JP2015085419A - ラッピングリーマ及びラッピングリーマの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、外径、真円度、真直度がピンゲージ同等の精度で確保された超硬度合金でなるラッピングリーマと、同ラッピングリーマの製作方法の提供を課題とする。
【解決手段】先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部が形成され、かつ前記研磨部表面がローレット溝を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたラッピングリーマとその製作方法とによる。
【選択図】図1
【解決手段】先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部が形成され、かつ前記研磨部表面がローレット溝を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたラッピングリーマとその製作方法とによる。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属製部材にあらかじめドリル等で穿たれた下穴を研磨して正確な内径寸法の滑らかな内壁面に仕上げるラッピングリーマに関する。
リーマはあらかじめドリルなどによって穿設された下穴の内面の粗さ、真円度、直径、真直度などを修正して精度の高い貫通孔に仕上げるのに用いられる切削工具で、穿設された下穴に回転させながら挿入して下穴の内面を0.05mm〜0.5mm程度削り取って滑らかにするものであり、既に数多くの発明が開示されている。
そしてリーマには、下穴の内面を精度よく切削する切削刃を有するものと、ダイヤモンドやボラゾン等の研磨材を円筒体の外周に固着又は塗布し、該円筒体の回転摺動運動によって下穴の内面を微小に切削研磨するラッピングリーマとがある。
そして、従来のラッピングリーマとしては、例えば特許文献1に開示された、
「円筒状のリーマー部に数条設けられたスリットを利用して、該リーマー部径を拡縮するようにしたラッピングリーマーに於いて、リーマー基材に数条設けられたスリット間に接着剤等を利用して粒状ダイヤモンド或いはボラゾンを所定の間隔をおいて、複数列、複数段リーマー基材に仮止めし、ロー付け等により該ダイヤモンド或いはボラゾンを固着したことを特徴とするラッピングリーマー」や、
特許文献2に開示された、
「テーパー状軸孔を軸心に有する中空状のボデー及びシャンクと、表面がダイヤモンド粉を塗布したダイヤモンド層とされ、軸方向に切られた第1スリットが円周方向等間隔に複数本設けられる前記ボデーの刃部と、前記軸孔に挿入されるテーパーピンとを、備えるラッピングリーマにおいて、前記ボデー端面から所定長さの部分であるボデー端部において、複数の第2スリットが円周方向直列状にそれぞれ設けられ、各第2スリット間の間隔部が前記第1スリットの中間に配置されることを特徴とするラッピングリーマ」
などがある。
そしてリーマには、下穴の内面を精度よく切削する切削刃を有するものと、ダイヤモンドやボラゾン等の研磨材を円筒体の外周に固着又は塗布し、該円筒体の回転摺動運動によって下穴の内面を微小に切削研磨するラッピングリーマとがある。
そして、従来のラッピングリーマとしては、例えば特許文献1に開示された、
「円筒状のリーマー部に数条設けられたスリットを利用して、該リーマー部径を拡縮するようにしたラッピングリーマーに於いて、リーマー基材に数条設けられたスリット間に接着剤等を利用して粒状ダイヤモンド或いはボラゾンを所定の間隔をおいて、複数列、複数段リーマー基材に仮止めし、ロー付け等により該ダイヤモンド或いはボラゾンを固着したことを特徴とするラッピングリーマー」や、
特許文献2に開示された、
「テーパー状軸孔を軸心に有する中空状のボデー及びシャンクと、表面がダイヤモンド粉を塗布したダイヤモンド層とされ、軸方向に切られた第1スリットが円周方向等間隔に複数本設けられる前記ボデーの刃部と、前記軸孔に挿入されるテーパーピンとを、備えるラッピングリーマにおいて、前記ボデー端面から所定長さの部分であるボデー端部において、複数の第2スリットが円周方向直列状にそれぞれ設けられ、各第2スリット間の間隔部が前記第1スリットの中間に配置されることを特徴とするラッピングリーマ」
などがある。
また、下穴の内面を精度よく切削する切削刃を有するリーマにおいては、切削刃の回転によって順次下穴の径を拡大しながら挿入されていくのでリーマの切削部の外径は先端から後方に向けて僅かではあるが拡大する形状を有しており、このことによってリーマの折損防止に役立っている反面、リーマ回転軸の揺れを引き起こすおそれをもたらしてもいる。
特許文献1に開示されたラッピングリーマーは、内径が端面側から奥に行くにしたがって小さくなる円筒形状のリーマー部に複数条のスリットが設けられ、このリーマー部内に挿入されるボールもしくは円錐ころを前記リーマー部の端面側に螺着される押し込みネジの移動量によってリーマー部の外径を拡縮するように形成され、そしてリーマー部の外面のスリット間に粒状ダイヤモンド或いはボラゾンを所定間隔おいて複数列、複数段接着剤等で仮止めした後、ロー付け等により固着するという複雑な構造のものを、数多い工程によって製作されており、リーマーとしての精度、特にリーマー部自体の真円度を確保するためには精密な作業が欠かせず製作経費が嵩むという課題がある。
また特許文献2に開示されたラッピングリーマも、テーパー状軸孔を軸心に有する中空状のボデーの外面にダイヤモンド粉を塗布した刃部に複数本の第1スリットが設けられ、前記軸孔にテーパーピンを挿入してリーマの外径を拡縮する形状のものであって、ボデー端部に複数の第2スリットを円周方向に直列状に設けることにより、リーマ直径の均一な拡張を損なうことなく刃部のスリットからの亀裂等の発生を防止できる安価なラッピングリーマを提供するとしたものであるが、第1スリット、第2スリットの精密加工やボデーへのダイヤモンド粉塗布層の真円度確保は欠かせず、それなりの製作経費はかかるものと推測される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、特に外径、真円度、真直度がピンゲージ同等の精度で確保され円柱棒材の素材から切削加工のみで得られる精度の高いラッピングリーマを提供するものである。
また特許文献2に開示されたラッピングリーマも、テーパー状軸孔を軸心に有する中空状のボデーの外面にダイヤモンド粉を塗布した刃部に複数本の第1スリットが設けられ、前記軸孔にテーパーピンを挿入してリーマの外径を拡縮する形状のものであって、ボデー端部に複数の第2スリットを円周方向に直列状に設けることにより、リーマ直径の均一な拡張を損なうことなく刃部のスリットからの亀裂等の発生を防止できる安価なラッピングリーマを提供するとしたものであるが、第1スリット、第2スリットの精密加工やボデーへのダイヤモンド粉塗布層の真円度確保は欠かせず、それなりの製作経費はかかるものと推測される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、特に外径、真円度、真直度がピンゲージ同等の精度で確保され円柱棒材の素材から切削加工のみで得られる精度の高いラッピングリーマを提供するものである。
本発明者は上記課題を下記の手段により解決した。
(1)金属製部材に穿たれた下穴の内壁面を研磨し、表面粗さの精度を高めるラッピングリーマであって、
先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部が形成され、かつ前記研磨部表面がローレット溝を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたものであることを特徴とするラッピングリーマ。
(2)研磨部に形成される右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は、ラッピングリーマの直径Xmm対してそれぞれ
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°であることを特徴とする(1)に記載のラッピングリーマ。
(3)研磨部表面のローレット溝の長さがラッピングリーマの直径の1.8〜2.2倍であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のラッピングリーマ。
(4)前記研磨部に、切削部及び研磨部で切削・研磨された微小な切り屑や研磨屑を排除する排除溝を複数本設けてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1に記載のラッピングリーマ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1に記載のラッピングリーマの製造方法であって、外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げた炭化タングステンなどの超硬度合金製円柱棒材を素材とし、前記切削部の切削刃、研磨部表面に形成されるローレット溝、及び縮径部をすべて1台の切削装置で切削加工のみによって形成することを特徴とするラッピングリーマの製造方法。
(1)金属製部材に穿たれた下穴の内壁面を研磨し、表面粗さの精度を高めるラッピングリーマであって、
先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部が形成され、かつ前記研磨部表面がローレット溝を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたものであることを特徴とするラッピングリーマ。
(2)研磨部に形成される右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は、ラッピングリーマの直径Xmm対してそれぞれ
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°であることを特徴とする(1)に記載のラッピングリーマ。
(3)研磨部表面のローレット溝の長さがラッピングリーマの直径の1.8〜2.2倍であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のラッピングリーマ。
(4)前記研磨部に、切削部及び研磨部で切削・研磨された微小な切り屑や研磨屑を排除する排除溝を複数本設けてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1に記載のラッピングリーマ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1に記載のラッピングリーマの製造方法であって、外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げた炭化タングステンなどの超硬度合金製円柱棒材を素材とし、前記切削部の切削刃、研磨部表面に形成されるローレット溝、及び縮径部をすべて1台の切削装置で切削加工のみによって形成することを特徴とするラッピングリーマの製造方法。
本発明のラッピングリーマによって下記の効果が発揮される。
〈1〉先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部を形成し、かつ前記研磨部表面がローレット溝部を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたものであるので、
切削部の切削刃で下穴の内径を所定の寸法に仕上げながら研磨部で内壁面を研磨するというこれまでにない機能を有するラッピングリーマが提供でき、一定の寸法公差を持つ精密な寸法径の滑らかな内壁面の貫通孔を容易に形成することができる。
また、下穴の内壁面に当接する部分が、切断刃の先端と研磨部のローレット溝部に形成された多数の菱形の凸部の各頂点のみであるので、本ラッピングリーマの回転時における内壁面との摩擦抵抗が小さく、そのため回転速度と進行速度とを高められ、作業効率の向上が図れ、量産が可能になる。
〈2〉研磨部に形成される右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は、ラッピングリーマの直径Xmm対してそれぞれ
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°であるので、研磨部表面のローレット溝部に形成される螺旋溝の本数によって研磨部に形成される菱形凸部の密度が変えられることにより、下穴内壁面を必要とされる粗さに研磨するラッピングリーマが提供できる。
〈3〉前記研磨部に、切削部及び研磨部で切削・研磨された微小な切り屑や研磨屑を排除する排除溝を複数本縮径部に向けて設けているので、リーマの前進に伴って前記の微小な切り屑や研磨屑がリーマの円滑な回転のために注入される潤滑油や水によって該排除溝を介して縮径部に運ばれるため、切り屑や研磨屑が研磨された穴の内壁面を傷つけることなく、一定の寸法公差を持つ精密な寸法径の滑らかな内面に仕上げることができる。
〈4〉外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げた炭化タングステンなど超硬度合金属製円柱棒材を素材とし、前記切削部の切削刃、研磨部表面のローレット溝、及び縮径部をすべて1台の切削装置で切削加工のみによって形成するので、従来のラッピングリーマに見られたダイヤモンド粉などの研磨剤の基台への接着や塗布といった複数の素材を接合する工程はなく、また素材である前記円柱棒体の外径、真円度、真直度はあらかじめピンゲージと同等の精度に仕上げられているので、所定の精度を備えた外径、真円度、真直度のラッピングリーマが歩留まりよく製作でき、高精度のラッピングリーマが安価に提供できる。
〈1〉先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部を形成し、かつ前記研磨部表面がローレット溝部を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたものであるので、
切削部の切削刃で下穴の内径を所定の寸法に仕上げながら研磨部で内壁面を研磨するというこれまでにない機能を有するラッピングリーマが提供でき、一定の寸法公差を持つ精密な寸法径の滑らかな内壁面の貫通孔を容易に形成することができる。
また、下穴の内壁面に当接する部分が、切断刃の先端と研磨部のローレット溝部に形成された多数の菱形の凸部の各頂点のみであるので、本ラッピングリーマの回転時における内壁面との摩擦抵抗が小さく、そのため回転速度と進行速度とを高められ、作業効率の向上が図れ、量産が可能になる。
〈2〉研磨部に形成される右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は、ラッピングリーマの直径Xmm対してそれぞれ
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°であるので、研磨部表面のローレット溝部に形成される螺旋溝の本数によって研磨部に形成される菱形凸部の密度が変えられることにより、下穴内壁面を必要とされる粗さに研磨するラッピングリーマが提供できる。
〈3〉前記研磨部に、切削部及び研磨部で切削・研磨された微小な切り屑や研磨屑を排除する排除溝を複数本縮径部に向けて設けているので、リーマの前進に伴って前記の微小な切り屑や研磨屑がリーマの円滑な回転のために注入される潤滑油や水によって該排除溝を介して縮径部に運ばれるため、切り屑や研磨屑が研磨された穴の内壁面を傷つけることなく、一定の寸法公差を持つ精密な寸法径の滑らかな内面に仕上げることができる。
〈4〉外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げた炭化タングステンなど超硬度合金属製円柱棒材を素材とし、前記切削部の切削刃、研磨部表面のローレット溝、及び縮径部をすべて1台の切削装置で切削加工のみによって形成するので、従来のラッピングリーマに見られたダイヤモンド粉などの研磨剤の基台への接着や塗布といった複数の素材を接合する工程はなく、また素材である前記円柱棒体の外径、真円度、真直度はあらかじめピンゲージと同等の精度に仕上げられているので、所定の精度を備えた外径、真円度、真直度のラッピングリーマが歩留まりよく製作でき、高精度のラッピングリーマが安価に提供できる。
本発明の「ラッピングリーマ、及びラッピングリーマの製造方法」を実施するための形態を、実施例の図に基づいて説明する。
図1は本発明ラッピングリーマの外観図、図2は本発明のラッピングリーマ研磨部の形状を示す正面拡大図(a)、及び先端の切削部の形状を示す右側面拡大図(b)、図3は研磨部に排除溝を設けたラッピングリーマの正面拡大図であり、図において1はラッピングリーマ、2は切削部、2aは切削刃、3は研磨部、4は縮径部、5は把持部、6は断面台形状の溝、7は切削屑排除溝を示す。
図1は本発明ラッピングリーマの外観図、図2は本発明のラッピングリーマ研磨部の形状を示す正面拡大図(a)、及び先端の切削部の形状を示す右側面拡大図(b)、図3は研磨部に排除溝を設けたラッピングリーマの正面拡大図であり、図において1はラッピングリーマ、2は切削部、2aは切削刃、3は研磨部、4は縮径部、5は把持部、6は断面台形状の溝、7は切削屑排除溝を示す。
本発明のラッピングリーマ1は、図1に示すように、先端に切削刃2aを形成して切削部2とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部3を、同研磨部3の後部に縮径部4を、さらにその後部に把持部5を形成し、かつ前記研磨部3表面がローレット溝を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されている。
この先端に設けた切削刃2aによって下穴の内径を所定の寸法に仕上げながら研磨部3において内壁面を研磨するという機構はこれまでのラッピングリーマ1には見られないものであって、一定の寸法公差を持つ精密な寸法径の滑らかな面を持つ穴を容易に形成できるものとなっている。
この先端に設けた切削刃2aによって下穴の内径を所定の寸法に仕上げながら研磨部3において内壁面を研磨するという機構はこれまでのラッピングリーマ1には見られないものであって、一定の寸法公差を持つ精密な寸法径の滑らかな面を持つ穴を容易に形成できるものとなっている。
本発明のラッピングリーマ1は、図2(b)に示すように、切削部2には4枚の切削刃2aが切り出されており、また研磨部3の表面には、図2(a)に示すように右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたローレット溝6が形成されている。そしてこのローレット溝6によって切り出された多数の菱形の凸部の各頂点3aが前記下穴の内壁面に接触して下穴の内壁面を研磨し、滑らかな面に仕上げる役割を果たしている。
また、研磨部3の後方に繋がる縮径部4は、ラッピングリーマ1と研磨済みの内面との不要な接触によって傷つくのを避けるとともにラッピングリーマ1が円滑に回転するように設けられている。
そして後端部に設けた把持部5は、ラッピングリーマ1を駆動する駆動体に把持させるだけであり、素材の円柱棒材には何ら加工を施す必要はなく、したがって把持部の外径、真円度、真直度はあらかじめピンゲージ同等の精度に形成された円柱棒体の形状を保持している。
なお、図2においては前記切削部2の切削刃2aを4枚として示したが、これに限られるものでなく、下穴を所定寸法径に効率よく切削できる刃数であれば他の刃数であってよい。
また、研磨部3の後方に繋がる縮径部4は、ラッピングリーマ1と研磨済みの内面との不要な接触によって傷つくのを避けるとともにラッピングリーマ1が円滑に回転するように設けられている。
そして後端部に設けた把持部5は、ラッピングリーマ1を駆動する駆動体に把持させるだけであり、素材の円柱棒材には何ら加工を施す必要はなく、したがって把持部の外径、真円度、真直度はあらかじめピンゲージ同等の精度に形成された円柱棒体の形状を保持している。
なお、図2においては前記切削部2の切削刃2aを4枚として示したが、これに限られるものでなく、下穴を所定寸法径に効率よく切削できる刃数であれば他の刃数であってよい。
前記研磨部3に刻設されたローレット溝6における右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は、ラッピングリーマの直径Xmm対してそれぞれ
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°となっている。
なお、右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は同数であることが好ましく、特にラッピングリーマの直径Xが整数である場合には、右旋回の螺旋溝の本数Y、左方向の螺旋溝Y’はそれぞれラッピングリーマの直径Xと同数であることが好ましい。
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°となっている。
なお、右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は同数であることが好ましく、特にラッピングリーマの直径Xが整数である場合には、右旋回の螺旋溝の本数Y、左方向の螺旋溝Y’はそれぞれラッピングリーマの直径Xと同数であることが好ましい。
また、被切削材の種類によっては、前記研磨部3に、切削部2及び研磨部3で切削・研磨された微小な切り屑や研磨屑を排除するために前記円柱棒体の長さ方向に沿って縮径部4に達する排除溝7を複数本設けることも好ましい。、
本発明のラッピングリーマの製作方法は、
a.タングステンカーバイドなど高硬度の金属製円柱棒材の外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げて素材とし、
b.その先端部に前記下穴の内壁を切削して所定の径に仕上げる複数の切削刃2aを形成して切削部2とし、
c.前記切削部2に続く円柱棒材の胴部表面に、左旋回、右旋回の螺旋を所定のロード角でそれぞれ複数本交叉させて刻設して、の菱形の凸部の各頂点3aを前記下穴の内壁面に接触させて前記下穴の内壁面を研磨する研磨部3を形成し、
d.前記研磨部3の後方に繋がる円柱棒体胴部の径を前記研磨部3に刻まれた断面台形状の溝6の深さに合わせて削り取って縮径部4とし、
e.後端部は前記円柱棒体の形状を保持したまま、本ラッピングリーマを駆動する駆動体に把持させる把持部5とする
ものであり、いずれの工程も、炭化タングステンなど超硬度合金製円柱棒材の素材の各部を切削と研磨のみで製作できる。
したがって、素材の円筒棒材をコンピュータに入力されたプログラムで制御される切削装置に装着すれば、前記切削装置が各部の形状を順次切り出し研磨するので、精度の高いラッピングリーマが容易かつ大量に製作できる。
a.タングステンカーバイドなど高硬度の金属製円柱棒材の外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げて素材とし、
b.その先端部に前記下穴の内壁を切削して所定の径に仕上げる複数の切削刃2aを形成して切削部2とし、
c.前記切削部2に続く円柱棒材の胴部表面に、左旋回、右旋回の螺旋を所定のロード角でそれぞれ複数本交叉させて刻設して、の菱形の凸部の各頂点3aを前記下穴の内壁面に接触させて前記下穴の内壁面を研磨する研磨部3を形成し、
d.前記研磨部3の後方に繋がる円柱棒体胴部の径を前記研磨部3に刻まれた断面台形状の溝6の深さに合わせて削り取って縮径部4とし、
e.後端部は前記円柱棒体の形状を保持したまま、本ラッピングリーマを駆動する駆動体に把持させる把持部5とする
ものであり、いずれの工程も、炭化タングステンなど超硬度合金製円柱棒材の素材の各部を切削と研磨のみで製作できる。
したがって、素材の円筒棒材をコンピュータに入力されたプログラムで制御される切削装置に装着すれば、前記切削装置が各部の形状を順次切り出し研磨するので、精度の高いラッピングリーマが容易かつ大量に製作できる。
1:ラッピングリーマ
2:切削部
2a:切削刃
3:研磨部
3a:菱形凸部の頂点
4:縮径部
5:把持部
6:断面台形状の溝
7:切削屑排除溝
2:切削部
2a:切削刃
3:研磨部
3a:菱形凸部の頂点
4:縮径部
5:把持部
6:断面台形状の溝
7:切削屑排除溝
Claims (5)
- 金属製部材に穿たれた下穴の内壁面を研磨し、表面粗さの精度を高めるラッピングリーマであって、
先端に切削刃を形成して切削部とし、その後部に前記下穴の内壁面を研磨する研磨部を、同研磨部の後部に縮径部を、さらにその後部に把持部が形成され、かつ前記研磨部表面がローレット溝を有し、同ローレット溝は右方向に旋回する多数条の螺旋溝と左方向に旋回する多数条の螺旋溝とが交差して形成されたものであることを特徴とするラッピングリーマ。 - 研磨部に形成される右旋回の螺旋溝の本数Y,及び左旋回の螺旋溝の本数Y’は、ラッピングリーマの直径Xmm対してそれぞれ
Y=0.8X〜1.2X
Y’=0.8X〜1.2X
の間にある整数値であり、螺旋溝のリード角が20°〜45°(好ましくは25°〜35°)、溝の切り込み深さが1mm〜2mm、切り込み角度が30°〜45°であることを特徴とする請求項1に記載のラッピングリーマ。 - 研磨部表面のローレット溝の長さがラッピングリーマの直径の1.8〜2.2倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載のラッピングリーマ。
- 前記研磨部に、切削部及び研磨部で切削・研磨された微小な切り屑や研磨屑を排除する排除溝を複数本設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラッピングリーマ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のラッピングリーマの製造方法であって、外径及び真円度、真直度をピンゲージ同等の精度に仕上げた炭化タングステンなどの超硬度合金製円柱棒材を素材とし、前記切削部の切削刃、研磨部表面に形成されるローレット溝、及び縮径部をすべて1台の切削装置で切削加工のみによって形成することを特徴とするラッピングリーマの製造方法。
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---|---|---|---|
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JP2013224672A JP2015085419A (ja) | 2013-10-29 | 2013-10-29 | ラッピングリーマ及びラッピングリーマの製造方法 |
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CN114161328A (zh) * | 2021-11-15 | 2022-03-11 | 哈尔滨工业大学 | 一种cvd金刚石微细磨削工具及其制备方法 |
Citations (2)
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JPH0247122U (ja) * | 1988-09-27 | 1990-03-30 | ||
JPH0852657A (ja) * | 1994-08-08 | 1996-02-27 | Nachi Fujikoshi Corp | 電着工具 |
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2013
- 2013-10-29 JP JP2013224672A patent/JP2015085419A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0247122U (ja) * | 1988-09-27 | 1990-03-30 | ||
JPH0852657A (ja) * | 1994-08-08 | 1996-02-27 | Nachi Fujikoshi Corp | 電着工具 |
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CN114161328A (zh) * | 2021-11-15 | 2022-03-11 | 哈尔滨工业大学 | 一种cvd金刚石微细磨削工具及其制备方法 |
CN114161328B (zh) * | 2021-11-15 | 2022-11-25 | 哈尔滨工业大学 | 一种cvd金刚石微细磨削工具及其制备方法 |
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