JP4221171B2 - 硬貨識別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被識別対象硬貨が正貨または偽貨であるのかを光学的に識別するための硬貨識別装置であって、特に被識別対象硬貨の表面模様に基づき正貨または偽貨を識別するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から自動販売機などには、硬貨の材質、直径、或いは厚さなどの違いに着目して、硬貨の識別、正貨と偽貨との識別を行う硬貨識別装置が搭載されている。
【0003】
ところで、最近においては、材質および直径の類似した硬貨の表面を加工することにより重量をも調整して所定の硬貨に極めて類似した変造偽貨が出現している。この偽貨へ対応可能な従来の硬貨識別装置としては、硬貨表面の模様をCCD等の二次元画像素子で読み取り、得られた画像データを処理することで正貨との違いを識別して選別する方式のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来方式の硬貨識別装置による場合には、複雑な光学系や高度の画像処理技術が必要である故にコストがアップするという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたもので、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要とせず、正貨と偽貨のいずれかであることを識別することができる低コストの硬貨識別装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬貨識別装置は、被識別対象硬貨を搬送させるための搬送通路と、該搬送通路に対してほぼ直交する方向の光軸を有する光を投光する投光手段と、該投光手段と該搬送通路との間に配設され、一定方向に長い光束を形成させるスリットと、投光光軸に対して該スリットの長手方向に傾いた受光光軸を有し、該スリットを経た搬送通路からの反射光を受光する受光手段と、該受光手段により出力される光強度パターンが上記被識別対象硬貨の表面模様に対応することを利用して、該光強度パターンに基づき該被識別対象硬貨を識別する識別手段とを具備し、前記投光手段、前記スリットおよび前記受光手段は、前記搬送通路を挟んで両側にそれぞれ設けられ、前記識別手段は、硬貨識別に用いられる前記被識別対象硬貨の表裏面の表面模様のいずれか一方を特定し、その特定した表面模様に対 応する光強度パターンに基づいて該被識別対象硬貨を識別するものであって、前記受光手段の出力値を一定時間間隔でサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリング手段によりサンプリングされた該出力値に基づいて、前記光の上記被識別対象硬貨の縁への投射開始時点から投射終了時点までにおける受光手段による検出位置を検出する検出手段と、該検出手段の検出した投射開始時から投射終了時点までの間での該出力値における第1所定値に対する変化度合いに基づき前記被識別対象硬貨を識別する判定手段とを具備し、前記被識別対象硬貨が、所定重量の正貨と、該正貨の重量にほぼ一致させるべく複数の凹部が形成された第1偽貨と、該正貨の重量にほぼ一致させるべく少なくとも同心円状の凹凸状に切削された切削部が形成された第2偽貨とである場合に、前記判定手段は、前記検出手段が検出した投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値が前記第1所定値以下となる1または2以上の区間を、前記検出手段が検出した前記検出位置に基づいて求め、求められた各区間における時間とその区間での最小出力値の積または積の和を算出し、その算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づいて上記正貨および第1偽貨のいずれであるかを判定し、また、出力値の最大値が存在する位置が投射開始時点から投射終了時点までの中央部の所定範囲内にあると判定した場合、第1所定値に代えて、それより大の第2所定値を用い、それよりも大となる区間が1箇所で、かつ、その区間長さ(L)が一定値以下のとき第2偽貨と判定することを特徴とする。
【0007】
本発明の硬貨識別装置による場合には、受光手段が、その受光光軸を投光光軸に対してスリットの長手方向に傾けて配置されているので、受光手段は被識別対象硬貨の表面模様の窪みや切削模様を明瞭に検出することが可能となる。これに伴って受光手段が検出する光強度パターンが明確になり、しかもその光強度パターンが被識別対象硬貨の表面模様に対応しているので、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要とせず、正貨と偽貨のいずれかであることを識別することが可能となる。また、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要としないので、コストの低廉化が図れる。
【0008】
また、本発明にあっては、両側の受光手段はそれぞれ被識別対象硬貨の表裏面の表面模様に応じた光強度パターンを検出するが、識別手段は、それら光強度パターンに基づいて被識別対象硬貨の表裏面のいずれかを特定して被識別対象硬貨を以下のように識別する。
【0009】
すなわち、サンプリング手段は受光手段の出力値を一定時間間隔でサンプリングし、また、検出手段はサンプリング手段によりサンプリングされた出力値に基づいて、投光光の被識別対象硬貨の縁への投射開始時点から投射終了時点までにおける受光手段による検出位置を検出する。このとき、検出手段の検出した投射開始時点から投射終了時点までの間での出力値における第1所定値に対する変化度合いは、被識別対象硬貨の表面模様の窪みや切削模様に精度よく対応する。そして、被識別対象硬貨は、所定重量の正貨と複数の凹部が形成された第1偽貨と少なくとも同心円状の凹凸状に切削された切削部が形成された第2偽貨とであり、これら被識別対象硬貨の表面模様は次のとおりである。つまり、正貨に形成された所定の表面模様は全体的に凹凸が小さくかつ窪みも浅い、凹部が複数形成された第1偽貨の表面模様は全体的に凹凸が大きくかつ窪みも深い。よって、一般的に、検出手段による出力値は、第1所定値以下となる区間の数は正貨よりも第1偽貨の方が多く、かつ、区間内の最小出力値も正貨よりも第1偽貨の方が小さい。したがって、区間の時間と区間最小出力値の積または積の和の算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づき正貨と第1偽貨との識別を行うことが可能である。また、切削部を有する第2偽貨の表面模様は全体的にほぼ平坦であって、その凹凸程度も正貨の凹凸よりも小さい。このとき、出力値の最大値が得られる位置は、受光手段による検出域全体が硬貨表面の平坦部に含まれる状態となる位置に相当し、そのような位置は正貨では存在し難く、第2偽貨では確実に存在する。よって、出力値の最大値が存在する位置を判定条件に用いることにより、正貨と第2偽貨とを識別することが可能となる。
【0010】
したがって、判定手段は、出力値が第1所定値以下となる区間の時間と区間最小出力値の積または積の和の算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づき、正貨と第1偽貨とを識別し、更に、第2偽貨の切削部が受光手段による検出域であると、その出力値は当然相当大きい最大値となる故に、その最大値と第1所定値との間の大きさに第2所定値を設定し、しかも第2所定値よりも大となる区間が1箇所で、かつ、その区間長さ(L)が一定値以下のとき第2偽貨を判定することが可能となる。
【0011】
なお、投光手段の投光光軸は、搬送通路に対してほぼ直交する面内において傾けるのが、被識別対象硬貨の表面模様の窪みや切削模様を明瞭に検出する上でより好ましい。
【0012】
本発明の硬貨識別装置において、前記搬送通路を挟んで両側にそれぞれ設けられた前記投光手段および前記受光手段が2組以上備わっている構成とすることができる。
【0013】
この構成による場合には、検出精度を向上させ得、これに伴い偽貨の排除率を高めることが可能になる。
【0014】
本発明の硬貨識別装置において、前記判定手段は、前記積または積の和の算出に下式を用い、その算出値S(−)が第3所定値よりも小のときに正貨と判定し、そうでないときに第1偽貨と判定する構成とすることができる。
【0015】
【数2】
Figure 0004221171
【0016】
但し、m:投射開始時点から投射まで終了時点の間において第1所定値以下と
なる区間の個数を最大値とする1からn(正の整数)までの数値
tm:1からn番目までの区間の時間
vm:1からn番目までの区間の最小出力値
Tt:投射開始時点から投射終了時点までの間における時間
本発明の硬貨識別装置において、前記投射開始時点から投射終了時点までの中央部に第1所定値以下となる区間を有し、該区間の時間が正貨および第1偽貨の時間よりも長い第2正貨が、更に前記被識別対象硬貨に含まれ、前記判定手段は、前記検出手段が検出した投射開始時点から投射終了時点までの間において、前記出力値が上記第1所定値以下となる区間を求め、その区間の時間とその区間での最小出力値の積を算出し、その算出値に基づき第2正貨を特定する構成とすることができる。
【0017】
この構成における被識別対象硬貨に含まれる第2偽貨は、投射開始時点から投射終了時点までの中央部に第1所定値以下となる区間を有し、その区間の時間が正貨および第1偽貨の時間よりも長いものである。よって、判定手段は、第1所定値以下となる区間を求め、その区間の時間とその区間での最小出力値の積を算出することで、第2正貨を特定することが可能となる。
【0018】
本発明の硬貨識別装置において、前記判定手段は、前記積の算出に下式を用い、その算出値S(−)′を、投射開始時点から投射終了時点までの全期間において第1所定値以下となる全区間の時間と各区間での最小出力値と同じく下式とを用いて算出された値の合計値で除した値が、第4所定値以上のときに正貨と判定し、そうでないときに第1偽貨と判定する構成とすることができる。
【0019】
S(−)′=t×v
但し、t:区間の時間
v:区間の最小出力値
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る硬貨識別装置を具体的に説明する。
【0021】
(本実施形態の検出構成部)
まず、本実施形態に係る硬貨識別装置の要部である検出構成部を述べる。
【0022】
図1(a)は硬貨識別装置の検出構成部の概略を示す正面図、図1(b)はその右側面図である。
【0023】
この硬貨識別装置の検出構成部は、台板1と、この台板1の前面側に各々設けられたトレー8、回転円板6及び搬送部材2と、台板1の後面側に設けられたモータ7とを有する。台板1は、前面の上辺を下辺に対して後側に位置させた状態に傾けられている。
【0024】
トレー8は、図示しない投入口から投入された被識別対象硬貨20を搬送部材2へ送り込むためのものであり、トレー8内には上記モータ7により回転駆動される上記回転円板6が設けられ、回転円板6の前面には被識別対象硬貨20を引っ掛ける複数の突起6aが設けられている。回転円板6の回転域の上部近傍には、搬送部材2の入口2aが設けられており、回転円板6はトレー8内の被識別対象硬貨20を突起6aにより搬送部材2の入口2aに供給する。搬送部材2は、例えば断面縦長の長方形をした搬送通路Dを内部空洞に有する枠状のものであり、搬送部材2に供給された被識別対象硬貨20は、搬送部材2を介して台板1の下部に配設された排出部1aへと送込まれる。
【0025】
搬送部材2の途中には、入口2a側から光学センサ基板3、第1の磁気センサ基板4及び第2の磁気センサ基板5が設けられている。なお、光学センサ基板3の奥側には、後述する第2の光学センサ基板11(図示せず)が設けられており、搬送部材2は、少なくとも光学センサ基板3及び第2の光学センサ基板11が配置されてある場所は光を透過する透明な部材によって構成されている。
【0026】
第1の磁気センサ基板4は、搬送通路Dを搬送される被識別対象硬貨20の材質を検出し、第2の磁気センサ基板5は搬送通路Dを搬送される被識別対象硬貨20の直径を検出するものであり、第1の磁気センサ基板4及び第2の磁気センサ基板5の各裏面には、図示しない磁気センサがそれぞれ取付けられ、これら磁気センサは、材質および直径が種々異なる複数の金額の被識別対象硬貨20の種類を、搬送部材2に設けた開口部(図示せず)を介して磁気的な悪影響を受けることなく検出できるように構成されている。なお、磁気センサの詳細は、後述する。
【0027】
図2は、上記光学センサ基板3が取付けてある搬送通路Dの近傍部分を、搬送通路Dと直交する斜め方向(図1における紙面内の方向)より見た図である。尚、図2では被識別対象硬貨20が搬送通路Dを左から右へと矢印Aに示すように移動するものとして描いている。ここで、矢印A方向をX軸方向、搬送通路Dを下側から上側に直角に横切る方向をY軸方向、搬送通路Dを正面手前側から奥方向に横切る方向をZ軸方向とする(図1においても同様)。
【0028】
光学センサ基板3には、その裏面で被識別対象硬貨20と対向する面側に光学センサ9及びミラー10が取付けられ、光学センサ9は搬送通路Dと平行かつミラー10に向けて光を投射し、ミラー10は光学センサ9からの光を搬送通路Dへ向けて直角方向に反射させる。また、投射光の被識別対象硬貨20からの反射光は、ミラー10により光学センサ9へ向けて反射されるようになっている。
【0029】
搬送通路Dを挟んで上記光学センサ基板3とは反対側には、前記第2の光学センサ基板11が設けられ、この第2の光学センサ基板11には、その被識別対象硬貨20と対向する面に反射型光学センサ12とミラー13が取付けられている。反射型光学センサ12は搬送通路Dと平行かつミラー13に向けて光を投射し、ミラー13は反射型光学センサ12からの光を搬送通路Dへ向けて直角方向に反射させる。また、投射光の被識別対象硬貨20からの反射光は、ミラー13により反射型光学センサ12へ向けて反射されるようになっている。
【0030】
この反射型光学センサ12は、被識別対象硬貨20の一方の片面側を検出し、上記光学センサ9はもう一方の片面側を検出するものであり、光学センサ9と搬送通路Dとの間の投受光の光軸と、反射型光学センサ12と搬送通路Dとの間の投受光の光軸とは、位置的にずらしている。これは、一方の光学センサ9(または12)からの投射光が、他方の光学センサ12(または9)に影響を及ぼすことが無いように、つまり互いに干渉することがないようにする為である。
【0031】
また、第2光学センサ基板11には、光学センサ9から投射され、ミラー10にて反射された投射光を受光する位置に受光素子14が配設されており、この受光素子14は、被識別対象硬貨20の通過状況と、被識別対象硬貨20の中央部に形成される穴の有無とを検出する。
【0032】
図3は、上記光学センサ9(12)と搬送通路Dの一部の搬送面Pとの間における光路を概念的に{光学センサ9(12)の向く方向を無視して}示す斜視図であり、ミラー10(13)を省略して示している。図4はその光学センサ9(12)の断面図である。
【0033】
光学センサ9と12は同一構造であり、以下に一方の光学センサ9を代表例に挙げて説明する。光学センサ9は、投光手段としてのLED(Light Emitting Diode)15と、受光手段としての受光素子16と、円柱レンズ17と、硬貨搬送方向A(横方向)に短い縦長のスリット18aを有するマスク18とを備える。
【0034】
上記円柱レンズ17は、上記LED15から放射された光を横方向に集光させるもので、横方向で厚みを変え平面視円弧状の外表面(曲率)を持つ、正面視で長方形状に形成されている。また、上記マスク18は、円柱レンズ17から放射される光を線状に規制する為のものである。円柱レンズ17のLED15と対向する面の上部には、上側を薄肉にして角度αで傾斜させたテーパ部17aが設けられ、このテーパ部17aはLED15からの投射光を偏向させて光軸よりも幾分下方(角度θ)へと傾ける機能を有する。よって、LED15からの投射光は、円柱レンズ17およびマスク18を経て上記搬送面Pに対し左右方向で垂直に上下方向で下向き斜めに入射し、その搬送面P上に幅d、長さlの縦長線状の光像19を形成する。
【0035】
前記受光素子16は、LED15に対して下側に中心間距離Hだけ離して設けられ、搬送面P、つまり被識別対象硬貨20からの反射光を検出する。この検出の際、被識別対象硬貨20からの反射光は、前記スリット18aおよび円柱レンズ17によって集光される。また、スリット18aは、その長手方向を硬貨搬送方向Aと直交させており、また、前記テーパ部17aにより偏向させているので、受光素子16は投射光と若干異なる方向へと戻って来る被識別対象硬貨20からの反射光の一部を検出することになる。ここで、テーパ部17aを形成したのは、光学センサ9(12)と被識別対象硬貨20との間隔を短くしてコンパクトに配置する為と、後述するように変造硬貨特有の特徴を検出し易くする為であり、角度αは約10゜〜30゜としている。
【0036】
これら光学センサ9、12は、搬送通路Dを回転しつつ搬送される被識別対象硬貨20に対し、図5に破線にて示すように投射開始端Sから投射終了端Gまでを結ぶ曲線状の線分上を検出域としている。また、光学センサ9は、被識別対象硬貨20の中央部に貫通孔が形成されている場合には、その貫通孔の有無についても検出する。
【0037】
(本実施形態の硬貨選別原理)
次に、本発明による硬貨選別原理につき説明する。
【0038】
図5に示すような光像19が形成される上述した硬貨識別装置の検出構成部に対し、旧500円正貨、新500円正貨、旧500円正貨の重量に似せた第1偽貨および第2偽貨を搬送させ、光学センサ9の出力を調査した。ここで、新500円正貨は、図6(a)に示す裏面を有するものである。旧500円正貨は新500円正貨と同様のデザインであるが、新500円正貨の方が500円の「0」の数字の中に刻まれた凹凸の面積および凹凸の高低差が大きい。第1偽貨は、図9(イ)に示すように旧500円正貨の直径および材質がほぼ同様な硬貨20の複数部分に凹部、例えばドリルにより円形凹状の座繰り穴20aが形成されて旧500円正貨の重量に調整された変造硬貨である。第2偽貨は、図10に示すように旧500円硬貨の直径および材質がほぼ同様な硬貨20の縁部を残した中央部に、例えば旋盤等により同心円状の凹凸状に切削された凹凸状切削部20cが形成されて旧500円正貨の重量に調整された変造硬貨である。
【0039】
図11は、旧500円正貨の表側を光学センサ9に向けて搬送通路Dを回転させつつ搬送させた時の光学センサ9の出力変化の一例を示し、図12は旧500円正貨の裏側を光学センサ9に向けて搬送通路Dを回転させつつ搬送させた時の光学センサ9の出力変化の一例を示す。図13は、新500円正貨による反射パターンの変化の様子を説明するために、新500円正貨の裏側を光学センサ9に向け、かつ図7に示すように500の数字を横にした状態に保持して水平移動させた時の光学センサ9の出力変化を示し、図14は、新500円正貨の裏側を光学センサ9に向け、かつ図8に示すように500の数字を縦にした状態に保持して水平移動させた時の光学センサ9の出力変化を示す。いずれにしても、新500円正貨では、500円の数字の「0」の中にある凹凸マークの存在によって中央で比較的長い時間大きく信号が低下することがわかる。図15は、第1偽貨の座繰り穴20aの形成側を光学センサ9に向けて搬送通路を回転させつつ搬送させた時の光学センサ9の出力変化の一例を示す。図16は、第2偽貨の凹凸状切削部20cの形成側を光学センサ9に向けて搬送通路を回転させつつ搬送させた時の光学センサ9の出力変化の一例を示す。なお、これら図11〜図16の横軸は時間Tを、縦軸は光学センサ9の出力Vを示す。
【0040】
ここで、図11から図16において、To以前とTe以降は光学センサ9の検出域に被識別対象硬貨20が存在しない時であり、被識別対象硬貨20が存在しない故に搬送通路D等を介して光学センサ9に入射した、検出用本来の光ではない外乱光に基づく出力Vo(第1所定値)が発生している。なお、図中のTmはToとTeとの間の中心点である。
【0041】
図11より理解されるように、旧500円正貨の表側では、ToとTeの間(但しTo近傍およびTe近傍を除く)において、光学センサ9の検出域へ入射する外乱光が硬貨により遮断されるとともに旧500円正貨の表側の表面模様に応じて、光学センサ9の出力Vが複数の区間、この例では5つの区間t1,t2、…、t5で上記出力Voよりも小さくなっている。なお、v1、v2、…、v5は、各区間t1〜t5での出力Vの最小値を示す。
【0042】
また、図12より理解されるように、旧500円正貨の裏側では、ToとTeの間(但し、To近傍およびTe近傍を除く)において、旧500円正貨の裏側の表面模様に応じて光学センサ9の出力Vが上記出力Voよりも小さくなることはない。
【0043】
このように、旧500円正貨では光学センサ9の出力がVoを下回る確率が少ない上、下回った時の出力Vの最小値もそれほど小さくならない。
【0044】
これに対し、第1偽貨の場合には、図9(ロ)に示すように前記座繰り穴20aに光が当たると、反射光が一定の方向に反射されて受光素子16に戻る事が少なくなるので、図15に示すように受光素子16の出力がVoより下回る多数の区間、この例では7つの区間t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7が存在することになる。なお、本実施形態では、この区間の数は、旧500円正貨の場合よりも多く、また、区間内の最小値も旧500円正貨の場合よりも小さい。よって、このような光強度パターンの相違に基づいて旧500円正貨と第1偽貨との識別が可能となる。
【0045】
また、第2偽貨の場合には、凹凸状切削部20cが同心円状の凹凸状に形成されているので、回転しつつ搬送される第2偽貨への投射光の当たる場所が変化することによって、反射光の検出パターンが大きく変化する。例えば、図17に示すようにスリット18aからの投射光により形成される縦長の光像が、第2偽貨20の中心に一致している時は、反射光の全てはY−Z面内を通って受光素子16にて捉えられ、これに対し、図18に示すように上記縦長の光像19が、第2偽貨20の中心と一致していない場合は、反射光はX軸方向にも傾いた方向へ反射し、受光素子16にて捉えられ難くなる。それゆえ、第2偽貨の場合には、図16に示すように、光像19が第2偽貨20の中心に一致する出力データの中央位置でのみ出力が急に高くなり、それ以外の位置では出力が減少するという特有の出力変化を示す。
【0046】
また、新500円正貨の場合には、図13より理解されるように中央位置付近で出力Vが、500を表す3つの数字のうちの2つの「0」が検出域とされることに基づいて、比較的大きく低下する区間tが存在し、また、図14より理解されるように、新500円正貨の中央位置付近で出力Vが、500を表す3つの数字のうちの中央の1つの「0」が検出域とされることに基づいて、比較的大きく低下する区間tが存在する。
【0047】
このように大きく出力Vが低下する理由は、以下のように考えられる。すなわち、図6(a)に示す新500円正貨の「0」の数字中のB部分には、図6(b)(図6(a)の縦断面図)に示すように凹凸が規則的に形成され、かつその凹凸が一定方向を向いて平行に形成された模様となっており、投射光がこの規則的な凹凸模様に当たると、反射光が一定の方向に反射し易くなって光学センサ9の受光素子16に入射され難くなる(旧500正貨では、この凹凸模様の面積が小さく、かつその凹凸の高低差も小さい。)。これに対し、B部分以外の部分では、模様を形成している凹凸の変化はそれほど大きくない上、模様も規則的ではないので、反射光の方向が特定の方向に大きく偏ることは無く、反射光が受光素子に入射し難くなることは少ないためと考えられる。
【0048】
但し、図13および図14は、新500円正貨を水平移動させた場合の出力例であるが、搬送通路Dを回転しつつ搬送させる場合には、図5の破線にて示す検出域を光学センサ9が検出するので異なった出力値が得られるものの、上記検出域が必ず中央の「0」を検出するので、図13または図14に類似した出力値が得られる。
【0049】
したがって、以上説明した4種類の被識別対象硬貨の表面模様に対応して得られる光学センサ9または12の出力パターン(光強度パターン)に基づき、各被識別対象硬貨を識別することが可能になる。
【0050】
なお、第2偽貨については、切削面の形状によっては図17で示すように反射光の方向が変化することも予見されるが、本実施形態では上述したように光学センサ9、12の反射光の感度分布を縦長(Z軸方向に長く)にする事によって感度分布を改善することができる。また、切削面の断面形状は、図6(b)に示す新500円正貨と同様に、通常台形形状となっているので、それに合わせて投射光の投射方向も上述したようにθだけ傾けておく方が好ましい。また、上述したように縦長の光像が被識別対象硬貨20の中心と一致していない時には、受光素子16に光が入り難くなるので、光学センサの出力変化を監視して一定以上の出力が得られない場合には、変造硬貨と判定する様にしてもよい。
【0051】
また、以上の説明では、判定のための第1所定値を被識別対象硬貨が無い時の受光素子の出力Voとしたが、これに係わらず上記現象を検出するのに適した任意のレベルに設定する事もできる。
【0052】
さらに、第1所定値を固定的に用いずに、図16に示すようにそのピーク出力の半分の第2所定値とする様にしても良く、この第2所定値を用いることで図10に示す第2偽貨を効果的に検出することができる。
【0053】
(本実施形態に係る硬貨識別装置の全体構成)
図19は、上述した検出構成部を有する硬貨識別装置の全体回路ブロック図を示したものである。
【0054】
この硬貨識別装置は、上述した検出構成部の各種センサからの出力を処理・演算し、かつ硬貨識別装置全体のシーケンス制御と識別結果を含む各種の表示制御を行う為の中央処理装置としてのCPU21を有する。CPU21はROM38に書き込まれているプログラムを実行し、入出力ポートを制御してデータのやり取りを制御したり、センサからのアナログ出力をデジタル出力に変換するA/D変換処理、A/D変換された信号を予め定められたアルゴリズムに従って処理して硬貨の種別や真偽判別を行うデータ処理を行ったり、その結果を表示装置に出力したり、硬貨識別装置全体のシーケンス制御を取り仕切る。
【0055】
前記搬送部材2により形成される搬送通路Dの片側に配置された発振コイル27と、これと対向する搬送通路Dの反対側に配置された受信コイル28とは、被識別対象硬貨の直径を測定する為の前記第2の磁気センサ基板5に設けられたセンサであり、発振コイル27には、CPU21から信号が与えられる直径用発振回路29が接続され、受信コイル28には出力信号をCPU21のA/D入力ポートに出力する直径用受信回路30が接続されている。
【0056】
前記搬送通路Dの片側に配置された発振コイル22と、これと対向する搬送通路Dの反対側に配置された受信コイル23とは、主として被識別対象硬貨の材質を測定する為の前記第1の磁気センサ基板4に設けられたセンサであり、上記発振コイル22には、これを一定の周波数で駆動する為の材質用発振回路24が接続されていて、発振コイル22は、CPU21から出力される一定周波数のパルス信号を増幅し、波形整形して発振コイル22に出力する。上記受信コイル23には、材質を検知するための材質用受信回路25が接続されており、材質用受信回路25は受信コイル23の出力を増幅し整流してCPU21のA/D入力ポートに出力する。
【0057】
材質用発振回路24から出力される発振コイル22を駆動する発振波形と、材質用受信回路25から出力される受信コイル23の出力を増幅した交流信号とは、位相差検出回路26に与えられ、位相差検出回路26は両入力信号を比較してその位相差を検出し、その検出位相差をCPU21のA/D入力ポートに出力する。
【0058】
CPU21は、材質検知用受信回路25の出力より受信信号の振幅変化を、位相差検知回路26の出力より位相差を検出して被識別対象硬貨の材質を判定する。
【0059】
また、前記搬送通路Dを臨ませて前記光学センサ9に内蔵されたLED31(前記15に相当)が設けられ、このLED31には、これを駆動する為のLED駆動回路33が接続されている。LED駆動回路33は、CPU21によって点灯制御され、硬貨識別装置に電源が投入されてCPU21が動作準備状態になると、LED31に一定の電流を供給してこれを一定の明るさで点灯させる。LED31からの光の搬送通路D及び被識別対象硬貨20からの反射光を受光する位置には、受光素子32(前記16に相当)が設けられ、受光素子32は受光した光量に比例した光電流を出力する。上記受光素子32は増幅回路34に接続されていて、受光素子32から出力された上記光電流を適当なレベルまで増幅してCPU21のA/Dポートヘと出力する。
【0060】
搬送通路Dを挟んで上記LED31と対向する位置には、受光素子35(前記14に相当)が配置され、硬貨により上記LED31の投光光束が遮られると、この受光素子35に入射する光量が変化し、受光素子35より出力される光電流が変化する。その出力端には増幅器36が接続され、増幅器36は上記受光素子35の出力を増幅する。その出力端はCPU21とコンパレータ37に接続されている。
【0061】
コンパレータ37は、被識別対象硬貨がLED31と受光素子35との間に存在しない時の受光素子35の出力Voに対して少し低めに予め設定された基準レベルと、上記増幅器36の出力とを比較して、増幅器36の出力がこの基準レベル以上の時にロー、下回った時にハイとなる信号を出力する。従って、コンパレータ37の出力は、被識別対象硬貨20がLED31の投光光束を横切り始めた時に瞬間的にローからハイとなり、横切り終えた時点でハイからローへと瞬間的に変化する。
【0062】
CPU21には、前記ROM38およびRAM43が接続されており、ROM38はその一部として、判定の為の閾値範囲が格納されている書き換え可能なE2PROM38aを備えており、E2PROM38aには、識別すべき各種の被識別対象硬貨20の上記閾値範囲が予め測定され格納されている。
【0063】
CPU21は、光学センサ9、12により出力される光強度パターンが被識別対象硬貨20の表面模様に対応することを利用して、光強度パターンに基づき被識別対象硬貨20を識別する識別手段21aを具備する。この識別手段21aは、光学センサ9、12の出力値を一定時間間隔でサンプリングするサンプリング部21bと、サンプリング部21bによりサンプリングされた出力値に基づいて、光学センサ9、12が投光する光の被識別対象硬貨20への投射開始端Sから投射終了端Gまでにおける光学センサ9、12による検出位置を検出する検出部21cと、検出部21cの検出した投射開始端Sから投射終了端Gまでの間での出力値における出力Voに対する変化度合いに基づき被識別対象硬貨20を識別する判定部21dとを有する。
【0064】
判定部21dは、検出部21cにて検出された前記検出位置と、サンプリング部21bにてサンプリングされた出力値とに基づいて、光学センサ9の出力値が被識別対象硬貨20の表面側のものかつ光学センサ12の出力値が被識別対象硬貨20の裏面側のものであるか、或いは、光学センサ12の出力値が被識別対象硬貨20の表面側のものかつ光学センサ9の出力値が被識別対象硬貨20の裏面側のものであるかを特定し、被識別対象硬貨20の表裏面のうち、硬貨識別に用いる該当する面側の光強度パターンに基づいて後述する識別演算を行い、被識別対象硬貨20を識別する。
【0065】
また、CPU21の出力ポートにはデコーダ40が接続され、デコーダ40はCPU21から出力される信号をデコードして表示回路41へと出力する。表示回路41は、上記デコードされた信号をCPU21からのタイミング信号により取込み、その出力端に接続されたLED金種表示ユニット42を点灯制御し、金種の表示や真偽判走の結果の表示等を行う。なお、図19中の39は、CPU21に基準クロックを供給している発振子である。
【0066】
図20は、被識別対象硬貨の搬送に伴う受光素子14、16の出力変化をグラフに表したものである。(a)及び(b)は穴の無い硬貨の例を、(c)及び(d)は穴開き硬貨の例を示しており、(a)及び(c)は受光素子14の出力を、(b)及び(d)は受光素子16の出力変化を示している。(a)及び(c)中のVthは前記コンパレータ37のコンパレータレベルであるスレッショルドレベルを示している。
【0067】
この図より理解されるように、穴開き硬貨では、硬貨の穴の部分がLED15と受光素子14との間に来た時にLEDからの投射光がこの穴を通過して受光素子14に到達するので、受光素子14の出力が(c)で示す様に中央部で窪んだ波形となり、その時の受光素子の出力Vhを測定して穴の直径を検出することができる。
【0068】
(本実施形態に係る硬貨識別装置の全体動作)
図21は、図19の硬貨識別装置の全体動作をフローチャートで表したものである。
【0069】
まず、硬貨識別装置の動作を開始すると(ステップS0)、CPU21はROM38に格納されているプログラムの実行を開始して各種のカウンタ、レジスタ及びフラグをクリアーまたは初期状態に設定して初期化を行い、LED31を点灯して被識別対象硬貨20を検出し識別する為の動作準備状態に入る(ステップS1)。
【0070】
次に、ステップS2に移行して、受光素子35(14)の出力端に接続されているコンパレータ37の出力を監視し、その出力が前記スレッショルドレベル(Vth)を超えたか否かを判定する。超えていない場合は、ステップS2を繰り返し、コンパレータ37の出力を監視する。そして、被識別対象硬貨20が投入口より投入されて搬送通路Dを転がって光学センサ9の位置まで来ると、LED15から投射された光が遮られて受光素子14の出力が変化し、上記スレッショルドレベル(Vth)を超えるとコンパレータ37の出力が変化する。CPU21のサンプリング部21bは、この変化を検知するとステップS3へと移行して、受光素子32の出力を増幅する増幅器34と受光素子35の出力を増幅する増幅器36の出力をサンプリングして取込み、A/D変換した後、RAM43の所定のメモリー番地へと順次格納する。
【0071】
次いで、ステップS4でコンパレータ37の出力を検出し、未だ被識別対象硬貨20が光学センサ9と受光素子14との間に存在すると判定された時にはステップS3へと戻り、前回と同様に受光素子32と受光素子34の出力を増幅した信号をCPU21に取込む動作を繰り返す。このようにして被識別対象硬貨20が上記光学センサ9の光路中にある間、サンプリング部21bは所定の時間間隔で上記2つの受光素子の出力をサンプリングしてA/D変換した後、RAM43の所定のメモリー番地へと順番に格納する。
【0072】
そして、ステップS4にてコンパレータ37の出力をチェックし、被識別対象硬貨20が存在しない時のレベルに復帰したと判定された時には、ステップS5へと移行して光学センサ9(12)の下流に配置されている磁気センサの出力をチェックし、その出力が変化した時には被識別対象硬貨20が磁気センサに掛かり始めたと判断してステップS6に進み、ここで磁気センサからの出力をサンプリングしてCPU21ヘと取込み、A/D変換した後、RAM43の所定のメモリー番地へと格納する。他方、磁気センサの出力が変化しないときには、被識別対象硬貨20が未だ磁気センサに到達していないと判断してステップS5を繰り返し、被識別対象硬貨20の到達を待つ。
【0073】
次に、ステップS7に進み、ここで磁気センサの出力が、被識別対象硬貨20が無い時のレベルに復帰したか否かをチェックし、復帰していなければステップS6に戻って磁気センサの出力を繰返しサンプリングしてRAM43に順次格納して行く。一方、復帰した場合は、ステップS8へと移行して、検出部21cおよび判定部21dはRAM43に格納された光学センサ及び磁気センサのデータを後述する所定のアルゴリズムに従って処理して真偽判定と金種識別を行う。続いて、ステップS9に進み、ここでその結果を表示デバイスに出力し、その後ステップS10に移行して、全体のフローを終了する。
【0074】
(本実施形態に係る硬貨識別装置が行う識別演算)
図22〜図25は、CPU21の判定部21dにより行われる上記識別演算の手順を示すフローチャートである。この識別演算の手順は、CPU21の前記ROM38にプログラムおよびデータとして書き込まれている。なお、検出部21cは、この識別演算の間、サンプリング部21bによりサンプリングされた光学センサ9、12の出力値に基づき、被識別対象硬貨20上に投光された光の位置(検出位置)を検出する。
【0075】
ステップS11で識別演算フローを開始すると、先ずステップS12で材質検知用磁気センサ及び直径検知用磁気センサのデータを読み出し、ステップS13で材質検知用磁気センサの材質データの材質ピーク値MVpと、直径検知用磁気センサの直径データの直径ピーク値DVpを検出する。
【0076】
ステップS14では、検出した上記ピーク値MVpとDVpが、旧500円正貨のそれと一致しているか否かの判定を行う。即ち、MVpの値がmVaとmVbとの間にあり旦つDVpの値がdVaとdVbとの間にあれば、旧500円正貨である可能性があると判定してステップS19へと移行する。これに対して一致していない場合には、ステップS15へと進み、ここで、ピーク値MVpがmVcとmVdの間にあり、且つピーク値DVpがdVcとdVdの間にあるか否かが判定され、これらの両方の条件を満たす場合には、新500円正貨である可能性があると判定してステップS29へ、それ以外の場合はステップS16へと移行する。ステップS16では、前記ピーク値MVpとDVpをそれぞれmVe、mVf及びdVe,dVfと比較して、MVpがmVeとmVfとの間にあり、且つDVpがdVeとdVfとの間にある場合には、100円正貨と判定して、ステップS18で100円正貨を示すフラグを立てて元のステップS11に戻る。他方、MVpまたはDVpがステップS16の条件を満足しないと判定された場合にはステップS17へと移行する。ここで、前記ピーク値MVpがmVgとmVhとの間にあり、且つ、DVpがdVgとdVhとの間にあるか否かを判定し、これら両方の条件を満たす時には10円正貨と判定してステップS36へ、満たさない場合は50円正貨の可能性があると判定してステップS37へと移行する。
【0077】
上記mVa、mVb及びdVa、dVbは、予め複数枚の旧500円正貨を硬貨識別装置に通しそのときの磁気センサのピーク値を測定したもので、上記mVc、mVd及びdVc、dVdは、予め複数枚の新500円正貨を硬貨識別装置に通しそのときの磁気センサのピーク値を測定したもので、上記mVe、mVf及びdVe、dVfは、予め複数枚の100円正貨を硬貨識別装置に通しそのときの磁気センサのピーク値を測定したもので、上記mVg、mVh及びdVg、dVhは、予め複数枚の10円正貨を硬貨識別装置に通しそのときの磁気センサのピーク値を測定したものであり、これらデータは基準データとして前記ROM38に格納されている。
【0078】
まず、ステップS16よりステップS18へと移行した場合と、ステップS17よりステップS36へと移行した場合につき説明する。ステップS18では、100円正貨と判定して、100円正貨を示すフラグを立てて元のステップS11に戻る。一方、ステップS36では、上記条件を満足するので10円正貨と判定され、それを示すフラグを立てて元のステップS11に戻る。
【0079】
次に、ステップS17よりステップS37へと移行した場合につき説明する。ステップS37では、MVpがmViとmVjとの間にあり且つDVpがdViとdVjとの間にあるか否かを判定し、両方を満足するときにはステップS38へと移行して受光素子35(14)のデータを読み出し、ステップS39で中央部に凹部が存在するか否かを判定し、存在する場合には50円正貨と判定してそれを示すフラグを立てて元のステップS11に戻る。
【0080】
これに対し、ステップS37の条件を満たさない場合、及びステップS39で中央に凹部が存在しないと判定された場合には、正貨ではないものと判定してステップS41でリジェクト硬貨の処理を行って元のステップS11に戻る。
【0081】
次に、ステップS14からステップS19に進む場合につき説明する。ステップS19では、光学センサ9または12のデータを読み出し、次いでステップS20では端部処理を行い、両端部To、Teより一定の範囲内のデータを無効データとして取り扱う。
【0082】
端部処理の具体的内容を図16に示す例を用いて説明すると、被識別対象硬貨の縁Toから一定の範囲Tsまでと、被識別対象硬貨の縁Teから一定の範囲Tuまでのデータを強制的にVoに置換する等の処理を行って、その範囲のデータを事実上無効にする処理を行う。
【0083】
この端部処理を行う理由は、両端部のデータは被識別対象硬貨の縁の部分からの反射光を測定したものであり、被識別対象硬貨20の縁の部分における微小な段差(コイニング)の影響を受けて反射光が微妙に変化して反射光の方向が安定せず、光学センサの出力も安定しないからである。
【0084】
次いで、ステップS21に進み、ここで出力Vのピーク値(最大値)HVpを検出し、ステップS22でそのピーク値HVpがどの時間位置にあるかを検出し、そのピーク値HVpの時間位置が被識別対象硬貨の中央部に対応する位置にあると判定された時にはステップS23へ、それ以外の場所にあると判定された時にはステップS27へと移行する。即ち、ステップS22では、ピーク値HVpの時間位置がデータの中央部(被識別対象硬貨の中央部に相当)の時間TmaからTmb(図16参照)の範囲内にあるか否かを検出し、その時間範囲内の時には中央部にあると判定してステップS23へ、それ以外の時にはステップS27へと移行する。
【0085】
ステップS23では上記ピーク値HVpが予め定められた所定値KVoより大きいか否かが判定され、大きいと判定された時にはステップS24へ、それ以外の時には光学センサの出力が異常に小さいと判定してステップS26へと移行する。ステップS24では、ピーク値HVpの1/2のレベルを第2所定値とし、それ以上の信号をハイに、それ以下の信号をローに2値化する処理を行う。
【0086】
次いで、ステップS25でハイの区間が幾つ存在するかを判定し、ハイの区間が1箇所のみで且つその範囲の長さLが所定の長さe(>L)以下と判定された時には、図16に示すように中央部に先鋭なピークを有するとともにそれ以外の部分では反射光が非常に小さい、図10に示す第2偽貨に特有の反射パターンと判定してステップS26へと移行し、それ以外の場合はステップS27へと移行する。そしてステップS26では、偽貨としてリジェクト処理を行う。
【0087】
また、ステップS27へ移行した場合は、上記光学センサのデータがVo以下となる区間の時間を計測してそれぞれをt1、t2、…tnとし、各区間での出力Vの最小値をそれぞれv1、v2、…、vnとして、下記(1)式に示す合計値S(−)を算出する。ここで、本実施形態においては、旧500円正貨ではnは5、第1偽貨ではnは7となる。
【0088】
【数3】
Figure 0004221171
【0089】
但し、mは1からn(正の整数)までであり、Ttは図16に示したToか
らTeまで(実質的にはTsからTuまで)のトータル時間である。
【0090】
そして、算出された合計値S(−)と予め決められた第3所定値としての一定値Vkとを比較し、S(−)がVkよりも小さい場合は、硬貨表面に通常の硬貨には存在しない異常な凹部が無いものと判定して旧500円正貨と判別し(図11及び図12参照)、ステップS28で旧500円正貨のフラグを立てて元のステップS11にリターンする。
【0091】
これに対し、ステップS27でS(−)が上記一定値Vk以上の場合には、異常な凹部等があるものと判定してステップS26に進み、第1偽貨としてリジェクト処理を行い、ステップS11にリターンする。
【0092】
次に、ステップS15よりステップS29へと移行した場合につき説明する。ステップS29ではステップS19と同様に光学センサのデータを読み出し、ステップS30に進み、ここでステップS20と同様に端部処理を行う。次いで、ステップS31に進み、ここでVo以下の領域が、中央部の予め決められた所定の範囲(図13及び図14に示すTaからTbまでの範囲)内に存在するか否かを判定し、その範囲内に存在する場合にはステップS32へ、存在しない場合(範囲外の場合)はステップS35へと移行する。
【0093】
ステップS32では、Vo以下の区間長さtが得られる時間範囲であるTD1からTD2までの範囲が、前記所定の範囲(図13及び図14に示すTaからTbまでの範囲)内に存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS33へ、存在しない場合はステップS35へと移行する。
【0094】
ステップS33では、下記(2)式により、上記区間長さtでのS(−)′値を算出する。
【0095】
S(−)′=t×v ・・・(2)
但し、v:tでの最小出力値
【0096】
そして、そのS(−)′値と、全期間(To〜Te)を対象としてVo以下の全区間で同様にして算出したS(−)′の合計値とを比較して、この区間tでのS(−)′の値が全期間でのS(−)′の合計値に対し、予め定められた第4所定値としての比率(m%)以上であると判定された場合はステップS34へ、以下と判定された時にはステップS35へと移行する。
【0097】
ステップS34では、被識別対象硬貨の中央部に新500円正貨に特有の規則的な細やかな平行の模様があるものと判定して、新500円正貨を示すフラグを立てて元のステップS11に戻る。
【0098】
これに対しステップS35に進んだ場合は、被識別対象硬貨の中央部に新500円正貨特有の上記パターンが存在しないものとして、偽貨の処理を行ってから元のステップS11に戻る。
【0099】
したがって、本実施形態による場合には、被識別対象硬貨20を回転しつつ搬送させるための搬送通路Dと、搬送通路Dに対してほぼ直交する方向の光軸を有する光を投光するLED15と、LED15と搬送通路Dとの間に配設され、一定方向に長い光束を形成させるスリット18aと、投光光軸に対してスリット18aの長手方向に傾いた受光光軸を有し、スリット18aを経た搬送通路Dからの反射光を受光する受光素子16と、受光素子16により出力される光強度パターンが被識別対象硬貨20の表面模様に対応することを利用して、光強度パターンに基づき被識別対象硬貨20を識別する識別手段21aとを具備する故に、受光素子16が、その受光光軸を投光光軸に対してスリット18aの長手方向に傾けて配置されているので、受光素子16は被識別対象硬貨20の表面模様の窪みや切削模様を明瞭に検出することが可能となり、これに伴って受光素子16が検出する光強度パターンが明確になり、しかもその光強度パターンが被識別対象硬貨20の表面模様に対応しているので、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要とせず、旧500円正貨と偽貨(第1偽貨および第2偽貨)のいずれかであることを識別することが可能となる。また、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要としないので、コストの低廉化が図れる。なお、LED15の投光光軸は、搬送通路Dに対してほぼ直交する面内において傾けるのが、被識別対象硬貨20の表面模様の窪みや切削模様を明瞭に検出する上でより好ましい。
【0100】
また、本実施形態では、識別手段21aは、受光素子16の出力値を一定時間間隔でサンプリングするサンプリング部21bと、サンプリング部21bによりサンプリングされた出力値に基づいて、投光光の被識別対象硬貨20の縁への投射開始時点から投射終了時点までにおける受光素子16による検出位置を検出する検出部21cと、検出部21cの検出した投射開始時点から投射終了時点までの間での出力値における第1所定値に対する変化度合いに基づき被識別対象硬貨20を識別する判定部21dとを具備する故、サンプリング部21bは受光素子16の出力値を一定時間間隔でサンプリングし、また、検出部21cはサンプリング部21bによりサンプリングされた出力値に基づいて、投光光の被識別対象硬貨20の縁への投射開始時点から投射終了時点までにおける受光素子16による検出位置を検出するが、このとき検出部21cの検出した投射開始時点から投射終了時点までの間での出力値における第1所定値に対する変化度合いが、被識別対象硬貨20の表面模様の窪みや切削模様に精度よく対応するので、判定部21dは変化度合いに基づいて、被識別対象硬貨20が所定の旧500円正貨であるか、その旧500円正貨の偽貨(第1偽貨または第2偽貨)であるかを高精度に識別することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態では、判定部21dは検出部21cが検出した投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値が第1所定値以下となる複数の区間を、検出部21cが検出した検出位置に基づいて求め、各区間における時間とその区間での最小出力値の積の和を算出し、その算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づいて旧500円正貨および複数の座繰り穴20aが形成された第1偽貨のいずれであるかを判定する構成であるので、旧500円正貨と第1偽貨との識別を行うことが可能となる。
【0102】
また、本実施形態では、判定部21dは、検出部21cが検出した投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の最大値が存在する位置を検出位置に基づき求め、その求められた位置を、旧500円正貨および第2偽貨のいずれであるかを判定する判定条件に用いる構成であるので、出力値の最大値が存在する位置に基づき旧500円正貨と第2偽貨とを識別することが可能となる。このとき、中央部の所定範囲内の平坦度が第2偽貨の凹状穴よりも旧500円正貨の方が低いので、出力値の最大値が存在する位置が中央部の所定範囲外のとき正貨と判定する。また、第2偽貨の凹凸状切削部20cが受光素子16による検出域であると、その出力値は当然相当大きい最大値となる故に、その最大値とVoとの間の中間値に第2所定値を設定し、第2所定値よりも大となる区間が1箇所で、かつ、その区間長さ(L)が一定値以下のとき第2偽貨を特定することが可能となる。なお、第2所定値は、最大値とVoとの間の任意の値に設定するようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、判定部21dは、検出部21cが検出した投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値が第1所定値以下となる区間を、検出部21cが検出した検出位置に基づいて求め、求められた各区間における時間とその区間での最小出力値の積の和を算出し、その算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づいて旧500円正貨および第1偽貨のいずれであるかを判定し、また、出力値の最大値が存在する位置が投射開始時点から投射終了時点までの中央部の所定範囲内にあると判定した場合、第1所定値に代えて、それより大の第2所定値を用い、それよりも大となる区間が1箇所で、かつ、その区間長さ(L)が一定値以下のとき第2偽貨と判定する構成であるので、出力値が第1所定値以下となる各区間における時間と区間最小出力値の積の和の算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づき、旧500円正貨と第1偽貨とを識別でき、更に、第2所定値よりも大となる区間が1箇所で、かつ、その区間長さ(L)が一定値e以下のとき第2偽貨を特定することが可能となる。
【0104】
また、本実施形態では、判定部21dは、検出部21cが検出した投射開始時点から投射終了時点までの間において、出力値が第1所定値以下となる区間を求め、その区間の時間とその区間での最小出力値の積を算出し、その算出値に基づき新500円正貨を特定する構成であるので、新500円正貨を特定することが可能となる。
【0105】
(旧500円正貨の受け取り率と第1偽貨の排除率との関係)
図26は、S(−)に対する旧500円正貨の受け取り率と、第1偽貨の排除率との関係を示す図である。尚、測定は光学センサより硬貨までの距離を約4mm、投射光の大きさを0.5mm×6mmとして行った。投射光の角度は、前述の説明と同じ20度に設定して行った。
【0106】
この図より理解されるように、S(−)が大きくなる程、旧500円正貨の受け取り率は良くなるが、第1偽貨の排除率は悪化し、逆にS(−)が小さくなる程、旧500円正貨の受け取り率は悪くなるが、第1偽貨の排除率が高くなる傾向にある。よって、これらのバランスを考慮して、第1所定値を決めることが好ましい。
【0107】
なお、上述した実施形態では、光学センサ9および12のそれぞれに1つのLED15と受光素子16を備える構成としているが、本発明はこれに限らず、光学センサ9および12のそれぞれに複数のLED15と同数の受光素子16を備える構成としてもよい。
【0108】
図27は、本発明の他の実施形態に係る硬貨識別装置に備わった光学センサを示す図である。
【0109】
この光学センサは、偽貨の排除率を向上する為に、図3と同じ構成の一組のLED及び受光素子を複数組、図示例では3組有する構造となっている。
【0110】
具体的には、筐体21の内部には、各組のLED15a、15b、15cと受光素子16a、16b、16cが位置決めして保持されており、その前面にはマスク22が配置されている。マスク22には、短冊状の6つのスリット22a〜22fがLED15a等と受光素子16a等に対応した位置に放射状に形成されていて、その後方にはシリンドリカルレンズがその曲率面の両薄肉部を開口の幅方向にして配置されている。このシリンドリカルレンズの後方には、3つのLED15a、15b、15cが配置されていて、LED15aから投射された光はスリット22aを透過して長方形状の光束となって被識別対象硬貨を照明し(図28の23)、その反射光が点対称位置に形成されたスリット22bを透過してその後ろに配置された受光素子16aで受光される。LED15bはスリット22dの後方に配置されていて、スリット22dを透過して長方形状の光束となって硬貨を照明し(図28の24)、その反射光が点対称位置に配置されたスリット22cを透過してその背後に配置された受光素子16bで受光される。LED15cはスリット22fの後ろに配置されていて、スリット22fによって長方形状の光束を形成し、被識別対象硬貨を図28の25で示す様に照明し、その反射光がスリット22eを透過してその背後に配置された受光素子16cで受光される。
【0111】
尚、LED15a、15b、15cは、組を構成する相手の特定受光素子16a、16b、16c以外に、被識別対象硬貨からの反射光が入射することを防ぐ為にそれぞれ異なる波長の光を投射するものを用いており、また、受光素子16a、16b、16cには組を構成する相手のLED15a、15b、15cから放射された光のみを受光する様に光学フィルターがその受光面に設けられている。
【0112】
この実施形態の硬貨識別装置による場合には、検出精度が向上するので、偽貨の排除率を大幅に向上させることが可能となる。
【0113】
また、上述した実施形態では、第1正貨が旧500円硬貨、第2正貨が新500円硬貨の場合を例に挙げているが、本発明はこの場合に限らず、第1正貨および第2正貨が他の金額の硬貨である場合にも同様に適用できることは勿論である。
【0114】
また、上述した実施形態では、S(−)の値の算出に際し、第1偽貨では第1所定値以下になる出力値が複数、例えば7箇所存在する場合を例に挙げているが、本発明はこれに限らず、第1所定値以下になる出力値が5箇所となっている旧500円硬貨よりも少ない偽貨を被識別対象硬貨として識別することができる。なお、上述した実施形態では、S(−)の値の算出に際し、積の和を算出しているが、偽貨の凹部の個数や第1正貨の表面模様によっては単に積のみを算出することもある。
【0115】
また、上述した実施形態では、搬送通路Dが被識別対象硬貨20を回転させつつ搬送する構成に形成されているが、本発明はこれに限らず、被識別対象硬貨20を回転させずに搬送させる構成とした場合にも、同様にして適用することができる。
【0116】
また、上述した実施形態では明言していないが、光像19の被識別対象硬貨20に対する大きさは、被識別対象硬貨20の直径よりも大きくても或いは小さくてもよい。
【0117】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明による場合には、受光手段が、その受光光軸を投光光軸に対してスリットの長手方向に傾けて配置されているので、受光手段は被識別対象硬貨の表面模様の窪みや切削模様を明瞭に検出することが可能となる。これに伴って受光手段が検出する光強度パターンが明確になり、しかもその光強度パターンが被識別対象硬貨の表面模様に対応しているので、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要とせず、正貨と偽貨のいずれかであることを識別することが可能となる。また、複雑な光学系や高度の画像処理技術を必要としないので、コストの低廉化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は硬貨識別装置の検出構成部の概略を示す正面図、(b)はその右側面図である。
【図2】 図1の検出構成部に設けられた光学センサ基板が取付けてある搬送通路を通路と直交する方向より眺めた図である。
【図3】 図1の検出構成部に設けられた光学センサ基板に備わった光学センサを示す斜視図である。
【図4】 図3の光学センサを示す断面図である。
【図5】 被識別対象硬貨と投光光束との位置関係を説明するための図である。
【図6】 (a)は新500円正貨の裏面の表面模様を示す図、(b)は(a)に示すB部分の断面図である。
【図7】 被識別対象硬貨を投光光束に対して水平移動させる状況を示す図である。
【図8】 被識別対象硬貨を投光光束に対して別の回転角度に維持して水平移動させる状況を示す図である。
【図9】 (a)は第1偽貨の片面側を示す正面図、(b)はその第1偽貨に形成された座繰り穴を示す断面図である。
【図10】 第2偽貨の片面側を示す正面図である。
【図11】 旧500円正貨の表面の光強度パターン(センサ出力)を示す図である。
【図12】 旧500円正貨の裏面の光強度パターン(センサ出力)を示す図である。
【図13】 新500円正貨の裏面の光強度パターン(センサ出力)を示す図である。
【図14】 新500円正貨の裏面の光強度パターン(センサ出力)の別の例を示す図である。
【図15】 第1偽貨の光強度パターン(センサ出力)を示す図である。
【図16】 第2偽貨の光強度パターン(センサ出力)を示す図である。
【図17】 投射光束が中心と一致した場合における第2偽貨と反射光の関係を示した図である。
【図18】 投射光束が中心から離れた場合における第2偽貨と反射光の関係を示した図である。
【図19】 本発明の実施形態に係る硬貨識別装置の全体回路を示すブロック図である。
【図20】 (a)および(b)は貫通孔無しの硬貨に関するセンサ出力例を示し、(c)および(d)は貫通孔有りの硬貨に関するセンサ出力例を示す。
【図21】 本発明の実施形態に係る硬貨識別装置の全体動作を示すフローチャートである。
【図22】 本発明の実施形態に係る硬貨識別装置が行う識別演算の内容を示すフローチャートである。
【図23】 本発明の実施形態に係る硬貨識別装置が行う識別演算の内容を示すフローチャートである(図22の続き)。
【図24】 本発明の実施形態に係る硬貨識別装置が行う識別演算の内容を示すフローチャートである(図22の続き)。
【図25】 本発明の実施形態に係る硬貨識別装置が行う識別演算の内容を示すフローチャートである(図22の続き)。
【図26】 旧500円正貨の受取率と偽貨の排除率との関係の一例を示すグラフである。
【図27】 本発明の他の実施形態に係る硬貨識別装置に備わった光学センサを示す図である。
【図28】 図27の光学センサにおける投光光束と硬貨との位置関係を示す図である。
【符号の説明】
D 搬送通路
2 搬送部材
3 光学センサ基板
4 第1の磁気センサ基板
5 第2の磁気センサ基板
9 光学センサ
11 第2の光学センサ基板
12 反射型光学センサ
14 受光素子
15、15a、15b、15c LED(投光手段)
16、16a、16b、16c 受光素子(受光手段)
17 円柱レンズ
17a テーパ部
18 マスク
18a スリット
19 光像
20 被識別対象硬貨
20a 座繰り穴(凹部)
20c 凹凸状切削部
21 CPU
21a 識別手段
21b サンプリング部
21c 検出部
21d 判定部
22 マスク
22a、22b、22c、22d、22e、22f スリット

Claims (5)

  1. 被識別対象硬貨を搬送させるための搬送通路と、
    該搬送通路に対してほぼ直交する方向の光軸を有する光を投光する投光手段と、
    該投光手段と該搬送通路との間に配設され、一定方向に長い光束を形成させるスリットと、
    投光光軸に対して該スリットの長手方向に傾いた受光光軸を有し、該スリットを経た搬送通路からの反射光を受光する受光手段と、
    該受光手段により出力される光強度パターンが上記被識別対象硬貨の表面模様に対応することを利用して、該光強度パターンに基づき該被識別対象硬貨を識別する識別手段とを具備し、
    前記投光手段、前記スリットおよび前記受光手段は、前記搬送通路を挟んで両側にそれぞれ設けられ、前記識別手段は、硬貨識別に用いられる前記被識別対象硬貨の表裏面の表面模様のいずれか一方を特定し、その特定した表面模様に対応する光強度パターンに基づいて該被識別対象硬貨を識別するものであって、前記受光手段の出力値を一定時間間隔でサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリング手段によりサンプリングされた該出力値に基づいて、前記光の上記被識別対象硬貨の縁への投射開始時点から投射終了時点までにおける受光手段による検出位置を検出する検出手段と、該検出手段の検出した投射開始時から投射終了時点までの間での該出力値における第1所定値に対する変化度合いに基づき前記被識別対象硬貨を識別する判定手段とを具備し、
    前記被識別対象硬貨が、所定重量の正貨と、該正貨の重量にほぼ一致させるべく複数の凹部が形成された第1偽貨と、該正貨の重量にほぼ一致させるべく少なくとも同心円状の凹凸状に切削された切削部が形成された第2偽貨とである場合に、
    前記判定手段は、前記検出手段が検出した投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値が前記第1所定値以下となる1または2以上の区間を、前記検出手段が検出した前記検出位置に基づいて求め、求められた各区間における時間とその区間での最小出力値の積または積の和を算出し、その算出値および投射開始時点から投射終了時点までの間における出力値の総和に基づいて上記正貨および第1偽貨のいずれであるかを判定し、また、出力値の最大値が存在する位置が投射開始時点から投射終了時点までの中央部の所定範囲内にあると判定した場合、第1所定値に代えて、それより大の第2所定値を用い、それよりも大となる区間が1箇所で、かつ、その区間長さ(L)が一定値以下のとき第2偽貨と判定することを特徴とする硬貨識別装置。
  2. 前記搬送通路を挟んで両側にそれぞれ設けられた前記投光手段および前記受光手段が2組以上備わっていることを特徴とする請求項に記載の硬貨識別装置。
  3. 前記判定手段は、前記積または積の和の算出に下式を用い、その算出値S(−)が第3所定値よりも小のときに正貨と判定し、そうでないときに第1偽貨と判定することを特徴とする請求項またはに記載の硬貨識別装置。
    Figure 0004221171
    但し、m:投射開始時点から投射終了時点までの間において第1所定値以下と
    なる区間の個数を最大値とする1からn(正の整数)までの数値
    tm:1からn番目までの区間の時間
    vm:1からn番目までの区間の最小出力値
    Tt:投射開始時点から投射終了時点までの間における時間
  4. 前記投射開始時点から投射終了時点までの中央部に第1所定値以下となる区間を有し、該区間の時間が正貨および第1偽貨の時間よりも長い第2正貨が、更に前記被識別対象硬貨に含まれ、
    前記判定手段は、前記検出手段が検出した投射開始時点から投射終了時点までの間において、前記出力値が上記第1所定値以下となる区間を求め、その区間の時間とその区間での最小出力値の積を算出し、その算出値に基づき第2正貨を特定することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の硬貨識別装置。
  5. 前記判定手段は、前記積の算出に下式を用い、その算出値S(−)′を、投射開始時点から投射終了時点までの全期間において第1所定値以下となる全区間の時間と各区間での最小出力値と同じく下式とを用いて算出された値の合計値で除した値が、第4所定値以上のときに正貨と判定し、そうでないときに第1偽貨と判定することを特徴とする請求項に記載の硬貨識別装置。
    S(−)′ =t×v
    但し、t:区間の時間
    v:区間の最小出力値
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