JP2006264832A - エレベータの群管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各エレベータ毎に、時間軸上及び位置軸上で示される各エレベータが目標とすべき目標ルートを生成する目標ルート生成手段101と、時間軸上及び位置軸上で示される各エレベータの実軌跡が各目標ルートに沿うように、発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段2を備えた。これにより、将来的に目指すべき状態へと誘導する目標ルートを作成して、それに従うようにかごの割当てを実行するため、長期的に安定した各かごの時間的等間隔制御を実現できる。
【選択図】図1
Description
1)発生済みのホール呼びに対しての最適なかご割当てであり、将来呼びの影響が考慮されていない。
2)評価関数のみを指標にして、評価関数最小のかごに割当てているため、各かごの配置関係が考慮されていない。かご同士の連係という概念がない。
1)等間隔優先ゾーン制御(特開平1−226676号公報に開示)
2)等間隔優先ゾーン・抑制ゾーン制御(特開平7−117941号公報に開示)
上記2方式はそれぞれ、各かごに対して、サービスする階床に優先ゾーン,抑制ゾーンを設定して、新規に発生したホール呼びが優先ゾーンにあれば割当てやすく、抑制ゾーンにあれば割当ててにくくなるように割当て評価値を操作する。これにより、各かごの間隔が時間的等間隔に近づくことを狙いとしている。
3)時間的等間隔状態を指標に取り込んだ割当て評価制御(特公平7−72059号公報に開示)
先の時点での各かごの配置を予測して、その時点での各かごの時間的間隔を予測する。この予測かご間隔から割当て制限評価値を演算して、かごが一部の階床域に偏って割当てられることがないように割当てを制御する。この結果、各かごの間隔が時間的等間隔に近づくことを狙いとしている。
4)サービス可能時間分布均等化による割当て補正(WO98/45204号公報に開示)
基本の考えは3)の方式と同じである。先の時点での各かごの配置を予測して、この予測かご位置から、各階に対して最も早く応答できるかごの到着予測時間をサービス可能時間を算出する。さらにこのサービス可能時間の分布を算出して、サービス可能時間の分布が均等になるように、ホール呼びの割当て評価値を補正する。この結果、各階へのサービス可能時間が均等化することを狙いとしている。
5)位置評価値による割当て方式(特開2000−118890号公報に開示)
この方式では、各かごに対して、各かごの配置が偏らなくするための位置評価値を算出して、位置評価値を加味した割当て評価値によって、ホール呼びに対する割当てを決定している。この位置評価値は、ホール呼びが発生した場合の自号機の絶対的な位置と、他号機の絶対的な位置の平均値との関係に基づいて算出される。この方式も、各かごの配置の均等化を狙いとしている。
(予想ルート1)となり、新規ホール呼びを割当てた場合はB034のルート(予想ルート2)となる。ここで、本発明の群管理制御では、各号機の動きを目標ルートに従うように動かすことにある。従って、目標ルートにより近づくのはB033の予想ルート1、即ち、ホール呼びを割当てず通過させるルートの方であり、1号機にはこのホール呼びを割当てないようにする。この結果、1号機の実際の軌跡は目標ルートに追従するように動作する。
1)図8に示すように、各かごに対して、時間軸上で目標となる軌跡,目標ルートを設定する。
2)図9に示すように、各かごの軌跡が目標ルートに追従するように、目標ルートと予想ルートを比較して、より目標に近づくようなかごにホール呼びの割当てを決める。
3)その結果として、各かごは目標ルートに追従するように動作する。
4)ここで、目標ルートは、基本的には、各かごの軌跡が時間的に等間隔になるように設定するため、各かごは長期的に安定して、時間的等間隔状態になるように制御される。
(42A,42B,42C)とその各々のエレベータを個別に制御する各エレベータ毎
(1号機からN号機)の制御装置(41A,41B,41C)、そして複数台のエレベータを1つのグループとして統括制御する群管理制御部1により構成される。ここで、1号機からN号機までの各エレベータの制御装置(41A,41B,41C)は、各エレベータに割当てられたホール呼びとホール呼びより派生するかご呼びの情報を基に位置や速度を制御する。
(位置,進行方向,既に割当てられるホール呼び,派生したかご呼び,ホール呼びの待ち時間等)を基にして、目標ルート制御部101で最適となる号機を評価し、この号機にホール呼びを割当てることにある。以下、この働きを詳しく説明する。
ΦT(k)は次式によって表される。
ここで、kはかごがk号機であることを表している。重み係数WCはその時点の交通流状態に対応して値が変わるような特性をもつ。例えば、閑散時(深夜,早朝など)のような場合は、ホール呼びの発生が少ないため、ルート評価値よりも待ち時間評価値を重視するのが適切であり、WCの値は小さくする。他方、混雑時は、ホール呼びが頻繁に発生するため、目標ルートによる制御が有効であり、WCの値は大きくする。このように(A)式のような総合評価値を用いることによって、交通流状態に対応して、待ち時間による割当て評価と目標ルートによる割当て評価のバランスを取ることができる。
(図1の平均停止数データ部5より入力)と停止時間(図1の停止時間データ部6より入力),有効台数とその号機名(図1の有効台数・号機データ部12より入力),対象となるサービス階床(図1のサービス階データ部13より入力))が制御に必要となる入力情報として更新される。尚、図19では便宜上、入力情報処理として一括して上記の情報を入力する形で表しているが、各情報を必要な時にのみ入力する形、例えば、図19の全体のフローの中でいくつかに分けて入力するようにしてもよいし、時間的に分けて入力するようにしてもよい。また定格速度等の各エレベータ号機の仕様情報(図1の各かご号機の仕様データ部より得られる情報)は、エレベータが据付けられているビルで決まる値のため、あらかじめ定数として設定されるものとする。次の目標ルート仕様設定処理(ST
102)では、図1の目標ルート仕様設定部102の働きにより、目標ルートの仕様が設定される。基本的にこの仕様は、時間的等間隔状態が設定される。目標ルート作成処理
(ST104)では、図1の目標ルート作成部103の働きにより、設定された目標ルート仕様に従った目標ルートが作成される。予想ルート作成処理A(ST104)では、図1の予想ルート作成部104の働きにより予想ルートが作成される。次に、例えば新規にホール呼びの発生が検知された場合など、ホール呼びに対するかご割当て処理が発生した場合(ST105)は、その条件分岐以下に図示されている一連のかご割当て処理が実行される。以下、かご割当て処理の流れを説明する。ここでは、各かごにホール呼びを仮に割当て設定する処理を、ループ処理によって実行する。このループを図19では仮割当てかごループ(ST106)と名付けている。仮割当てかごループ(ST106)では、仮割当てかごを、ka号機として、変数kaを1号機からN号機まで1つずつ変えて、各エレベータ号機に対する処理をループ上で実行する。図1の仮割当てかご設定部が上記の仮割当て設定処理を実行する。ループ内部では、まず予想ルート作成処理B(ST107)が実行される。これはホール呼びをka号機に仮割当てた条件で、その時の予想ルートを作成する処理である(予想ルート作成処理A(ST104)は仮割当てかごを考えていないのに対して、予想ルート作成処理B(ST107)は仮割当てかごを反映した予想ルートを作成する)。この処理は、図1の予想ルート作成部104で実行される(仮割当てかごの情報は図1の仮割当てかご設定部3より得られる)。次に、作成した仮割当てかごka号機の予想ルートを用いて、仮割当てかごをka号機
(Ka=1からNまで)とした場合のルート評価関数を演算する(ST108)。このルート評価関数は、基本的に目標ルートと予想ルートとの近さ度合いを表す指標であり、その演算は図1のルート距離指標によるルート評価関数演算部105によって実行される。次に、仮割当てかごka号機に割当てられているホール呼びの予想待ち時間に基づいて、待ち時間評価値を演算する(ST109)。待ち時間評価値は、新規に発生したホール呼びに対して各かごを仮割当てした場合の予想待ち時間とする方法、新規に発生したホール呼びに対して各かごを仮割当てした場合に、それぞれのかごに対して既に割当てられている全ホール呼び中の予想待ち時間の最大値とする方法が考えられる。上記処理によって算出されたルート評価関数値と待ち時間評価値とを重み付け加算することによって総合評価値が演算される(ST110)。総合評価値の算出式は(A)式のようになる。以上の仮割当てかごループ内処理は、ループが終了する(kaがNになるまで)まで繰り返される
(ST111)。この結果、仮割当てかごka号機をka=1からNまで変えて仮割当てしたN個(群管理台数分)の総合評価値が得られる。割当てエレベータ選択処理では、N個の総合評価値を基にして、最適な割当てかごを選択する(ST112)。この処理は図1の割当てエレベータ選択部2で実行される。以上、説明した図19のフローチャートに従うことによって、新規ホール呼び発生時に、各エレベータかごにホール呼びを仮割当てして、それぞれの場合の予想ルートと目標ルートととの近さ具合をルート評価関数で表すことができ、さらに予想待ち時間に基づく指標を加えて、その中から最適な評価値(最小の評価値)となる仮割当てかごを実際に割当てるかごとして選択する。
103B)で、その時点の各エレベータかごの予想ルートに対して、各かごのルートの間隔状態を位相時間値という指標で評価する。ここで、‘位相’の考えを用いる理由は、例えば、電気回路理論で正弦波の3相交流の波形を考えた場合、各相の波形が均等化している状態とは、各相の位相が2π/3(rad) ずつの等位相の状態であることに基づいている。つまり、各かごのルートを波形と見なして、その波形に対して‘位相のような指標’を用いれば、各ルートに対する間隔の状態を評価しやすくなる。この‘位相のような指標’が、本発明で用いる位相時間値という指標に対応する。位相時間値については後ほど詳しく説明する。現状の位相時間値算出部(図2の103B)でその時点での位相時間値を算出した後、その位相時間値を均等にするための各かごの位相時間値調整量を、各かごの位相時間値の調整量算出部(図2の103C)において計算する。上記で算出された調整量を基にして、調整後ルート作成部(図2の103D)にて、元の各かごの予想ルートの時間位相値を調整する。調整の結果得られたルートが各かごに対する目標ルートとなる。
11(A)の図(調整前の目標ルート形状)は、図2で説明した目標ルート作成のベースになる現時点での各かごの予想ルートに対応している。ここでは3台のエレベータ群管理システムを考えている。図11(A)において、1号機のかご(C010),2号機のかご(C020),3号機のかご(C030)は、現時点の軸上(C050)でそれぞれ、8階を下降中、3階を下降中、4階を下降中の状態にある。この3台のかごの現時点以降の予想ルート(予想される軌跡)はそれぞれ、1号機が実線の軌跡(C011)、2号機が一点鎖線の軌跡(C021)、3号機が点線の軌跡(C031)となっている。尚、予想ルート作成法については予想ルート作成部の説明の項で詳しく説明する。これらの軌跡は明らかにそれぞれが接近しており、だんご運転状態に近いことが分かる。図2の目標ルート作成部の制御構成に戻って、まず目標ルート更新判定部(図2の103A)で、目標ルートの更新が判定された場合、現状の位相時間値算出部(図2の103B)では、図
11(A)の各かごの予想ルート(図11(A)のC011,C021,C031)に対して、これらを一種の波形と見なして、それぞれの位相時間値を算出する。この位相時間値は、図11(A)のグラフ中の調整基準時間軸(C040)を各かごの予想ルートが横切る交点で計算される。次に、この位相時間値を基に、それぞれの予想ルートが等間隔状態になるための調整量が、各かごの位相時間値の調整量算出部(図2の103C)で計算される。この調整量は図11(A)上では、調整基準時間軸上(C040)の3つの黒丸の点として表される。例えば1号機の場合は、C01Aの点が調整量を反映した点であり、1号機の予想ルート(図11(A)のC011)はこの点(C01A)を通るように次の処理で調整される。同様に、2号機の予想ルート(図11(A))のC021)は点C02Aを、3号機の予想ルート(図11(A)のC032)は点C03Aを通るように次の処理で調整される。この処理を実施するのが、図2の調整後ルート作成部(103D)であり、ここで調整量に基づいて予想ルートが調整されて新たな目標ルートが作成される。その結果が、図11(B)に示された軌跡になる。図11(B)は、図11(A)に示された予想ルートを基にして作成された新たな目標ルートを表した図である。3台の各かご(図11(B)のC010,C020,C030)に対して、1号機(C010)の目標ルートは実線の軌跡(C011N)であり、2号機(C020)の目標ルートは1点鎖線の軌跡(C021N)、3号機(C030)の目標ルートは点線の軌跡(C031N)となっている。この目標ルートの軌跡の特徴は、図11(B)に示されるように、時間的に等間隔な状態へ導くように各かごのルートが引かれていることにある。具体的には、図11
(B)において調整基準軸(C040)から先の時間では3台のかごの目標ルートはそれぞれ時間的に等間隔状態になっており、現時点を表す軸(C050)と調整基準時間軸
(C040)との間の時間(図11(B)で調整エリアと書いた時間領域)では、各かごをそのような時間的等間隔状態へと導くように軌跡が引かれている。図11(A)に示した予想ルートを基にして、各ルートが調整量より求めた点(図11(A)および図11
(B)の調整基準軸の点、C01A,C02A,C03A)を通るように、それぞれのルートを調整することによって、このようなルート(図11(B)に示すような目標ルート)を作成することができる。この作成法の詳細は後ほど改めて説明する。その前に、図12と図13を用いて、目標ルート作成法の基本的な考え方を整理する。
(103B3),位相時間値順のソーティング部(103B4)からなる。初期状態ルート作成部(103B1)では、その時点における各かごの予想ルートを作成してこれを初期状態のルートにする。この初期状態のルートは、図11(A)に示されている調整前の目標ルート形状に対応する。調整基準時間軸設定部(103B2)では、調整基準時間軸を設定する。調整基準時間軸における各かごの位相時間部算出部(103B3)では、調整基準時間軸における各かごの位相時間値を算出する。ここで、図15を用いて位相時間値の詳細を説明する。図15において、グラフの横軸は位相時間値を表し、縦軸はビルの階床位置を表している。図15に示されたグラフはエレベータかごの予想ルートを表したもので、この予想ルートは周期をTとする周期関数になるものと仮定する。例えば、図
11(A)の1号機の予想ルート(図11(A)のC011)がこの例に対応する。図
11(A)の1号機の予想ルート(図11(A)のC011)は周期関数になっていることが分かる。図15のグラフは、この周期関数となる予想ルートから、最下階(この場合、基準階)を始点(出発点)とする1周期分を切り出したルートになっている。このルートは、かご上昇時のルート(図15のG01)とかご下降時のルート(図15のG02)からなり、ビル内をかごが1周するルートに対応している。ここで、階床位置を位相と見なして、かごの最下階の位相を0または2π(rad) 、最上階の位相をπ(rad) とする。また正弦波と同様に考えて、位相0〜πを正の極性の位相(かごが上昇運転時を正の位相)、位相π〜2πを負の極性の位相(かごが下降運転時を負の位相)とする。この時、位相πの時点(図15の時点Tπ)では、位相が正から負に反転するため、この時点を反転位相時間Tπと名付ける。また最上階の階床位置をy_maxで表すことにする。以上の設定条件の下で、予想ルート上のあるかごの位相時間値tp(0≦tp<T)を次式のように定義する。
tp=−{(T−Tπ)/y_max}×y+T(かご下降時:Tπ≦tp<T)
…(2)
ここで、yは求めるかご予想位置を階床軸上の位置として表した量とする。例えば、図15に示した予想ルート上において、かごの予想位置y(図15のG03)に対する位相時間値tpは、式(1)より、tp=(Tπ/y_max)×yと算出することができる。位相時間値tpの特徴は、位相量を時間の次元に直した値のため、各ルートの任意の時点における位相量を位相時間値によって一意に評価できる点が挙げられる。従って、各かごの予想ルートの時間的等間隔状態の度合いを、位相時間値を用いることで容易に評価することができる。
(2号機)だけを抜き出して示している。図14(A)は、調整前の目標ルート形状としての予想ルート(図14(A)のC021)を示している。この予想ルートは図2の初期状態ルート作成部(図2の103B1)で作成される。図14(A)の調整基準時間軸
(図14(A)のC040)は、図2の調整基準時間軸設定部(図2の103B2)で設定される。この調整基準時間軸(図14(A)のC040)における2号機の予想ルート(図14(A)のC021)の位相時間値tp、即ち、2号機の予想ルートと調整基準時間軸との交点(図14(A)のC060)における位相時間値tpを算出するのが、調整基準時間軸における各かごの位相時間値算出部(図2の103B3)になる。例えば、図14(A)の交点C060の場合、かごは上昇運転状態(位相では0(rad) からπ(rad) の間)であるため、予想かご位置yから、式(1)により位相時間値tpを算出することができる。ここで、周期Tは、ビルの階床数,階床幅,かごの定格速度、そしてその時点のビルの交通流状態で決まる平均停止数,停止時間のデータから求めることができる。同様に、反転位相時間Tπも上記のデータから求めることができる。また最上階の階床位置y_maxはビルによって定まる定数になる。図2に戻り、上記のようにして各かごの位相時間値を調整基準時間軸における各かごの位相時間値算出部(図2の103B3)で算出した後、この各かごに対する位相時間値を位相時間値順のソーティング部(図2の
103B4)で位相時間値の順にソーティングする。以下、この順を位相順と呼ぶ。各かごの位相時間値tpは、図15で説明したように、1周分の波形上で定義されてものであり、図15の波形上で時間的に先の位置にあるほど位相時間値が大きくなる。一方で、
tpは、0≦tp(k)<Tの範囲にあるように調整されている。例えば、図11(A)の調整前の目標ルート形状(予想ルートに対応)における3台のかご状態を例に取ると、調整基準軸(図11(A)のC040)と各かごの予想ルート(図11(A)のC011,C021,C031)との交点より、各かごの位相時間値の順は、小さい方から3号機、2号機、1号機の位相順になる。位相時間値順のソーティング部(図2の103B4)では、ソーティングアルゴリズム(例えば、直接選択法やバブルソートなど)を用いて、このような位相順を計算している。各かごの位相時間値の調整量算出部(図2の103C)では、算出された各かごの位相時間値とその位相順を基に、各かごの間隔を位相時間値で計算して、この値と等間隔になるための基準値とを比較して、その差として表される各かごの位相時間値の調整量を算出する。予想ルートから各かごの間隔(位相時間値で評価)を求めて、これを等間隔になるための基準値と比較して、その差分をこれから調整すべき調整量とするのがここでの考え方になる。以下、図11(A)を例に各かごの位相時間値の調整量算出部(図2の103C)の処理内容を説明する。先に説明したように、図11
(A)において、各かごの予想ルート(図11(A)のC011,C021,C031)の調整基準時間軸(図11(A)のC040)における位相時間値の位相順は3号機,2号機,1号機の順になっている。予想ルートの1周時間をTとすると(3台とも1周時間は等しい)、k号機の位相時間値tp(k)は、3号機がtp(3)=0.09T 、2号機がtp(2)=0.17T、1号機がtp(1)=0.77Tとなる。位相順に各かごの間隔を計算すると、2号機と3号機の間隔はtp(2)−tp(3) =0.08T、1号機と2号機の間隔がtp(1)−tp(2)=0.6T 、3号機と1号機の間隔がtp(3)−tp(1)+T=0.32T となる。このように位相時間値により各かごの間隔を定量化することで、各かごの間隔を定量的に評価することができる。例えば、上記の結果から2号機と3号機の間隔が非常に詰まっていることが分かる。位相時間値では1周時間をTとして設定しているため、N台の群管理の場合、目標としている時間的等間隔状態での各かごの間隔はT/Nで表すことができる。図11(A)の例では、3台群管理のため、目標とするかごの間隔はT/3=0.33T になる。この目標とする間隔と、現状の各かごの間隔との差が、調整すべき間隔になる。例えば、2号機と3号機間では+0.25T
(=0.33T−0.08T)が調整すべき間隔値となり、1号機と2号機間では−0.27T
(=0.33T−0.6T)、3号機と1号機間では、+0.01T(=0.33T−0.32T)がそれぞれ調整すべき間隔値となる。上記において、符号は正の符号が間隔の増大(目標に対して現状の間隔を広げる必要がある)、負の符号が間隔の減少を表している(目標に対して現状の間隔を縮める必要がある)。この調整すべき間隔値を基に、各かごに対する位相時間値の調整量を算出する。これは次のアルゴリズムにより求めることができる。例えば、3台の群管理として、位相順にA号機,B号機,C号機の順に並んでいるとする
(一般化するため、ここではアルファベットで号機の名前を表記している)。上記より、0≦tp(A)≦tp(B)≦tp(C)<Tが成り立っている。ここで、各かごに対する位相時間値の調整量を△tp(k)(kはかごがk号機であることを表す)で表すことにする。まず調整後の各かごの間隔が目標とする間隔T/3を満たすために以下の各式が成立する必要がある。
(tp(C)+△tp(C))−(tp(B)+△tp(B))=T/3 …(4)
(tp(A)+△tp(A))−(tp(C)+△tp(C))+T=T/3 …(5)
例えば(3)式について、現状の位相時間値tp(B)に対して、調整後の位相時間値はtp(B)+△tp(B)で表される。従って、(3)式は、調整後のB号機の位相時間値と調整後のA号機の位相時間値との差、つまり間隔がT/3を満たすことを表している。ここで、上記3つの方程式は互いに独立していないため、この3式のみでは、△tp(A),△tp(B),△tp(C)について解くことができない。そこでもう一つの条件として、現状の各かごの位相時間値で見た配置上の重心と、調整後の各かごの位相時間値で見た配置上の重心が一致するという条件を加える。この条件は次式のようになる。
+(tp(B)+△tp(B))+(tp(C)+△tp(C))}/3…(6)
(6)式を整理すると(7)式のようになる。
(3),(4),(5),(7)式を、△tp(A),△tp(B),△tp(C)について解くと、次式のようになる。
+(−1/3)T …(8)
△tp(B)=(1/3)tp(A)+(−2/3)tp(B)+(1/3)tp(C)
…(9)
△tp(C)=(1/3)tp(A)+(1/3)tp(B)+(−2/3)tp(C)
+(1/3)T …(10)
まとめると、調整前の位相時間値が、0≦tp(A)≦tp(B)≦tp(C)<Tとなる、3台のかご、A号機,B号機,C号機に対して、各かごが調整後に時間的等間隔状態となり、かつ調整前後で3台の配置上の重心が変わらないという条件を満たすような調整量△tp(A),△tp(B),△tp(C)は、それぞれ式(8),(9),(10)によって求めることができる。例えば、図11(A)を例に取ると、この図のケースでは、A,B,C号機は、それぞれ3,2,1号機となる。従って、tp(A)=tp(3)=0.09T,tp(B)=tp(2)=0.17T,tp(C)=tp(1)=0.77Tとなり、各かごに対する調整量は(8),(9),(10)式より、△tp(A)=
△tp(3)=−0.081T,△tp(B)=△tp(2)=0.177T,△tp(C)=−0.096Tのように求められる。確認として、調整後のそれぞれの位相時間値を求めると、tp(A)+△tp(A)=tp(3)+△tp(3)=0.010T,tp(B)+△tp(B)=tp(2)+△tp(2)=0.343T,tp(C)+△tp(C)=tp(1)+△tp(1)=0.677T となり、それぞれのかごの間隔は、全て
0.33T になり等間隔の条件を満足できている。次に図2に戻り、各かごの位相時間値の調整量算出部(図2の103C)で求めた調整量を用いて、調整後ルート作成部(図2の103D)により、調整後のルートを作成する処理の詳細を説明する。調整後ルート作成部では、まず各かごのルート上のグリッドの調整量算出部(図2の103D1)で、各かごの調整前の目標ルート(予想ルートに対応)上のグリッドの調整量を算出する。始めに、図14(A)によりグリッドについて説明する。図14(A)は、分かりやすいように、2号機の調整前の目標ルート(予想ルートに対応)だけを抜き出した図を表している。グリッドとは、調整エリア内での対象としているルートの方向反転点と定義しており、図14(A)においては、調整前の目標ルート(C021)の3つの方向反転点C022,C023,C024がグリッドとなる(調整エリア内の方向反転点がグリッドになるので、上記3つの点に限定される)。このグリッドの位置を水平方向に調整することによって、対象としているルートの位相時間値を調整できる。各グリッドの調整量は、そのかごの調整量を総量として、現時点に近いグリッドから順にそのグリッドに設定されたリミッタ値を超える値まで割当てる方法で決定される。ここで、各グリッドの調整量のリミッタ値は、グリッドのリミッタ値設定部(図2の103D2)で設定される。上記の方法を図
14(A)のケースを例に取って説明する。まず2号機の3つの各グリッドに対するグリッドの調整量を、△gtp(k=2,i=1,2,3)とおく。ここで、kは号機の番号を表し(2号機の場合はk=2)、iはグリッドの番号を表す。グリッド番号iは、現時点から将来方向に、番号の若い順で番号付けをする。また各グリッドの調整量に対するリミッタ値をL△gtp(k=2,i=1,2,3)とおく。既に求めたように、2号機の位相時間値の調整量は、tp(2)+△tp(2)=0.343T であり、これをリミッタ値以下となるように、△gtp(k=2,i=1),△gtp(k=2,i=2),
△gtp(k=2,i=3)にそれぞれ割り付けていく。例えば、各グリッドのリミッタ値を、L△gtp(k=2,i=1)=0.2T,L△gtp(k=2,i=2)=0.2T,L△gtp(k=2,i=3)=0.1T とすると、まず1つ目のグリッドの調整量は、△gtp(k=2,i=1)=0.2T(=L△gtp(k=2,i=1);リミッタ値に張り付く)となる。また残りの位相時間調整量の総量は0.343T−0.2T=
0.1143T となる。次に2つ目のグリッドの調整量は、△gtp(k=2,i=2)=0.143T となる。残る位相時間調整量の総量はゼロとなるため、3つ目のグリッドの調整量は、△gtp(k=2、i=2)=0となる。図2に戻り、調整後のグリッド位置算出部(図2の103D3)では、各グリッドに対する調整量(△gtp(k,i))と、調整前の当該グリッドの位置(これをgp(k,i)とおく)より、調整後のグリッド位置(これをgp_N(k,i)とおく)を計算する。例えば、k=2号機で、グリッド数が3個(i=1,2,3)の場合、それぞれのグリッドの計算式は次のようになる。
gp_N(k=2,i=2)=gp(k=2,i=2)+△gtp(k=2,i=1)
+△gtp(k=2,i=2) …(12)
gp_N(k=2,i=3)=gp(k=2,i=3)+△gtp(k=2,i=1)
+△gtp(k=2,i=2) +△gtp(k=2,i=3) …(13)
グリッドの調整量は後続のグリッドに引き継がれていくため、一番最終のグリッドでは、そのかごに対する位相時間値調整量の総量分だけ、位置が調整されるようになる。以上のようにして、調整された各グリッドの位置に対して、これらを結び付けることによって、新たな目標ルートを作成することができる。目標ルートデータ演算部(図2の103D4)では、この新たな目標ルートデータを演算して更新する。図14(B)の太字で描かれたルートは、図14(B)の調整前の目標ルート(予想ルートに対応)を基にした、調整後の目標ルートを表している。図14(B)上で、調整前の目標ルートが細い1点鎖線
(C021)で表されており、調整後の目標ルートが太い1点鎖線(C021N)で表されている。調整後のグリッド位置算出部(図2の103D3)で、調整後のグリッド位置が算出されて、その結果、C022のグリッドは調整後にC022Nにシフトする。同様に、C023のグリッドはC023N,C024のグリッドはC024Nにそれぞれシフトする。この3点のグリッドをつなぎ合わせると、太字の1点鎖線のルート(C021N)を描くことができ、これが新たに更新される目標ルートとなる。図14(B)から分かるように、新たに更新された目標ルート(調整後の目標ルート)は、位相時間値の調整量に設定された調整後の目標点を通過する。上記のように、各かごのルートが調整後の目標点を通過するように調整されるため、その結果は、図11(B)のようになり、調整基準時間軸(図11(B)のC040)以降で、3台の目標ルート(C011N,C021N,C031N)は時間的等間隔状態になっている様子が分かる。当然、各ルート(C011N,C021N,C031N)は、それぞれの調整後の目標点(図11(B)のC01A,C02A,C03A)を通過している。また、グリッドによって調整されている調整エリア内の目標ルートは、調整基準時間軸以降で時間的等間隔状態になるための過渡的な案内役の役割を担っていることも分かる。以上、目標ルートの作成処理の詳細を図2を基に説明した。
(ST205)。これは、図2の各かごの位相時間値の調整量算出部(103C)で実行される。この処理の詳細についても既に説明している。算出した各かごの位相時間値の調整量を基にして、再度、かご号機ループを実行して(ST206)、各かごに対して、調整後のルート作成処理を行う(ST207)。この調整後のルート作成処理は、図2の調整後ルート作成部(103D)で実行される。この処理の詳細についても既に説明している。全てのかごに対して上記の処理を実行したならば、かご号機ループから抜けて
(ST208)、目標ルート作成処理が終了する。
24のST602)でループ処理を行い、各かごに対して、目標ルートと予想ルートとの距離(ルート間距離)を算出して、この距離が所定のしきい値以上でないかを判定する
(ST603)。目標ルートと予想ルートとの距離(ルート間距離)は目標ルートと予想ルートがどれ位離れているかを表す指標であり、詳細は後ほど図18により説明する。この処理の考え方は、目標ルートと予想ルートとのかい離が大きくて、目標の方を修正しなければならない場合に、それを所定のしきい値で判定するという考え方になる。各かごについて、1つでもルート間距離がしきい値以上の場合は(ST603)、目標ルートの更新処理を実施する(ST606)。全てのかごについてルート間距離をチェックして
(ST604)、ルート間距離が全てのかごに対してしきい値より小さい場合は、目標ルートは更新せず、現在の目標ルートをそのまま用いる(ST605)。目標ルートの更新については、適宜修正して常に適正な目標ルートに保たせる考え方(‘柔軟な目標ルート’)と、一度決めた目標ルートはしばらくは変えず、できるだけそれを維持する考え方(‘確固たる目標ルート’)の2つの考え方ができる。それぞれに長所・短所があるため、図
18で説明した更新周期とルート間距離のしきい値の2つの制御パラメータを適切に設定すればよい。
(104B1)で算出された階床毎の到着予測時間を基に、上記に述べた手順に従って予想ルートのデータを作成する。手順をもう一度まとめると、階床毎の到着予測時間を、将来の時間に対するかごの予想位置と考えて、横軸を時間軸、縦軸を階床位置にした座標軸上の点に写像して、各点を線分で結び付けることにより予想ルートを作成することできる。この時、予想ルートは、横軸を時間軸、縦軸を階床位置にした座標軸上の関数と考えることができ、時間をt、階床位置をy、かごの号機番号をk(1≦k≦N:Nはかごの合計台数)とすると、y=R(t,k)として表すことができる。
(図6の説明で記述した情報)に加えて、階床毎の到着予測時間を演算し(階床毎の到着予測時間演算部104A1で実行)、さらにそれを基に予想ルートデータを演算する(予想ルートデータ演算部で実行)。このようにして得られた仮割当てを反映した予想ルートは、時間−階床位置の座標上で関数R(t,ka)として表すことができる。仮割当て以外のかご(ka号機以外のかご)については、図6で説明したプロセスと全くと同じ処理を行う。まず階床毎の到着予測時間演算部(104A3)で階床毎の到着予測時間を算出して、これを基に予想ルートデータ演算部(104A4)で予想ルートデータを作成する。得られた予想ルートは関数R(t,k)(1≦k≦N、但しk≠ka)として表すことができる。
面積を求める時間範囲は、現時点から調整基準軸までの範囲、つまり調整エリアの範囲に定める。これより、面積を求める領域は、図18(A)の目標ルートR*(t,k)
(F011)と予想ルートR(t,k)(F012)に挟まれた領域内の縦線によって示された領域となる。以上より、目標ルートと予想ルートとのルート間距離をL[R*(t,k),R(t,k)]として表すと、L[R*(t,k),R(t,k)]は次式によって表すことできる。
(積分区間は調整エリア) …(15)
実際にマイコン等で演算する場合、上記の積分式は矩形の面積の積算で近似的に算出される。例えば、図18(A)において、目標ルートを予想ルートに挟まれて時間軸方向の長さが△tの矩形(F013)を考える。この矩形の面積を△Sとすると、△Sは次式で表される。
調整エリア全体にわたって、このように△t毎に矩形を切り出して、その面積を積算すると、近似的に式(15)の値を計算することができる。この方法は次式のように表すことができる。
図18(B)は、階床位置の軸方向に積分する場合の例を表している。階床軸を表す変数をyとして、目標ルートをR*(y,k)、予想ルートをR(y,k)で表すと、この場合のルート間距離を表す式は次のようになる。
(積分区間は全階床) …(17)
図18(B)を見ると分かるように、階床軸方向に積分する場合、同じyの値でも
R*(y,k)は2つ以上の値を取りうることがある(R(y,k)についても同様)。従って、実際に計算する場合には注意が必要となる。このように階床軸方向の積分は処理が複雑になるため、実際のケースでは時間軸方向の積分(式(15)また式(16))を用いるのがよい。
R(t,k)]がルート間の距離演算部105Cで算出される。ルート間距離L[R*(t,k),R(t,k)]は、絶対値演算部105Dで絶対値|L[R*(t,k),
R(t,k)]|に変換されて、さらに積算演算部でka号機を除く全てのかごについてのルート間距離が積算される。この積算値は次のように表される。
加算演算部105Bでは、絶対値演算部105Bで算出された結果と積和演算部105Eで算出された結果が加算されて、ka号機に仮割当てした場合のルート評価関数ΦR(ka)が計算する。ルート評価関数ΦR(ka)は次式のように表される。
従来方式で用いられている予想待ち時間を用いた割当て評価関数の場合は、仮割当てかごのみで評価関数を計算するのが一般的であるが(式(19)を例にすると、式(19)の第1項のみを計算する)、本発明のようなルート間距離を用いた割当て評価関数の場合は、式(19)のように、仮割当てかごka号機に、仮割当て以外のかごに対する評価項(式(19)の第2項)を加えるところが特徴となる。
Σ|L[R*(t,k),R(t,k)]|が加算されて、式(19)で表されるルート評価関数ΦR(ka)が計算される(ST507)。
(または調整前の目標ルートとも呼んでいる)として、予想ルートを適用した。この予想ルートは、図5または図6で説明したように、その時点の交通流状態を反映した各階毎
(かつ方向別)の平均停止数,平均停止時間のデータを用いて作成している(この他に、既に割当てられたホール呼び停止データ,発生しているかご呼び停止データも含んでいる)。そのため、まず予想ルートの形状は、その時点の交通流状態を反映させた形状になっている。例えば、出勤時の場合は上昇方向の停止数がほとんどのため(1階で乗客が乗って、各階で停止して乗客が降りて、また1階に戻る)、予想ルートの形状は上昇方向の傾きが緩やかで(△y/△tが正で小さい)、下降方向の傾きが急な(△y/△tが負で大きい)形状となる。目標ルートは、この予想ルートを基に調整エリアのグリッドを調整して作成させるため、目標ルートもまたその時点の交通流状態を反映した形状となっている。例えば、出勤時の目標ルートは、出勤時の交通流状態を反映した上昇方向の傾きが緩やかで、下降方向の傾きが急な形状をなしており、昼食前半時や退勤時の目標ルートは、その交通流状態を反映した上昇方向の傾きが急で(平均停止数が少)、下降方向の傾きが緩やかな(平均停止数が大)形状をなしている。つまり、図2に示した目標ルートの作成方法によって、その時点の交通流の状態を反映させた的確な目標ルート形状を作成することができる。本発明で示した目標ルートによる制御方法は、その基準となる目標ルートの作成方法が制御の性能を決める大きな鍵を握っており、交通流状態を的確に反映できる図2の目標ルート作成方法は非常に有効な方法と言える。
(目標ルート作成のための初期状態のルート)を表し、これは第1の実施例と同様にその時点での予想ルートが使われる。図16(B)は調整後の目標ルート形状を表している。第2の実施例である図16(B)の目標ルート形状と第1の実施例である図11(B)の目標ルート形状との違いのポイントは、現時点の軸のところにある。まず図11(B)
(第1の実施例)では、目標ルートは現在のかご位置を始点に引かれている。一方で、図16(B)(第2の実施例)では、目標ルートは現在のかご位置を始点にはしていない。両者の違いはそれぞれの目標ルートに対する思想による。図11(B)(第1の実施例)では、目標ルートを、現時点のかご位置から過渡的にどういうルートたどれば時間的等間隔状態に至るかを明示したルートになっている。一方、図16(B)(第2の実施例)では、目標ルートを、本来そこに到達すべきルートとして示している。わかりやすい言葉で表現すると、図11(B)(第1の実施例)の目標ルートは、現在の位置からどういう経路をたどれば時間的等間隔になるかを案内する‘親切な’目標ルートであるのに対して、図16(B)(第2の実施例)の目標ルートは、上記の案内部分がなく、始めからたどり着くべきルートを示して「とにかくここまで来なさい」という意図の目標ルートになっている。上記の思想の違いが、目標ルート作成時に目標ルートが現時点のかごを始点にしているか否かの違いになって表れている。
3)目標ルートデータ演算部103E3でグリッドをつないで目標ルートデータを計算する。以下、この調整後ルート作成部103Eの詳細処理内容を説明する。まず各かごの位相時間値の調整量算出部103Cで算出された位相時間調整量△tp(k)(kはかごがk号機であることを表す)を用いて、調整基準軸上の各かごの目標点が、調整基準軸時間軸における各かごの目標点算出部103E1で計算される。調整前の位相時間値をtp(k)(この位相時間値は調整前ルートの調整基準時間軸上での位相時間値となる)とすると、調整後の位相時間値tp_N(k)は次のようになる。
この調整後の位相時間値tp_N(k)を調整基準軸上の位置(階床軸上の位置)で表した点が、各かごの目標点になる。各かごの目標点の位置をy_N(k)とすると、これは次式によって算出できる(図15を参照)。
y_N(k)=(y_max/Tπ)×tp_N(k) …(21)
かごが下降方向の場合
y_N(k)=−{y_max/(T−Tπ)}×(tp_N(k)−T)…(22)
調整前の目標ルート形状を示した図16(A)上で、各かごの目標点は、点E012
(1号機の目標点),点E022(2号機の目標点),点E032(3号機の目標点)として表されている。この目標点を基準にして、各かごの調整前の目標ルート(予想ルートに対応)E011,E021,E031が、各目標点を通るようにグリッドの平行移動の処理を行い、調整後の目標ルート(図16(B)のルート)を算出する。図3に戻り、目標点を起点にしたグリッド位置算出部103E2では、この平行移動の処理を計算する。調整前の目標ルートに対する各かごの各グリッド(方向反転の点)の時間軸上の位置を
gp(k,i)(kはかごがk号機であることを表し、iはグリッドの番号を表す)とおき、調整後の目標ルートに対する各かごの各グリッドをgp_N(k,i)とおくと、調整後のグリッドgp_N(k,i)は次式によって求めることができる。
式(23)は、かごk号機のグリッドを全て調整量tp_N(k)だけ平行移動させることを表している。目標ルートデータ演算部103E3では、調整後の各グリッドの時間軸上の位置gp_N(k,i)から、これらをつないだ線分によって計算される目標ルートデータを演算する。以上の処理によって、調整前の目標ルート(図16(A)のE011,E021,E031)は、時間的に等間隔な調整後の目標ルート(図16(B)の
E011,E021,E031)に変換される。図16(B)の調整後の各目標ルートを見ると、意図した通りに調整基準軸(図16(B)のE040)上の目標点E012,
E022,E032を通過していることが確認できる。尚、上記の説明から分かるように、目標点自身は、調整後の目標ルートを算出するための処理に直接関係はしない。従って、図3の調整後ルート作成部103Eから、調整基準時間軸における各かごの目標点算出部103E1を除いても調整後の目標ルート(図16(B)のE011,E021,
E031)を得ることができる。目標点自体はあくまで動作確認などの用途のために用いられる。また補足として、図16(B)を見ると、現時点の時間軸(E050)と調整基準時間軸(E040)との間の調整エリア内の目標ルート形状も完全に時間的等間隔状態になっている。しかし、図16(B)は、分かりやすい例として、各かごに対して既に割当てられているホール呼びやかご呼びが無い条件で考えているためで、既にホール呼び・かご呼びが割当てられている場合は、各かごで不均等に呼び停止が割当てられるため、調整エリア内では必ずしも時間的等間隔状態になるわけではない。
101…目標ルート制御部、102…目標ルート仕様設定部、103…目標ルート作成部、103A…目標ルート更新判定部、103B…現状の位相時間値算出部、103B1…初期状態ルート作成部、103B2…調整基準時間軸設定部、103B3…調整基準時間軸における各かごの位相時間値算出部、103B4…位相時間値順のソーティング部、
103C…各かごの位相時間値の調整量算出部、103D…調整後ルート作成部、103D1…各かごのルート上のグリッドの調整量算出部、103D2…グリッドのリミッタ値設定部、103D3…調整後のグリッド位置算出部、103D4…目標ルートデータ演算部、103E…調整後ルート作成部、103E1…調整基準時間軸における各かごの目標点算出部、103E2…目標点を起点にしたグリッド位置算出部、103E3…目標ルートデータ演算部、104…予想ルート作成部、105…ルート距離指標によるルート評価関数演算部。
Claims (16)
- 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理するエレベータの群管理システムにおいて、
各エレベータ毎に、現時点から所定期間における前記エレベータの目標位置を示す目標ルートを生成する目標ルート生成手段と、実時間における各エレベータの実位置を示す実軌跡が、各エレベータに対する前記目標ルートに近づくように、各エレベータを運行させる手段を備えたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理するエレベータの群管理システムにおいて、
各エレベータ毎に、現時点から所定期間における前記エレベータの目標位置を示す目標ルートを生成する目標ルート生成手段と、実時間における各エレベータの実位置を示す実軌跡が、各エレベータに対する前記目標ルートに近づくように、発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段を備えたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理するエレベータの群管理システムにおいて、
現時点から所定期間における第1のエレベータの目標位置を示す第1の目標ルートを生成する第1の目標ルート生成手段と、現時点から所定期間における第2のエレベータの目標位置を示す第2の目標ルートを生成する第2の目標ルート生成手段と、実時間における前記第1のエレベータの実位置を示す実軌跡が前記第1の目標ルートに近づくように、又は実時間における前記第2エレベータの実位置を示す実軌跡が前記第2の目標ルートに近づくように、発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段を備えたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 請求項1,2、又は3において、
前記目標ルートは、他のエレベータとの位置関係に基づいて生成されることを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 請求項1,2、又は3において、
前記目標ルートと前記実軌跡を表示する手段を設けたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理するエレベータの群管理システムにおいて、
各エレベータ毎に、現時点から所定期間における前記エレベータの目標位置を示す目標ルートを生成する目標ルート生成手段と、各エレベータの現時点から所定期間における予測位置を示す予測ルートを生成する予測ルート生成手段と、各エレベータ毎に前記目標ルートに対する前記予測ルートの評価値を算出する評価手段と、この評価手段の評価値に基づいて、発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段を備えたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理するエレベータの群管理システムにおいて、
各エレベータ毎に、現時点から所定期間における前記エレベータの目標位置を示す目標ルートを生成する目標ルート生成手段と、発生したホール呼びにエレベータを割当てた場合の、各エレベータの所定期間の予測位置を生成する予測ルート生成手段と、各エレベータ毎に前記目標ルートに対する前記予測ルートの評価値を算出する評価手段と、この評価手段の評価値に基づいて、発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段を備えたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 請求項1〜7のいずれかの請求項において、
前記複数の目標ルートは、時間軸上に所定距離離れていることを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 請求項6,7において、
各エレベータ毎に前記目標ルートに対する前記予測ルートの評価値を算出する評価手段は、時間軸上又は位置軸上の偏差、その積分値、前記偏差に相当する値、又は前記積分値に相当する値を前記評価値とすることを特徴とするエレベータ管理システム。 - 請求項1〜9のいずれかの請求項において、
前記目標ルート生成手段は、各エレベータの目標ルートを所定時間ごとに更新することを特徴とするエレベータ管理システム。 - 請求項1〜9のいずれかの請求項において、
前記目標ルート生成手段は、所定時間後の基準時における各エレベータの目標位置を設定し、この設定された前記基準時における目標位置を各エレベータが通過するように、前記目標ルートを更新することを特徴とすることをエレベータ管理システム。 - 請求項1,2,3において、
前記目標ルート生成手段は、前記エレベータの目標ルートと前記実軌跡との関係が所定の条件を満たしたとき、前記エレベータの目標ルートを更新することを特徴とするエレベータ管理システム。 - 請求項6,7において、前記目標ルート生成手段は、前記エレベータの目標ルートと予測ルートとの関係が所定の条件を満たしたとき、前記エレベータの目標ルートを更新することを特徴とするエレベータ管理システム。
- 請求項6,7において、前記目標ルートと前記予測ルートを表示する手段を設けたことを特徴とするエレベータ管理システム。
- 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理するエレベータの群管理システムにおいて、
各エレベータ毎に、現時点から所定期間における前記エレベータの目標位置を示す目標ルートを生成する目標ルート生成手段と、前記目標ルートに基づいて発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段と、前記目標ルート及び実時間における各エレベータの実位置を示す実軌跡を表示する手段と、前記目標ルートを変更する手段を備えたことを特徴とするエレベータの群管理システム。 - 複数の階床をサービスする複数台のエレベータを管理する群管理制御装置と、この群管理制御装置からの信号に基づき各エレベータを制御する号機制御装置とを備えたエレベータの群管理システムにおいて、
前記群管理制御装置に、各エレベータ毎に、現時点から所定期間における前記エレベータの目標位置を示す目標ルートを生成する目標ルート生成手段と、実時間における各エレベータの実位置を示す実軌跡が、各エレベータに対する前記目標ルートに近づくように、発生したホール呼びに割当てるエレベータを選択する割当て手段を備え、
前記号機制御装置は、このエレベータの割当てに基づいてエレベータを制御することを特徴とするエレベータの群管理システム。
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