しかしながら、上記特許文献1では、バッテリ電圧を補償するための手段を新たに設けていることから、従来のものと比べて部品点数が増加し、コストも上昇してしまうこととなる。
このように従来の技術では、回路構成を複雑化することなく、エンジンスタータの始動時におけるバッテリ電圧の低下を防ぐのは困難であった。なお、このような問題、すなわちバッテリ等の蓄電器の電圧低下による動作異常は、自動車以外の機器においても同様に起こり得ることである。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、回路構成を複雑化させることなく、蓄電器の電圧が低下しても正常な回路動作を維持することが可能な電源装置、自動車用電源装置および瞬断防止回路を提供することにある。
本発明の第1の電源装置は、駆動対象負荷および保護対象回路に電力を供給する蓄電器と、この蓄電器に電力を供給する電圧源と、蓄電器の出力電圧を検出する電圧検出部と、蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったとき、上記電圧源を保護対象回路に接続する接続器とを備えたものである。ここで、蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回る原因としては、例えば上記駆動対象負荷が過負荷状態になることが挙げられる。
本発明の第1の瞬断防止回路は、駆動対象負荷および保護対象回路に電力を供給する蓄電器と、この蓄電器に電力を供給する電圧源とを備えた電源装置に適用されるものであって、上記蓄電器の出力電圧を検出する電圧検出部と、蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったとき、上記電圧源を前記保護対象回路に接続する接続器とを備えたものである。
ここで、「駆動対象負荷」とは、駆動対象である負荷を意味し、例えば自動車に搭載されるエンジンスタータや車両走行駆動用モータのほか、例えばロボットや工作機械等で用いられる各種の電気的アクチュエータなどが挙げられるが、一般に、蓄電器からその性能を超えるような高負荷電流を引き出す可能性のあるものが該当する。また、「保護対象回路」とは、例えばリレー(コンタクタ)や車両搭載のECUなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、「蓄電器」としては、例えばバッテリやコンデンサなどが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、同質の機能を有していればよい。また、「電圧源」としては、例えばDC−DCコンバータや、AC−DCコンバータ、燃料電池などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、「瞬断」とは、一時的な電圧低下によって機能不全に陥ることを意味し、完全停止のみならず部分停止をも含む広い概念である。
本発明の第1の電源装置および第1の瞬断防止回路では、電圧検出部により検出された蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ると、接続器によって、蓄電器への電力供給用の電圧源が、保護対象回路に接続される。よって、この電圧源から保護対象回路へ電力供給がなされるようになり、電圧源と蓄電器との間の配線抵抗による電圧降下の分、保護対象回路への供給電圧が高くなる。
本発明の第1の電源装置および第1の瞬断防止回路では、上記電圧源が直流電圧変換回路を含んで構成されると共に、蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったときに直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるように制御する特性制御部をさらに備えるのが好ましい。このように構成した場合、出力電流値がより大電流側まで許容されるため、直流電圧変換回路から保護対象回路への供給電圧も、より高くなる。
なお、「過電流垂下特性を拡張」とは、直流電圧変換回路の動作点をより大電流側へシフトさせることを意味し、例えば、過電流垂下点をより大電流側にシフトさせることなどが挙げられる。
本発明の第1の自動車用電源装置は、エンジンスタータを備えた自動車に適用されるものであって、高圧バッテリと、この高圧バッテリの出力電圧を変換して出力する直流電圧変換回路と、高圧バッテリと直流電圧変換回路との間に接続されたリレーと、直流電圧変換回路から電力供給を受けると共に少なくともエンジンスタータおよびリレーに電力を供給する補機バッテリと、この補機バッテリの出力電圧を検出する電圧検出部と、上記エンジンスタータの始動の際に補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったとき、直流電圧変換回路の出力端をリレーに接続する接続器とを備えたものである。
本発明の第1の自動車用電源装置では、電圧検出部により検出された補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ると、接続器によって、補機バッテリへの電力供給用の直流電圧変換回路の出力端が、リレーに接続される。よって、この直流電圧変換回路から保護対象回路へ電力供給がなされるようになり、直流電圧変換回路と補機バッテリとの間の配線抵抗による電圧降下の分、リレーへの供給電圧が高くなる。
本発明の第1の自動車用電源装置では、上記補機バッテリから電力供給を受けると共に車両の各部を制御する制御部をさらに備え、エンジンスタータの始動の際に補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったとき、上記接続器が直流電圧変換回路の出力端を制御部にも接続するようにするのが好ましい。このように構成した場合、直流電圧変換回路から制御部へも電力供給がなされるようになり、直流電圧変換回路と補機バッテリとの間の配線抵抗による電圧降下の分、制御部への供給電圧が高くなる。
本発明の第1の自動車用電源装置では、上記補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったときに上記直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるように制御する特性制御部をさらに備えるのが好ましい。このように構成した場合、出力電流値がより大電流側まで許容されるため、直流電圧変換回路からリレーへの供給電圧も、より高くなる。
本発明の第2の電源装置は、駆動対象負荷および保護対象回路に電力を供給する蓄電器と、直流電圧変換回路を含んで構成されると共に前記蓄電器に電力を供給する電圧源と、上記蓄電器の出力電圧を検出する電圧検出部と、上記駆動対象負荷が過負荷状態になることにより蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったとき、直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるように制御する特性制御部とを備えたものである。
本発明の第2の瞬断防止回路は、駆動対象負荷および保護対象回路に電力を供給する蓄電器と、直流電圧変換回路を含んで構成されると共に蓄電器に電力を供給する電圧源とを備えた電源装置に適用されるものであって、上記蓄電器の出力電圧を検出する電圧検出部と、上記駆動対象負荷が過負荷状態になることにより蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったとき、直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるように制御する特性制御部とを備えたものである。
本発明の第2の電源装置および第2の瞬断防止回路では、電圧検出部により検出された蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ると、特性制御部によって、直流電圧変換回路の過電流垂下特性が拡張される。よって、出力電流値がより大電流側まで許容されるため、保護対象回路への供給電圧が高くなる。
本発明の第2の電源装置および第2の瞬断防止回路では、上記特性制御部が、過電流垂下特性の拡張期間を所定の時間内に制限するようにするのが好ましい。このように構成した場合、各素子に流れる過度の電流が最低限に抑えられるため、温度上昇などに起因する素子の劣化が回避される。
本発明の第2の自動車用電源装置は、エンジンスタータを備えた自動車に適用されるものであって、高圧バッテリと、この高圧バッテリの出力電圧を変換して出力する直流電圧変換回路と、高圧バッテリと直流電圧変換回路との間に接続されたリレーと、直流電圧変換回路から電力供給を受けると共に少なくともエンジンスタータおよびリレーに電力を供給する補機バッテリと、この補機バッテリの出力電圧を検出する電圧検出部と、上記エンジンスタータの始動の際に補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったとき、直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるように制御する特性制御部とを備えたものである。
本発明の第2の自動車用電源装置では、電圧検出部により検出された補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ると、特性制御部によって、直流電圧変換回路の過電流垂下特性が拡張される。よって、出力電流値がより大電流側まで許容されるため、リレーへの供給電圧が高くなる。
本発明の第1の電源装置または第1の瞬断防止回路によれば、電圧検出部により検出された蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったときに、接続器によって電圧源を保護対象回路に接続するようにしたので、蓄電器への電力供給用の電圧源を用いて保護対象回路への電力供給を行うことができると共に、この電圧源と蓄電器との間の配線抵抗による電圧降下の分、保護対象回路への供給電圧を高くすることができる。よって、回路構成を複雑化させることなく、蓄電器の電圧が低下しても正常な回路動作を維持することが可能となる。
特に、上記電圧源が直流電圧変換回路を含むようにすると共に、蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったときに特性制御部によって直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるようにした場合には、出力電流値をより大電流側まで許容させることができ、直流電圧変換回路から保護対象回路への供給電圧もより高くすることができる。よって、正常な回路動作の維持を、より容易に実現することが可能となる。
また、本発明の第1の自動車用電源装置によれば、電圧検出部により検出された補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったときに、接続器によって直流電圧変換回路の出力端をリレーに接続するようにしたので、補機バッテリへの電力供給用の直流電圧変換回路を用いてリレーへの電力供給を行うことができると共に、この直流電圧変換回路と蓄電器との間の配線抵抗による電圧降下の分、リレーへの供給電圧を高くすることができる。よって、回路構成を複雑化させることなく、蓄電器(補機バッテリ)の電圧が低下しても正常な回路動作を維持することが可能となる。
特に、上記補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったときに特性制御部によって直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるようにした場合には、出力電流値をより大電流側まで許容させることができ、直流電圧変換回路からリレーへの供給電圧もより高くすることができる。よって、正常な回路動作の維持を、より容易に実現することが可能となる。
また、本発明の第2の電源装置または第2の瞬断防止回路によれば、電圧検出部により検出された蓄電器の出力電圧が基準電圧を下回ったときに、特性制御部によって直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるようにしたので、出力電流値をより大電流側まで許容させることができ、蓄電器への電力供給用の電圧源を用いて保護対象回路への供給電圧を高くすることができる。よって、回路構成を複雑化させることなく、蓄電器の電圧が低下しても正常な回路動作を維持することが可能となる。
また、本発明の第2の自動車用電源装置によれば、電圧検出部により検出された補機バッテリの出力電圧が基準電圧を下回ったときに、特性制御部によって直流電圧変換回路の過電流垂下特性を拡張させるようにしたので、出力電流値をより大電流側まで許容させることができ、補機バッテリへの電力供給用の直流電圧変換回路を用いて保護対象回路への供給電圧を高くすることができる。よって、回路構成を複雑化させることなく、蓄電器(補機バッテリ)の電圧が低下しても正常な回路動作を維持することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の回路構成を表すものである。この電源装置は自動車に適用されるものであり、高圧バッテリ1と、リレー2と、DC−DCコンバータ3と、低圧バッテリ4と、エンジンスタータ5と、ECU6とを備えている。なお、この電源装置はハイブリッド車用に好適に用いられるものであるが、他にも例えば電気自動車やガソリン車などにも適用することが可能である。また、本発明の第1の実施の形態に係る自動車用電源装置および瞬断防止回路は、本実施の形態に係る電源装置よって具現化されるので、以下、併せて説明する。
高圧バッテリ1は、DC−DCコンバータ3へ直流入力電圧Vinを供給するものである。
リレー2は、高圧バッテリ1とDC−DCコンバータ3との間、具体的には高圧バッテリ1と入力端子T1との間の1次側低圧ラインL1L上に挿入配置され、このライン上に配置された接点21と、コイル22とから構成されている。また、コイル22の一端は接続点P4を介してDC−DCコンバータ3の出力端子T6およびECU6の出力端子T8に接続されている。このリレー2は、コイル22に流れる電流の大きさに応じて、高圧バッテリ1とDC−DCコンバータ3との間を接続または切断するものであり、具体的には、コイル22に流れる電流が所定の電流値よりも大きくなると接点21がオン状態となってこれらの間を接続する一方、コイル22に流れる電流がこの電流値よりも小さくなると、接点21がオフ状態となってこれらの間を切断するようになっている。なお、本実施の形態の電源装置では、正常状態においてリレー2はオン状態となり、高圧バッテリ1からDC−DCコンバータ3へ電力が供給されるようになっている。
DC−DCコンバータ3は、高圧バッテリ1から入力端子T1,T2を介して供給された直流入力電圧Vinを、異なる電圧の(この場合、より低圧の)直流出力電圧Voutへと変換し、負荷である低圧バッテリ4およびエンジンスタータ5を駆動するのものである。これらの負荷は、DC−DCコンバータ3の出力端子T3,T4からそれぞれ、出力ラインLOおよび接地ラインLGを介して接続されている。
また、このDC−DCコンバータ3は、低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧以下となったときに、その出力端子T6および接続点P4を介してリレー2のコイル22へ直流出力電圧Vout(出力電流Iout)を供給するようになっている。詳細は後述するが、このように構成されていることで、低圧バッテリ4の電圧が低下した場合でも、リレー2の正常動作(オン状態)を維持できるようになっている。
DC−DCコンバータ3は、上記した電圧変換動作を行う直流電圧変換回路31と、過電流保護回路32と、バッテリ電圧検出回路33と、接続器制御回路34と、接続器35とを有している。また、直流電圧変換回路31は、入力平滑コンデンサ310と、スイッチング回路311と、トランス312と、整流回路313と、平滑回路314と、入力電流検出回路315と、スイッチング制御回路316とを有している。
入力平滑コンデンサ310は、直流入力電圧Vinを平滑化するためのコンデンサである。
スイッチング回路311は、直流入力電圧Vinをほぼ矩形波状の単相交流電圧に変換する単相スイッチング回路であり、4つのスイッチング素子S1〜S4をフルブリッジ接続してなるフルブリッジ型のスイッチング回路である。具体的には、スイッチング素子S1,S2の一端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S3,S4の一端同士が互いに接続され、これらの接続点同士が互いにトランス313の1次側巻線CAを介して接続されている。また、スイッチング素子S1,S3の他端同士が1次側高圧ラインL1H上で互いに接続されると共に、スイッチング素子S2,S4の他端同士が1次側低圧ラインL1L上で互いに接続されている。これらスイッチング素子S1〜S4は、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)などの電界効果型トランジスタにより構成されている。
スイッチング回路311ではこのような構成により、後述するスイッチング制御回路316による制御によって、以下のようなスイッチング動作を行う。すなわち、スイッチング素子S1,S4がオン状態となることにより、1次側高圧ラインL1Hから順にスイッチング素子S1、1次側巻線CAおよびスイッチング素子S4を通って1次側低圧ラインL1Lに至る第1の電流経路に入力電流Ioutが流れる一方、スイッチング素子S2,S3がオン状態となることにより、1次側高圧ラインL1Hから順にスイッチング素子S3、1次側巻線CAおよびスイッチング素子S2を通って1次側低圧ラインL1Lに至る第2の電流経路に入力電流Ioutが流れるようになっている。
トランス312の1次側巻線CAは、一端がスイッチング素子S1,S2の一端同士と接続され、他端がスイッチング素子S3,S4の一端同士と接続されている。また、2次側巻線CB,CCの一端同士はセンタタップで互いに接続され、他端はそれぞれ、整流回路313における整流ダイオードD2,D1のカソードに接続されている。また、このセンタタップは出力ラインLOを介して出力端子T3に導かれている。つまり、後述する整流回路313はセンタタップ型のものである。このトランス312は、スイッチング回路311によって変換された交流電圧を降圧または昇圧(この場合、降圧)し、一対の2次側巻線CB,CCの一端同士から、互いに180度位相が異なる交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の降圧または昇圧の度合いは、1次側巻線CAと2次側巻線CB,CCとの巻数比によって定まる。
整流回路313は、一対の整流ダイオードD1,D2から構成される両波整流型のものである。整流ダイオードD1のカソードは、2次側巻線CCの他端に接続され、整流ダイオードD2のカソードは、2次側巻線CBの他端に接続されている。また、これら整流ダイオードD1,D1のアノード同士は接地ラインLG上で互いに接続されている。つまり、この整流回路313はアノードコモン接続の構造を有しており、トランス312の交流出力電圧の各半波期間を、それぞれ整流ダイオードD1,D2によって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
平滑回路314は、チョークコイル314Lと、出力平滑コンデンサ314Cとを含んで構成されている。チョークコイル314Lは出力ラインLOに挿入配置されており、一端はセンタタップに接続され、他端は出力平滑コンデンサ314Cの一端および出力ラインLOの出力端子T3と接続されている。出力平滑コンデンサ314Cは、出力ラインLOと接地ラインLGとの間に接続されている。また、接地ラインLGの端部には、出力端子T4が設けられている。平滑回路314はこのような構成により、整流回路313で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成するようになっている。
入力電流検出回路315は、カレントトランス315Tと、ダイオードD3,D4と、抵抗器R1,R2とから構成されている。カレントトランス315Tの1次側巻線CDは、1次側低圧ラインL1Lに挿入配置(具体的には、入力平滑コンデンサ310とスイッチング回路311との間に配置)されており、2次側巻線CEの一端は接地される一方、その他端はダイオードD3のカソードおよびダイオードD4のアノードに共通接続されている。また、抵抗器R1,R2の一端は接地されると共に、抵抗器R1の他端はダイオードD3のアノードに接続され、抵抗器R2の他端はダイオードD4のカソードに接続されている。なお、これらダイオーD4のカソードおよび抵抗器R2の他端は互いに、後述する過電流検出回路32内の比較器Comp1の非反転入力端子へ接続されている。入力電流検出回路315はこのような構成(半波整流回路の構成)により、カレントトランス315Tの1次側巻線CDを流れる、出力電流Ioutに比例した入力電流Iinを検出すると共に、この入力電流Iinに対応するパルス電圧を過電流検出回路32へ出力するようになっている。
なお、この入力電流検出回路315の配置は図1に示したものには限られず、例えば入力端子T1とスイッチング素子S1の他端との間の経路内(1次側高圧ラインL1L上)に挿入配置するようにしてもよく、スイッチング素子S1,S2の一端同士から1次側巻線CAを介してスイッチング素子S3,S4の一端同士に至る経路内に挿入配置するようにしてもよい。また、この入力電流検出回路315をトランス312の2次側、具体的には、接地ラインLGまたは出力ラインLOに挿入配置するようにしてもよく、その場合、入力電流検出回路315を抵抗または電流センサを用いて構成するようにしてもよい。
スイッチング制御回路316は、後述する過電流検出回路32からの出力信号およびバッテリ電圧検出回路33からの出力信号に基づいて、スイッチング回路311内のスイッチング素子S1〜S4の制御パルスを生成し、これらのスイッチング素子を駆動する回路である。具体的には、過電流検出回路32によって直流電圧変換回路31の出力電流Ioutが過電流状態にある(後述する過電流垂下点よりも電流が大きいとき)と判断された場合(出力信号が「H」レベルである場合)や、バッテリ電圧検出回路33によって低圧バッテリ4の電圧(直流電圧変換回路31の直流出力電圧Vout)が現在保持している電圧よりも高くなったと判断された場合(出力信号が「H」レベルである場合)には、スイッチング素子S1〜S4の制御パルスの幅を小さくする(デューティ比を小さくする)ようになっている。また、逆にバッテリ電圧検出回路33によって低圧バッテリ4の電圧が現在保持している電圧よりも低くなったと判断された場合(出力信号が「L」レベルである場合)には、スイッチング素子S1〜S4の制御パルスの幅を大きく(デューティ比を大きくする)ようになっている。このような構成によりスイッチング制御回路316は、直流電圧変換回路31の直流出力電圧Voutを一定に保つように制御している。
過電流検出回路32は、前述のように入力電圧検出回路315から出力される入力電流Iinに対応したパルス電圧の電位に基づいて、直流電圧変換回路31の出力電流Ioutが過電流状態にあるか否かを検出する回路であり、過電流状態か否かを規定する基準電位V1を出力する基準電源Ref1と、比較器Comp1とから構成されている。比較器Comp1の反転入力端子は基準電源Ref1の一端に接続され、非反転入力端子は入力電圧検出回路315に接続され、出力端子はスイッチング制御回路316の入力端子に接続されている。なお、基準電源Ref1の他端は接地されている。このような構成により過電流検出回路32では、比較器Comp1において、入力電流Iinに対応したパルス電圧の電位と基準電源Ref1による基準電位V1との電位の大小が比較され、前者のほうが大きい場合(過電流状態の場合)には「H」レベルの出力信号が出力される一方、後者のほうが大きい場合(過電流状態ではない場合)には「L」レベルの出力信号が出力されるようになっている。
バッテリ電圧検出回路33は、後述する低圧バッテリ4の電圧を、その一端である接続点P1から直接検出する回路であり、抵抗器331〜334と、基準電位V2を出力する基準電源Ref2と、差動増幅器(エラーアンプ)Amp1とから構成されている。抵抗器331の一端はDC−DCコンバータ3の入力端子T5を介して接続点P1に接続され、他端は接続点P2に接続されている。また、抵抗器332の一端も接続点P2に接続され、他端は接地されている。また、抵抗器333の一端は基準電源Ref2の一端に接続され、他端は差動増幅器Amp1の非反転入力端子に接続されている。また、抵抗器334の一端は接続点P2および差動増幅器Amp1の反転入力端子に接続され、他端は差動増幅器Amp1の出力端子、スイッチング制御回路316の入力端子および後述する接続器制御回路34における比較器Comp2の非反転入力端子に接続されている。なお、基準電源Ref2の他端は接地されている。このような構成によりバッテリ電圧検出回路33では、低圧バッテリ4の電圧が抵抗器331,332によって分圧される。そして差動増幅器Amp1によって、この分圧された電圧の電位と基準電位V2との電位差が増幅され、その増幅電圧がスイッチング制御回路316および接続器制御回路34へ出力されるようになっている。
接続器制御回路34は、上述したバッテリ電圧検出回路33から出力される低圧バッテリ4の電圧に対応した増幅電圧に基づいて、この低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧(基準電位V3)と比べて高いか否かを検出する回路であり、基準電位V3を出力する基準電源Ref3と、比較器Comp2と、反転出力器(インバータ)341とから構成されている。比較器Comp2の反転入力端子は基準電源Ref2に接続され、非反転入力端子はバッテリ電圧検出回路33における差動増幅器Amp1の出力端子に接続され、出力端子は反転出力器341の入力端子に接続されている。また、反転出力器341の出力端子は、後述する接続器35における反転出力器352の入力端子に接続され、基準電源Ref3の他端は接地されている。このような構成により接続器制御回路34では、比較器Comp2において、低圧バッテリ4の電圧に対応した増幅電圧の電位と基準電源Ref3による基準電位V3との電位の大小が比較され、前者のほうが大きい場合(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧よりも低い場合)には反転出力器341から「L」レベルの出力信号が出力される一方、後者のほうが大きい場合(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧よりも高い場合)には反転出力器341から「H」レベルの出力信号が出力されるようになっている。
接続器35は、直流電圧変換回路31の出力端(出力ラインLO上の接続点P3)とリレー2との間を接続または切断するための回路であり、反転出力器351と、NPNトランジスタ352と、抵抗器353,354と、Pチャネル型のMOS−FET355と、ダイオード356とから構成されている。反転出力器351の入力端子は接続機器34における反転出力器341の出力端子に接続され、出力端子はNPNトランジスタ352のベースに接続されている。また、NPNトランジスタ352のエミッタは接地され、コレクタは抵抗器353の一端に接続されている。また、抵抗器353の他端は抵抗器354の一端およびPチャネルMOS−FET355のゲートに接続されている。また、PチャネルMOS−FETのソースは抵抗器354の他端および接続点P3に接続され、ドレインはダイオード356のアノードに接続され、ダイオード356のカソードは出力端子T6を介して接続点P4に接続されている。このような構成により接続器35では、接続器制御回路34から「L」レベルの出力信号が出力された場合(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧よりも低い場合)には、NPNトランジスタ352がオン状態となるため、PチャネルMOS−FET355のゲートにも「L」レベルの信号が印加されてオン状態となり、接続点P3と接続点P4との間が接続されるようになっている。また、逆に接続器制御回路34から「H」レベルの出力信号が出力された場合(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧よりも高い場合)には、NPNトランジスタ352がオフ状態となるため、PチャネルMOS−FET355もオフ状態となり、接続点P3と接続点P4との間が切断されるようになっている。
次に、低圧バッテリ4は、DC−DCコンバータ3からの直流出力電圧Voutに基づいて電荷を蓄積するものであり、一端は接続点P1に接続され、他端は設置されている。なお、この接続点P1とDC−DCコンバータ3の出力端子T3との間の配線には、配線抵抗Rcableが存在している。
エンジンスタータ5は、自動車のエンジンを始動させるためのものであり、スイッチ素子S5を介して接続点P1に接続されている。
ECU6は、車両の各部を制御する部分であり、MCU(Micro Controller Unit)61と、PチャネルMOS−FET62と、NPNトランジスタ63と、ダイオード64と、抵抗器65,66とから構成されている。MCU61には、入力端子T7および接続点P1を介して低圧バッテリ4の電圧およびDC−DCコンバータ3からの直流出力電圧Voutが供給されるようになっている。また、このMCU61からの制御信号により、出力端子T9を介してスイッチ素子S5のオンオフ状態が制御されると共に、NPNトランジスタ63のオン・オフ状態も制御される。このような構成によりECU6では、通常は、スイッチ素子S5がオフ状態となるように制御すると共にNPNトランジスタ63およびPチャネルMOS−FET62がオン状態となるように制御し、接続点P1からECU6を介して接続点P4へ至る経路が形成されるようになっている。
ここで、リレー2およびECU6が本発明における「保護対象回路」の一具体例に対応し、エンジンスタータ5が本発明における「駆動対象負荷」の一具体例に対応し、低圧バッテリ4が本発明における「蓄電器」および「補機バッテリ」の一具体例に対応する。また、バッテリ電圧検出回路33が本発明における「電圧検出回路」の一具体例に対応する。また、バッテリ電圧検出回路33、接続機制御回路34および接続器33が、本発明における「瞬断防止回路」の一具体例に対応する。
次に、図1および図2を参照して、以上のような構成の電源装置の動作を、本発明の特徴部分であるDC−DCコンバータ3の動作を中心にして詳細に説明する。
ここで図2は、本実施の形態の電源装置における電圧と出力電流Ioutとの関係を表したものである。この図において、DC1は直流電圧変換回路31の過電流垂下特性を、符号P11は過電流垂下点を、G4は低圧バッテリ4の電圧を、G41,G41は直流電圧変換回路31の負荷線を、電圧Vtはリレー4における正常動作(オン状態)を維持可能な下限電圧を、電圧Vdは負荷抵抗Rcableによる電圧降下を、それぞれ表している。
まず、この電源装置の基本動作(低圧バッテリ4の電圧が基準電圧Vtよりも低下していない状態の動作)について説明する。
高圧バッテリ1からの供給電力は、直流入力電圧Vinとして、入力端子T1,T2からDC−DCコンバータへ入力する。そしてこの直流入力電圧Vinは、DC−DCコンバータ3によって異なる電圧に電圧変換され、直流出力電圧Voutとして出力端子T3,T4から出力される。
具体的には、このDC−DCコンバータ3では、以下のような電圧変換動作がなされる。
まず、スイッチング回路311では、スイッチング制御回路316からの制御パルスに応じて、スイッチング素子S1,S4がオン状態でスイッチング素子S2,S3がオフ状態の期間と、スイッチング素子S2,S3がオン状態でスイッチング素子S1,S4がオフ状態の期間とが交互に切り換えられる。このようなスイッチング動作により、スイッチング回路311では、直流入力電圧Vinに基づいて交流のパルス電圧が生成され、トランス312の1次側巻線CAへ供給される。トランス312では、このパルス電圧が1次側と2次側の巻数比に応じて変圧され、2次側巻線CB,CCから、変圧されたパルス電圧が出力される。そしてこの変圧されたパルス電圧は、整流回路313の整流ダイオードD1,D2により整流され、平滑回路314により、その整流された電圧波形が平滑化される。
このようにして、出力電流Ioutおよび直流出力電圧Voutが生成され、負荷抵抗Rcableを介して低圧バッテリ4およびECU6へ供給される。なお、エンジンスタータ5の動作時には、ECU6によってスイッチ素子S5がオン状態に設定され、低圧バッテリ4およびDC−DCコンバータ3から電力が供給されることにより、エンジンスタータ5が動作するようになっている。
ここで、このときDC−DCコンバータ3では、以下のような過電流検出動作およびバッテリ電圧検出動作もなされている。すなわち、過電流検出動作については、入力電流検出回路315によって入力電流Iin(間接的に出力電流Iout)が検出され、この入力電流Iinに対応した電圧が過電流検出回路32へ出力される。そしてこの過電流検出回路32では、過電流状態であると判断された場合には「H」レベルの出力信号が出力され、過電流状態ではないと判断された場合には「L」レベルの出力信号が出力される。また、バッテリ電圧検出動作については、バッテリ電圧検出回路33によって低圧バッテリ4の電圧が接続点P1を介して直接検出され、この電圧に対応した増幅電圧が出力される。
そしてスイッチング制御回路316では、過電流検出回路32からの出力信号が「H」レベルである場合や、バッテリ電圧検出回路33によって低圧バッテリ4の電圧(直流電圧変換回路31の直流出力電圧Vout)が現在保持している電圧よりも高くなったと判断された場合には、スイッチング素子S1〜S4の制御パルスの幅を小さくする(デューティ比を小さくする)一方、逆にバッテリ電圧検出回路33によって低圧バッテリ4の電圧が現在保持している電圧よりも低くなったと判断された場合には、スイッチング素子S1〜S4の制御パルスの幅を大きく(デューティ比を大きくする)ようにし、直流電圧変換回路31の直流出力電圧Voutを一定に保つように制御する。
一方、接続器制御回路34では、バッテリ電圧検出回路33から出力される低圧バッテリ4の電圧に対応した増幅電圧に基づいて、低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧よりも高い場合には、「H」レベルの出力信号が出力されて接続器35がオフ状態となるように制御がなされ、逆に低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧よりも低い場合には、「L」レベルの出力信号が出力されて接続器35がオン状態となるように制御がなされる。
ここでは、前述のように低圧バッテリ4の電圧が基準電圧Vtよりも低下していない場合(図2に示したバッテリ電圧G4を示している状態)なので、接続器35はオフ状態となり、その結果、低圧バッテリ4に蓄積された電荷がECU6を介してリレー2へ供給される。そしてこの低圧バッテリ4の電圧は上記のようにリレー2の正常動作を維持可能な電位にあることから、リレー2はオン状態を維持し、DC−DCコンバータ3の動作も維持される。
ここで、低圧バッテリ4の電圧が基準電圧Vt(リレー2の正常動作を確保可能な下限電圧)よりも低くなったとき(例えば、図2中の動作点P12にあるとき)には、以下のような動作がなされる。
具体的には、例えばエンジンスタータ5の始動時などには、エンジンスタータ5には数百アンペア程度の大電流が流れるため、直流電圧変換回路31の出力電流Ioutが過電流垂下点P11よりも大きくなり、動作点P12に示した過電流垂下状態となる。
すると、この動作状態P12では、リレー2の正常動作を維持可能な下限電圧Vtよりも低圧バッテリ4の電圧が低くなるため、そのままではリレー2のオン状態が維持できなくなり、DC−DCコンバータ3の動作も停止してしまうこととなる。
したがって、本実施の形態の電源装置では、接続器制御回路34によってバッテリ電圧検出回路33から出力される低圧バッテリ4の電圧に対応した増幅電圧に基づいて、低圧バッテリ4の電圧が基準電圧Vtよりも低いと判断された場合には、接続器35がオン状態となるように制御がなされ、その結果、DC−DCコンバータ3内の直流電圧変換回路31の出力端(接続点P3)が、接続点P4を介してリレー2と接続される。よって、この直流電圧変換回路31からリレー2へ電力供給がなされるようになり、直流電圧変換回路31と低圧バッテリ4との間の配線抵抗Rcableによる電圧降下の分、リレー2への供給電圧が高くなる。すなわち、例えば図2において、動作点がP12からP13へと移動し、その結果、リレー2の正常動作を維持可能な電圧Vtよりも高くなることから、リレー2がオン状態を維持できるようになり、DC−DCコンバータ3の動作も維持される。
以上のように、本実施の形態では、バッテリ電圧検出回路33によって検出された低圧バッテリ4の出力電圧が基準電圧Vtを下回ったときに、接続器35によって直流電圧変換回路31の出力端P3をリレー2に接続するようにしたので、低圧バッテリ4への電力供給用の直流電圧変換回路31を用いてリレー2への電力供給を行うことができると共に、この直流電圧変換回路31と低圧バッテリ4との間の配線抵抗Rcableによる電圧降下の分、リレー2への供給電圧を高くすることができる。よって、回路構成を複雑化させることなく、低圧バッテリ4の電圧が低下してもリレー2の正常動作を維持することが可能となる。
また、リレー2の正常動作(オン状態)を維持することができるので、DC−DCコンバータ3の動作が停止してしまうのを回避することができる。
なお、この電源装置では、このようにエンジンスタータ5の始動時などに低圧バッテリ4の電圧が下回ったとき、直流電圧変換回路31の出力端P3を、ECU6にも接続するようにするのが望ましい。そのように構成した場合、低圧バッテリ4から電力供給を受けるECU6においても、低圧バッテリ4の電圧低下による動作停止を回避することができ、それまでの記録情報の消失を防ぐことが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3は、本実施の形態に係る電源装置の回路構成を表すものである。この図において、図1に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。この電源装置は、第1の実施の形態の電源装置において、過電流検出回路32の代わりに過電流検出回路32Aを設けると共に、接続器35を省いた構成となっている。なお、この他に、接続器制御回路34における反転出力器341も省かれた構成となっている。
過電流検出回路32Aは、過電流検出回路32における基準電源Ref1の代わりに過電流垂下特性制御回路322を有すると共に、タイマ回路321を新たに有している。なお、これら過電流垂下特性制御部322およびタイマ回路321は、本発明における特性制御部の一具体例に対応する。
タイマ回路321は、接続器制御回路34からの出力信号を反転出力すると共に、「L」レベルの出力期間(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧Vtよりも低い状態の期間)を所定の時間内に制限する回路である。このような構成によりタイマ回路321では、下記の過電流垂下特性制御回路322による過電流垂下特性の拡張期間を、所定の時間内に制限するようになっている。
過電流垂下特性制御回路322は、接続器制御回路321によって低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧Vtよりも低くなったと判断された場合に、直流電圧変換回路31の過電流垂下特性を、より大電流側へとシフトさせて拡張するように制御する回路であり、NPNトランジスタ32Tと、抵抗器32R1〜32R3と、基準電源Ref1とを有している。NPNトランジスタ32Tのベースはタイマ回路321の出力端子に接続され、エミッタは接地され、コレクタは抵抗器32R3の一端に接続されている。また、抵抗器32R1の一端は基準電源Ref1に接続され、他端は抵抗器32R2の一端に接続されている。また、抵抗器32R2の他端は抵抗器32R3の一端およびNPNトランジスタ32Tのコレクタに接続され、抵抗器32R3の他端および基準電源Ref1の他端は接地されている。
このような構成により過電流垂下特性制御回路322では、タイマ回路321からの出力信号が「H」レベルの場合(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧Vtよりも高い場合)には、NPNトランジスタ32Tがオン状態になることにより、比較器Comp1の反転入力端子への供給電位が基準電位V1の1/2となる一方、逆にタイマ回路321からの出力信号が「L」レベルの場合(低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧Vtよりも低い場合)には、NPNトランジスタ32Tがオフ状態になることにより、比較器Comp1の反転入力端子への供給電位が基準電位V1の2/3となるようになっている。すなわち、低圧バッテリ4の電圧が所定の基準電圧Vtよりも低い場合には、高い場合と比べて比較器Comp1における基準電位(過電流垂下点を規定する電位)がより高くなり、その結果、例えば図4に示した電流電圧特性のように、直流電圧変換回路31の過電流垂下特性がDC1からDC2へとより大電流側へシフトし、過電流垂下点もP11からP12へと大電流側へシフトするようになっている。
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態の電源装置の動作について説明する。なお、第1の実施の形態の電源装置の動作と同様の動作については、適宜説明を省略する。
この電源装置では、低圧バッテリ4の電圧が基準電圧Vt(リレー2の正常動作を確保可能な電圧)よりも高いときには、上記したように過電流垂下特性制御回路322によって、図4に示したような過電流垂下特性DC1を示すようになっている。
一方、低圧バッテリ4の電圧が基準電圧Vt(リレー2の正常動作を確保可能な電圧)よりも低くなったとき(例えば、図4中の動作点P12にあるとき)には、上記したように、過電流垂下特性制御回路322によって、図4に示したような過電流垂下特性DC2を示すようになり、過電流垂下特性がより大電流側へとシフトする。よって、出力電流Ioutの値がより大電流側まで許容されるため、負荷線G41上における動作点もP12からP14へとより大電流側へシフトし、リレー2への供給電圧も高くなる。その結果、リレー2の正常動作を維持可能な電圧Vtよりも高くなり、リレー2がオン状態を維持できるようになり、DC−DCコンバータ3の動作も維持される。
以上のように、本実施の形態では、バッテリ電圧検出回路33によって検出された低圧バッテリ4の出力電圧が基準電圧Vtを下回ったときに、過電流垂下特性制御回路322によって直流電圧変換回路31の過電流垂下特性をより大電流側へと拡張させるようにしたので、出力電流Ioutの値をより大電流側まで許容させることができ、低圧バッテリ4への電力供給用の直流電圧変換回路31を用いてリレー2への供給電圧を高くすることができる。よって、第1の実施の形態の電源装置と同様に、回路構成を複雑化させることなく、蓄電器の電圧が低下しても正常な回路動作を維持することが可能となる。
また、このとき低圧バッテリ4の電圧が直接上昇することから、ECU6への供給電圧もより高くすることができる。よって、そのままの構成で低圧バッテリ4の電圧低下による動作停止を回避することができ、それまでの記録情報の消失を防ぐことが可能となる。
さらに、タイマ回路321によって過電流垂下特性制御回路322による過電流垂下特性の拡張期間を所定の時間内に制限するようにしたので、各素子に流れる過度の電流を最低限に抑えることができ、温度上昇などに起因する素子の劣化を回避することが可能となる。
以上、第1および第2の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、第1の実施の形態において直流電圧変換回路31の出力端P3をリレー2に接続する場合を、第2の実施の形態において直流電圧変換回路31の過電流垂下特性を拡張させる場合をそれぞれ説明したが、例えば図5に示したように、これらの機能を兼ね備えた構成としてもよい。このように構成した場合、例えば図6に示した電流電圧特性のように、バッテリ4の出力電圧が基準電圧Vtを下回ったときに動作点をP12からP14へとシフトさせることができ、直流電圧変換回路31からリレー2への供給電圧をさらに高くすることができる。よって、上記実施の形態と比べ、リレー2の正常動作の維持をより容易に実現することが可能となる。
また、上記実施の形態では、バッテリ電圧検出回路33によって低圧バッテリ4の電圧を接続点P1から直接検出する場合について説明したが、例えば図1,図3,図5にそれぞれ対応する回路構成である図7〜図9のように、バッテリ電圧検出回路33の代わりに出力ラインLO上の接続点P5から間接的に低圧バッテリ4の電圧を検出するバッテリ電圧検出回路33Aを設けると共に、このバッテリ電圧検出回路33A内に、接続点P6の電位を用いて低圧バッテリ4の電圧が一定となるように補正する電圧補正回路335を設けるようにしてもよい。このように構成した場合も、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、上記実施の形態では、自動車に適用される電源装置の場合で説明したが、本発明の電源装置は、例えば図10および図11にそれぞれ示したように、これ以外の用途にも適用することができる。具体的には、配線抵抗Rcableおよび接続点P1にモータ制御部7A,7Bをそれぞれ設けると共に、これらモータ制御部7A,7Bによってモータ51の動作開始もしくは動作停止、またはその回転方向(正転または反転)を制御するようにする。なお、モータ制御部7Aは、MCU71とダイオード72,73とから構成され、モータ51の動作開始・動作停止を制御するものである。一方、モータ制御部7Bは、MCU71と、ダイオード75,76と、ドライバ74と、4つのスイッチング素子S11〜S14を含むフルブリッジ型のスイッチング回路77とから構成され、モータ51の回転方向を制御するものである。また、モータ51は、例えばロボットや工作機械等で用いられる各種の電気的アクチュエータなどを駆動する役割を果たす。このような構成の電源装置では、モータ51に高負荷がかかるなどしてコンデンサ41の電圧がMCU71の正常動作を維持可能な電圧よりも低下した場合であっても、上記実施の形態と同様の作用により、MCU71の正常動作を維持することができる。よって、MCU71の記憶情報等が消失することを回避することができ、モータ51の動作状態(動作開始・動作停止、回転方向)を確実に把握できることから、急激な動作開始や反転動作等によるモータ51の破壊などを防ぐことが可能となる。なお、本発明はその他、例えばAC−DCコンバータなどにも適用可能である。
1…高圧バッテリ、2…リレー、21…接点、22…コイル、3…DC−DCコンバータ、31…直流電圧変換回路、310…入力平滑コンデンサ、311,77…スイッチング回路、312…トランス、313…整流回路、314…平滑回路、315…入力電流検出回路、315T…カレントトランス、316…スイッチング制御回路、32,32A…過電流検出回路、321…タイマ回路、322…過電流垂下特性制御回路、33,33A…バッテリ電流検出回路、335…電圧補正回路、34…接続器制御回路、35…接続器、4…低圧バッテリ、4A…コンデンサ、5…エンジンスタータ、51…モータ、6…ECU、61,71…MCU、7A,7B…モータ制御部、74…ドライバ、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、P1〜P10…接続点、Vin…直流入力電圧、Iin…入力電流、Vout…直流出力電圧、Iout…出力電流、S1〜S4,S11〜S14…スイッチング素子、S5…スイッチ素子、Rcable…配線抵抗、Comp1,Comp2…比較器、Amp1…差動増幅器(エラーアンプ)、Amp2…増幅器、Ref1〜Ref3…基準電源、V1〜V3…基準電位。