JP2006272204A - 塗布工具およびその刃先研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 塗布工具の刃先部を研磨仕上げや再研磨する際に、研磨中の砥石の切れ味劣化を抑えて刃先部の長手方向全長に渡り均一な研磨を施し、研磨後の刃先部先端にうねり等が生じるのを防いで、高い塗布精度を得る。
【解決手段】 複数のヘッド部材1,2のスロットSを画成する側面1A,2Aの先端に刃先部1B,2Bが設けられた塗布工具において、これらの刃先部1B,2B同士のうち少なくとも1つを他と異なる硬度とし、外周面に砥粒層が設けられた外周砥石を、その中心軸線をスロットSの幅方向に向けて中心軸線回りに回転させつつこの幅方向に揺動させながら、これらの刃先部1B,2Bの先端同士に砥粒層を接触させて、この先端が延びる刃先部1B,2Bの長手方向に移動させることにより研磨を施す。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数のヘッド部材1,2のスロットSを画成する側面1A,2Aの先端に刃先部1B,2Bが設けられた塗布工具において、これらの刃先部1B,2B同士のうち少なくとも1つを他と異なる硬度とし、外周面に砥粒層が設けられた外周砥石を、その中心軸線をスロットSの幅方向に向けて中心軸線回りに回転させつつこの幅方向に揺動させながら、これらの刃先部1B,2Bの先端同士に砥粒層を接触させて、この先端が延びる刃先部1B,2Bの長手方向に移動させることにより研磨を施す。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被塗布物に対して塗布液を塗布するために用いられる塗布工具、およびその刃先研磨方法に関するものである。
この種の塗布工具は、複数のヘッド部材の互いに対向する側面同士の間に形成された溝状のスロット内を流通した塗布液が、これらの側面の先端にそれぞれ設けられた刃先部の間から吐出されつつ、被塗布物がこの刃先部に対向してスロットの幅方向(上記側面同士が対向する方向)に走行させられたり、あるいは塗布工具自体が被塗布物に対して上記スロットの幅方向に移動させられたりして該塗布物に塗布液を塗布するものである。そして、例えば特許文献1には、ヘッド部材の少なくとも上記刃先部を、炭化タングステンを含む硬質相とコバルトやニッケルに所定の固溶元素が固溶された結合相とを所定の重量%で含む超硬合金としたものが提案されており、このような塗布工具によれば、塗布液に対する耐腐食性や塗布液中の粉末等に対する耐摩耗性に優れ、被塗布物の表面荒れやスジの発生を抑制できるとともに長寿命であるとされている。
特許第3454423号公報
ところで、このように刃先部を高硬度の超硬合金により形成した塗布工具においても、長期の使用のうちにはこの刃先部に部分的あるいは全体的に摩耗が生じることが避けられず、所定の厚さで塗布液を塗布することができなくなったりして塗布精度が損なわれることになるため、そのような場合にはこの刃先部を、例えば超硬合金よりもさらに高硬度のダイヤモンド砥粒を含むダイヤモンド砥石等の研削砥石によって再研磨して精度を回復するようにしている。また、このような塗布工具を製造する場合においても、上記刃先部を研磨仕上げしてその先端(刃先エッジ)に所定の直進度や平行度等の精度が与えられるようにされている。
ここで、このような刃先部の研磨仕上げや上記再研磨の際には、複数のヘッド部材のうち少なくとも側面同士が対向する一対のヘッド部材において、互いの刃先部の先端同士を均一に研磨して所定の平行度を確保しなければならない。このため、例えば円筒形砥石のように外周面に断面円周状をなす砥粒層が設けられた砥石(以下、外周砥石と称する。)を、上記砥粒層の断面がなす円周の中心軸線をスロットの幅方向に向けてこの中心軸線回りに回転させつつ該幅方向に向けて揺動させながら、あるいは、例えばカップ型砥石のように端面に砥粒層が設けられた砥石(以下、端面砥石と称する。)を、この端面に直交する中心軸線回りに回転させながら、それぞれその砥粒層を一対のヘッド部材の上記刃先部の先端同士に接触させて、該刃先部の先端が延びる長手方向(スロットの上記幅方向とスロット内を塗布液が流通する方向とに直交する方向)に移動させたり、もしくは逆に砥石の位置を一定としたままヘッド部材を上記長手方向に移動させたりすることにより、単一の砥石によって両刃先部に一度に研磨を施すようにしている。
しかしながら、こうして研磨されるヘッド部材の刃先部が上述のように高硬度の超硬合金により形成されていると、たとえ上記砥石として超高硬度のダイヤモンド砥粒を砥粒層に保持したダイヤモンド砥石を用いたとしても、砥粒自体の摩耗が促進されて研磨中に砥石の切れ味が劣化してゆくことが避けられない。そして、このように研磨中に切れ味の劣化が生じると、砥石がヘッド部材に対して相対的に移動する刃先部の長手方向に沿ってその先端に切れ味の相違によるうねりが生じてしまい、被塗布物に塗布される塗布液の厚さに部分的な相違が発生するなどして、却って塗布精度を損なうおそれがあった。
本発明は、このような背景の下になされたもので、ヘッド部材の上記刃先部を研磨仕上げや再研磨する際に、研磨中の砥石の切れ味劣化を抑えて、刃先部の長手方向全長に亙り均一な研磨を施すことができ、これにより研磨後の刃先部先端にうねり等が生じるのを防いで、高い塗布精度を得ることが可能な塗布工具およびその刃先研磨方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の塗布工具は、複数のヘッド部材の互いに対向する側面の先端にそれぞれ刃先部が設けられ、上記側面同士の間に形成された溝状のスロット内を塗布液が流通して上記刃先部の間から吐出されつつ、被塗布物に対して上記スロットの幅方向に相対的に移動させられて上記塗布液を塗布する塗布工具であって、上記複数のヘッド部材の上記刃先部同士のうち、少なくとも1のヘッド部材の刃先部を、他のヘッド部材の刃先部と異なる硬度としたことを特徴とする。
また、本発明の刃先研磨方法は、このような塗布工具の刃先研磨方法であって、外周面に断面円周状の砥粒層が設けられた砥石を、この砥粒層の断面がなす円周の中心軸線を上記スロットの幅方向に向けて該中心軸線回りに回転させつつ上記幅方向に揺動させながら、あるいは端面に砥粒層が設けられた上記端面砥石を、この端面に直交する中心軸線を上記スロットの幅方向に交差する方向に向けて該中心軸線回りに回転させながら、上記複数のヘッド部材の刃先部のうち少なくとも硬度の異なる上記刃先部の先端同士に上記砥粒層を接触させて、該先端が延びる上記刃先部の長手方向に相対的に移動させることにより研磨を施すことを特徴としている。
このように、本発明の塗布工具においては、複数のヘッド部材の刃先部同士のうち、少なくとも1のヘッド部材の刃先部が他のヘッド部材の刃先部と異なる硬度とされており、従って、本発明の刃先研磨方法において、外周砥石をスロット幅方向に向けられたその中心軸線回りに回転させつつスロット幅方向に揺動させたり、あるいは端面砥石をスロット幅方向に交差する方向に向けられた中心軸線回りに回転させたりしながら、その砥粒層を硬度の異なるヘッド部材の刃先部に接触させて研磨を施すことにより、該砥粒層は、この外周砥石の揺動や端面砥石の回転に伴って複数のヘッド部材の硬度の高い刃先部と硬度の低い刃先部とに交互に接触させられることとなる。
すなわち、上記スロットの幅方向に向けられた中心軸線回りに回転される外周砥石を該幅方向に揺動させた場合には、一方の刃先部を研磨した砥粒層の円周状の部分が揺動によってスロットの上記幅方向に移動し、硬度の異なる他方の刃先部に接触してこれを研磨し、こうして他方の刃先部を研磨した円周状部分が再びスロット幅方向に移動して一方の刃先部に接触、研磨するといった動作を繰り返すことになる。また、端面砥石をスロットの幅方向に交差する中心軸線回りに回転させながら、その砥粒層を上記硬度の異なる刃先部の先端同士に接触させて研磨を行うと、一方の刃先部に接触して研磨した砥粒層部分は、そのまま他方の刃先部に回転して接触、研磨し、さらに回転して再び一方の刃先部を研磨するといった動作を繰り返す。
そして、このように砥粒層が硬度の異なる刃先部に交互に接触しながら研磨を行うことにより、該砥粒層は、硬度の高い刃先部の研磨によってその砥粒に摩耗が生じても、これに連続して硬度の低い刃先部を研磨することによって、砥粒を保持するボンド相が削り取られて新たな砥粒が自生するといったドレッシング効果が得られ、すなわち研磨とドレッシングとが交互に行われることになる。従って、上記構成の塗布工具およびその刃先研磨方法によれば、こうして砥石を刃先部の長手方向に亙ってヘッド部材に対し相対移動させて研磨を行っても常に鋭い切れ味を維持することができるので、研磨の途中で砥粒層の切れ味が劣化して刃先部先端にうねりが生じたりすることがなく、この刃先部の全長に亙って均一な研磨を図ることが可能となり、研磨後の塗布工具によって被塗布物に均一な厚さで塗布液を塗布することができるなど、高い塗布精度を確実に確保あるいは回復することが可能となる。
ここで、上記複数のヘッド部材のうち、刃先部の硬度の高いヘッド部材の該刃先部を、上記特許文献1に記載の塗布工具と同じように超硬合金とした場合には、これよりも硬度の低いヘッド部材の上記刃先部は例えばステンレス鋼とすることにより、高硬度の超硬合金製の一方の刃先部によって塗布工具としての耐腐食性や耐摩耗性をある程度確保して長寿命化を図りつつも、これより硬度の低いステンレス鋼製の他方の刃先部によって確実に上述のようなドレッシング効果を奏功し、より均一な研磨を促すことが可能となる。また、上記複数のヘッド部材のうち、刃先部の硬度の高いヘッド部材を被塗布物に対する相対移動方向側に配設することにより、特にこうして高硬度の刃先部を超硬合金製とした場合などには、例えば被塗布物の塗布面上に異物などが存在していても高硬度の刃先部によってこれを弾き跳ばすようにして除去することができ、相対移動方向後方側の硬度の低い刃先部がこのような異物によって傷付けられて欠けたり摩耗したりするのを防ぐことが可能となる。
図1は本発明の塗布工具の一実施形態を示すものである。本実施形態の塗布工具は、複数(本実施形態では2つ)のヘッド部材1,2により構成され、これらのヘッド部材1,2の互いに対向する側面1A,2A同士の間に、該ヘッド部材1,2の先端(図1において上端)に開口する溝状のスロットSが画成されて、塗布液はこのスロットS内を流通してその先端から吐出される。そして、上記側面1A,2Aの先端にはそれぞれ刃先部1B,2Bが設けられており、これらの刃先部1B,2Bは互いに異なる硬度とされている。
ここで、これらのヘッド部材1,2のうち図中左側に位置する一方のヘッド部材1は、例えば14〜45HRC程度の硬度を有するステンレス鋼によってその全体が一体に形成されており、図1に示すように断面略台形状をなしてこの断面に直交する方向(図1において図面に直交する方向。以下、長手方向と称する。)に延びる長尺状に形成され、上記断面がなす台形の下底長辺部分が側面1Aとされている。また、その刃先部1Bは、ヘッド部材1の断面がなす上記台形の斜辺部分と上記側面1A部分との交差稜線から該側面1Aに沿って先端に突出するように形成されており、従ってこの一方のヘッド部材1の刃先部1Bも14〜45HRCの硬度のステンレス鋼によって形成されることとなる。
なお、この一方のヘッド部材1の上記側面1Aは、刃先部1Bに連なる先端側部分が後端側部分(図1において下端側)に対して平行に一段後退するように形成されるとともに、これら側面1Aの先後端側部分の間には断面略半円形の凹部1Cが形成され、スロットS内を流通する塗布液を保持するポケットを形成している。また、このヘッド部材1の後端側部分には、ヘッド部材1,2を組み付けるクランプボルト3が挿通される段部を有した貫通孔1Dが側面1Aに垂直に形成されている。
これに対して図中右側の他方のヘッド部材2は、その本体2Cが一方のヘッド部材1と同様にステンレス鋼等により形成されているものの、上記刃先部2Bは、炭化タングステンを主成分とした例えば85〜93HRA程度の硬度を有する超硬合金によって形成されている。この他方のヘッド部材2の本体2Cは、やはり断面略台形の長尺状をなしてその下底長辺部分が側面2Aとされ、ただしこの側面2Aの先端側部分には後端側部分に対して平行に一段後退する凹部4が形成されている。なお、この側面2Aの後端側部分には、ヘッド部材1,2を組み付ける際に上記クランプボルト3がねじ込まれるネジ孔2Dが側面2Aに垂直に上記貫通孔1Dと同軸になるように形成されている。
さらに、上記凹部4には、長尺板状のブレード5が、上記長手方向に延びるように、かつその先端を側面2Aに沿って本体2Cの先端に突出させるようにして着脱可能に取り付けられていて、このブレード5によって他方のヘッド部材2における刃先部2Bが形成されている。そして、このブレード5が上述のような超硬合金によって形成されることにより、この他方のヘッド部材2先端の刃先部2Bが、上記一方のヘッド部材1の刃先部1Bよりも高硬度とされ、すなわち複数のヘッド部材1,2のうち少なくとも1のヘッド部材の刃先部が他のヘッド部材の刃先部と異なる硬度とされている。
ここで、凹部4の底面4A側(図中右側)を向くブレード5の側面5Aには、ネジ孔が形成されたクランプ駒6がこのネジ孔を上記底面4A側に向けてろう付け等によって接合されている。一方、凹部4の該底面4Aにはこのクランプ駒6を収容する凹部7がさらに形成されるとともに、この凹部7から本体2C外側の上記台形がなす斜辺部分にかけては段部を有した貫通孔2Eが形成されていて、この貫通孔2Eに挿通されたクランプネジ8が凹部7内のクランプ駒6の上記ネジ孔にねじ込まれることにより、ブレード5は上記側面5Aを底面4Aに密着させるように凹部4に固定されて取り付けられる。
なお、この取付状態において、上記側面5Aとは反対側のブレード5の側面5Bは、他方のヘッド部材2の本体2Cにおける上記側面2Aと面一とされている。そして、本実施形態の塗布工具は、このように形成された一対のヘッド部材1,2が、一方のヘッド部材1の上記側面1Aの後端側部分と他方のヘッド部材2の本体2Cにおける上記側面2Aとを密着させて上記クランプボルト3により組み付けられて構成されており、従って本実施形態では厳密には、一方のヘッド部材1における側面1Aの上記先端側部分と、他方のヘッド部材2における側面2A先端側部分のブレード5の上記側面5Bとの間にスロットSが画成されることとなる。
このように構成された上記実施形態の塗布工具において、一対のヘッド部材1,2の組み付け後に、互いの刃先部1B,2Bの先端を上記長手方向に向けて所定の直進度や平行度で真っ直ぐ平行に延びるように成形する場合には、これら刃先部1B,2Bの先端を砥石によって仕上げ研磨する。また、長期の使用後に刃先部1B,2Bに摩耗等が生じて上記直進度や平行度が損なわれたときにも、これらの精度を回復させるために刃先部1B,2Bの先端を再研磨する。
そして、このような刃先部1B,2Bの研磨を行うときに、本発明の刃先研磨方法の第1の実施形態では、上記砥石として円筒形砥石のような外周面に断面円周状をなす砥粒層が設けられた外周砥石を用いて、この外周砥石を、上記砥粒層の断面がなす円周の中心軸線をスロットSの幅方向(図1における左右方向)に向け、該中心軸線回りに回転させつつ上記幅方向に揺動させながら、上記刃先部1B,2Bの先端同士に砥粒層を接触させて上記長手方向にヘッド部材1,2に対し相対的に移動させることにより研磨を施す。また、本発明の刃先研磨方法の第2の実施形態では、上記砥石としてカップ型砥石のような端面に砥粒層が設けられた端面砥石を、この端面に直交する中心軸線をスロットSの幅方向に交差する方向に向けて該中心軸線回りに回転させながら、やはり両刃先部1B,2Bの先端同士に上記砥粒層を接触させて上記長手方向に相対的に移動させることにより研磨を施す。
このうち、まず第1の実施形態の刃先研磨方法では、上記外周砥石は、例えば上記中心軸線を中心とする円盤状等の台金の外周面にやはり中心軸線を中心とした円筒状の上記砥粒層が形成されたものであって、本実施形態ではこの砥粒層は、硬度の高い刃先部2Bを形成する超硬合金よりもさらに硬質のダイヤモンド砥粒のような超砥粒が、レジンボンド相、メタルボンド相、ビトリファイドボンド相、あるいは金属めっき相などのボンド相(結合剤相)中に分散されたものとされている。さらに本実施形態では、この外周砥石は、上記中心軸線をヘッド部材1,2の上記側面1A,2Aに直交するスロットSの幅方向に向けて該中心軸線方向に揺動させられ、その揺動のストロークは図1に示す両刃先部1B,2Bの厚さとスロットSの幅とを合わせた長さLよりも大きくされている。
また、第2の実施形態の刃先研磨方法では、上記端面砥石は、やはりその中心軸線を中心とする円盤状等の台金の該軸線方向を向く端面に、この中心軸線を中心とした円環状の砥粒層が形成されたものであって、この砥粒層は外周砥石と同様にダイヤモンド砥粒のような超砥粒を適宜のボンド相に分散したものとされている。さらに、この端面砥石は、本実施形態ではその中心軸線をスロットSの上記幅方向と刃先部1B,2Bの上記長手方向とに直交する方向に向け、この中心軸線方向視において両刃先部1B,2BおよびスロットSの上記長さLの範囲が砥粒層の外径円と交差するように支持されて上記長手方向に移動可能とされている。
上述のように構成された上記塗布工具では、2つのヘッド部材1,2の刃先部1B,2Bの一方が他方と異なる硬度とされており、このような塗布工具の刃先部1B,2Bを単一の外周砥石または端面砥石の砥粒層によって同時に研磨することとなる上記構成の刃先研磨方法では、この砥粒層が硬度の異なる刃先部1B,2Bに交互に接触させられながら、上記長手方向に亙ってこれら刃先部1B,2Bの先端を研削してゆくこととなる。すなわち、上記第1の実施形態の研磨方法では、外周砥石が上述のようなストロークで揺動させられることにより、刃先部1B,2Bの一方を研磨した砥粒層部分は他方の側に移動して接触、研磨し、次いで再び一方の側に移動して研磨を行う動作を繰り返すこととなり、また第2の実施形態の研磨方法では、端面砥石の1回転の中で砥粒層が刃先部1B,2Bの一方と他方とを移動して接触、研磨を繰り返すこととなる。
従って、このような塗布工具およびその刃先研磨方法において、こうして硬度の異なる刃先部1B,2B間を砥粒層が交互に移動して研磨を繰り返すことにより、たとえそのうち硬度の高い刃先部2Bが超硬合金により形成されたものであって、この超硬合金の研磨により砥粒層中の砥粒に摩耗が生じたとしても、同じ研磨工程中に砥粒層が硬度の低い刃先部1Bと接触することで、この刃先部1Bを研磨しながらも砥粒層自体の上記ボンド相が適度に削り取られて新たな砥粒が切刃として自生し、これにより砥粒層の切れ味が劣化するのを抑えることができる。すなわち、この刃先部1Bの研磨によって砥粒層にはドレッシング効果が与えられるので、上記塗布工具およびその刃先研磨方法によれば、硬質な超硬合金製の刃先部2Bを有する塗布工具に対しても、その上記長手方向全長に亙って常に鋭い切れ味を砥粒層に維持したまま均一な研磨を行うことが可能となり、これにより刃先部1B,2Bの先端にうねりが生じたりして直進度や平行度などの精度が損なわれるのを防ぐことができて、被塗布物に均一な厚さで塗布液を塗布することが可能な精度の高い塗布工具を提供することが可能となる。
また、本実施形態の塗布工具では、硬度の異なる刃先部1B,2Bのうち高硬度の刃先部2Bが上述のように超硬合金製であり、従って上記特許文献1に記載の塗布工具と同じように優れた耐腐食性や耐摩耗性、あるいは強度、硬さ、靱性、潤滑性等を確保して、長寿命で、しかも被塗布物に塗布された塗布液膜表面の面粗さを高めることができる塗布工具を提供することができる。さらに、本実施形態ではこの高硬度の刃先部2Bが、ヘッド部材2の本体2Cに着脱可能に取り付けられるブレード5によって構成されているので、長期の使用でこのブレード5の刃先部2Bとしての寿命が費えたり、万一破損等が生じたりした場合でも、ブレード5のみを交換することによって本体2Cはそのままヘッド部材2として使用可能である。その一方で、本実施形態では硬度の低い刃先部1Bはステンレス鋼製であり、砥石の砥粒層に対して確実なドレッシング効果を奏することができるとともに、安価でありながら比較的耐腐食性等が高く、さらに本実施形態のようにヘッド部材1と一体に形成することができるので、塗布工具としての低コスト化を促すことが可能となる。
さらに、こうして構成された塗布工具を被塗布物に対してスロットSの幅方向に相対移動させつつ該スロットSから塗布液を吐出させて塗布する際には、硬度の高い刃先部2Bを有するヘッド部材2を被塗布物に対する上記相対移動の方向側に配設することにより、例えば被塗布物の塗布面上に異物が存在していたりしても、これを高硬度の刃先部2Bによって除去することができ、相対移動方向後方側の硬度の低い刃先部1Bに傷や欠けが生じるのを防いで、被塗布物に塗布液のスジが付いたりするのを防止することができる。例えば、被塗布物がガラス等の基板であってその被塗布面に細かいガラス片が上記異物として残っていたりしても、本実施形態のように相対移動方向側に配設されるヘッド部材2の刃先部2Bが超硬合金製であれば、かかるガラス片をこの刃先部2Bによって弾き跳ばして相対移動方向後方側の刃先部1Bの損傷を防ぎ、面粗さの高い塗布を図ることが可能となる。
なお、本実施形態の塗布工具では、このように硬度の高い刃先部2Bを超硬合金製、硬度の低い刃先部1Bをステンレス鋼製としているが、複数のヘッド部材1,2の刃先部1B,2Bが異なる硬度とされていれば、材質はこれらに限定されることはなく、また同材質で硬度の異なる組成のものを用いてもよい。ただし、例えば高硬度の刃先部2Bを超硬合金製とした場合に、刃先部2Bと低硬度の刃先部2Aの硬度差が小さすぎると、この刃先部2Aを研磨した際にも砥粒に摩耗が生じてドレッシング効果よりも切れ味の劣化が著しくなったりするおそれがある一方、上記硬度差が大きすぎても、低硬度の刃先部2Aによって砥粒層のボンド相を確実に削り取って十分なドレッシング効果を得ることが困難となるおそれがある。このため、本実施形態のように高硬度の刃先部2Bを85〜93HRAの超硬合金によって形成した場合には、低硬度の刃先部2Aは14〜45HRCのステンレス鋼によって形成されるのが望ましい。
また、本実施形態の塗布工具は刃先部1B,2Bの硬度が異なる2つのヘッド部材1,2によって構成されているが、3つ以上のヘッド部材を被塗布物との相対移動方向に配設して構成してもよく、この場合に各ヘッド部材の刃先部は、少なくとも1のヘッド部材の刃先部が他と異なる硬度とされていればよく、場合によってはすべての刃先部が異なる硬度とされていてもよい。さらに、このような場合において刃先を研磨するときには、少なくとも硬度の異なる刃先部の先端に単一の外周砥石や端面砥石の砥粒層を接触させて揺動や回転により交互に研磨するようにすればよく、場合によってはすべてのヘッド部材の刃先部をまとめて単一の砥石で研磨するようにしてもよい。
さらにまた、上記第1の実施形態の刃先研磨方法では、外周砥石の中心軸線をヘッド部材1,2の側面1A,2Aに直交するスロットSの幅方向に平行にして該幅方向(中心軸線方向)に外周砥石を揺動させているが、中心軸線はスロットSの幅方向に延びていれば側面1A,2Aに対して傾斜していてもよく、また砥粒層が両刃先部1B,2Bに交互に接触するようにされていれば、揺動の方向も中心軸線に対して傾斜した方向や側面1A,2Aに対して傾斜した方向とされていてもよい。さらに、外周砥石の砥粒層も、本実施形態では軸線を中心とした円筒状とされているが、円錐状や鼓状とされていてもよい。
一方、第2の実施形態の刃先研磨方法でも、端面砥石の中心軸線を上記幅方向と長手方向とに直交する方向に向けて該軸線回りに端面砥石を回転させているが、この回転によって砥粒層が両刃先部1B,2Bに交互に接触可能であれば、中心軸線は上記幅方向と長手方向との少なくとも一方に対して傾斜していてもよい。また、端面砥石も、カップ型砥石のように砥粒層が円環状に形成されたもののほかに、端面全面に円形の砥粒層が形成されたものでもよい。
1,2 ヘッド部材
1A,2A ヘッド部材1,2の互いに対向する側面
1B,2B 刃先部
5 ブレード
S スロット
1A,2A ヘッド部材1,2の互いに対向する側面
1B,2B 刃先部
5 ブレード
S スロット
Claims (5)
- 複数のヘッド部材の互いに対向する側面の先端にそれぞれ刃先部が設けられ、上記側面同士の間に形成された溝状のスロット内を塗布液が流通して上記刃先部の間から吐出されつつ、被塗布物に対して上記スロットの幅方向に相対的に移動させられて上記塗布液を塗布する塗布工具であって、上記複数のヘッド部材の上記刃先部同士のうち、少なくとも1のヘッド部材の刃先部は、他のヘッド部材の刃先部と異なる硬度とされていることを特徴とする塗布工具。
- 上記複数のヘッド部材のうち、上記刃先部の硬度の高いヘッド部材の該刃先部は超硬合金であり、これよりも硬度の低いヘッド部材の上記刃先部はステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載の塗布工具。
- 上記複数のヘッド部材のうち、上記刃先部の硬度の高いヘッド部材が上記被塗布物に対する相対移動方向側に配設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗布工具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塗布工具の刃先研磨方法であって、外周面に断面円周状の砥粒層が設けられた砥石を、この砥粒層の断面がなす円周の中心軸線を上記スロットの幅方向に向けて該中心軸線回りに回転させつつ上記幅方向に揺動させながら、上記複数のヘッド部材の刃先部のうち少なくとも硬度の異なる上記刃先部の先端同士に上記砥粒層を接触させて、該先端が延びる上記刃先部の長手方向に相対的に移動させることにより研磨を施すことを特徴とする塗布工具の刃先研磨方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塗布工具の刃先研磨方法であって、端面に砥粒層が設けられた砥石を、この端面に直交する中心軸線を上記スロットの幅方向に交差する方向に向けて該中心軸線回りに回転させながら、上記複数のヘッド部材の刃先部のうち少なくとも硬度の異なる上記刃先部の先端同士に上記砥粒層を接触させて、該先端が延びる上記刃先部の長手方向に相対的に移動させることにより研磨を施すことを特徴とする塗布工具の刃先研磨方法。
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JP (1) | JP2006272204A (ja) |
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- 2005-03-30 JP JP2005096856A patent/JP2006272204A/ja active Pending
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