JP2006275007A - 酸素吸蔵能算出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも大きくなった時刻t1に、排気ガスの目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値afL1に設定する。第1目標値afL1に設定してから触媒に吸蔵される過剰酸素量を演算する。その演算結果を吸蔵酸素カウンタosariseとして読み込む。この吸蔵酸素カウンタosariseが所定値に達した時刻t2に、目標空燃比を第1目標値afL1よりも理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値afL2に変化速度dafclで徐々に小さくする。酸素センサ出力oxsがリーン判定値oxsLよりも小さくなった時刻t3における吸蔵酸素カウンタosariseを、触媒の吸蔵酸素量とする。
【選択図】 図4
Description
しかしながら、このように目標空燃比を設定した場合には、触媒の後部において酸素吸放出反応が進行する前に、酸素センサの出力が反転するおそれがある。この場合、触媒全体の酸素吸蔵能を算出することができず、触媒の劣化判定を精度良く行うことができない。
一方、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい空燃比に設定した場合には、触媒の酸素吸放出反応の反応速度が低下してしまう。このため、触媒吸蔵能の算出時間が大幅に長くなってしまう。
前記触媒の下流に設けられ、排気ガスの空燃比に応じて出力値を反転させる排気ガスセンサと、
排気ガスの目標空燃比を理論空燃比に対して燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定する空燃比制御手段と、
前記目標空燃比が燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定されてから前記排気ガスセンサの出力値が反転するまでの時間に、前記触媒に流入する排気ガスの酸素過不足量を算出する酸素過不足量算出手段と、
算出された酸素過不足量に基づいて前記触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出手段とを備え、
前記空燃比制御手段は、前記排気ガスセンサの出力値が反転した直後に前記目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値に設定し、該第1目標値に設定してから所定時間経過後に該目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値に変更するものであることを特徴とする。
前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値から前記第2目標値までの変化速度を変更するものであることを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態による内燃機関システムの構成を示す概略図である。本実施の形態で説明する内燃機関システムは複数の気筒を有しているが、図1にはそのうちの一気筒のみを示している。
図1に示すように、本実施の形態のシステムは、内部にピストン2を有するシリンダブロック4を備えている。シリンダブロック4には水温センサ6が設けられている。水温センサ6は、冷却水温を検出するように構成されている。
また、ECU50は、水温センサ6の出力に基づいて、内燃機関の暖機が完了しているか否かを判別する。また、ECU50は、触媒温度センサ42の出力に基づいて、触媒38の暖機が完了しているか否かを判別する。
また、ECU50は、クランク角センサ44の出力に基づいて、機関回転数NEを算出する。
また、ECU50は、定常運転か否かを判定する。定常運転か否かは、例えば、吸入空気量Ga、機関回転数NE、スロットル開度TA、アクセル開度等のパラメータにより、判定することができる。
また、ECU50は、以下に説明するように、触媒38の酸素吸蔵能(OSC)を算出し、該酸素吸蔵能に基づいて触媒38の劣化判定を行う。
次に、触媒の酸素吸蔵能の算出について説明する。
既述した従来の装置によれば、目標空燃比を燃料リッチ側(又は燃料リーン側)から燃料リーン側(又は燃料リッチ側)に変化させてから酸素センサ出力が反転するまでの時間に、触媒に流入する排気ガスの酸素過不足量を演算することで、触媒の酸素吸蔵能を算出することができる。すなわち、公知のアクティブ制御を実行することにより、触媒の酸素吸蔵能を求めることができる。
図3(A)〜図3(E)において、目標空燃比を燃料リッチ側の値14.4から燃料リーン側の値14.8に変化させた場合の波形を符号Aを付して示し、燃料リッチ側の値14.4から燃料リーン側の値15.0に変化させた場合の波形を符号Bを付して示す。さらに、これら2つの波形を酸素センサ出力の反転時刻trで揃えて示す。
また、該反転時刻trにおいて、波形Aで示される目標空燃比を値14.8に変化させた場合には僅かに温度が上昇しているのに対して、波形Bで示される値15.0に変化させた場合には全く温度が上昇していない。よって、目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい値に設定した場合、乖離が大きい値に設定した場合に比べて、酸素センサ出力の反転時に触媒のより後部まで酸素吸蔵反応が進行することが分かる。
また、第1目標値afL1から第2目標値afL2までの空燃比変化速度dafclは、後述するリッチ側の空燃比変化速度dafcrとともに、前回の酸素吸蔵能Cmax0に応じて設定される。具体的には、酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合には、酸素吸蔵能Cmax0が大きい場合に比べて各変化速度dafcl,dafcrは大きく設定される。これにより、酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合には、時刻t2,t4における第1目標値afL1,afR2から第2目標値afL2,afR2への変更をより短時間で終了させることができ、触媒後端までの酸素吸放出反応の進行を優先させることができる。
図5は、本実施の形態において、ECU50が実行する触媒劣化判定制御を示すフローチャートである。
図5に示すフローによれば、先ず、内燃機関及び触媒38の暖機が完了しているか否かを判別する(ステップ100)。ステップ100で暖機が完了していると判別された場合には、内燃機関が定常運転中であるか、すなわち、アクティブ制御が実行可能であるか否かを判別する(ステップ102)。ステップ100で暖機が未完了であると判別された場合、及び、ステップ102で定常運転中ではないと判別された場合には、本制御を終了する。この場合、触媒38の酸素吸蔵能の算出を精度良く行うことができないと判断される。
先ず、前回算出された酸素吸蔵能Cmax0が、ECU50内に格納されているか否かを判別する(ステップ106)。前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されている場合には、ECU50内に予め記憶されたマップを参照して、該酸素吸蔵能Cmax0に応じた目標空燃比変化速度dafcl,dafcrを算出する(ステップ108)。
該マップにおいて、前回の酸素吸蔵能Cmax0が小さいほど、目標空燃比変化速度dafcl,dafcrの絶対値が大きくなるように設定されている。このマップによれば、前回の酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合には、目標空燃比の変更が即座に行われる。このため、触媒38における酸素吸放出反応の反応速度の低下を許容しつつ、触媒38の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることができる。また、前回の酸素吸蔵能Cmax0が大きい場合には、目標空燃比の変更が徐々に行われる。このため、該変更による酸素吸放出反応の反応速度の低下をできるだけ少なくすることができるため、酸素吸蔵能の算出をより短時間で行うことができる。
一方、前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されていない場合には、各変化速度dafcl,dafcr=∞(無限大)と設定する(ステップ110)。この場合、第1目標値afL1,afR2から第2目標値afL2,afR2への変更が瞬時に行われる。よって、触媒38の酸素吸蔵能が小さい場合でも、触媒38の後端まで確実に酸素吸放出反応を進行させることができる。
ステップ120の判別に用いられる所定値として、ECU50は、前回の酸素吸蔵能Cmax0と補正係数Kriseを乗じた値を読み込む。この所定値は、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きい場合には、酸素吸蔵能Cmax0が小さい場合に比べて大きい値をとる。よって、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きいほど、第1目標値afL1の維持時間が長くなり、酸素吸蔵反応の反応速度が高い時間をより長く維持することができる。また、補正係数Kriseは、0.3以上0.7以下の値が好適であり、酸素吸蔵能の算出精度の観点からは0.3以上0.5以下の値がより好適である。これより、ステップ120において、触媒38の中央近傍まで酸素吸蔵反応が進行したと推定されるか否かが判別される。なお、ECU50内に前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されていない場合には、ECU50は、予め定められた値を所定値として読み込む。
このステップ120で「吸蔵酸素カウンタosarise>所定値(Cmax0×Krise)」の関係を満たしていないと判別された場合、すなわち、触媒38の中央近傍まで酸素吸蔵反応が進行していないと推定される場合には、上記ステップ116に戻る。
ステップ130の判別に用いられる所定値として、ECU50は、前回の酸素吸蔵能Cmax0と補正係数Kfallを乗じた値を読み込む。この所定値は、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きい場合には、小さい場合に比べて大きい値をとる。よって、前回の酸素吸蔵能Cmax0の値が大きいほど、第1目標値afR1を維持する時間が長くなり、酸素放出反応の反応速度が高い時間をより長く維持することができる。また、補正係数Kfallは、上記補正係数Kriseと同様に、0.3以上0.7以下の値が好適であり、酸素吸蔵能の算出精度の観点からは0.3以上0.5以下の値がより好適である。これにより、ステップ130において、触媒38の中央近傍まで酸素放出反応が進行したと推定されるか否かが判別される。なお、ECU50内に前回の酸素吸蔵能Cmax0が格納されていない場合には、ECU50は、予め定められた値を所定値として読み込む。このステップ130で「放出酸素カウンタosafall>所定値(Cmax0×Kfall)」の関係を満たしていないと判別された場合、すなわち、触媒38の中央近傍まで酸素放出反応が進行していないと推定される場合には、上記ステップ126に戻る。
一方、ステップ134で酸素センサ出力oxsがリッチ判定値oxsRよりも小さいと判別された場合、すなわち、触媒38を流通した排気ガスの空燃比が燃料リッチ側であると判別された場合には、触媒38の後端まで酸素放出反応が進行したと判断される。よって、この判断時の放出酸素カウンタosafallの値を、触媒38の放出酸素量として扱うことができる。
続いて、ステップ140で算出された平均値Cmaxが判定値Cmaxngよりも小さいか否かを判別する(ステップ142)。このステップ142で平均値Cmaxが判定値Cmaxng以上であると判別された場合には、触媒38の性能は許容範囲内であると判断される。この場合、ステップ140で算出された平均値CmaxをCmax0としてECU50内に格納し(ステップ146)、アクティブ制御を終了する(ステップ148)。アクティブ制御終了後は、通常の運転に復帰する。
さらに、本ルーチンによれば、吸蔵及び放出酸素カウンタosarise,osafallが所定値を超えた時点で、目標空燃比が第1目標値afR1,afL1から第2目標値afR2,afL2まで変化させられる。この第2目標値afR2,afL2は、理論空燃比からの乖離が小さいため、触媒38の後端まで酸素吸放出反応を進行させることができる。よって、触媒全体の吸蔵酸素量及び放出酸素量を求めることができるため、触媒全体の酸素吸蔵能Cmaxを精度良く算出することができる。
従って、触媒38の酸素吸蔵能Cmaxを精度良く算出することができ、該酸素吸蔵能Cmaxを短時間で算出することができる。
また、本ルーチンによれば、前回の酸素吸蔵能Cmax0がECU50内に格納されていない場合には、変化速度dafcl,dafcr=∞(無限大)と設定される。これにより、触媒38の酸素吸蔵能が小さい場合でも、触媒38の後端まで酸素吸放出反応を確実に進行させることができる。
また、ECU50が、ステップ108の処理を実行することにより第2の発明の「空燃比制御手段」が、ステップ120,130の処理を実行することにより第3及び第4の発明における「空燃比制御手段」が、ステップ110の処理を実行することにより第5の発明の「空燃比制御手段」が、それぞれ実現されている。
4 シリンダブロック
6 水温センサ
8 シリンダヘッド
10 燃焼室
12 点火プラグ
14 吸気ポート
16 吸気バルブ
18 インジェクタ
20 吸気通路
22 エアクリーナ
24 エアフロメータ
26 スロットルバルブ
27 スロットルセンサ
28 サージタンク
30 排気ポート
32 排気バルブ
34 排気通路
36 空燃比センサ
38 触媒
40 酸素センサ
42 触媒温度センサ
44 クランク角センサ
46 クランク軸
50 ECU(Electronic Control Unit)
Claims (5)
- 内燃機関の排気通路に設けられた触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出装置であって、
前記触媒の下流に設けられ、排気ガスの空燃比に応じて出力値を反転させる排気ガスセンサと、
排気ガスの目標空燃比を理論空燃比に対して燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定する空燃比制御手段と、
前記目標空燃比が燃料リッチ側もしくは燃料リーン側に設定されてから前記排気ガスセンサの出力値が反転するまでの時間に、前記触媒に流入する排気ガスの酸素過不足量を算出する酸素過不足量算出手段と、
算出された酸素過不足量に基づいて前記触媒の酸素吸蔵能を算出する酸素吸蔵能算出手段とを備え、
前記空燃比制御手段は、前記排気ガスセンサの出力値が反転した直後に前記目標空燃比を理論空燃比からの乖離が大きい第1目標値に設定し、該第1目標値に設定してから所定時間経過後に該目標空燃比を理論空燃比からの乖離が小さい第2目標値に変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。 - 請求項1に記載の酸素吸蔵能算出装置において、
前記酸素吸蔵能算出手段により前回算出された酸素吸蔵能を記憶する酸素吸蔵能記憶手段を更に備え、
前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値から前記第2目標値までの変化速度を変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。 - 請求項2に記載の酸素吸蔵能算出装置において、
前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能に基づいて、前記第1目標値を維持する時間を変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。 - 請求項3に記載の酸素吸蔵能算出装置において、
前記空燃比制御手段は、前記酸素過不足量算出手段により算出された酸素過不足量が前回算出された酸素吸蔵能の30%から70%までの任意の値に達するときまで、前記第1目標値に維持するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。 - 請求項2から4の何れかに記載の酸素吸蔵能算出装置において、
前記空燃比制御手段は、前回算出された酸素吸蔵能が記憶されていない場合には、前記第1目標値から前記第2目標値に瞬時に変更するものであることを特徴とする酸素吸蔵能算出装置。
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