JP2023154644A - 研削砥石 - Google Patents
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Abstract
【課題】母材上に砥粒を固定した孔加工用の研削砥石において、砥石先端面の軸中心に砥粒を付着させず、加工孔の孔底中心部を平坦に研削することができる砥石を提供する。【解決手段】軸体1と、前記軸体の先端側に砥粒を固定する砥石層5とを備え、軸回りに回転する前記軸体の先端によって、被加工物に対し有底孔を形成する研削砥石100であって、前記軸体の先端面において、前記軸体の軸方向に直交するとともに、軸体中心Oを中心として点対称に形成された一対の平面部6、7と、前記軸体中心を中心点として点対称に形成され、前記平面部に連続して形成された一対の第1の傾斜面10a、11aとを有し、傾斜方向が逆となる前記一対の第1の傾斜面の縁部は、前記軸体中心において交差する。【選択図】図1
Description
本発明は、軸体上に砥粒を固定した研削砥石に関し、特に下穴無しで有底の孔の底面を平坦に加工するのに好適な研削砥石に関する。
研削砥石は、図7に表面部分を断面図で示すように、軸体200上にダイヤモンド粒子等の砥粒202を例えばニッケル等の電気メッキ(電着層)201で固定した工具である(例えば、特許文献1参照)。
この研削砥石を用いて、被加工部材に対し有底の孔を形成する場合、大きく分けて2通りの方法がある。
第一の方法は、被加工部材に対し、事前に下穴をドリル状の砥石で形成し、その後、エンドミル状の砥石で下穴の径と深さを調整する方法である。
この研削砥石を用いて、被加工部材に対し有底の孔を形成する場合、大きく分けて2通りの方法がある。
第一の方法は、被加工部材に対し、事前に下穴をドリル状の砥石で形成し、その後、エンドミル状の砥石で下穴の径と深さを調整する方法である。
また、第二の方法は、被加工部材に対し、下穴を形成せずに行う方法であり、被加工部材に対し、例えば、孔径よりも径の小さい棒状の砥石を用いて、ヘリカル状(螺旋状)の軌跡を描かせながら行う場合と、被加工部材に対し、下穴を形成せずに、ドリル形状の砥石やエンドミル状の砥石で直接的に目標とする径と深さを有する孔を形成する場合とがある。
被加工部材に対し、下穴加工を実施する前記第一の方法の場合、事前に下穴をドリル状の砥石で形成する工程と、エンドミル状の砥石で前記下穴の径と深さを調整する工程の、合わせて2つの工程が必要となる為、加工時間が全体的に長くなるという課題がある。
この課題を解決するためには、下穴無しで孔を加工形成する前記第二の方法を実施することにより解決することができる。
しかしながら、棒状の砥石でヘリカル状の軌跡を描かせて加工する場合には、前記第一の方法と同様に加工時間が長くなるという課題がある。
また、被加工部材に対し、ドリル形状の砥石で加工する場合、先端が尖っているため孔底を平らにすることができないといった課題がある。
この課題を解決するためには、下穴無しで孔を加工形成する前記第二の方法を実施することにより解決することができる。
しかしながら、棒状の砥石でヘリカル状の軌跡を描かせて加工する場合には、前記第一の方法と同様に加工時間が長くなるという課題がある。
また、被加工部材に対し、ドリル形状の砥石で加工する場合、先端が尖っているため孔底を平らにすることができないといった課題がある。
ところで、孔底を平らにしたい孔加工で加工時間を短縮する方法としては、先端が尖らずフラットエンドのエンドミル状砥石を用いることが最も効果的である。エンドミル状の砥石は、円柱体の外周面に形成された外周刃と、先端面に形成された底刃とを有するため、加工孔の目標径に合わせた砥石径のエンドミルを用いることにより、加工孔の内周面と孔底とを同時に研削することができる。
しかしながら、エンドミル状の砥石で被加工部材を加工した場合、被加工部材に形成した孔底の中央が平坦にならずに凸状に形成されやすいという課題があった。
前記孔底の中央が凸状になる原因は定かではないが、次の理由によるものと考えられていた。即ち、砥石先端面の中心は、切削速度(切削点(加工面との接点)における刃の動く速度)が0であるため、砥石の先端面中心から加工面に対し単に押し圧が加わるのみとなる。この押し圧の影響により砥石の先端中心に付着していた砥粒が脱落しやすく、砥石の先端中心の砥粒が脱落した場合、砥石先端面の中央が凹状となるため、加工面である孔底が凸状となる。この対策として、砥石の先端中心に砥粒を多く付着させる工夫がなされてきた。
前記孔底の中央が凸状になる原因は定かではないが、次の理由によるものと考えられていた。即ち、砥石先端面の中心は、切削速度(切削点(加工面との接点)における刃の動く速度)が0であるため、砥石の先端面中心から加工面に対し単に押し圧が加わるのみとなる。この押し圧の影響により砥石の先端中心に付着していた砥粒が脱落しやすく、砥石の先端中心の砥粒が脱落した場合、砥石先端面の中央が凹状となるため、加工面である孔底が凸状となる。この対策として、砥石の先端中心に砥粒を多く付着させる工夫がなされてきた。
しかしながら、対策が効果的ではなく、被加工部材の凸状形成は頻繁に発生していることから、次の理由によるものと考え方を変更した。即ち、砥石先端の軸中心位置に付着している砥粒は、そのエッジ部分に遠心力が働かない状態で被加工部材に接触し、加工面に対し単に押し圧が加わるだけとなる。そのため、砥粒のエッジ部分が加工面に刺さり、電着層を抉ることになる。
本願出願人は、上記事情を鑑み、切削砥石の形状を、砥石先端面の軸中心に砥粒を付着させない形状とすることを前提に鋭意検討を行い、本発明をするに至った。
本発明の目的は、軸体上に砥粒を固定した孔加工用の研削砥石において、砥石先端面の軸中心に砥粒を付着させず、加工孔の孔底中心部を平坦に研削することのできる研削砥石を提供することを目的とする。
本発明の目的は、軸体上に砥粒を固定した孔加工用の研削砥石において、砥石先端面の軸中心に砥粒を付着させず、加工孔の孔底中心部を平坦に研削することのできる研削砥石を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためになされた本発明に係る研削砥石は、軸体と、前記軸体の先端側に砥粒を固定する砥石層とを備え、軸回りに回転する前記軸体の先端によって、被加工物に対し有底孔を形成する研削砥石であって、前記軸体の先端面において、前記軸体の軸方向に直交するとともに、軸体中心を中心として点対称に形成された一対の平面部と、前記軸体中心を中心点として点対称に形成され、前記平面部に連続して形成された一対の第1の傾斜面とを有し、傾斜方向が逆となる前記一対の第1の傾斜面の縁部は、前記軸体中心点において交差することに特徴を有する。
尚、前記一対の第1の傾斜面が交差する前記軸体中心の軸方向の位置は、前記軸体の先端面における最先端位置よりも、前記砥粒の1粒子径以下の範囲で軸方向に凹んだ位置であることが望ましい。
また、前記一対の第1の傾斜面の長さ寸法は、前記軸体の径の10%以下であることが望ましい。
また、前記軸体の先端面において、前記一対の第1の傾斜面の前端から連続して形成され、前記第1の傾斜面の傾斜角よりも大きく傾斜した一対の第2の傾斜面と、前記軸体の外周面において、前記一対の第2の傾斜面の前端から連続して形成され、前記軸体の軸方向に延びる一対の凹溝とを備えることが望ましい。
また、前記砥石層は、電着層と、前記電着層に固定された砥粒とを有することが望ましい。
また、前記一対の第1の傾斜面の長さ寸法は、前記軸体の径の10%以下であることが望ましい。
また、前記軸体の先端面において、前記一対の第1の傾斜面の前端から連続して形成され、前記第1の傾斜面の傾斜角よりも大きく傾斜した一対の第2の傾斜面と、前記軸体の外周面において、前記一対の第2の傾斜面の前端から連続して形成され、前記軸体の軸方向に延びる一対の凹溝とを備えることが望ましい。
また、前記砥石層は、電着層と、前記電着層に固定された砥粒とを有することが望ましい。
本発明の構成によれば、軸体の先端面において、一対の第1の傾斜面は、軸体中心を中心点として点対称に形成され、傾斜方向が逆となる一対の第1の傾斜面が、軸体中心において交差する。
この構成により、軸体の先端面における軸体中心は平坦とならない。そのため、砥石層を形成する際、例えばニッケルめっき浴中において軸体の先端面が水平に配置された状態で、めっき浴中で落下する砥粒を、軸体中心には付着させず、その近傍に付着させることができる。それにより、従来、軸体中心に付着している砥粒が被加工部材に対して同じ場所で押圧されながら回転することになり、被加工部材に刺さった砥粒が逆に砥石を削ってしまうといった不具合を防止することができる。
また、一対の第1の傾斜面の縁部に沿って形成される一対の底刃が、軸体中心で互いに繋がり、軸体中心の近傍にエッジが形成されているため、軸体中心の近傍において加工材に対する切削力を発生させることができ、加工孔の底面を平坦に加工することができる。
ところで、本発明のような研削砥石は、構造体上にまぶしたダイヤモンドなどの砥粒の1つ1つが小さい刃を構成し、各々が削る作用をもって加工する。しかし、本明細書においては、説明の都合上、底刃の端部(図面で示す21、22)を底刃、外周刃の端部(図面で示す23、24)を外周刃と称して説明する。
この構成により、軸体の先端面における軸体中心は平坦とならない。そのため、砥石層を形成する際、例えばニッケルめっき浴中において軸体の先端面が水平に配置された状態で、めっき浴中で落下する砥粒を、軸体中心には付着させず、その近傍に付着させることができる。それにより、従来、軸体中心に付着している砥粒が被加工部材に対して同じ場所で押圧されながら回転することになり、被加工部材に刺さった砥粒が逆に砥石を削ってしまうといった不具合を防止することができる。
また、一対の第1の傾斜面の縁部に沿って形成される一対の底刃が、軸体中心で互いに繋がり、軸体中心の近傍にエッジが形成されているため、軸体中心の近傍において加工材に対する切削力を発生させることができ、加工孔の底面を平坦に加工することができる。
ところで、本発明のような研削砥石は、構造体上にまぶしたダイヤモンドなどの砥粒の1つ1つが小さい刃を構成し、各々が削る作用をもって加工する。しかし、本明細書においては、説明の都合上、底刃の端部(図面で示す21、22)を底刃、外周刃の端部(図面で示す23、24)を外周刃と称して説明する。
本発明によれば、軸体上に砥粒を固定した孔加工用の研削砥石において、砥石先端面の軸中心に砥粒を付着させず、加工孔の孔底中心部を平坦に研削することのできる研削砥石を提供することができる。
以下、本発明に係る研削砥石について実施の形態に基づき説明する。図1は、本発明の研削砥石100の先端部を示す斜視図である。本発明に係る研削砥石は、軸体に対しダイヤモンド粒子等からなる砥粒をニッケル等の電気メッキ(電着層)で固定したエンドミル工具であり、有底孔の形成に好適な孔加工用の砥石である。
図1に示す研削砥石100は、細長い略円柱状の軸体1を備えている。この軸体1は、取付工具(図示せず)に把持される太軸部(図示せず)と、前記太軸部から先端方向に延びる細軸部2とを有する。この軸体1の材質は、材料硬度(HRC)が67以上の材質もの(例えば、鋼にクロム、タングステン、モリブデン、バナジウム等の金属成分を多量に添加した高速度鋼)を好適に用いることができる。
前記細軸部2の先端部には、セラミックス等の硬質な被加工物に対し孔を穿設するための加工部4が設けられている。
前記加工部4の先端面及び外周面には、砥石層5が形成されている。この砥石層5は、例えばダイヤモンドの微粒子(砥粒)を電着によって加工部4の外表面に付着させて得られるものである。
前記細軸部2の先端部には、セラミックス等の硬質な被加工物に対し孔を穿設するための加工部4が設けられている。
前記加工部4の先端面及び外周面には、砥石層5が形成されている。この砥石層5は、例えばダイヤモンドの微粒子(砥粒)を電着によって加工部4の外表面に付着させて得られるものである。
図2は、砥石層5を形成していない状態の軸体1の先端部の平面図であり、図3は、砥石層5を形成していない状態の軸体1の先端部を示す斜視図である。また、図4は、図3の軸体1の先端部の一部(破線で囲む部分)を拡大して示す斜視図である。
加工部4の先端面3は、図2に示すように軸体1の中心Oを中心点として点対称な形状に形成される。具体的には、先端面3は、中心Oを中心点として点対称に配置された一対の平面部6、7を有する。この平面部6、7は、軸体1の軸方向に直交する平坦な面であり、本実施の形態において扇形状に形成されている。
加工部4の先端面3は、図2に示すように軸体1の中心Oを中心点として点対称な形状に形成される。具体的には、先端面3は、中心Oを中心点として点対称に配置された一対の平面部6、7を有する。この平面部6、7は、軸体1の軸方向に直交する平坦な面であり、本実施の形態において扇形状に形成されている。
また、図2、図3、図4に示すように、先端面3は、中心Oを中心点として点対称に配置された一対のテーパ面10、11を有する。前記テーパ面10は、前記平面部6の一端から連続して形成され、前記テーパ面11は、前記平面部7の一端から連続して形成されている。
各テーパ面10、11は、先端面3における軸体中心Oから外周縁まで径方向に延びる幅を有し、軸体1の太軸側にわずかに傾斜する第1の傾斜面10a、11aを有する。さらに、各テーパ面10、11は、前記第1の傾斜面10a、11aの前端から、該第1の傾斜面10a、11aの傾斜角度よりも大きな角度(平面部6、7に対し90°より小さな角度、例えば45°)でさらに軸体1の太軸側に傾斜する第2の傾斜面10b、11bを有する。
各テーパ面10、11は、先端面3における軸体中心Oから外周縁まで径方向に延びる幅を有し、軸体1の太軸側にわずかに傾斜する第1の傾斜面10a、11aを有する。さらに、各テーパ面10、11は、前記第1の傾斜面10a、11aの前端から、該第1の傾斜面10a、11aの傾斜角度よりも大きな角度(平面部6、7に対し90°より小さな角度、例えば45°)でさらに軸体1の太軸側に傾斜する第2の傾斜面10b、11bを有する。
図5は、図1の研削砥石の先端部の側面図であり、図6は、図5の研削砥石の側面図の一部(破線円で囲む部分)を拡大して示す側面図である。
前記第1の傾斜面10a、11aは、先端面3において軸体中心Oを中心点として点対称に配置され、図6に示すように平面部6、7に対し傾斜角θ1(例えば4°~6°)で軸体1の太軸側に傾斜している。この第1の傾斜面10a、11aの幅寸法は、軸体1の半径の寸法であり、長さ寸法Lは、軸体1の径の10%以下、例えば0.3~0.5mmに形成されている。尚、一対の第2の傾斜面10b、11bの長さは、第1の傾斜面10a、11aの長さよりも長く形成されている。第1の傾斜面10a、11aの長さが第2の傾斜面10b、11bの長さより長いと、同形状起因の凹みが発生する為、短い方が望ましい。
さらに詳細に言えば、実試験結果より従来の砥石先端において、使用後に研削砥石の中心が凹む直径は、軸体(砥石)の直径の10%以下であることがわかった。本発明は、砥石の周速がほぼ0である軸中心の研削性能維持にあり、そのために研削砥石の中心に砥粒が着きにくいように平面を設けないこと、中心でも研削に寄与する底刃の一部を特定の構造で設けること、で解決できることを見出した。第1の傾斜面10a、11aは、軸体1の直径が5mmから7mm程度の場合、5%程度にすれば、より好ましい。なお、この部分の長さを必要以上に大きくするとミル形状に近づき、ツール形状起因で凹みが発生することも考慮した。
前記第1の傾斜面10a、11aは、先端面3において軸体中心Oを中心点として点対称に配置され、図6に示すように平面部6、7に対し傾斜角θ1(例えば4°~6°)で軸体1の太軸側に傾斜している。この第1の傾斜面10a、11aの幅寸法は、軸体1の半径の寸法であり、長さ寸法Lは、軸体1の径の10%以下、例えば0.3~0.5mmに形成されている。尚、一対の第2の傾斜面10b、11bの長さは、第1の傾斜面10a、11aの長さよりも長く形成されている。第1の傾斜面10a、11aの長さが第2の傾斜面10b、11bの長さより長いと、同形状起因の凹みが発生する為、短い方が望ましい。
さらに詳細に言えば、実試験結果より従来の砥石先端において、使用後に研削砥石の中心が凹む直径は、軸体(砥石)の直径の10%以下であることがわかった。本発明は、砥石の周速がほぼ0である軸中心の研削性能維持にあり、そのために研削砥石の中心に砥粒が着きにくいように平面を設けないこと、中心でも研削に寄与する底刃の一部を特定の構造で設けること、で解決できることを見出した。第1の傾斜面10a、11aは、軸体1の直径が5mmから7mm程度の場合、5%程度にすれば、より好ましい。なお、この部分の長さを必要以上に大きくするとミル形状に近づき、ツール形状起因で凹みが発生することも考慮した。
図6に示すように、先端面3において、前記第1の傾斜面10aと第1の傾斜面11aの中央側の縁部は、互いに逆向きに傾斜して軸体中心Oで交差する。そのため、軸体1の先端面3において、軸体中心Oは、平面部6、7よりも太軸側に凹んだ位置となる。この凹部Dの幅Wは、例えば0.23mmに形成されている。
また、前記凹部Dの深さH(先端面3における軸体中心Oから、平面部6、7までの高さ寸法)は、砥石層5に固定する砥粒の1粒子径以下の範囲、例えば0.01mmに形成されている。前記凹部Dの深さHが、1粒子径より大きくなると、加工する孔底を平坦にすることができない虞があるためである。
また、前記凹部Dの深さH(先端面3における軸体中心Oから、平面部6、7までの高さ寸法)は、砥石層5に固定する砥粒の1粒子径以下の範囲、例えば0.01mmに形成されている。前記凹部Dの深さHが、1粒子径より大きくなると、加工する孔底を平坦にすることができない虞があるためである。
また、このように先端面3において、一対のテーパ面10、11を設けることにより、底刃21、22の延長部分が形成される。図4に示すように、底刃21と底刃22の延長部分とは、それぞれ平面部6、7及び第1の傾斜面10a、11aの縁部に沿って形成され、軸体中心Oで互いに一端が繋がるように形成されている。そのため、先端面3の軸体中心O近傍においては軸体1の回転(図1の矢印方向の回転)に伴う切削力を発生させることができる。
尚、前記第2の傾斜面10b、11bの中心部には、研削液が吐出される開口部12、13がそれぞれ設けられていてもよい。この開口部12、13は、軸体中に軸方向に沿って形成された流通孔(図示せず)の先端に繋がっている。研削液の供給部(図示せず)は、前記流通孔に研削液を供給し、前記流通孔を流れる研削液は前記開口部12、13から吐出される。
また、前記加工部4には、前記一対の面取り部10、11の前端から軸体の軸方向に沿って(平面部6、7に対し90°の方向)、図示しない太軸側に延びる一対の凹溝14、15が形成されている。この凹溝14、15は、前記一対の面取り部10、11よりも軸方向に長く形成されている。このように凹溝14、15を設けることにより、軸体1の外周面には、外周刃23、24が形成される。
また、このように軸体1の軸方向に延びる凹溝14、15を設けることにより、切削屑、及び研削液を、凹溝14、15を介して被加工物の加工孔から効率よく排出することができる。
また、このように軸体1の軸方向に延びる凹溝14、15を設けることにより、切削屑、及び研削液を、凹溝14、15を介して被加工物の加工孔から効率よく排出することができる。
このような構成の研削砥石100を製造する場合、先ず、CNC工具研削盤(数値制御された工具研削盤)のテーブル(図示せず)上に、ワークとして円柱体の母材(例えば、鋼にクロム、タングステン、モリブデン、バナジウム等の金属成分を多量に添加した高速度鋼)を固定する。そして、母材を軸回りに回転させる、或いは母材を固定したテーブルをXY方向に移動させつつ、回転砥石を母材に押し当てて研削し、細軸部2と太軸部(図示せず)とを有する軸体を形成する。
更に、前記CNC工具研削盤により、細軸部2の先端側に軸方向に沿って一対の凹溝14、15を設け、一対の外周刃23、24を形成する。
また、前記CNC工具研削盤により、先端面3を加工し、一対の平坦面6、7、及び第1の傾斜面10a、第2の傾斜面10bを設け、底刃21を形成する。また、続けて第1の傾斜面11a、第2の傾斜面11bを設け、底刃22を形成する。
更に、前記CNC工具研削盤により、細軸部2の先端側に軸方向に沿って一対の凹溝14、15を設け、一対の外周刃23、24を形成する。
また、前記CNC工具研削盤により、先端面3を加工し、一対の平坦面6、7、及び第1の傾斜面10a、第2の傾斜面10bを設け、底刃21を形成する。また、続けて第1の傾斜面11a、第2の傾斜面11bを設け、底刃22を形成する。
ここで、第1の傾斜面10aと第1の傾斜面11aとは、軸体中心Oを中心点として点対称に形成し、傾斜方向が逆となる第1の傾斜面10aと第1の傾斜面11aとを、軸体中心Oにおいて交差させる。
これにより、平面部6、7及び第1の傾斜面10a、11aの縁部に沿って形成される底刃21と底刃22とは、軸体中心Oで互いに一端が繋がり、軸体中心Oの近傍にエッジが形成される状態となる。
これにより、平面部6、7及び第1の傾斜面10a、11aの縁部に沿って形成される底刃21と底刃22とは、軸体中心Oで互いに一端が繋がり、軸体中心Oの近傍にエッジが形成される状態となる。
このようにして軸体1を形成した後、細軸部2の先端側に対し、ダイヤモンド等の硬質砥粒をニッケル合金等のめっきにより電着して砥石層5を形成する。具体的には、例えばニッケルめっき浴中に軸体1を置き、めっき浴中において上方から軸体1の先端側に向けて砥粒を落下させ付着させる。
このとき、先端面3へ砥粒を付着させる際には、軸体1は先端面3が水平の状態に配置される。軸体中心Oにおいて、砥粒が付着する範囲を有する前記第1の傾斜面10aと第1の傾斜面11aとが交差するため、先端面3における軸体中心Oは点となり平坦面とならない。そのため、ニッケルめっき浴中において軸体1の先端面3に付着する砥粒は、軸体中心Oに付着せず、軸体中心Oに付着しようとした砥粒は、その近傍に付着する。
このとき、先端面3へ砥粒を付着させる際には、軸体1は先端面3が水平の状態に配置される。軸体中心Oにおいて、砥粒が付着する範囲を有する前記第1の傾斜面10aと第1の傾斜面11aとが交差するため、先端面3における軸体中心Oは点となり平坦面とならない。そのため、ニッケルめっき浴中において軸体1の先端面3に付着する砥粒は、軸体中心Oに付着せず、軸体中心Oに付着しようとした砥粒は、その近傍に付着する。
このように製造された研削砥石100を用いて、被加工部材に有底の孔を穿設する場合、被加工部材の加工面に対し研削砥石100を直交するように配置して図1の矢印方向に高速回転させ、先端面3を押し当てながら穿孔する。ここで、研削砥石100の先端面3において、軸体中心Oには砥粒は付着していないため、軸体中心Oにおける砥粒による抉りの不具合が防止される。
また、軸体中心Oで繋がる底刃21、22によって軸体中心O近傍において加工材に対する切削力が発生するため、加工孔においける孔底中央が平坦に加工される。
また、軸体中心Oで繋がる底刃21、22によって軸体中心O近傍において加工材に対する切削力が発生するため、加工孔においける孔底中央が平坦に加工される。
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、軸体1の先端面3において、第1の傾斜面10aと第1の傾斜面11aとは、軸体中心Oを中心点として点対称に形成され、傾斜方向が逆となり、軸体中心Oにおいて交差する。
この構成により、軸体1の先端面3における軸体中心Oには平坦面が形成されることが無い。そのため、砥石層5を形成する際、ニッケルめっき浴中において軸体1の先端面3が水平に配置された状態で、めっき浴中で落下する砥粒を軸体中心Oに付着させず、その近傍に付着させることができる。それにより、従来、軸体中心Oに付着した砥粒により加工面が抉られるといった不具合を防止することができる。
また、第1の傾斜面10a、11aの縁部に沿って形成される底刃21と底刃22の一端が、軸体中心Oで互いに繋がり、軸体中心Oの近傍にエッジが形成されているため、軸体中心Oの近傍において加工材に対する切削力を発生させることができ、加工孔の底面を平坦に加工することができる。
この構成により、軸体1の先端面3における軸体中心Oには平坦面が形成されることが無い。そのため、砥石層5を形成する際、ニッケルめっき浴中において軸体1の先端面3が水平に配置された状態で、めっき浴中で落下する砥粒を軸体中心Oに付着させず、その近傍に付着させることができる。それにより、従来、軸体中心Oに付着した砥粒により加工面が抉られるといった不具合を防止することができる。
また、第1の傾斜面10a、11aの縁部に沿って形成される底刃21と底刃22の一端が、軸体中心Oで互いに繋がり、軸体中心Oの近傍にエッジが形成されているため、軸体中心Oの近傍において加工材に対する切削力を発生させることができ、加工孔の底面を平坦に加工することができる。
本発明に係る研削砥石について、実施例に基づきさらに説明する。
[実施例1]
実施例1では、図1に示した研削砥石を製造し、加工後における有底孔の加工形状の評価、及び砥石寿命の評価を行った。
実施例1では、研削砥石の軸体の材料としてS25Cを用いた。軸体の先端側に形成する砥石層に用いる砥粒はダイヤモンド粒子とし、粒度は、100番目の粒度(#100)とした。この条件で3本の研削砥石を製造した。
また、加工材としてアルミナを用い、3本の研削砥石において、それぞれ直径6.5mm、深さ11mmの有底孔を連続して形成した。
製造した研削砥石を用い、60個の孔を連続して加工形成できた場合を合格とした。
[実施例1]
実施例1では、図1に示した研削砥石を製造し、加工後における有底孔の加工形状の評価、及び砥石寿命の評価を行った。
実施例1では、研削砥石の軸体の材料としてS25Cを用いた。軸体の先端側に形成する砥石層に用いる砥粒はダイヤモンド粒子とし、粒度は、100番目の粒度(#100)とした。この条件で3本の研削砥石を製造した。
また、加工材としてアルミナを用い、3本の研削砥石において、それぞれ直径6.5mm、深さ11mmの有底孔を連続して形成した。
製造した研削砥石を用い、60個の孔を連続して加工形成できた場合を合格とした。
実施例1の結果、3本の研削砥石のいずれも60個の孔を連続して加工形成することができた。また、加工した有底孔のすべてにおいて、孔底が平坦に加工されていることを確認した。
[実施例2]
実施例2では、実施例1で製造した研削砥石において、軸体の先端側に形成する砥石層に用いる砥粒の粒度のみを変更した。実施例2は、140番目の粒度(#140)とした。この条件で3本の研削砥石を製造し、その他の条件は実施例1と同様にして加工材に対し連続して有底孔を加工形成した。
実施例2では、実施例1で製造した研削砥石において、軸体の先端側に形成する砥石層に用いる砥粒の粒度のみを変更した。実施例2は、140番目の粒度(#140)とした。この条件で3本の研削砥石を製造し、その他の条件は実施例1と同様にして加工材に対し連続して有底孔を加工形成した。
実施例2の結果、3本の研削砥石のいずれも60個の孔を連続して加工形成することができた。また、加工した有底孔のすべてにおいて、孔底が平坦に加工されていることを確認した。
[比較例1]
比較例1では、先端面の中心が平坦な3本の研削砥石を用い、各研削砥石を用い、加工材に対し有底孔を加工形成した。その他の条件は、実施例1と同じとした(砥粒の粒度は100番目の粒度(#100))。
比較例1の結果、3本中3本において10個の孔を形成する以前の時点で、工具中心に凹みが発生した。
また、3本中3本において、加工した有底孔の底中央に凸状形成が生じた。
比較例1では、先端面の中心が平坦な3本の研削砥石を用い、各研削砥石を用い、加工材に対し有底孔を加工形成した。その他の条件は、実施例1と同じとした(砥粒の粒度は100番目の粒度(#100))。
比較例1の結果、3本中3本において10個の孔を形成する以前の時点で、工具中心に凹みが発生した。
また、3本中3本において、加工した有底孔の底中央に凸状形成が生じた。
[比較例2]
比較例2では、先端面の中心が平坦な3本の研削砥石を用い、各研削砥石を用い、加工材に対し有底孔を加工形成した。その他の条件は、実施例2と同じとした(砥粒の粒度は140番目の粒度(#140))。
比較例2の結果、3本中3本において10個の孔を形成する以前の時点で、工具中心に凹みが発生した。
また、3本中3本において、加工した有底孔の底中央に凸状形成が生じた。
比較例2では、先端面の中心が平坦な3本の研削砥石を用い、各研削砥石を用い、加工材に対し有底孔を加工形成した。その他の条件は、実施例2と同じとした(砥粒の粒度は140番目の粒度(#140))。
比較例2の結果、3本中3本において10個の孔を形成する以前の時点で、工具中心に凹みが発生した。
また、3本中3本において、加工した有底孔の底中央に凸状形成が生じた。
本実施例の結果、本発明によれば、砥石先端面の軸中心に砥粒が付着することを防止し、加工孔の孔底中心部を平坦に研削することができることを確認した。
1 軸体
2 細軸部
3 先端面
4 加工部
5 砥石面
6 平坦面
7 平坦面
10 テーパ面
10a 第1の傾斜面
10b 第2の傾斜面
11 テーパ面
11a 第1の傾斜面
11b 第2の傾斜面
14 凹溝
15 凹溝
21 底刃
22 底刃
23 外周刃
24 外周刃
100 研削砥石
O 軸体中心
2 細軸部
3 先端面
4 加工部
5 砥石面
6 平坦面
7 平坦面
10 テーパ面
10a 第1の傾斜面
10b 第2の傾斜面
11 テーパ面
11a 第1の傾斜面
11b 第2の傾斜面
14 凹溝
15 凹溝
21 底刃
22 底刃
23 外周刃
24 外周刃
100 研削砥石
O 軸体中心
Claims (5)
- 軸体と、前記軸体の先端側に砥粒を固定する砥石層とを備え、軸回りに回転する前記軸体の先端によって、被加工物に対し有底孔を形成する研削砥石であって、
前記軸体の先端面において、
前記軸体の軸方向に直交するとともに、軸体中心を中心として点対称に形成された一対の平面部と、前記軸体中心を中心点として点対称に形成され、前記平面部に連続して形成された一対の第1の傾斜面とを有し、
傾斜方向が逆となる前記一対の第1の傾斜面の縁部は、前記軸体中心において交差することを特徴とする研削砥石。 - 前記一対の第1の傾斜面が交差する前記軸体中心の軸方向の位置は、
前記軸体の先端面における最先端位置よりも、前記砥粒の1粒子径以下の範囲で軸方向に凹んだ位置であることを特徴とする請求項1に記載された研削砥石。 - 前記一対の第1の傾斜面の長さ寸法は、前記軸体の径の10%以下であることを特徴とする請求項1に記載された研削砥石。
- 前記軸体の先端面において、前記一対の第1の傾斜面の前端から連続して形成され、前記第1の傾斜面の傾斜角よりも大きく傾斜した一対の第2の傾斜面と、
前記軸体の外周面において、前記一対の第2の傾斜面の前端から連続して形成され、前記軸体の軸方向に延びる一対の凹溝とを備えることを特徴とする請求項1に記載された研削砥石。 - 前記砥石層は、電着層と、前記電着層に固定された砥粒とを有することを特徴とする請求項1に記載された研削砥石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022064107A JP2023154644A (ja) | 2022-04-07 | 2022-04-07 | 研削砥石 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022064107A JP2023154644A (ja) | 2022-04-07 | 2022-04-07 | 研削砥石 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023154644A true JP2023154644A (ja) | 2023-10-20 |
Family
ID=88373405
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022064107A Pending JP2023154644A (ja) | 2022-04-07 | 2022-04-07 | 研削砥石 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023154644A (ja) |
-
2022
- 2022-04-07 JP JP2022064107A patent/JP2023154644A/ja active Pending
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