JP2006269921A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温で良好な自励発振を起こし、かつ、戻り光ノイズが小さい半導体レーザ装置を提供すること。
【解決手段】 クラッド層に、可飽和吸収層83を形成する。また、活性層81と可飽和吸収層83との間に、ポテンシャル井戸構造を有するキャリアトラップ層82を形成する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、ディスク信号の読み出しに用いられれば好適な半導体レーザ装置に関する。
半導体レーザ装置を、光ディスク信号の読み取りに用いた場合においては、読み取り時の戻り光によって光出力が変動して誘起される雑音が特に大きくなるので、低雑音特性に対する要求が高い。
従来、この戻り光に対する雑音特性を改善した半導体レーザ装置としては、半導体レーザ装置の可干渉性を低下させて、戻り光に対する影響を受けにくくした自励発振型半導体レーザ装置がある。
図9Aは、従来の赤色自励発振型半導体レーザ装置の模式的断面図である。また、図9Bは、その赤色自励発振型半導体レーザ装置の各層のバンドプロファイルを示す図である。
図9Aに示すように、この赤色自励発振型半導体レーザ装置は、n型GaAs基板91上に、n型AlGaInPクラッド層92、MQW活性層93、p型第1クラッド層94a、p型GaInP可飽和吸収層97、p型第2クラッド層94b、p型中間層95、p型キャップ層96が順次積層されている。また、リッジストライプ内への電流狭窄のため、リッジストライプの側方にn型GaAsブロック層98が形成されている。また、図9Bのバンドプロファイルに示すように、p型GaInP可飽和吸収層97におけるキャリアのポテンシャルエネルギーは、隣接するp型第1クラッド層94aおよびp型第2クラッド層94bのキャリアのポテンシャルエネルギーよりも低くなっている。このため、活性層93からあふれたオーバーフローキャリアは、p型GaInP可飽和吸収層97に入りこむようになっている。
ここで、図9Aに示した従来例の赤色自励発振レーザには、AlGaInP結晶が用いられているが、AlGaInP結晶を用いた赤色自励発振レーザは、以下に示す二つの理由によって、AlGaAs結晶を用いた近赤外自励発振レーザよりも高温で自励発振を起こしにくいという問題がある。
一つ目の理由は、可飽和吸収を構成するGaInPとGaAsとを比較すると、GaInPの方が吸収飽和しにくいという理由である。可飽和吸収層にたくさんのキャリアが貯まらないと吸収飽和が起こらないので、AlGaInP結晶を用いた赤色自励発振レーザは、AlGaAs結晶を用いた近赤外自励発振レーザよりも高温で自励発振を起こしにくくなるのである。
また、二つ目の理由は、AlGaInP系半導体レーザ装置は、AlGaAs系半導体レーザ装置と比べて、活性層とクラッド層の間のバンド障壁が低くて、活性層のキャリアがオーバーフローし易いという理由である。このことから、AlGaInP結晶を用いた赤色自励発振レーザは、AlGaAs結晶を用いた近赤外自励発振レーザよりも温度特性が悪くなるので、高温で自励発振を起こしにくくなるのである。ここで、高温での良好な自発発振を妨げる要因としては、特に、後者のキャリアオーバーフローに起因する要因が大きいことが分かっている。
図10は、上記キャリアオーバーフローに起因する問題の理解を容易にするために作製した模式図である。
従来の半導体レーザ装置では、高温で活性層103からオーバーフローした図10に101で示すキャリアは、図10に示すように、可飽和吸収層107へ流れ込むようになっている。このことにより、特に、高温での動作においては、活性層103内のキャリアがオーバーフローしてクラッド層105へ流れ出し、可飽和吸収層107へ入り込むことにより、可飽和吸収層107の光吸収量が減少することになる。
したがって、レーザ光の励起でのキャリアがあるときと、なくなったときとでの吸収量の差が過度に小さくなって自励発振が起こらないという問題がある。または、レーザ光がオフの状態での可飽和吸収層の吸収量が元々小さくなってしまって、自励振動に十分な光の吸収量の増減幅が小さくなって、良好な自励振動を起こすことができないという問題がある。
特開2000−216501号公報
そこで、本発明の課題は、高温で良好な自励発振を起こし、かつ、戻り光ノイズが小さい半導体レーザ装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の半導体レーザ装置は、
半導体基板上に、少なくとも、第1クラッド層、活性層および第2クラッド層を順次設け、
上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方は、可飽和吸収層を含み、
上記可飽和吸収層と上記活性層との間に、キャリアをトラップするキャリアトラップ層が形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、上記可飽和吸収層と上記活性層との間に、キャリアをトラップするキャリアトラップ層を形成したので、上記活性層からオーバーフローしたキャリアが上記可飽和吸収層へ入り込む前にそのキャリアを上記キャリアトラップ層にトラップ(閉じ込める)することができて、上記可飽和吸収層に流れ込むオーバーフローキャリアの量を抑制できる。したがって、レーザ光がオフの状態における可飽和吸収層のキャリア吸収量を増大させることができるので、可飽和吸収層のキャリア吸収量の増減幅を大きくすることができて、低雑音を実現できると共に、高温における良好な自励振動を実現できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層が、上記第2クラッド層内のみに存在する。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層が、上記第1クラッド層内のみに存在する。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層が、上記第1クラッド層内と上記第2クラッド層内の両方に存在する。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記第2クラッド層の一部が、凸状のリッジストライプ構造の一部である。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層が、少なくとも上記第2クラッド層内に存在し、上記可飽和吸収層の上記半導体基板側と反対側の表面上に凸状のリッジストライプ構造が形成されている。
上記実施形態によれば、上記可飽和吸収層の上記半導体基板側と反対側の表面上に凸状のリッジストライプ構造が形成されているので、所定の領域に正確に電流を流すことができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層の上記半導体基板側の表面および上記可飽和吸収層の上記半導体基板側と反対側の表面のうちの少なくとも一方は、凹面である。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層は、上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方に形成され、上記キャリアトラップ層のキャリア濃度は、上記キャリアトラップ層の上記活性層側の表面に接触している層のキャリア濃度よりも高いと共に、上記キャリアトラップ層の上記可飽和吸収層側の表面に接触している層のキャリア濃度よりも高い。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層のキャリア濃度が、このキャリアトラップ層に接触している層のキャリア濃度よりも高いので、上記キャリアトラップ層で、上記活性層からオーバーフローしたキャリアの寿命を短くできて、すみやかにキャリアを消滅させることができる。したがって、高温でも良好な自励振動を実現できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層のキャリア濃度が、2×1018cm-3以上であり、上記キャリアトラップ層の厚さが、10nm以上であり、上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層との距離が、10nm以上である。
本発明者は、上記キャリアトラップ層のキャリア濃度と、結晶のキャリア寿命との関係を調べた。そして、キャリアトラップ層のキャリア濃度が、2×1018cm-3以上である場合は、キャリアトラップ層のキャリア濃度が、2×1018cm-3より小さい場合と比較して、キャリア寿命が急激に減少することを発見した。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層のキャリア濃度が、2×1018cm-3以上であるので、結晶のキャリア寿命を格段に短くできる。また、上記キャリアトラップ層の厚さが、10nm以上であるので、キャリアトラップ層を通過して可飽和吸収層に向かうオーバーフローキャリアの量を抑制できる。また、上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層との距離が、10nm以上であるので、キャリアトラップ層を通過したオーバーフローキャリアが、上記キャリアトラップ層に到達するのを抑制できる。したがって、オーバーフローキャリアが可飽和吸収層に入り込むのを確実に防止できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層が、上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方に形成され、上記キャリアトラップ層には、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされている。
本発明者は、p型不純物ドーパントまたはn型不純物ドーパントのいずれか一方のみがドープされている場合、このいずれか一方のドーパントが拡散して、しきい値上昇などの良くない効果(悪影響)を引き起こすということを発見した。また、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされている場合、活性層からオーバーフローしたキャリアを、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされている層でトラップでき、かつ、しきい値上昇などの良くない効果(悪影響)が起こることがないということを発見した。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層には、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされているので、上記キャリアトラップ層で、活性層からオーバーフローしたキャリアを効率的にトラップでき、かつ、しきい値上昇などの良くない効果(悪影響)の発生を確実に防止できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層の上記p型不純物ドーパントのキャリア濃度が、2×1018cm-3以上であると共に、上記キャリアトラップ層の上記n型不純物ドーパントのキャリア濃度が、2×1018cm-3以上であり、上記キャリアトラップ層の厚さが、10nm以上であり、上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層との距離が、10nm以上である。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層のp型不純物ドーパントのキャリア濃度が、2×1018cm-3以上であると共に、上記キャリアトラップ層のn型不純物ドーパントのキャリア濃度が、2×1018cm-3以上であるので、p型不純物ドーパントのキャリア濃度およびn型不純物ドーパントのキャリア濃度のうちの少なくとも一方が、2×1018cm-3よりも小さい場合と比較して結晶のキャリア寿命を短くできる。また、上記キャリアトラップ層の厚さが、10nm以上であるので、キャリアトラップ層を通過するオーバーフローキャリアの量を低減できる。また、上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層との距離が、10nm以上であるので、キャリアトラップ層を通過したオーバーフローキャリアが上記可飽和吸収層に到達するのを確実に抑制できる。したがって、それらの相乗効果によって高温における良好な自励発振を実現できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層が、発光しない非発光領域を有する。
本発明者は、キャリアトラップ層に、発光しない非発光領域を形成すれば、この非発光領域でオーバーキャリアを効率的にトラップできて、キャリア寿命を更に短縮できることを見いだした。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層が、発光しない非発光領域を有するので、キャリア寿命を更に低減できて、可飽和吸収層のキャリア吸収量の増減幅を更に大きくすることができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層が、上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方に形成され、上記キャリアトラップ層のバンドギャップが、上記キャリアトラップ層の上記活性層側の表面に接触している層のバンドキャップよりも小さいと共に、上記キャリアトラップ層の上記可飽和吸収層側の表面に接触している層のバンドギャップよりも小さい。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層のバンドギャップが、上記キャリアトラップ層の上記活性層側の表面に接触している層のバンドキャップよりも小さいと共に、上記キャリアトラップ層の上記可飽和吸収層側の表面に接触している層のバンドギャップよりも小さいので、上記キャリアトラップ層でオーバーフローキャリアを確実にトラップすることができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層の厚さが、6nm以上150nm以下であり、上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層の距離が、10nm以上である。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層の厚さが、6nm以上であるので、オーバーフローキャリアを確実にトラップすることができる。また、上記キャリアトラップ層の厚さが、150nm以下であるので、半導体レーザ装置のサイズが大きくなることがない。また、上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層の距離が、10nm以上であるので、上記キャリアトラップ層を越えたオーバーフローキャリアが、上記可飽和吸収層に入りこむのを効率的に抑制できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層のキャリア濃度が、2×1018cm-3以上である。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層によってオーバーフローキャリアのキャリア寿命を効率よく低減できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層には、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントとの両方がドープされている。
上記実施形態によれば、活性層からオーバーフローしたキャリアをキャリアトラップ層で確実にトラップでき、かつ、しきい値上昇などの良くない効果(悪影響)の発生も確実に防止できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層が、レーザ発振光を吸収しない。
上記実施形態によれば、上記キャリアトラップ層が、レーザ発振光を吸収しないので、レーザ光の出力強度を大きくすることができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層の結晶組成が、上記可飽和吸収層の結晶組成と同一であり、かつ、上記キャリアトラップ層の厚さが、上記可飽和吸収層の厚さよりも薄い。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層が、複数の層からなり、上記複数の層のうちで最も厚さが薄い層は、上記活性層に最も近い層である。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記可飽和吸収層が、複数の層からなり、上記可飽和吸収層において、上記複数の層のうちで上記活性層に最も近い層のみにp型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされている。
また、一実施形態の半導体レーザ装置は、上記キャリアトラップ層の上記半導体基板側の表面と、上記キャリアトラップ層の上記半導体基板側と反対側の表面とのうちの少なくとも一方は、凹面である。
本発明の半導体レーザ装置によれば、可飽和吸収層と活性層との間に、キャリアをトラップするキャリアトラップ層を形成したので、上記活性層からオーバーフローしたキャリアを上記キャリアトラップ層にトラップ(閉じ込める)することができて、上記可飽和吸収層に流れ込むオーバーフローキャリアの量を抑制できる。したがって、レーザ光がオフの状態における可飽和吸収層のキャリア吸収量を増大させることができるので、可飽和吸収層のキャリア吸収量の増減幅を大きくすることができて、高温における良好な自励振動を実現できる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置によれば、クラッド層の一部でキャリア濃度を大きくしているので、このキャリア濃度を大きな部分でオーバーフローキャリアのキャリア寿命を下げることができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置によれば、クラッド層の一部に、p型およびn型不純物ドーパントの両方がドープされた層が存在するので、キャリア濃度を増大させることができて、キャリア寿命を下げることができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置によれば、結晶成長において、クラッド層の途中において成長中断等を行うことによって、キャリアトラップ層に、非発光領域を形成しているので、より効果的にオーバーフローキャリアをトラップすることができる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置によれば、クラッド層の一部に井戸状のキャリアトラップ層を設けているので、この井戸状のキャリアトラップ層で、より効果的にオーバーフローキャリアをトラップできる。
また、一実施形態の半導体レーザ装置によれば、2層以上で形成した可飽和吸収層の活性層に近い第1層をキャリアトラップ層とするので、オーバーフローキャリアが可飽和吸収層に入り込むのを効率的に抑制できる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
尚、以下の実施形態の半導体レーザ装置は、全てAlGaInP系赤色自励発振レーザ装置であるが、本発明の結晶材料はAlGaInP系に限られるものではなく、本発明の半導体レーザ装置が、AlGaAs系近赤外レーザ装置、GaN系半導体レーザ装置、または、ZnSe系青色レーザ装置等のAlGaInP系赤色自励発振レーザ装置以外の半導体レーザ装置であっても良いことは勿論である。
また、結晶成長の方法が、以下の実施形態で使用されているMBE法(分子線エピタキシー法)に限られないことも勿論であり、結晶成長の方法として、例えば、MOCVD法(化学気相成長法)等のMBE法以外の方法が採用されても良いことも勿論である。
(第1実施形態)
図1Aは、本発明の第1実施形態のAlGaInP系半導体レーザ装置の模式断面図である。
図1Aに示すように、この半導体レーザ装置は、n型GaAs基板1上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層2、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層3、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層4、p−GaInP中間層5、p−GaAsコンタクト層6が順次形成されている。
上記SCH−MQW活性層3は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。上記第1クラッド層2中には、SCH−MQW活性層3から間隔100nm離れてn−GaInP可飽和吸収層(厚さ12nm)7を設けている。
また、上記活性層3と可飽和吸収層7の間のクラッド層2中には、Siのキャリア濃度が1×1019cm-3と大きく設定されたキャリアトラップ層111(活性層3との間隔20nm、厚さ50nm)が設けられている。キャリア濃度を大きくすると結晶のキャリア寿命が短くなる。上記キャリアトラップ層111を設けることにより、活性層からオーバーフローしたキャリアをこのキャリアトラップ層111でトラップすることができ(このキャリアトラップ層111に収容することができ)、短いキャリア寿命ですみやかにキャリアを消滅させることができる。したがって、活性層3からオーバーフローしたキャリアが、可飽和吸収層7へ流れ込むのを抑制することができる。
上記第2クラッド層4は、ストライプ状のリッジ部分を有しており、そのリッジ部分両側の平坦部は、リッジ部分より薄くなっている。そして、第2クラッド層4のリッジ部分の両側面および平坦部上には、n-GaAs埋め込み層8が形成されている。この埋め込み層8とpコンタクト層6の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極9が設けられている。また、基板の裏側には、Au/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極10が設けられている。
図1Bは、上記キャリアトラップ層111およびその近傍のSi濃度を示す図である。
図1Bに示すように、キャリアトラップ層111のSiのキャリア濃度が1×1019cm-3に設定されている一方、キャリアトラップ層111に隣接する第1クラッド層2のSiのキャリア濃度が1×1018cm-3に設定されている。このように、キャリア濃度が大きな部分でもってキャリアトラップ層111を形成すると、キャリアトラップ層111でオーバーフローキャリアのキャリア寿命を下げることができる。
第1実施形態の半導体レーザ装置のように、キャリアトラップ層111のキャリア濃度を、2×1018cm-3以上に設定し、かつ、キャリアトラップ層111の厚さを、10nm以上に設定し、かつ、キャリアトラップ層111と可飽和吸収層7との距離を、10nm以上に設定すると、これらの設定の相乗効果によって、良好な自励発振を実現できる温度を従来と比較して格段に高くすることができる。
以下に、上記構成の半導体レーザ装置を製造する半導体レーザ装置の製造方法の一例を説明する。
先ず、分子線エピタキシャル成長(MBE)法を用いて、基板1上に、n型第1クラッド層2(可飽和吸収層7およびキャリアトラップ層111を含む)、活性層3、p型第2クラッド層4、p型中間層5、p型コンタクト層6を順次成長させる。
次に、フォトリソグラフィおよびエッチング技術を用いて、p型コンタクト層6、p型中間層5およびp型第2クラッド層4を選択的に除去して、p型コンタクト層6、p型中間層5およびp型第2クラッド層4にまたがるストライプ状リッジ構造を作成する。
続いて、MBE法によって、ストライプ状リッジ構造の側方に、n−GaAs層8を順次成長(再成長)させる。最後に、リッジ部分の上部に成長した不要層を選択的にエッチングで除去した後、p側電極9およびn側電極10を形成する。
上記可飽和吸収層7は、レーザ光を吸収して励起キャリアを生成するようなバンドギャップを有するように設定されている。この可飽和吸収層7が、レーザ光を吸収してキャリアを生成し、生成されたキャリアで吸収飽和が生じる事によって自励振動が起こるようになっている。
上記第1実施形態によれば、上記キャリアトラップ層111を作成することによって、このキャリアトラップ層111で活性層3からのオーバーフローキャリアをトラップできるので、レーザ光がオフとなったときの可飽和吸収層7のキャリア吸収量を増大させることができる。したがって、可飽和吸収層7のキャリアの吸収量の増減幅を大きくすることができて、レーザ光の吸収によって減少していた可飽和吸収層7のキャリアの吸収量が、レーザ光がオフとなったときに再び元の吸収量にもどることで発生する自励振動を、効率が良いものにすることができる。そして、安定に自励発振動作を行うことができる温度を、70℃まで格段に上昇させることができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。
この半導体レーザ装置は、図2に示すように、n型GaAs基板21上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層22、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層23、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層24、p−GaInP中間層25、p−GaAsコンタクト層26が順次形成されている。SCH−MQW活性層23は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。第2クラッド層24中には、SCH−MQW活性層23から間隔100nm離れてp−GaInP可飽和吸収層(厚さ12nm)27が設けられている。
上記活性層23と可飽和吸収層27の間の第2クラッド層24中には、n型不純物ドーパントの一例としてのSi(キャリア濃度 5×1019cm-3)およびp型不純物ドーパントの一例としてのBe(キャリア濃度を2×1019cm-3)の両方がドープされたキャリアトラップ層211(活性層との間隔20nm、厚さ50nm)が設けられている。
図2に示すように、上記第2クラッド層24の一部は、凸状のリッジストライプ構造の一部になっている。すなわち、上記第2クラッド層24は、ストライプ状のリッジ部分を有しており、そのリッジ部分両側の平坦部は、リッジ部分より薄くなっている。第2クラッド層24のリッジ部分の両側面および平坦部上には、n-GaAs埋め込み層28が形成されている。
上記埋め込み層28とpコンタクト層26の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極29が設けられ、基板の裏側には、Au/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極20が設けられている。
上記第1実施形態では、キャリア濃度が大きく設定された図1Aに111で示す層をオーバーフローキャリアのトラップとして作成して、オーバーフローキャリアを上記キャリアトラップ層111に収容することで、結晶のキャリア寿命を短くした。しかしながら、pクラッド層中に可飽和吸収層を設ける場合、p型不純物Beを多くドープすると、これが拡散して、しきい値上昇などの良くない効果(悪影響)を引き起こす。
しかしながら、第2実施形態のように、たとえpクラッド層24に可飽和吸収層27を設ける場合であっても、Beに加えてSiがドープされた不純物濃度が高いキャリアトラップ層211を作成すると、オーバーフローしたキャリアを、このキャリアトラップ層211で効率よくトラップすることができて、結晶のキャリア寿命を短くすることができると共に、しきい値上昇などの良くない効果(悪影響)が起こることもない。そして、可飽和吸収層27へ流れ込むオーバーフローキャリアの量を効率よく抑制できる。
上記第2実施形態のように、キャリアトラップ層211のp型不純物ドーパントのキャリア濃度を、2×1018cm-3以上に設定すると共に、キャリアトラップ層211のn型不純物ドーパントのキャリア濃度を、2×1018cm-3以上に設定し、かつ、キャリアトラップ層211の厚さを、10nm以上に設定し、かつ、キャリアトラップ層211と可飽和吸収層27との距離を、10nm以上に設定すると、これらの設定の相乗効果によって、良好な自励発振を実現できる温度を従来と比較して格段に高くすることができる。
尚、上記第1実施形態では、可飽和吸収層7は、第1クラッド層2内のみに存在し、上記第2実施形態では、可飽和吸収層27は、第2クラッド層24内のみに存在していたが、この発明では、可飽和吸収層が、第1クラッド層と第2クラッド層の両方に存在していても良いことは、勿論である。
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。
この半導体レーザ装置は、図3に示すように、n型GaAs基板31上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層32、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層33、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層34、p−GaInP中間層35、p−GaAsコンタクト層36が順次形成されている。SCH−MQW活性層33は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。第2クラッド層34中には、SCH−MQW活性層33から間隔100nm離れてp−GaInP可飽和吸収層(厚さ12nm)37が設けられている。
また、上記活性層33と可飽和吸収層37の間の第2クラッド層34の途中には、SiとBeを同時にドープしたキャリアトラップ層311(活性層との間隔20nm、厚さ50nm)が設けられている。このキャリアトラップ層311には、そのキャリアトラップ層311の厚さ方向と垂直な方向に広がる、基板31の表面と略平行な非発光領域である非発光センター313が形成されている。
この非発光センター313は、キャリアトラップ層311の結晶成長中に1分間の成長中断を行うことで形成されている。すなわち、上記非発光センター313は、結晶成長中に短い成長中断を行うことで、成長再開時の界面に形成されている。
上記第2クラッド層34は、ストライプ状のリッジ部分を有しており、そのリッジ部分両側の平坦部は、リッジ部分より薄くなっている。第2クラッド層34のリッジ部分の両側面および平坦部上には、n-GaAs埋め込み層38が形成されている。上記埋め込み層38とpコンタクト層36の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極39が設けられ、基板の裏側には、Au/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極30が設けられている。
上記第3実施形態では、上記活性層33と可飽和吸収層37の間の第2クラッド層34の途中に、SiとBeを同時にドープしたキャリアトラップ層311を設け、更に、このキャリアトラップ層311に非発光センター313を形成している。このように、SiとBeを同時にドープしたキャリアトラップ層311に非発光領域を設けると、キャリア寿命を格段に小さくすることができて、非発光センター313が形成されなかった第2実施形態の半導体レーザ装置と比較して、より効果的にオーバーフローキャリアをトラップすることができる。
(第4実施形態)
図4Aは、本発明の第4実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。
図4Aに示すように、この半導体レーザ装置は、n型GaAs基板41上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層42、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層43、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層44、p−GaInP中間層45、p−GaAsコンタクト層46が順次形成されている。SCH−MQW活性層43は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。第2クラッド層44中には、SCH−MQW活性層43から間隔100nm離れてp−GaInP可飽和吸収層(厚さ9nm)47aが設けられている。また、可飽和吸収層47aの活性層43側には、これと隣接して p-(Al0.5Ga0.5)InPガイド層47b(厚さ50nm)が設けられ、可飽和吸収層47aへの光分布が大きくなるようにしている。
上記第2クラッド層44は、凸状のリッジストライプ構造(ストライプ状のリッジ部分)を有しており、そのリッジ部分両側の平坦部は、リッジ部分より薄くなっている。
上記リッジストライプ構造は、可飽和吸収層47aの基板41側と反対側の表面に形成されている。上記可飽和吸収層47aは、リッジストライプ形成時のエッチングストップ層となっている。このことにより、リッジ形状を精度良く形成できる。上記p−クラッド層44のリッジ部分の両側面および平坦部上には、n-GaAs埋め込み層48が形成されている。埋め込み層48とpコンタクト層46の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極49が設けられ、基板の裏側には、Au/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極40が設けられている。
また、活性層43と可飽和吸収層47aの間のクラッド層44の途中には、レーザ光を吸収しないようなバンドギャップに設定されたp-(Al0.3Ga0.7)InP(Be濃度2×1019cm-3, 厚さ 10nm)キャリアトラップ層411が、活性層43から50nmの間隔を隔てられて設けられている。
図4Bは、図4Aに示す半導体レーザ装置の各層のバンドプロファイルを示す図である。
図4Bに示すように、上記キャリアトラップ層411は、周囲の第2クラッド層44よりもバンドギャップが小さくなっており(ポテンシャルが低くなっており)、エネルギーバンドにおいて井戸構造となっている。したがって、このトラップ層411でオーバーフローしたキャリアを効果的にとらえる事ができて、可飽和吸収層7aへ流れ込むオーバーフローキャリアの量を抑制できる。
尚、上記第4実施形態のように、キャリアトラップ層411における基板41の厚さを、6nm以上150nm以下に設定し、かつ、キャリアトラップ層411と可飽和吸収層47aの距離を、10nm以上に設定し、かつ、キャリアトラップ層411のキャリア濃度を、2×1018cm-3以上に設定すると、これらの設定の相乗効果によって、良好な自励発振を実現できる温度を従来と比較して格段に高くすることができる。
(第5実施形態)
図5Aは、本発明の第5実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。
この半導体レーザ装置は、図5Aに示すように、n型GaAs基板51上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層52、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層53、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層54、p−GaInP中間層55、p−GaAsコンタクト層56が順次形成されている。SCH−MQW活性層53は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。第2クラッド層54中には、SCH−MQW活性層53から間隔100nm離れてp−GaInP可飽和吸収層(厚さ10nm)57aが設けられている。また、可飽和吸収層57aの活性層53側には、これと隣接して p-(Al0.5Ga0.5)InPガイド層57b (厚さ50nm)が設けられ、可飽和吸収層57aへの光分布が大きくなるようにしている。
上記第2クラッド層54は、ストライプ状のリッジ部分を有しており、そのリッジ部分両側の平坦部は、リッジ部分より薄くなっている。上記可飽和吸収層57aは、リッジストライプ形成時に、エッチングストップ層としての役割を果たすようになっている。このことにより、リッジ形状を精度良く形成できる。上記p−クラッド層54のリッジ部分の両側面および平坦部上には、n-GaAs埋め込み層58が形成されている。
上記埋め込み層58とpコンタクト層56の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極59が設けられ、基板の裏側には、Au/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極50が設けられている。
また、活性層53と可飽和吸収層57aの間のクラッド層54の途中には、GaInPの組成が活性層53を構成する井戸層のGaInPの組成および可飽和吸収層57aを構成するGaInPの組成と同じで、かつ、厚さが3nmからなる2層(間隔 5nm)のキャリアトラップ層511が、活性層から50nmの間隔が隔てられて設けられている。
図5Bは、図5Aに示す半導体レーザ装置の各層のバンドプロファイルを示す図である。
図5Bに示すように、上記キャリアトラップ層511は、エネルギーバンドにおいて井戸構造となっている。詳しくは、上記トラップ層511は、膜厚が3nm程度の薄さに設定された層を複数(この実施形態では2層)形成することにより作成されている。もっと詳細にいうと、上記トラップ層511は、活性層53より薄い井戸構造になっている。図5Bに示すように、上記トラップ層511を、活性層53より薄い井戸構造にすると、トラップ層511の量子準位が高くなって、トラップ層511はレーザ光を吸収しなくなる。また、上記キャリアトラップ層511は、エネルギーバンドにおいて井戸構造となっているので、このキャリアトラップ層511でオーバーフローしたキャリアを効果的にとらえる事ができて、可飽和吸収層57aへ流れ込むオーバーフローキャリアの量を抑制できる。また、第5実施形態のように、トラップ層511は、膜厚が3nm程度の薄さに設定された層を複数(この実施形態では2層)形成することにより作成し、かつ、一層の厚さを薄くすると、量子効果により実効的なバンドギャップを広くすることができて、レーザ光の吸収を抑制することができる。
上記第5実施形態のように、キャリアトラップ層の結晶組成を、可飽和吸収層の結晶組成と同一に設定し、かつ、キャリアトラップ層の厚さを、可飽和吸収層の厚さよりも薄く設定すると自励発振を促進できる。
(第6実施形態)
図6Aは、本発明の半導体レーザ装置の模式断面図である。
図6Aに示すように、この半導体レーザ装置は、n型GaAs基板61上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層62、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層63、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層64、p−GaInP中間層65、p−GaAsコンタクト層66が順次形成されている。SCH−MQW活性層63は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。
上記第2クラッド層64中には、SCH−MQW活性層63から間隔100nm離れて2層からなるp−GaInP可飽和吸収層(各厚さ7nm、間隔5nm)67aが設けられている。また、可飽和吸収層67aの活性層側には、これと隣接してp-(Al0.5Ga0.5)InPガイド層67b (厚さ50nm)が設けられ、可飽和吸収層67aへの光分布が大きくなるようにしている。上記第2クラッド層64は、ストライプ状のリッジ部分を有しており、そのリッジ部分両側の平坦部は、リッジ部分より薄くなっている。
上記可飽和吸収層67aは、リッジストライプ形成時にエッチングストップ層としての役割を果たす。このことから、リッジ形状を精度良く形成できる。p−クラッド層64のリッジ部分の両側面および平坦部上には、n-GaAs埋め込み層68が形成されている。埋め込み層68とpコンタクト層66の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極69が設けられ、基板の裏側にはAu/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極60が設けられている。
2層からなる可飽和吸収層67aにおける活性層63層側の一方の層のみに、Si(キャリア濃度 5×1019cm-3)とBe(キャリア濃度を2×1019cm-3)の両方がドープしてある。
図6Bは、図6Aに示す半導体レーザ装置のバンドプロファイルを示す図である。
図6Bに示すように、活性層63の半導体基板61側と反対側には、ポテンシャルが活性層63よりも大きい第2クラッド層64が形成されている。また、第2クラッド層64の活性層63側と反対側には、活性層63よりもバンドギャップ(ポテンシャル)が小さく、かつ、ポテンシャルの大きさが等しい二つの可飽和吸収層67aが形成されている。上記二つの可飽和吸収層67aのうちの活性層63側の一方の層は、キャリアトラップ層の役割もかねている。
第6実施形態のように、第2クラッド層64の活性層63側と反対側に、活性層63よりもポテンシャルが小さく、かつ、ポテンシャルの大きさが等しい二つの可飽和吸収層67aを形成した場合、活性層63からオーバーフローしたキャリアが、可飽和吸収層67aへ流れ込むが、この実施形態では、可飽和吸収層67aにおける活性層側の一方の層のキャリア寿命が短くなっているために、この可飽和吸収層67aの1層目でキャリアがトラップされ、オーバーフローしたキャリアは可飽和吸収層67aの2層目のへ流れ込みにくくなる。したがって、高温でも可飽和吸収層67aのキャリア吸収量の増減幅を大きくすることができて、高温においても安定な自励発振を起こすことができる。
上記第6実施形態のように、可飽和吸収層を、複数の層で構成し、更に、その複数の層のうちで活性層に最も近い層の厚さを、最も薄く設定すると、自励発振を促進できる。また、可飽和吸収層を、複数の層で構成し、更に、その複数の層のうちで活性層に最も近い層のみに、p型不純物ドーパントおよびn型不純物ドーパントの両方をドープすると、自励発振を促進できる。
(第7実施形態)
図7は、本発明の第7実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。
この半導体レーザ装置は、図7に示すように、n型GaAs基板71上に、n−(Al0.7Ga0.3)InP第1クラッド層72、アンドープGaInP/AlGaInP SCH−MQW活性層73、p−(Al0.7Ga0.3)InP第2クラッド層74、p−GaInP中間層75、p−GaAsコンタクト層76が順次形成されている。SCH−MQW活性層73は、GaInP量子井戸層(5層、厚さ7nm)と、(Al0.5Ga0.5)InPバリア層(4層、厚さ5nm)からなるMQWを(Al0.5Ga0.5)InPガイド層(厚さ50nm)で挟みこんだ構造となっている。
上記第2クラッド層74は、凹状電流通路となっている。p−GaInP可飽和吸収層(厚さ12nm)77が設けられ、また、Si(キャリア濃度 5×1019cm-3)およびBe(キャリア濃度を2×1019cm-3)をドープしたキャリアトラップ層711(活性層との間隔20nm、厚さ50nm)が設けられている。上記可飽和吸収層77の基板71側の表面および可飽和吸収層77の基板71側と反対側の表面は、凹面になっている。また、キャリアトラップ層711の基板71側の表面およびキャリアトラップ層711の基板71側と反対側の表面は、凹面になっている。
また、キャリアトラップ層711の両側には、n-GaAs電流阻止層78が形成されている。pコンタクト層76の上には、Au/Mo/AuZnからなるp側電極79が設けられ、基板の裏側には、Au/Mo/Ni/AuGeから成るn側電極70が設けられている。
上記第7実施形態の半導体レーザ装置を、例えば、以下のようにして製造する。
先ず、GaAs基板71上に、第1クラッド層72、MQW活性層73、第2クラッド層74の一部と、電流阻止層78を結晶成長させる。次に、電流阻止層78を凹状にエッチングして、中央の電流通路を形成する。最後に、上記電流通路に、キャリアトラップ層711、可飽和吸収層を含むpクラッド層74、および、p−コンタクト層76を順次再成長し形成する。
上記第7実施形態によれば、キャリアトラップ層711は再成長界面に接しているので、キャリア寿命を短くできて、オーバーフローキャリアを効果的にトラップできる。
上記図1A〜図7を用いてこの発明の好適な実施形態を説明した。しかしながら、バンドプロファイル構造が、図8に示すような構造、すなわち、活性層81と、クラッド層に形成された可飽和吸収層83との間にポテンシャル井戸構造を有するキャリアトラップ層82が形成されている構造を有する半導体レーザがこの発明の範疇に入ることは勿論である。
本発明の第1実施形態のAlGaInP系半導体レーザ装置の模式断面図である。 上記第1実施形態の半導体レーザ装置のキャリアトラップ層およびその近傍のSi濃度を示す図である。 本発明の第2実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。 本発明の第3実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。 本発明の第4実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。 上記第4実施形態の半導体レーザ装置の各層のバンドプロファイルを示す図である。 本発明の第5実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。 上記第5実施形態の半導体レーザ装置の各層のバンドプロファイルを示す図である。 本発明の第6実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。 上記第6実施形態の半導体レーザ装置のバンドプロファイルを示す図である。 本発明の第7実施形態の半導体レーザ装置の模式断面図である。 本発明の半導体レーザ装置が有するバンドプロファイル構造を示す図である。 従来の赤色自励発振型半導体レーザ装置の模式的断面図である。 図9Aに示す半導体レーザ装置の各層のバンドプロファイルを示す図である。 キャリアオーバーフローに起因する問題の理解を容易にするために作製した模式図である。
符号の説明
1,21,31,41,51,61,71 n−GaAs基板
2,22,32,42,52,62,72 n−AlGaInP第1クラッド層
3,23,33,43,53,63,73 SCH−MQW 活性層
4,24,34,44,54,64,74 p−AlGaInP第2クラッド層
5,25,35,45,55,65,75 p−GaInP 中間層
6,26,36,46,56,66,76 p−GaAsコンタクト層
7,27,37,47a,57a,67a,77 可飽和吸収層
8,28,38,48,58,68 n−GaAs埋め込み層
9,29,39,49,59,69,79 p側電極
10,20,30,40,50,60,70 n側電極
47b,57b,67b ガイド層
111,211,311,411,511,711 キャリアトラップ層
78 電流阻止層
313 非発光センター

Claims (21)

  1. 半導体基板上に、少なくとも、第1クラッド層、活性層および第2クラッド層を順次設け、
    上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方は、可飽和吸収層を含み、
    上記可飽和吸収層と上記活性層との間に、キャリアをトラップするキャリアトラップ層が形成されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層は、上記第2クラッド層内のみに存在することを特徴とする半導体レーザ装置。
  3. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層は、上記第1クラッド層内のみに存在することを特徴とする半導体レーザ装置。
  4. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層は、上記第1クラッド層内と上記第2クラッド層内の両方に存在することを特徴とする半導体レーザ装置。
  5. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記第2クラッド層の一部は、凸状のリッジストライプ構造の一部であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  6. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層は、少なくとも上記第2クラッド層内に存在し、
    上記可飽和吸収層の上記半導体基板側と反対側の表面上に凸状のリッジストライプ構造が形成されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  7. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層の上記半導体基板側の表面および上記可飽和吸収層の上記半導体基板側と反対側の表面のうちの少なくとも一方は、凹面であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  8. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層は、上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方に形成され、
    上記キャリアトラップ層のキャリア濃度は、上記キャリアトラップ層の上記活性層側の表面に接触している層のキャリア濃度よりも高いと共に、上記キャリアトラップ層の上記可飽和吸収層側の表面に接触している層のキャリア濃度よりも高いことを特徴とする半導体レーザ装置。
  9. 請求項8に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層のキャリア濃度は、2×1018cm-3以上であり、
    上記キャリアトラップ層の厚さは、10nm以上であり、
    上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層との距離は、10nm以上であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  10. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層は、上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方に形成され、
    上記キャリアトラップ層には、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  11. 請求項10に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層の上記p型不純物ドーパントのキャリア濃度は、2×1018cm-3以上であると共に、上記キャリアトラップ層の上記n型不純物ドーパントのキャリア濃度は、2×1018cm-3以上であり、
    上記キャリアトラップ層の厚さは、10nm以上であり、
    上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層との距離は、10nm以上であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  12. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層は、発光しない非発光領域を有することを特徴とする半導体レーザ装置。
  13. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層は、上記第1クラッド層および上記第2クラッド層のうちの少なくとも一方に形成され、
    上記キャリアトラップ層のバンドギャップは、上記キャリアトラップ層の上記活性層側の表面に接触している層のバンドキャップよりも小さいと共に、上記キャリアトラップ層の上記可飽和吸収層側の表面に接触している層のバンドギャップよりも小さいことを特徴とする半導体レーザ装置。
  14. 請求項13に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層の厚さは、6nm以上150nm以下であり、
    上記キャリアトラップ層と上記可飽和吸収層の距離は、10nm以上であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  15. 請求項13に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層のキャリア濃度は、2×1018cm-3以上であることを特徴とする半導体レーザ装置
  16. 請求項13に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層には、p型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントとの両方がドープされていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  17. 請求項13に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層は、レーザ発振光を吸収しないことを特徴とする半導体レーザ装置。
  18. 請求項17に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層の結晶組成が、上記可飽和吸収層の結晶組成と同一であり、かつ、上記キャリアトラップ層の厚さが、上記可飽和吸収層の厚さよりも薄いことを特徴とする半導体レーザ装置。
  19. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層は、複数の層からなり、
    上記複数の層のうちで最も厚さが薄い層は、上記活性層に最も近い層であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  20. 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
    上記可飽和吸収層は、複数の層からなり、
    上記可飽和吸収層において、上記複数の層のうちで上記活性層に最も近い層のみにp型不純物ドーパントとn型不純物ドーパントの両方がドープされていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  21. 請求項7に記載の半導体レーザ装置において、
    上記キャリアトラップ層の上記半導体基板側の表面と、上記キャリアトラップ層の上記半導体基板側と反対側の表面とのうちの少なくとも一方は、凹面であることを特徴とする半導体レーザ装置。
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