JP2006261241A - 磁気抵抗効果素子、磁気再生ヘッド、磁気情報再生装置、及び磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気再生ヘッド、磁気情報再生装置、及び磁気抵抗効果素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 スペキュラースピンバルブ膜の高いMR変化率を維持したまま、良好な交換結合磁界を実現出来る磁気抵抗効果素子等の提供。
【解決手段】 所定方向の磁化を備える強磁性を有する高保磁力層25、反平行結合用非磁性材料層9、室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性材料または反強磁性材料の酸化物、炭化物、フッ化物、ホウ化物または硫化物を含む化合物層13と、実質的に固着された磁化を備える第1の強磁性層15’’と、外部からの作用により回転可能な磁化を備える第2の強磁性層19と、第1及び第2の磁性層との間に形成された非磁性層17とを具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
【選択図】 図6

Description

本発明は、外部磁界を受けて電気抵抗が変化する磁気抵抗効果素子と、この磁気抵抗効果素子を用いた磁気再生ヘッド、この磁気再生ヘッドを搭載した磁気情報再生装置、及び磁気抵抗効果素子の製造方法に関する。
近年、磁気記録媒体の小型化・大容量化が進められ、情報読み出し時の磁気抵抗効果ヘッド(MRヘッド)と磁気記録媒体との相対速度が小さくなってきた。このため、小さい相対速度であっても大きな出力が取り出せるMRヘッドへの期待が高まっている。
このような期待に対して、互いに磁気結合しない2つの強磁性層を用いた、強磁性層/非磁性層/強磁性層のサンドイッチ構造が報告されている。すなわち、非磁性層(「スペーサ層」あるいは「中間層」などと称する)を挟んだ2層の強磁性層の一方(「ピン層」あるいは「磁化固着層」などと称する)に反強磁性膜との交換結合による交換バイアス磁場を印加して磁化を固定しておき、他方の強磁性層(「フリー層」あるいは「磁化自由層」などと称する)を外部磁場(信号磁場等)により磁化反転させる。非磁性層を挟む2つの強磁性層における磁化方向の相対的な角度を変化させることで、磁気抵抗効果が得られる。このような多層膜は「スピンバルブ(Spin Valve)」と呼ばれている。
スピンバルブは低磁場で磁化を飽和させることができるため、MRヘッドに適しており、既に実用化されている。近年の成膜技術の進歩により、スピンバルブのMR変化率は15%を超えるところまで来ている。
しかし、さらなる高密度化に対応するためには、より高感度なヘッドが必要であり,MR変化率も20%を超える値が要求される。強磁性層/非磁性層/強磁性層のサンドイッチ構成の上下を絶縁体(電子反射層)で挟んだスペキュラースピンバルブ膜では、絶縁体/強磁性層の界面で電子を鏡面反射させることで、20%程度の大きなMR変化率が得られる事が知られている。
当初は、ピン層に隣接する電子反射層として酸化物の反強磁性体を用いていた。しかし、酸化物の反強磁性体を用いると、ピン層の磁化固着に必要な充分な交換結合磁界が得られない、耐熱性が悪い等の不具合があった。
反強磁性層には,高い交換結合磁界が得られ、またブロッキング温度も高くて熱安定性に優れるPtMnやIrMn等の金属系の材料を使う事が望ましい。これらの金属系反強磁性層を用いることができて、さらにスペキュラー効果が得られる技術としてピン層に極薄の酸化物層を挿入する技術が提案された(特許文献1参照)。
他方で、ピン層中の酸化物層は、ピン層全体の磁気結合力を低下させることが指摘されている(特許文献2参照)。
米国特許出願公開第2002/48127号明細書 米国特許第6348274号明細書
ピン層に極薄の酸化物層を挿入したスペキュラースピンバルブが提案されたが、ピン層中の酸化物層の厚みを厚くする、あるいはピン層中の酸化物層形成時の酸化する強度を強くすると、MR変化率は向上するものの、交換結合磁界が下がってしまうという問題があった。
図1は、シンセティックアンチフェロ磁気結合(反平行結合)ピン層に極薄の酸化物層を挿入したスペキュラースピンバルブにおけるMR変化率(%)と交換結合磁界(Oe)の関係を示す図である。図中の左側に星印でプロットした素子は、スペキュラー用の酸化物層を備えていない素子である。図の右側にいくにつれて徐々に酸化物層の製造過程における酸化強度を上げる、もしくは酸化物の厚さを厚くした。図1から、酸化強度を上げるもしくは酸化物層の厚さを厚くすると、MR変化率は向上するが交換結合磁界は下がることがわかる。
本発明は、このような事情に鑑みて、スペキュラースピンバルブ膜の高いMR変化率を維持したまま、良好な交換結合磁界を実現出来る磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気再生ヘッド、及び磁気情報再生装置を提供することを目的とする。
本発明の第一は、強磁性を有する高保磁力層と、高保磁力層に積層された、室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性材料または反強磁性材料の酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、ホウ化物または硫化物を含む化合物層と、化合物層に積層され、実質的に固着された磁化を備える第1の強磁性層と、外部からの作用により回転可能な磁化を備える第2の強磁性層と、第1及び第2の強磁性層との間に形成された非磁性金属層と、を具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子を提供する。
本発明の第二は、強磁性を有する高保磁力層、非磁性金属層、磁性材料を含む層を形成する工程と、強磁性材料を含む層の一部または全部を酸化、窒化,炭化、フッ化、ホウ化または硫化して室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性または反強磁性を有する化合物層を形成する工程と、第1の強磁性層を化合物層に積層形成する工程と、第一の方向の磁界を印加しつつ熱処理をして、化合物層に第一の方向と略平行な磁化を付与する工程と、熱処理温度よりも低温において第一の方向と略反平行な向きに磁界を印加して、高保磁力層を着磁する工程とを備えることを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、高いMR変化率を維持したまま、良好な交換結合磁界を実現できる磁気抵抗効果素子、これを用いた磁気再生ヘッド、及び磁気情報再生装置を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。尚、実施の形態や実施例を通して共通する構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、参照する各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、図面表示の便宜上、形状や寸法、比等は実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係る実施の形態に至る過程において本発明者らが検討した磁気抵抗効果素子について説明する。図2は、その説明に用いる断面模式図である。
図2に示す磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜に電気的に接続された一対の電極(図2には図示せず)を備える。一対の電極は磁気抵抗効果膜にセンス電流を供給するものであり、磁気抵抗効果膜の両側端部に電気接続される。センス電流は磁気抵抗効果膜中をその膜面に平行に流れる。このような形態の磁気抵抗効果素子は、CIP(Current-In-Plane)型と呼ばれる。
磁気抵抗効果膜は、基板1上に、下地層3を介して形成される。磁気抵抗効果膜は、反強磁性層5、磁化固着膜、非磁性スペーサ層17、磁化自由層(フリー層)19、酸化層(Nano-Oxide-Layer)21が順次積層された膜である。この磁気抵抗効果膜の上には、例えば、キャップ層23が形成されている。
下地層3は、磁気抵抗効果膜の結晶状態改善のために用いる。キャップ層23は、磁気抵抗効果膜を酸化等から防ぐために用いる。尚、下地層3とキャップ層23との間に形成された磁気抵抗効果膜の積層順は、上下反転させてもよい。
磁化固着膜は、いずれも強磁性材料からなる第1乃至第3のピン層7,11,15、反平行結合層9、NOL13を備える。反平行結合層9は、非磁性材料からなり、第1及び第2のピン層7,11間のシンセティックアンチフェロ磁気結合(反平行磁気結合)を実現するものである。NOL層13は、第2及び第3のピン層11,15間に形成された、磁性材料を含むナノメートルオーダーの薄い酸化層である。第2のピン層7はとても薄いので断面TEMなどの観察手段では観測できないこともある。
磁気抵抗効果膜の電気抵抗は、非磁性スペーサ層17を介して積層された第3のピン層15とフリー層19との磁化の相対角度に応じて変化する。つまり、第3のピン層15とフリー層19の磁化方向が平行である場合には、電気抵抗は相対的に低く、ピン層15とフリー層19の磁化方向が反平行である場合には、電気抵抗は相対的に高くなる。これは、両者の磁化方向が平行である場合は、磁気抵抗効果膜を流れる伝導電子が散乱にくく平均自由工程が長いのに対し、反平行である場合には伝導電子が散乱され易く平均自由工程が短くなることに起因している。
第3のピン層15の磁化は固着されており、フリー層19の磁化は外部磁場を受けて回転可能となっている。フリー層19の磁化が外部磁場を受けて回転することで、ピン層15との間で磁化の相対角度が変化し、電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化を電極からセンス電流を流して測定することにより、外部磁場の状態を読み取る(再生する)ことができる。非磁性スペーサ層17は、適切なフリー層19の磁化の回転を実現するために、第3のピン層15とフリー層19の間の磁気結合を低減する。
このような方法により外部磁場の状態を正確に読み取るには、フリー層19の磁化が外部磁場に応じて回転するとともに、磁化固着膜の磁化が外部磁場の影響下であっても実質的に固着された状態を維持することが必要である。以下に第3のピン層15の磁化固着について説明する。
反強磁性層5は、磁化固着膜中の第1のピン層7の磁化を固着するために用いられる。反強磁性層5と強磁性体材料からなる第1のピン層7は積層されており、両者の間には交換結合磁界が生じている。この交換結合磁界により第1のピン層7の磁化は、一方向(例えば、図2の矢印方向)に固着されている。
非磁性材料からなる反平行結合層9は、共に強磁性材料からなる第1及び第2のピン層7、11の磁化を反平行方向に結合させる。非磁性材料からなる反平行結合層9を介して積層された2つの強磁性材料層同士が結合した形態を、シンセティックアンチフェロ(またはフェリとも言う)磁気結合という。このシンセティックアンチフェロ磁気結合を介して、第1及び第2のピン層7、11の磁化は図2に矢印で示す方向に固着されている。
共に強磁性材料からなる第2及び第3のピン層11、15は、NOL層13を介して強磁性結合しており、第3のピン層15の磁化は第2のピン層11の磁化と同方向に固着されている(図2の矢印方向)。
NOL層13は、図2に示すようなメタルホール13aと酸化物13Bとからなる微細構造を備える。NOL層13を介して第2及び第3のピン層11,15を強磁性磁気結合させるためには、磁性元素からなるメタルホール13a、及び/又は磁性の酸化物15を用いる。このような微細構造の多くは断面TEMにより観察することができる。
メタルホールはあっても無くても良い。NOL層13の厚みは約10nm以下であることが、高密度化に伴う狭ギャップ化のために望ましい。
メタルホール13aは、約10nm以下の径を持つことが望ましい。MR変化率の向上には、メタルホール径は小さい方が,またその個数は少ない方が望ましい。また、メタルホールの形状は柱形状、台形状、逆台形状等特に限定されず、原子単位の鎖形状であってもよい。尚、本実施の形態では、MR変化率を十分に得るためにメタルホールの占有率を少なくしても、NOL層13を介した第2及び第3のピン層11,15の磁気結合は十分に得られる。
図3(a)は、NOL層13の材料としてCoFe/Cr積層体の酸化物を用いた場合の、CoFe中のFe濃度(x)と磁気転移点の関係を説明するための図である。図3(a)からわかるように、CoFe層の材料としてCo9Fe1組成を用いた時にはその酸化物層の磁気転移点は室温以下である。しかし、CoFe中のFe濃度を増やすとその磁気転移点は室温(400K)以上に向上する。
磁気転移点が400K以上になったNOL組成を用いて、Ta(5)/Ru(2)/PtMn(12)/Co9Fe1(1.4)/NOL/Co9Fe1(2)/Cr(0.08)/Cu(2.2)/Co9Fe1(2)/Cu(2)/Ta(3)(括弧内は形成予定膜厚(ナノメートル単位)を示す)の片面NOLスペキュラースピンバルブ膜を作製した。この片面NOLスペキュラースピンバルブ膜のピン層は、図4に示す断面構造を備え、シンセティックアンチフェロ磁気結合を持たない。
図3(b)から、片面NOLスペキュラースピンバルブ膜(図3(b)中のNOL)の交換結合磁界(Hex)は、NOL層を含まないスピンバルブ膜(図3(b)中のNS)よりも向上していることがわかった。つまり、NOL層の磁気転移点の上昇により、交換結合磁界が向上することがわかった。
図4の断面模式図に示す磁化固着膜は、2つのCoFeピン層11’、15’とその間に形成されたNOL層13を備える。CoFeピン層11’は反強磁性層5との積層により磁化固着され、CoFeピン層15’はNOL層13を介してCoFeピン11’と磁気結合している。そのため、2つのCoFeピン層11’、15’は同じ方向の磁化を備えている。
この実験結果において交換結合磁界が向上したのは、NOL層13に発現したフェリ磁性または反強磁性により、NOL層13とCoFeピン層15’との間に新たな交換結合が発生したことに起因すると考えられる。この交換結合により、図4中、実線で囲んだ矢印で示す方向の一方向異方性が発生する。
この新たな交換結合が発生するNOL構造とシンセティックアンチフェロ磁気結合を併用すると、図5に示すように反強磁性層5(図4の場合はPtMn)の一方向異方性(交換結合磁界方向:図5のCoFeピン層7’の磁化方向)とNOL層13からの一方向異方性(図5中、実線で囲んだ矢印)は同一方向となる。その結果、NOL層13の一方向異方性とCoFeピン層15’の磁化方向は反平行になり、磁化固着膜全体の交換結合磁界は向上しない。かえってNOL層を挿入しないときに比べて減少してしまう。つまり、シンセティックアンチフェロ磁気結合を用いたときには反強磁性膜と本実施の形態におけるNOL構造とは共存できない。そこで、NOL層13の一方向異方性だけを一意に付与させる必要がある。
本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子では、反強磁性層5とCoFeピン層7’にかえて高保磁力を持つ層25を用いる。図6は、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を説明するための断面模式図である。尚、図6中の構成のうち、既に図2乃至図5を用いて説明した構成については先の記述を参照することとし、重複記載を省略する。
CoFeピン層15’の磁化を、磁界中熱処理により、NOL層13からの交換結合磁界によりCoFeピン層11’と同方向(熱処理時の磁界方向)に固定する。熱処理後に、高保磁力層25を熱処理磁界と反対方向に着磁する。着磁は、先に行う熱処理よりも低温で行えばよく、例えば、室温で行うことができる。低温で行うため、先に付与されたNOL層13の一方向異方性は影響を受けない。この着磁により、反平行結合層9を介した高保磁力層25とCoFeピン層11’の磁化方向は反平行となり安定化する。このようにして、NOL層13をピン層に挿入したスペキュラースピンバルブ膜で高MR変化率と高交換結合磁界を両立させることができる。
NOL層13は、室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性材料の酸化物、窒化物,炭化物、フッ化物、ホウ化物または硫化物を含む化合物層、若しくは室温以上の磁気転移点を持つ反強磁性材料の酸化物,窒化物,炭化物,フッ化物,ホウ化物または硫化物を含む化合物層である。この化合物層は、一部に柱形状等の金属導電部(メタルパス)を備える層であってもよいし、このような柱状の金属導電部のない連続した層であってもよい。
室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性材料または室温以上の磁気転移点を持つ反強磁性材料は、Co,Fe,Niのいずれかの磁性元素を少なくとも一種含んでいることが望ましい。また、NOL層13にはCr,V,Mg,Al,Mn,Cu,Si,Ca,Sr,Li,Be,Na,K,Y,Ba,Cs,及びランタン系列に属する元素からなる群から選択された少なくとも一種を含むことを特徴とする。
NOL層13の材料としては,CoFe2O4、α-Fe2O3、γ-Fe2O3 ,Fe3O4、Fe-N系,Fe-C系,FeS,Fe-Co-B系,Fe-Ni-B系,Co-Ni-B系 等の高磁気転移点を持つ化合物が望ましい。
NOL層13は、磁性材料を含む単層膜あるいは多層膜の酸化により作製する。多層膜は磁性材料と他の磁性材料の積層膜であってもよいし、磁性材料と非磁性材料の積層膜であってもよい。酸化方法は、自然酸化法,イオンビーム酸化法,イオンアシスト酸化法等の酸化法を用いることができる。
図6に示す構造は反平行結合層9を備えるが、反平行結合層9を省略して高保磁力層25をCoFeピン層11’あるいはNOL層13に接するように形成してもよい。この場合には、磁化固着膜中にシンセティック磁気結合が含まれないため、高保磁力層25の着磁方向はNOL層13に付与する一方向異方性と同一方向にする。このようにしてもNOL層13を用いたスペキュラースピンバルブ膜の高MR変化率と高交換結合磁界を両立することができる。
また、高保磁力層25と反平行結合層9との間に強磁性層が挿入されていても良い。このときの挿入された強磁性層の磁化方向は高保磁力層25と同方向になる。この強磁性層は、例えば、CoFe、NiFe,あるいは少なくともCo,Fe、Niのいずれかを含む合金などを用いることができる。特に、CoFe合金、CoFeNi合金が高MR変化率を得る上で好ましい。この強磁性層の膜厚は、例えば、2.5ナノメートル以下とすることができる。
磁化固着膜には、シンセティックアンチフェロ磁気結合を用いてもよいし用いなくてもよい。シンセティックアンチフェロ磁気結合におけるRuを介したカップリングは反強磁性的でなく強磁性的であっても良い。シンセティック磁気結合の反平行結合層9にはRu、Ir,Rh,Cr等を用いることができる。反平行結合層9の膜厚は、積層された第1及び第2のピン層7、11の間に反平行磁気結合をもたらす膜厚とする。例えば,Ruの場合は、装置によって異なるが反平行結合となる厚みは0.7から1.1ナノメートルの範囲である。
高保磁力層25はCoPt,CoCrPtなどの高保磁力を有する材料なら何でも良い。ここで言う高保磁力とは約800 Oe以上の保磁力を持つ材料系であれば特に限定されるものではない。
下地層3には、Ta,Ru,Cr,NiFe,NiFeCr,CoFe,NiCr等の単層または積層構成を用いることができる。特に、高保磁力層25の結晶性を向上するものが好んで用いられる。
フリー層19側にNOL層22を設けても良い。その場合のNOL層22の材料は、ピン層側のNOL層13と同一であっても良いし、異なっていても良い。NOL層21は、キャップ層23の自然酸化膜を用いることも出来る。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
図7は、本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子の断面構造を表す模式図である。
本実施例の磁気抵抗効果素子は、基板1上に形成された磁気抵抗効果膜、硬磁性膜29および電極27を備える。
実施例1の磁気抵抗効果膜は、下地層3、高保磁力層25、反平行結合層9、磁性層11’’、NOL層13、磁性層15’’、非磁性スペーサ層17,フリー層19、NOL層21、キャップ層23の積層膜を備える。
この積層膜の両側には一対の硬磁性膜29が設けられており、それぞれの硬磁性膜29の上に電極27が配置されている。硬磁性膜29は、フリー層に磁気バイアスを付与するためのものである。電極27は、磁気抵抗効果膜に電気接続されている。電極27から磁気抵抗効果膜に供給されるセンス電流は、磁気抵抗効果膜の膜面に平行に流れる。
磁性層11’’と磁性層15’’は高保磁力層25により磁化方向を固定されたピン層である。磁性層19は媒体磁界等の外部磁界を受けて磁化が回転可能なフリー層である。尚、この磁気抵抗効果膜を磁気再生ヘッドに用いた場合の図7断面は、磁気再生ヘッドの媒体対抗面に平行な断面であり、媒体からの外部磁界は、図7の紙面垂直方向に流入する。
磁性層15’’と磁性層19との間の非磁性スペーサ層17は、磁性層15’’と磁性層19の間の磁気的な結合を調節することが出来る層でもある。磁性層11’’と15’’間にはNOL層13、フリー層19の上にはNOL層21を設けた。
ここで、磁性層11’’と磁性層15’’の磁化方向は同一方向である。また、高保磁力層25の磁化方向とピン層11’’、15’’の磁化方向は反平行結合層9を介して反対方向に結合していても良いし、平行方向に結合していても良い。高保磁力層25と反平行結合層9との間に強磁性層7が存在していても良い。
このような磁気抵抗効果素子に用いる磁気抵抗効果膜を、次に述べる材料及び方法で作成した。下地層3としてCr(5 ナノメートル)、高保磁力層25としてCoCrPt (8 ナノメートル)、磁化結合層9としてRu (0.9ナノメートル)を用いた。磁性層11’’としてCo70Fe30 (0.6ナノメートル)を形成した後、Cr (0.08 ナノメートル)を形成し、この表面をNOL層13を形成するために自然酸化した。さらに、磁性層15’’としてCo90Fe10 (2 ナノメートル)、非磁性スペーサ層17としてCu (2 ナノメートル)、磁性層19としてCo90Fe10 (1 ナノメートル)/Ni80Fe20 (2.5 ナノメートル)の積層膜を形成した。この積層膜の上にキャップ層23を兼ねるCu (0.6 ナノメートル) /Ta (3 ナノメートル)を順次形成し、上部NOL層21としてTa層の自然酸化膜を作成した。
この磁気抵抗膜を290℃で3時間熱処理した。この熱処理の際に、磁性層11’’、15’’の磁化付与方向の磁場を磁気抵抗効果膜に印加した。この熱処理後に、磁界中熱処理時の磁界方向と逆の方向の磁界を印加して、高保磁力層25を着磁した。
その後、磁気抵抗効果膜を素子形状(例えば、四角柱)に加工し、膜特性を測定した。 この実施例の磁気抵抗効果膜はMR変化率約25%、交換結合磁界は約1800Oeであった。この実施例の磁気抵抗効果膜は高MR変化率と高い交換結合磁界を両立できる。
MR変化率と交換結合磁界の関係図。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子に至る過程を説明するための磁気抵抗効果膜の断面模式図。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子に至る過程を説明するための磁気抵抗効果膜の特性図。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子に至る過程を説明するための断面模式図。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子に至る過程を説明するための断面模式図。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果素子を説明するための断面模式図。 本発明の実施例に係る磁気抵抗効果素子を説明するための断面模式図。
符号の説明
1…基板
3…下地層
5…反強磁性層
7…第1のピン層
9…反平行結合層
11…第2のピン層
11’、15’…CoFeピン層
11’’、15’’…強磁性層
13、21…NOL
15…第3のピン層
17…非磁性スペーサ層
19…フリー層
23…キャップ層
25…高保磁力層
27…電極
29…硬磁性膜(縦バイアス膜)

Claims (8)

  1. 強磁性を有する高保磁力層と、
    前記高保磁力層に積層された、室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性材料または反強磁性材料の酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物、ホウ化物または硫化物を含む化合物層と、
    前記化合物層に積層された、実質的に固着された磁化を備える第1の強磁性層と、
    外部からの作用により回転可能な磁化を備える第2の強磁性層と、
    前記第1及び第2の強磁性層との間に形成された非磁性金属層と、を具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記高保磁力層と前記化合物層との間に形成された反平行結合用の非磁性金属層とを備え、前記高保磁力層と前記第1の強磁性層とは互いに略反平行な磁化を備えることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 前記室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性材料または反強磁性材料は、Fe,Co,Niのいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記化合物層は、Fe,Co,Niの少なくとも一種を含む金属部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子を備えたことを特徴とする磁気再生ヘッド。
  6. 請求項5記載の磁気再生ヘッドを備え、磁気記録媒体に磁気的に記録された情報の読み取りを可能としたことを特徴とする磁気情報再生装置。
  7. 強磁性を有する高保磁力層、非磁性金属層、及び磁性材料を含む層を形成する工程と、
    前記磁性材料を含む層の一部または全部を酸化、窒化,炭化、フッ化、ホウ化または硫化して室温以上の磁気転移点を持つフェリ磁性または反強磁性を有する化合物層を形成する工程と、
    第1の強磁性層を前記化合物層に積層形成する工程と、
    第一の方向の磁界を印加しつつ熱処理をして、前記化合物層に前記第一の方向と略平行な磁化を付与する工程と、
    前記熱処理温度よりも低温において前記第一の方向と略反平行な向きに磁界を印加して、前記高保磁力層を着磁する工程とを備えることを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  8. 前記フェリ磁性材料または反強磁性材料はCo1-x-yFexCryOz(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦Z≦1)であることを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110021481A (zh) * 2019-04-23 2019-07-16 东华理工大学 一种制备人工反铁磁体复合材料的方法
CN113707186A (zh) * 2020-05-21 2021-11-26 昭和电工株式会社 磁记录介质及磁存储装置

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