JP2010043734A - 打抜き保持器及び自動調心ころ軸受等のころ軸受 - Google Patents

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武彦 梅本
Yukihisa Tsumori
幸久 津森
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剛 前田
Yasuhiro Shimizu
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Abstract

【課題】ころの端面の凹部に頼ることなく打抜き保持器からのころ抜けを規制しつつ、各抜止めを容易に精度よく形成することができると共に、抜止め及びころの外周部の破損を生じ難くする。
【解決手段】ころ1の外周部とポケット3を形成する両柱2、2との接触でころ1の内外一方への抜けを規制し、内外他方に曲げたフランジ14のうち、周方向で各ポケット3、3間に位置する部分に押し出し成形を加えて両ポケット3、3に入るころ1、1に有効な抜止め15を形成し、フランジ14に弾性変形を生じさせつつころ1をポケット3に押し込むと、両柱2、2に対応する位置関係の両抜止め15、15がころ1の外周部と間隙gをもって内外他方から重なるようにした。押し出し成形で抜止め15を形成することにより、抜止め15に打抜き断面及び自由端を無くし、ころ1の外周部と面接触のみを生じるようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、プレス加工で造った打抜き保持器、及びその打抜き保持器を用いた自動調心ころ軸受等のころ軸受に関する。
従来から、ころ軸受の組み立ての都合上、ころセットを保持器に保持させた状態で一まとめに取り扱えるようにしている。この種の保持器には、ポケットに入れたころの抜け止め構造が設けられる。
打抜き保持器の場合は、図11に示すように、ころ101の外周部とポケット102を形成する両柱103、103との接触でころ101の内外一方への抜けが規制されている。係る規制を得るため、各柱103は、周方向に隣り合うころ101、101間の周方向間隔が最も狭くなる、ころ101の自転軸を含むピッチ円から内外一方に外れた位置に設けられる。このため、ころ本数やころ径を増すことができる利点もある。
また、打抜き保持器の一端側の環状部に、内外他方に曲げたフランジ104が形成され、そのフランジ104に、ころ101の内外他方への抜けを規制する抜止め105が形成されている。ころ101を押し当ててフランジ104乃至抜止め105を弾性変形させつつころ101をポケットに入れると、抜止め105は、ころ101の端面に形成された凹部106内に入り込み、ころ101の内外他方への抜けを凹部内面との引っ掛かりで規制するようになっている(例えば、特許文献1)。
図11の例では、抜止め105は、ポケットの打抜きにおいてフランジ104を部分的に切り落とすことにより曲げ片を形成し、その曲げ片を正面側(すなわち、ポケットに臨む側)に曲げることで形成されている。
また、特許文献2に開示されたように、フランジを正面側に突き出すことにより、ころの端面の凹部に引っ掛かる抜止めを形成することも実施されている。
特開平5−157116号公報 特開平2−180314号公報
しかしながら、上述の従来例の打抜き保持器は、ころの端面に抜止めを係合させるための凹部を形成する必要があり、ころの加工コストが高くなる。
また、ころに要求される剛性上、ころの端面に深い凹部を形成できない場合、抜止めは、浅く形成された凹部に入り込ませるため、小さくなる。自動調心ころ軸受のようにミスアライメントの生じ得る条件下では、抜止めところとの接触が起こり得る。小さな抜止めは、摩耗で規制が効かなくなることも早く、軸受の分解点検で保持器を抜き出した際にころ抜けの恐れがある。
そこで、ころ抜けを端面の凹部に頼ること無く規制することを目的の一つとして、図7〜9に示すような打抜き保持器が先に提案されている(特願2007−105884号)。図示の打抜き保持器は、自動調心ころ軸受用を例示している。この打抜き保持器は、ころ1が内外の軌道輪11、12間に介在する状態で自転軸を含むピッチ径の円周(以下、この円周を単にPCDと呼ぶ)から内外一方に外れた位置に各柱2があり、ポケット3を形成する両柱2、2がころ1の一方への抜けを規制するようになっており、一端側の環状部に、内外他方に曲げたフランジ4が形成されており、そのフランジ4に、ころ1の他方への抜けを規制する抜止め5が形成されている。
この打抜き保持器は、金属板からなり、例えば、鋼板を素材としてプレス加工により製造される。
ポケット3を形成する両柱2、2(以下、単に両柱2、2と呼ぶ)の周方向端部は、転動するころ1の外周部を受けるように面押し加工されている。それら両柱2、2の周方向端部間の間隔は、ころ1の最大直径より小さくなっており、ポケット3からのころ1の内方への抜けが規制されている。ころ公転方向側に位置する柱2の周方向端部は、ころ1の外周部を受け、これにより、打抜き保持器が径方向成分の力を受けて径方向に案内される。なお、通常の運転条件である限り、転動するころ1が各柱2に乗り上げることがない。この打抜き保持器において、各柱2をPCDの内方に位置させたのは、外方に位置させた場合と比して、転動する各ころ1の外周部と各柱2の周方向端部との接触で打抜き保持器が受ける径方向成分の力が大きくなり、これにより、打抜き保持器が径方向に案内され易くなるからである。各柱2の強度を優先する場合は、各柱2を外方に位置させてより大きな円周上に位置させることにより、同じころ本数等にしながら柱2の周方向幅を増すことができる。
抜止め5は、フランジ4の先端部分から延びる曲げ片からなり、その曲げ片を塑性曲げすることによってころ1の外周部に内外他方から隙間gをもって重なるように形成されている。隙間gがあるため、通常運転中、抜止め5は、ころ1の外周部と接触しない。
両抜止め5、5の間は、図10に示すように、ころ1を両柱よりも他方から押し込むことで弾性的に広げられる。これにより、ころ1がポケット3に入るようになっている。ころ入れ後、図8に示す状態に抜止め5、5が弾性回復し、ころ1の外周部に内外他方から隙間gをもって重なる。このため、ころ1の端面と無関係に抜止め5で内外他方へのころ抜けが規制される。弾性変形によるため、隙間gを調整する手間がない。
自動調心ころ軸受の組み立てにおいては、図7に示すように、内方の軌道輪11と打抜き保持器ところ1とがアッセンブリ化される。そのアッセンブリでは、各ポケット3内の各ころ1が、両柱2、2及び両抜止め5、5で内外への抜けが規制されている。したがって、図7中に二点鎖線で示すように、アッセンブリの中心軸が外方の軌道輪12の中心軸と交差するように外方の軌道輪12の内方に位置させた状態とし、その状態からアッセンブリを寝かせて外方の軌道輪12の中心軸に一致させる、いわゆる返し作業を終えるまで、打抜き保持器からころ1が外れることはない。
なお、この例のように、打抜き保持器、ころ1、内方の軌道輪11をアッセンブリ化した状態で外方の軌道輪12に組み込む場合、PCDの外方に柱2があると、内方の軌道輪11が邪魔をして、ころ1の組込みが困難である。これを避ける目的もあって、柱2をPCDの内方から外して位置させている。
なお、この打抜き保持器は、自動調心ころ軸受の中でも、対向一対で組み込む打抜き保持器のフランジ4、4の背面同士を摺接させ、この摺接によりころ案内を行う用途になっている。この用途の場合、図8、図9に示すように、フランジ4の背面に、相手側となる同形の打抜き保持器のフランジ4の背面と摺接させる平面部4aが形成され、フランジ4の正面に、ころ1のスキュー挙動を抑えるころ受け面7aが形成される。フランジ4の正面にころ受け面7aを形成すれば、軸受運転中、ころ1の端面ところ受け面7a間の位置関係がアキシアル負荷によって変動することが防止されるので、ころ1のスキュー挙動を安定して防止することができる。特に、この打抜き保持器は、フランジ4に曲げ片を打抜くことを利用し、そのフランジ4の周方向で抜止め5、5間の中間部分に突片7を形成し、その突片7を正面側に押し出すことによりころ受け面7aを形成することができる。ころ1がスキュー挙動を示すと、ころ受け面7aがころ1の端面と接触する。このとき、ころ1のスキュー挙動を受けた側のフランジ4は、図7に示すように、対向一対をなす相手側のフランジ4と互いの平面部4a、4a同士で摺接することにより相手側に支持される。このため、ころ受け面7aでころ1のスキュー挙動を抑える案内作用が奏される。
特願2007−105884号に開示の打抜き保持器は、上述のように種々の点で優れるが、次の(a)〜(c)の点で改良の余地がある。
(a)フランジ4の打抜きで抜止め5用の曲げ片を形成するため、抜止め5に板面に沿ってエッジが形成される。また、打抜きパンチとダイスの間にクリアランスが設定されるため、抜止め5の打抜き断面は、せん断に伴う荒れをもって周方向両側端に形成される。係るエッジや打抜き断面は、通常運転時、ころ1の外周部と接触することはない。しかし、軸受の急加減速等の異常条件下においては、ころ1と保持器間に公転速度差が発生したとき、抜止め5のエッジ等がころ1の外周部と接触し得る。この接触現象が生じると、ころ1の外周部の油膜がエッジ等に掻き取られたり、ころ1の外周部に傷が付いたりし、ころ1の外周部の破損を招く。エッジ等を緩和する仕上げ加工を抜止め5に施せば問題ないが、手間を要する。
(b)抜止め5が曲げ片からなるため、抜止め5とフランジ4の連続部分の断面積が小さい。係る連続部分は曲げ部であるから、上記の接触現象時や製品取り扱い時に抜止め5に対して過度な外力が与えられたとき、連続部分には応力集中が発生し、抜止め5の折れや曲がりといった破損を生じる恐れがある。
(c)曲げ片を曲げ加工するとき、素材の材料成分分布の不均一や内部応力の不均一の影響により、中空に突き出る各抜止め5を所定の精度に形成することが難しい。
上記の事情に鑑み、この発明の課題は、ころの端面の凹部に頼ることなく打抜き保持器からのころ抜けを規制しつつ、各抜止めを容易に精度よく形成することができると共に、抜止め及びころの外周部の破損を生じ難くすることである。
上記の課題を達成するため、この発明は、ころの外周部とポケットを形成する両柱との接触で該ころの内外一方への抜けが規制され、一端側の環状部に、内外他方に曲げたフランジが形成され、そのフランジに、前記ころの内外他方への抜けを規制する抜止めが形成されている打抜き保持器において、前記抜止めは、前記フランジのうち周方向で各ポケット間に位置する部分に加えた押し出し成形により正面側に膨らませた膨出部からなり、前記フランジに弾性変形を生じさせつつ前記ころを前記ポケットに押し込むと、前記両柱に対応する位置関係の両抜止めが前記ころの外周部と間隙をもって内外他方から重なることを特徴とする。
この発明によれば、ころの内外一方への抜けが両柱で規制される。また、抜止めがころの外周部に間隙をもって内外他方から重なるため、ころの内外他方への抜けも規制される。したがって、この発明は、ころの端面の凹部に頼ることなく打抜き保持器からのころ抜けを規制することができる。
また、この発明によれば、フランジに押し出し成形を加えて抜止めを形成するため、抜止めにフランジから切り離された自由端が生じず、フランジとの連続部分の断面積が増すため、曲げ片に比してフランジに対する変形を生じ難い。したがって、この発明は、上述の異常条件下で、ころの外周部が抜止めに接触しても、抜止めの破損が生じ難い。
また、この発明は、ダイスを用いる押し出し成形で抜止めを形成するため、各抜止めを精度よく形成することができる。
また、この発明によれば、抜止めをフランジに押し出し成形を加えることで形成するため、抜止めに打抜き断面がなく、上述の異常条件下で、ころの外周部が膨出部の表面に面接触する。したがって、この発明は、ころの外周部の油膜が掻き取られたり、荒れた打抜き断面にころの外周部が傷付けられたりすることはなく、ころの外周部の破損が生じ難い。
実施形態に係る自動調心ころ軸受の要部断面図 aは、図1のポケットをころ自転軸を含むアキシアル平面で切断した断面図、bは、前記aの矢線B方向から視たポケットの平面図、cは、前記aのC−C線の断面図、dは、前記aのD−D線の断面図 aは、図1のフランジを正面側から視た部分拡大斜視図、bは、図1のフランジを背面側から視た部分拡大斜視図、cは、変形例のフランジを正面側から示す要部拡大斜視図 aは、図2のポケットにころを入れる準備状態を示す作用図、bは、前記aの状態からころをポケットに押し込む様子を示す作用図、cは、前記bの状態から弾性回復した様子を示す作用図 図1の打抜き保持器の背面図 図1のアッセンブリを返し作業で組み込む様子を示す作用図 先行提案例に係る打抜き保持器を備えた自動調心ころ軸受の縦断面図 aは、図7の打抜き保持器のポケットをラジアル平面の切断面で示した部分拡大断面図、bはそのポケットをアキシアル平面の切断面で示した部分拡大断面図 aは図7の打抜き保持器を斜め外方から示した部分拡大斜視図、bは図7の打抜き保持器を斜め内方から示した部分拡大斜視図、cは前記bを図中の下方から示した底面図 aは図7の打抜き保持器のポケットにころを入れる様子をアキシアル平面の切断面で示す作用図、bは前記aの様子をb−b線のラジアル平面の切断面で示す作用図 aは従来例の打抜き保持器の部分拡大縦断面図、bは前記aの打抜き保持器を斜め外方から示した部分拡大斜視図 第2実施形態に係る打抜き保持器を備えた円錐ころ軸受の断面図 第2実施形態に係る打抜き保持器を図2aの矢線B方向と同じ視線で示した部分平面図 第2実施形態に係る打抜き保持器を一端側から示した部分側面図 第3実施形態に係る打抜き保持器を備えた円錐ころ軸受の要部断面図 第4実施形態に係る打抜き保持器を備えた円錐ころ軸受の要部断面図 第5実施形態に係る打抜き保持器を備えた円錐ころ軸受の要部断面図 第5実施形態に係る打抜き保持器を図2aの矢線B方向と同じ視線で示した部分平面図 第6実施形態に係る打抜き保持器を備えた円錐ころ軸受の要部断面図 第6実施形態に係る打抜き保持器を一端側から示した部分側面 第7実施形態に係る打抜き保持器を備えた円錐ころ軸受の要部断面図
以下、この発明に係る実施形態を添付図面に基いて説明する。
図1〜図3(a)、(b)に示すように、実施形態に係る打抜き保持器は、ころ1が内外の軌道輪11、12間に介在する状態で自転軸Cを含むピッチ径の円周(以下、この円周を単にPCDと呼ぶ)から内外一方に外れた位置に各柱2があり、ポケット3を形成する両柱2、2がころ1の一方への抜けを規制するようになっており、一端側の環状部に、内外他方に曲げたフランジ14が形成されており、そのフランジ14に、ころ1の他方への抜けを規制する抜止め15が形成されているものである。以下、特願2007−105884号と同じに考えられる構成の説明を省略する。
抜止め15は、フランジ14のうち周方向で各ポケット3間に位置する部分に加えた押し出し成形により正面側に膨らませた膨出部からなる。周方向に隣り合うころ1、1間に生じる空間は、両柱2、2ところ1との関係で決定することができる。両柱2、2に対応する位置関係の両抜止め15、15は、ころ1の外周部に内外他方から重なるようにPCDから内外他方に外れた位置に設けられるので、ころ1、1間の空間に収まるように形成することができる。このため、各抜止め15がころ本数等に影響を及ぼすことはない。
図4(a)に示すように、ころ1の外周部を抜止め15乃至フランジ14に押し当てることにより、図4(b)に示すように、フランジ14乃至柱2に弾性変形を生じさせると、ころ1をポケット3に押し込むことができる。図4(c)に示すように、弾性回復が生じると、図2に示すように、前記両柱2、2に対応する位置関係の両抜止め15、15がころ1の外周部と間隙gをもって内外他方から重なる。
図5に示すように、フランジ14の先端縁は、円周に沿って打抜かれている。ここで、円周は、保持器中心軸回りの円周のことである。
上述のように、フランジ14に押し出し成形を加えることで抜止め15を形成するため、フランジ14に抜止め形成用の切り落とし部分が生じず、この部分を種々の目的に利用することができる。このことを利用し、フランジ14の先端縁を円周に沿って打抜くようにすれば、加工形状が単純になる。実施形態は、単純形状にフランジ14を打抜くため、その加工、打抜き金型の製作における精度出し、及び金型寿命の点で有利である。さらに、切り落とす部位が減るため、廃棄物を削減することもできる。
また、図2、図3(a)、(b)に示すように、抜止め15は、周方向に隣り合う両ころ1、1に対して有効な対称形に設けられている。
フランジ14のうち周方向で各ポケット3、3間に位置する部分に押し出し成形を加える。この位置に各抜止め15を設けると、周方向に隣り合う両ころ1、1に対して有効な対称形にすることにより、抜止め15の成形数を減らすことができる。上述のようにダイスで精度よく抜止め15を形成することが可能なため、実施形態においては、両ころ1、1に対して同じ抜止め効果を容易に得ることができる。
実施形態は、自動調心ころ軸受用のため、返し作業を前提に抜止め15が設計される。すなわち、図6に示すように、アッセンブリの返し作業を行うとき、ポケット3の周方向両側にある抜止め15は、ころ1の外周部に掛かり、ころ1の内外他方への抜けを規制する。抜止め15が弾性回復によって間隙gをもってころ1の外周部に重なるため、通常運転時、抜止め15の摩耗はなく、ころ入れ後の調整の手間がない。
図2、図3(a)、(b)に示すように、抜止め15は、フランジ14の先端縁で最も軸方向に膨らみ、かつ内外一方側に進むに連れて軸方向に小さく膨らむように形成されている。ここで、軸方向とは、保持器中心軸に沿った方向のことである。以下、ラジアル平面、アキシアル平面を用いるときは、保持器中心軸に関する。
フランジ14の先端縁で最も軸方向に膨らむと、フランジ幅を最大限に有効利用して抜止め15をころ1の外周部に間隙gをもって重ねることができる。
また、押し出し成形においては、抜止め15を曲面にすることが自然である。このことを踏まえ、抜止め15は、内外一方側に進むに連れて軸方向に小さく膨らむように形成されている。抜止め15は、フランジ14の先端縁から内外一方側に向かって、ころ1の外周部に対する逃げ形状を与えられる。その結果、図4に示すように、ころ1の外周部を抜止め15の逃げ形状部分に押し当てながらフランジ14に弾性変形を生じさせることができ、ころ入れに必要なフランジ14の変形量を少なくすることができる。
フランジ14の先端縁は最も押し出しで変形させ易い部分であるから、そこで抜止め15の軸方向の膨らみを最も大きくすれば、比較的に小さな加工力で成形することができる。
また、抜止め15は、フランジ14の先端縁で周方向幅が最も大きく、かつ内外一方側に進むに連れて周方向幅が小さくなるように形成されている。
抜止め15の軸方向の膨らみをフランジ14の先端縁で最も大きくする場合、抜止め15の剛性を要する。抜止め15の周方向幅をフランジ14の先端縁で最も大きくすれば、抜止め15の剛性を効果的に高めることができる。さらに、抜止め15は、内外一方側に進むに連れて周方向幅が小さくなるため、周方向にもころ入れを考慮した逃げ形状を与えられる。
なお、抜止め15は、所望の抜止め規制や目的とする効果が得られる限り、適宜に決定することができる。例えば、実施形態では、抜止め15を上述のような逃げ形状を与えるため、保持器中心側に頂点を向けて円錐柱に基いた形態としたが、球面に基いた形態にすることもできる。
また、抜止め15は、押し出しを容易にするため、ころ1の外周部のうち面取りのみ掛かり得る膨らみが与えられている。このことは、ころ1が柱2に乗り上げたときにころ1の転動面を保護する上でも好ましいが、確実な抜止め規制を優先する場合はころ1の転動面に掛かり得る膨らみを与えることもできる。
また、自動調心ころ軸受用においてころ案内を行うため、図1に示すように、フランジ14の背面には、他の同形打抜き保持器のフランジ14の背面と摺接させる平面部が形成され、フランジ14の正面には、ころ1のスキュー挙動を抑えるころ受け面16が形成されている。
保持器にころ受け面16を形成すると、ころ軸受が受けるアキシアル荷重の状態によらず、いずれの列においてもころ1の端面ところ受け面16との離間が避けられるので、ころ1のスキュー挙動を安定して防止することができる。
図3(a)、(b)、図5に示すように、フランジ14の前記平面部は、運転中の摺接性からラジアル平面に沿う向きになっており、抜止め15の押し出しに伴う窪み17よりも内外一方側で全周に亘る主接触域18aと、周方向に隣り合う窪み間に位置する部分に形成された補助接触域18bとからなる(以下、両接触域18a、18bを示すときは、平面部18a、18bと総称する)。
上述のようにフランジ14、14の背面同士の摺接によりころ案内を行う場合、安定した保持器、ころ挙動を得るには、フランジ14の背面に形成する平面部の面積を大きくすること、平面部を周方向全周に亘って大きな幅で確保すること、及び平面部の平面度を高くすることがそれぞれ有効である。
抜止め15は、図2(d)に示すように、ころ1の外周部に内外他方から間隙gをもって重なるように形成すればよく、図5に示すように、フランジ14のうち、各抜止め15よりも内外一方側の部分に全周に亘って主接触域18aを形成することが可能である。フランジ14の先端縁が円周に沿い、切り落とし部分がないことを利用すれば、周方向に隣り合う窪み間に補助接触域18bを追加し、特願2007−105884号のものよりも平面部の面積を広げることができる。
なお、補助接触域18bは、最大でフランジ14の先端縁と同径まで広げることができる。フランジ14の先端縁は、図1、図6に示すように、内外他方の軌道輪12に挿入可能な限界まで広げることができる。補助接触域18bは、抜止め15の配置から周方向に等配で形成されており、保持器重心を狂わせない。
図2、図3(a)、(b)、図5に示すように、各ころ受け面16は、フランジ14の正面のうち周方向に隣り合う抜止め15、15間に位置する部分に押し出し成形で形成されている。その結果、フランジ14の背面に各ころ受け面16の押し出しに伴う凹部19が形成されている。
フランジ14の先端縁が円周に沿い、切り落とし部分がないことを利用すれば、周方向に隣り合う抜止め15、15間にころ受け面16を形成することができる。係る部分であれば、ころ受け面16を押し出し成形で形成することができる。押し出し成形でころ受け面16を形成すれば、フランジ14の打抜きで形成された突片と異なり、打抜き断面がころ受け面16に生じない。ころ案内時にころ1の端面が接触するとき、その端面がころ受け面16に押し付けられる。このとき、打抜き断面のないころ受け面16であれば、エッジや荒れた断面がころ1の端面に接触することはなく、ころ1の端面の油膜が掻き取られたり、ころ1の端面が傷付けられたりしない。したがって、ころ1の端面の破損が生じ難い。
また、各ころ受け面16は、ころ1の自転軸Cと交わる部分を含む範囲に、かつ周方向に対称形に形成されている。
ころ受け面16ところ1の端面とは押し合いに伴い全面的に接触する。全面的に接触するとき、ころ1の自転軸Cを含むアキシアル平面(図2中にPCDと直交する1点鎖線で示す)の周方向両側ですべり抵抗に差が生じると、ころ自転が不安定な挙動になる。このため、ころ受け面16をころ自転軸Cを基準とした対称形に形成することが理想的である。特願2007−105884号のようにフランジの先端縁を幅方向に部分的に切り落とした突片にころ受け面を形成すると、ころ自転軸を基準とした対称形に形成することができない。
押し出し成形でころ受け面16を形成すれば、ころ受け面16を、ころ1の自転軸Cと交わるフランジ部分を含む範囲に、かつ周方向に対称形に形成することができる。係るころ受け面16を有する実施形態は、ころ案内時にすべり抵抗差が生じ難く、より安定したころ挙動を得ることができる。
また、各窪み17は、前記平面部18a、18bに連続している。
フランジ14の窪み17には、潤滑剤が入り込む。このため、窪み17が平面部18a、18bに連続していると、窪み17内の潤滑剤が平面部18a、18bに自然と供給される。したがって、実施形態は、対向一対の打抜き保持器が互いの平面部18a、18b同士が摺接するとき、平面部18a、18bの潤滑が良好になる。
潤滑剤は、潤滑油又はグリースのいずれでもよい。
また、窪み17は、フランジ14の先端縁に及ぶ。
窪み17がフランジ14の先端縁に及んでいると、対向一対の打抜き保持器が互いの平面部18a、18b同士で摺接するときでも、両フランジ14、14間に窪み17による開放口が生じる。したがって、実施形態は、軸受内部の潤滑剤が窪み17に入り易く、ひいては、平面部18a、18bの潤滑をより得易くなる。
なお、実施形態においては、抜止め15をフランジ14の先端縁で最も軸方向に膨らみ、かつ周方向幅が最も大きくなるように形成したため、特に窪み17の開放口を最も大きくすることができ、特に軸受内部の潤滑剤が窪み17に入り易くなっている。
また、凹部19に潤滑剤が入り、その潤滑剤が平面部18a、18bに供給されるようにすれば、平面部18a、18bの潤滑がより良好になる。
なお、図3(c)にフランジ14の変形例を示すように、ころ受け面の押し出しを省略すれば、その分、補助接触域を増やすこともできる。
図1に示すように、実施形態に係る自動調心ころ軸受は、窪み17がフランジ14の先端縁に及ぶ打抜き保持器が内外の軌道輪11、12間に対向一対で組み込まれ、内外他方の軌道輪12に、両打抜き保持器の窪み17に向かって潤滑剤を供給する油穴12aが設けられている。
実施形態に係る自動調心ころ軸受は、案内輪が存在しないため、潤滑剤を油穴12aから補給すると、窪み17に潤滑剤が入り易い。
上述のように、実施形態に係る打抜き保持器は、フランジ14に押し出し成形を加えて抜止め15を形成するため、抜止め15にフランジ14から切り離された自由端が生じず、フランジ14との連続部分の断面積が増すため、曲げ片に比してフランジ14に対する変形を生じ難い。したがって、柱2にころ1が乗り上がるといった異常条件下で、ころ1の外周部が抜止め15に接触しても、抜止め15の破損が生じ難い。このことは、柱2に乗り上げ等するころの挙動を抜止め15との接触で正規の位置に安定させることや、打抜き保持器の取扱い時に抜止め15の保護を楽にすることに有利である。また、ダイスを用いる押し出し成形で抜止め15を形成するため、各抜止め15を精度よく形成することができる。
なお、この発明は、実施形態に限定されず、この発明の課題を達成することができる限り、様々に変更することができる。また、上述の応用目的を達成するための構成は、適宜に組み合わせて、又は単独で採用することができる。
例えば、外方の軌道輪、打抜き保持器、ころをアッセンブリ化する場合は、柱をPCDよりも外方に位置させ、フランジを内方に曲げればよい。
また、保持器案内形式を柱利用の転動体案内方式に代えて、フランジの先端縁を円周に沿って成形可能なことを利用し、大小両環状部のフランジを利用した軌道輪案内方式にすることも可能である。保持器ところの公転速度差を生じ難い点で軌道輪案内方式よりも転動体案内方式が好ましい。
また、実施形態は、円錐ころ、円筒ころ等用に変更することもできる。例えば、円錐ころ軸受においては、超大型軸受に採用されるピン形溶接保持器や、特開2006−22824号に開示されたような自動車用軸受の樹脂保持器を除き、両つば付き内輪(内方の軌道輪に相当する)と両柱とでころを抱える打抜き保持器とし、その保持器案内方式をころ案内方式とすることが広く行われている。両つば付き内輪と、打抜き保持器、ころによって内輪アセンブリを組み立てる場合、例えば、特開2002−295482号や特開2004−293698号に開示されているように、打抜き保持器の製造段階において、保持器の小径側で拡径する塑性変形を生じさせる底広げを施し、打抜き保持器の小径側から円錐ころをポケットに入れて内輪の軌道面に配置し、全てのころ入れ後に打抜き保持器の小径側を加締めることにより、ころ付き内輪を完成させるようになっている。このため、内輪アセンブリの組み立てには、底広げ型、加締め型及びその作業、段取り工数が必要となる。その加締めでは、プレス機の下死点を決めるための段取り用保持器が余分に必要である。このことは、円筒ころ軸受において内輪アセンブリを組み立てるときも同じである。したがって、円錐ころ軸受や円筒ころ軸受においても、底広げ、加締めを必要とせず、運転中も抜止めが破損することのない打抜き保持器が求められている。
この発明の第2実施形態として円錐ころ軸受に適用した例を説明する。以下、上述の実施形態との相違点を中心に述べ、同一に考えられる構成の説明を省略する。図12〜図14に示すように、第2実施形態に係るころ21は、円錐ころからなる。一端側の環状部22は、小径側の環状部からなる。外輪30は分離形軌道輪からなる。内輪31は、軌道面32の両側につば33、34が形成された両つば付きの軌道輪からなる。一端側のつば33は小つばからなり、他端側のつば34は大つばからなる。
第2実施形態に係る打抜き保持器は、底広げを実施されていない。係る打抜き保持器は、内輪31の軌道面32上に各ポケット23が位置するように内輪31と同心に配置することができる。各ポケット23を軌道面32上に配置した状態でころ21をポケット23に押し込むことにより、ころ21の一端面に押されたフランジ24が倒れてころ21の他端面がポケット23に入り、ころ21が両つば33、34間に位置する。この状態では、両柱25、25と、両抜止め26、26と、内輪31の軌道面32及び両つば33、34とでころ21が抱かれた状態となり、係る打抜き保持器、ころ21及び内輪31が一体化される。したがって、全てのポケット23にころ21の押し込みを行うことにより、内輪アセンブリの組み立てることができる。
上述のように、第2実施形態に係る打抜き保持器は、両つば付き内輪を用いて内輪アセンブリを組み立て可能なため、底広げ、加締めを必要とせず、通常運転中、抜止め26との間に間隙gが生じるため、破損が生じ難く、異常運転によりころ21が抜止め26に衝突しても、膨出部からなる抜止め26は破損し難く、ころ21の外周部も傷付かない。
第2実施形態に係る打抜き保持器は、ころ案内方式に代えて、軌道輪案内方式でラジアル方向に案内されるように設けられている。具体的には、内輪31の両つば33、34の外周と、一端側の環状部22及び他端側の環状部27の内周を用いた軌道輪案内方式に設けられている。両つば33、34のそれぞれの外周に、円筒面状の保持器案内面33a、34aが形成されている。一端側の環状部22及び他端側の環状部27のそれぞれの内周に、常に保持器案内面33a、34aに対向する位置に芯ずれ量δ1だけ大径の仮想円筒面に沿った被案内部22a、27aが形成されている。運転中、係る打抜き保持器に所定量の芯ずれδ1が任意の一方向に生じると、被案内部22a、27aと保持器案内面33a、34aとが周方向に滑り接触するようになっている。つば33、34の外周を利用した軌道輪案内方式によれば、両側の環状部22、27を最大限に内外一方側に寄せることができ、ひいては両柱25、25も同様に寄せられるので、ころ本数やころ径の大径化を最大限に図ることができる。
第2実施形態の変更例として、この発明の第3実施形態を図15に基いて説明する。図示のように、第3実施形態に係る一端側の環状部41は、大径側の環状部からなる。他端側の環状部42に第2のフランジ43が内外他方に曲げて形成されている。第2のフランジ43を追加することにより保持器全体の剛性が高められている。第2のフランジ43を内外他方に曲げたことにより、被案内部42aを確保することができる。
一端側の環状部41にフランジ44及び抜止め45を形成したため、一端側の環状部41の内周には、被案内部41aが仮想円錐面に沿って形成されている。これに対応して、一端側のつば51の外周には、保持器案内面51aが円錐面状に形成されている。
第3実施形態の変更例として、この発明の第4実施形態を図16に基いて説明する。図示のように、第4実施形態に係る第2のフランジ61は、一端側に倒れるように曲げられている。ここで、ポケット62に入ったころ21がつば案内面に接する正規の位置からころ自転軸Cに直交する方向に移動したときに抜止め63と接触する接触部P1、両抜止め63との接触部P1、P1を含みころ自転軸Cに直交する平面(図中では間隔Lを示す右側の引き出し線が平面に相当する)、該平面に平行な平面であって他端側の環状部64に形成されたポケット62の内周部分62aと接する第2平面(図中では間隔Lを示す左側の引き出し線が第2平面に相当する)、前記平面に平行な平面であって第2のフランジ61と接する第3平面(図中では間隔Lを示す左側の引き出し線が第3平面に相当する)を考えたとき、第2のフランジ61は、前記平面及び前記第3平面間の間隔lが前記平面及び前記第2平面間の間隔Lよりも狭くなるように曲げられている。このように曲げると、第2のフランジ61の先端部は、他端側の環状部64に形成されたポケット62の内周部分62aよりもころ21の他端面21aに近い位置にある。
通常、ころ21の自重程度であれば、ポケット62に入ったころ21が他端側から抜け出ようとしても、間隔Lの設定により、ころ21の他端面がポケット62の内周部分62aに掛かって抜け出ることはない。内輪アセンブリが落下したときのように、衝撃荷重がアセンブリに負荷されると、係る打抜き保持器の弾性変形でころ21の他端面とポケット62の内周部分62aとの掛かりが無効化されることが懸念される。この第4実施形態のように、第2のフランジ61の先端部がポケット62の内周部分62aよりもころ21の他端面21aに近い位置にあると、上述の無効化が生じても、ころ21の抜け出しを第2のフランジ61で防止することができる。
なお、第2のフランジ61は、全てのころ入れを終えた後にフランジ曲げ加工を施すことで形成することができる。また、第2のフランジ61は、一端側のフランジと同時にフランジ曲げ加工を行うことで形成することもできる。ころ入れ前に第2のフランジ61を形成する場合、ころ入れは、ころ21を間隔lの間に押し込むように行えばよい。
第3実施形態の変更例として、この発明の第5実施形態を図17、18に基いて説明する。図示のように、第5実施形態に係る打抜き保持器は、第2のフランジ71のうち周方向で各ポケット72間に位置する部分に加えた押し出し成形により背面側に膨らませた第2の抜止め73、73・・・が形成されている。図17中に、ころ入れ直前のころ21’の位置を一点鎖線で描く。図18中に、1のポケット72に入れるころ21’を示す。両図中に示すように、直前の状態では、ころ21’の外周部が両抜止め74、74及び両第2の抜止め73、73に掛かる。この直前の状態から、一端側の両抜止め74、74及びこれらに対応する両第2の抜止め73、73間にころ21’を押し込むと、両抜止め74、74及び両第2の抜止め73、73がころ21’の外周部に押される。その結果、図17中に両フランジ71、75の弾性変形の概要を一点鎖線で描いたように両フランジ71、75が逃げるので、ころ21を両抜止め74、74及びこれらに対応する両第2の抜止め73、73間に押し込んでポケット72に入れることが可能である。
第5実施形態は、第4実施形態のような単なる第2のフランジではなく、抜止め74と同様の両第2の抜止め73、73を形成したため、上述の無効化が生じても、ころ21の抜け出しをより確実に防止することができる。
第5実施形態に係る打抜き保持器は、柱76ところ21の転動面との滑り接触によりラジアル方向に案内されるころ案内方式に設けられている。ころ案内方式では、異常運転により、ころ21が柱76に乗り上げる恐れが高まる。第5実施形態のように抜止め73を追加すれば、両抜止め74、74及び両第2の抜止め73、73でころ21の外周部を受けることができるので、上述の乗り上げが生じてもころ21の周方向等配を確実に維持することができる。なお、第5実施形態において軌道輪案内方式を採用することも可能である。
第2実施形態の変更例として、この発明の第6実施形態を図19、20に基いて説明する。図示のように、第6実施形態に係る打抜き保持器は、フランジ81のうち周方向で各抜止め26、26間の部分に、正面及び背面側に開放された油窓82が形成されている。
運転中、フランジ81のうち周方向で各抜止め26、26間の部分から油窓82内を経て潤滑剤が出入りするため、ころ21の一端面に潤滑剤が直接に供給され易くなり、抜止め26にも潤滑剤が達し易くなる。
油窓82は、切欠き状に限定されず、適宜の配置、形態で形成することができ、例えば、貫通孔や、内周全幅に亘る溝にすることもできる。また、油窓82は、外周側だけでなく、内周側に追加することもできる。
ころ21をつば34で案内する場合、フランジ81へのころ案内面形成を省略することができるので、油窓82の面積を確保し易い。このため、油窓82は、つば案内のころ軸受用の打抜き保持器に好適である。油窓82を形成するフランジ81は、第6実施形態のように一端側のフランジに限定されず、第4実施形態や第5実施形態のように他端側の第2のフランジを形成する場合、両方又は一方に形成することができる。特に、円錐ころ軸受用において大径側の環状部にフランジ又は第2のフランジを形成した場合、大径側の環状部に油窓を形成することは、アキシアル負荷を受けるころの大端面(図示でいうと他端面側)の潤滑を良くするのに好適である。
なお、油窓82は、予め素材の打抜き時に形成したり、抜止め26の形成後にフランジ81を打抜いて形成したりすることができる。
第2実施形態の変更例として、この発明の第7実施形態を図21に基いて説明する。図示のように、第7実施形態に係る打抜き保持器は、一端側の環状部91の内周及び他端側の環状部92の内周のそれぞれに、全幅に亘る油溝93、94が周方向の少なくとも1箇所形成されている。全幅に亘る油溝93、94が形成されていると、運転中、潤滑剤が係る打抜き保持器の側方から油溝93、94内に入り、保持器回転に伴って油溝93、94内の潤滑剤が被案内部91a、92aと保持器案内面33a、34aの滑り接触部に供給されるので、係る滑り接触部における油膜切れを防止することができる。全周において均一に油膜切れを防止するため、油溝93、94は、なるべく周方向等配で多く形成する方が好ましい。
油溝93、94を形成する加工は、例えば、フランジ曲げ前に円形板にプレス加工で形成したり、円形板から環状体を絞るのと同時に形成したりすることができる。
上述の各実施形態において、ころとの接触領域及び軌道輪との接触領域の少なくとも一箇所に対して、潤滑性、疲労強度、耐摩耗性及び耐食性のうち少なくとも1種の表面処理が施されていることが好ましい。打抜き保持器全体に表面処理を施してもよい。
ころとの接触領域としては、例えば、抜止め、第2の抜止め、ポケットの内周(特に、ころの外周部と接触し得る柱の周方向端部)の表面部分が挙げられる。軌道輪との接触領域としては、軌道輪案内方式を採用する場合の被案内部が挙げられる。これらの中の少なくとも一箇所で他の保持器部分に比して不足する性能を表面処理で補うことができ、ひいては打抜き保持器の寿命を延ばすことができる。
潤滑性を向上させる表面処理としては、微細なディンプルや溝を形成する処理、例えば、タンブラ処理、HL(High Lubrication)処理等が挙げられる。ここで、HL処理は、特開2009−024711号、特開2008−121755号、特開2006−105323号、特開2003−206708号等に開示されているように、Sk値を−1.6以下に設定することにより、油膜形成性が向上し、長寿命の揺動軸受を得ることができる処理のことをいう。Sk値とは、粗さ曲線の歪度(スキューネス)を指し(ISO4287:1997)、凹凸分布の非対称性を知る目安の統計量を指し、この値は、ガウス分布のような対称な分布ではSk値は0に近くなり、凹凸の凸部を削除した場合は負、逆の場合は正の値をとることになる。Sk値のコントロールは、バレル研磨機の回転速度、加工時間、ワーク投入量、チップの種類と大きさ等を選択することにより行うことができる。
疲労強度及び耐摩耗性を向上させる表面処理としては、表面への圧縮応力生成や高硬度化を生じさせる処理、例えば、ショットピーニング処理、タフトライド処理、DLC(Diamond−Like Carbon)処理等が挙げられる。
耐食性を向上させる表面処理としては、例えば、燐酸塩被膜処理、亜鉛メッキ等が挙げられる。
特定部位に限った表面処理が困難な場合、打抜き保持器全体に施せばよい。特に、潤滑性を向上させる表面処理は、ころとの接触領域や被案内部に施すことが好ましい。
1、21,21’ ころ
2、25、76 柱
3、23、62、72 ポケット
11、12 軌道輪
14、24、44、75、81 フランジ
15、26、45、63、74 抜止め
16 ころ受け面
17 窪み
18a 主接触域
18b 補助接触域
21a ころの他端面
22、41、91 一端側の環状部
22a、27a、41a、42a、91a、92a 被案内部
27、42、64、92 他端側の環状部
30 外輪
31 内輪
32 軌道面
33、34、51 つば
33a、34a、51a 保持器案内面
43、61、71 第2のフランジ
73 第2の抜止め
82 油窓
93、94 油溝
g 間隙

Claims (19)

  1. ころの外周部とポケットを形成する両柱との接触で該ころの内外一方への抜けが規制され、一端側の環状部に、内外他方に曲げたフランジが形成され、そのフランジに、前記ころの内外他方への抜けを規制する抜止めが形成されている打抜き保持器において、前記抜止めは、前記フランジのうち周方向で各ポケット間に位置する部分に加えた押し出し成形により正面側に膨らませた膨出部からなり、前記フランジに弾性変形を生じさせつつ前記ころを前記ポケットに押し込むと、前記両柱に対応する位置関係の両抜止めが前記ころの外周部と間隙をもって内外他方から重なることを特徴とする打抜き保持器。
  2. 前記フランジの先端縁が円周に沿って打抜かれていることを特徴とする請求項1に記載の打抜き保持器。
  3. 前記抜止めは、周方向に隣り合う両ころに対して有効な対称形に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の打抜き保持器。
  4. 前記抜止めは、前記フランジの先端縁で最も軸方向に膨らみ、かつ内外一方側に進むに連れて軸方向に小さく膨らむことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  5. 前記抜止めは、前記フランジの先端縁で周方向幅が最も大きく、かつ内外一方側に進むに連れて周方向幅が小さくなることを特徴とする請求項4に記載の打抜き保持器。
  6. 前記フランジの背面に、他の同形の打抜き保持器のフランジ背面と摺接させる平面部が形成されており、前記フランジの正面に前記ころのスキュー挙動を抑えるころ受け面が形成されており、前記平面部は、前記抜止めの押し出しに伴う窪みよりも内外一方側で全周に亘る主接触域と、周方向に隣り合う窪み間に位置する部分に形成された補助接触域とからなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  7. 前記ころ受け面は、前記フランジの正面のうち周方向に隣り合う抜止め間に位置する部分に押し出し成形で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の打抜き保持器。
  8. 前記ころ受け面は、前記ころの自転軸と交わるフランジ部分を含む範囲に、かつ周方向に対称形に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の打抜き保持器。
  9. 前記窪みが前記平面部に連続していることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  10. 前記窪みが前記フランジの先端縁に及ぶことを特徴とする請求項9に記載の打抜き保持器。
  11. 他端側の環状部に、内外他方に曲げた第2のフランジが形成されており、前記第2のフランジの先端部は、前記他端側の環状部に形成された前記ポケットの内周部分よりも前記ころの他端面に近い位置にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  12. 他端側の環状部に、内外他方に曲げた第2のフランジが形成されており、前記第2のフランジのうち周方向で各ポケット間に位置する部分に加えた押し出し成形により背面側に膨らませた第2の抜止めが形成されており、前記ころを前記両抜止め及びこれらに対応する両第2の抜止め間に押し込んで前記ポケットに入れることが可能であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  13. 前記フランジのうち周方向で各抜止め間の部分に、正面及び背面側に開放された油窓が形成されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  14. 両つば付き内輪の軌道面上に前記各ポケットを配置した状態で前記ころの押し込みを行うことにより内輪アセンブリを組み立て可能な請求項1乃至13のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  15. 前記内輪の両つばの外周と、前記一端側の環状部及び他端側の環状部の内周を用いた軌道輪案内方式に設けられていることを特徴とする請求項14に記載の打抜き保持器。
  16. 前記一端側の環状部の内周及び他端側の環状部の内周のそれぞれに、全幅に亘る油溝が周方向の少なくとも1箇所形成されていることを特徴とする請求項15に記載の打抜き保持器。
  17. 前記ころとの接触領域及び軌道輪との接触領域の少なくとも一箇所に対して、潤滑性、疲労強度、耐摩耗性及び耐食性のうち少なくとも1種の表面処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1つに記載の打抜き保持器。
  18. 請求項1乃至10のいずれか1つに記載の打抜き保持器が内外の軌道輪間に対向一対で組み込まれ、内外他方の軌道輪に、両打抜き保持器の前記窪みに向かって潤滑剤を供給する油穴が設けられていることを特徴とする自動調心ころ軸受。
  19. 請求項1乃至17のいずれか1つに記載の打抜き保持器を用いたころ軸受。
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