JP2006272300A - 有機化合物の断熱冷却式晶析方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結晶槽20において冷媒を含む対象の有機化合物混合液に対して、冷媒の断熱蒸発操作を行い、この操作により生成した結晶スラリーは前記結晶槽か20ら抜き出し、蒸発ベーパーは圧縮機30により前記結晶槽20の操作圧力以上に加圧し、吸収凝縮器10に導き、前記吸収凝縮器10において、前記有機化合物の溶解液と加圧された前記蒸発ベーパーとを接触させながら冷却して凝縮を図り、この吸収凝縮液を最終的に前記結晶槽20に導く。
【選択図】図1
Description
<請求項1項記載の発明>
結晶槽において冷媒を含む対象の有機化合物の混合溶液に対して、冷媒の断熱冷却、蒸発操作を行い、
この操作により生成した結晶スラリーは前記結晶槽から抜き出し、
蒸発ベーパーは圧縮機により前記結晶槽の操作圧力以上に加圧し、吸収凝縮器に導き、
前記吸収凝縮器において、前記有機化合物の混合溶液と加圧された前記蒸発ベーパーとを接触させながら冷却して凝縮を図り、
この吸収凝縮液を前記結晶槽に導くことを特徴とする有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
結晶槽において冷媒を含む対象の有機化合物の混合溶液に対して、冷媒の断熱冷却、蒸発操作を行うと、実質的には冷媒液成分だけの蒸発に伴い結晶化熱が奪い取られ、結晶が析出する。蒸発ベーパーは圧縮機により前記結晶槽の操作圧力以上に加圧し、吸収凝縮器に導き凝縮を図る。蒸発ベーパーを圧縮機により結晶槽の操作圧力以上に加圧する理由は、一般の冷凍サイクルのように凝縮のための温度差を圧縮機により加圧するためである。吸収凝縮器においては、気圧が低い有機化合物の混合溶液と接触するので、沸点上昇が生じ、吸収、凝縮できる温度が高まる。したがって、必要な加圧の度合いが小さくて足り、凝縮に必要な外部からの投入エネルギーが小さいもので足りる。
前記結晶槽から抜き出した結晶スラリーを固液分離し、分離された母液を前記吸収凝縮器に返送する請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
吸収凝縮器では、有機化合物の混合溶液を供給して加圧蒸発ベーパーとの接触を図るほか、前記結晶槽から抜き出した結晶スラリーを、遠心分離機や装置コスト的に望ましい液体サイクロンなどにより固液分離し、分離された母液を前記吸収凝縮器に返送することで、加圧蒸発ベーパーとの接触を図ることができる。いずれの形態を採るかは、対象の有機化合物の種別や目的の有機化合物の混合溶液中での濃度、操作条件などにより選択できる。ここで、固液分離のための設備や工程に限定はないが、たとえば遠心分離機、ろ過機、溶融精製塔、ピストン式ないしはスクリュー式の洗浄塔などを挙げることができる。
前記結晶槽の操作圧力が、真空または4気圧以下である請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
結晶槽の操作圧力(蒸発圧力)としては、結晶槽などに要求される耐圧性や生成結晶の分離方法、装置を考えた場合、常圧付近で操作するのが望ましく、高くとも4気圧とするのが望ましい。
前記吸収凝縮器から結晶槽に導く吸収凝縮液の冷媒濃度が1〜70%とする請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
吸収凝縮液の冷媒濃度が濃くなると結晶化点が下がり蒸気圧も下がる。吸収凝縮液の冷媒濃度が薄くなると、分圧の関係で蒸気圧が下がる。したがって、蒸気圧の最高点が存在する。吸収凝縮液の冷媒濃度が1〜70%であれば、蒸気圧の最高点付近での操作が可能である。
前記有機化合物の混合溶液がパラキシレンを含む混合キシレンであり、これからパラキシレン結晶を得る請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
パラキシレン結晶を得る場合に好適である。
前記有機化合物の混合溶液がシクロヘキサンを含む混合ヘキサンであり、これからシクロヘキサン結晶を得る請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
シクロヘキサン結晶を得る場合に好適である。
冷媒を含む対象の有機化合物の混合溶液に対して、冷媒の断熱冷却、蒸発操作を行う結晶槽と、
この操作により生成した結晶スラリーは前記結晶槽から抜き出す手段と、
前記結晶槽での蒸発ベーパーを前記結晶槽の操作圧力以上に加圧し、吸収凝縮器に導く圧縮機と、
前記有機化合物の混合溶液と加圧された前記蒸発ベーパーとを接触させながら凝縮を図る吸収凝縮器と、
この吸収凝縮液を前記結晶槽に導く手段と、
を有することを特徴とする有機化合物の断熱冷却式晶析装置。
請求項1記載の発明と同様な作用効果を奏する。
<第1の実施の形態>
図1は、基本的な実施の形態を示したもので、吸収凝縮器10、結晶槽20、圧縮機30及び固液分離手段40を有する。
図2は第2の実施の形態を示したもので、結晶槽20から抜き出した結晶スラリーを固液分離手段40により固液分離し、分離された母液流れMoを管路64を通して吸収凝縮器10に返送するものである。固液分離手段40での濾液に溶存した状態で系外へ排出された分の冷媒は後段の蒸留塔による回収や、メークアップとして圧縮機30のサクション部に供給することができる(図1も参照)。
固液分離に際しては、遠心分離機、ろ過機、サイクロンなどを使用できる。
当初の有機化合物の混合溶液1は、直接結晶槽20に供給するようにしてもよい。
ベンゼン―シクロヘキサン系の例によって、晶析法の説明を行う。
化学工業での一般的な製造では、シクロヘキサンはベンゼンを水素化して生成される。
C6H6 +3H2 → C6H12
この水素化反応に際して、副反応により次のような不純物が生成される。
メチルシクロペンタン
n−ヘキサン
n−ペンタン
メチルシクロヘキサン
さらに、原料ベンゼン中に含まれるトルエン、パラフィン類が含まれてくる。
上記例は、結晶槽が1基である例であるが、複数の結晶槽を備えるもの構成も本発明は対象とする。複数の結晶槽を備える設備では、前段の結晶槽での結晶スラリーを後段の結晶槽に導いてさらなる結晶化を図るものである。
(実施例1)
以下の実施例は、図1に示したプロセスにて晶析を行ったものであり、結晶槽20として竪型晶出機(直径300mm×高さ1.5m、スラリーのホールドアップ容量25リットル)を、吸収凝縮器10は水平管式のものを、固液分離装置40として遠心分離機を用いた。また、30はベーパーの圧縮機、10Aは吸収凝縮液の一時貯留タンクである。
パラキシレン濃度80〜90%で常温の混合キシレン原料を吸収凝縮器10に15〜25kg/hrの割合で供給すると共に、結晶槽20から圧縮機30を通して0.2〜0.7MPaに加圧されたベーパーと接触混合させながら約30℃で凝縮させた。得られた凝縮液はプロパン濃度10〜30%のプロパンの混合キシレン溶液であり、これを常圧下、−10〜0℃で運転されている結晶槽20に導き結晶化を図った。結晶槽20から遠心分離機40には結晶化により得られたパラキシレン結晶スラリーを供給した。その結果、4〜7kg/hrのキシレン結晶を得ることができた。プロパンの混合キシレン溶液である濾液は系外へ排出し、濾液に溶存した状態で系外へ排出された分のプロパンはメークアップとして圧縮機30のサクション部に供給した。濾液中のパラキシレン濃度は60〜80%であった。
実施例1において、遠心分離機40の濾液として得られたパラキシレン濃度70〜80%で常温の混合キシレン原料を吸収凝縮器10に15〜25Kg/hrの割合で供給すると共に、結晶槽20から圧縮機30を通して0.2〜0.7MPaに加圧されたベーパーと接触混合させながら約30℃で凝縮させた。得られた凝縮液はプロパン濃度10〜30%のプロパンの混合キシレン溶液であり、これを常圧下、−20〜−5℃で運転されている結晶槽20に導き結晶化を図った。結晶槽20から遠心分離機40には結晶化により得られたパラキシレン結晶スラリーを供給した。その結果、4〜7kg/hrのキシレン結晶を得ることができた。プロパンの混合キシレン溶液である濾液は系外へ排出し、濾液に溶存した状態で系外へ排出された分のプロパンはメークアップとして圧縮機30のサクション部に供給した。濾液中のパラキシレン濃度は50〜70%であった。
Claims (7)
- 結晶槽において冷媒を含む対象の有機化合物の混合溶液に対して、冷媒の断熱冷却、蒸発操作を行い、
この操作により生成した結晶スラリーは前記結晶槽から抜き出し、
蒸発ベーパーは圧縮機により前記結晶槽の操作圧力以上に加圧し、吸収凝縮器に導き、
前記吸収凝縮器において、前記有機化合物の混合溶液と加圧された前記蒸発ベーパーとを接触させながら冷却して凝縮を図り、
この吸収凝縮液を前記結晶槽に導くことを特徴とする有機化合物の断熱冷却式晶析方法。 - 前記結晶槽から抜き出した結晶スラリーを固液分離し、分離された母液を前記吸収凝縮器に返送する請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
- 前記結晶槽の操作圧力が、真空または4気圧以下である請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
- 前記吸収凝縮器からの吸収凝縮液の冷媒濃度が1〜70%とする請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
- 前記有機化合物の混合溶液がパラキシレンを含む混合キシレンであり、これからパラキシレン結晶を得る請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
- 前記有機化合物の混合溶液がシクロヘキサンを含む混合ヘキサンであり、これからシクロヘキサン結晶を得る請求項1記載の有機化合物の断熱冷却式晶析方法。
- 冷媒を含む対象の有機化合物の混合溶液に対して、冷媒の断熱蒸発操作を行う結晶槽と、
この操作により生成した結晶スラリーは前記結晶槽から抜き出す手段と、
前記結晶槽での蒸発ベーパーを前記結晶槽の操作圧力以上に加圧し、吸収凝縮器に導く圧縮機と、
前記有機化合物の混合溶液と加圧された前記蒸発ベーパーとを接触させながら凝縮を図る吸収凝縮器と、
この吸収凝縮液を前記結晶槽に導く手段と、
を有することを特徴とする有機化合物の断熱冷却式晶析装置。
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