JP2009293510A - 触媒診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸入空気量の全ての領域で診断を行うことのできる装置を提供する。
【解決手段】触媒(3)の酸素ストレージ量と、吸入空気量に対して一定である第1判定値、この第1判定値より大きな値である第2判定値の2つの判定値との比較により、触媒(3)に劣化が生じているか否かを判定する手段と、この判定結果より算出される酸素ストレージ量が第2判定値未満かつ第1判定値以上であるとき大きな値の触媒専用ゲインに切換えて第2目標空燃比を算出し、実際の空燃比がこの第2目標空燃比と一致するように第2の空燃比フィードバック制御を行う手段と、この第2の空燃比フィードバック制御中に触媒の酸素ストレージ量を算出し、この算出される酸素ストレージ量と前記第1、第2の2つの判定値との比較により再度触媒(3)に劣化が生じているか否かを判定する手段とをエンジンコントローラ(6)が備える。
【選択図】図1

Description

この発明は触媒診断装置の改良に関するものである。
内燃機関(エンジン)の排気中のHC、CO、NOxを三元触媒によって同時に浄化するには、触媒雰囲気を理論空燃比に維持する必要があり、理論空燃比から少しでもずれたときの浄化効率が低下することのないように、触媒に酸素ストレージ能力(酸素保持能力)を持たせているものが知られている。
理論空燃比よりもリーンな排気を与えると、触媒が排気中の酸素を取り込み、この酸素ストレージ量が飽和するまでは、触媒雰囲気を理論空燃比に維持できる。また、理論空燃比よりもリッチな排気を与えると、触媒が保持している酸素が放出され、保持酸素のすべてを放出するまでは、触媒雰囲気を理論空燃比に保持する。このようにして一時的な空燃比のずれから生じる酸素の過不足分を触媒が補い、触媒雰囲気を実質的に理論空燃比に保つことが可能となる。
触媒の酸素ストレージ量が常に目標値、例えば最大ストレージ量の半分程度となるように空燃比を制御してやると、酸素の取り込みと放出の容量が均等化し、空燃比の理論空燃比からのリッチ、リーンのいずれの側の変動に対しても吸収能力が高められ、排気の浄化効率を最良に保てる。
そこで、触媒上流に設置したフロント空燃比センサの出力に基づいて、触媒に流入する排気の酸素過不足量(空燃比から換算する)を積算して触媒の酸素ストレージ量を求め、この酸素ストレージ量が目標値と一致するように空燃比をフィードバック制御している(特許文献1参照)。
特開2006−2579号公報
ところで、上記特許文献1の技術では、触媒の酸素ストレージ量を算出し、この算出される酸素ストレージ量の目標酸素ストレージ量からの偏差を算出し、この偏差とフィードバック制御用ゲインとに基づいて目標偏差を算出し、この目標偏差に基づいて目標空燃比を算出し、実際の空燃比がこの目標空燃比と一致するように空燃比フィードバック制御を行っており、空燃比フィードバック制御中に診断許可条件が成立したからといって、診断許可条件の非成立時と変わりなく空燃比フィードバック制御を行い、診断許可条件成立時の酸素ストレージ量と一定の判定値との比較により触媒に劣化が生じているか否かを判定している。
しかしながら、一定の判定値との比較により触媒に劣化が生じているか否かを判定するだけの方法では、高吸入空気量域に診断を行うことができない領域が生じており、診断の機会を狭めていた。
そこで本発明は、吸入空気量の全ての領域で診断を行うことのできる触媒診断装置及び触媒診断方法を提供することを目的とする。
本発明は、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力を有する触媒を備え、この触媒の酸素ストレージ量(HSOSQ)を算出し、この算出される酸素ストレージ量(HSOSQ)の目標酸素ストレージ量からの偏差(HOSCS)を算出し、この偏差(HOSCS)とフィードバック制御用ゲイン(TTGTGIN)とに基づいて第1目標偏差を算出し、この第1目標偏差に基づいて第1目標空燃比(TGABF)を算出し、実際の空燃比(AFSAF)がこの第1目標空燃比(TGABF)と一致するように第1の空燃比フィードバック制御を行い、前記算出される酸素ストレージ量(HSOSQ)と吸入空気量に対して一定である第1判定値(OSCLIM#)とを、もしくはこの第1判定値(OSCLIM#)より大きな値である第2判定値(OSCLIMGR#)とを比較することにより前記触媒に劣化が生じているか否かを判定し、この判定結果より前記算出される酸素ストレージ量(HSOSQ)が第2判定値未満かつ第1判定値以上であるとき前記フィードバック制御用ゲイン(TTGTGIN)より前記触媒専用ゲイン(CATGTGIN)に切換え、この触媒専用ゲイン(CATGTGIN)と前記偏差(HOSCS)とに基づいて第2目標偏差を算出し、この第2目標偏差に基づいて第2目標空燃比(TGABF)を算出し、実際の空燃比(AFSAF)がこの第2目標空燃比(TGABF)と一致するように第2の空燃比フィードバック制御を行い、この第2の空燃比フィードバック制御中に算出される前記酸素ストレージ量(HSOSQ)と前記第1判定値、第2判定値の2つの判定値(OSCLIM#、OSCLIMGR#)とを比較することにより再度前記触媒に劣化が生じているか否かを判定するように構成する。
本発明によれば、排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力を有する触媒を備え、この触媒の酸素ストレージ量(HSOSQ)を算出し、この算出される酸素ストレージ量(HSOSQ)の目標酸素ストレージ量からの偏差(HOSCS)を算出し、この偏差(HOSCS)とフィードバック制御用ゲイン(TTGTGIN)とに基づいて第1目標偏差を算出し、この第1目標偏差に基づいて第1目標空燃比(TGABF)を算出し、実際の空燃比(AFSAF)がこの第1目標空燃比(TGABF)と一致するように第1の空燃比フィードバック制御を行い、前記算出される酸素ストレージ量(HSOSQ)と吸入空気量に対して一定である第1判定値(OSCLIM#)とを、もしくはこの第1判定値(OSCLIM#)より大きな値である第2判定値(OSCLIMGR#)とを比較することにより前記触媒に劣化が生じているか否かを判定し、この判定結果より前記算出される酸素ストレージ量(HSOSQ)が第2判定値(OSCLIMGR#)未満かつ第1判定値(OSCLIM#)以上であるとき前記フィードバック制御用ゲイン(TTGTGIN)より前記触媒専用ゲイン(CATGTGIN)に切換えこの触媒専用ゲイン(CATGTGIN)と前記偏差(HOSCS)とに基づい第2目標偏差を算出し、この第2目標偏差に基づいて第2目標空燃比(TGABF)を算出し、実際の空燃比(AFSAF)がこの第2目標空燃比(TGABF)と一致するように第2の空燃比フィードバック制御を行い、この第2の空燃比フィードバック制御中に算出される前記酸素ストレージ量(HSOSQ)と前記第1判定値、第2判定値の2つの判定値(OSCLIM#、OSCLIMGR#)とを比較することにより再度前記触媒に劣化が生じているか否かを判定するので、吸入空気量の全ての領域で診断を行うことが可能となり、従来装置よりも診断の機会を増やすことができる。
また、診断許可条件が成立したからといって、いきなりフィードバック制御用ゲイン(TTGTGIN)より触媒専用ゲイン(CATGTGIN)に切換えたのでは、他性能への跳ね返りが懸念されるところ、1回目に触媒に劣化が生じているか否かはっきりしないと判定されたときだけフィードバック制御用ゲイン(TTGTGIN)より触媒専用ゲイン(CATGTGIN)に切換えて2回目の判定を行うので、他性能への影響を最小限ににしながら診断精度の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明が適用される排気浄化装置の概略構成を示し、エンジン1の排気管2には触媒3が設けられ、その上流にはリニアな特性のフロント空燃比センサ4、下流にはリアO2センサ5が設置され、これらセンサ出力に基づいてエンジン1に供給する燃料の空燃比を制御するエンジンコントローラ6が備えられる。
エンジン1の吸気管7にはスロットル弁8と、スロットル弁8により調整された吸入空気量を測定するエアフローメータ9が設けられる。
触媒3はいわゆる三元触媒であって、触媒雰囲気が理論空燃比のときにNOx、HC、COを最大効率で浄化する。触媒3は触媒担体にセリア等の酸素ストレージ材で被覆されており、流入する排気の空燃比に応じて酸素を保持したり、放出したりする機能(酸素ストレージ能力)を有している。
上記のフロント空燃比センサ4は排気中の酸素濃度に応じたリニアな出力特性をもち、上記のリアO2センサ5は理論空燃比の付近で2値的に切換わる特性をもっている。
また、エンジン1には冷却水の温度を検出する温度センサ10が取付けられ、エンジン1の運転状態と共に触媒3の活性化状態などを判定するため等に用いられる。
エンジンコントローラ6はマイクロプロセッサ、ROM、RAM、I/Oインターフェースなどで構成され、エアフローメータ9と、フロント空燃比センサ4の出力に基づいて触媒3の酸素ストレージ量を演算し、この酸素ストレージ量が目標値となるように空燃比をフィードバック制御する。
触媒3の酸素ストレージ量の算出は、触媒上流の排気空燃比とそのときの吸入空気量から推定する。まず、触媒上流の排気空燃比から換算して排気中の酸素の過剰または不足する割合である酸素過剰率を求める。酸素過剰率は理論空燃比のときをゼロとして、リーン側で正、リッチ側で負の値となる。
酸素過剰率とそのときの吸入空気量とから触媒3に吸収される酸素量または放出される酸素量が分かり、これを積算していくことで触媒3の酸素ストレージ量を推定できる。予め触媒3の最大酸素ストレージ量を実験等により確認しておき、例えばその半分の保持量を目標値として設定し、酸素ストレージ量がこの目標値と一致するように空燃比を制御するのである。
演算した酸素ストレージ量が目標値よりも少ないときは、目標空燃比をリーン側にして保持量を増やし、逆に目標値よりも多いときはリッチ側にして酸素ストレージ量を減らし、これらにより目標値に一致させる。
さて、空燃比フィードバック制御時に触媒3の酸素ストレージ量は常に目標値になるように制御されるため、触媒上流側の空燃比に多少の変動があっても、触媒3の酸素ストレージ能力により、触媒下流側の空燃比は理論空燃比に維持される。これは、触媒3に流入する排気の空燃比がリーン側にずれているときには触媒3の酸素ストレージ能力により排気中の酸素が触媒3に吸収され、この逆に排気の空燃比がリッチ側にずれているときには触媒3の酸素ストレージ能力により触媒3に吸収されている酸素が放出されるので、触媒雰囲気を実質的に理論空燃比に保つことができるためである。
この場合に、触媒3が劣化すると、空燃比フィードバック制御中の酸素ストレージ量の変化波形が図2上段より図2下段へと変化し、変化の周期が短くなる。これは、触媒3が劣化すると触媒3が酸素をストレージできなくなって触媒3の酸素ストレージ量が低下してくるためである。
そこで従来装置では、空燃比フィードバック制御中に触媒診断許可条件が成立したとき、酸素ストレージ量と一定の判定値(OSCLIM#)とを比較させることにより、酸素ストレージ量がこの判定値以上であれば触媒3に劣化がまだ生じていないと、また酸素ストレージ量がこの判定値未満となれば触媒3に劣化が生じていると診断している。
しかしながら、実際には診断領域が限られていた。これについて図3上段を参照して説明すると、図3上段は横軸に吸入空気量を、縦軸に触媒の酸素ストレージ量(診断値)を採った場合の上限劣化触媒と、スレッシュ触媒の各特性図である。なお、正確には、縦軸の酸素ストレージ量は平均値である(後述する)。
ここで、上限劣化触媒とは、これ以上劣化すれば所望の酸素ストレージ能力を発揮させることができない、という触媒の劣化限界にある触媒のことである。また、スレッシュ触媒とは、所望の酸素ストレージ能力を発揮させることができなくなっている、つまり触媒の劣化限界を超えている触媒のことである。図3上段より上限劣化触媒の酸素ストレージ量は吸入空気量に関係なくほぼ大きい値に保たれている。これに対してスレッシュ触媒の酸素ストレージ量は低中吸入空気量域で小さいものの、高吸入空気量域になると急激に大きくなっている。このような2つの触媒の特性に対して、上限劣化触媒の場合には劣化が生じておらず、スレッシュ触媒の場合には劣化が生じていると判定させるためには、破線で示す判定値OSCLIM#を設け、上限劣化触媒、スレッシュ触媒の各酸素ストレージ量とこの判定値OSCLIM#とを比較させればよい。すなわち、上限劣化触媒の酸素ストレージ量は判定値OSCLIM#以上となって上限劣化触媒に劣化が生じていないと、またスレッシュ触媒の酸素ストレージ量は判定値OSCLIM#未満となってスレッシュ触媒に劣化が生じているとそれぞれ正しく判定されることとなる。
ただし、所定値A以上の吸入空気量の領域でスレッシュ触媒の酸素ストレージ量が判定値OSCLIM#以上となってしまうため、所定値Aを超える吸入空気量域では、スレッシュ触媒に劣化が生じていないとの誤診断が生じるので、診断領域は所定値Aより余裕を見た所定値Bまでとなっている。つまり、吸入空気量が所定値Bまでの領域に診断領域が限られてしまっている。言い替えると、所定値Bを超える吸入空気量域で診断を行うことができず、診断機会を狭めてしまう結果となっている。
そこで、改めて考えてみると、全ての吸入空気量の領域を触媒診断を行うことができるようにするには、図4に示すようにすればよいのでないかと本発明者が思い当たった。すなわち、従来装置の上記判定値OSCLIM#を第1判定値とし、この第1判定値OSCLIM#とは別に、第1判定値OSCLIM#より大きく、かつ吸入空気量に依存しほぼ中吸入空気量域までは一定で中吸入空気量域より吸入空気量が増えるほど大きくなる第2判定値OSCLIMGR#を新たに設ければ、上限劣化触媒の酸素ストレージ量は吸入空気量の全域で第2判定値OSCLIMGR#以上(図で「OK判定」領域にある)となって上限劣化触媒に劣化が生じていないと正しく判定される。
一方、スレッシュ触媒の酸素ストレージ量は第1判定値OSCLIM#未満となるか、第2判定値OSCLIMGR#未満でかつ第1判定値OSCLIM#以上となるかの2つの場合が考えられ、触媒の酸素ストレージ量が吸入空気量に関係なく第1判定値OSCLIM#未満である場合(図で「NG判定」領域にある)には触媒に劣化が生じている、つまり劣化が生じている触媒はスレッシュ触媒であると正しく判定される。
問題は、触媒の酸素ストレージ量が第2判定値OSCLIMGR#未満でかつ第1判定値OSCLIM#以上にある場合(図で「グレー判定」領域にある)で、この場合にはスレッシュ触媒である場合が含まれている可能性がある。そこで、触媒の酸素ストレージ量が第2判定値OSCLIMGR#未満でかつ第1判定値OSCLIM#以上にある場合を触媒に劣化が生じているか否かはっきりしない場合であるとみなし、スレッシュ触媒であるか否かの2回目の診断を行わせる。この2回目の診断に際しては、従来装置で目標空燃比の算出に用いているフィードバック制御用ゲインTTGTGINとは別に、このフィードバック制御用ゲインTTGTGINよりも大きな値のターゲットゲイン(このゲインを「診断専用ゲイン」という。)CATGTGINを新たに導入し、1回目の診断(判定)により触媒の酸素ストレージ量が第2判定値OSCLIMGR#未満でかつ第1判定値OSCLIM#以上にあると判定された場合にフィードバック制御ゲインTTGTGINからこの診断専用ゲインCATGTGINに切換え、この診断専用ゲインCATGTGINに基づいて目標空燃比TGABF(第2目標空燃比)を算出し、実際の空燃比AFSAFがこの目標空燃比TGABFと一致するように空燃比フィードバック制御(第2の空燃比フィードバック制御)を行い、この空燃比フィードバック制御中に算出される酸素ストレージ量HSOSQと上記第1、第2の2つの判定値(OSCLIM#、OSCLIMGR#)との比較により2回目の診断(判定)を行わせる。
ここで、2回目の診断(判定)に際して目標ゲインをフィードバック制御用ゲインTTGTGINより診断専用ゲインCATGTGINへと大きくするのは、目標ゲインを用いて算出される目標空燃比TGABFを2回目の診断中に周期的に大きく振らせるためである。2回目の診断中に目標空燃比TGABFを周期的に大きく振らせると、これに対応して触媒の酸素ストレージ量HSOSQが周期的に大きく変化し、この触媒の酸素ストレージ量HSOSQの大きな周期的変化によってスレッシュ触媒に劣化が生じていることが初めて明確になる。言い替えると、従来装置においてはフィードバック制御用ゲインTTGTGINをそのまま触媒診断時の目標ゲインとして用いており、フィードバック制御用ゲインTTGTGINは他性能への跳ね返りがないようにもともと小さい値が設定されているため、触媒診断時に目標空燃比TGABFが周期的にあまり振れず、スレッシュ触媒に劣化が生じていると明確に判定できなかったのである。
図5は定常の運転条件においてt1のタイミングまではフィードバック制御用ゲインTTGTGINを用いて、t1のタイミングよりt2のタイミングまでの区間になると診断専用ゲインCATGTGINを用いて、t2のタイミングより再びフィードバック制御用ゲインTTGTGINを用いて目標空燃比TGABFを算出し、実際の空燃比AFSAFがこの目標空燃比TGABFと一致するように空燃比フィードバック制御をそれぞれ行ったときに、目標空燃比TGABF、実際の空燃比AFSAF、触媒の酸素ストレージ量HSOSQ、リアO2センサ出力がどのように変化するのかを示したシミュレーション結果である。図5より、診断専用ゲインCATGTGINを用いて空燃比フィードバックを行うt1〜t2の区間でのほうが、フィードバック制御用ゲインTTGTGINを用いて空燃比フィードバックを行うt1以前、t2以降の各区間より目標空燃比TGABFが周期的に大きく振れ、これに伴ってt1〜t2の区間の酸素ストレージ量HSOSQが、t1以前、t2以降の各区間より周期的に大きく振れていることが分かる。
図3下段は図3上段と同じ条件で、フィードバック制御用ゲインTTGTGINから診断専用ゲインCATGTGINに切換えて空燃比フィードバック制御を行ったときの上限劣化触媒と、スレッシュ触媒の各特性図(シミュレーション結果)である。図3下段において特徴的なのは、スレッシュ触媒の酸素ストレージ量(診断値)が、図3上段と相違して、高吸入空気量域においても小さくなっている点である。すなわち、診断専用ゲインを用いることでスレッシュ触媒の酸素ストレージ量が高吸入空気量域を含めて全ての吸入空気域で小さな値に保持されている。従って、2回目の診断時には、スレッシュ触媒の酸素ストレージ量(診断値)は全ての吸入空気域で必ず第1判定値OSCLIM#未満となり、スレッシュ触媒に劣化が生じていると正しく判定されることとなる。
ただし、診断許可条件が成立したからといって、即座にフィードバック制御用ゲインTTGTGINから診断専用ゲインCATGTGINに切換えるのではなく、1回目はフィードバック制御用ゲインTTGTGINを用いて目標空燃比(第1目標空燃比)を算出し、実際の空燃比がこの目標空燃比と一致するように空燃比フィードバック制御(第1の空燃比フィードバック制御)を行い、その空燃比フィードバック制御中に算出される触媒の酸素ストレージ量が第2判定値OSCLIMGR#未満かつ第1判定値OSCLIM#以上である場合に、フィードバック制御用ゲインTTGTGINから診断専用ゲインCATGTGINに切換え、この診断専用ゲインCATGTGINを用いて目標空燃比(第2目標空燃比)を算出し、実際の空燃比がこの目標空燃比と一致するように空燃比フィードバック制御(第2の空燃比フィードバック制御)を行い、その空燃比フィードバック制御中に算出される触媒の酸素ストレージ量(診断値)と上記2つの判定値との比較により2回目の触媒劣化診断を行わせることで、他性能への跳ね返りを防止する。
このように、従来装置においてはスレッシュ触媒について高吸入空気流量域で触媒診断を行わせることができなかったのであるが、本実施形態によれば、スレッシュ触媒についても高吸入空気流量域でも触媒診断を精度良く行わせることができることになった。
エンジンコントローラ6により実行されるこの制御の内容を以下のフローチャートにも付いて詳述する。
図6は、触媒3の劣化診断を行うためのルーチンで、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。所定の回転角毎に実行するようにしてもかまわない。ここで、ステップ8、9、10、12、13、18が本発明により新たに追加した部分であり、残りの部分は従来装置と同じである。
ステップ1では診断済みフラグをみる。診断済みフラグはエンジン始動時にゼロに初期設定されているので、ステップ2、3に進み、今回に診断許可条件にあるか否か、前回は診断許可条件にあったか否かをみる。例えばエンジン回転速度、燃料噴射パルス、車速、空燃比フィードバック補正係数、触媒温度(温度センサ11により検出)等が所定の範囲内であることを全て満たすとき診断許可条件が成立する。この場合、従来装置では吸入空気量が診断許可条件に加えられ、図3上段に示したように吸入空気量が所定値B以下であることを条件としていたのであるが、本ルーチンではこの吸入空気量の条件は削除されている。今回に診断許可条件になければそのまま今回の処理を終了する。
今回に診断許可条件にありかつ前回は診断許可条件になかった、つまり今回に診断許可条件となったときにはステップ2、3よりステップ4に進んで酸素ストレージ量積算値SUMOSQとその酸素ストレージ量積算値の前回値であるSUMOSQzに初期値のゼロを、またカウンタ値SUMCNTとそのカウンタ値の前回値であるSUMCNTzにゼロを入れ、切換フラグFLGGR=0とする。ステップ4の操作は診断を実行するに際して診断パラメータを初期化するものである。
ステップ5では酸素ストレージ量積算値の前回値であるSUMOSQzに触媒の酸素ストレージ量HSOSQを加算した値を酸素ストレージ量積算値(今回値)SUMOSQとして、つまり次式により空燃比フィードバック制御中の診断許可条件成立時の酸素ストレージ量積算値SUMOSQを更新する。
SUMOSQ=SUMOSQz+HSOSQ …(1)
この酸素ストレージ量積算値SUMOSQは空燃比フィードバック制御中に診断許可条件が成立してからの酸素ストレージ量SHSOSQの積算値を表す。
ここで、(1)式右辺の触媒の酸素ストレージ量HSOSQは空燃比フィードバック制御中の診断許可条件成立時にフロント空燃比センサ出力に基づいて算出されている。この空燃比フィードバック制御中の診断許可条件成立時の触媒の酸素ストレージ量SHSOSQの算出には、特開2006−2579号公報に記載の公知の算出方法を用いればよい。本発明は触媒の酸素ストレージ量SHSOSQの算出方法そのものに特徴はないので、その説明は省略する。
ステップ6ではカウンタ値SUMCNTを1だけインクリメントする。カウンタ値SUMCNTは空燃比フィードバック制御中に診断許可条件が成立してから上記(1)式により触媒の酸素ストレージ量SHSOSQを積算した回数を表す。
ステップ7ではこのカウンタ値SUMCNTと所定値SUOSLIM#を比較する。ここで、所定値SUOSLIM#は触媒の酸素ストレージ量の積算回数を設定するためのもので、適合により定めておく。今回に診断許可条件が成立したときにはカウンタ値SUMCNTは所定値SUOSLIM#よりも小さいのでそのまま今回の処理を終了する。
次回にはステップ2、3で今回に診断許可条件にありかつ前回も診断許可条件にあった、つまり続けて診断許可条件にあることになる。このときには、ステップ2、3よりステップ8に進んで、切換フラグFLGGRをみる。切換フラグFLGGRはステップ4でFLGGR=0とされているので、ステップ8よりステップ5、6、7に進み、ステップ5、6、7の操作を実行する。ステップ7でカウンタ値SUMCNTが所定値SUOSLIM#よりも小さいときにはそのまま今回の処理を終了する。診断許可条件が継続して成立していれば、以後もステップ1、2、3、8、5、6、7の操作を繰り返すことになり、酸素ストレージ量積算値SUMOSQとカウンタ値SUMCNTとが増えてゆく。やがて、カウンタ値SUMCNTが所定値SUOSLIM#以上になると、ステップ7よりステップ11に進み、次の式により空燃比フィードバック制御中の診断許可条件成立時の触媒の酸素ストレージ量平均値AVSQ1(診断値)を算出する。
AVSQ1=SUMOSQ/SUMCNT …(2)
ステップ12ではエアフローメータ9により検出されるそのときの吸入空気量Qaから図7を内容とするテーブルを検索することにより第2判定値OSCLIMGR#を算出する。第2判定値OSCLIMGR#は本発明により新たに導入したもので、後述する第1判定値OSCLIM#より大きく、かつ図7に示したように、最大と最小のほぼ中間の吸入吸気量まで一定であり、その中間の吸入空気量から吸入空気量が多くなるほど大きくなる値である。
ステップ13では、ステップ11で得ている酸素ストレージ量平均値AVSQ1とこの第2判定値OSCLIMGR#とを比較する。酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第2判定値OSCLIMGR#以上であれば触媒3に劣化は生じていないと判断しステップ14に進んで診断モニターを終了する。
酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第2判定値OSCLIMGR#未満であるときにはステップ13よりステップ15に進んで酸素ストレージ量平均値AVSQ1と第1判定値OSCLIM#(一定値)とを比較する。第1判定値OSCLIM#は従来装置と同じである。酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第1判定値OSCLIM#未満であれば触媒3に劣化が生じていると判断しステップ15からステップ16に進んで診断モニターランプを点灯させるかまたは触媒3が劣化しているという情報をメモリに記憶させる。
ステップ14、16で診断結果が出たときには診断を終了するためステップ17に進み診断済みフラグ=1として今回の処理を終了する。
この診断済みフラグ=1により次回にはステップ1よりステップ2以降に進むことができない。
一方、ステップ13、15で酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第2判定値OSCLIMGR#未満でかつ第1判定値OSCLIM#以上の範囲にあるときには、触媒に劣化が生じているか否かはっきりしないと判断しステップ13、15よりステップ18に進み、ゲイン切換フラグFLGGR=1として今回の処理を終了する。
ここで、ゲイン切換フラグFLGGRは、直接的には目標空燃比の算出に用いる目標ゲインを従来装置において導入しているフィードバック制御用ゲインTTGTGINから、本発明において新たに導入した診断専用ゲインCATGTGINへと切換えるためのフラグであるが、図6では2回目の診断を行わせるためのフラグとしても用いられる。ここでいう1回目の診断は、触媒に劣化が生じているか否かはっきりしないと判断したことであり、2回目の診断を次に説明する。すなわち、ステップ18で切換フラグFLGGR=1としたことにより、次回にはステップ1、2、3、8よりステップ9に進み、前回に切換フラグFLGGR=1であったか否かをみる。今回に切換フラグFLGGR=1でありかつ前回に切換フラグFLGGR=1であった、つまり今回に切換フラグFLGGRがゼロより1に切換わたっときにはステップ10に進んで、2回目の診断を実行するため診断パラメータをクリアし(酸素ストレージ量積算値SUMOSQとその酸素ストレージ量積算値の前回値であるSUMOSQzに初期値のゼロを、またカウンタ値SUMCNTとそのカウンタ値の前回値であるSUMCNTzにゼロを入れる)た後に、ステップ5、6、7の操作を行う。カウンタ値SUMCNTはステップ10でゼロとされるため、ステップ7ではカウンタ値SUMCNTが所定値SUOSLIM#より小さく、そのまま今回の処理を終了する。
次回には、ステップ8、9で今回に切換フラグFLGGR=1でありかつ前回にも切換フラグFLGGR=1であった、つまり続けて切換フラグFLGGR=1となる。このときにはステップ8、9よりステップ5、6、7に進んでステップ5、6、7の操作を繰り返す。ステップ7でカウンタ値SUMCNTが所定値SUOSLIM#より小さければそのまま今回の処理を終了する。
ステップ5、6の操作を繰り返し酸素ストレージ量積算値SUMOSQとカウンタ値SUMCNTとが増えてゆくと、やがてステップ7においてカウンタ値SUMCNTが所定値SUOSLIM#以上となる。このときには、ステップ7よりステップ11以降に進んで、2回目の診断を行う。すなわち、ステップ11で上記(2)式により、空燃比フィードバック制御中の診断許可条件成立時の酸素ストレージ量平均値AVSQ1(診断値)を算出する。ステップ12ではエアフローメータ9により検出されるそのときの吸入空気量Qaから図7を内容とするテーブルを検索することにより第2判定値OSCLIMGR#を算出する。ステップ13では、ステップ11で得ている酸素ストレージ量平均値AVSQ1とこの第2判定値OSCLIMGR#とを比較する。酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第2判定値OSCLIMGR#以上であれば触媒3に劣化が生じていないと判断しステップ14に進んで診断モニターを終了する。酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第2判定値OSCLIMGR#未満であるときにはステップ13よりステップ15に進んで酸素ストレージ量平均値AVSQ1と第1判定値OSCLIM#(一定値)とを比較する。酸素ストレージ量平均値AVSQ1が第1判定値OSCLIM#未満であれば触媒3に劣化が生じていると判断しステップ15からステップ16に進んで診断モニターランプを点灯させるかまたは触媒3が劣化しているという情報をメモリに記憶させる。
こうした2回目の診断では、切換フラグFLGGR=1により、後述するように診断専用ゲインCATGTGINを用いて目標空燃比が算出され、実際の空燃比がこの目標空燃比と一致するように空燃比フィードバック制御が行われるため、この診断専用ゲインCATGTGINを用いての空燃比フィードバック制御中に算出される酸素ストレージ量平均値AVSQ1は、第2判定値OSCLIMGR#未満でかつ第1判定値OSCLIM#以上の範囲にあることはなく(ステップ13、15からステップ18に進むことはなく)、必ず第2判定値OSCLIMGR#以上であるかまたは第1判定値OSCLIM#未満となる。このようにして、2回目の診断を終了したときには、診断を終了させるためステップ17に進み、診断済みフラグ=1とする。この診断済みフラグ=1により次回にはステップ1よりステップ2以降に進むことができない。
図8は空燃比フィードバック補正係数αを演算するためのもので、各気筒のRef信号(クランク角の基準位置信号)の入力毎に実行する。これは、Ref信号に同期して燃料噴射が行われ、この燃料噴射により排気中の空燃比が変化するので、これに合わせたもである。ここで、ステップ26、29、30が本発明により新たに追加した部分であり、残りの部分は従来装置と同じである。
順に説明すると、ステップ21では空燃比フィードバック制御条件の成立時であるか否かをみる。空燃比フィードバック制御条件の成立時は従来装置と同じで、例えばフロント空燃比センサ4が活性化していること等が成立したとき、空燃比フィードバック制御条件の成立時となる。また燃料カット時やエンジン高負荷時は空燃比フィードバック制御条件の非成立時である。空燃比フィードバック制御条件の非成立時にはステップ22に進んで空燃比フィードバック補正係数α=1.0として今回の処理を終了する。
空燃比フィードバック制御条件の成立時であるときには、ステップ21よりステップ23に進み、そのときの触媒の酸素ストレージ量HSOSQ、フロント空燃比センサ4により検出される実空燃比AFSAF、エアフローメータ9により検出される吸入空気量Qaを読み込む。ここで触媒の酸素ストレージ量HSOSQはフロント空燃比センサ出力に基づいて図示しないフローにより算出されている。
ステップ24では触媒の酸素ストレージ量HSOSQの目標酸素ストレージ量からの偏差HOSCS[%]を次式により演算する。
HOSCS=100×(HOSMAX/2−HSOSQ)/Qa
…(3)
ただし HOSMAX:最大酸素ストレージ量[%]
(3)式右辺に示したように、触媒の最大酸素ストレージ量HOSMAXのちょうど半分の値を目標ストレージ酸素量としている。(3)式右辺において吸入空気量Qaで除算しているのは、吸入空気量Qaの大小によって触媒の酸素ストレージ量が変化するので、単位吸入空気量当たりの酸素ストレージ量とすることで、吸入空気量Qaの大小の影響を受けないようにするためである。
ステップ25、26では診断許可条件の成立時であるか否か、切換フラグFLGGR=1であるか否かをみる。空燃比フィードバック制御中でも診断許可条件の成立時でないときや空燃比フィードバック制御中の診断許可条件の成立時でも切換フラグFLGGR=0であるときにはステップ27に進み、従来装置と同様に吸入空気量Qaから図9を内容とするテーブルを検索することによりフィードバック制御用ゲインTTGTGINを算出する。ステップ28では上記の偏差HOSCSにこのフィードバック制御用ゲインTTGTGINを乗算することにより、つまり次式により目標偏差(第1目標偏差)を算出する。
目標偏差=HOSCS×TTGTGIN …(4)
一方、空燃比フィードバック制御中の診断許可条件成立時かつ切換フラグFLGGR=1であるとき(つまり1回目の触媒診断により触媒に劣化が生じているか否かはっきりしないと判定されたとき)には2回目の診断を行う必要があるため、ステップ25、26よりステップ29に進み、吸入空気量Qaから図9を内容とするテーブルを検索することにより診断専用ゲインCTGTGINを算出する。ステップ30ではこの診断専用ゲインCTGTGINを上記偏差HOSCSに乗算することにより、つまり次式により目標偏差(第2目標偏差)を算出する。
目標偏差=HOSCS×CTGTGIN …(5)
図9には吸入空気量に対する診断専用ゲインCTGTGIN、フィードバック制御用ゲインTTGTGINの各特性を重ねて示しており、本発明で新たに導入した診断専用ゲインCTGTGINは、従来装置で既に導入しているフィードバック制御用ゲインTTGTGINよりも吸入空気量の全域で大きくなるように設定されている。
ステップ31では、ステップ28またはステップ30において求められた目標偏差に基づいて次式により目標空燃比TGABF(第1目標偏差に基づく場合が第1目標空燃比、第2目標偏差に基づく場合が第2目標空燃比)を算出する。
TGABF=14.7×(1−目標偏差) …(6)
ここでの空燃比制御はフィードバック制御であるため、ステップ32ではフロント空燃比センサ4により検出される実空燃比AFSAの、この目標空燃比TGABFからの偏差dAFを次式により演算する。
dAF=AFSA−TGABF …(7)
ステップ33ではこの空燃比偏差dAFに基づいて次式により空燃比フィードバック補正係数αを算出する。
α=dAF×PGain+ΣdAF×IGain+ΔdAF×DGain
…(8)
ただし、PGain:比例ゲイン(正の値)、
IGain:積分ゲイン(正の値)、
DGain:微分ゲイン(正の値)、
(8)式右辺の第1項、第2項、第3項はそれぞれ比例分、積分分、微分分で、(8)式はこれらの和を空燃比のフィードバック補正量とするものである。
図示しない燃料噴射量演算ルーチンではこのようにして演算した空燃比フィードバック補正係数αを用いて次式によりシーケンシャル噴射時の燃料噴射パルス幅Tiを演算する。
Ti=Tp×TFBYA×α×2+Ts …(9)
ただし、Tp :基本噴射パルス幅、
TFBYA:目標当量比、
Ts :無効噴射パルス幅、
そして、所定の噴射タイミングとなったときこの燃料噴射パルス幅Tiの分だけ各気筒に設けた燃料インジェクタが開かれ、燃料噴射が行われる。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1、5に記載の発明)によれば、三元触媒3(排気空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力を有する触媒)を備え、この触媒3の酸素ストレージ量HSOSQを算出し(図8のステップ23参照)、この算出される酸素ストレージ量HSOSQの目標酸素ストレージ量からの偏差HOSCSを算出し(図8のステップ24参照)、この偏差HOSCSとフィードバック制御用ゲインTTGTGINとに基づいて第1目標偏差を算出し(図8のステップ28参照)、この第1目標偏差に基づいて第1目標空燃比TGABFを算出し(図8のステップ31参照)、実際の空燃比AFSAFがこの第1目標空燃比TGABFと一致するように第1の空燃比フィードバック制御を行い(図8のステップ32、33参照)、吸入空気量に対して一定である第1判定値OSCLIM#を設定し(図6のステップ15参照)、この第1判定値OSCLIM#より大きな値である第2判定値OSCLIMGR#を設定し(図6のステップ12、13参照)、前記算出される触媒3の酸素ストレージ量HSOSQと前記第1、第2の2つの判定値(OSCLIM#、OSCLIMGR#)との比較により触媒3に劣化が生じているか否かを判定し(図6のステップ13〜16、18参照)、この判定結果より触媒3の酸素ストレージ量HSOSQが第2判定値OSCLIMGR#未満かつ第1判定値OSCLIM#以上であるときフィードバック制御用ゲインTTGTGINより触媒専用ゲインCATGTGINに切換えこの触媒専用ゲインCATGTGINと前記偏差HOSCSとに基づいて第2目標偏差を算出し(図8のステップ26、29、30参照)、この第2目標偏差に基づいて第2目標空燃比TGABFを算出し(図8のステップ31参照)、実際の空燃比AFSAFがこの第2目標空燃比TGABFと一致するように第2の空燃比フィードバック制御を行い(図8のステップ32、33参照)、この第2の空燃比フィードバック制御中に算出される触媒の酸素ストレージ量HSOSQと第1、第2の2つの判定値(OSCLIM#、OSCLIMGR#)との比較により再度触媒3に劣化が生じているか否かを判定する(図6のステップ13〜16参照)ので、吸入空気量の全ての領域で診断を行うことが可能となり、従来装置よりも診断の機会を増やすことができる。
また、診断許可条件が成立したからといって、いきなりフィードバック制御用ゲインTTGTGINより触媒専用ゲインCATGTGINに切換えたのでは、他性能への跳ね返りが懸念されるところ、1回目に触媒3に劣化が生じているか否かはっきりしないと判定されたときだけフィードバック制御用ゲインTTGTGINより触媒専用ゲインCATGTGINに切換えて2回目の判定を行うので、他性能への影響を最小限ににしながら診断精度の向上を図ることができる。
請求項1において酸素ストレージ量算出手段の機能は図8のステップ23により、偏差算出手段の機能は図8のステップ24により、第1目標偏差算出手段の機能は図8のステップ28により、第1目標空燃比算出手段の機能は図8のステップ31により、第1空燃比フィードバック制御手段の機能は図8のステップ32、33により、第1判定値設定手段の機能は図6のステップ15により、第2判定値設定手段の機能は図6のステップ12、13により、1回目判定手段の機能は図6のステップ13〜16、18により、第2目標偏差算出手段の機能は図8のステップ30により、第2目標空燃比算出手段の機能は図8のステップ31により、第2空燃比フィードバック制御手段の機能は図8のステップ32、33により、2回目判定手段の機能は図6のステップ13〜16によりそれぞれ果たされている。
請求項5において酸素ストレージ量算出処理手順は図8のステップ23により、偏差算出処理手順は図8のステップ24により、第1目標偏差算出処理手順は図8のステップ28により、第1目標空燃比算出処理手順は図8のステップ31により、第1空燃比フィードバック制御処理手順は図8のステップ32、33により、第1判定値設定処理手順は図6のステップ15により、第2判定値設定処理手順は図6のステップ12、13により、1回目判定処理手順は図6のステップ13〜16、18により、第2目標偏差算出処理手順は図8のステップ30により、第2目標空燃比算出処理手順は図8のステップ31により、第2空燃比フィードバック制御処理手順は図8のステップ32、33により、2回目判定処理手順は図6のステップ13〜16によりそれぞれ果たされている。
本発明の一実施形態の触媒診断装置の概略構成図。 触媒の劣化が少ないときと触媒に劣化が生じているときの各酸素ストレージ量の挙動を示すタイミングチャート。 上限劣化触媒、スレッシュ触媒についての吸入空気量に対する酸素ストレージ量の特性図。 吸入空気量と酸素ストレージ量をパラメータとする判定領域図。 目標空燃比の算出に用いるターゲットゲインを変化させたときの目標空燃比、実際の空燃比、酸素ストレージ量、リアO2センサ出力の各変化を示すタイミングチャート。 触媒劣化診断を説明するためのフローチャート。 第2判定値の特性図。 空燃比フィードバック補正係数の演算を説明するためのフローチャート。 フィードバック制御ゲイン、診断専用ゲインの2つの目標ゲインの吸入空気量に対する特性図。
符号の説明
1 エンジン
3 触媒
4 フロント空燃比センサ
5 リア酸素センサ
6 エンジンコントローラ

Claims (5)

  1. エンジンから排出される排気の空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力を有する触媒と、
    この触媒の酸素ストレージ量を算出する酸素ストレージ量算出手段と、
    この算出される酸素ストレージ量に対する前記触媒の目標酸素ストレージ量からの偏差を算出する偏差算出手段と、
    この偏差と、エンジンの空燃比制御のフィードバック制御用ゲインとに基づいて算出される第1目標偏差に基づき第1目標空燃比を算出する第1目標空燃比算出手段と、
    この第1目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御を行う第1空燃比フィードバック制御手段と、
    この第1目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御中に算出される前記酸素ストレージ量と、吸入空気量に対して一定である第1判定値とを、もしくは第1判定値より大きな値である第2判定値とを比較することで、前記触媒が劣化しているか否かを判定する第1判定手段と、
    この第1判定手段の判定結果により前記算出される酸素ストレージ量が第2判定値未満かつ第1判定値以上であるときに前記フィードバック制御用ゲインから触媒専用ゲインに切換え、この触媒専用ゲインと前記偏差とに基づいて算出される第2目標偏差に基づき第2目標空燃比を算出する第2目標空燃比算出手段と、
    この第2目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御を行う第2空燃比フィードバック制御手段と、
    この第2目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御中に算出される前記酸素ストレージ量と前記第1判定値、第2判定値の2つの判定値との比較により再度前記触媒に劣化が生じているか否かを判定する第2判定手段と、
    を備えることを特徴とする触媒診断装置。
  2. 前記第2判定値は最大と最小のほぼ中間の吸入吸気量まで一定であり、その中間の吸入空気量から吸入空気量が多くなるほど大きくなる値であることを特徴とする請求項1に記載の触媒診断装置。
  3. 前記フィードバック制御用ゲイン及び触媒専用ゲインは吸入空気量に応じた値であることを特徴とする請求項1に記載の触媒診断装置。
  4. 前記1回目判定手段は、前記算出される酸素ストレージ量が第2判定値以上であるとき前記触媒に劣化が生じていないと、前記算出される酸素ストレージ量が第1判定値未満であるとき前記触媒に劣化が生じていると、前記算出される酸素ストレージ量が第2判定値未満かつ第1判定値以上であるとき前記触媒に劣化が生じているか否かはっきりしないとそれぞれ判定することを特徴とする請求項1に記載の触媒診断装置。
  5. エンジンから排出される排気の空燃比に応じて排気中の酸素を取り込み、あるいは放出する酸素ストレージ能力を有する触媒を備え、
    この触媒の酸素ストレージ量を算出する酸素ストレージ量算出処理手順と、
    この算出される酸素ストレージ量に対する前記触媒の目標酸素ストレージ量からの偏差を算出する偏差算出処理手順と、
    この偏差と、エンジンの空燃比制御のフィードバック制御用ゲインとに基づいて算出されるに基づき第1目標空燃比を算出する第1目標空燃比算出処理手順と、
    この第1目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御中に算出される前記酸素ストレージ量と、吸入空気量に対して一定である第1判定値とを、もしくは第1判定値より大きな値である第2判定値とを比較することで、前記触媒が劣化しているか否かを判定する第1判定処理手順と、
    この第1判定処理手順の判定結果により前記算出される酸素ストレージ量が第2判定値未満かつ第1判定値以上であるときに前記フィードバック制御用ゲインから触媒専用ゲインに切換え、この触媒専用ゲインと前記偏差とに基づいて算出される第2目標偏差に基づき第2目標空燃比を算出する第2目標空燃比算出処理手順と、
    この第2目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御を行う第2空燃比フィードバック制御処理手順と、
    この第2目標空燃比を目標空燃比とした空燃比フィードバック制御中に算出される前記酸素ストレージ量と前記第1判定値、第2判定値の2つの判定値との比較により再度前記触媒に劣化が生じているか否かを判定する第2判定処理手順と、
    を含むことを特徴とする触媒診断方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020169587A (ja) * 2019-04-02 2020-10-15 日本特殊陶業株式会社 センサ制御装置
CN114233449A (zh) * 2021-12-22 2022-03-25 潍柴动力股份有限公司 后处理的诊断方法、装置、电子设备及计算机存储介质

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