JP2006273667A - シリカマクロポア粒子及びその製造法並びにその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】 クラウンエーテル等のイオンを交換乃至は吸着できる樹脂を担持させてなる吸着成分を大量に担持させることができ、しかも十分な粒子強度を有しており、クラマトグラフィのカラム等の充填した場合にも粒子形状が安定に保持され、元素や同位体を化学的に分離濃縮に支障を及ぼすことがない多孔質粒子を提供する。
【解決手段】 シリカ微細粒子の集合体から形成された球状二次粒子からなり、該球状二次粒子は、レーザ回折法により測定して5乃至200μmの平均粒径(D50)を有しており、水銀圧入法で測定して半径0.1乃至2μmの粒子内細孔と0.5ml/g以上の細孔容積とを有し、且つ粒子強度が0.5以上であることを特徴とする。シリカ微細粒子が有機バインダーと共に水に懸濁分散されたスラリーを調製し、該スラリーをスプレー造粒し、得られた粒状物を乾燥及び焼成することにより製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】 シリカ微細粒子の集合体から形成された球状二次粒子からなり、該球状二次粒子は、レーザ回折法により測定して5乃至200μmの平均粒径(D50)を有しており、水銀圧入法で測定して半径0.1乃至2μmの粒子内細孔と0.5ml/g以上の細孔容積とを有し、且つ粒子強度が0.5以上であることを特徴とする。シリカ微細粒子が有機バインダーと共に水に懸濁分散されたスラリーを調製し、該スラリーをスプレー造粒し、得られた粒状物を乾燥及び焼成することにより製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、大きな細孔を有するシリカマクロポア粒子及びその製造法に関するものであり、より詳細には、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム等の陰イオン交換基、スルフォン基、カルボキシル基等の陽イオン交換基を有するイオン交換性樹脂乃至クラウンエーテル系等のイオン吸着性樹脂などの化合物の担持に好適に使用されるシリカマクロポア粒子及びその製造法に関するものである。
一般に、原子力発電所の炉水中に、亜鉛イオン、特に同位体である64Znを除いた亜鉛イオンを微量添加すると、配管等への放射性物質の蓄積が抑制されることが知られている。このため、亜鉛同位体の分離技術が要望されている。
亜鉛同位体を分離するための吸着剤として、クラウンエーテルをシリカ等の多孔質粒子に担持させたものが提案されている(特許文献1)。 即ち、上記の吸着剤をクロマトグラフィのカラムに充填し、このカラムに亜鉛イオンを含む水溶液を通すことにより、クラウンエーテルによる吸着効果により64Znを減損するというものである。
また、原子炉運転後の燃料中に生成する放射性核種であるアメリシウム、キュリウム、カリホルニウム等の超ウラン元素を分離精製する為に、3級ピリジン樹脂をシリカ等の多孔質粒子に担持させたものも提案されている(特許文献2)。
また、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム等の陰イオン交換基、スルフォン基、カルボキシル基等の陽イオン交換基を有するイオン交換性樹脂乃至クラウンエーテル系等のイオン吸着性樹脂の担持に使用する多孔質粒子としては、モリブデン酸塩などの無機塩の水溶液を微小シリカに含浸させ、乾燥し、焼成することにより得られたシリカ粒子が提案されている(特許文献3)。
特開2001−70757号公報
特願2004−039808号公報
特開平11−35314号公報
しかしながら、上記のようにイオン交換乃至は吸着できる樹脂を多孔質粒子に担持させたものは、十分な粒子強度を有しているものの、十分な量の樹脂を担持させることができないという問題がある。また、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム等の陰イオン交換基、スルフォン基、カルボキシル基等の陽イオン交換基を有するイオン交換性樹脂乃至クラウンエーテル系等のイオン吸着性樹脂の担持に使用する多孔質粒子が、モリブデン酸塩などの特殊な剤を用いて製造され、その廃液処理にもコストがかかり、また装置自身が本発明の様な一般的な噴霧乾燥機ではなく、特殊なものであり、極めて高コストであるという問題もあった。
従って、本発明の目的は、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム等の陰イオン交換基、スルフォン基、カルボキシル基等の陽イオン交換基を有するイオン交換性樹脂乃至クラウンエーテル系等のイオン吸着性樹脂を大量に担持させることができ、しかも十分な粒子強度を有しており、クロマトグラフィのカラム等の充填した場合にも粒子形状が安定に保持され、分離操作に支障を及ぼすことがない多孔質粒子を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記多孔質粒子を安価に製造し得る製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記多孔質粒子を安価に製造し得る製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、シリカマクロポア粒子にイオン交換乃至は吸着する樹脂を担持させて元素や同位体等の化学物質を化学的に分離濃縮可能ならしめる材料を提供することにある。
本発明によれば、シリカ微細粒子の集合体から形成された球状二次粒子からなり、該球状二次粒子は、レーザ回折法により測定して5乃至200μmの平均粒径(D50)を有しており、水銀圧入法で測定して半径0.1乃至2μmの粒子内細孔径と0.5ml/g以上の細孔容積とを有し、且つ下記式(1):
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
で定義される粒子強度が0.5以上であることを特徴とするシリカマクロポア粒子が提供される。
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
で定義される粒子強度が0.5以上であることを特徴とするシリカマクロポア粒子が提供される。
本発明のシリカマクロポア粒子においては、前記シリカ微細粒子は、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの平均粒径を有していることが好ましい。
本発明によれば、また、シリカ微細粒子が有機バインダーと共に水に懸濁分散されたスラリーを調製し、該スラリーをスプレー造粒し、得られた粒状物を乾燥及び焼成することを特徴とする上記シリカマクロポア粒子の製造法が提供される。
上記の製造法においては、
(1)前記シリカ微細粒子として、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの平均粒径を有しているものを使用すること、
(2)前記有機バインダーとして、40重量%水分散液の粘度(25℃)が0.1Pa・s以下となるものを使用すること、
(3)前記有機バインダーとして、有機酸塩を使用すること、
(4)前記有機酸塩がリグニンスルフォン酸塩であること、
(5)前記スラリー中のシリカ(SiO2)濃度が5乃至35重量%であり、前記有機バインダーを、シリカ微細粒子100重量部当り5乃至80重量部の量で使用すること、
(6)前記焼成を650乃至1000℃の温度で行うこと、
が好ましい。
(1)前記シリカ微細粒子として、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの平均粒径を有しているものを使用すること、
(2)前記有機バインダーとして、40重量%水分散液の粘度(25℃)が0.1Pa・s以下となるものを使用すること、
(3)前記有機バインダーとして、有機酸塩を使用すること、
(4)前記有機酸塩がリグニンスルフォン酸塩であること、
(5)前記スラリー中のシリカ(SiO2)濃度が5乃至35重量%であり、前記有機バインダーを、シリカ微細粒子100重量部当り5乃至80重量部の量で使用すること、
(6)前記焼成を650乃至1000℃の温度で行うこと、
が好ましい。
本発明によれば、さらに、上記シリカマクロポア粒子にイオン交換乃至は吸着できる樹脂を担持させてなる元素や同位体を化学的に分離濃縮可能ならしめる材料が提供される。
本発明のシリカマクロポア粒子は、シリカ微細粒子の集合体から形成された球状二次粒子からなるものであり、レーザ回折法による平均粒径(D50)が5乃至200μmの範囲にある比較的小さな球状粒子であるが、水銀圧入法で測定したとき、その粒子内細孔が半径0.1乃至2μmの範囲にあり、且つ0.5ml/g以上の細孔容積を有していること、即ち、図3の電子顕微鏡写真に示されているように、大きな細孔を有していることが顕著な特徴である。このような大きな細孔を有しているため、このシリカマクロポア粒子は、その内部に多量の吸着成分(例えば[0005]記載のイオン交換樹脂)を安定に担持することができる。しかも、このシリカマクロポア粒子は、大きな細孔を有しているにもかかわらず、前記式(1)で算出される粒子強度(I)が0.5以上であり、極めて高い粒子強度を示す。
このように本発明のシリカマクロポア粒子は、大きな細孔を有しながら高い強度を有しているため、例えば[0005]記載のイオン交換樹脂などを多量且つ安定に担持させ、クロマトグラフィのカラムなどに充填して64Zn同位体の分離に有効に適用することができる。
また、上記のシリカマクロポア粒子は、微細シリカと有機バインダーとを含むスラリーを造粒し、乾燥及び焼成することにより製造されるが、かかる方法では、モリブデン酸塩などの格別の無機塩を用いる必要がないため、極めて安価にまた環境への負荷がなくシリカマクロポア粒子を製造することができ、工業的メリットが極めて大きい。
また、上記の製造方法においては、有機バインダーとして有機酸塩、特にリグニンスルフォン酸塩を用いることが好適である。このような有機バインダーは、スラリー中で分散剤として機能し、しかも焼成時には融材として機能すると思われ、これにより、微細なシリカ粒子を結合させ、大きな細孔と大きな粒子強度を有する球状二次粒子を形成させることが可能となる。
<シリカマクロポア粒子の製造>
本発明のシリカマクロポア粒子は、シリカ微細粒子を出発原料として使用し、このシリカ微細粒子を有機バインダーと共に水に懸濁分散してスラリーを調製し、このスラリーをスプレー造粒し、得られた粒状物を乾燥し、次いで焼成することにより製造される。
本発明のシリカマクロポア粒子は、シリカ微細粒子を出発原料として使用し、このシリカ微細粒子を有機バインダーと共に水に懸濁分散してスラリーを調製し、このスラリーをスプレー造粒し、得られた粒状物を乾燥し、次いで焼成することにより製造される。
原料として用いるシリカ微細粒子は、例えばケイ酸アルカリと鉱酸とを反応させ、反応物を造粒することにより得られるものであるが、かかるシリカ微細粒子は、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの範囲にあることが好ましい。この平均粒径があまり大きいものを用いると、得られるシリカマクロポア粒子の粒子強度が低下する傾向があり、平均粒径があまり小さいものを用いると、造粒が困難となり、また得られるシリカマクロポア粒子の粒子内細孔が小さくなってしまう。
本発明では、バインダーとして有機バインダーを用いることが重要である。後述の比較例に示すように、バインダーとしてシリカゾルを使用しても類似したシリカ粒子は得られる。しかし、SEM写真で確認できるように、この場合の粒子には表面近傍にシリカゾルと推測される緻密な外郭を有しており、粒子内部に存在する大きな細孔容積を有効に利用する事が出来ない(図6乃至8参照)。一方、本発明で得られるシリカマクロポア粒子はこのような緻密な外郭は存在せず、優れた通気性を有し、内部の細孔を充分に利用できる構造となっている(図3乃至5参照)。
上記シリカ微細粒子と併用する有機バインダーとしては、所謂結着機能を有するものであれば種々のものを使用することができるが、特に、40重量%水分散液を調製したとき、その粘度(25℃)が0.1Pa・s以下、好ましくは0.06Pa・s以下となるものが好適である。即ち、増粘作用の大きなものでは、スプレー造粒が困難となってしまうため、その使用量が著しく少量に限定されてしまい、十分な量の有機バインダーを使用することができないと、結局、シリカマクロポア粒子の粒子強度が低下してしまい、さらには粒子内細孔も小さなものとなってしまう。
上記のような適度な増粘作用を有する有機バインダーとしては、種々のものを例示することができるが、中でも有機酸塩、例えばリグニンスルフォン酸塩、グルコン酸ソーダ、ナフタレンスルフォン酸、メラミンスルフォン酸、ポリカルボン酸塩、アミノスルフォン酸塩などが好適に使用される。このような有機酸塩は、セメント等の分散剤としての機能を有しており、スラリー中でシリカ微細粒子を安定に分散保持し、均一な粒径のシリカポア粒子を得る上で極めて好適である。これらの中でも、リグニンスルフォン酸塩(例えばマグネシウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩)は、製紙の蒸解工程での廃棄物として得られ、極めて安価であり、しかも結着効果が極めて高く、粒子強度の高いシリカポア粒子を得る上で最も好適である。
上述した有機バインダーは、一般に、前記シリカ微細粒子(SiO2)100重量部当り5乃至80重量部、特に10乃至30重量部の量で使用することが好ましい。有機バインダーの量が、上記範囲より少なくても或いは多くても、シリカマクロポア粒子の粒子強度が弱くなるだけでなく粒子内細孔容積も小さくなる傾向にあり、イオン交換樹脂などの基材を十分に担持させることが困難となる。
本発明においては、上述したシリカ微細粒子と有機バインダーとを水に懸濁分散させて水性スラリーを調製し、このスラリーをスプレー造粒に供する。スラリー中のシリカ微細粒子の濃度等は、スラリーの粘度がスプレー可能な程度の範囲に設定されるが、一般に、該スラリー中のシリカ(SiO2)濃度は5乃至35重量%、特に10乃至30重量%の範囲とするのがよい。シリカ濃度があまり高いと、該スラリーの粘度が増加し噴霧できなくなる他、得られるマクロポア粒子の粒径が粗大となる傾向がある。またシリカ濃度があまり希薄であると、生産効率が低くなりばかりか、シリカマクロポア粒子内部に気泡が出来やすく、十分な粒子強度を得る事が出来なくなる。
スラリーの調製に際しては、予めシリカ微細粒子を水に懸濁分散させた後に有機バインダーを添加してもよいし、シリカ微細粒子と有機バインダーとを一括で水に懸濁させてもよく、任意の手段を採用することができる。
上記のスラリーをスプレー噴霧することにより、シリカ微細粒子が有機バインダーで結合した二次粒子構造を有する粒状物が得られ、これを乾燥し、次いで焼成して有機バインダーを除去することにより、目的とするシリカマクロポア粒子を得ることができる。
有機バインダーを除去するための焼成は、一般に650乃至1000℃の温度で行われる。即ち、焼成温度があまり高いと、シリカ微細粒子同士が融合してしまい、細孔を形成することができなくなってしまう。また、焼成温度が低いと、有機バインダーが燃焼せずに残存してしまい、やはり目的とするシリカマクロポア粒子を得ることができない。
<シリカマクロポア粒子>
上記のようにして得られるシリカマクロポア粒子は、図3の電子顕微鏡写真に示されているように、シリカ微細粒子が集合した球状二次粒子構造を有しており、この二次粒子内には大きな細孔が形成されている。
上記のようにして得られるシリカマクロポア粒子は、図3の電子顕微鏡写真に示されているように、シリカ微細粒子が集合した球状二次粒子構造を有しており、この二次粒子内には大きな細孔が形成されている。
例えば、上記の球状二次粒子を形成しているシリカ微細粒子(即ち、一次粒子に相当する)は、原料として用いたシリカ微細粒子であり、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの平均粒径を有している。また、このシリカ微細粒子から形成されている球状二次粒子は、レーザ回折法により測定した平均粒径が5乃至200μmの範囲にある。
また、この球状二次粒子は、有機バインダーの燃焼除去により粒子内に大きな細孔が形成されており、水銀圧入法で測定した粒子内細孔が、半径0.1乃至2μmの範囲にあり、且つ細孔容積が0.5ml/g以上、特に0.6乃至1.2ml/gの範囲にある。
このように本発明のシリカマクロポア粒子は、大きな粒子内細孔を有する二次粒子構造を有するものであるが、このような大きな粒子内細孔を有しているにもかかわらず、極めて高い粒子強度を有しており、例えば下記式(1):
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
で定義される粒子強度が0.5以上、特に0.6以上の範囲にある。即ち、本発明のシリカマクロポア粒子は、混合攪拌等の外力が加わる処理に付された場合にも、有効に元の粒子形状が有効に保持されるのである。本発明のシリカマクロポア粒子が、このように大きな粒子強度を示す理由は正確に解明されているわけではないが、有機バインダーに由来するMgやCa或いはNaなどが灰分として検出されることから、焼成時に、有機バインダーが融材として機能しているためではないかと考えられる。
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
で定義される粒子強度が0.5以上、特に0.6以上の範囲にある。即ち、本発明のシリカマクロポア粒子は、混合攪拌等の外力が加わる処理に付された場合にも、有効に元の粒子形状が有効に保持されるのである。本発明のシリカマクロポア粒子が、このように大きな粒子強度を示す理由は正確に解明されているわけではないが、有機バインダーに由来するMgやCa或いはNaなどが灰分として検出されることから、焼成時に、有機バインダーが融材として機能しているためではないかと考えられる。
<用途>
上述した本発明のシリカマクロポア粒子は、大きな粒子内細孔を有し、しかも極めて高い粒子強度を有しているため、クロマトグラフィ用充填剤として極めて有用であり、例えばクラウンエーテルの如き、亜鉛同位体吸着成分を多量に担持させ、亜鉛同位体除去材として有効に使用することができる。
上述した本発明のシリカマクロポア粒子は、大きな粒子内細孔を有し、しかも極めて高い粒子強度を有しているため、クロマトグラフィ用充填剤として極めて有用であり、例えばクラウンエーテルの如き、亜鉛同位体吸着成分を多量に担持させ、亜鉛同位体除去材として有効に使用することができる。
即ち、12−Crown−4、15−Crown−5、18−Crown−6など、亜鉛イオンに近い内孔半径を有するクラウンエーテルは、環内に64Znを取り込み、他の亜鉛イオン(66Znなど)を分離することができるため、これを上記のマクロポア粒子に担持させ、クロマトグラフィのカラムに充填して、放射性物質の蓄積防止に有用な66Znなどを高濃度で得ることができる。
本発明のシリカマクロポア粒子は、大きな粒子内細孔を有しているため、上記のようなピリジン系やクラウンエーテル系等の樹脂を極めて多量に、例えば該マクロポア粒子100重量部当り、5乃至50重量部、特に10乃至35重量部の量で担持させることができるので、64Zn同位体の除去を効率よく行うことができる。尚、この担持は、例えばクラウンエーテルを適当な溶剤に溶解乃至分散させて液を、シリカマクロポア粒子に含浸させ、縮重合させることにより容易に行うことができる。尚、担持させるのはクラウンエーテルに限定されるものではなく、例えば一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム等の陰イオン交換基、スルフォン基、カルボキシル基等の陽イオン交換基を有するイオン交換性樹脂なども同様に担持させることができる。
勿論本発明のシリカマクロポア粒子は、大きな粒子内細孔と高強度を有しているため、上記の用途に限定されるものではなく、各種重合用触媒の担体、樹脂や化粧料、その他の組成物に対する配合剤、各種薬品に対する担体、スペーサー、各種有用成分(香料、薬効成分、殺菌剤、防カビ剤、肥料)用担体等の用途にも使用することができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。なお、実施例で行った試験方法は以下の通りである。
(1)平均粒径(D50)及び粒子強度
平均粒径(D50)は、Malvern社製 Mastersizerを使用して、レーザ回折法で測定した。また粒子強度は、下記式(1)、
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
より求めた。
平均粒径(D50)は、Malvern社製 Mastersizerを使用して、レーザ回折法で測定した。また粒子強度は、下記式(1)、
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
より求めた。
(2)細孔容積(水銀圧入法)
Micromeritics社製 Auto Pore IVを用い、水銀圧入法により細孔容積を測定した。
Micromeritics社製 Auto Pore IVを用い、水銀圧入法により細孔容積を測定した。
(3)電子顕微鏡の測定による平均粒径
走査型電子顕微鏡(日立製S−570)で得られた写真像から、代表的な粒子を選んで、平均粒径を測定した。
走査型電子顕微鏡(日立製S−570)で得られた写真像から、代表的な粒子を選んで、平均粒径を測定した。
(4)粘度
B型粘度計(東京計器製造所製)を用いて、40重量%水分散液の粘度(25℃)を測定した。
B型粘度計(東京計器製造所製)を用いて、40重量%水分散液の粘度(25℃)を測定した。
(シリカ微細粒子1)
電子顕微鏡の測定による平均粒径が0.1μmである非晶質シリカを用いた(シリカ1とする)。SEM写真(倍率:10000倍)を図1に示す。
電子顕微鏡の測定による平均粒径が0.1μmである非晶質シリカを用いた(シリカ1とする)。SEM写真(倍率:10000倍)を図1に示す。
(シリカ微細粒子2)
電子顕微鏡の測定による平均粒径が2.4μmである非晶質シリカを用いた(シリカ2とする)。SEM写真(倍率:10000倍)を図2に示す。
電子顕微鏡の測定による平均粒径が2.4μmである非晶質シリカを用いた(シリカ2とする)。SEM写真(倍率:10000倍)を図2に示す。
(実施例1)
予め、シリカ1の20重量%スラリーを調整する。有機バインダーとして日本製紙製サンエキスSCL(40%リグニンスルフォン酸塩水溶液;粘度0.05Pa・s)を使用し、前述のスラリーに、バインダー固形分としてシリカに対し20重量部となるよう投入し均一分散させたスラリーを試料液とする。ディスクアトマイザー型スプレードライヤーを用いて試料液を噴霧乾燥させる。得られた乾燥粒子を800℃にて処理し、焼成粒子(S−1とする)を得た。粒子の断面のSEM写真を図3(倍率:1000倍)及び図4(倍率:5000倍)にそれぞれ示す。
予め、シリカ1の20重量%スラリーを調整する。有機バインダーとして日本製紙製サンエキスSCL(40%リグニンスルフォン酸塩水溶液;粘度0.05Pa・s)を使用し、前述のスラリーに、バインダー固形分としてシリカに対し20重量部となるよう投入し均一分散させたスラリーを試料液とする。ディスクアトマイザー型スプレードライヤーを用いて試料液を噴霧乾燥させる。得られた乾燥粒子を800℃にて処理し、焼成粒子(S−1とする)を得た。粒子の断面のSEM写真を図3(倍率:1000倍)及び図4(倍率:5000倍)にそれぞれ示す。
(実施例2)
実施例1において、シリカ1をシリカ2に替え、乾燥粒子の焼成温度を850℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、焼成粒子(S−2とする)を得た。粒子のSEM写真(倍率:5000倍)を図5に示す。
実施例1において、シリカ1をシリカ2に替え、乾燥粒子の焼成温度を850℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、焼成粒子(S−2とする)を得た。粒子のSEM写真(倍率:5000倍)を図5に示す。
(実施例3)
実施例2で得たスラリー試料液を、二流体ノズル型スプレードライヤーを使用して噴霧乾燥させ、焼成粒子(S−3とする)を得た。
実施例2で得たスラリー試料液を、二流体ノズル型スプレードライヤーを使用して噴霧乾燥させ、焼成粒子(S−3とする)を得た。
(比較例1)
有機バインダーに替えてシリカゾル(日産化学製スノーテックス30)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、焼成粒子(H−1とする)を得た。粒子の断面のSEM写真を図6(倍率:1000倍)及び図7(倍率:5000倍)にそれぞれ示す。
有機バインダーに替えてシリカゾル(日産化学製スノーテックス30)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行ない、焼成粒子(H−1とする)を得た。粒子の断面のSEM写真を図6(倍率:1000倍)及び図7(倍率:5000倍)にそれぞれ示す。
(比較例2)
有機バインダーに替えてシリカゾル(日産化学製スノーテックス30)を使用した以外は、実施例2と同様の操作を行ない、焼成粒子(H−1とする)を得た。粒子のSEM写真を図8(倍率:5000倍)に示す。
有機バインダーに替えてシリカゾル(日産化学製スノーテックス30)を使用した以外は、実施例2と同様の操作を行ない、焼成粒子(H−1とする)を得た。粒子のSEM写真を図8(倍率:5000倍)に示す。
各実施例及び比較例で得られた焼成粒子について物性測定を行い、結果を表1に示す。また、実施例1及び3の細孔分布図を図9に示す。細孔分布図において、実施例3の様に小粒径となった場合、水銀ポロシメーターでは半径0.1乃至2μmの間に粒子間空隙が含まれてしまう為、これを除外する必要が生じる。今回の場合は、半径0.3μm以下を粒子内細孔とした。
Claims (10)
- シリカ微細粒子の集合体から形成された球状二次粒子からなり、該球状二次粒子は、レーザ回折法により測定して5乃至200μmの平均粒径(D50)を有しており、水銀圧入法で測定して半径0.1乃至2μmの粒子内細孔と0.5ml/g以上の細孔容積とを有し、且つ下記式:
I=I05/I00 …(1)
式中、I00は、前記球状二次粒子の平均粒径(D50)を示し、
I05は、前記球状二次粒子の0.01重量%分散スラリーを、5分間超音波分
散させたときの該球状二次粒子のレーザ回折法による平均粒径(D50)を示す、
で定義される粒子強度が0.5以上であることを特徴とするシリカマクロポア粒子。 - 前記シリカ微細粒子は、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの平均粒径を有している請求項1に記載のシリカマクロポア粒子。
- シリカ微細粒子が有機バインダーと共に水に懸濁分散されたスラリーを調製し、該スラリーをスプレー造粒し、得られた粒状物を乾燥及び焼成することを特徴とする請求項1に記載のシリカマクロポア粒子の製造法。
- 前記シリカ微細粒子として、電子顕微鏡で測定して0.1乃至5μmの平均粒径を有しているものを使用する請求項3に記載の製造法。
- 前記有機バインダーとして40重量%水分散液の粘度(25℃)が0.1Pa・s以下となるものを使用する請求項4に記載の製造法。
- 前記有機バインダーとして、有機酸塩を使用する請求項5に記載の製造法。
- 前記有機酸塩がリグニンスルフォン酸塩である請求項6に記載の製造法。
- 前記スラリー中のシリカ(SiO2)濃度が5乃至35重量%であり、前記有機バインダーを、シリカ微細粒子100重量部当り5乃至80重量部の量で使用する請求項3乃至7の何れかに記載の製造法。
- 前記焼成を650乃至1000℃の温度で行う請求項3乃至8の何れかに記載の製造法。
- 請求項1記載のシリカマクロポア粒子にイオン交換乃至は吸着する樹脂を担持させてなる元素や同位体を化学的に分離濃縮可能ならしめる材料。
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JP2005095875A JP2006273667A (ja) | 2005-03-29 | 2005-03-29 | シリカマクロポア粒子及びその製造法並びにその用途 |
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JP2012121790A (ja) * | 2010-11-15 | 2012-06-28 | Shiseido Co Ltd | 球状多孔質ダイヤモンド粒子及びその製造方法 |
JP2016060661A (ja) * | 2014-09-17 | 2016-04-25 | 株式会社トクヤマ | 窒化硼素粉末及びその製造方法 |
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- 2005-03-29 JP JP2005095875A patent/JP2006273667A/ja not_active Withdrawn
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