JP2006275007A - 酸素吸蔵能算出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 触媒全体の酸素吸蔵能を精度良く算出するとともに、触媒の酸素吸蔵能の短時間で算出する。
【解決手段】 酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きくなった時刻t1に、排気ガスの目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値afL1に設定する。第1目標値afL1に設定してから触媒に吸蔵される過剰酸素量を演算する。その演算結果を吸蔵酸素カウンタosariseとして読み込む。この吸蔵酸素カウンタosariseが所定値に達した時刻t2に、目標空燃比を第1目標値afL1よりも理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値afL2に変化速度dafclで徐々に小さくする。酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも小さくなった時刻t3における吸蔵酸素カウンタosariseを、触媒の吸蔵酸素量とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出装置に関する。
内燃機関の排気通路に設けられた触媒の酸素吸蔵能(OSC:Oxygen Storage Capacity)を算出し、算出した酸素吸蔵能に基づいて触媒の劣化判定を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置によれば、空燃比の制御目標値(以下「目標空燃比」という。)を燃料リッチ側(又は燃料リーン側)から燃料リーン側(又は燃料リッチ側)に変化させてから触媒下流の酸素センサの出力が反転するまでの時間に触媒に流入する排気ガスの酸素過剰量又は酸素不足量(以下「酸素過不足量」という。)を算出することで、触媒の酸素吸蔵能が算出される。
特開平6−159048号公報 特開平6−129285号公報
ところで、触媒の劣化判定を早期に終了させるためには、酸素吸蔵能の算出時間を短縮することが望ましい。酸素吸蔵能の算出時間を短縮するためには、触媒の酸素吸蔵反応又は酸素放出反応(以下「酸素吸放出反応」という。)の反応速度を高める必要がある。触媒の酸素吸放出反応の反応速度を高める方法として、上記の目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい空燃比に設定することが考えられる。
しかしながら、このように目標空燃比を設定した場合には、触媒の後部において酸素吸放出反応が進行する前に、酸素センサの出力が反転するおそれがある。この場合、触媒全体の酸素吸蔵能を算出することができず、触媒の劣化判定を精度良く行うことができない。
一方、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい空燃比に設定した場合には、触媒の酸素吸放出反応の反応速度が低下してしまう。このため、触媒吸蔵能の算出時間が大幅に長くなってしまう。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、触媒の劣化判定を高い精度で行うとともに、触媒の劣化判定をより短時間で行うことを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気通路に設けられた触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出装置であって、
前記触媒の下流に設けられ、排気ガスの空燃比に応じて出力値を反転させる排気ガスセンサと、
排気ガスの目標空燃比を理論空燃比に対して燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定する空燃比制御手段と、
前記目標空燃比が燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定されてから前記排気ガスセンサの出力値が反転するまでの時間に、前記触媒に流入する排気ガスの酸素過不足量を算出する酸素過不足量算出手段と、
算出された酸素過不足量に基づいて前記触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出手段とを備え、
前記空燃比制御手段は、前記排気ガスセンサの出力値が反転した直後に前記目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値に設定し、該第1目標値に設定してから所定時間経過後に該目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値に変更するものであることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記酸素吸蔵能算出手段により前回算出された酸素吸蔵能を記憶する酸素吸蔵能記憶手段を更に備え、
前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値から前記第2目標値までの変化速度を変更するものであることを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値を維持する時間を変更するものであることを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、前記空燃比制御手段は、前記酸素過不足量算出手段により算出された酸素過不足量が前回算出された酸素吸蔵能の30%から70%までの任意の値に達するときまで、前記第1目標値に維持するものであることを特徴とする。
また、第5の発明は、第2から第4の何れかの発明において、前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能が記憶されていない場合には、前記第1目標値から前記第2目標値に瞬時に変更するものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、酸素センサの出力値が反転した直後に、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値に設定することにより、触媒での酸素吸放出反応の反応速度を高めることができ、酸素吸蔵能の算出をより短時間で行うことができる。さらに、所定時間経過後に目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値に変更することにより、触媒の後端まで酸素吸放出反応を進行させることができ、触媒全体の酸素吸蔵能を算出することができる。従って、触媒の酸素吸蔵能の算出を高い精度で行うことができるとともに、触媒の酸素吸蔵能を短時間で算出することができる。
第2の発明によれば、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて第1目標値から第2目標値への変化速度を変更することにより、第1目標値から第2目標値への変更を精度良く行うことができる。前回算出された酸素吸蔵能が大きい場合には、目標空燃比の変化速度を小さくすることにより、目標空燃比の変化時における触媒での酸素吸放出反応の反応速度をより高く保つことができる。また、前回算出された酸素吸蔵能が小さい場合には、目標空燃比の変化速度を大きくすることにより、触媒の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることができる。
第3の発明によれば、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて第1目標値を維持する時間を変更することにより、第1目標値から第2目標値への変更を的確に行うことができる。前回算出された酸素吸蔵能が大きい場合には、第1目標値の維持時間を長くすることにより、触媒での酸素吸放出反応の反応速度が高い状態をより長く保つことができる。また、前回算出された酸素吸蔵能が小さい場合には、第1目標値の維持時間を短くすることにより、触媒の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることができる。
第4の発明によれば、触媒の中央近傍まで酸素吸放出反応が進行したと推定される時点で、第1目標値から第2目標値に変更することができる。よって、目標空燃比の変更を最適な時期に行うことができる。
第5の発明によれば、前回算出された酸素吸蔵能が記憶されていない場合には、第1目標値から第2目標値に瞬時に変更することにより、触媒の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることを優先させることができる。よって、触媒の酸素吸蔵能が小さい場合であっても、触媒の酸素吸蔵能を精度良く算出することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態による内燃機関システムの構成を示す概略図である。本実施の形態で説明する内燃機関システムは複数の気筒を有しているが、図1にはそのうちの一気筒のみを示している。
図1に示すように、本実施の形態のシステムは、内部にピストン2を有するシリンダブロック4を備えている。シリンダブロック4には水温センサ6が設けられている。水温センサ6は、冷却水温を検出するように構成されている。
シリンダブロック4の上部にはシリンダヘッド8が組み付けられている。ピストン2上面からシリンダヘッド8までの空間は燃焼室10を形成している。また、シリンダヘッド8には、燃焼室10内の混合気に点火する点火プラグ12が設けられている。
また、シリンダヘッド8は、燃焼室10と連通する吸気ポート14を備えている。吸気ポート14と燃焼室10との接続部には吸気バルブ16が設けられている。吸気ポート14には吸気通路20が接続されている。吸気ポート14近傍には、該近傍に燃料を噴射するインジェクタ18が設けられている。吸気通路20の上流端にはエアクリーナ22が設けられている。吸気通路20におけるエアクリーナ22の下流には、エアフロメータ24が設けられている。エアフロメータ24は吸入空気量Gaを検出するように構成されている。エアフロメータ24の下流にはスロットルバルブ26が設けられている。スロットルバルブ26の近傍には、スロットルセンサ27が設けられている。スロットルセンサ27は、スロットル開度TAを検出するように構成されている。スロットルバルブ26の下流にはサージタンク28が設けられている。
また、シリンダヘッド8は、燃焼室10と連通する排気ポート30を備えている。排気ポート30と燃焼室10との接続部には排気バルブ32が設けられている。排気ポート30には排気通路34が接続されている。排気通路34には、触媒38が設けられている。触媒38は、燃焼室10から排出される排気ガスを浄化するように構成されている。排気通路34における触媒38の上流には、空燃比センサ36が設けられている。空燃比センサ36は、排気空燃比を検出するように構成されている。触媒38の下流には、酸素センサ40が設けられている。酸素センサ40は、空燃比がリッチであるかリーンであるかに応じて出力信号を反転するように構成されている。触媒38には、該触媒38の温度を検出する触媒温度センサ42が設けられている。
また、本実施の形態のシステムは、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50の出力側には、点火プラグ12、インジェクタ18、スロットルバルブ26等が接続されている。ECU50の入力側には、水温センサ6、エアフロメータ24、スロットルセンサ27、空燃比センサ36、酸素センサ40、触媒温度センサ42のほか、クランク角センサ44が接続されている。クランク角センサ44は、クランク軸46の回転角度を検出するように構成されている。ECU50は、各センサの出力に基づいて、燃料噴射制御や点火時期制御のような内燃機関全体の制御を実行する。
また、ECU50は、水温センサ6の出力に基づいて、内燃機関の暖機が完了しているか否かを判別する。また、ECU50は、触媒温度センサ42の出力に基づいて、触媒38の暖機が完了しているか否かを判別する。
また、ECU50は、クランク角センサ44の出力に基づいて、機関回転数NEを算出する。
また、ECU50は、定常運転か否かを判定する。定常運転か否かは、例えば、吸入空気量Ga、機関回転数NE、スロットル開度TA、アクセル開度等のパラメータにより、判定することができる。
また、ECU50は、以下に説明するように、触媒38の酸素吸蔵能(OSC)を算出し、該酸素吸蔵能に基づいて触媒38の劣化判定を行う。
[実施の形態の特徴]
次に、触媒の酸素吸蔵能の算出について説明する。
既述した従来の装置によれば、目標空燃比を燃料リッチ側(又は燃料リーン側)から燃料リーン側(又は燃料リッチ側)に変化させてから酸素センサ出力が反転するまでの時間に、触媒に流入する排気ガスの酸素過不足量を演算することで、触媒の酸素吸蔵能を算出することができる。すなわち、公知のアクティブ制御を実行することにより、触媒の酸素吸蔵能を求めることができる。
この酸素吸蔵能の算出時間をできるだけ短縮して、通常の運転に早期に復帰することが望ましい。そのためには、触媒担体(例えば、セリア)の単位時間当たりの吸蔵酸素量又は放出酸素量を多くすることにより、触媒の酸素吸放出反応の反応速度を高める必要がある。図2は、目標空燃比と、単位時間当たりの吸蔵酸素量又は放出酸素量との関係を示す図である。図2に示すように、目標空燃比が理論空燃比(S)からの乖離が大きい値(例えば、酸素放出時の値R1、酸素吸蔵時の値L1)に設定された場合、理論空燃比からの乖離が小さい値(例えば、酸素放出時の値R2、酸素吸蔵時の値L2)に設定された場合に比べて、単位時間当たりの放出酸素量又は吸蔵酸素量が多くなる。よって、アクティブ制御時の目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい値に設定することにより、触媒の酸素吸放出反応の反応速度を高めることができる。その結果、酸素吸蔵能の算出時間を短縮することができる。
しかし、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい値に設定した場合には、触媒の後部において酸素吸放出反応が十分進行する前に、酸素センサ出力が反転する傾向がある。この傾向について、図3を参照して説明する。図3は、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい値に設定した場合の動作傾向を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、目標空燃比の設定状態を示す図であり、図3(B)は、酸素センサ出力の変化を示す図である。図3(C),(D),(E)は、それぞれ触媒の前部,中央,後部の温度変化を示す図である。
図3(A)〜図3(E)において、目標空燃比を燃料リッチ側の値14.4から燃料リーン側の値14.8に変化させた場合の波形を符号Aを付して示し、燃料リッチ側の値14.4から燃料リーン側の値15.0に変化させた場合の波形を符号Bを付して示す。さらに、これら2つの波形を酸素センサ出力の反転時刻trで揃えて示す。
図3(A)に示すように目標空燃比を燃料リッチ側の値14.4から燃料リーン側の値14.8,15.0に変化させると、触媒において酸素吸蔵反応が進行する。触媒における酸素吸蔵反応は発熱反応である。このため、触媒の前部から後部に酸素吸蔵反応が進行するにつれて、先ず、図3(C)に示すように触媒前部で温度上昇ピーク(以下「ピーク」と略する。)P1,P2が生じ、次に、図3(D)に示すように触媒中央でピークP3,P4が生じ、その後、図3(E)に示すように触媒後部でピークP5,P6が生じる。よって、これらのピークP1〜P6に基づいて、触媒のどの部分まで酸素吸蔵反応が進行しているかを把握することができる。
図3(E)に示すように、酸素センサ出力の反転時刻trにおいて、目標空燃比を値14.8に変化させた場合の波形Aと、値15.0に変化させた場合の波形Bの両方とも、ピークP5,P6が生じていない。これより、何れの場合も、酸素センサ出力の反転時刻trにおいて触媒後部での酸素吸蔵反応の進行が不十分であることが分かる。
また、該反転時刻trにおいて、波形Aで示される目標空燃比を値14.8に変化させた場合には僅かに温度が上昇しているのに対して、波形Bで示される値15.0に変化させた場合には全く温度が上昇していない。よって、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい値に設定した場合、乖離が大きい値に設定した場合に比べて、酸素センサ出力の反転時に触媒のより後部まで酸素吸蔵反応が進行することが分かる。
そこで、本実施の形態では、以下に詳述するように、酸素センサの出力反転直後に、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値に設定する。これにより、触媒における酸素吸放出反応の反応速度を高めることができ、酸素吸蔵能の算出時間をより短縮することができる。さらに、本実施の形態では、触媒における酸素吸放出反応がある程度まで進行(例えば、触媒の中央近傍まで進行)した時点で、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値に変更する。これにより、触媒の後端まで酸素吸放出反応を進行させることができ、より多くの部分の酸素吸蔵能を算出できる。従って、本実施の形態によれば、触媒の酸素吸蔵能を精度良く算出することができると共に、該酸素吸蔵能を短時間で算出することができる。
図4は、本実施の形態におけるアクティブ制御を説明するためのタイミングチャートである。具体的には、図4(A)は、目標空燃比の変化を示す図であり、図4(B)は、吸蔵酸素カウンタの変化を示す図である。図4(C)は、放出酸素カウンタの変化を示す図であり、図4(D)は、酸素センサ出力の変化を示す図である。
アクティブ制御に際し、先ず、触媒38に既に貯蔵されている酸素を全て放出させるため、目標空燃比が燃料リッチ側の第1目標値afR1に設定される。これにより、燃料リッチな排気ガスが触媒38に流入する。触媒38に吸蔵された酸素が存在する間は、触媒38から酸素が放出されるため、触媒38を流通した排気ガスの空燃比はストイキ近傍に維持される。酸素が放出されると、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側になる。これにより、図4(D)に示すように、時刻t1において酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きくなる。
この時刻t1において、図4(A)に示すように、目標空燃比がリーン側の第1目標値afL1に設定される。これにより、燃料リーンな排気ガスが触媒38に流入し、この排気ガス中の過剰な酸素が触媒38に吸蔵される。第1目標値afL1は、理論空燃比からの乖離が大きい値であるため、触媒38においてその前部から酸素吸蔵反応が高い反応速度で進行し始める。ECU50は、触媒38に流入する排気ガス中の過剰酸素量を演算する。演算された過剰酸素量は、ECU50により、吸蔵酸素カウンタosariseとして読み込まれる。この吸蔵酸素カウンタosariseは、図4(B)に示すように、触媒38における酸素吸蔵反応の進行に伴って上昇する。
時刻t2において吸蔵酸素カウンタosariseが所定値に達すると、図4(A)に示すように、目標空燃比が第1目標値afL1から第2目標値afL2まで変化速度dafclで徐々に小さくされる。この所定値は、前回算出された酸素吸蔵能Cmax0と補正係数Kriseの積で決まる値である。この補正係数Kriseは、0.3以上0.7以下の値が好適であり、酸素吸蔵能の算出精度の観点からは0.3以上0.5以下の値がより好適である。このように所定値を設定しておくことにより、触媒38の中央近傍まで酸素吸蔵反応が進行したと推定される時点で、燃料リーン側の目標空燃比が変更される。第2目標値afL2は、第1目標値afL1に比べて理論空燃比からの乖離が小さい。このため、触媒38における酸素吸蔵反応の反応速度が低くなるものの、触媒38の後端まで酸素吸蔵反応を確実に進行させることができる。
また、第1目標値afL1から第2目標値afL2までの空燃比変化速度dafclは、後述するリッチ側の空燃比変化速度dafcrとともに、前回の酸素吸蔵能Cmax0に応じて設定される。具体的には、酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合には、酸素吸蔵能Cmax0が大きい場合に比べて各変化速度dafcl,dafcrは大きく設定される。これにより、酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合には、時刻t2,t4における第1目標値afL1,afR2から第2目標値afL2,afR2への変更をより短時間で終了させることができ、触媒後端までの酸素吸放出反応の進行を優先させることができる。
触媒38の後端まで酸素吸蔵反応が進行すると、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側となる。これにより、図4(D)に示すように、時刻t3において酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも小さくなる。時刻t1から時刻t3までの間に触媒38に流入した排気ガスの過剰酸素量として、時刻t3における吸蔵酸素カウンタosariseを用いることができる。
触媒38に吸蔵された酸素を放出させるため、上記時刻t3において、図4(A)に示すように、目標空燃比がリッチ側の第1目標値afR1に設定される。これと共に、吸蔵酸素カウンタosariseの値はリセットされる。第1目標値afR1に設定することにより、燃料リッチな排気ガスが触媒38に流入し、この排気ガスに不足する酸素が触媒38から放出される。この第1目標値afR1は、理論空燃比からの乖離が大きい値であるため、触媒38においてその前部から酸素放出反応が高い反応速度で進行し始める。ECU50は、触媒38に流入する排気ガス中の不足酸素量を演算する。演算された不足酸素量は、ECU50により、放出酸素カウンタosafallとして読み込まれる。この放出酸素カウンタosafallは、図4(C)に示すように、触媒38における酸素放出反応の進行に伴って上昇する。
時刻t4において放出酸素カウンタosafallが所定値に達すると、図4(A)に示すように、目標空燃比が第1目標値afR1から第2目標値afR2まで変化速度dafcrで徐々に大きくされる。この所定値は、前回算出された酸素吸蔵能Cmax0と補正係数Kfallの積で決まる値である。この補正係数Kfallは、0.3以上0.7以下の値が好適であり、酸素吸蔵能の算出精度の観点からは0.3以上0.5以下の値がより好適である。このように所定値を設定しておくことにより、触媒38の中央近傍まで酸素放出反応が進行したと推定される時点で、燃料リッチ側の目標空燃比が変更される。第2目標値afR2は、第1目標値afR1に比べて理論空燃比からの乖離が小さい。このため、触媒38における酸素放出反応の反応速度が低くなるものの、触媒38の後端まで酸素放出反応を進行させることができる。
触媒38の後端まで酸素放出反応が進行すると、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側となる。これにより、図4(D)に示すように、時刻t5において酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きくなる。時刻t3から時刻t5までの間に触媒38に流入した排気ガスの不足酸素量として、時刻t5における放出酸素カウンタosafallを用いることができる。その後、上記と同様にして、時刻t5において、目標空燃比が第1目標値afL1に設定されると共に、放出酸素カウンタosafallの値はリセットされる。
上記時刻t1から時刻t5までの処理を第1サイクルとすると、この第1サイクルにおいて触媒38に流入した排気ガス中の酸素過不足量を演算し、その演算結果が時刻t3での吸蔵酸素カウンタosarise及び時刻t5での放出酸素カウンタosafallとして用いられる。この酸素過不足量に基づき、第1サイクルにおける酸素吸蔵能を求めることができる。同様にして、時刻t5から時刻t9までの処理を第2サイクルとすると、この第2サイクルにおける酸素吸蔵能を求めることができる。予め定められたサイクル分の酸素吸蔵能が求められると、その平均値Cmaxを算出する。この平均値Cmaxと判定値を比較することにより、触媒38の劣化判定を行うことができる。
[実施の形態における具体的処理]
図5は、本実施の形態において、ECU50が実行する触媒劣化判定制御を示すフローチャートである。
図5に示すフローによれば、先ず、内燃機関及び触媒38の暖機が完了しているか否かを判別する(ステップ100)。ステップ100で暖機が完了していると判別された場合には、内燃機関が定常運転中であるか、すなわち、アクティブ制御が実行可能であるか否かを判別する(ステップ102)。ステップ100で暖機が未完了であると判別された場合、及び、ステップ102で定常運転中ではないと判別された場合には、本制御を終了する。この場合、触媒38の酸素吸蔵能の算出を精度良く行うことができないと判断される。
ステップ102で定常運転中であると判別された場合、アクティブ制御を開始する(ステップ104)。
先ず、前回算出された酸素吸蔵能Cmax0が、ECU50内に格納されているか否かを判別する(ステップ106)。前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されている場合には、ECU50内に予め記憶されたマップを参照して、該酸素吸蔵能Cmax0に応じた目標空燃比変化速度dafcl,dafcrを算出する(ステップ108)。
該マップにおいて、前回の酸素吸蔵能Cmax0が小さいほど、目標空燃比変化速度dafcl,dafcrの絶対値が大きくなるように設定されている。このマップによれば、前回の酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合には、目標空燃比の変更が即座に行われる。このため、触媒38における酸素吸放出反応の反応速度の低下を許容しつつ、触媒38の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることができる。また、前回の酸素吸蔵能Cmax0が大きい場合には、目標空燃比の変更が徐々に行われる。このため、該変更による酸素吸放出反応の反応速度の低下をできるだけ少なくすることができるため、酸素吸蔵能の算出をより短時間で行うことができる。
一方、前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されていない場合には、各変化速度dafcl,dafcr=∞(無限大)と設定する(ステップ110)。この場合、第1目標値afL1,afR2から第2目標値afL2,afR2への変更が瞬時に行われる。よって、触媒38の酸素吸蔵能が小さい場合でも、触媒38の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることができる。
ところで、触媒38の酸素吸蔵能を算出するにあたり、触媒38に酸素が全く吸蔵されていない状態か、触媒38に酸素が飽和している状態にする必要がある。本ルーチンでは、触媒38に酸素が全く吸蔵されていない状態を作るべく、先ず、目標空燃比を燃料リッチ側の値afR1に設定する(ステップ112)。このように、触媒38に酸素が全く吸蔵されていない状態から酸素吸蔵能の算出を開始することで、NOxガスの排出量を抑えることができる。このステップ112の処理により、燃料リッチな排気ガスが触媒38に流入し、触媒38に吸蔵された酸素が放出される。全ての酸素が放出されると、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側になる。
ステップ114では、酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きいか否かを判別する。すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側であるか否かが判別される。このステップ114で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsR以下であると判別された場合には、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側になっていないと判断される。この場合、上記ステップ112に戻り、目標空燃比が値afR1に再度設定される。
ステップ114で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きいと判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側であると判別された場合には、目標空燃比をリーン側の第1目標値afL1に設定する(ステップ116)。この場合、触媒38に吸蔵された酸素が全て放出され、触媒38の酸素吸蔵量を算出可能であると判断される。このステップ116の処理により、燃料リーンな排気ガスが触媒38に流入し、この排気ガス中の過剰な酸素が触媒38に吸蔵される。このステップ116から下記ステップ124までの処理を実行することにより、触媒38の吸蔵酸素量が得られる。第1目標値afL1としては、例えば、14.7以上15.2以下の値に設定することができる。この第1目標値afL1は、理論空燃比からの乖離が大きい。このため、触媒38の前部から酸素吸蔵反応を高い反応速度で進行させることができる。
次に、酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも大きいか否かを判別される(ステップ118)。すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側ではないか否かが判別される。触媒38において酸素吸蔵反応が通常通り進行している間は、酸素センサ出力oxsはリーン判定値oxsLよりも大きい。しかし、何らかの影響で触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側になった場合には、酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsL以下となる。この場合、触媒38の吸蔵酸素量を得ることなく、後述するステップ126に移行する。
上記ステップ118で酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも大きいと判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側ではないと判別された場合には、吸蔵酸素カウンタosariseが所定値(Cmax0×Krise)よりも大きいか否かが判別される(ステップ120)。ここで、ECU50は、本ルーチンとは別のルーチンによって、触媒38に流入した排気ガス中の過剰酸素量を演算している。この過剰酸素量は、例えば、吸入空気量Ga、燃料噴射量、排気空燃比等に基づいて演算することができる。ECU50は、演算された過剰酸素量を、上記吸蔵酸素カウンタosariseとして読み込んでいる。吸蔵酸素カウンタosariseは、ステップ116で目標空燃比を第1目標値afL1に設定してから、下記ステップ124で酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも小さいと判別されるまでの間、増加する。すなわち、触媒38において酸素吸蔵反応が進行している間、吸蔵酸素カウンタosariseの値は増加する。
ステップ120の判別に用いられる所定値として、ECU50は、前回の酸素吸蔵能Cmax0と補正係数Kriseを乗じた値を読み込む。この所定値は、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きい場合には、酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合に比べて大きい値をとる。よって、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きいほど、第1目標値afL1の維持時間が長くなり、酸素吸蔵反応の反応速度が高い時間をより長く維持することができる。また、補正係数Kriseは、0.3以上0.7以下の値が好適であり、酸素吸蔵能の算出精度の観点からは0.3以上0.5以下の値がより好適である。これより、ステップ120において、触媒38の中央近傍まで酸素吸蔵反応が進行したと推定されるか否かが判別される。なお、ECU50内に前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されていない場合には、ECU50は、予め定められた値を所定値として読み込む。
このステップ120で「吸蔵酸素カウンタosarise>所定値(Cmax0×Krise)」の関係を満たしていないと判別された場合、すなわち、触媒38の中央近傍まで酸素吸蔵反応が進行していないと推定される場合には、上記ステップ116に戻る。
ステップ120で「吸蔵酸素カウンタosarise>所定値(Cmax0×Krise)」の関係を満たすと判別された場合、すなわち、触媒38の中央近傍まで酸素吸蔵反応が進行したと推定される場合には、目標空燃比を第1目標値afL1から第2目標値afL2まで、上記ステップ108,110で算出した変化速度dafclで小さくする(ステップ122)。第2目標値afL2としては、例えば、値14.65-14.8に設定することができる。この第2目標値afL2は、理論空燃比からの乖離が小さい。このため、触媒38の後端まで酸素吸蔵反応を進行させることができる。
その後、酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも小さいか否かを判別する(ステップ124)。すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側であるか否かが判別される。このステップ124で酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsL以上であると判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側でないと判別された場合には、上記ステップ122に戻り、第1目標値afL1から第2目標値afL2への変更が行われた後、ステップ124の判別が再度実行される。
一方、ステップ124で酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも小さいと判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リーン側であると判別された場合には、触媒38の後端まで酸素吸蔵反応が進行したと判断される。よって、この判断時の吸蔵酸素カウンタosariseの値を、触媒38の吸蔵酸素量として扱うことができる。
次に、目標空燃比をリッチ側の第1目標値afR1に設定する(ステップ126)。これにより、燃料リッチな排気ガスが触媒38に流入し、この排気ガス中に不足する酸素が触媒38から放出される。このステップ126から下記ステップ130までの処理を実行することにより、触媒38の放出酸素量が得られる。この第1目標値afR1としては、図2に示す関係より、例えば、14.2以上14.4以下の値に設定することができる。この第1目標値afR1は、理論空燃比からの乖離が大きい。このため、触媒38の前部から酸素放出反応を高い反応速度で進行させることができる。
次に、酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも小さいか否かを判別する(ステップ128)。すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側ではないか否かが判別される。触媒38において酸素放出反応が通常通り進行している間は、酸素センサ出力oxsはリッチ判定値oxsRよりも小さい。しかし、何らかの影響で触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側になった場合には、酸素センサ出力oxsがリッチ判定値よりも大きくなる。この場合、放出酸素量を得ることなく、後述するステップ136に移行する。
上記ステップ128で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも小さいと判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側になっていないと判別された場合には、放出酸素カウンタosafallが、所定値(Cmax0×Kfall)よりも大きいか否かを判別する(ステップ130)。ここで、ECU50は、本ルーチンとは別のルーチンによって、触媒38に流入した排気ガス中の不足酸素量を演算している。この不足酸素量は、例えば、吸入空気量Ga、燃料噴射量、排気空燃比等に基づいて演算することができる。ECU50は、演算された酸素不足量を、上記放出酸素カウンタosariseとして読み込んでいる。よって、放出酸素カウンタosafallは、上記ステップ126で目標空燃比を第1目標値afR1に設定してから、下記ステップ134で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きいと判別されるまでの間、増加する。すなわち、触媒38において酸素放出反応が進行している間、放出酸素カウンタosafallの値は増加する。
ステップ130の判別に用いられる所定値として、ECU50は、前回の酸素吸蔵能Cmax0と補正係数Kfallを乗じた値を読み込む。この所定値は、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きい場合には、小さい場合に比べて大きい値をとる。よって、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きいほど、第1目標値afR1を維持する時間が長くなり、酸素放出反応の反応速度が高い時間をより長く維持することができる。また、補正係数Kfallは、上記補正係数Kriseと同様に、0.3以上0.7以下の値が好適であり、酸素吸蔵能の算出精度の観点からは0.3以上0.5以下の値がより好適である。これにより、ステップ130において、触媒38の中央近傍まで酸素放出反応が進行したと推定されるか否かが判別される。なお、ECU50内に前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されていない場合には、ECU50は、予め定められた値を所定値として読み込む。このステップ130で「放出酸素カウンタosafall>所定値(Cmax0×Kfall)」の関係を満たしていないと判別された場合、すなわち、触媒38の中央近傍まで酸素放出反応が進行していないと推定される場合には、上記ステップ126に戻る。
ステップ130で「放出酸素カウンタosafall>所定値(Cmax0×Kfall)」の関係を満たすと判別された場合、すなわち、触媒38の中央近傍まで酸素放出反応が進行したと推定される場合には、目標空燃比を第1目標値afR1から第2目標値afR2まで、上記ステップ108,1110で算出した変化速度dafcrで大きくする(ステップ132)。第2目標値afR2としては、図2に示す関係より、例えば、14.5以上14.55以下の値に設定することができる。この第2目標値afR2は、理論空燃比からの乖離が小さい。このため、触媒38の後端まで酸素放出反応を進行させることができる。
その後、酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きいか否かを判別する(ステップ134)。すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側であるか否かが判別される。このステップ134で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsR以下であると判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側でないと判別された場合には、上記ステップ132に戻り、第1目標値afR1から第2目標値afR2への変更が行われた後、ステップ134の判別が再度実行される。
一方、ステップ134で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも小さいと判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側であると判別された場合には、触媒38の後端まで酸素放出反応が進行したと判断される。よって、この判断時の放出酸素カウンタosafallの値を、触媒38の放出酸素量として扱うことができる。
上記ステップ116からステップ134の処理を1サイクルとすると、このサイクルで得られた吸蔵酸素量及び放出酸素量の平均値を求めることにより、このサイクルにおける酸素吸蔵能を算出する(ステップ136)。
次に、予め決められた所定サイクルの処理が終了したか否かを判別する(ステップ138)。すなわち、所定回数だけ上記ステップ136において酸素吸蔵能が算出されたか否かが判別される。このステップ138で所定サイクルの処理が終了したと判別されるまで、上記ステップ116〜ステップ136の一連の処理を繰り返し実行する。
一方、ステップ138で所定サイクルの処理が終了したと判別された場合には、所定回数算出された酸素吸蔵能の平均値Cmaxを算出する(ステップ140)。
続いて、ステップ140で算出された平均値Cmaxが判定値Cmaxngよりも小さいか否かを判別する(ステップ142)。このステップ142で平均値Cmaxが判定値Cmaxng以上であると判別された場合には、触媒38の性能は許容範囲内であると判断される。この場合、ステップ140で算出された平均値CmaxをCmax0としてECU50内に格納し(ステップ146)、アクティブ制御を終了する(ステップ148)。アクティブ制御終了後は、通常の運転に復帰する。
一方、ステップ142で平均値Cmaxが判定値Cmaxngよりも小さいと判別された場合には、触媒38が劣化していると判断される。この場合、触媒が劣化していることを車輌運転者に知らせるために、車内に設けられたチェックランプを点灯する(ステップ144)。その後、平均値CmaxをCmax0としてECU50内に格納し(ステップ146)、アクティブ制御を終了する(ステップ148)。
以上説明したように、図5に示すルーチンによれば、酸素センサ出力oxsの反転直後は、目標空燃比が理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値afR1,afL1に設定される。これにより、触媒38の酸素吸放出反応の反応速度を高めることができ、吸蔵酸素量及び放出酸素量を短時間で求めることができる。その結果、触媒38の劣化判定に必要な酸素吸蔵能Cmaxをより短時間で算出することができる。
さらに、本ルーチンによれば、吸蔵及び放出酸素カウンタosarise,osafallが所定値を超えた時点で、目標空燃比が第1目標値afR1,afL1から第2目標値afR2,afL2まで変化させられる。この第2目標値afR2,afL2は、理論空燃比からの乖離が小さいため、触媒38の後端まで酸素吸放出反応を進行させることができる。よって、触媒全体の吸蔵酸素量及び放出酸素量を求めることができるため、触媒全体の酸素吸蔵能Cmaxを精度良く算出することができる。
従って、触媒38の酸素吸蔵能Cmaxを精度良く算出することができ、該酸素吸蔵能Cmaxを短時間で算出することができる。
また、本ルーチンによれば、前回の酸素吸蔵能Cmax0に基づいて目標空燃比の変化速度dafcl,dafcrを算出することにより、第1目標値afL1,afR1から第2目標値afL2,afR2への変更を精度良く行うことができる。よって、触媒における酸素吸放出反応の反応速度の低下をできるだけ抑制しつつ、触媒38の後端まで酸素吸放出反応を確実に進行させることができる。
また、本ルーチンによれば、前回の酸素吸蔵能Cmax0がECU50内に格納されていない場合には、変化速度dafcl,dafcr=∞(無限大)と設定される。これにより、触媒38の酸素吸蔵能が小さい場合でも、触媒38の後端まで酸素吸放出反応を確実に進行させることができる。
ところで、上述した本実施の形態では、目標空燃比を第1目標値から第2目標値まで徐々に変化させているが、前回の酸素吸蔵能Cmax0に関わらず、第1目標値から第2目標値に瞬時に変更させてもよい。この場合、触媒後端まで酸素吸放出反応を確実に進行させることができる。
また、本実施の形態では、1サイクルで求めた吸蔵酸素量及び放出酸素量の平均値を算出することにより、該サイクルでの触媒の酸素吸蔵能を求めているが、吸蔵酸素量と放出酸素量の何れか一方から酸素吸蔵能を求めてもよい。すなわち、吸蔵酸素量の算出と、放出酸素量の算出とをそれぞれ別のサイクルとしてもよい。
また、本実施の形態では、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側又は燃料リーン側であるか否かを酸素センサ40を用いて判別するシステムについて説明したが、酸素センサの代わりに空燃比センサを用いて判別するシステムを用いることによっても上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態において、図5のステップ136では吸蔵酸素量と放出酸素量の乖離に関わらず、これらを平均して酸素吸蔵能を算出しているが、吸蔵酸素量と放出酸素量の乖離量を算出し、算出した乖離量が所定値よりも大きい場合には、求めた吸蔵酸素量と放出酸素量を無効にして酸素吸蔵能を算出しないようにしてもよい。
尚、本実施の形態においては、ECU50が、ステップ116,126及びステップ122,132の処理を実行することにより第1の発明における「空燃比制御手段」が、ステップ136,140の処理を実行することにより第1の発明における「酸素吸蔵能算出手段」が、それぞれ実現されている。
また、ECU50が、ステップ108の処理を実行することにより第2の発明の「空燃比制御手段」が、ステップ120,130の処理を実行することにより第3及び第4の発明における「空燃比制御手段」が、ステップ110の処理を実行することにより第5の発明の「空燃比制御手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態による内燃機関システムの構成を示す概略図である。 目標空燃比と、単位時間当たりの吸蔵酸素量又は放出酸素量との関係を示す図である。 目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい値に設定した場合の動作傾向を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態におけるアクティブ制御を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態において、ECU50が実行する触媒劣化判定制御を示すフローチャートである。
符号の説明
2 ピストン
4 シリンダブロック
6 水温センサ
8 シリンダヘッド
10 燃焼室
12 点火プラグ
14 吸気ポート
16 吸気バルブ
18 インジェクタ
20 吸気通路
22 エアクリーナ
24 エアフロメータ
26 スロットルバルブ
27 スロットルセンサ
28 サージタンク
30 排気ポート
32 排気バルブ
34 排気通路
36 空燃比センサ
38 触媒
40 酸素センサ
42 触媒温度センサ
44 クランク角センサ
46 クランク軸
50 ECU(Electronic Control Unit)

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出装置であって、
    前記触媒の下流に設けられ、排気ガスの空燃比に応じて出力値を反転させる排気ガスセンサと、
    排気ガスの目標空燃比を理論空燃比に対して燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定する空燃比制御手段と、
    前記目標空燃比が燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定されてから前記排気ガスセンサの出力値が反転するまでの時間に、前記触媒に流入する排気ガスの酸素過不足量を算出する酸素過不足量算出手段と、
    算出された酸素過不足量に基づいて前記触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出手段とを備え、
    前記空燃比制御手段は、前記排気ガスセンサの出力値が反転した直後に前記目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値に設定し、該第1目標値に設定してから所定時間経過後に該目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値に変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。
  2. 請求項1に記載の酸素吸蔵能算出装置において、
    前記酸素吸蔵能算出手段により前回算出された酸素吸蔵能を記憶する酸素吸蔵能記憶手段を更に備え、
    前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値から前記第2目標値までの変化速度を変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。
  3. 請求項2に記載の酸素吸蔵能算出装置において、
    前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値を維持する時間を変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。
  4. 請求項3に記載の酸素吸蔵能算出装置において、
    前記空燃比制御手段は、前記酸素過不足量算出手段により算出された酸素過不足量が前回算出された酸素吸蔵能の30%から70%までの任意の値に達するときまで、前記第1目標値に維持するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。
  5. 請求項2から4の何れかに記載の酸素吸蔵能算出装置において、
    前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能が記憶されていない場合には、前記第1目標値から前記第2目標値に瞬時に変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。
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