滑化し、出力端子TO,TGから、直流出力電圧Voutとして出力する。
また、この直流出力電圧Voutは、出力電圧検出回路37によって随時検出されている。この出力電圧検出回路37から出力される出力電圧検出電圧は、過電流保護回路38へ出力され、直流出力電圧Voutの大きさに応じたデューティ比からなる駆動信号SG1〜SG4が、それぞれスイッチング回路32内のスイッチング素子S1〜S4へ供給され、直流出力電圧Voutが一定に保たれるように制御がなされる。具体的には、直流出力電圧Voutが所定の電圧よりも高い場合には、デューティ比が低くなることで、所定の電圧となるよう、直流出力電圧Voutが低下する。一方、逆に直流出力電圧Voutが所定の電圧よりも低い場合には、デューティ比が高くなることで、所定の電圧となるよう、直流出力電圧Voutが増加する。
さらに、このAC/DCコンバータ3では、入力電流Iinが、入力電流検出回路36によって随時検出されている。過電流保護回路38では、この入力電流検出回路36から出力される入力電流検出電圧と、出力電圧検出回路37から出力される出力電圧検出電圧とに基づいて、出力電流Ioutが前述の(1)式によって算出され、この出力電流Ioutが過電流であると判断された場合には、スイッチング素子S1〜S4のスイッチング動作を停止させるような制御信号が、駆動回路39へ出力される。このようにして、出力電流Ioutの過電流状態が回避され、AC/DCコンバータ3が保護される。
以上のようにして、入力された交流電圧から降圧されると共に、出力が一定に保たれるように制御がなされた直流出力電圧Voutが、AC/DCコンバータ3から出力される。また、過電流状態とならないように制御された出力電流Ioutが出力され、この出力電流Ioutに基づいて、AC/DCコンバータ3からバッテリ8Aへ充電電流Ib1が供給されると共に、AC/DCコンバータ3から負荷8B,8Cへそれぞれ、負荷電流ILB,ILCが供給される。そしてこれら充電電流Ib1および負荷電流ILB,ILCによって、バッテリ8Aがバッテリ電圧Vbとなるように充電されると共に、負荷8B,8Cが駆動される。
また、バッテリ8Aの放電の際には、このバッテリ8Aから負荷8B,8Cへ放電電流Ib2が供給され、この放電電流Ib2によっても、負荷8B,8Cが駆動される。
次に、図4〜図8を参照して、本発明の主な特徴である、指令部12およびスイッチ制御部4による充電電流Ib1および放電電流Ib2の調整動作について、詳細に説明する。ここで、図4,図5はそれぞれ、充電電流Ib1または放電電流Ib2の調整動作を流れ図で表したものである。また、図6〜図8はそれぞれ、このような充電電流Ib1や放電電流Ib2の調整動作時における電源装置の状態を表したものである。
最初に、図4および図6〜図8を参照して、充電電流Ib1の調整動作について説明する。
まず、バッテリ電圧検出回路7は、バッテリ8Aのバッテリ電圧Vbを検出する(図4のステップS101)。そして検出されたバッテリ電圧Vbは、CPU42を介して指令部12へ出力され、以下説明するバッテリ8Aの故障判断の際の参考とされる。
次いで、充放電電流検出回路5Aが、バッテリ8Aの充電電流Ib1を検出し(ステップS102)、これに基づくアナログ信号からなる充放電電流検出電圧VAを、A/Dコンバータ41へ出力する。A/Dコンバータ41は、このアナログ信号からなる充放電電流検出電圧VAをA/D変換し(ステップS103)、デジタル信号からなる充放電電流検出電圧VAを、CPU42を介して指令部12へ出力する。つまり、充電電流Ib1の検出結果を、指令部12へ通知する(ステップS104)。
次いで、指令部12は、この検出結果(デジタル信号からなる充放電電流検出電圧VA)に基づいて、検出された充電電流Ib1が、閾値電流Ith11よりも大きいか否かを判定する(ステップS105)。充電電流Ib1のほうが閾値電流Ith11よりも小さいと判定された場合には(ステップS105:N)、前述の図3において説明したように、指令部12は、バッテリ8Aは正常であると判断する(ステップS106)。そして指令部12は、図6に示したように、スイッチ素子6Aがオン状態となるような制御指令をCPU42を介して駆動部43へ出力し、駆動部43がスイッチ素子6Aを駆動することにより、スイッチ素子6Aがオン状態となる(ステップS107)。これにより、充電電流Ib1が定常的に流れるようになり、充電電流Ib1の調整動作が終了となる。
一方、ステップS105において、充電電流Ib1のほうが閾値電流Ith11よりも大きいと判定された場合(ステップS105:Y)、指令部12は、バッテリ8Aが故障していると判断し、充電電流Ib1を制限する。具体的には、次に指令部12は、さらに故障の程度を判断する。より具体的には、前述の図3において説明したように、検出された充電電流Ib1が、さらに閾値電流Ith12よりも大きいか否かを判定する(ステップS108)。充電電流Ib1のほうが閾値電流Ith12よりも大きいと判定された場合には(ステップS108:Y)、指令部12は、バッテリ8Aは完全に故障していると判断する(ステップS109)。そして指令部12は、図7に示したように、スイッチ素子6Aがオフ状態となるような制御指令をCPU42を介して駆動部43へ出力し、駆動部43がスイッチ素子6Aを駆動することにより、スイッチ素子6Aがオフ状態となる(ステップS110)。これにより充電電流Ib1が遮断され、充電電流Ib1の過電流に起因した過電流保護回路38によるAC/DCコンバータ3の動作停止が、回避される。したがって、バッテリ8Aが完全に故障したことに対する適切な処理がなされることになる。なお、これで充電電流Ib1の調整動作が終了となる。
また、ステップS108において、充電電流Ib1のほうが閾値電流Ith12よりも小さいと判定された場合(ステップS108:Y)、指令部12は、バッテリ8Aは完全に故障しているわけではなく、劣化していると判断する(ステップS111)。そして指令部12は、図8に示したように、スイッチ素子6Aをパルス幅変調制御(PWM制御)するような制御指令をCPU42を介して駆動部43へ出力し、駆動部43がスイッチ素子6Aを駆動することにより、スイッチ素子6AがPWM制御状態となる(ステップS111)。これにより充電電流Ib1が急激に流れることはなく、徐々に増加することになる。よって、上記のように充電電流Ib1の過電流に起因したAC/DCコンバータ3の動作停止が回避され、バッテリ8Aが劣化したことに対する適切な処理がなされることになる。これで、充電電流Ib1の調整動作が終了となる。
次に、図5〜図8を参照して、放電電流Ib2の調整動作について説明する。
この場合も充電電流Ib1の調整動作と基本的に同様であり、まず、充放電電流検出回路5Aが、バッテリ8Aの放電電流Ib2を検出し(図5のステップS201)、アナログ信号からなる充放電電流検出電圧VAを、A/Dコンバータ41へ出力する。A/Dコンバータ41は、このアナログ信号からなる充放電電流検出電圧VAをA/D変換し(ステップS202)、デジタル信号からなる充放電電流検出電圧VA(放電電流Ib2の検出結果)を、指令部12へ出力(通知)する(ステップS203)。
次いで、指令部12は、この検出結果に基づいて、検出された放電電流Ib2の絶対値が、閾値電流Ith21の絶対値よりも大きいか否かを判定する(ステップS204)。放電電流Ib2の絶対値のほうが閾値電流Ith21の絶対値よりも小さいと判定された場合には(ステップS204:N)、前述の図3において説明したように、指令部12は、負荷8Bおよび負荷8Cは正常であると判断する(ステップS205)。そして指令部12は、図6に示したように、スイッチ素子6Aがオン状態となるような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6Aがオン状態となる(ステップS206)。これにより放電電流Ib2が定常的に流れるようになり、放電電流Ib2の調整動作が終了となる。
一方、ステップS204において、放電電流Ib2の絶対値のほうが閾値電流Ith21の絶対値よりも大きいと判定された場合(ステップS204:Y)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方が異常であると判断し、放電電流Ib2を制限する。具体的には、次に指令部12は、さらに異常の程度を判断する。より具体的には、前述の図3において説明したように、検出された放電電流Ib2の絶対値が、さらに閾値電流Ith22の絶対値よりも大きいか否かを判定する(ステップS207)。放電電流Ib2の絶対値のほうが閾値電流Ith22の絶対値よりも大きいと判定された場合には(ステップS207:Y)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方が完全に異常状態であると判断する(ステップS208)。そして指令部12は、図7に示したように、スイッチ素子6Aがオフ状態となるような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6Aがオフ状態となる(ステップS209)。これにより放電電流Ib2が遮断され、負荷8B,8Cの完全な異常状態に対する適切な処理がなされることになる。なお、これで放電電流Ib2の調整動作が終了となる。
また、ステップS207において、放電電流Ib2の絶対値のほうが閾値電流Ith22の絶対値よりも小さいと判定された場合(ステップS207:N)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方は完全な異常状態ではなく、劣化していると判断する(ステップS210)。そして指令部12は、図8に示したように、スイッチ素子6AをPWM制御するような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6AがPWM制御状態となる(ステップS210)。これにより放電電流Ib2が急激に流れることはなく、徐々に増加することになる。よって、負荷8B,8Cが劣化したことに対する適切な処理がなされることになる。これで、放電電流Ib2の調整動作が終了となる。
以上のように、本実施の形態では、充放電電流検出回路5Aがバッテリ8Aの充電電流Ib1を検出し、指令部12が、検出された充電電流Ib1に基づいてバッテリ8Aの故障状態を判断すると共に、その判断結果に基づいてAC/DCコンバータ3とバッテリ8Aとの間に設けられたスイッチ素子6Aを制御し、充電電流Ib1の調整を行うようにしたので、充電電流Ib1の過電流に起因したAC/DCコンバータ3の動作停止を回避することができ、電源装置の出力側に接続されるバッテリの劣化に対して、より適切な対応を取ることが可能となる。
また、充放電電流検出回路5Aが、バッテリ8Aの放電電流Ib2も検出し、指令部12が、検出された放電電流Ib2に基づいて負荷8B,8Cの異常状態をそれぞれ判断すると共に、その判断結果に基づいてスイッチ素子6Aを制御し、放電電流Ib2の調整も行うようにしたので、放電電流Ib2の過電流を回避することができ、電源装置の出力側に接続される負荷の劣化に対しても、より適切な対応を取ることが可能となる。
また、バッテリ8Aから負荷8B,8Cへ流れる放電電流ILB,ILCによって負荷8B,8Cの異常状態を判断できるので、例えばAC/DCコンバータ3の動作が停止しているような場合であっても、これら負荷の異常状態を判断することが可能となる。また、後述する第2および第3の実施の形態で説明するように、AC/DCコンバータ3と負荷8B,8Cとの間に負荷電流検出回路5B,5Cおよびスイッチ素子6B,6Cをそれぞれ設けることなく、負荷8B,8Cの異常状態を判断することができる。
さらに、バッテリ8Aが故障であると判断された場合や、負荷8B,8Cが異常であると判断された場合に、さらにそれらの程度を判断し、故障の程度や異常の程度をも考慮するようにしたので、故障や異常の有無に加え、故障や異常の程度をも考慮して電流調整することができ、バッテリ8Aや負荷8B,8Cの劣化に対して、さらに適切な対策を取ることが可能となる。
なお、本実施の形態では、充放電電流検出回路5Aが充電電流Ib1および放電電流Ib2の両者を検出するようにし、バッテリ8Aの故障状態と負荷8B,8Cの異常状態の両方を判断する場合について説明したが、充放電電流検出回路5Aが充電電流Ib1のみを検出し、バッテリ8Aの故障状態のみを判断するようにし、充電電流Ib1の調整のみを行うようにしてもよい。このように構成した場合、電源装置全体の構成をより簡素化することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
上記第1の実施の形態では、AC/DCコンバータ3とバッテリ8Aとの間に設けた充放電電流検出回路5Aおよびスイッチ素子6Aにより、バッテリ8Aの充電電流Ib1および放電電流Ib2の調整を行うようにした電源装置について説明したが、本実施の形態では、これに加えて、AC/DCコンバータ3と負荷8B,8Cとの間にそれぞれ設けた負荷電流検出回路5B,5Cおよびスイッチ素子6B,6Cにより、それぞれ負荷電流ILB,ILCの調整を行うようにした電源装置について説明する。
図9は、本実施の形態に係る電源装置の構成を表すものである。この図において、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。この電源装置は、上記のように、第1の実施の形態の電源装置において、AC/DCコンバータ3と負荷8B,8Cとの間に、それぞれ負荷電流検出回路5B,5Cおよびスイッチ素子6B,6Cを設けるようにしたものである。なお、その他の部分の構成は、図1の場合と同様である。ただし、本実施の形態における指令部12は、本発明における「第2の判断手段」の一具体例に対応し、本実施の形態における指令部12およびスイッチ制御部4は、本発明における「第2の電流調整手段」の一具体例に対応する。
負荷電流検出回路5B,5Cは、それぞれ、AC/DCコンバータ3の出力側の接続点P1,P2とスイッチ素子6B,6Cの一端との間に挿入配置された抵抗器51B,51Cと、入力側がそれぞれこれら抵抗器51B,51Cの両端に接続されると共に出力側がそれぞれA/Dコンバータ41に接続された差動増幅器52B,52Cとを有している。このような構成により負荷電流検出回路5B,5Cは、AC/DCコンバータ3から負荷8B,8Cへそれぞれ流れる負荷電流ILB,ILCを、それぞれ抵抗器51B,51Cの両端間の電圧によって検出すると共に、この両端間の電圧をそれぞれ差動増幅器52B,52Cによって増幅し、それぞれ負荷電流検出電圧VB,VCとしてA/Dコンバータ41へ出力するようになっている。なお、これら負荷電流検出回路5B,5Cが、本発明における「第2の電流検出手段」の一具体例に対応する。
また、スイッチ素子6B,6Cは、負荷電流検出回路5B,5Cによってそれぞれ検出される負荷電流ILB,ILCの大きさに応じて駆動部43から出力されるスイッチ駆動信号SB,SCに基づいて、それぞれ抵抗器51B,51Cと負荷8B,8Cの一端との間を接続または遮断するものである。なお、これらスイッチ素子6B,6Cも、例えばMOS−FETやIGBTなどのスイッチ素子などから構成される。また、これらスイッチ素子6B,6Cが、本発明における「第2のスイッチ素子」の一具体例に対応する。
ここで、図10を参照して、負荷電流ILB,ILCの大きさと、負荷8B,8Cの状態との関係について、詳細に説明する。なお、図中の横軸は負荷電流ILB,ILCを表している。
まず、負荷電流ILB,ILCが閾値電流Ith21よりも大きいと分かったときには、指令部12は、負荷8Bまたは負荷8Cの少なくとも一方が異常である(例えば、短絡している等)と判断する。また、このように負荷8B,8Cが異常であると判断した場合にも、指令部12は、第1の実施の形態で説明した放電電流Ib2の場合と同様に、さらにその異常の程度を判断するようになっている。具体的には、指令部12は、負荷電流ILB,ILCの大きさに応じて、負荷8B,8Cが所定の異常状態(閾値電流Ith22の状態)よりも進行していると判断した場合には、これら負荷8Bまたは負荷8Cの少なくとも一方は完全に異常状態である(例えば、完全に短絡している等)と判断する一方、負荷8B,8Cが閾値電流Ith22の状態には至っていないと判断した場合には、これら負荷8B,8Cの少なくとも一方は完全な異常状態ではなく、劣化している(例えば、完全には短絡していない等)と判断する。このようにして、負荷8B,8Cの異常の有無だけでなく、異常の程度も考慮されることから、以下説明するように、負荷電流ILB,ILCの調整がより適切になされるようになっている。
次に、図11〜図13を参照して、本実施の形態に係る負荷電流ILB,ILCの調整動作について、詳細に説明する。ここで、図11は負荷電流ILB,ILCの調整動作を流れ図で表したものである。また、図12,13はそれぞれ、このような負荷電流ILB,ILCの調整動作時における電源装置の状態を表したものである。
この場合も放電電流Ib2の調整動作と基本的に同様であり、まず、負荷電流検出回路5B,5Cが、負荷電流ILB,ILCをそれぞれ検出し(図11のステップS301)、アナログ信号からなる負荷電流検出電圧VB,VCを、それぞれA/Dコンバータ41へ出力する。A/Dコンバータ41は、このアナログ信号からなる負荷電流検出電圧VB,VCをそれぞれA/D変換し(ステップS302)、デジタル信号からなる負荷電流検出電圧VB,VC(負荷電流ILB,ILCの検出結果)を、指令部12へ出力(通知)する(ステップS303)。
次いで、指令部12は、この検出結果に基づいて、検出された負荷電流ILB,ILCが、閾値電流Ith21よりも大きいか否かを判定する(ステップS304)。負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith21よりも小さいと判定された場合には(ステップS304:N)、前述の図10において説明したように、指令部12は、負荷8Bおよび負荷8Cは正常であると判断する(ステップS305)。そして指令部12は、図12に示したように、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオン状態となるような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオン状態となる(ステップS306)。これにより負荷電流ILB,ILCが定常的に流れるようになり、負荷電流ILB,ILCの調整動作が終了となる。
一方、ステップS304において、負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith21よりも大きいと判定された場合(ステップS304:Y)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方が異常であると判断し、負荷電流ILB,ILCを制限する。具体的には、次に指令部12は、さらに異常の程度を判断する。より具体的には、前述の図10において説明したように、検出された負荷電流ILB,ILCが、さらに閾値電流Ith22よりも大きいか否かを判定する(ステップS307)。負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith22よりも大きいと判定された場合には(ステップS307:Y)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方が完全に異常状態であると判断する(ステップS308)。そして指令部12は、図9に示したように、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオフ状態となるような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオフ状態となる(ステップS309)。これにより負荷電流ILB,ILCが遮断され、負荷電流ILB,ILCの過電流に起因した過電流保護回路38によるAC/DCコンバータ3の動作停止が、回避される。したがって、負荷8B,8Cの完全な異常状態に対する適切な処理がなされることになる。なお、これで負荷電流ILB,ILCの調整動作が終了となる。
また、ステップS307において、負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith22よりも小さいと判定された場合(ステップS307:N)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方は完全な異常状態ではなく、劣化していると判断する(ステップS310)。そして指令部12は、図13に示したように、スイッチ素子6B,6CをそれぞれPWM制御するような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6CがそれぞれPWM制御状態となる(ステップS310)。これにより負荷電流ILB,ILCが急激に流れることはなく、徐々に増加することになる。よって、上記のように負荷電流ILB,ILCの過電流に起因したAC/DCコンバータ3の動作停止が回避され、負荷8B,8Cが劣化したことに対する適切な処理がなされることになる。これで、負荷電流ILB,ILCの調整動作が終了となる。
以上のように、本実施の形態では、負荷電流検出回路5B,5Cがそれぞれ、負荷電流ILB,ILCを検出し、指令部12が、検出された負荷電流ILB,ILCに基づいて負荷8B,8Cの異常状態をそれぞれ判断すると共に、その判断結果に基づいてAC/DCコンバータ3と負荷8B,8Cとの間にそれぞれ設けられたスイッチ素子6B,6Cを制御し、負荷電流ILB,ILCの調整も行うようにしたので、第1の実施の形態の効果に加え、負荷電流ILB,ILCの過電流に起因したAC/DCコンバータ3の動作停止を回避することができ、電源装置の出力側に接続される負荷の劣化に対しても、より適切な対応を取ることが可能となる。
また、負荷8B,8Cが異常であると判断された場合に、さらに異常の程度を判断し、異常の程度をも考慮するようにしたので、異常の有無に加え、異常の程度をも考慮して電流調整することができ、負荷8B,8Cの劣化に対して、さらに適切な対策を取ることが可能となる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
上記第2の実施の形態では、負荷電流ILB,ILCの調整を行うようにした電源装置について説明したが、本実施の形態では、さらに、これら負荷電流ILB,ILCの増加よりも、バッテリ8Aの充電電流Ib1の増加を優先的に行うようにした電源装置について説明する。なお、本実施の形態における電源装置の構成は、第2の実施の形態で説明した図9の場合と同様である。ただし、本実施の形態における指令部12は、本発明における「第3の判断手段」の一具体例に対応し、本実施の形態における指令部12およびスイッチ制御部4は、本発明における「第3の電流調整手段」の一具体例に対応する。
図14は、本実施の形態に係るバッテリ8Aの充電電流Ib1と負荷電流ILB,ILCとの関係について表したものであり、図14(A)は、充電電流Ib1の大きさとバッテリ8Aの状態との関係を、図14(B)は、負荷電流ILB,ILCの大きさと負荷8B,8Cの状態との関係を、それぞれ表している。
本実施の形態の電源装置では、図14(A)に示したように、指令部12によって、充電電流Ib1が閾値電流Ith11よりも小さく、バッテリ8Aが正常である場合において、さらにこの充電電流Ib1が所定の設定電流I0(<Ith11)よりも小さいと判定された場合には、図14(B)中の矢印P2で示したように負荷電流ILB,ILCを減少させ、図14(A)中の矢印P1で示したように、充電電流Ib1を優先的に増加させる(負荷8B,8Cを駆動することよりも、バッテリ8Aを優先的に充電させる)ようになっている。具体的には、この場合、負荷8B,8Cが正常であることから、本来ならばスイッチ素子6B,6Cはオン状態であるはずだが、これをPWM制御状態とすることにより、負荷電流ILB,ILCを減少させるようになっている。このように構成することで、バッテリ電圧Vbが安定化し、バッテリ8Aの劣化に対してより適切な処理がなされることになる。
次に、図15〜図17を参照して、本実施の形態に係る負荷電流ILB,ILCの調整動作について、詳細に説明する。ここで、図15は、負荷電流ILB,ILCの調整動作を流れ図で表したものである。また、図16,17はそれぞれ、このような負荷電流ILB,ILCの調整動作時における電源装置の状態を表したものである。
この場合も図11〜図13に示した第2の実施の形態の場合と基本的に同様であり、まず、負荷電流検出回路5B,5Cが、負荷電流ILB,ILCをそれぞれ検出し(図15のステップS401)、アナログ信号からなる負荷電流検出電圧VB,VCを、それぞれA/Dコンバータ41へ出力する。A/Dコンバータ41は、このアナログ信号からなる負荷電流検出電圧VB,VCをそれぞれA/D変換し(ステップS402)、デジタル信号からなる負荷電流検出電圧VB,VC(負荷電流ILB,ILCの検出結果)を、指令部12へ出力(通知)する(ステップS403)。
次いで、指令部12は、この検出結果に基づいて、検出された負荷電流ILB,ILCが、閾値電流Ith21よりも大きいか否かを判定する(ステップS404)。負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith21よりも小さいと判定された場合には(ステップS404:N)、指令部12は、負荷8Bおよび負荷8Cは正常であると判断する(ステップS405)。
ここで、指令部12は次に、充放電電流検出回路5Aによって検出された充電電流Ib1が、前述の図14で説明したように、所定の設定電流I0よりも小さいか否かを、さらに判定する(ステップS406)。そして充電電流Ib1が設定電流I0よりも大きいと判定された場合には(ステップS406:N)、指令部12は、図16に示したように、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオン状態となるような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオン状態となる(ステップS407)。これにより負荷電流ILB,ILCが定常的に流れるようになり、負荷電流ILB,ILCの調整動作が終了となる。
一方、ステップS406において、充電電流Ib1が設定電流I0よりも小さいと判定された場合には(ステップS406:Y)、指令部12は、前述の図14で説明したように、充電電流Ib1を優先的に増加させるべきであると判断する(ステップS408)。そして指令部12は、図17に示したように、スイッチ素子6B,6CをそれぞれPWM制御するような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6CがそれぞれPWM制御状態となる(ステップS413)。これにより負荷電流ILB,ILCが減少し、充電電流Ib1が優先的に増加することから、負荷8B,8Cを駆動することよりも、バッテリ8Aの充電が優先的に行われる。よって、バッテリ電圧Vbが安定化し、バッテリ8Aの劣化に対してより適切な処理がなされる。
また、ステップS404において、負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith21よりも大きいと判定された場合(ステップS404:Y)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方が異常であると判断し、負荷電流ILB,ILCを制限する。具体的には、次に指令部12は、さらに異常の程度を判断する。より具体的には、検出された負荷電流ILB,ILCが、さらに閾値電流Ith22よりも大きいか否かを判定する(ステップS409)。負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith22よりも大きいと判定された場合には(ステップS409:Y)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方が完全に異常状態であると判断する(ステップS410)。そして指令部12は、前述の図9に示したように、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオフ状態となるような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6Cがそれぞれオフ状態となる(ステップS411)。これにより負荷電流ILB,ILCが遮断され、負荷電流ILB,ILCの過電流に起因した過電流保護回路38によるAC/DCコンバータ3の動作停止が、回避される。したがって、負荷8B,8Cの完全な異常状態に対する適切な処理がなされることになる。なお、これで負荷電流ILB,ILCの調整動作が終了となる。
また、ステップS409において、負荷電流ILB,ILCのほうが閾値電流Ith22よりも小さいと判定された場合(ステップS409:N)、指令部12は、負荷8B,8Cの少なくとも一方は完全な異常状態ではなく、劣化していると判断する(ステップS412)。そして指令部12は、やはり図17に示したように、スイッチ素子6B,6CをそれぞれPWM制御するような制御指令を駆動部43へ出力することにより、スイッチ素子6B,6CがそれぞれPWM制御状態となる(ステップS310)。これにより負荷電流ILB,ILCが急激に流れることはなく、徐々に増加することになる。よって、上記のように負荷電流ILB,ILCの過電流に起因したAC/DCコンバータ3の動作停止が回避され、負荷8B,8Cが劣化したことに対する適切な処理がなされることになる。これで、負荷電流ILB,ILCの調整動作が終了となる。
以上のように、本実施の形態では、指令部12によって、充電電流Ib1が閾値電流Ith11よりも小さく、バッテリ8Aが正常である場合において、さらにこの充電電流Ib1が所定の設定電流I0(<Ith11)よりも小さいと判定された場合には、負荷電流ILB,ILCを減少させて充電電流Ib1を優先的に増加させる(負荷8B,8Cを駆動することよりも、バッテリ8Aを優先的に充電させる)ようにしたので、第1および第2の実施の形態における効果に加え、バッテリ電圧Vbを安定化させることができ、バッテリ8Aの劣化に対してより適切な対応を取ることが可能となる。
以上、第1〜第3の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、バッテリ8Aや負荷8B,8Cが劣化している場合や、負荷電流ILB,ILCよりも充電電流Ib1を優先的に増加させるような場合に、スイッチ素子8A〜8CをPWM制御させるようにしたが、この他にも、例えば充電電流Ib1や放電電流Ib2、負荷電流ILB,ILCを徐々に増加させたい場合などにも、これらスイッチ素子8A〜8CをPWM制御させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、スイッチング回路32をいわゆるフルブリッジ型により構成した場合について説明してきたが、例えばいわゆるハーフブリッジ型やチョッパ型、フォワード型、フライバック型などの種々の構成に適用することが可能である。
また、上記実施の形態では、本発明における「電源部」の一具体例として、高圧の交流電圧をより低圧の直流電圧に変換するAC/DCコンバータから構成した場合について説明したが、例えば、高圧の直流電圧をより低圧の直流電圧に変換するDC/DCコンバータから構成するようにしてもよい。
さらに、上記実施の形態では、入力電流検出回路36をカレントトランス360を用いて構成したが、この入力電流検出回路36を、例えばホールセンサを用いて構成するようにしてもよい。
11…交流電圧発生部、12…指令部、2…電圧変換部、3…AC/DCコンバータ、31…入力整流回路、32…スイッチング回路、33…トランス、331…1次側巻線、332A,332B…2次側巻線、34…出力整流回路、34A,34B…出力整流ダイオード、35…平滑回路、351…チョークコイル、352…平滑コンデンサ、36…入力電流検出回路、37…出力電圧検出回路、38…過電流保護回路、39…駆動回路、4…スイッチ制御部、41…A/Dコンバータ、42…CPU、5A…充放電電流検出回路、5B,5C…負荷電流検出回路、51A〜51C…抵抗器、52A〜52C…差動増幅器、6A〜6C…スイッチ素子、7…バッテリ電圧検出回路、8A…バッテリ、8B,8C…負荷、Ib1…充電電流、Ib2…放電電流、ILB,ILC…負荷電流、Vb…バッテリ電圧、VA…充放電電流検出電圧、VB,VC…負荷電流検出電圧、SA〜SC…スイッチ駆動信号、X,Y,Z…入力端子、TO,TG…出力端子、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、D1〜D6…入力整流ダイオード、S1〜S4…スイッチング素子、P1〜P7…接続点、Vin…直流入力電圧、Iin…入力電流、Vout…直流出力電圧、Iout…出力電流、SG1〜SG4…スイッチング信号、Ith11,Ith12,Ith21,Ith22,Ith31,Ith32…閾値電流、I0…設定電流。
Claims (13)
- 出力側にバッテリおよび負荷が接続される電源装置であって、
直流出力電圧を生成して前記バッテリおよび負荷へ供給する電源部と、
前記電源部と前記バッテリとの間に配設された第1のスイッチ素子と、
前記バッテリの充電電流を検出する第1の電流検出手段と、
検出された充電電流に基づいて前記バッテリの故障状態を判断する第1の判断手段と、
前記第1の判断手段による判断結果に基づいて前記第1のスイッチ素子を制御することにより、前記充電電流の調整を行う第1の電流調整手段と
を備えたことを特徴とする電源装置。 - 前記第1の判断手段は、検出された前記充電電流が所定の第1の閾値よりも小さいときには前記バッテリは正常であると判断する一方、検出された充電電流が前記第1の閾値よりも大きいときには前記バッテリは故障していると判断し、
前記第1の電流調整手段は、前記バッテリが正常であると判断された場合には、前記第1のスイッチ素子をオン状態として前記充電電流が定常的に流れるようにする一方、前記バッテリが故障していると判断された場合には、前記充電電流を制限する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。 - 前記第1の判断手段は、前記バッテリが故障していると判断した場合、さらにその故障の程度を判断し、
前記第1の電流調整手段は、判断された故障の程度をも考慮して、前記充電電流の調整を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。 - 前記第1の電流調整手段は、前記故障の程度が所定の故障状態よりも進行していると判断された場合には、前記第1のスイッチ素子をオフ状態として前記充電電流を遮断する一方、前記故障の程度が所定の故障状態には至っていないと判断された場合には、前記第1のスイッチ素子をパルス幅変調制御して前記充電電流を減少させる
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。 - 前記第1の電流検出手段は、さらに、前記バッテリの放電電流を検出し、
前記第1の判断手段は、さらに、検出された放電電流に基づいて前記負荷の異常状態を判断し、
前記第1の電流調整手段は、さらに、前記第1の判断手段による判断結果に基づいて前記第1のスイッチ素子を制御することにより、前記放電電流の調整を行う
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電源装置。 - 前記第1の判断手段は、検出された前記放電電流が所定の第2の閾値よりも小さいときには前記負荷は正常であると判断する一方、検出された放電電流が前記第2の閾値よりも大きいときには前記負荷は異常であると判断し、
前記第1の電流調整手段は、前記負荷が正常であると判断された場合には、前記第1のスイッチ素子をオン状態として前記放電電流が定常的に流れるようにする一方、前記負荷が異常であると判断された場合には、前記放電電流を制限する
ことを特徴とする請求項5に記載の電源装置。 - 前記第1の判断手段は、前記負荷が異常であると判断した場合、さらにその異常の程度を判断し、
前記第1の電流調整手段は、判断された異常の程度をも考慮して、前記放電電流の調整を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の電源装置。 - 前記第1の電流調整手段は、前記異常の程度が所定の異常状態よりも進行していると判断された場合には、前記第1のスイッチ素子をオフ状態として前記放電電流を遮断する一方、前記異常の程度が所定の異常状態には至っていないと判断された場合には、前記第1のスイッチ素子をパルス幅変調制御して前記放電電流を減少させる
ことを特徴とする請求項7に記載の電源装置。 - 前記電源部と前記負荷との間に配設された第2のスイッチ素子と、
前記負荷へ供給される負荷電流を検出する第2の電流検出手段と、
検出された負荷電流に基づいて前記負荷の異常状態を判断する第2の判断手段と、
前記第2の判断手段による判断結果に基づいて前記第2のスイッチ素子を制御することにより、前記負荷電流の調整を行う第2の電流調整手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電源装置。 - 前記第2の判断手段は、検出された前記負荷電流が所定の第2の閾値よりも小さいときには前記負荷は正常であると判断する一方、検出された負荷電流が前記第2の閾値よりも大きいときには前記負荷は異常であると判断し、
前記第2の電流調整手段は、前記負荷が正常であると判断された場合には、前記第2のスイッチ素子をオン状態として前記負荷電流が定常的に流れるようにする一方、前記負荷が異常であると判断された場合には、前記負荷電流を制限する
ことを特徴とする請求項9に記載の電源装置。 - 前記第2の判断手段は、前記負荷が異常であると判断した場合、さらにその異常の程度を判断し、
前記第2の電流調整手段は、判断された異常の程度をも考慮して、前記負荷電流の調整を行う
ことを特徴とする請求項10に記載の電源装置。 - 前記第2の電流調整手段は、前記異常の程度が所定の異常状態よりも進行していると判断された場合には、前記第2のスイッチ素子をオフ状態として前記負荷電流を遮断する一方、前記異常の程度が所定の異常状態には至っていないと判断された場合には、前記第2のスイッチ素子をパルス幅変調制御して前記負荷電流を減少させる
ことを特徴とする請求項11に記載の電源装置。 - 検出された前記充電電流の値と所定の設定電流値との大小を判断する第3の判断手段と、
検出された充電電流値が前記設定電流値よりも小さいと判断された場合には、前記第2のスイッチ素子をパルス幅変調制御して前記負荷電流を減少させることにより、前記充電電流を優先的に増加させる第3の電流調整手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載の電源装置。
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