JP2006262700A - モーター制御装置およびモーター制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも交流モーターMのトルク指令値Te*に基づいてモーター電流の基本波電流指令値id*、iq*を決定する基本波電流指令値決定手段1と、少なくとも交流モーターMのトルク指令値Te*に基づいてモーター電流の高調波電流指令値idh*、iqh*を決定する高調波電流指令値決定手段1と、前記基本波電流指令値id*、iq*と前記高調波電流指令値idh*、iqh*に基づいて前記交流モーターMに流れる電流を制御する電流制御手段2,5,6,8,9とを備える。これにより、空間高調波が大きいモーターに対して、効率を改善しながら出力の向上とトルク、電圧および電流リップルの低減を図ることができ、空間高調波が大きいモーターの制御性能を向上することができる。
【選択図】図1
Description
(1)請求項1の発明は、少なくとも交流モーターMのトルク指令値Te*に基づいてモーター電流の基本波電流指令値id*、iq*を決定する基本波電流指令値決定手段1と、少なくとも交流モーターMのトルク指令値Te*に基づいてモーター電流の高調波電流指令値idh*、iqh*を決定する高調波電流指令値決定手段1と、交流モーターMに流れる実電流を検出する電流検出手段11,12と、電流検出手段11,12によって検出される実電流を、基本波電流指令値決定手段1によって決定される基本波電流指令値id*、iq*と一致させるための基本波制御指令値vd*、vq*を決定する基本波制御指令値決定手段2と、電流検出手段11,12によって検出される実電流の高調波成分を検出する高調波成分検出手段8と、高調波成分検出手段8によって検出されるモーター電流の高調波成分を、高調波電流指令値決定手段1によって決定される高調波電流指令値idh*、iqh*と一致させるための高調波制御指令値vd'、vq'を決定する高調波制御指令値決定手段6と、基本波制御指令値決定手段2によって決定される基本波制御指令値vd*、vq*、および、高調波制御指令値決定手段6によって決定される高調波制御指令値vd'、vq'に基づいて、交流モーターMを駆動するモーター駆動手段3,4,10とを備え、これにより上記目的を達成する。
(2)請求項2のモーター制御装置は、基本波電流指令値決定手段1によって、電機子鎖交磁束の基本波成分に同期して回転するdq座標系における基本波電流指令値id*、iq*を決定し、高調波電流指令値決定手段1によって、電機子鎖交磁束の高調波次数成分に同期して回転するdhqh座標系における高調波電流指令値idh*、iqh*を決定するようにしたものである。
(3)請求項3のモーター制御装置は、基本波制御指令値決定手段2は、電機子鎖交磁束の基本波成分に同期して回転するdq座標系において、モーター電流の基本波成分を基本波電流指令値id*、iq*と一致させるための基本波制御指令値vd*、vq*を決定し、高調波制御指令値決定手段6は、電機子鎖交磁束の高調波次数成分に同期して回転するdhqh座標系において、モーター電流の高調波成分を高調波電流指令値idh*、iqh*と一致させるための高調波制御指令値vd'、vq'を決定する。
(4)請求項4のモーター制御装置は、基本波電流指令値決定手段1および高調波電流指令値決定手段1によって、モータートルクをトルク指令値に一致させながら効率を最大にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を決定するようにしたものである。
(5)請求項5のモーター制御装置は、基本波電流指令値決定手段1および高調波電流指令値決定手段1によって、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながらトルクリップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を決定するようにしたものである。
(6)請求項6のモーター制御装置は、基本波電流指令値決定手段1および高調波電流指令値決定手段1によって、モータートルクをトルク指令値に一致させながら電圧リップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を決定するようにしたものである。
(7)請求項7のモーター制御装置は、基本波電流指令値決定手段1および高調波電流指令値決定手段1によって、モータートルクをトルク指令値に一致させながら電流リップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を決定するようにしたものである。
(8)請求項8のモーター制御装置は、基本波電流指令値決定手段1および高調波電流指令値決定手段1によって、モータートルクをトルク指令値に一致させながら効率を最大にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*、モータートルクをトルク指令値に一致させながらトルクリップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*、モータートルクをトルク指令値に一致させながら電圧リップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*、およびモータートルクをトルク指令値に一致させながら電流リップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を決定し、モーターの動作状態を検出する動作状態検出手段と、基本波電流指令値決定手段1および高調波電流指令値決定手段1により決定される基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*の中から、モーターの動作状態に応じた最適な電流指令値id*、iq*、idh*、iqh*を選択する電流指令値選択手段1とを備える。
(9)請求項9のモーター制御装置は、電流指令値選択手段1によって、モータートルクが最大値に近い所定領域内のモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクをトルク指令値に一致させながら電流リップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を選択するようにしたものである。
(10)請求項10のモーター制御装置は、電流指令値選択手段1によって、モータートルクとモーター回転速度がともに低い所定範囲内のモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクをトルク指令値に一致させながらトルクリップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を選択するようにしたものである。
(11)請求項11のモーター制御装置は、電流指令値選択手段1によって、モーター出力が最大値に近い所定領域内のモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクをトルク指令値に一致させながら電圧リップルを最少にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を選択するようにしたものである。
(12)請求項12のモーター制御装置は、電流指令値選択手段1によって、モータートルクとモーター出力がそれらの最大値に近い所定領域内になく、かつモータートルクとモーター回転速度が所定範囲内にないモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクをトルク指令値に一致させながら効率を最大にする基本波電流指令値id*、iq*と高調波電流指令値idh*、iqh*を選択するようにしたものである。
(13)請求項13のモーター制御方法は、少なくとも交流モーターのトルク指令値Te*に基づいて、モーター電流の基本波電流指令値id*、iq*およびモーター電流の高調波電流指令値idh*、iqh*を決定し、交流モーターMに流れる実電流を基本波電流指令値id*、iq*と一致させるための基本波制御指令値vd*、vq*を決定するとともに、交流モーターMに流れる実電流の高調波成分を高調波電流指令値idh*、iqh*と一致させるための高調波制御指令値vd'、vq'を決定し、基本波制御指令値vd*、vq*、および、高調波制御指令値vd'、vq'に基づいて、交流モーターMを駆動することにより上記目的を達成する。
(2)請求項2の発明によれば、基本波電流と高調波電流をそれぞれ正確に制御することができ、請求項1の上記効果を確実に達成することができる。
(3)請求項3の発明によれば、基本波電流と高調波電流をそれぞれ直流量に変換して追従性の良好な電流制御を実現でき、請求項1の上記効果を確実に達成することができる。
(4)請求項4の発明によれば、従来のモーター制御装置のように基本波電流成分を制御するだけでは達成できない高い効率を得ることができる。
(5)請求項5の発明によれば、従来のモーター制御装置のように基本波電流成分を制御するだけでは達成できないトルクリップルの低減効果を得ることができる。特に、モーターを駆動源とする電気自動車に適用した場合には、低速かつ低トルクの運転状態においてトルクリップルに起因した振動、騒音を低減でき、乗り心地をよくすることができる。
(6)請求項6の発明によれば、従来のモーター制御装置のように基本波電流成分を制御するだけでは達成できない電圧リップルの低減効果を得ることができる。特に、モーターを最大出力ライン近傍で運転したときに、電圧リップルによる基本波電圧の低減量を少なくすることができ、弱め界磁領域すなわち定出力制御領域におけるモーター効率の改善と出力増加を図ることができる。
(7)請求項7の発明によれば、従来のモーター制御装置のように基本波電流成分を制御するだけでは達成できない電流リップルの低減効果を得ることができる。特に、モーターを最大トルクライン近傍で運転したときに、電流リップルによる基本波電流の低減量を少なくすることができ、定トルク制御領域におけるモータートルクの増加を図ることができる。
(8)請求項8の発明によれば、モーターの動作状態に応じた最適な電流指令値を選択でき、モーターのすべての動作状態において請求項1の上記効果を達成することができる。
(9)請求項9の発明によれば、モーターを最大トルクライン近傍で運転したときに、電流リップルによる基本波電流の低減を少なくすることができ、定トルク制御領域におけるモータートルクの増加を図ることができる。
(10)請求項10の発明によれば、低速かつ低トルクのモーター動作状態においてトルクリップルに起因した振動、騒音を低減でき、モーターを駆動源とする電気自動車に適用した場合には乗り心地の改善を図ることができる。
(11)請求項11の発明によれば、モーターを最大出力ライン近傍で運転したときに、電圧リップルによる基本波電圧の低減を少なくすることができ、弱め界磁領域すなわち定出力制御領域におけるモーター効率の改善と出力増加を図ることができる。
(12)請求項12の発明によれば、モーターの通常の動作状態において高いモーター駆動効率を得ることができる。
(13)請求項13の発明によれば、従来のモーター制御装置では基本波電流成分しか制御していなかったのに対し、高調波電流成分も任意の値に制御することができ、空間高調波が大きいモーターに対して、効率を改善しながら出力の向上とトルク、電圧および電流リップルの低減を図ることができ、空間高調波が大きいモーターの制御性能を向上することができる。
モーターの効率と出力を改善する第1の実施の形態を説明する。図1に第1の実施の形態の構成を示す。この実施の形態のモーター制御装置は、3相交流モーターで直流モーター並のトルク制御を実現するベクトル制御を行う。
Te=P(φd・id−φq・iq)
=P{(φd_1+φd_h)(iq_1+iq_h)−(φq_1+φq_h)(id_1+id_h)}
=P{(φd_1・iq_1+φq_1・id_1)+(φd_h・iq_h+φq_h・id_h)
+(φd_h・iq_1+φq_h・id_1)+(φd_1・iq_h+φq_1・id_h)}・・・(1)
上式において、Pは極対数、φdはd軸電機子鎖交磁束、φd_1はd軸電機子鎖交磁束の基本波成分、φd_hはd軸電機子鎖交磁束の高調波成分、φqはq軸電機子鎖交磁束、φq_1はq軸電機子鎖交磁束の基本波成分、φq_hはq軸電機子鎖交磁束の高調波成分である。また、idはd軸電流、id_1はd軸電流の基本波成分、id_hはd軸電流の高調波成分、iqはq軸電流、iq_1はq軸電流の基本波成分、iq_hはq軸電流の高調波成分である。
id=id_1+id_h・・・(2)
また、基本波座標系dqにおけるq軸電流iqの基本波成分はiq_1、高調波成分はiq_hであるから、
iq=iq_1+iq_h・・・(3)
モーターのトルクリップルを最少にする第2の実施の形態を説明する。なお、この第2の実施の形態の構成は、トルク制御部1を除いて図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、全体構成の説明を省略して相違点を中心に説明する。
Te=Tem+Ter
=P(φdm・iq−Lqd・id・iq)・・・(4)
上式において、Temはマグネットトルク、Terはリラクタンストルク、φdmは電機子鎖交磁束(磁石分)、Lqdはdq軸インダクダンス差(=Lq−Ld=Lqd_1+Lqd_h)である。
Tem=P・φdm・iq
=P(φdm_1+φdm_h)(iq_1+iq_h)
=P(φdm_1・iq_1+φdm_h・iq_1+φdm_1・iq_h+φdm_h・iq_h)
=P・φdm_1・iq_1+P(φdm_h・iq_1+φdm_1・iq_h+φdm_h・iq_h)・・・(5)
上式において、φdm_1は電機子鎖交磁束の基本波成分(磁石分)、φdm_hは電機子鎖交磁束の高調波分(磁石分)である。数式5の右辺第1項は基本波成分トルクを表し、第2項はトルクリップル成分を表す。したがって、第2項を0にする電流条件が存在すれば、マグネットトルクのリップル成分を0にすることができる。
φdm_h・iq_1+φdm_1・iq_h+φdm_h・iq_h=0・・・(6)
つまり、
iq_h=−φdm_h・iq_1/(φdm_1+φdm_h)・・・(7)
ここで、磁石が形成する電機子鎖交磁束の基本波成分が高調波成分に比べて十分に大きい(φdm_1≫φdm_h)とすれば、数式7は次式に近似できる。
iq_h=−φdm_h・iq_1/φdm_1・・・(8)
以上の演算により、マグネットトルクTemのリップルを0にする条件は、q軸電流の高調波成分iq_hを数式8で表す値にすればよいことがわかる。
Ter=−P・Lqd・id・iq
=P(Lqd_1+Lqd_h)(id_1+id_h)(iq_1+iq_h)
=P(Lqd_1・iq_1+Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)(id_1+id_h)
=P・Lqd_1・iq_1・id_1
+P(Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)id_1
+P(Lqd_1・iq_1+Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)id_h ・・・(9)
数式9の右辺第1項はリラクタンストルクの基本波成分を表し、第2項と第3項がトルクリップル成分を表す。したがって、第2項と第3項の和を0にする電流条件が存在すれば、リラクタンストルクのリップル成分を0にすることができる。
(Lqd_1・iq_1+Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)id_h=−(Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)id_1
∴id_h=−(Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)id_1/(Lqd_1・iq_1+Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h+Lqd_h・iq_h)・・・(10)
ここで、モーターのパラメーターおよび電流は、基本波成分に比べ高調波成分が十分に小さいと仮定すれば、数式10を次式に近似できる。
id_h=−(Lqd_h・iq_1+Lqd_1・iq_h)id_1/(Lqd_1・iq_1)・・・(11)
以上の演算により、リラクタンストルクのリップルを0にする条件は、d軸電流の高調波成分id_hを数式11で表す値にすればよいことがわかる。
電圧リップルを最少にする第3の実施の形態を説明する。なお、この第3の実施の形態の構成は、トルク制御部1を除いて図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、全体構成の説明を省略して相違点を中心に説明する。
vd=R・id+d(φd)/dt−ωe・φq
=R・id+d(φdm+Ld・id)/dt−ωe・Lq・iq,
vq=ωe・φd+R・iq+d(φq)/dt
=ωe(φdm+Ld・id)+R・iq+d(Lq・iq)/dt・・・(13)
ここで、vdはd軸電圧、vqはq軸電圧、Rは相巻線抵抗、φdはd軸電機子鎖交磁束、φqはq軸電機子鎖交磁束、φdmは電機子鎖交磁束(磁石分)、Ldはd軸インダクダンス、Lqはq軸インダクダンスである。
vd=R(id_1+id_h)
+d{(φdm_1+φdm_h)+(Ld_1+Ld_h)(id_1+id_h)}/dt
−ωe(Lq_1+Lq_h)(iq_1+iq_h)
=R(id_1+id_h)
+d{(φdm_1+Ld_1・id_1)+(φdm_h+Ld_h・id_1+Ld_1・id_h+Ld_h・id_h)}/dt
−ωe(Lq_1・iq_1+Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h)
={R・id_1+d(φdm_1+Ld_1・id_1)/dt+ωe・Lq_1・iq_1}
+[R・id_h+d(φdm_h+Ld_h・id_1+Ld_1・id_h+Ld_h・id_h)/dt−ωe(Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h)]・・・(14)
数式14において、第1項は基本波成分であり、第2項は電圧リップル成分である。電圧リップルを0にするにはこの第2項を0にすればよい。
R・id_h+d(φdm_h+Ld_h・id_1+Ld_1・id_h+Ld_h・id_h)/dt−ωe(Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h)=0・・・(15)
そのためには、数式15の3項すべてを0にする必要があるが、通常、第1項は第2項および第3項に比べて無視できる程度に小さいので、第2項と第3項を0にする条件を導出する。まず、第2項を0にする条件から次式が求められる。
φdm_h+Ld_h・id_1+(Ld_1+Ld_h)id_h=const,
∴id_h=−{(φdm_h+Ld_h・id_1)+const}/(Ld_1+Ld_h)・・・(16)
また、第3項を0にする条件から次式が求められる。
Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h=0
∴iq_h=−Lq_h・iq_1/(Lq_1+Lq_h)・・・(17)
vq=ωe{φdm_1+φdm_h+(Ld_1+Ld_h)(id_1+id_h)}
+R(iq_1+iq_h)+d(Lq_1+Lq_h)(iq_1+iq_h)/dt
={ωe(φdm_1+Ld_1・id_1)+R・iq_1+d(Lq_1・iq_1)/dt}
+[ωe{φdm_h+(Ld_h・id_1+Ld_1・id_h+Ld_h・id_h)}+R・iq_h+d(Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h)/dt]・・・(18)
数式18において、第1項は基本波成分であり、第2項は高次成分(リップル分)である。q軸電圧のリップルを0にするにはこの第2項を0にすればよい。
ωe{φdm_h+(Ld_h・id_1+Ld_1・id_h+Ld_h・id_h)}+R・iq_h+d(Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h)/dt=0・・・(19)
そのためには、数式19の3項すべてを0にする必要があるが、通常、第2項は第1項および第3項に比べて無視できる程度に小さいので、第1項と第3項を0にする条件を導出する。まず、第1項を0にする条件から次式が求められる。
φdm_h+(Ld_h・id_1+Ld_1・id_h+Ld_h・id_h)=0,
∴id_h=−(φdm_h+Ld_h・id_1)/(Ld_1+Ld_h)・・・(20)
また、第3項を0にする条件から次式が求められる。
Lq_h・iq_1+Lq_1・iq_h+Lq_h・iq_h=const,
∴iq_h=(−Lq_h・iq_1+const)/(Lq_1+Lq_h)・・・(21)
id_h=−(φdm_h+Ld_h・id_1)/Ld_1,
iq_h=−Lq_h・iq_1/Lq_1・・・(22)
つまり、基本波座標系dqにおけるd軸高調波電流id_hとq軸高調波電流iq_hが数式22に表す値となるように制御すれば、電圧リップルを小さくすることができる。なお、基本波座標系dqにおける高調波電流id_h、iq_hは、上記数式12により高調波座標系dhqhのdh軸高調波電流idhとqh軸高調波電流iqhに変換することができる。したがって、数式22を数式12に代入してdh軸電流指令値idh*とqh軸電流指令値iqh*を算出し、上述したように高調波電流を制御すれば電圧リップルを最少にすることができる。
電流リップルを最少にする第4の実施の形態を説明する。なお、この第4の実施の形態の構成は、トルク制御部1を除いて図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、全体構成の説明を省略して相違点を中心に説明する。
モーターMの動作状態に応じて最適な基本波電流指令値と高調波電流指令値を選択するようにした第5の実施の形態を説明する。なお、この第5の実施の形態の構成は、トルク制御部1を除いて図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、全体構成の説明を省略して相違点を中心に説明する。
1a 最高効率d軸電流指令値マップ
1b 最高効率q軸電流指令値マップ
1c 最高効率dh軸電流指令値マップ
1d 最高効率qh軸電流指令値マップ
1e 最高効率d軸電流指令値マップ
1f 最高効率q軸電流指令値マップ
1g 最少トルクリップルdh軸電流指令値マップ
1h 最少トルクリップルqh軸電流指令値マップ
1i 最少電圧リップルdh軸電流指令値マップ
1j 最少電圧リップルqh軸電流指令値マップ
1p 最高効率電流指令演算部
1q 最少トルクリップル電流指令演算部
1r 最少電圧リップル電流指令演算部
1t 最少電流リップル電流指令演算部
2 基本波電流制御部
3 加算器
4 dq/3相変換部
5 3相/dq変換部
6 高調波電流制御部
7 dhqh/dq変換部
8 ハイパスフィルター
9 dq/dhqh変換部
10 電力変換部
11,12 電流センサー
13 位相速度演算部
Claims (13)
- 少なくとも交流モーターのトルク指令値に基づいて、モーター電流の基本波電流指令値を決定する基本波電流指令値決定手段と、
少なくとも交流モーターのトルク指令値に基づいて、モーター電流の高調波電流指令値を決定する高調波電流指令値決定手段と、
前記交流モーターに流れる実電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段によって検出される実電流を、前記基本波電流指令値決定手段によって決定される基本波電流指令値と一致させるための基本波制御指令値を決定する基本波制御指令値決定手段と、
前記電流検出手段によって検出される実電流の高調波成分を検出する高調波成分検出手段と、
前記高調波成分検出手段によって検出されるモーター電流の高調波成分を、前記高調波電流指令値決定手段によって決定される高調波電流指令値と一致させるための高調波制御指令値を決定する高調波制御指令値決定手段と、
前記基本波制御指令値決定手段によって決定される基本波制御指令値、および、前記高調波制御指令値決定手段によって決定される高調波制御指令値に基づいて、前記交流モーターを駆動するモーター駆動手段とを備えることを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1に記載のモーター制御装置において、
前記基本波電流指令値決定手段は、電機子鎖交磁束の基本波成分に同期して回転するdq座標系における基本波電流指令値を決定し、
前記高調波電流指令値決定手段は、電機子鎖交磁束の高調波次数成分に同期して回転するdhqh座標系における高調波電流指令値を決定することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のモーター制御装置において、
前記基本波制御指令値決定手段は、電機子鎖交磁束の基本波成分に同期して回転するdq座標系において、前記モーター電流の基本波成分を前記基本波電流指令値と一致させるための基本波制御指令値を決定し、
前記高調波制御指令値決定手段は、電機子鎖交磁束の高調波次数成分に同期して回転するdhqh座標系において、前記モーター電流の高調波成分を前記高調波電流指令値と一致させるための高調波制御指令値を決定することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかの項に記載のモーター制御装置において、
前記基本波電流指令値決定手段および前記高調波電流指令値決定手段は、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら、モーターの効率を最大にする基本波電流指令値および高調波電流指令値をそれぞれ決定することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかの項に記載のモーター制御装置において、
前記基本波電流指令値決定手段および前記高調波電流指令値決定手段は、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら、トルクリップルを最少にする基本波電流指令値および高調波電流指令値をそれぞれ決定することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかの項に記載のモーター制御装置において、
前記基本波電流指令値決定手段および前記高調波電流指令値決定手段は、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら、電圧リップルを最少にする基本波電流指令値および高調波電流指令値をそれぞれ決定することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかの項に記載のモーター制御装置において、
前記基本波電流指令値決定手段および前記高調波電流指令値決定手段は、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら、電流リップルを最少にする基本波電流指令値および高調波電流指令値をそれぞれ決定することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかの項に記載のモーター制御装置において、
前記基本波電流指令値決定手段および前記高調波電流指令値決定手段は、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながらモーター効率を最大にする基本波電流指令値と高調波電流指令値、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながらトルクリップルを最少にする基本波電流指令値と高調波電流指令値、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら電圧リップルを最少にする基本波電流指令値と高調波電流指令値、およびモータートルクを前記トルク指令値に一致させながら電流リップルを最少にする基本波電流指令値と高調波電流指令値をそれぞれ決定し、
モーターの動作状態を検出する動作状態検出手段と、
前記基本波電流指令値決定手段および前記高調波電流指令値決定手段により決定される基本波電流指令値および高調波電流指令値の中から、モーターの動作状態に応じた最適な電流指令値を選択する電流指令値選択手段とをさらに備えることを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項8に記載のモーター制御装置において、
前記電流指令値選択手段は、モータートルクが最大値に近い所定領域内のモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら電流リップルを最少にする基本波電流指令値と高調波電流指令値を選択することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項8に記載のモーター制御装置において、
前記電流指令値選択手段は、モータートルクとモーター回転速度がともに低い所定範囲内のモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながらトルクリップルを最少にする基本波電流指令値と高調波電流指令値を選択することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項8に記載のモーター制御装置において、
前記電流指令値選択手段は、モーター出力が最大値に近い所定領域内のモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながら電圧リップルを最少にする基本波電流指令値と高調波電流指令値を選択することを特徴とするモーター制御装置。 - 請求項8に記載のモーター制御装置において、
前記電流指令値選択手段は、モータートルクとモーター出力がそれらの最大値に近い前記所定域内になく、かつモータートルクとモーター回転速度がともに低い前記所定範囲内にないモーター動作状態が検出されたときは、モータートルクを前記トルク指令値に一致させながらモーター効率を最大にする基本波電流指令値と高調波電流指令値を選択することを特徴とするモーター制御装置。 - 少なくとも交流モーターのトルク指令値に基づいて、モーター電流の基本波電流指令値およびモーター電流の高調波電流指令値を決定し、
前記交流モーターに流れる実電流を前記基本波電流指令値と一致させるための基本波制御指令値を決定するとともに、前記交流モーターに流れる実電流の高調波成分を前記高調波電流指令値と一致させるための高調波制御指令値を決定し、
前記基本波制御指令値、および、前記高調波制御指令値に基づいて、前記交流モーターを駆動することを特徴とするモーター制御方法。
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