JP2006266504A - 転がり軸受用保持器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポケット加工精度が良く且つ一体型の保持器に好適な転がり軸受用保持器を提供する。
【解決手段】公転方向に並ぶ複数の柱2と、当該複数の柱2の軸方向端部を連結するリング状の側板3とを備え、上記柱2及び側板3の側面にポケット面1が形成されると共に上記柱2と側板3の接合部にポケットの逃げ部1cが形成された、ころ軸受用の保持器である。上記柱3のポケット面1における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、上記逃げ部1cにおける側板3の最小板幅は、半径方向に沿って均一に形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、一般産業機械をはじめ鉄鋼機械、建設機械、鉄道車両等に使用される転がり軸受、特にころ軸受に組み込まれる保持器に関する。
一般産業機械等で使用される転がり軸受に組み込まれ且つ精度の高い保持器としてはもみ抜き保持器があり、ころ軸受用のもみ抜き保持器としては、金属製の分割型タイプが一般的である。この分割型のもみ抜き保持器は、図14に示すように、公転方向に並ぶ複数の柱50及び一方の側板51からなるポケット形成部品52と、他方の側板を構成するフランジ部品53との2部品52,53から構成され、分割された状態で、ポケット形成部品52について保持器軸方向Xからポケット55の仕上げ加工が施されて、保持器公転方向Yを向く面50a(柱50のポケット面)が任意の断面形状に成形される。
また、一体型のもみ抜き保持器にあっては、従来、ポケットの断面形状は保持器半径方向Zに向けてストレート形状のものが一般的である。たとえば、玉軸受用の一体型保持器では、図15に示す断面図のように、ポケット55が円柱形状となっている。
なお、プラスチック保持器においては、射出成形で製造されることから、一体型の保持器であっても、種々の形状のポケット断面形状を形成することが可能となっている。
特開平11−218135号公報
上記分離型のもみ抜き保持器にあっては、通常、ポケット55の仕上げ加工は、工具の主軸を保持器軸方向Xに向けた状態でフライスなどの加工部をポケットの下穴に挿入した後、その挿入した加工部を保持器軸方向Xに対し垂直な方向に平行移動しながら切削加工することで行われる。このため、保持器本体の内外径面とポケット55との交差部分に必ずバリが発生することから、後工程でそのバリを除去する工程が必要となる。
また、上記ポケット55の仕上げ加工の後に、分離されていたポケット形成部品52とフランジ部品53とを固定するためのカシメ工程が必要となる。このとき、フランジ部品53をポケット形成部品52の柱50にリベット接合する必要があるが、締結固定のためのリベット54やボス等には、軸受仕様に伴い必然的に許容される大きさが限定される。このようなことにより、保持器の柱等の強度に制限が生じることもある。
また、ころ軸受の保持器を考えた場合、ミーリング加工およびブローチ加工で上記ポケット55の仕上げ加工を行う場合には、切削加工用の工具の主軸(回転軸)を保持器軸方向Xに向けた状態で切削加工を行う関係から、ポケット55における四隅の角アールは、一般に転動体端面の角アールよりも必然的に小さく成形されてしまう。この結果、従来にあっては、軸受使用時における転動体からの上記ポケットの四隅部分への応力集中が大きくなり、保持器の精度や寿命の点から問題となる。
また、上記仕上げ加工法は、一体型の保持器には採用できない。
一方、上記一体型のもみ抜き保持器では、上述のように、ポケット55の保持器半径方向Zに沿った断面形状はストレート形状のものが一般的であるため、保持器の案内方式が必然的に軌道輪案内タイプに限定されることが多い。この一体型のもみ抜き保持器を、転動体案内タイプとするには、ポケット55の仕上げ加工後に更に加工工程を追加して、転動体に規制案内されるためのばれ止め部(引っ掛かり部)をポケット55に設ける加工等の処置が必要とされる。
なお、プラスチック保持器においては、保持器材料(樹脂)等から生じる強度問題や温度問題等の面から、軸受として使用される環境仕様が限定されることが多く、より広範囲な使用条件に耐えられる一体型の保持器が望まれている。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、ポケット加工精度が良く、且つ一体型の保持器に好適な転がり軸受用保持器を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、公転方向に並ぶ複数の柱と、当該複数の柱の軸方向端部を連結するリング状の側板とを備え、上記柱及び側板の側面にポケット面が形成されると共に上記柱と側板の接合部にポケットの逃げ部が形成された、ころ軸受用の保持器であって、
上記柱のポケット面における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、上記逃げ部における側板の最小板幅は、半径方向に沿って均一に形成されていることを特徴とする転がり軸受用保持器を提供するものである。
次に、請求項2に記載した発明は、公転方向に並ぶ複数の柱と、当該複数の柱の軸方向端部を連結するリング状の側板とを備え、柱及び側板の側面にポケット面が形成されると共に上記柱と側板の接合部にポケットの逃げ部が形成された、ころ軸受用の保持器であって、
上記柱のポケット面における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、保持器半径方向端部における公転方向のポケット幅がころ径よりも僅かに小さくなって柱の保持器半径方向端部にころのばれ止め部が形成され、そのばれ止め部の軸方向端部は上記逃げ部によって側板と切り離され、当該ばれ止め部の軸方向長さが、ころ有効長さ以下となっていることを特徴とする転がり軸受用保持器を提供するものである。
次に、請求項3に記載した発明は、公転方向に並ぶ複数の柱と、当該複数の柱の軸方向端部を連結するリング状の側板とを備え、柱及び側板の側面にポケット面が形成されると共に上記柱と側板の接合部にポケットの逃げ部が形成された、ころ軸受用の保持器であって、
上記柱のポケット面における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、保持器半径方向端部における公転方向のポケット幅がころ径よりも僅かに小さくなって柱の保持器半径方向端部にころのばれ止め部が形成され、そのばれ止め部の柱側面での保持器半径方向の断面形状は、上記柱ポケット面の円弧形状に滑らかに接続されると共に、ポケット側に凸の曲率半径を有する曲線形状となっていることを特徴とする転がり軸受用保持器を提供するものである。
ここで、上記保持器のポケットの成形は、例えば、転動体が収容されるポケットについて仕上げ加工する際に、加工部の輪郭形状が成形後の保持器半径方向に沿ったポケット断面形状となっている工具を用意し、当該工具の加工部を、予め設けたポケット用下穴に保持器半径方向から挿入して、保持器の軸方向及び公転方向に平行移動することで上記ポケットを成形する。
このとき、上記工具は、公転方向を向くポケット面を仕上げ加工する第1の工具と、軸方向を向くポケット面及び逃げ部を仕上げ加工する第2の工具とから構成しても良い。
また、玉軸受用の保持器のポケットの成形では、例えば転動体が収容されるポケットについて仕上げ加工する際に、加工部の輪郭形状が成形後の保持器半径方向に沿ったポケット断面形状となっている工具を用意し、当該工具の加工部を、予め設けたポケット用下穴に保持器半径方向から挿入して、ポケット中心を中心とする円に沿って移動することで上記ポケットを成形する。
ここで、上記工具の加工部とは、ブローチやフライスなどの切削加工における刃部や放電加工などの特殊加工の工具における電極部などである。
また、加工部の輪郭形状は、通常は、主軸(回転軸など)に沿った先端形状である。ただし、その輪郭形状の基準となる軸は、ポケット用下穴に挿入した加工部の主軸を保持器半径方向に向けた状態で加工する場合には、主軸が基準となるが、ポケット用下穴に挿入した加工部の主軸を保持器半径方向から所定角度傾けた状態で加工する場合には、その傾いた軸が基準となる。
この成形方法によれば、あらかじめ設定した任意の保持器ポケットの設計形状(仕上がり形状)と同じ輪郭を持つ刃部や電極等の加工部を、保持器の軸方向および公転方向に平行移動することで切削などを施してポケット面の仕上げ加工を行うので、一体型の保持器であっても、ポケット断面形状に制限が発生せず、任意の形状にポケット面を成形可能になる。
また、玉軸受用の保持器であっても、加工部を、ポケット中心を中心とした円に沿って移動することによって切削などを施してポケット面の仕上げ加工を行うので、一体型の保持器であっても、ポケット断面形状に制限が発生せず、任意の形状にポケット面を成形可能になる。
従って、従来のような一体型のもみ抜き保持器等であってもポケット断面形状がストレート形状に限定されることも無く、したがって、本発明の保持器を組み込んだ転がり軸受の保持器案内形式についても軌道輪案内タイプに限定されることもない。
また、加工部の輪郭形状を変更することでポケット断面形状に任意の曲率を持たせることができることから、ポケットに収容された転動体と保持器との接触応力を緩和したり潤滑条件を改善したり適切なポケット形状に成形することが可能となる。
このとき、上記ポケットの仕上げ加工を行う工具で、ポケットの四隅の角アールの加工を行うことで、当該角アールの曲率半径をポケットに収容するころ端面の角アールよりも大きな曲率半径に設定可能となり、ころ軸受用保持器の場合に軸受使用時における当該角アール部分での応力集中を緩和させることも可能となる。
さらに、上記工具の加工部の輪郭の一部を、転動体のばれ止め用(引っ掛かり部)や各部のエッジ部加工用の形状とすることで、ポケット面の仕上げ加工と同時にばれ止め部やエッジ部が同時に形成可能となると共に、仕上げ加工によるバリ発生を防止可能となる。
また、2つの工具でポケットを仕上げ加工できる構造とし、結果として安価に加工できる。なお、ころ軸受用の保持器にあっては、柱に形成するポケット面及び側板に形成するポケット面の保持器半径方向に沿った各断面形状は異なる。
そして、請求項1によれば、柱に形成されるポケット面の少なくとも一部が保持器半径方向に沿って円弧形状となっていても、逃げ部における側板の最小板幅をできるだけ大きく設定出来ることから側板の強度上有利な構造となる。
このとき、上述の成形方法を採用し、第2の工具の加工部の輪郭形状がストレート形状のものを使用した場合には、当該加工部の主軸が半径方向に向けた状態で安価に加工出来るようになる。
側板の接合部及びその近傍では、転動体と接触するポケット面形状は、保持器半径方向では、保持器外径側及び/又は内径側で狭くなり、且つ保持器半径方向略中央部で一番広くつまり側板の板幅が小さくなっている。したがって、加工部の輪郭形状がストレートの第2の工具を所定の傾きで切り込んで逃げ部を形成する、つまり、ストレートの切り込みを傾きをつけるなどして、ポケットの半径方向中央部で少し切り込みを付けるように逃げ部を形成すれば良いこととなる。このように、半径方向に沿った最小板幅を一定とすることで、逃げ部における側板の最小板幅が大きく設定可能となる。
また、請求項2に記載した発明は、ころを保持器に挿入する時に、保持器の柱の軸方向端部つまり側板の近傍を大きく変形させなくても、ポケット内にころが挿入出来るように、ばれ止め部の軸方向長さを一定の寸法以下として、ポケットに容易にころの挿入が可能になるようにした保持器を提供するものである。
従来は、前記特許文献1(特開平11−218135号公報)に見られるように、ころをポケットに挿入する時にはころ軸方向に均一に押圧されるようにばれ止め部を設け、当該ばれ止め部の軸方向端部は側板に連結していた。このため、従来構造では側板近傍の柱部分が変形しないところが挿入出来ないため、同じ引っ掛かり代(ころ径から、保持器半径方向両端部でのポケット幅を引いた値)でも大きな挿入荷重が必要となる。この結果としてころの面圧が高くなって、ころの損傷が発生し易い構造であった。
これに対し、請求項2に記載の発明は、ばれ止め部の軸方向両端部は、逃げ部によって側板から切り離されて軸方向長さがころ有効長以下であるので、側板近傍の柱部分をさほど変形させることなく、ころをポケットに挿入可能となっている。
また、請求項3によれば、ころをポケットに挿入する時にころと柱の側面との接触がエッジ当りとならないようにして、ころの表面が損傷されないようにした保持器が提供される。
従来構造では、特許文献1に開示されているように、柱ポケット面の円弧に接続して平面部を設けていたので、ころを挿入する際、ころが円弧を形成する面と平面部との境目を通過する時に、エッジロードによる大きな面圧がころに発生し、もってころの損傷が発生し易く、また、ころ挿入時にバリ等が生じ易い構造であった。本発明によれば、これが回避される。
次に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、NU218の円筒ころ軸受用ころ案内もみ抜き一体型保持器を例に挙げて説明する。図1は、ポケット1の成形が完了した状態での保持器を示す斜視図である。
なお、本実施形態ではポケット1の仕上げ形状の例として、保持器公転方向Yを向く面1a(柱2の側面に形成される面)が、図2に示すように、半径方向Zに沿って所定の曲率を持った円弧形状に、保持器軸方向Xを向く面1b(側板3の側面に形成される面)が半径方向Zに沿ってストレート形状の場合を例に挙げて説明する。
本実施形態におけるポケット1の仕上げ加工を行う工具の加工部はシャンク4に取り付けられたフライス5から構成される(図2参照)。
そして、ポケット1における保持器公転方向Yを向くポケット面1aを成形する工具7のフライス5の輪郭形状6は、回転軸方向Xに沿った刃先の形状が、図2に示すように所定の曲率を持った円弧形状に設定され、仕上げ後のポケット断面形状1aと同じ円弧形状に設定されている。この工具を第1の工具7と呼ぶ。
また、ポケットにおける保持器軸方向Xを向くポケット面1bを成形する工具のフライスの輪郭形状は、図示しないが、回転軸に沿った刃先の形状がストレート形状となってつまり円柱状の形状となって、仕上げ後の保持半径方向Zに沿ったポケット断面形状と同じ輪郭形状に設定されている。この工具を第2の工具8と呼ぶ。
そして、保持器半径方向Zから見た図である図3に示すように、予め設けたポケット用の下穴に、上記各工具7,8の加工部であるフライス5,8aを順次、保持器半径方向Z(本実施例では外径側)から挿入し、その状態で保持器軸方向Xおよび公転方向Yに軸回転された状態で平行移動してポケット1を目的とする断面形状に切削加工して成形する。
すなわち、第1の工具7を使用した仕上げ加工では、図3に示すように、保持器半径方向Zからフライス5を挿入し、回転軸Pを保持器半径方向Zに向けた状態を保持させ且つ軸回転させた状態で、保持器公転方向Yを向く面1aの一端部に当てそのまま保持器軸方向Xに直線状に平行移動させるだけで、当該公転方向Yを向くポケット面1aを切削加工する。これを2つの面について行うことで、フライス5の輪郭形状6と同じ断面形状につまり設計した任意の断面形状に柱2のポケット面が成形される。
同様に、第2の工具7のフライス8aを下穴に挿入し、回転軸を保持器半径方向Zに向けた状態を保持させ且つ軸回転させて、保持器軸方向Xを向く面1bの一端に当てそのまま保持器公転方向Yに直線状に平行移動させるだけで、当該保持
器軸方向Xを向くポケット面1bつまり側板3のポケット面がストレート形状に切削加工される。
上記第2の工具8による保持器軸方向Xを向くポケット面1bの切削加工と一緒に、第2の工具8のフライス8aを四隅の各角部に向けて平行移動することで、四隅の逃げ部1cが切削加工される。これにより、この四隅の角アールの曲率半径は、フライスの回転半径以上となる。
このように第2の工具8の回転軸に沿った刃先の形状を円柱状として平行移動することでポケット1の4隅を切削加工して逃げ部1cを形成すれば、逃げ部1cにおける側板部分では、最小の板幅t(図3参照)が半径方向で均一な値になって、ポケット面1bからの逃げ寸法の最大値を最小にすることが出来る。したがって、保持器側板の強度の観点からは最良の設計である。
また、第1の工具7だけでなく、第2の工具8も平行移動して加工するので、安価に加工出来る。また、ポケット1の仕上げ加工を2つの工具7,8だけで行っているので、結果として安価に加工できる。
また、本実施形態では、図4に示すように、保持器半径方向Zの端部における公転方向のポケット幅がころ径よりも僅かに小さく設定されることで、柱2の保持器半径方向端部に、ころのばれ止め部1dが形成されている。但し、そのばれ止め部1dの軸方向両端部は、上記逃げ部1cによって側板3と切り離され、そのばれ止め部1dの軸方向長さdは、ころ有効長さe以下となっている。なお、ころ有効長さeは、ころ全長fから両端の面取り長さを引き算した長さであり、柱のポケット面1aに接触する軸方向長さである。
ここで、従来にあっては、特開平11−218135号に記載されているように、ころ有効長さ全長に渡ってばれ止め部を設け当該ばれ止め部の軸方向端部が側板に連結し、ばれ止め部でころが軸方向で均等に押圧されながらポケットに挿入されるようにしてころの損傷を防止することを狙っていた。しかし、実際には狙いとは異なり、ころをポケットに挿入する時の柱の変形曲線により、柱の軸方向中央付近の変形よりも柱の付け根付近(側板付近)の変形が小さくなるため、柱の軸方向両端部側(側板近傍)で上記ころの面圧が極端に高くなってしまい、ころの損傷が発生し易い構造であった。
このことは簡単な計算によっても確かめられる。すなわち、断面2次モーメントがI、保持器材料の縦弾性係数がEである保持器の柱の軸方向両端部が自由支点で支持されていると仮定し、ばれ止め部1dに半径方向から均一な面圧pを負荷した時に、例えば、ばれ止め部の軸方向長さが図5(a)のように柱の全長Lの0.6倍の場合と図5(c)のように0.9倍の場合のばれ止め部の端の位置における柱の変形を求めると、図5(b)及び(d)に示されるように、それぞれ0.0062pL4 /EI、0.0020pL4 /EIである。即ち、図5に示されるように、同じ面圧を与えてもばれ止め部の軸方向長さが長いほど、ばれ止め部の端の位置における柱の変形は小さいことを示している。上記の計算は柱の付け根が自由支点で、面圧が軸方向に均一であると仮定したので厳密には現実のモデルとは異なるが、厳密に計算した結果によってもばれ止め部の軸方向長さが長い程ばれ止め部の端における変形が小さくなる傾向は変わらない。ころをポケットに挿入する時にはマクロ的に引っ掛かり代の変形を柱に与えることになるので、上記の計算結果を言い換えると、同じ引っ掛かり代を与えた時にはばれ止め部の軸方向長さが長い程、面圧が高くなってしまう。
しかも、現実の加工には許容差が必要なので、当然引っ掛かり代はばらつく。引っ掛かり代の最小値でころ10がばれないように設計し、また、引っ掛かり代の最大値で保持器ポケット1ヘの挿入時にころ10が損傷しないように設計しなければならないが、ばれ止め部1dの軸方向長さが長いほど引っ掛かり代の許容差の幅が狭くなって、ころ10が損傷しないようにすることが困難となる。
そこで、本実施形態では、柱2の軸方向端部に位置する逃げ部1cの軸方向長さを相対的に長くして、ばれ止め部1dの長さdを、最大でもころ有効長さe以下とし、ころ10の挿入時に大きな面圧が発生しない構造にしたものである。
しかも、逃げ部1cによってばれ止め部1dの軸方向両端部が側板3に連結していないので、ころ挿入時におけるばれ止め部1dの軸方向両端部での変形が小さくなることも抑えられる。
一方、性能面からは、回転中のころ転動面には均一な潤滑膜が生成されることが、ころ回転姿勢を安定させ(スキュー抑制)騒音等に有効であることが分かっている。そのため、転動面軸方向で油膜形成を一定にするためにはばれ止め部1dの長さdを出来るだけ長く取ることが望ましい。
したがって、ころ挿入時にころ10が損傷する可能性を低く抑えつつ且つ回転性能を落とさないばれ止め部1dの軸方向長さは、上記ころ有効長さe以下で、好ましくはころ有効長さeの0.75倍以上である。ころ有効長さeの0.75倍以下の長さにすると、保持器ところをアッセンブリ−した保持器付ころを軌道輪に組込む時にころが傾いて組込み難くなる。また、性能(騒音等)低下の原因につながる。
このように、回転性能の低下を抑制し、また、ころ挿入時にころに大きな面圧が発生することを防ぎ、ころの損傷も防止する。
以上のような加工を全てのポケット用下穴に繰り返すことで、保持器のポケット1が目的の形状に成形される。
このように、一体型の保持器であっても、フライス5,8aの輪郭形状を適宜変更することでポケット断面形状を任意に設定できるようになる。
また、ポケット面の加工についても、各ポケット面1a、1bについて、保持器公転方向Yや保持器軸方向Xに沿って対応する工具を直線状に平行移動して切削加工を行うだけで目的とする断面形状に成形できるなど、その加工精度についても、機械の持つ加工精度(位置決め精度など)および円周割り出し精度に依存出来ることから、保持器各部の加工後の精度が高く設定される。
また、工具7,8の加工部の輪郭を変更することで、ポケット断面形状に任意の曲率を持たせることができるため、本保持器を組み付けた転がり軸受では、ポケット1に収容したころ10と保持器との接触応力も緩和出来るとともに、潤滑条件も改善することも可能となる。
このとき、ポケット1の四隅の角アールの曲率半径も転動体端面の角アールよりも大きく設定されて、軸受使用時における応力集中が緩和させて保持器精度の経時的な劣化防止や寿命向上に繋がる。
ここで、第2の工具8で上記角アールの切削加工を施す場合で説明しているが、図6に示すように、第1の工具7で四隅の逃げ部1cの加工を実施しても良いし、第3の工具を用意して切削しても良い。さらに、第1の工具7によって、保持器軸方向Xを向く面1bを切削加工して、第2の工具8を不要としても良い。
また、図2では詳細図示していないが、ポケット1の保持器半径方向Zの両端角部、つまり保持器本体の内外径面とポケット1との交差する角部分と対向する位置にある加工部について、当該角部を切削してバリ取り用のC面取り(45度面取り)が形成されるように加工部の輪郭形状を構成すると、ポケット面の仕上げ加工と同時に、保持器本体の内外径面とポケット1との交差部におけるバリ発生が防止できる。また、当然バリ取り用ではなく、潤滑性向上のために任意のR形状にしても良い。
例えば第1の工具7のフライス5の輪郭形状6を図7に示す形状にして、仕上げ後のポケット面1aの断面形状に、ころ10と接触する円弧面と、円弧面に続くばれ止め部1dの柱側面側の面とを加工する。円弧面の断面形状は、ころ10の半径よりも0.05〜0.25mm大きい曲率半径R1を持った円弧形状とし、その円弧の両端部にばれ防止部1dの面を滑らかに接続する。上記ばれ止め部1dの面の断面形状は、曲率半径の中心が上記円弧とは反対の柱2側にあり、つまりポケット1側に凸の曲線形状とし、ばれ止め部1dを、ころ径の10〜100倍程度の大きさ曲率半径R2を持った面と、柱2と外径面および内径面との境に形成されるR面取り部とで形成する。R面取り部の断面形状は、例えば外径面側では、ころ径の2〜5%程度の曲率半径R3eを持った(外周面側)円弧曲線とし、内径面側では、0.1〜0.8mm程度の曲率半径R3i(またはC面取り)を持った円弧曲線とすれば良い。
このように設定すると、潤滑性の向上だけでなく、曲率半径R1の曲線と曲率半径R2の曲線との交点が滑らかに接続しているので、ころ10をポケット1に挿入する時にころ10と柱2の側面との接触がエッジ当りとならず、ころ10の表面が損傷することが抑えられる。
ここで、曲率半径R2の曲線の中心を柱側つまりポケット1側に凸形状にしたのは、ころ10をポケット1に挿入する入口側(本実施例では内径側)のポケット幅を大きくすることで、ころ10の挿入を容易にし、同時にバリ等を生じ難くするためである。
なお、ころ10の挿入時にころ10が損傷することがなく、しかも運転時にころ10がばれることのない最適の引っ掛かり代は、ころ径(直径)の0.001〜0.008倍程度の値である。ころ径の0.001倍以下だと、加工許容値のばらつき等でころ10がばれてしまう恐れがあり、ころ径の0.008倍以上だところ10をポケット1に挿入する時にころ10に大きな面圧が発生してころ10に損傷が発生し易くなる。
本実施例では、内径側からころ10を挿入するタイプ(NUタイプ)で述べているが、逆に外径側から挿入するタイプ(Nタイプ)でも有効であることは言うまでもない。
以上のように、本発明に基づき成形された保持器にあっては、任意のポケット断面形状を有することが出来ると共にころ軸受にあっては角部での応力集中の緩和も図れるため、保持器の広範囲な設計が可能な一体型保持器を提供することができる。したがって、従来から望まれていた強度問題、使用環境問題等を解決することが出来る。
なお、本実施形態では、黄銅製のもみ抜き保持器の一体型ころ案内保持器を例に説明しているが製作しているが、当然に、プラスチック保持器やプレス保持器等、保持器材質や保持器形状にとらわれることはなく、本発明に基づく加工によるポケットの仕上げ加工は可能である。つまり、本発明はもみ抜き保持器に限定されるものではない。また、一体型の保持器に限定されず分離型の保持器であっても良い。
また、保持器公転方向Yを向いた各ポケット断面形状についても、本実施形態にとらわれることはなく、ストレート形状や凸形状および多断面形状でもよい。当然に、ポケット軸方向X幅を決める保持器軸方向Xを向く側板3に形成されるポケット面の形状についても本実施形態にとらわれることはなく、凸形状、凹形状および多断面形状としてもよい。
また、上記実施形態では、仕上げ加工を切削加工で行う場合で説明しているが、放電加工などの特殊加工であっても良い。この場合には、電極部の輪郭を成形後のポケット断面形状となるように設定すればよい。
また、加工部5の軸(回転軸)は必ずしも保持器半径方向Zに一致させた状態で切削加工などの仕上げ加工を行う必要はなく、保持器半径方向Zから所定角度だけ傾けた状態に保持して保持器公転方向Yなどに平行移動して仕上げ加工を施して良い。
これは、ポケット断面形状によっては工具直径を大きくとらざる得ない場合が生じ、加工部の軸(回転軸)を保持器半径方向Zに一致させた状態で加工すると工具径が大きいため四隅の逃げ部が必要以上に大きくなってしまうおそれがある。このため、ころ10と接触する軸方向長さが、ころの有効長さの0.75以上の確保が困難となる。
これに対して、加工部の軸を所定角度だけ傾けて加工する場合には、ポケット断面内において許容される範囲内で工具径を小さくすることが可能であり上記の問題に対して有効に作用する。
ここで、仕上げ加工前のポケット用下穴の加工について規定していないが、ドリル加工などでも良く、また、例えば前工程で、鋳造による概略成形を行って下穴を設けても良い。上記仕上げ加工での加工代を大幅に低減し仕上げ加工時間の短縮を図ったり、四隅の逃げ部1cをあらかじめ例えば鋳造時に成形しておくことによって同様に仕上げ加工時間の短縮を図るなど、下穴を設ける工程及びその内容は、コスト等を考慮して決定すればよい。
なお、本実施では単列タイプの軸受で確認しているが、当然、複列タイプの軸受にも対応可能な保持器であることは言うまでもない。
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。
本実施形態は、玉軸受用保持器の例である。すなわち、本実施形態は、アンギュラ玉軸受用ころ案内もみ抜き一体型保持器を例に挙げて説明する。図9は、ポケット1の成形が完了した状態での保持器を示す概略斜視図であり、図10はその断面図である。
なお、本実施形態の保持器は、材質が高力黄銅であり、例えば、寸法は、外径φ130mm、内径φ120mm、幅約21mmで、ポケットは転動体である寸法(直径約=φ12mm)の玉が収容可能な大きさとなっている。
本実施形態におけるポケット1の仕上げ加工を行う工具の加工部はシャンク4に取り付けられたフライス5から構成される(図11参照)。そのフライス5の輪郭形状6は、回転軸方向Xに沿った刃先の形状が、図11に示すように、あらかじめ設計したポケット断面形状と同じ形状である、所定の一定曲率を持った円弧形状に設定され、仕上げ後のポケット断面形状1aと同じ円弧形状に設定されている。
そして、保持器半径方向Zから見た図である図12に示すように、予め加工して設けた下穴11に、上記工具の加工部であるフライス5を保持器半径方向Z(本実施例では外径側)から挿入し、その状態で軸直方向移動した後に、軸回転させた状態でポケット中心Dを中心とした円に沿って移動させることで、ポケット1を目的とする断面形状に切削して形成する。
これを各ポケットの加工を繰り返すことによって、全ポケットが加工できる。しかも、ポケットの各部精度も、機械の持つ加工精度および円周割り出し精度に依存出来るため保持器各部精度の保証が可能になる。
ここで、本実施形態にあっては、図11に詳細図示されているように、フライス5の刃部には、保持器本体の内・外径部とポケット内・外径部の交差する部分(図11中、6a部分)にバリ取り様の円弧状の面取りが形成されて、同時にバリ発生を防いでいる。
なお、従来タイプのものについては、図15に示す断面のように、一体型ではあるが、ポケットの断面形状はストレート(円柱形)タイプのものが標準である。このため、本実施形態のように、ポケットの面を球面形状に形成すると、従来のストレート形状に比べ潤滑性の向上が期持できると同時に、ポケット1内での玉と保持器との面圧が小さくなり保持器摩耗が抑制される。
なお、本実施形態では、玉が挿入される部分は玉径よりわずかに狭く加工してあるため、保持器と玉が分離しないようになっている。
また、本願発明に基づく本実施形態を採用すると、軌道輪案内方式も任意に得られることを確認した。
また、本実施例では単一円弧によるポケットの断面形状としたが当然、いかなる形状にも対応可能であることは言うまでもない。
以上のように、本実施形態にあっては、玉が収容されるポケット1において、保持器の公転方向Yと平行な断面に対し半径方向Zに垂直もしくはある傾きを有する軸に取り付けられ、あらかじめ任意の保持器ポケット設計形状を持つ刃部(または電極等)を、ポケット中心を中心とする円に沿って移動させて加工を行うだけでポケットを形成出来るため、ポケット形状そのものによる制限もなく、任意の形状が可能になる。従って、従来のように一体型の保持器のポケット1の断面形状がストレ−トに限定されることも無く、ストレート形状や凸形状および多断面形状でもよい。保持器案内形式についても限定されることもない。
また、ポケットの断面形状が所望の曲率を有する形状とできることで、ポケット内の玉と保持器との接触応力も緩和出来るとともに、潤滑条件も改善される。
さらに、転動体のばれ止め用(引っ掛かり部)および各部のエッジ部加工を同時に形成し、加工によるバリ発生をなくすことが出来る。
このように、本加工法による保持器によれば、任意のポケット形状を有することが出来るため、保持器の広範囲な設計が可能な一体型保持器を提供することができ、従来から望まれていた強度問題、使用環境問題等を解決することが出来る。
なお、本実施例では、黄銅製のもみ抜き保持器を例示しているが、これに限定される訳ではなく、フェノール樹脂保持器の一体型ころ案内保持器、プラスチック保持器、プレス保持器など、保持器材質の保持器形状にとらわれることはなく、本発明の範囲内では変更可能であることは言うまでもない。
さらに、本実施例ではポケット前工程について規定していないが、例えば前工程で、鋳造による概略成形を行い、本実施例のようにミーリング加工代を大幅に低減し、加工時間の短縮が得られるので、前工程における成形は、コストの絡みで考慮すればよい。
次に、第3実施形態について説明する。なお、上記各実施形態と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。
本実施形態は、6330の玉軸受用ころ案内もみ抜き一体型保持器であって、冠型タイプの保持器を例に挙げて説明する。図13は、そのポケット1の成形が完了した状態での保持器を示す概略斜視図である。
なお、本実施形態の保持器は、材質がフェノール樹脂であり、例えば、寸法は外径φ258mm、内径φ220mm、幅約33mmで、ポケット1は転動体である直径約φ48mmの玉を収容可能な寸法となっている。
加工概要は、上記第2実施形態(アンギュラ玉軸受)と概ね同じであり、あらかじめ設計したポケット1の断面形状と同じ形状に成形したフライスを、保持器半径方向(本実施例では外径側)から、あらかじめ加工した下穴に挿入し、その状態でポケット中心を中心とした円に沿って移動させ、その後軸方向片側に抜けることによって、ポケットを任意の断面形状に加工形成したものである。
なお、従来タイプのものについては、ここでは図示しないがいずれも別体(二体をリベットで締結)タイプであり、また、ポケット形状はストレート(円柱形状若しくは円すい形状)タイプのものが標準である。
このようなポケットの加工を全てのポケット用下穴に対して繰り返すことによって全ポケットが加工できる。しかも、ポケット各部の精度も機械の持つ加工精度および円周割り出し精度に依存出来るため保持器各部精度の保証が可能になる。
なお、本実施形態の保持器にあっては、軌道輪案内方式も任意に得られることも確認した。
また、本実施形態では単一円弧によるポケット断面形状としたが当然、いかなる形状にも対応可能であることは言うまでもない。
他の構成や、作用・効果は、上記第2実施形態と同様である。
[実施例1]
上記実施形態に基づく加工で保持器を作成した。
保持器は、NU218の円筒ころ軸受用ころ案内もみ抜き一体型保持器であり、保持器概略寸法は、外径φ138mm、内径φ116mm、幅30mmで、ポケット部は転動体であるころの寸法(直径=φ19mm、長さ=20mm)と同じ寸法に設定されている。
そして、真直測定器により片側の側板(加工基準部)を基準にし、柱2の保持器軸方向Xに対する円周方向倒れ(保持器公転方向Yへの傾き)の精度を測定してみたところ、倒れの平均が0〜10ミクロン程度と高精度で安定していることを確認した。
従来の分離型のもみ抜き保持器では、円周方向倒れは一般に約15〜40ミクロン程度であり、本発明の加工によってポケットが成形された保持器では、従来に比べて高精度の保持器となることが分かる。
[実施例2]
次に、ポケット四隅の角アールについての実施例を説明する。
なお、本実施例の保持器はNU330の円筒ころ軸受用ころ案内もみ抜き一体型保持器で、保持器概略寸法は、外径φ265mm、内径φ230mm、幅64mmで、ポケット部は転動体であるころの寸法(直径=φ45mm、長さ=45mm)と同じ寸法に設計したものを例に示す。
上記実施形態と同様な加工法によって、ポケット四隅に逃げ部を設ける。ただし、第1の工具7を使用して加工した。
ここで、四隅の角アールの曲率半径rの大きさの大小によってこの部分に発生する応力は、応力集中率によって基準応力の最大3倍程度まで大きくなるとされている(図6参照)。
図8に、本構造を簡易的にモデル化した構造(保持器の1つのポケットにころ(転動体)から外力を受けたことを想定し、軸方向Xに対して対称と考えその片側を簡易的にモデル化した構造)とそのときの各部の寸法と角アールによる応力集中率αについての一般的に言われている関係を示す(『応力集中』西田正孝著を参照した)。なお、図中、Bは、ポケットについての保持器公転方向Yの幅の半分を、bは、柱2についての保持器公転方向Yの幅の半分を表す。
これによると、角アールの曲率半径rの大きさが小さいと極端に応力集中率αが増加することがわかる。
従来タイプの保持器におけるポケットの角アールでは、上述のように加工上どうしても曲率半径を大きく出来ず、通常、上記曲率半径はr<1mmとかなり小さく、特に小さいものでは、r=0.3mmのものもある。
これに対して、本実施例では、r=2mmで加工でき単純に図5におけるr/bの値が(b=一定の場合)、約7倍程度大きく出来る。結果的に応力集中率αは約半分(2.5⇒1.3)程度に下げることが出来ることが分かる。従って、本発明を採用することで、応力集中の観点からも強度改善が期待できる。
またこのことは、さらに転動体の数を増すことが可能となり、結果的に、軸受の負荷容量増加にもつなげることが出来る。
なお、本実施例では、上記四隅の角アールを全て同じ寸法で加工しているが、本発明で使用する加工によれば、保持器外径側から内径側に向かって曲率半径rを連続的に変化させることも可能である。従って、必要に応じ、応力集中率αに影響を与える柱2の幅bに対する曲率半径の比(r/b)の値が最適になるように、上記曲率半径rを最適な値に設定してもよい。
本発明に基づく実施形態に係る円筒ころ軸受NU218ころ案内一体型保持器の概略を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る加工部の輪郭形状などを説明する図である。 本発明に基づく実施形態に係る仕上げ加工を説明する保持器半径方向から見た図である。 本発明に基づく実施形態に係る保持器にころを組込んだ状態を外周から半径方向に見た図である。 本発明に基づく実施形態に係る保持器の柱のばれ止め部にころを挿入する時にころから均一な面圧が負荷されると仮定した場合の柱の変形の計算結果を表す図であり、(a)がばり止め部の長さが0.6Lの場合の荷重状態を、(b)がそのときの撓みを、(c)がばり止め部の長さが0.9Lの場合の荷重状態を、(d)がそのときの撓みを、それぞれ表す図である。 本発明に基づく実施形態に係る四隅の逃げ加工形状の概要を示す図である。 本発明に基づく第2の実施形態に係る加工部の輪郭形状などを説明する図である。 本構造を簡易モデル化した構造とその時の各部の寸法と角アールによる応力集中率との一般的に言われている関係を示す図である。 本発明に基づく第2実施形態に係るアンギュラ玉軸受ころ案内一体型保持器を説明する概略斜視図である。 本発明に基づく第2実施形態に係るアンギュラ玉軸受ころ案内一体型保持器を説明する部分拡大図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る加工部の輪郭形状などを説明する図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る加工概要を示す図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る玉軸受用保持器を説明する概要斜視図である。 従来の分割型のもみ抜き保持器の概略を示す図である。 玉軸受用保持器における代表的な従来型一体型保持器の断面概を示す図である。
符号の説明
1 ポケット
1a 公転方向を向く面
1b 軸方向を向く面
1c 逃げ部
1d ばれ止め部
2 柱
3 側板
4 シャンク
5 フライス
6 輪郭形状
7 第1の工具
8 第2の工具
8a フライス
10 ころ
11 下穴
X 保持器軸方向
Y 保持器公転方向
Z 保持器半径方向
r 逃げ部の曲率半径
R1 保持器の柱のころとの当接部の円弧半径
R2 保持器の柱のころばれ止め部の円弧半径
R3e 保持器の柱の外径面との境界の面取り半径
R3I 保持器の柱の内径面との境界の面取り半径
d 保持器のばれ止め部の軸方向長さ
e ころ有効長さ
f ころ長さ
L 柱の長さ
p ころの挿入時に柱に負荷される面圧
E 保持器材料の縦弾性係数
I 保持器の柱の断面2次モーメント
t 逃げ部の側板の最小幅寸法

Claims (3)

  1. 公転方向に並ぶ複数の柱と、当該複数の柱の軸方向端部を連結するリング状の側板とを備え、上記柱及び側板の側面にポケット面が形成されると共に上記柱と側板の接合部にポケットの逃げ部が形成された、ころ軸受用の保持器であって、
    上記柱のポケット面における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、上記逃げ部における側板の最小板幅は、半径方向に沿って均一に形成されていることを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 公転方向に並ぶ複数の柱と、当該複数の柱の軸方向端部を連結するリング状の側板とを備え、柱及び側板の側面にポケット面が形成されると共に上記柱と側板の接合部にポケットの逃げ部が形成された、ころ軸受用の保持器であって、
    上記柱のポケット面における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、保持器半径方向端部における公転方向のポケット幅がころ径よりも僅かに小さくなって柱の保持器半径方向端部にころのばれ止め部が形成され、そのばれ止め部の軸方向端部は上記逃げ部によって側板と切り離され、当該ばれ止め部の軸方向長さが、ころ有効長さ以下となっていることを特徴とする転がり軸受用保持器。
  3. 公転方向に並ぶ複数の柱と、当該複数の柱の軸方向端部を連結するリング状の側板とを備え、柱及び側板の側面にポケット面が形成されると共に上記柱と側板の接合部にポケットの逃げ部が形成された、ころ軸受用の保持器であって、
    上記柱のポケット面における、少なくとも転動体と接触する部分の保持器半径方向に沿った断面形状は円弧形状に形成され、且つ、保持器半径方向端部における公転方向のポケット幅がころ径よりも僅かに小さくなって柱の保持器半径方向端部にころのばれ止め部が形成され、そのばれ止め部の柱側面での保持器半径方向の断面形状は、上記柱ポケット面の円弧形状に滑らかに接続されると共に、ポケット側に凸の曲率半径を有する曲線形状となっていることを特徴とする転がり軸受用保持器。
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