JP2006268482A - 硬貨識別装置 - Google Patents

硬貨識別装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006268482A
JP2006268482A JP2005086174A JP2005086174A JP2006268482A JP 2006268482 A JP2006268482 A JP 2006268482A JP 2005086174 A JP2005086174 A JP 2005086174A JP 2005086174 A JP2005086174 A JP 2005086174A JP 2006268482 A JP2006268482 A JP 2006268482A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coin
light
sensor
contamination
fouling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005086174A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyasu Yamaguchi
裕康 山口
Shinichi Fujio
信一 藤尾
Toshiyuki Kuwata
寿之 鍬田
Yuji Adachi
優司 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Glory Ltd
Original Assignee
Glory Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Glory Ltd filed Critical Glory Ltd
Priority to JP2005086174A priority Critical patent/JP2006268482A/ja
Publication of JP2006268482A publication Critical patent/JP2006268482A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Testing Of Coins (AREA)

Abstract

【課題】 硬貨表面の模様の有無にかかわらず正確に汚損硬貨を識別できる硬貨識別装置を提供する。
【解決手段】 硬貨表面に光を照射する照射手段と、前記光の硬貨表面からの正反射光を受光する第1の受光手段と、前記光の硬貨表面からの拡散反射光を受光する第2の受光手段と、前記第1の受光手段からの前記正反射光の受光信号及び前記第2の受光手段からの前記拡散反射光の受光信号に基づいて、識別硬貨の硬貨表面の汚損を識別する制御手段とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、硬貨処理機における硬貨の金種,真偽等を識別する硬貨識別装置に関し、特に、硬貨表面の汚損を高精度で識別できるようにした硬貨識別装置に関するものである。
硬貨の汚損状態の検出機能を有する従来の硬貨識別装置としては、例えば特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に記載の硬貨識別装置は、硬貨の搬送路の中央部上方の搬送ベルトを挟んで両側に配置された第1汚損検出センサと第2汚損検出センサとを搬送路の上側に設けて、これらの汚損検出センサによって硬貨上面(上側の硬貨表面)の汚損の度合を検出すると共に、それらの第1、第2汚損検出センサが設けられている搬送路の下流側で且つ、光透過部を有する搬送路の下側に第3汚損検出センサを設けて、その第3汚損検出センサによって硬貨下面(下側の硬貨表面)の汚損の度合を検出する形態としている。そして、汚損硬貨の判定方法については、第1〜第3汚損検出センサの検出レベル(検出信号を2値化したデータ)と、上流側に設けられている金種判別装置によって判別された「硬貨の金種」に対応する基準レベルとをそれぞれ比較し、検出レベルのいずれか一つでも基準レベルより下回っている場合に、当該硬貨が汚損硬貨であると判定するようにしている。また、汚損検出センサの発光素子と受光素子の配置構成としては、硬貨の上面検査用の第1及び第2汚損検出センサは、硬貨搬送方向に対して平行な方向に発光素子と受光素子とを並べて配置し、硬貨の下面検査用の第3汚損検出センサは、硬貨搬送方向に対して直交する方向に発光素子と受光素子とを並べて配置した構成とし、それぞれの発光素子から硬貨に向けて照射した光の反射光(拡散反射光)をそれぞれの受光素子で受光する形態としている(特許文献1参照)。
このように、従来の硬貨識別装置は、汚損硬貨を識別する際、搬送される硬貨表面に向けて光を照射し、硬貨表面からの拡散反射光の光量の検出レベルを予め設定されている汚損判別用の基準レベルと比較することにより、汚損硬貨を識別するようにしている。
特開2001−148043公報
ところで、硬貨処理機においては、硬貨の裏側又は表側の面を常に同一方向に向かせて搬送したり、硬貨に形成されている模様の方向が常に同一方向となるように搬送したりするという様に、硬貨の表面/裏面制御や回転制御はなく、硬貨の部位を特定することもできない。そのため、搬送される硬貨の裏側と表側の違いや模様の方向の違いに応じて、硬貨の汚損を検出する際には、センサは、例えば模様有り部となし部を読む場合において違った信号出力となってしまう。その結果、反射光の受光量だけに基づいて汚損を検出する従来の硬貨識別装置においては、新貨を汚損硬貨と誤判定してしまうことがあった。
この誤判定の理由を、図12の模式図(A)〜(D)を用いて説明する。この図12中の矢印Aは照射光、矢印Bは正反射光、矢印Cは拡散反射光を示し、矢印の方向は光の方向、矢印の幅は光量を示している。例えば、拡散光を用いたセンサで新貨の汚損状態を検査する場合、図12(A)に示すように、照射光Aに対する新貨の模様部分からの拡散反射光Cの光量は大きくなり、図12(B)に示すように、新貨の模様無し部では拡散反射光Cの光量は小さくなる。一方、汚損硬貨の場合は、図12(D)に示すように、模様無し部では拡散反射光Cの光量は新貨と同様に小さくなるが、図12(C)に示すように、模様有り部では、新貨と比較して拡散反射光Cの光量が小さくなる(中程度の光量となる)。このように模様の状態が同一の場合は、汚損硬貨の拡散反射光の光量が小さくなるが、「模様無し部の新貨」と「模様有り部の汚損硬貨」とで、反射光量の大小の逆転現象が起こり、新貨を汚損硬貨と誤判定してしまうことがある。
このような誤判定を回避するようにした硬貨識別装置としては、例えば、硬貨の画像を撮像して画像処理により硬貨の表側及び裏側を認識すると共に模様のパターンを認識し、基準パターンとを比較して汚損の状態を検出する装置も知られている。しかしながら、このような硬貨識別装置においては、模様のパターンマッチングができるという利点はあるものの、汚損判定に用いるデータは画像処理後のデータであるため、例えば新貨と流通貨の区別がつきにくい硬貨を処理した場合、新貨を汚損硬貨と誤判定してしまうという問題が残る。また、人の目で見て汚損と認識できる硬貨であっても、硬貨識別装置においては、画像がしっかり出るものは汚損硬貨として排除しないという問題があった。さらに、硬貨の片面のみの汚損検知であり、両面の汚損検知がされていないため、逆側が汚れていても汚損硬貨として排除できないという問題があった。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、上述した従来技術の問題を解消し、硬貨表面の模様の有無にかかわらず正確に汚損硬貨を識別できる硬貨識別装置を提供することにある。
本発明は硬貨識別装置に関するものであり、本発明の上記目的は、識別硬貨の硬貨表面に光を照射する照射手段と、前記光の硬貨表面からの正反射光を受光する第1の受光手段と、前記光の硬貨表面からの拡散反射光を受光する第2の受光手段と、前記第1の受光手段からの前記正反射光の受光信号及び前記第2の受光手段からの前記拡散反射光の受光信号に基づいて、前記識別硬貨の硬貨表面の汚損を識別する制御手段とを備えることによって達成される。
さらに、本発明の上記目的は、前記識別硬貨の硬貨表面に照射される光がスポット光であること、前記照射手段、及び前記第1、第2の受光手段は、硬貨識別用の磁気センサ又はイメージセンサが設けられている硬貨通路の下流側に配置され、前記制御手段は、前記磁気センサ又は前記イメージセンサからの金種情報、及び金種毎の汚損判定基準情報に基づいて、前記識別硬貨の硬貨表面の汚損を識別することによって、それぞれ一層効果的に達成される。
本発明によれば、硬貨表面の汚損を識別する際、硬貨表面からの正反射光及び拡散反射光の両方の受光信号に基づいて識別するようにしているので、硬貨表面の模様の有無にかかわらず正確に汚損硬貨を識別できるといった優れた効果を奏する。また、照射光をスポット光とすることで、検出エリアが小さくなり、硬貨の搬送・寄せの状態による硬貨のデータ採取部位(穴やエッジ)の影響が少なくなり、硬貨の部分的な汚れの検出精度を向上させることができる。さらに、硬貨識別用センサ側(メイン識別部)が識別した硬貨の金種情報を利用して汚損を識別する形態とすることで、金種情報による材質に基づいた汚損判定が可能となり、また、汚損識別に係る処理の負荷が軽減し、安価なCPUで実現することが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る硬貨識別装置の全体構成の一例を示しており、硬貨識別装置1は、大別すると、硬貨識別用のセンサモジュール(以下、「硬貨識別センサ」と呼ぶ)10と、硬貨の金種,真偽等を識別するメイン識別部20と、硬貨の汚損を識別する汚損検出センサ30とから構成される。
硬貨識別センサ10は、硬貨の画像を撮像するイメージセンサ(本例では2次元イメージセンサ)11と、硬貨の磁気的特性を検知する磁気センサ12と、硬貨の到来を検知するタイミングセンサ13とを備えている。
メイン識別部20は、硬貨識別センサ10との入出力インタフェース回路を有する基本モジュール21と、CPUやコンピュータプログラム等から構成される制御モジュール22とから構成され、識別モードや識別対象硬貨などの設定情報に従い、硬貨識別センサ10の検出情報に基づいて硬貨の金種、真偽等を識別し、その識別結果を出力する手段を備えている。基本モジュール21は、本例では、電源21a、イメージセンサ制御回路21b、メモリ21c、磁気センサ処理回路21d、A/D変換器21e、発光/受光回路21f、及びD/A変換器21gから構成される。
本発明においては、硬貨識別センサ10の構成及びメイン識別部20の構成は限定されるものではなく、一般的な硬貨識別装置に搭載されるものが適用できるため、詳細な説明について省略し、以下、本発明に係る汚損検出センサ30の構成について詳細に説明する。
本発明に係る汚損検出センサ30は、硬貨識別装置の付加的構成要素であり、硬貨識別装置1の硬貨識別センサ10のセンサユニットに一体的に連結可能な構成とし、また、既存の硬貨識別装置に対してハードウェアの変更なしに付加できるようにしている。そして、汚損検出センサ30は、独自にCPUを内蔵し、識別対象の硬貨表面の汚損(汚損の度合若しくは汚損貨、又はその両方)を識別する機能を備えている。汚損の識別処理の際に必要となる金種情報は、磁気センサ12又はイメージセンサ11からの金種情報(本実施の形態ではメイン識別部20を経由して受信した金種情報)を利用する形態とすることで、金種情報による材質に基づいた汚損判定を可能とし、また、汚損識別に係る処理の負荷を軽減させ、汚損検出センサ30のCPUを安価なCPUで実現し、さらに、メイン識別部20側との並行処理によるCPUの負荷分散や識別処理全体の高速化を実現している。なお、本実施の形態では、汚損検出センサ30側で硬貨の汚損(硬貨表面の汚損の度合)を識別してその結果をメイン識別部20に送信し、メイン識別部20側で汚損硬貨(以下「汚損貨」と呼ぶ)の判定を行う形態を例としている。
図2は、本発明に係る汚損検出センサ30の構成の一例を示すブロック図であり、汚損検出センサ30は、硬貨の汚損を光学的に検出するための複数の光学センサを一体化した光複合センサモジュール30a,30bと、硬貨の通路となる通路部30cと、識別対象の硬貨表面の汚損を識別する制御手段30dとを備え、それらの構成部品を1筐体にコンパクトに包含してユニット化した構成としている。
2つの光複合センサモジュール30a,30bは、同一のハードウェアで構成され、それぞれ、硬貨の表面に光を照射する照射手段31と、硬貨表面からの正反射光を受光する第1の受光手段32と、硬貨表面からの拡散反射光を受光する第2の受光手段33とを少なくとも備えている。本実施例においては、同一構成の2つの光複合センサモジュール(汚損検出用モジュール)30a,30bを、通路部30cを挟んで対向して配置し、硬貨上面(硬貨の上側の表面)と硬貨下面(硬貨の下側の表面)の両面の汚損を検出する構成としている。
また、第1の光複合センサモジュール30a(以下、「上面汚損センサモジュール」と呼ぶ)と、第2の光複合センサモジュール30b(以下、「下面汚損センサモジュール」と呼ぶ)は、それぞれ、照射手段31の照射光の光量を監視する光量監視手段34と、照射手段31のからの照射光の光束を反射して硬貨表面に対し鉛直方向に入射させると共に、硬貨表面からの正反射光を透過して受光手段32の受光面に入射させるための光路変換手段35とを具備している。
本実施の形態では、発光量を大きく且つ受光感度を大きくするため、照射手段31の光源としては赤外光源(例えば赤外LED)を用い、硬貨表面に対して赤外光を照射するようにしている。また、第1の受光手段32、第2の受光手段33、及び光量監視手段34としては、フォトダイオード等からなる受光センサを用い、光路変換手段35としてはハーフミラーを用いている。
図3は汚損検出センサ30のユニット構造を側面図で模式的に示しており、図4はそのユニット構造の具体例を斜視図で示している。これらの図面を用いて、本発明に係る汚損検出センサの具体的な構成について説明する。
図3に示すように、汚損検出センサ30のユニットの上部中央には、透光性の通路部30cが設けられている。通路部30cは、硬貨2の通路面となる底板30c1、硬貨の片寄側のガイド片となる側板30c2、第2の受光手段33の受光素子が設置される天板30c3(及び底板30c1の下側の板30c4)等で形成されている。照射手段31から発光された光の光路に位置する底板30c1と天板30c3、及び、第2の受光手段33の受光素子が設置される下側の板30c4の部材は、サファイアガラス等からなる透光性部材を使用している。
上面汚損センサモジュール30aと下面汚損センサモジュール30bの構成要素である第1の受光手段33、第2の受光手段33、及び光量監視手段34は、それぞれ互いの光軸が硬貨通路面に対して対向するように配置された構成となっている。本実施の形態では、図3に示すように、上面汚損センサモジュール30aと下面汚損センサモジュール30bの構成部品を同一とし、汚損センサモジュール30a、30bの各構成部品の位置及び向きの関係が、モジュール30a、30b間の中央の面に対して鏡面対称となるように、両モジュール30a、30bの各構成部品を対向して配置し、2つのモジュール30a、30bの間の空隙部分に透光性の通路部30cを設けて一体化した構成としている。
上面汚損センサモジュール30aと下面汚損センサモジュール30bの構成部品は同一のため、ここでは、上面汚損センサモジュール30aの構成部品の配置構成について詳細に説明する。
図3に示すように、通路部30の上部には、例えば光線の出射方向が硬貨2の搬送方向と直交する方向となるように、照射手段31としての「赤外LED」が設けられており、その赤外LED31の光線を45度の入射角で入射するように、光路変換手段35としての「ハーフミラー」が傾斜して設けられている。そして、ハーフミラー35の上方には、硬貨2の表面からの正反射光を受光する第1の受光手段32としての受光センサ(以下「正反射センサ」と呼ぶ)が設けられており、その正反射センサ32と隣り合う位置(赤外LED31側の位置)には、赤外LED31からの照射光量を監視する光量監視手段34としての受光センサ(以下「モニタセンサ」と呼ぶ)が設けられている。また、硬貨通路の天板30c3の上面の所定位置(本例では、赤外LED31とハーフミラー35との間の空隙の下方の位置)には、硬貨2の表面からの拡散反射光を受光する第2の受光手段33としての受光センサ(以下「拡散反射センサ」と呼ぶ)が設けられている。
そして、制御手段30dの構成要素(CPU等)が搭載される処理基板30d1は、図3中に示すように、通路部30cの下方の空いた領域に設置されている。
なお、本実施の形態においては、照射手段31から硬貨表面に対して照射する光は、スポット光としており、好ましい実施の形態では、集光レンズ等が一体的に形成された赤外LEDを用いて、光線が略平行なビーム状の赤外スポット光を出射する形態としている。照射光として赤外光を用いる理由は、赤外光は赤色に比べて光量が大きく、且つ硬貨表面からの反射率も大でセンサのSN比が格段に良くなるからである。また、スポット光とする理由は、検出エリアが小さくなり、硬貨の搬送・寄せの状態による硬貨のデータ採取部位(穴やエッジ)の影響が少なくなり、硬貨の部分的な汚れの検出精度が高まるからである。
上述のような汚損検出センサ30の構成において、赤外LED31から出射された光束の光路を説明する。なお、カッコ内は下面汚損センサモジュール30bの説明である。
上面汚損センサモジュール30a(下面汚損センサモジュール30b)の赤外LED31から出射されたスポット光L1は、ハーフミラー35により反射され、その反射光L2が硬貨2の上面(下面)に対して鉛直方向に照射される。硬貨2の上面(下面)からの正反射光L3は、ハーフミラー35を透過して正反射センサ32の受光面に入射される。一方、硬貨2の上面(下面)からの拡散反射光L4は、拡散反射センサ33の受光面に入射される。また、モニタセンサ34の受光面には、赤外LED31から発光された照射光の一部の光L5が入射される。
また、硬貨2が存在しない状態で上側(下側)の赤外LED31から出射されたスポット光は、ハーフミラー35により反射された光が、透光性の通路部30c及び反対側のハーフミラー35を透過し、下側(上側)の正反射センサ32の受光面に入射される。この正反射センサ32の出力信号は、透光性の通路部30cの汚れの検出、及び正反射センサ32と拡散反射センサ33の出力の汚れ補正に使用される。
ここで、汚損検出センサ30のユニット構造について図4を参照して説明する。図3に示した上面汚損センサモジュール30a,30bの各構成部品は、図4に示すように、センサケース30Aの内部に装着される。なお、図4においては、拡散反射センサ33とモニタセンサ34は奥側の見えない位置にある。センサカバー30Bは、制御手段30dの処理基板30d1に対応する領域に放熱用又は透湿用の穴が形成されており、その領域が例えば多孔質材料等の通気可能な防塵用フィルタ30B1で覆われた構成となっている。このように1筐体でユニット化された汚損検出センサ30は、例えば硬貨識別センサ10のユニットと一体的に連結することで、硬貨識別機能と両面汚損検出機能を有する高性能ユニットとして提供することができる。
次に、硬貨の搬送方向に対する硬貨識別センサ10と汚損検出センサ30の位置関係について、図5の模式図を用いて説明する。
硬貨識別センサ10の通路部10aと汚損検出センサ30の通路部30cは、硬貨処理機の硬貨通路の一部を構成しており、汚損検出センサ30の通路部30cは、硬貨識別センサ10の通路部10aの下流側に配置される。なお、図5の例では、汚損検出センサ30をイメージセンサ11に隣接させて設置した例を示しているが、汚損検出センサ30の設置位置はこの位置に限るものではなく、硬貨識別センサ10の金種判別用のセンサ(磁気センサ12又はイメージセンサ11)の下流側であれば良い。
硬貨識別センサ10の各センサは、本例では、上流側から下流側に向けて、穴検知センサ14(付加的構成要素)、磁気用タイミングセンサ13a、磁気センサ12、イメージセンサ11の順序で配置され、イメージセンサ11の撮像エリアの所定位置には、2つのイメージ用タイミングセンサ13bが硬貨搬送方向に対して直交する方向に並設されている。磁気用タイミングセンサ13aは、磁気センサ12による磁気データ(材質データ)のサンプリング開始のタイミングを検知するためのセンサであり、イメージ用タイミングセンサ13bは、イメージセンサ11の撮像タイミング(硬貨全体が撮像エリア内に入ったタイミング)を検知するためのセンサである。本例では、硬貨搬送方向(図5中の矢印x方向)に対して右側が硬貨片寄方向であり、上記穴検知センサ14と磁気用タイミングセンサ13a、及び汚損検出センサ30の検出部30Cは、それぞれ硬貨の片寄側に配置されている。
なお、図5の例では、硬貨識別センサ10の上流側の通路は傾斜しており、その傾斜部から硬貨が慣性力によって汚損検出センサの通路部30cを通過する場合の例を示しているが、このような搬送形態に限定されるものではない。例えば、硬貨の上面を搬送ベルトで押さえて滑動させ、硬貨を隙間の無い状態で連鎖状に高速搬送させる形態においても、その搬送路に汚損検出センサの通路部30cを連結させることが可能である。その場合、硬貨は通路部30c上を搬送ベルトによって搬送されてくるが、図5中に示されるように、汚損検出センサの検出部30Cは、通路部30cの片寄側端部に設けられているため、搬送ベルトの影響を受けることは無い。
次に、汚損検出センサ30のセンサ信号の種類と用途について説明する。なお、説明の便宜上、上面汚損センサモジュール30aに設けられている各センサを「上面○○センサ」、下面汚損センサモジュール30bに設けられている各センサを「下面○○センサ」というように、「上面」、「下面」の用語を付けて区別する。
<センサ信号の種類>
汚損検出センサ30のセンサ信号は、次の8種類の信号がある。
(1)硬貨通過時における上面正反射センサ32の受光信号(以下「上面正反射信号DS1」と呼ぶ)
(2)硬貨通過時における上面拡散反射センサ33の受光信号(以下「上面拡散反射信号DS2」と呼ぶ)
(3)上面モニタセンサ34の受光信号(以下「上面モニタ信号DS3」と呼ぶ)
(4)硬貨無し時(例えば計数動作の開始時)に上側の赤外LEDから発光して通路部30cを透過した光の下面正反射センサ32での受光信号(以下「上側発光下側透過信号DS4」と呼ぶ)
(5)下面正反射センサ32の硬貨通過時の正反射光受光信号(以下「下面正反射信号DS5」と呼ぶ)
(6)下面拡散反射センサ33の硬貨通過時の拡散反射光受光信号(以下「下面拡散反射信号DS6」と呼ぶ)
(7)下面モニタセンサ34の受光信号(以下「下面モニタ信号DS7」と呼ぶ)
(8)硬貨無し時(例えば計数動作の開始時)に下側の赤外LEDから発光して通路部30cを透過した光の上面正反射センサ32での受光信号(以下「下側発光上側透過信号DS8」と呼ぶ)
上記(1)の上面正反射信号DS1と上記(8)の下側発光上側透過信号DS8、上記(5)の下面正反射信号DS5と上記(4)の上側発光下側透過信号DS4は、それぞれ物理的には同一の受光センサであるが、発光源及び光路が異なることで2種類のセンサ機能を有することになる。
<各センサ信号の用途>
上面正反射信号DS1と上面拡散反射信号DS2は、硬貨上面の汚損判定用のセンサ信号として使用される他に、汚損判定用データ(上面正反射センサ及び上面拡散反射センサの受光出力)の補正用のセンサ信号としても使用される。上面モニタ信号DS3は、上側赤外LEDの光量調整用(発光強度の補正用)のセンサ信号として使用される。上側発光下側透過信号DS4は、硬貨通路(透光性通路部)の汚れ検出用、及び汚損判定用データの補正用(透光性通路部の汚れに伴う受光出力低下の補正用)のセンサ信号として使用される。また、その他に、硬貨進入/脱出タイミングの取得用としても使用される。例えば、上流側の硬貨識別センサから硬貨到来通知を受信してから硬貨進入までの時間を監視し、規定時間内に硬貨進入(硬貨による光の遮断)が検知されない場合は、硬貨の流動不良と判定し、上位(メイン識別部又は硬貨処理機本体)に当該コードを送信する。さらに、硬貨進入検知から脱出検知までの時間についても同様に監視して、汚損検出センサ内の通路部での硬貨の流動不良の有無を検出するというように、上側発光下側透過信号DS4は、ゴミ屑や液体の混入等による硬貨流動不良などの異常検出用としても利用される。
一方、下面正反射信号DS5と下面拡散反射信号DS6は、硬貨下面の汚損判定用のセンサ信号として使用される他に、汚損判定用データ(下面正反射センサ及び下面拡散反射センサの受光出力)の補正用のセンサ信号としても使用される。下面モニタ信号DS7は、下側赤外LEDの光量調整用(発光強度の補正用)のセンサ信号として使用される。下側発光上側透過信号DS8は、センサ間に形成されている透光性通路部の汚れ検出用、及び汚損判定用データの補正用(透光性通路部の汚れに伴う受光出力低下の補正用)のセンサ信号として使用される他に、上側発光下側透過信号DS4と同様に、硬貨進入/脱出タイミングの取得用としても使用される。
次に、上記8つのセンサ信号DS1〜DS8の取得タイミングについて、図6のタイミングチャートを用いて説明する。
汚損検出センサの制御手段30dは、センサ信号取得間隔St(例えば500μs)を1サイクルとして、その1サイクルの間に8つの信号DS1〜DS8をそれぞれ1回読取る。このセンサ信号取得処理は、例えば、汚損検出センサ30の検出部30Cへの硬貨到来から硬貨脱出までの間に複数サイクル実行し、硬貨上面と硬貨下面についてそれぞれ1ポイント若しくは複数ポイントのデータ(例えば硬貨進入から硬貨脱出までの間の中央4ポイントのデータ)を汚損貨識別用データとして用いる。
先ず、図6に示されるように、1サイクルの開始時に上側赤外LED31aを発光させ、上面正反射信号DS1、上面拡散反射信号DS2、上面モニタ信号DS3、上側発光下側透過信号DS4を読取り、上側赤外LED31aを消灯させた後に下側赤外LED31bを発光させ、下面正反射信号DS5、下面拡散反射信号DS6、下面モニタ信号DS7、下側発光上側透過信号DS8を読取り、下側赤外LED31bを消灯させて1サイクルを終了し、次のサイクルに移行する。
以上のような構成において、本発明に係る硬貨識別装置及び汚損検出センサの動作例、並びに、汚損検出センサが有する受光センサ出力の汚れ補正機能について説明する。
先ず、本発明に係る硬貨識別装置の全体の動作例の概要を図7のデータフローを参照して説明する。なお、図7のデータフローは、処理機本体と硬貨処理機内のメイン識別部との間のコマンド等のデータのやり取り、及びメイン識別部と汚損検出センサとの間のコマンド等のデータのやり取りを示している。
硬貨識別装置のメイン識別部20は、硬貨処理機本体のCPUからスタートコマンドを受信すると、同コマンドを汚損検出センサ30に対して送信して応答を受信した後、硬貨処理機本体へ同コマンドに対する応答を送信する。硬貨が搬送されてくると、硬貨識別装置のメイン識別部20は、磁気用タイミングセンサ13aの信号によって硬貨の到来を検知し、磁気センサ12により硬貨情報を採取し、材質、径等の判別を行い、金種を判別する。これと並行して、メイン識別部20では、磁気センサ12の下流側(図5を参照)で硬貨の到来をイメージセンサ用タイミングセンサ13bによって検知すると、硬貨到来通知を汚損検出センサ30へ送信すると共に、イメージセンサ11によって硬貨の表面画像を採取する。このときメイン識別部20では、前段の磁気センサ12の情報により判別した金種情報、及びイメージセンサ11によって採取した硬貨表面の画像情報に基づいて、硬貨の金種及び真偽を総合的に判別する。そして、磁気センサ12により採取したデータに基づいて判別した金種情報(又は、イメージセンサ11によって判別した金種情報)を、汚損検出センサ30へ送信する。
一方、メイン識別部20からの硬貨到来通知を受信した最終段の汚損検出センサ30では、前述のサイクルで各センサの信号DS1〜DS8の読取動作を開始し、採取した汚損貨識別用データ(硬貨表面からの正反射光及び拡散反射光の受光データ)及びメイン識別部20から受信した金種情報に基づいて、当該硬貨の汚損の度合を判定し、硬貨の上面及び下面の汚損結果(汚損度等の識別結果)を別々にメイン識別部20に通知する。
メイン識別部20では、汚損検出センサ30から受信した上面、下面の汚損度をチェックし、設定レベル(閾値)に応じて汚損貨か否かの判定を実施して、例えば当該硬貨の金種コード、真偽情報、汚損貨情報等の識別結果を処理機本体へ送信する。
なお、汚損貨か否かの判定は、メイン識別部20ではなく、汚損検出センサ30側で行うようにしても良い。その場合、メイン識別部20から硬貨の真偽情報を受信し、真の硬貨の場合のみ汚損貨の識別をする形態としても良い。
次に、汚損検出センサ30が有する受光センサ出力の汚れ補正機能について説明する。
なお、本発明で言う「汚れ補正機能」とは、硬貨の通路部30cに汚れがあっても正確に汚損の判定が行えるように、汚損貨の判定に用いる正反射センサ32及び拡散反射センサ33の出力に含まれる汚れ成分を補正する機能のことを言う。また、受光センサ出力に含まれる「汚れ成分」とは、例えば、硬貨に付着していた汚れの剥離,硬貨粉等の透光性通路部の汚れに起因する汚れ成分、センサ自体の受光部の汚れに起因する汚れ成分など、照射光が受光されるまでの光路中の部材の汚れに起因する受光センサ出力の汚れ成分のことを言う。
図3に示したように、上面正反射センサ32及び上面拡散反射センサ33は、通路部30cの天板30c3(本例では硬質ガラス製の天板)を透過した正反射光及び拡散反射光(硬貨上面からの反射光)をそれぞれ受光するが、硬貨粉などにより天板30c3の下面が汚れると、その汚れでセンサ信号が小さくなり、実際には汚れていない正常貨を汚損貨としてしまう確率が増加する。一方、下面正反射センサ32及び下面拡散反射センサ33は、通路部30cの底板30c1(本例では硬質ガラス製の底板)を透過した正反射光及び拡散反射光(硬貨下面からの反射光)をそれぞれ受光するが、硬貨粉や硬貨に付着している汚れなどにより、硬貨通路面となる底板30c1の上面が汚れると、その汚れでセンサ信号が小さくなり、実際には汚れていない正常貨を汚損貨と判定してしまう確率が増加する。
そこで、汚損検出センサ30の制御手段30dでは、過去の流動硬貨の上下面のセンサ出力差を利用し、上下面汚れの分配を行い、各々の汚れ分の信号を補正することによりセンサガラス汚れによる検出能力の低下を防ぐようにしている。上記センサ出力差とは、汚損貨の出現枚数、センサ信号の積,和等のセンサから得られたレベル、汚損の判定結果より得られる情報(例えば汚損度を示すレベル)など、上面汚損センサモジュールのセンサ出力から得られる情報と、下面汚損センサモジュールのセンサ出力から得られる「上下面での検出情報の差」である。また、各々の汚れ分の信号を補正する処理としては、上記補正を実施した状態で硬貨を流動させ、継続して補正を行い、収束するまで補正を行うようにしている。
具体的には、例えば、初期調整時に設定された各センサの基準値(補正処理に用いる基準透過データ等)をRAM等の記憶媒体に記憶させておき、硬貨の計数処理の開始直前に赤外LED31の光量をモニタセンサ34で確認し、規定値であれば通路部30cのガラス面の汚れを検出するために、発光側に対して対向側の正反射センサ32で上下のガラス面を通過した透過光を受光する。これを、初期値である基準透過データと比較してガラス汚れ率を算出している。また、計数後には、汚損判定された硬貨が所定枚数以上になれば上下それぞれの汚損枚数に基づき、ガラス汚れ修正値を算出する。これら2つの値を計数中の正反射データ及び拡散反射データの補正に用いて、より正確な汚損判定を行うようにしている。このようにすることで、基準硬貨等が使えない運用中であっても搬走路のガラス面汚れを受光出力に効果的にフイードバックできる。なお、補正処理の形態としては第1実施形態及び第2実施形態があり、具体例についてはフローチャートを用いて以下に説明する。
次に、本発明に係る汚損検出センサ30の動作例の詳細、並びに、汚損貨識別処理と受光センサ出力の汚れ補正処理の詳細を説明する。なお、以下の説明では、硬貨処理機による硬貨の「計数前」の動作、「計数中」の動作、「計数後」の動作に分けて説明する。
先ず、汚損検出センサ30における計数前の動作例を図8のフローチャートの流れに沿って説明する。
汚損検出センサの制御手段30dは、計数前の処理として、先ず、モニタセンサ34の検出信号(上面モニタ信号DS3、下面モニタ信号DS7)を入力し、上側及び下側のLED31の発光量が規定量(規定値又は規定範囲内)となっているか否かをそれぞれ確認し(ステップS1)、規定量となっていない場合は該当のLED31の発光量を調整する(ステップS2)。続いて、上側発光下側透過信号DS4と下側発光上側透過信号DS8に基づいて、ガラス汚れ率を算出する。ここで言う「ガラス汚れ率」とは、硬貨が通過する透光性通路部30c(スポット光の光路に入る領域)の汚れ率である。このガラス汚れ率は、上側発光下側透過信号DS4のAD変換値を「下透過データ」、その基準値を「基準下透過データ」、下側発光上側透過信号DS8のAD変換値を「上透過データ」、その基準値を「基準上透過データ」として、例えば次の数1、数2により算出する(ステップS3)。
(数1)
ガラス汚れ率1=下透過データ/基準下透過データ
(数2)
ガラス汚れ率2=上透過データ/基準上透過データ
なお、上記ステップS3において、「ガラス汚れ率」の代わりに「透過出力低下量率」を算出する形態としても良い。ここで言う「透過出力低下量率」とは、(a)上側発光下側透過信号DS4の受光出力の低下量の割合(基準値に対する実測値の割合)、即ち、硬貨が存在しない状態で、上側の赤外LEDから発光され、通路部30cを透過した赤外光の下面正反射センサ(対向側の受光センサ)での受光信号の低下率、又は、(b)下側発光上側透過信号DS8の受光出力の低下量の割合(基準値に対する実測値の割合)、即ち、硬貨が存在しない状態で、下側の赤外LEDから発光され、通路部30cを透過した赤外光の上面正反射センサ32での受光信号の低下率のことを言う。
以下、汚損貨判定データの補正要素として「ガラス汚れ率」を用いた場合を第1実施形態、汚損貨判定データの補正要素として「透過出力低下量率」を用いた場合を第2実施形態とし、これらの形態によって処理が異なるステップの部分については、第1実施形態と第2実施形態とに分けて説明する。
次に、汚損検出センサ30における計数中の動作例を図9のフローチャートの流れに沿って説明する。なお、硬貨上面の処理と硬貨下面の処理は、上面のセンサ信号を用いるか下面のセンサ信号を用いるかの違いがあるだけなので、簡略化して説明する。
汚損検出センサの制御手段30dは、硬貨識別装置のメイン識別部20から硬貨到来通知を受信すると(ステップS11)、所定のスキャン周期(前述のサイクル)で各センサからのデータ取込みを開始し、汚損貨識別用データを採取する(ステップS12)。続いて、メイン識別部20から金種通知を受信すると(ステップS13)、汚損貨識別用データに含まれる正反射信号のAD変換値を「正反射データ」、拡散反射信号のAD変換値を「拡散反射データ」とし、少なくとも正反射データ及び拡散反射データの両方を汚損判定要素としたデータ(本例では両方の和)を「判定データ」として算出する。その際、第1実施形態の場合には、後述の「ガラス汚れ修正値」を用いて、下記の数3又は数4によって判定データ(上面用判定データ及び下面用判定データ)を補正し、第2実施形態の場合には、後述の「汚損判定率」を用いて下記の数5によって判定データ(上面用判定データ及び下面用判定データ)を補正する。
(数3)
判定データ=(正反射データ+拡散反射データ)*(ガラス汚れ修正値/K)
(数4)
判定データ=(正反射データ+拡散反射データ)*(ガラス汚れ修正値/K)/
((1−α)+α*ガラス汚れ率1+(1−β)+β*ガラス汚れ率2)
ここで、上記数3、数4における「K」は、判定データの補正量の基準値(定数)であり、本例ではK=128としている。また、上記数3、数4における「ガラス汚れ修正値(初期値=K)」は、汚損貨のカウント値に応じて変化させる変数である(後述する「計数後」の処理を参照)。また、上記数4における「α」,「β」は金種による固有値である。
(数5)
判定データ=(正反射データ+拡散反射データ)/(1−透過出力低下量率
*汚損判定率)
ここで、上記数5における「汚損判定率(初期値=1)」は、汚損貨のカウント値に応じて変化させる変数である(後述する「計数後」の処理を参照)。
汚損検出センサの制御手段30dは、前記数3〜数5のいずれかの数式によって判定データを補正した後(ステップS14)、その補正後の判定データと硬貨の金種に対応する汚損判定基準情報(例えば、金種毎に設定された複数段階の汚損度判定基準値を示す基準レベルデータ)とを比較して、硬貨の汚損レベル(本例では、複数段階の汚損度のいずれの段階の汚損度であるか示す硬貨上面の汚損度、及び硬貨下面の汚損度)を判定する(ステップS15)。そして、その上下面の汚損判定結果をメイン識別部20に送信すると共に(ステップS16)、例えば硬貨の汚損度と汚損貨判定用の基準値(閾値)とを比較して汚損貨か否かを判定し、汚損貨と判定したのであれば、汚損貨の枚数を示すカウント値を1カウントアップし(ステップS17)、当該硬貨の処理を終了する。なお、ステップS16において算出する汚損貨のカウント値は、前記数3又は数4で用いる「ガラス汚れ修正値」あるいは前記数4で用いる「汚損判定率」を求めるために使用する補正用パラメータである。
なお、上述した「計数中」の動作における実施の形態では、汚損検出センサの制御手段30dで求めた硬貨の汚損度(硬貨上面の汚損度及び硬貨下面の汚損度)をメイン識別部20に通知し、汚損貨の判定をメイン識別部側で実施する形態を例としているが、汚損検出センサ側で汚損貨の判定を行い、その判定結果をメイン識別部20に通知する形態としても良く、硬貨処理機本体の操作部からの選択操作により、いずれかの形態をオペレータが選択して設定可能な形態としても良い。
次に、汚損検出センサ30における計数後の動作例を図10のフローチャートの流れに沿って説明する。
汚損検出センサの制御手段30dは、計数後の処理として、前記ステップS16で求めた汚損貨のカウント値(枚数)が規定値(例えば1000枚)以上であるか否かを判定し(ステップS21)、規定値以上であれば、第1実施形態の場合には前記数3又は数4で用いる「ガラス汚れ修正値」を次の処理により補正する。例えば、上汚損判定枚数が(下汚損判定枚数+50)以上であれば、下記の数6及び数7により補正し、下汚損判定枚数が(上汚損判定枚数+50)以上であれば、下記の数8及び数9により補正する。
(数6)
上ガラス汚れ修正値=上ガラス汚れ修正値+1
(数7)
下ガラス汚れ修正値=下ガラス汚れ修正値−1
(数8)
下ガラス汚れ修正値=下ガラス汚れ修正値+1
(数9)
上ガラス汚れ修正値=上ガラス汚れ修正値−1
一方、第2実施形態の場合には、前記数5で用いる「汚損判定率」を例えば次の数10及び数11により補正する。
(数10)
上汚損判定率=上汚損枚数/(上汚損枚数+下汚損枚数)
(数11)
下汚損判定率=下汚損枚数/(上汚損枚数+下汚損枚数)
そして、前記数6及び数7、又は前記数8及び数9により上下面の「ガラス汚れ修正」を算出、あるいは前記数10及び数11により上下面の「汚損判定率」を算出して記憶した後(ステップS22)、汚損貨のカウント値(枚数)をクリアし(ステップS23)、当該硬貨の計数後の動作を終了する。
以上のような実施の形態とすることにより、硬貨表面の模様の有無にかかわらず汚損貨と正常貨(汚れていない硬貨)とを高精度で識別することが可能となる。また、上述した「汚れ補正機能」を備えることにより、汚損検出センサ内の通路部が硬貨粉等によって汚れていても、安定した汚損検出能力を保つことができる。また、オペレータへの清掃要求(画面表示等による通知)の頻度を低減させることが可能となる。
以下に、図11に示される実際の実験結果を参照して、硬貨表面の模様の有無にかかわらず汚損貨と正常貨とを識別できる理由を説明する。
図11(A)及び(B)は、汚損検出センサ30における正反射光/拡散反射光の受光出力の分布を示しており、正反射センサの出力を縦軸、拡散反射センサの出力を横軸として、硬貨表面(表側の面)でのセンサ出力を、流通貨については“●”、新貨ついては“○”で示し、また、硬貨裏面でのセンサ出力を、流通貨については“▲”、新貨ついては“△”で示している。また、データを採取した硬貨表面(表側及び裏側)の部位は、30度刻みの円環状の部位(12箇所の部位)である。本例では、照射光は直径3mm程度のスポット光とし、500円硬貨の新貨と流通貨と、1円硬貨の新貨と流通貨について、それぞれ、表側及び裏側の各部位のデータを採取している。ここでは、流通貨を汚損貨と見なし、新貨を正常貨と見なして説明する。
硬貨の「模様無し部」は、光が当たっても拡散が生じないため、正反射成分が多く、拡散成分は少ない。その結果、図11に示されるように、センサ出力は左斜め上側の方向に分布する。一方、硬貨の「模様有り部」は、光が当たると拡散されるため、正反射成分が減り、拡散成分が増加する。その結果、センサ出力は右斜め下側の方向に分布する。また、新貨と流通貨とを比較すると、流通貨は光沢が少なくなるため、正反射光、拡散反射光とも反射成分が減少するため、センサ出力は、左斜め下側の方向に分布し、結果として、新貨と流通貨のデータの分布は、図11中の線分Laより上側と下側とに分かれる。
そのため、正反射光と拡散反射光の両方のセンサ出力を利用した場合、線分Laで汚損閾値(例えば実測値の分布から得られた関数で表わされる汚損閾値)を設定すれば、模様の有無にかかわらず流通貨(汚損貨)と新貨(正常貨)とを識別することができる。これに対して、従来の拡散反射方式(拡散反射光のみを用いた方式)では、線分Lbで汚損閾値を設定した場合、新貨と流通貨共、閾値の両側に分布するため、分離できないことが分かる。また、正反射方式(正反射光のみを用いた方式)とした場合も、拡散反射方式と同様に、新貨と流通貨は閾値(線分Lc)の両側に分布するため、分離できないことが分かる。
なお、上述した実施の形態においては、硬貨の計数機能を有する硬貨処理機に搭載される硬貨識別装置を例として説明したが、計数機能の有無に限定されるものでない。即ち、本発明に係る硬貨識別装置及び汚損検出センサは、硬貨の汚損検出が必要な硬貨処理機全般に適用でき、メダル等を用いた業務用ゲーム機にも適用できる。また、本発明に係る硬貨識別装置は、汚損貨の識別に限らず、新貨と流通貨とを識別する装置としても適用可能である。さらに、上述した実施の形態においては、汚損検出センサのユニットは、硬貨識別センサのユニットと一体的に連結される形態を例として説明したが、独立して搬送路に設置することも可能である。また、上流側の硬貨識別センサで判別された硬貨の金種情報は、メイン識別部から受信する形態を例として説明したが、イメージセンサ(又は磁気センサ)が独自のCPUで金種を判別する機能を持っている場合は、イメージセンサ(又は磁気センサ)から金種情報を受信する形態としても良い。
本発明に係る硬貨識別装置の全体構成の一例を示すブロック図である。 本発明に係る汚損検出センサの構成の一例を示すブロック図である。 本発明に係る汚損検出センサの構造の一例を模式的に示す側面構造図である。 図3の汚損検出センサのユニット構造の一例を示す斜視構造図である。 本発明に係る硬貨識別装置が有する主要なセンサの配置構成の一例を示す模式図である。 本発明に係る汚損検出センサの信号取込タイミングを説明するためのタイミングチャートである。 本発明に係る硬貨識別装置の全体の動作例を説明するための図である。 本発明に係る汚損検出センサの動作例を説明するための第1のフローチャートである。 本発明に係る汚損検出センサの動作例を説明するための第2のフローチャートである。 本発明に係る汚損検出センサの動作例を説明するための第3のフローチャートである。 本発明に係る汚損検出センサにおける汚損貨の検出原理を説明するための図である。 従来技術の問題を説明するための模式図である。
符号の説明
1 硬貨識別装置
2 硬貨
10 硬貨識別センサ
11 イメージセンサ
12 磁気センサ
13 タイミングセンサ
20 メイン識別部
21 基本モジュール
22 制御モジュール
30 汚損検出センサ
30a 上面汚損センサモジュール
30b 下面汚損センサモジュール
30c 通路部
30d 制御手段
31 照射手段(赤外LED)
32 第1の受光手段(正反射センサ)
33 第2の受光手段(拡散反射センサ)
34 光量監視手段(モニタセンサ)
35 光路変換手段(ハーフミラー)

Claims (3)

  1. 識別硬貨の硬貨表面に光を照射する照射手段と、前記光の硬貨表面からの正反射光を受光する第1の受光手段と、前記光の硬貨表面からの拡散反射光を受光する第2の受光手段と、前記第1の受光手段からの前記正反射光の受光信号及び前記第2の受光手段からの前記拡散反射光の受光信号に基づいて、前記識別硬貨の硬貨表面の汚損を識別する制御手段とを備えたことを特徴とする硬貨識別装置。
  2. 前記識別硬貨の硬貨表面に照射される光がスポット光である請求項1に記載の硬貨識別装置。
  3. 前記照射手段、及び前記第1、第2の受光手段は、硬貨識別用の磁気センサ又はイメージセンサが設けられている硬貨通路の下流側に配置され、前記制御手段は、前記磁気センサ又は前記イメージセンサからの金種情報、及び金種毎の汚損判定基準情報に基づいて、前記識別硬貨の硬貨表面の汚損を識別することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨識別装置。
JP2005086174A 2005-03-24 2005-03-24 硬貨識別装置 Pending JP2006268482A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005086174A JP2006268482A (ja) 2005-03-24 2005-03-24 硬貨識別装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005086174A JP2006268482A (ja) 2005-03-24 2005-03-24 硬貨識別装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006268482A true JP2006268482A (ja) 2006-10-05

Family

ID=37204380

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005086174A Pending JP2006268482A (ja) 2005-03-24 2005-03-24 硬貨識別装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006268482A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012238165A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Laurel Precision Machines Co Ltd 貨幣入出金機

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60101690A (ja) * 1983-11-08 1985-06-05 グローリー工業株式会社 硬貨正損判別装置
JPS6118844A (ja) * 1984-07-06 1986-01-27 Glory Ltd 硬貨の汚れ検知装置
JPS6413695A (en) * 1987-07-07 1989-01-18 Fuji Electric Co Ltd Damaged paper money discriminator
JPH08279062A (ja) * 1995-04-06 1996-10-22 Oki Electric Ind Co Ltd 硬貨認識装置
JPH09190558A (ja) * 1996-01-08 1997-07-22 Omron Corp 媒体検知装置
JPH09218968A (ja) * 1996-02-08 1997-08-19 Glory Ltd 硬貨識別装置
JP2001034804A (ja) * 1999-07-16 2001-02-09 Nidec Copal Corp 刻印読み取り装置
JP2001148043A (ja) * 1999-11-22 2001-05-29 Laurel Bank Mach Co Ltd 硬貨識別装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60101690A (ja) * 1983-11-08 1985-06-05 グローリー工業株式会社 硬貨正損判別装置
JPS6118844A (ja) * 1984-07-06 1986-01-27 Glory Ltd 硬貨の汚れ検知装置
JPS6413695A (en) * 1987-07-07 1989-01-18 Fuji Electric Co Ltd Damaged paper money discriminator
JPH08279062A (ja) * 1995-04-06 1996-10-22 Oki Electric Ind Co Ltd 硬貨認識装置
JPH09190558A (ja) * 1996-01-08 1997-07-22 Omron Corp 媒体検知装置
JPH09218968A (ja) * 1996-02-08 1997-08-19 Glory Ltd 硬貨識別装置
JP2001034804A (ja) * 1999-07-16 2001-02-09 Nidec Copal Corp 刻印読み取り装置
JP2001148043A (ja) * 1999-11-22 2001-05-29 Laurel Bank Mach Co Ltd 硬貨識別装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012238165A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Laurel Precision Machines Co Ltd 貨幣入出金機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3609285B2 (ja) 硬貨判別装置
JP3652558B2 (ja) 硬貨判別装置
JP4703403B2 (ja) 検査装置
US8210337B2 (en) Method and sensor for sensing coins for valuation
JP4615343B2 (ja) 硬貨識別装置
JP2011228963A (ja) 画像読取装置
US7321678B2 (en) Banknote identifying machine and banknote identifying method
AU2018234497A1 (en) A lateral flow test system
JP2009276951A (ja) 硬貨識別装置
WO2018142998A1 (ja) 画像採取装置、硬貨状媒体処理機及び画像採取方法
RU2549122C2 (ru) Датчик для проверки ценных документов
JP2008134875A (ja) コイン選別機
JP2006268482A (ja) 硬貨識別装置
WO2018181197A1 (ja) 硬貨識別装置、硬貨処理装置および硬貨識別方法
JP5558150B2 (ja) 硬貨処理機用の硬貨判別装置
RU2271576C2 (ru) Способ определения подлинности банкнот и устройство для его осуществления
JP3542223B2 (ja) 硬貨識別装置
JP2018169725A (ja) 硬貨識別装置及び硬貨識別方法
JPH0944633A (ja) 紙葉類鑑別装置
JP6790605B2 (ja) 紙幣識別装置
JPH10302110A (ja) 紙幣判別装置
JP4381570B2 (ja) 円形物体識別装置
JPH09190558A (ja) 媒体検知装置
JP3012128B2 (ja) 硬貨判別装置
JP4221171B2 (ja) 硬貨識別装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20080212

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Effective date: 20100426

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100713

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02