JP2006264839A - エレベータの保守内容提示システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 エレベータ保守の専門家が必要とする専門的保守データと一般利用者用の簡単明瞭な保守点検情報を共に提供でき、両者の情報の共有も可能にする。
【解決手段】 エレベータの保守内容提示システム1は、エレベータ装置についての保守点検項目にしたがってエレベータ装置の保守点検状況に関する保守データを入力可能な入力手段2と、入力された保守データを集計して保守点検項目ごとに保存するデータベース4と、データベース4内の保守データから専門家用の詳細な表示用保守データを作成して保存する第1の表示用保守データ保存手段5と、データベース4内の保守データから一般利用者用の簡略な表示用保守データを作成して保存する第2の表示用保守データ保存手段6と、第1および第2の表示用保守データ保存手段5,6にそれぞれ保存された詳細な表示用データと簡略な表示用データの何れかを選択する選択手段7と、詳細な表示用データまたは簡略な表示用データを表示可能な表示手段8とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エレベータの保守内容提示システムに関し、特に、エレベータに設置された表示装置を用いて利用者に保守内容を知らせることのできるエレベータ保守内容提示システムに関する。
一般に、ビルディング等に設置されたエレベータは、法令により、または製造メーカの定期点検マニュアル等により、一定の期間を決めて定期的にエレベータ各部の保守点検管理を行なうことが義務づけられている。また、その点検内容は、検査済証のような証明書をエレベータのかご内の所定位置に貼付することによりエレベータの利用者に周知させるようにしている。
このようなエレベータのかご内で、もしも故障等が発生して緊急停止したり、かごの内部に利用者が閉じこめられたりした場合には、内部に閉じこめられた利用者はかご内に設置されたインターホンや緊急連絡用の電話等により保守サービスセンターを呼び出して、故障の発生やかごの緊急停止等を通知する。保守サービスセンターでは、直ちに保守要員を派遣して閉じこめられた利用者を救出したり、故障の原因を究明したりする作業を行うようにしている。
以上のように、従来のエレベータ保守内容提示システムは、紙の検査票をかご内の壁面に貼付したり、プラスチックのプレートを壁面に固定したりして、前回や次回の点検の年月日の表示や故障発生時の連絡先を利用者に通知する程度の記載を行なっていた。また、地震や火災の発生などのような災害時の対応については、かご内の操作盤に設けられた文字情報表示用の液晶表示装置(LCD―Liquid Crystal Display―)等に緊急時メッセージを表示することにより、かご内にいる利用者に対して災害の発生等をアナウンスしていた。
しかしながら、従来のエレベータ保守内容提示システムによれば、定期的に行なわれるエレベータの保守点検作業の実施を一般の利用者に告知する機能を有しているだけであって、例えば故障発生時に駆けつけた保守要員等に対して所定の期間内にどのような保守点検作業が行なわれ、検査を行なった結果としてどのような検査データが得られているかについて保守要員や専門のエレベータ技術者にとって充分なデータが与えられていないという問題がある。
また、一般の利用者にとっても、従来の点検票等によるエレベータ保守内容提示システムの場合、小さな文字で専門的な検査が終了しているという事実が分かるだけで、その保守内容提示システムが示している検査や保守作業の結果、エレベータの保守がどのようにどの程度保証されているのかを充分に感得することはできなかった。また、もしも災害や故障等の緊急事態が発生してエレベータが停止したとしても、インターホンや緊急連絡用の電話等により保守サービスセンターを呼び出して救出を依頼するだけで、実際に救助されるまでの間は何ら取るべき方策がなく、例えば地震等の災害に伴ってエレベータが緊急停止した場合には、救出を待っている間にエレベータが設置されているビルディングに二次災害としての火災等が発生する虞もあり、救出までに緊急を争う場合には何らの役割も果たすことができないという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、エレベータの保守点検業務の専門的な技術者に対しては詳細で専門的な保守内容を表示し、一般の利用者に対しては簡潔で分かり易い保守内容を表示できるエレベータ保守内容提示システムを提供すると共に、実際の緊急事態が発生時にエレベータかご内の利用者からの連絡や、利用者に対して救出のため動向や情勢、あるいは、救出の遅延や二次災害の発生の虞がある場合に利用者が次に取るべき行動等の緊急時対応策を伝送可能なエレベータ保守内容提示システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の基本構成としての第1の構成に係るエレベータの保守内容提示システムは、エレベータ装置についての保守点検項目にしたがって前記エレベータ装置の保守点検状況に関する保守データを入力可能な入力手段と、前記入力手段より入力された前記エレベータ装置の保守データを集計して前記保守点検項目ごとに保存するデータベースと、前記データベースに保存された前記エレベータ装置に関する前記保守データの中から専門家用のデータに基づいて詳細な表示用保守データを作成して保存する第1の表示用保守データ保存手段と、前記データベースに保存された前記エレベータ装置に関する前記保守データの中から一般利用者用のデータに基づいて簡略な表示用保守データを作成して保存する第2の表示用保守データ保存手段と、所定の選択操作により前記第1および第2の表示用保守データ保存手段にそれぞれ保存された前記詳細な表示用保守データおよび簡略な表示用保守データの何れかを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された詳細な表示用保守データまたは簡略な表示用保守データを表示可能な表示手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明の第2の構成に係るエレベータの保守内容提示システムは、上記第1の構成のものにおいて、データベース、第1および第2の表示用保守データ保存手段は、前記エレベータ装置を含む複数のエレベータ装置を集中管理する管理センターに配置され、前記選択手段は前記エレベータ装置の個別の操作パネルごとに配置され、前記管理センターと前記エレベータ装置はオンライン接続されて前記エレベータ装置からの選択表示の要求に基づいて前記表示手段に前記第1または第2の表示用保守データを表示することを特徴とする。
また、本発明の第3の構成に係るエレベータの保守内容提示システムは、上記第1または第2構成のものにおいて、前記入力手段は移動通信端末であり、該移動通信端末は公衆通信回線網を介して前記管理センターに接続されて、前記エレベータ装置に関する前記保守データを入力可能であると共に、前記移動通信端末を用いて付加情報の送受信を可能にすることを特徴とする。前記付加情報は、エレベータの故障発生時に前記管理センターに対して利用者が表示用保守データを要求する要求情報であっても良く、故障発生時に利用者が対処すべき行動マニュアルを要求する緊急情報であっても良い。
また、本発明の第4の構成に係るエレベータの保守内容提示システムは、上記第1ないし第3の構成の何れかのものにおいて、前記選択手段および前記表示手段は前記エレベータ装置のかご内の操作パネルの近傍に設けられていることを特徴とする。
さらに、本発明の第5の構成に係るレベータの保守内容提示システムは、上記第1ないし第3の構成の何れかのものにおいて、前記選択手段および前記表示手段は前記エレベータ装置の乗り場に設けられた操作パネルの近傍に設けられていることを特徴とする
本発明は、以上のように、エレベータのかご内の情報提供システムに対して、エレベータ保守要員や専門の技術者にとっては専門家が必要としている専門的な保守内容を提供でき、また、一般の利用者にとっては簡単明瞭でより分かり易い保守点検情報を提供できるエレベータ保守点検内容提示システムを提供する効果がある。また、エレベータ装置そのものに保守内容提示媒体としての機能を持たせることによりエレベータ利用者に安心感を与えることもできると共に、保守関連情報をエレベータ利用者と保守作業の専門家とが共有することができ、これによりサービス性能の向上を図ることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るエレベータの保守内容提示システムの実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
以下、図1および図2を参照しながら、第1実施形態に係るエレベータの保守内容提示システムについて説明する。図1において、保守内容表示システム1は、キーボード、マウス、移動通信端末等の入力手段2と、入力データを格納するデータベース4と、保守/点検作業の専門家のための第1の表示用保守データ保存手段5と、一般の利用者向けの第2の表示用保守データ保存手段6と、第1および第2の表示用保守データを選択する選択手段7と、選択された表示用保守データを表示可能な例えばLCD等の表示手段8とを備えている。
データベース4、第1および第2の表示用保守データ保存手段5,6は、エレベータ装置を含む複数のエレベータ装置を集中管理する管理センター3に配置されている。入力手段2は、特定のエレベータ装置に関する保守点検項目にしたがってそのエレベータ装置の保守点検状況に関する保守データを逐次入力する。データベース4は、入力手段により入力された特定のエレベータ装置に関する保守点検状況の保守データを集計して複数のエレベータ装置に関する全体のデータをエレベータ装置ごとに保存する。
第1の表示用保守データ保存手段5は、データベースに保存された特定のエレベータ装置に関する保守点検状況データの中から専門の保守要員向けの専門家用保守データを作成して、この専門家用保守データに基づいてその詳細な表示用保守データを作成して保存する。第2の表示用保守データ保存手段6は、データベースに保存された特定のエレベータ装置に関する保守点検状況の保守データの中から一般の利用者向けの利用者用保守データを作成して、この利用者用保守データに基づいてその簡略な表示用保守データを作成して保存する。
選択手段7は、専門家または利用者が選択操作することにより、第1および第2の表示用保守データ保存手段にそれぞれ保存された詳細および簡略な表示用保守データの何れかを選択する。表示手段8は、選択手段により選択された詳細な表示用保守データおよび/または簡略な表示用保守データを表示可能に構成されている。
上記構成を有する第1実施形態に係るエレベータの保守内容提示システムは、図2に示すようにして、保守点検データに関する表示用保守データを作成している。図2(a)は保守管理要員が入力手段2を介して、特定のエレベータ装置に関する保守点検項目にしたがって逐次入力したそのエレベータ装置の保守点検状況の保守データを示している。図2(a)のような保守点検状況の保守データを入力されたデータベース4は、管理センター内のホストコンピュータ(後述する図4の符号15)の支援を受けて、入力手段2により入力された特定のエレベータ装置に関する保守点検状況の保守データを集計して複数のエレベータ装置に関する全体のデータをエレベータ装置ごとに保存する。
第1の表示用保守データ保存手段5が、データベース4に保存された特定のエレベータ装置に関する保守点検状況の保守データの中から専門の保守要員向けの専門家用保守データを作成して、この専門家用保守データに基づいて、図2(b)に示すような詳細な表示用保守データを作成して保存する。
また、第2の表示用保守データ保存手段6は、データベース4に保存された特定のエレベータ装置に関する保守点検状況の保守データの中から一般の利用者向けの利用者用保守データを作成して、この利用者用保守データに基づいて、図2(c)に示すような簡略な表示用保守データを作成して保存する。
上述したような構成および動作により、保守点検要員により入力された保守点検状況の保守データが一旦データベース4に格納された後、専門家が必要としているような詳細な保守管理内容の表示データと、一般利用者が安心のために参考にするような簡略な保守管理内容の表示データとを第1および第2の表示用保守データ保存手段がそれぞれ作成して保存する。そのエレベータを利用する利用者は、例えばエレベータの操作盤等に設置された選択ボタン等の選択手段7により所望の表示データを選択してかご内の表示装置等よりなる表示手段8に表示させて何れかの表示用保守データを利用することができる。
以上のように、第1実施形態によるエレベータの保守内容提示システムにおいては、データベース4、第1および第2の表示用保守データ保存手段5,6は、エレベータ装置を集中管理する管理センター3に配置されても良く、また、選択手段8はエレベータ装置の個別の操作パネルごとに配置され、管理センター3とエレベータ装置はオンライン9により接続されて特定のエレベータ装置からの選択表示の要求に基づいて表示手段8に第1または第1の表示用保守データを表示するようにしても良い。
また、入力手段2は移動通信端末であっても良く、この移動通信端末は例えばインターネット9等の公衆通信回線網を介して管理センター3に接続されていても良い。さらに、選択手段7および表示手段8は特定のエレベータ装置のかご内の操作パネルの近傍に設けられていても良い。さらにまた、選択手段7および表示手段8は特定のエレベータ装置の乗り場に設けられた操作パネルの近傍に設けられていても良い。
[第2実施形態]
上記第1実施形態は、第1および第2の表示用保守データを切り替え表示して専門家に対して提供する第1データと一般の利用者に対して提供する第2データの何れかの表示用データを自由に選択させて供給する基本的な構成を説明したが、本発明に係るエレベータの保守内容提示システムはこのような構成に限定されない。例えば、以下に説明する第2実施形態のように、第1実施形態の選択手段に対して、かご内の利用者に対して提供すべき保守内容を項目別に選択させる機能を持たせて、その内容を表示するような構成を付加しても良い。本発明の第2実施形態に係るエレベータの保守内容提示システムについて、同一または相当する構成要素については図1と同一符号を付して示す図3ないし図6を参照しながら詳細に説明する。
図3において、このエレベータは図示しないエレベータ制御装置により運行を制御されているが、この制御の詳細な内容は一般のエレベータ制御と何ら変わらないので説明を省略する。図3に示すように、本発明の第2実施形態においては、保守内容提示装置1は、エレベータかご10における開閉ドア11が設置されている右内側の壁面12に設けられる操作パネル13に取り付けられた選択手段としての選択ボタン7と、表示手段としてのLCD表示装置8とを備えている。壁面12には、コントロールパネル(以下、CP―Control Panel―)14も設けられている。
図3において、CP14は、図示されないエレベータ制御装置に接続されているが、一般の利用者が触れる必要はないので、通常は蓋をされている。保守要員は、このCP14を介してエレベータ制御装置の制御内容を確認したり、保守点検のための情報を入力したりすることができ、その場合、CP14の蓋を開けると10キーのような入力手段が設けられている。操作パネル13は、エレベータかご10のドア11を開閉するボタンや目的の階数を示すボタンを供えている。表示装置8は、液晶表示装置(以下、LCD―Liquid Crystal Display―)やCRT(Cathode Ray Tube―陰極線管―)等の表示装置であって文字情報や画像情報を表示することができる。
第2実施形態においては、図示しないエレベータ制御装置によって制御を受けるエレベータの乗り場やかご内に設置された表示装置8は、ネットワーク加入者であれば誰でもアクセス可能であるネットワーク9に接続される。また、ネットワーク9には、ホストコンピュータ15、携帯端末20を含む各種端末や、サーバ16が接続され、ネットワーク9を介して保守会社あるいはビル管理会社の管理センター3から伝送される信号の送受信を利用者の各種端末との間で送受信を行なっている。
エレベータの乗り場やかご10内に設置された表示装置8は、エレベータ利用者に対して保守内容を表示する。また、サーバ16には、保守内容を登録するデータベース4(図1参照)が設けられており、登録された保守内容はネットワーク9を介して各エレベータに配信され表示装置8により表示される。
ネットワーク9に管理センター3のホストコンピュータ15や携帯端末20を含む各種端末およびサーバ16が接続され、保守内容として故障時の障害状況および推定原因、ロープやガイドシュー等の保守用品の消耗度の度合い等の保守履歴情報、保守点検時に必要な各エレベータ用品に関する情報、予め定められた期間内のエレベータ起動回数と走行距離と各階扉の開閉回数等のエレベータの運行履歴に関する情報が表示される(図2(a)参照)。ホストコンピュータ15は、図1におけるデータベース4に格納される保守データを保守点検項目毎に分類して記憶させるテーブルを作成したり、データベース4に保存されている保守データから第1および第2の表示用保守データを作成したりする整理分類やテーブルの作成等の処理を行なっている。
また、保守内容に付随する情報として、保守担当者および保守時に判明した内容等のコメント情報を書き込むためのコメント欄が設けられている。保守作業員が監視する監視装置(図示せず)の場合とは異なり、表示装置8では障害情報を表示することは可能であるが、一般の利用者に対して全ての情報を表示することは、却って利用者を不安にさせることになる虞があるので、以下のような保守情報を表示する。
一般の利用客に対する表示画面の例としては、図示説明を控えるが、例えば、障害の発生時に、緊急の連絡先はもとより、担当保守員の保守業務に関する略歴等の情報や、該当エレベータの保守履歴に関する情報を表示する。例えば、メッセージとして「ご不便をお掛けしておりましたが、○○年△△月××日に騒音対策を実施致しました」のように表示する。また、エレベータ製造業者からのPR情報のメッセージとして、例えば、「○○年△△月××日にエレベータのデザインが新しくなります」と表示しても良い。
これとは逆に、保守情報を利用者が集める機能を持たせるようにしても良い。例えば、エレベータの乗り場やかご内に設けられた操作パネルや利用者の所持する携帯端末により利用者側から保守内容に関連する付加情報を発信するための送信端末をネットワークに接続するようにしても良い。
障害発生時の情報として、例えば、「側壁に傷がついている」、「最近振動を良く感じる」、「走行時の音が部屋の中にまで響いてうるさい」、「蛍光灯がちらついている」等の内容が考えられる。異常に気が付いた利用者がエレベータの乗り場やかご内に設けられた操作パネル、あるいは携帯端末やタブレットPC等を用いてメール機能により掲示板に書き込むようにしても良い。
次に、この第2実施形態の動作について説明する。図5、図6は、本発明の第2実施形態に係るエレベータ保守内容提示システムの動作をそれぞれ示すフローチャートである。図5は保守内容表示過程を示し、図6は保守関連情報連絡過程を示している。
図5において、エレベータの利用者が暗証番号登録をしておいた暗証番号を入力すると(ステップS1)、その時点で保守会社のデータベース(DB)4に登録された保守点検項目に対応する保守点検状況データ(図2(a)参照)が配信され(ステップS2)、各エレベータの表示装置8に出力される(ステップS3)。このようにして、利用者は、表示装置8により保守点検状況データの提供を受けることができる。この保守点検状況に関する保守データは、第1実施形態において保守管理要員が入力手段2を介して入力してデータベース4内に格納させたものである。一旦、ステップS1ないしS3のようにして表示用の保守データを項目別に出力すると、他の一般のエレベータ利用者がかご内に入ってきてもその表示用保守データに関する表示が続けられる(ステップS4)。
なお、ここで、利用者は表示される保守データのメニューから知りたい保守内容を選択するように構成することも可能である。この場合、ステップS1とS2の間で管理センターのデータベース4に対して保存する保守データの保守点検項目を配信させて、その項目の中からその利用者が知りたい項目を幾つか選択すると、第1の表示用保守データのような詳細な表示用データの中から特定の項目の保守データを選択表示することもできる。利用者が表示手段に表示した保守データが希望するものでなかった場合には、次候補を選択して、知りたい項目を表示させることもできる。このようにして、利用者は希望する保守内容を取得することができる。
本第2実施形態によれば、利用者はネットワーク9を介して表示装置8により表示用保守データの情報提供を受けている。したがって、エレベータのオーナにとっては、サービスが行き届いていることを宣伝することができると共に、利用者はそのエレベータの保守内容を確認することにより、安心感を得ることができる。
第2実施形態による付加的な機能として、図6に示すような利用者からの保守内容に関連する付加情報の発信がある。付加情報は、エレベータの故障発生時に管理センターに対して利用者が表示用保守データを要求する要求情報であっても良く、故障発生時に利用者が対処すべき行動マニュアルを要求する緊急情報であっても良い。
図6において、一般の利用者は、エレベータの乗り場あるいはかご内の入力手段、例えば利用者の携行する移動端末20や、乗り場あるいはかご内の操作パネル13の操作ボタン等を用いてこれらの各端末から付加情報を発信する(ステップS5)。送信端末はインターネット9等の公衆通信網に接続されており、故障等が発生したときの通報内容や、その他の利用者が気付いた事項などについて、ネットワーク9を介して図示しないWEBの掲示板に書き込むことができる(ステップS6)。
その後、この各端末から入力された付加情報は、管理センター3の表示装置8上に表示されて(ステップS7)、待機している保守要員に対してその内容が伝達される(ステップS8)。保守要員は連絡されてきた一般の利用者からの付加情報に基づいて何らかの対策を講じることになる(ステップS9)。このような付加的な機能を持たせることにより第2実施形態の保守内容提示システムは、故障発生時の緊急連絡手段としての機能を併せ持つことができる。
特に、従来の故障通報システムよりも優れている点は、故障が発生した時点で、保守要員への直接の通知により故障を知らせることができるので、インターホンやかご内電話等による連絡とは異なり、故障通報に対する確認の手間や、エレベータ管理者への問い合わせ等の過程を省略することができ、保守作業員のデータ収集のための必要とする時間および労力を軽減することができると共に、通常の故障発生時では想定外の利用者としての観点から故障に対する調査を可能にしている。例えば、閉じこめ事故においては、かご内に閉じこめられた利用者の救出と並行して故障の原因を究明するための調査を行なうこともでき、さらに、保守履歴や運行履歴等を瞬時に読み込んで表示することも可能なので、故障の原因究明作業を即時に行なうことができる。
また、インターホンや電話等のように音声データのみにより伝達する連絡媒体とは異なり、定量化可能な画像データとして故障や保守点検に関するデータを表示することが可能となるので、見易く理解し易いだけでなく、より安心感を与える効果もある。また、緊急事態の発生を音声だけで通知するのではなく、文字情報や画像情報として画像データにより伝送するので、そのデータを保存することにより、仲介者の存在による恣意的な意見や誤報等が介入する余地がなく、正確な情報の伝達が可能となる。このような利用者側からの保守情報に対する選択手段や故障通知の入力手段を付加することにより、利用者の希望する保守内容を提示することができ、保守内容の提示が双方向性を備えることになって、保守内容の提示を保守要員の一方的な作業に終わらせることがなくなり、この点でも利用者に安心感を提供することができる。
第1実施形態のエレベータの保守内容提示システムの構成を示すブロック図である。 第1実施形態の動作を説明する模式図である。 第2実施形態の保守内容提示システムが設けられるかご内の外観を示す正面図である。 第2実施形態の構成を示す模式図である。 第2実施形態の動作を説明するフローチャートである。 第2実施形態の付加的機能の動作を説明するフローチャートである。
符号の説明
1 保守内容提示システム
2 入力手段
3 管理センター
4 データベース
5 第1の表示用保守データ保存手段
6 第2の表示用保守データ保存手段
7 選択手段
8 表示手段
10 エレベータかご
13 操作パネル
15 ホストコンピュータ

Claims (5)

  1. エレベータ装置についての保守点検項目にしたがって前記エレベータ装置の保守点検状況に関する保守データを入力可能な入力手段と、
    前記入力手段より入力された前記エレベータ装置の前記保守データを集計して前記保守点検項目ごとに保存するデータベースと、
    前記データベースに保存された前記エレベータ装置に関する前記保守データの中から専門家用のデータに基づいて詳細な表示用保守データを作成して保存する第1の表示用保守データ保存手段と、
    前記データベースに保存された前記エレベータ装置に関する前記保守データの中から一般利用者用のデータに基づいて簡略な表示用保守データを作成して保存する第2の表示用保守データ保存手段と、
    所定の選択操作により前記第1および第2の表示用保守データ保存手段にそれぞれ保存された前記詳細な表示用保守データおよび簡略な表示用保守データの何れかを選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された詳細な表示用保守データまたは簡略な表示用保守データを表示可能な表示手段と、
    を備えることを特徴とするエレベータの保守内容提示システム。
  2. 前記データベース、第1および第2の表示用保守データ保存手段は、前記エレベータ装置を含む複数のエレベータ装置を集中管理する管理センターに配置され、前記選択手段は前記エレベータ装置の個別の操作パネルごとに配置され、前記管理センターと前記エレベータ装置はオンライン接続されて前記エレベータ装置からの選択表示の要求に基づいて前記表示手段に前記第1または第2の表示用保守データを表示することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの保守内容提示システム。
  3. 前記入力手段は移動通信端末であり、該移動通信端末は公衆通信回線網を介して前記管理センターに接続されて、前記エレベータ装置に関する前記保守データを入力可能であると共に、前記移動通信端末を用いて付加情報の送受信を可能にすることを特徴とする請求項2に記載のエレベータの保守内容提示システム。
  4. 前記選択手段および前記表示手段は前記エレベータ装置のかご内の操作パネルの近傍に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のエレベータの保守内容提示システム。
  5. 前記選択手段および前記表示手段は前記エレベータ装置の乗り場に設けられた操作パネルの近傍に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のエレベータの保守内容提示システム。
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