JP2006259347A - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感光体製造における省資源化と感光体の廃棄物量削減を可能とする長寿命な電子写真感光体とその製造方法および、この感光体を搭載するプロセスカートリッジと電子写真装置を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層からなる感光層に更に硬化型保護層を積層しる電子写真感光体の製造方法において、下記一般式(1)の塗工溶媒中に硬化性電荷輸送成分と硬化型バインダー成分を含有する保護層塗工液を、支持体上に塗布、乾燥して、架橋した硬化型保護層を有する形成する段階を含む。
Figure 2006259347

(式中Rはアルキル基を表わす)
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体の製造方法と電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置に関する。本発明のプロセスカートリッジと電子写真装置は、複写機、ファクシミリ、レーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機等に応用される。
後世代に豊かな地球環境を伝承する願いを込めて制定された行動計画「アジェンダ21」が採択されて10年余りが経過し、世間の環境保護に対する認識も相当深化したといえる。例えば、ゴミを分別するようになったり、裏紙をプリント用紙として多用するようになったりしてきたことは身近な意識変化の事例といえる。現在、工業製品の環境性能はその存亡を左右するほど一般にも重要視されつつある。電子写真感光体も環境負荷の低減を目指した研究開発が近年、精力的に進められつつある。電子写真感光体の原料採掘から廃棄に至る迄のライフサイクルを展望したとき、電子写真感光体は長寿命化と健康上の無害化を第一に推進する必要がある。
従来、電子写真感光体の使用形態はサプライ製品としての性格が強いため、省資源化と廃棄物の削減について改良の余地が残されていた。この対応として感光体自体の設計および使いこなし面から感光体の摩耗や創傷を抑制する高耐久化が重要となる。
現在、高耐久感光体の代表的なものにアモルファスシリコン感光体を挙げることができる。しかしながらその製法はドライプロセスとなるため製造コストが高く、使用対象は一部の例外を除き、ハイエンド機に限定されている。アモルファスシリコン感光体の高い耐久性は全体に占める使用比率が小さいためフィーリング以上に環境負荷低減に貢献できていないと考えられる。環境負荷の低減を果たすためには、その使用比率を高める必要から感光体の高耐久化に加えて、低コスト化を図ることが必要となる。これには低コストな有機感光体を高耐久化する選択が有利である。
有機感光体の高耐久化に際して、バインダー樹脂の変更(例えば非特許文献1 田村裕之、高橋佐江子、森下浩延、坂本秀治、志熊治雄、Japan Hardcopy '97 Fall Meeting, 25−28, 1997)、電荷輸送物質の高分子量化(例えば特許文献1 特開平7−325409号公報)、高硬度フィラーを含む硬化型保護層のコーティング(例えば特許文献2 特開2002−258499号公報)、架橋樹脂膜の感光体表面への成膜(例えば特許文献3 特開2000−66424号公報)、ゾル−ゲル硬化膜の感光体表面への成膜(例えば特許文献4 特開2000−171990号公報)が検討されている。以上の方策はそれぞれ一長一短がある。特に最後に挙げた架橋構造をとる二種の方策は複数の化学結合によって塗膜が形成されるため、塗膜がストレスを受けて化学結合の一部が切断しても直ちに摩耗へ進展することがない。以上のなかでも特に合理的な方策と考えられる。便宜上、これらの方策を「硬化型保護層」と分類することとする。
ところが硬化型保護層は僅かな塗工環境の変化で耐久性や静電特性の品質が大きく振れてしまうことが多い。硬化型保護層の成膜には架橋反応を経る必要があり、この反応の進行具合が品質を左右していると予想される。硬化型の電荷輸送物質は分子骨格が嵩高く溶媒に難溶な材料が多いことや僅かな塗工液の被膜が反応場であること、更に、感光層上に成膜するため塗工工程で下地の感光層が塗工液の被膜に侵されやすいことが品質の安定性確保とこの種の開発を困難にしていると思われる。
これに対し硬化型保護層の成膜安定化に係る従来技術は僅少といえる。開示されているもののうち、特開2003−186227号公報(特許文献5)では感光層に用いる結着樹脂の分子量を規定する方法が記載されている。ところが現在上市されている有機感光体の感光層結着樹脂の分子量はこの引例に規定される範囲に該当するものが少なくない。そしてこの条件を満たす感光層であっても品質の不安定性が認められるケースが多い。より一層の改良が必要と考える。
また、特開平7−28261号公報(特許文献6)には成膜安定化に係る記述がある。しかしながら層構成が所謂逆層構成であるため感光層上に硬化型保護層を成膜するケースに適用した場合に同じ効果は得られ難い。この引例に準じて実施例に記載されるジクロロメタンを溶剤に用いた場合、下地の一部が溶解して不均質な塗膜になることが多い。
硬化型保護層の下地が溶解することによる不具合は例えば、硬化型保護層とは異なるが、特開平11−84692号公報(特許文献7)の段落番号[0009]に指摘されるとおり、潜像形成を担う電荷キャリアのトラップサイトとして作用することが考えられる。この不具合に対して中間層を別に一層設ける手段が開示されている。更に中間層積層による残留電位の上昇の弊害を改良するため、中間層に電荷輸送物質を含有させる二重の手段も開示されている。中間層を積層して残留電位が上昇する等の不具合が生じなければこの方法は有用な手段と考えられる。ただし、請求項9および実施例中に開示されている中間層の溶剤は例えば電荷輸送層のバインダー樹脂を多分に溶解させるものであり、硬化型保護層に流用して先の不具合を改良することは困難である。
また、特開2000−221701号公報(特許文献8)では、下引き層に適用する方策であるが、塗布液の溶剤に沸点が155℃以下のエチレングリコールモノアルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノアルキルエーテルを含有することが提案されている。この公報では段落番号[0018]に記載されるとおり、アルコール可溶性ナイロンの溶解を目標としており、これらの溶剤は混合溶媒の副溶剤としての使用が示されている。下引き層塗工液は成膜工程で化学反応を経由することのない溶剤の揮発によって成膜される。このため、段落番号[0021]に指摘のとおり、塗膜乾燥は適度な速度であることが望ましく、これら副溶剤の含有量は10重量%未満での使用が適当であると指摘されている。
これを硬化型保護層に適用した場合、溶剤の揮発速度が本公報の実施例に用いられる混合溶剤程度に速く、加熱乾燥する以前に塗膜がタックフリーとなってしまうと架橋反応が不能となるケースが多い。これよりこの公報記載の技術も直接流用することはできない。尚、本発明では塗工した被膜に指先を軽く触れたとき、塗料が指先につかない程度の乾燥状態をタックフリーと称する。この逆を便宜的に流動性を呈すると表現する。
特開2001−222126号公報(特許文献9)にも下引き層(中間層)の塗工溶剤として一価アルコールと二価アルコールとの混合溶剤が提案されているが、同様の理由から直接流用することはできない。この公報の中では溶剤の蒸発速度を低下させることでブラッシングの予防が可能であることが説明されている(段落番号[0009])。架橋反応によって硬化型保護層を成膜する際、ブラッシングによってもたらされる余分な水分は塗膜品質に影響するため均質な電子写真感光体の製造を行なうためにはブッラシングは抑制することが望ましい。
ところで、特許文献8に開示されるエチレングリコールモノアルキルエーテル類の溶剤は硬化型保護層の塗工液の溶剤に用いた場合に比較的良質な塗膜が得られる知見を発明者は得ている。しかしながらこの溶剤はPRTR対象物質に特定されており、使用に際して出生異常の障害が懸念される。
電子写真感光体の製造は工場近隣の信頼の下に営まれているため、例えば、直接健康に影響する建材塗料に見られるような対応(低ホルムアルデヒド化、脱トルエン/キシレン化)は電子写真感光体も必須課題になると思われる。感光体製造工程で使用する有機溶剤はクローズドシステム化が図られつつも緊急時における大気放出量は無視できない。この立場からエチレングリコールモノアルキルエーテル類の使用は控えることが望ましい。しかしながらこれに代わる溶剤は見出されていないのが実状である。
特開平7−325409号公報 特開2002−258499号公報 特開2000−66424号公報 特開2000−171990号公報 特開2003−186227号公報 特開平7−28261号公報 特開平11−84692号公報 特開2000−221701号公報 特開2001−222126号公報 田村裕之、高橋佐江子、森下浩延、坂本秀治、志熊治雄、Japan Hardcopy '97 Fall Meeting, 25−28, 1997
感光体製造における省資源化と感光体の廃棄物量削減を可能とする長寿命な電子写真感光体とその製造方法および、この感光体を搭載するプロセスカートリッジと電子写真装置を提供することを目的とする。また、製造と廃棄に際して健康上の問題が低減される電子写真感光体とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は以上の課題解決に対して鋭意検討した結果、次の事項を想起し且つそれらが有効であるとの知見を得て本発明に至った。
硬化型保護層の品質のバラツキは保護層成膜工程における特殊性に起因すると考える。現在、主流といえるポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を溶媒に溶解した塗料をコーティングする内容と異なり、硬化型保護層は成膜工程で架橋反応を経る。この反応具合が品質に影響すると推定される。常に均質な反応度合いを維持するには熱可塑性樹脂を用いる系で培われた技術を適用しても不充分である。硬化型保護層の開発にはパラダイムの転換が必要になる。
この反応具合は塗料中の不純物含有量、温湿度環境、溶剤の揮発速度に左右される。品質安定化に際してこれらの因子はバラツキの抑制が図れるものは抑制し、任意に制御できないものは因子の変動が架橋反応に余り影響しない工夫を図ることが重要である。
塗料中の不純物は下地となる感光層の溶解成分とブラッシングによってもたらされる水分が大部となる。下地の溶解は硬化型保護層の硬化不良と総じて残留電位の上昇をもたらすため抑制する必要がある。特に硬化型保護層の下地となる電荷輸送層の材料に対して溶解性の高いハロゲン類、ケトン類、芳香族化合物類、およびエステル類の有機溶剤を硬化型保護層の主溶剤に用いないほうがよい。
硬化型保護層を成膜する環境は塗工液の被膜が吸水しない状態が望ましい。なぜなら水分が反応に関与して意図しない生成物が得られたり、架橋反応を阻害して硬化不良を来したりするなど品質の均一性を欠いてしまうためである。このため、成膜環境は湿度が低く、露点よりも充分に高い温度でコーティングすることが好ましい。その一方で温湿度の変化に対して大気から水分を吸収しにくい塗料の設計も重要となる。これに対し沸点の高い溶媒は揮発が穏やかで塗工液被膜を露点以下まで下げてしまうことも少ないため、この種の溶剤を用いることが有効となる。
また、硬化型保護層成分を均一に架橋反応させるためには硬化を行なう工程まで塗工液被膜はある程度、流動性を確保していることが望ましい。例えば、塗工液被膜は加熱乾燥する直前迄タックフリーとなる状態にしないほうがよい。溶媒の殆ど介在しない状態では架橋反応がごく一部しか生じないためである。更に個々の硬化型保護層成分は使用する溶媒に対して溶解している必要がある。特に硬化型の電荷輸送物質は溶媒に対して難溶であるものが多いが、例えば、懸濁状のまま硬化を進めても塗膜中に未反応成分を粉状で残すこととなる。これは品質の均質性を損ねる要因となるため好ましくない。
これに対し、一般式(1)の溶剤は以上の条件に叶う溶剤として極めて有効であるとの知見を得て、本発明に至った。この溶媒は健康上の問題も少ないことから電子写真感光体のライフサイクルを通して安心して使用することができる。
すなわち、上記課題は本発明の(1)〜(17)によって解決する。
(1)「導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層からなる感光層に更に硬化型保護層を積層しる電子写真感光体の製造方法において、下記一般式(1)の塗工溶媒中に硬化性電荷輸送成分と硬化型バインダー成分を含有する保護層塗工液を、前記支持体上に塗布、乾燥して、架橋した硬化型保護層を有する形成する段階を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
Figure 2006259347

(式中Rはアルキル基を表わす)」;
(2)「前記硬化型バインダー成分が2官能以上のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物であることを特徴とする前記第(1)項の電子写真感光体の製造方法」;
(3)「前記硬化性電荷輸送成分が少なくとも下記一般式(2)〜(4)の化合物の何れかを含むことを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項の電子写真感光体の製造方法。
Figure 2006259347

式中、Rは水素原子、アルキル基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアリール基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアリール基を表わし、Rは水素原子、アルキル基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアリール基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアリール基、ハロゲン原子を表わし、Rは水素原子を表わし、Ar、Arはアリール基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されたアリール基を表わす。但し、Rが水素原子、且つAr及びArがp−トリル基である場合を除く。
Xは下記(a)〜(d)のいずれかを表わす。
(a)アルキレン基
(b)フッ素原子、シアノ基、フェニル基、又はハロゲン原子若しくはC1〜C5のアルキル基で置換されたフェニル基によって置換されたアルキレン基
(c)アリーレン基
(d)下記一般式(5)で表わされる基
Figure 2006259347

{式中、Yは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−及び以下の2価基を表わす。
Figure 2006259347
Figure 2006259347
Figure 2006259347
Figure 2006259347
(ここで、R、Rは水素原子、アルキル基、前記(c)で定義された置換基を有するアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、前記(e)で定義された置換基を有するアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表わし、p、q、r、sは1〜12の整数を表わす)}
Figure 2006259347

、Rは置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、Rは同一であっても異なってもよい。
また、Ar、ArおよびArで示されるアリーレン基としてはRおよびRと同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式(2)で挙げたものと同じである。
Figure 2006259347

、R10は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、R10は同一であっても異なってもよい。
また、Ar、およびArで示されるアリーレン基としてはRおよびR10と同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式(2)で挙げたものと同じである」;
(4)「前記電荷輸送層が高分子電荷輸送物質からなることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」;
(5)「感光層上に塗布された前記保護層塗工液の被膜が流動性を呈する状態で加熱乾燥されることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」;
(6)「前記保護層塗工液の吸熱ピーク温度をX(℃)、該塗工液の溶媒の沸点をY(℃)、保護層成膜時の最大加熱乾燥温度をZ(℃)として、少なくとも下記条件で保護層が成膜されることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
Figure 2006259347

(7)「前記保護層塗工液の最大加熱乾燥温度が電荷輸送層のガラス転移温度以下であることを特徴とする前記第(6)項の電子写真感光体の製造方法」;
(8)「前記保護層中の残存溶媒量が100ppm未満であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」;
(9)「少なくとも前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の製造方法によって得られたものであることを特徴とする電子写真感光体」;
(10)「少なくとも前記硬化型保護層の感光層成分含有量が0.5重量%未満であることを特徴とする前記第(9)項に記載の電子写真感光体」;
(11)「少なくとも前記感光層の硬化型保護層成分含有量が0.5重量%未満であることを特徴とする前記第(10)項の電子写真感光体」;
(12)「少なくとも40℃〜200℃までの温度範囲におけるDSCカーブについて吸熱ピークが観測されない硬化型保護層が積層されてなることを特徴とする前記第(9)項乃至第(11)項のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(13)「前記硬化型保護層がポリウレタンであることを特徴とする前記第(9)項乃至第(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(14)「前記硬化型保護層がポリカプロラクトン変性ポリウレタンであることを特徴とする前記第(13)項の電子写真感光体」;
(15)「前記電荷輸送層が高分子電荷輸送物質からなることを特徴とする前記第(9)項乃至第(14)項のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(16)「少なくとも前記第(9)項乃至第(15)項のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ」;
(17)「少なくとも前記第(9)項乃至第(15)項のいずれかに記載の電子写真感光体または請求項16のプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする電子写真装置」。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、硬化型保護層の品質のバラツキが少なく、下地となる感光層と相溶し難く、かつ均質で、表面状態に優れた保護層を有し、環境負荷が少なく、人体に悪影響を与えず製造することができ、感光体製造における省資源化と感光体の廃棄物量削減を可能とする長寿命な電子写真感光体とその製造方法および、この感光体を搭載するプロセスカートリッジと電子写真装置が提供されるという極めて優れた効果が発揮される。
始めに図面に沿って本発明で用いられる電子写真装置を説明する。
画像形成を行なうための装置として、広く一般に普及しているファクシミリ、レーザプリンタ、電子写真複写機、ダイレクト製版機及びこれらの複合機等、間接電子写真法(ゼログラフ法)を用いたデスクトップ型あるいはフロア型の画像形成装置は、一般に、電子写真感光体(又は像担持体)、帯電装置、画像露光装置、現像装置、転写装置、分離装置、クリーニング装置、除電装置、定着装置、コピー用紙(被転写体)用の給紙トレー、排紙トレー等が備えられている。
図1に電子写真方式を使用した画像形成装置の概略図を示す。
画像形成に使用される電子写真感光体(1)(以後単に感光体と称する)にはセレン系(a−Se、a−SeSe、a−SeTeなど)、シリコン系(a−Si:H、a−Si:Ge:H等)、CdSe系、CdS系、ZnO系などの感光材料を使用したものが知られている。地球環境にやさしい本発明の製造方法によって得られる硬化型保護層を積層する有機感光体が搭載される。
帯電は感光体(1)に対向して配置される帯電装置(2)によって行なわれる。
帯電装置(2)にはコロナ帯電装置、接触帯電装置、近接帯電装置(又は非接触帯電装置)が知られている。
コロナ帯電装置は、40〜60(μm)の放電ワイヤー(たとえばタングステンワイヤー)をコの字型をしたシールドケース内に帳架し、−4000〜−6000Vの直流電圧を印加し、感光体から8〜10mm程度離し、無声放電させて帯電するコロナ帯電装置である。
マイナス帯電を行なう場合、放電が不均一なため通常はグリッドが設置され帯電電位を均一化される。
接触帯電装置及び近接帯電装置は、炭素繊維や、化学繊維にカーボンなどの低抵抗物質を分散し、抵抗制御を図った繊維から構成されるブラシ状帯電部材、またはエピクロルヒドリンゴム単体、又はさらにカーボンを添加し抵抗制御を図り、必要に応じフッ素樹脂や、シリカを添加して構成されるローラ状帯電部材、樹脂にカーボンや金属粉末、イオン性の導電材を分散し、抵抗制御を図ったローラ状帯電部材等があり、それらの帯電部材をユニットに装着し、感光体(1)に接触、又は感光体から30〜80μm程度隔離して設置される。帯電部材に−400〜−1000(V)の直流電圧、又は直流電圧に800〜2500V/800〜4500Hzの交流電圧を重畳した電圧が印加される。
感光体の帯電々位は−400〜−800V程度に設定される。
コロナ帯電装置は、帯電追随性に優れるが、オゾンが多量(10ppm前後)に発生するため環境上の課題がある。一方、接触帯電法または近接帯電法(または非接触帯電)は感光体に接触又は近接配置されるため、帯電部材が汚染され、帯電不均一性が起こりやすいという課題があるが、コンパクト性、電源が小さく省エネルギーである、オゾンの生成が少なく(0.05〜0.3ppm程度)環境性に優れるなどの利点を有するため、近年では帯電手段として多く使用される。
感光体(1)に均一な帯電が施された後、原稿像やパソコンからの信号はCCD、LD素子またはLED素子、ポリゴンミラー、フィルター、シリンドリカルレンズなどから構成される画像露光装置(3)によりドットパターンで照射され、感光体(1)にデジタルパターンの静電潜像(明暗電位差)が形成される。
静電潜像はマグネットブラシ現像法による現像装置(4)によって現像される。
現像装置にはキャリアと呼ばれる平均粒径が40〜80μm程度の磁性紛と、4〜10μm程度の粒径のトナーから成る現像剤が入れられており、トナー濃度が3〜8重量%程度に設定される。現像装置には現像バイアスが印加され現像される。
現像剤に使用されるトナーには、形がいびつで凹凸を有する機械的製法で製造される粉砕トナーと、化学的な製法(懸濁重合法や乳化重合法など)で製造される重合トナーがあるが、近年、高画像品質の要求に伴い、製造コストが粉砕トナーに比べ安価であり、形状が比較的揃い、保有電荷がほぼ均一な重合トナーの使用が増える傾向にある。
現像で得られたトナー像は、トナーの帯電極とは反対の電圧が印加された転写装置(5)によって、給紙トレー(10)より搬送された被転写体(コピー用紙)(11)上に転写され、除電チャージャ(6)と一体化された定着装置(9)に運ばれ定着されてハードコピー(13)とされ、排紙トレー(12)に排出される。
転写後の感光体上の残留トナーは、ゴム状弾性体をブレードとするクリーニングブレード(71)を有するクリーニング装置(7)でクリーニングされた後、感光体表面は除電装置(8)によって、全面照射され内部潜像が除電され、電気的に初期化され一連の複写サイクルが終了する。
画像形成装置は図1の構成に限定されず、感光体(1)をベルト状にしたものや、感光体をタンデム型のレイアウトにしてカラープリントするもの、また中間転写体を介してプリントする電子写真装置も用いられる。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。本発明におけるプロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つのモジュールである。
以下、図面を参照しつつ本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
図2は本発明の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)上に電荷発生層(23)と電荷輸送層(24)と硬化型保護層(25)が設けられている。
図3は本発明の更に別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体(21)と電荷発生層(23)の間に下引き層(22)が設けられ、電荷発生層(23)の上に電荷輸送層(24)と硬化型保護層(25)が設けられている。
導電性支持体(21)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨などにより表面処理した管などを使用することができる。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と感光層との間に下引き層(24)を設けることができる。下引き層は、接着性の向上、モワレの防止、上層の塗工性の改良、導電性支持体からの電荷注入の防止などの目的で設けられる。
下引き層(22)は通常、樹脂を主成分とする。通常、下引き層の上に感光層を塗布するため、下引き層に用いる樹脂は有機溶剤に難溶である熱硬化性樹脂が相応しい。特に、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂は以上の目的を充分に満たすものが多く、特に好ましい材料である。樹脂はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いて適度に希釈したものを塗料とすることができる。
また、下引き層には、伝導度の調節やモアレを防止するために、金属、または金属酸化物などの微粒子を加えてもよい。特に酸化チタンが好ましく用いられる。
微粒子はテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液と樹脂成分を混合した塗料とする。
下引き層は以上の塗料を浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などで支持体上に成膜し、必要な場合、加熱硬化することで形成される。
下引き層の膜厚は2〜5μm程度が適当になるケースが多い。感光体の残留電位の蓄積が大きくなる場合、3μm未満にするとよい。
本発明における感光層は、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層させた積層型感光層が好適である。
積層型感光体における各層のうち、電荷発生層(23)について説明する。電荷発生層は、積層型感光層の一部を指し、露光によって電荷を発生する機能をもつ。この層は含有される化合物のうち、電荷発生物質を主成分とする。電荷発生層は必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファスシリコンなどが挙げられる。アモルファスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子またはハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子などをドープしたものが好ましく用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、ペリレン系顔料などが挙げられる。このうち、金属フタロシアニン、フルオレノン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有する対称型若しくは非対称型のアゾ顔料およびペリレン系顔料は電荷発生の量子効率が軒並み高く、本発明に用いる材料として好適である。これらの電荷発生物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。また、後述する高分子電荷輸送物質を用いることもできる。このうちポリビニルブチラールが使用されることが多く、有用である。これらのバインダー樹脂は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷発生層を形成する方法としては、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法がある。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD(化学気相成長)法などがあり、上述した無機系材料や有機系材料からなる層が良好に形成できる。
また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系または有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。このうちの溶媒として、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は通常、0.01〜5μm程度が適当である。
残留電位の低減や高感度化が必要となる場合、電荷発生層は厚膜化するとこれらの特性が改良されることが多い。反面、帯電電荷の保持性や空間電荷の形成など帯電性の劣化を来すことも多い。これらのバランスから電荷発生層の膜厚は0.05〜2μmの範囲がより好ましい。
また、必要により、電荷発生層中に後述する酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物およびレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して、0.1〜20phr、好ましくは、0.1〜10phr、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1phr程度が適当である。
次に、電荷輸送層(24)について説明する。
電荷輸送層は電荷発生層で生成した電荷を注入、輸送し、帯電によって設けられた感光体の表面電荷を中和する機能を担う積層型感光層の一部を指す。電荷輸送層の主成分は電荷輸送成分とこれを結着するバインダー成分ということができる。
電荷輸送物質に用いることのできる材料としては、低分子型の電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質が挙げられる。
電子輸送物質としては、例えば非対称ジフェノキノン誘導体、フルオレン誘導体、ナフタルイミド誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
正孔輸送物質としては、電子供与性物質が好ましく用いられる。
その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの正孔輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
また、以下に表わされる高分子電荷輸送物質を用いることができる。たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール環を有する重合体、特開昭57−78402号公報等に例示されるヒドラゾン構造を有する重合体、特開昭63−285552号公報等に例示されるポリシリレン重合体、特開2001−330973号公報の一般式(1)〜一般式(6)に例示される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。これらの高分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。特に特開2001−330973号公報の例示化合物は静電特性面の性能が良好であり有用である。
高分子電荷輸送物質は硬化型保護層を積層する際、低分子型の電荷輸送物質と比べて、表面層へ滲みだしが少なく、表面層の硬化不良を防止するのに適当な材料である。また、電荷輸送物質の高分子量化により耐熱性にも優れる性状から、硬化型保護層を成膜する際の硬化熱による劣化が少なく有利である。
電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニル、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。このうち、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネートは電荷輸送成分のバインダー成分として用いる場合、電荷移動特性が良好な性能を示すものが多く、有用である。また、電荷輸送層はこの上層に硬化型保護層または保護層が積層されるため、電荷輸送層は従来型の電荷輸送層に対する機械強度の必要性が要求されない。このため、ポリスチレンなど、透明性が高いものの機械強度が多少低い材料で従来技術では適用が難しいとされた材料も、電荷輸送層のバインダー成分として有効に利用することができる。
これらの高分子化合物は単独又は2種以上の混合物として、或いはそれらの原料モノマー2種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
電荷輸送層の改質に際して電気的に不活性な高分子化合物を用いる場合にはフルオレン等の嵩高い骨格をもつカルドポリマー型のポリエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、C型ポリカーボネートのようなビスフェノール型のポリカーボネートに対してフェノール成分の3,3’部位がアルキル置換されたポリカーボネート、ビスフェノールAのジェミナルメチル基が炭素数2以上の長鎖のアルキル基で置換されたポリカーボネート、ビフェニルまたはビフェニルエーテル骨格をもつポリカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンのような長鎖アルキル骨格を有するポリカーボネート(例えば、特開平7−292095号公報に記載)やアクリル樹脂、ポリスチレン、水素化ブタジエンが有効である。
ここで電気的に不活性な高分子化合物とは、トリアリールアミン構造のような光導電性を示す化学構造を含まない高分子化合物を指す。
これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は、電荷輸送層の全固形分に対して50重量%以下とすることが好ましい。
低分子型の電荷輸送物質を用いる場合、その使用量は40〜200phr、好ましくは70〜100phr程度が適当である。また、高分子電荷輸送物質を用いる場合、電荷輸送成分100重量部に対して樹脂成分が0〜200重量部、好ましくは80〜150重量部程度の割合で共重合された材料が好ましく用いられる。
また電荷輸送層に2種以上の電荷輸送物質を含有させる場合、これらのイオン化ポテンシャル差は小さい方が好ましく、具体的にはイオン化ポテンシャル差を0.10eV以下とすることにより、一方の電荷輸送物質が他方の電荷輸送物質の電荷トラップとなることを防止することができる。
このイオン化ポテンシャルの関係は電荷輸送層に含有する電荷輸送物質と後述する硬化性電荷輸送物質との関係についても同様にこれらの差は0.10eVにするとよい。
尚、本発明における電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル値は理研計器社製大気雰囲気型紫外線光電子分析装置AC−1により一般的な方法で計測して得られた数値である。
高感度化を満足させるには電荷輸送成分の配合量を70phr以上とすることが好ましい。また、電荷輸送物質としてα−フェニルスチルベン化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物の単量体、二量体およびこれらの構造を主鎖または側鎖に有する高分子電荷輸送物質は電荷移動度の高い材料が多く有用である。
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。このうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンは、クロロベンゼンやジクロロメタン、トルエンおよびキシレンと比較して環境負荷の程度が低いため好ましい。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
電荷輸送層は電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物ないし共重合体を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層の上層には、硬化型保護層が積層されているため、この構成における電荷輸送層の膜厚は、実使用上の膜削れを考慮した電荷輸送層の厚膜化の設計が不要であり、薄膜化も可能となる。
電荷輸送層の膜厚は、実用上、必要とされる感度と帯電能を確保する都合、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15〜30μm程度が適当である。
また、必要により、電荷輸送層中に後述する酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物およびレベリング剤を併用すると感度劣化を来すケースが多い。このため、これらの使用量は概して、0.1〜20phr、好ましくは、0.1〜10phr、レベリング剤の使用量は、0.001〜0.1phr程度が適当である。
続いて、硬化型保護層(25)について説明する。
本発明の硬化型保護層は架橋反応を経て3次元の網目構造を形成する材料を選ぶ必要がある。
特に以下に記述するポリウレタン系材料は耐久性に優れるため、本発明で有効に用いられる。
ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)と、ポリオール化合物の1例としての後述するポリカプロラクトン(B)と、ポリシロキサン(C)とを構成要素とする組成物及び/又は化合物を硬化してなるものである。更に硬化性電荷輸送成分(D)が配合される。該組成物の形態としては、第1に、ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)と該ポリカプロラクトン(B)とポリシロキサン(C)とがそれぞれ独立して組成物の構成成分となる場合、第2に、ポリカプロラクトン(B)が骨格中に導入されたポリジメチルシロキサン系共重合体(A)と、ポリシロキサン(C)とが組成物の構成成分となる場合、第3に、ポリシロキサン(C)が骨格中に導入されたポリジメチルシロキサン系共重合体(A)と、ポリカプロラクトン(B)とが組成物の構成成分となる場合があり、それぞれの組成物は単独で又は二種以上混合して用いることができる。一方、上記化合物とは、ポリカプロラクトン(B)及びポリシロキサン(C)が骨格中に導入されたポリジメチルシロキサン系共重合体(A)をいい、該化合物は、単独で用いることもできるし、上記組成物の一種又は二種以上と混合して用いることもできる。
(A)ポリジメチルシロキサン系共重合体
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体(A)は、ポリジメチルシロキサン部分と、ビニルモノマーの重合体鎖部分とを有する共重合体であり、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体の合成は、リビング重合法、高分子開始剤法又は高分子連鎖移動法等によって行なうことができるが、工業的には、高分子開始剤法又は高分子連鎖移動法によって行なうのが好ましい。
高分子開始剤法では、例えば、
Figure 2006259347
mは10〜300の整数
nは1〜50の整数
のごとき高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を使用してビニルモノマーと共重合させることにより、効率よくブロック共重合体を合成することができる。また、ペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて、過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行なうこともできる。
高分子連鎖移動法では、例えば、
Figure 2006259347
mは10〜300の整数
のごときシリコーンオイルに、HS−CHCOOHや、HS−CHCHCOOH等を付加してSH基を有するシリコーン化合物とした後、該SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることにより、ブロック共重合体を合成することができる。
一方、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体については、例えば、
Figure 2006259347
mは10〜300の整数
のごときポリジメチルシロキサンのメタクリルエステル等とビニルモノマーとを共重合させることにより、容易にかつ収率よくグラフト共重合体を合成することができる。
ポリジメチルシロキサンとの共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール等のOH基を有するビニルモノマーを用いることもできるし、カージュラEとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等との反応物を用いることもできる。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。
(B)ポリカプロラクトン(ポリオール化合物)
本発明におけるポリカプロラクトン(B)としては、例えば、
Figure 2006259347
m+nは4〜35の整数
R:C、COC、C(CH(CH
のごとき2官能ポリカプロラクトンジオール類や、
Figure 2006259347
l+m+nは3〜30の整数
R:CHCHCH、CHC(CH、CHCHC(CH
のごとき3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。該ポリカプロラクトン(B)をポリジメチルシロキサン系共重合体(A)の骨格に導入する場合には、ラクトン変成ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類を使用するのが好ましく、例えば、
Figure 2006259347
R:HまたはCH
n:1〜25の整数
の構造式で示されるラジカル重合性ポリカプロラクトンが挙げられる。
(C)ポリシロキサン
本発明におけるポリシロキサン(C)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトキエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、または該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。該ポリシロキサン(C)は、得られる硬化型保護層材料に耐熱性、耐汚染性等を付与し、硬化型保護層材料の表面硬度を向上させるのに重要な役割を果たす。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体(A)は、通常溶液重合によって製造される。この溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが単独又は混合溶剤として用いられ、所望により、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性の重合開始剤が用いられる。上記溶液重合の反応温度は、50〜150℃であるのが好ましく、反応時間は、3〜12時間であるのが好ましい。
ここで、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)の骨格中にポリカプロラクトン(B)及び/又はポリシロキサン(C)を導入する場合には、該ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)を重合する際に該ポリカプロラクトン(B)及び/又はポリシロキサン(C)を添加して共重合すればよい。なお、上記組成物を製造する場合には、各構成成分を常法により混合すればよい。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体(A)(ポリカプロラクトン(B)及び/又はポリシロキサン(C)が骨格中に導入されたものを含む。)中のポリジメチルシロキサン部分の量は、1〜30重量%であるのが好ましく、特に1〜20重量%であるのが好ましい。このポリジメチルシロキサン部分は、感光体表面に潤滑性を与え、タッキング性を低減する効果があるが、該ポリジメチルシロキサン部分の量が1重量%未満ではかかる効果が充分に発揮されず、一方、該ポリジメチルシロキサン部分の量が30重量%を超えると、硬化型保護層材料の耐汚染性が低下する。該ポリジメチルシロキサン部分の分子量は、1000〜30000程度であるのが好ましく、効果的に硬化型保護層材料表面に配向し、潤滑性を与える分子量としては、特に5000〜20000程度であるのが好ましい。
本発明におけるポリカプロラクトン(B)(ポリオール化合物)の量は、ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)の骨格に導入される場合であっても、組成物中で独立して存在する場合であっても、固形分中5〜50重量%であるのが好ましい。このポリカプロラクトン(B)は、硬化型保護層材料に対して高い反撥弾性と良好な密着性を付与し、擦過力が及ぼされると、該擦過力をエネルギー弾性変形により吸収する働きを有するが、該ポリカプロラクトン(B)の量が5重量%未満では、硬化型保護層材料の耐擦傷性及び耐チッピング性が低下し、一方、該ポリカプロラクトン(B)の量が50重量%を超えると、硬化型保護層材料の耐汚染性が低下する。
本発明におけるポリシロキサン(C)の量は、ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)の骨格に導入される場合であっても、組成物中で独立して存在する場合であっても、固形分中1〜20重量%であるのが好ましい。このポリシロキサン(C)は、硬化型保護層材料に対して耐汚染性、耐候性、耐熱性を付与するとともに硬化型保護層材料の表面硬度を向上させる働きを有するが、該ポリシロキサン(C)の量が1重量%未満ではかかる効果が充分に発揮されず、一方、該ポリシロキサン(C)の量が20重量%を超えると、硬化型保護層材料の耐擦傷性が低下する。
上記原材料を硬化させることにより本発明の硬化型保護層材料が得られるが、このとき、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)(ポリカプロラクトン(B)及び/又はポリシロキサン(C)が骨格中に導入されたものを含む。)はウレタン架橋及び/又はメラミン架橋するのが好ましい。
該ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)をウレタン架橋するには、OH基を有する該ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)に対して、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート、あるいは上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤を上記原材料に添加して硬化させればよく、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート等を触媒として添加してもよい。ウレタン架橋の場合には室温乾燥又は焼付乾燥が可能であり、通常、該室温乾燥は8時間〜1週間行なわれ、該焼付乾燥は40〜300℃で5秒〜120分行なわれる。
一方、該ポリジメチルシロキサン系共重合体(A)をメラミン架橋するには、アルコキシメチロールメラミン等のメラミン架橋剤を上記原材料に添加して硬化させればよく、必要に応じてパラトルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、四塩化フタル酸等を触媒として添加してもよい。メラミン架橋の場合には、80〜250℃、5秒〜60分の焼付乾燥を行なうのが好ましい。
(D)硬化性電荷輸送成分
硬化性電荷輸送成分は下地の電荷輸送層からの注入性に優れ、電荷輸送能の高い材料が好ましい。これに対し特開2001−330973号公報に例示される高分子電荷輸送物質の合成に用いられる電荷輸送性モノマーの利用は実績が高く、きわめて有用である。また、分子骨格に含む硬化を担う活性水素1個当たりの物質量(当量)が小さいと硬化型保護層中の硬化剤の含有量を高めてしまい、結果、硬化可能な電荷輸送物質の最大含有量を制約してしまう。処方設計上、この当量は大きい材料が好ましく、具体的には当量が200以上の材料を選択するとよい。特に、つぎの一般式(2)〜(4)の化合物の利用は合理的といえる。
Figure 2006259347
式中、Rは水素原子、アルキル基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアリール基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアリール基を表わし、Rは水素原子、アルキル基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアリール基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアリール基、ハロゲン原子を表わし、Rは水素原子を表わし、Ar、Arはアリール基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されたアリール基を表わす。但し、Rが水素原子、且つAr及びArがp−トリル基である場合を除く。
Xは下記(a)〜(d)のいずれかを表わす。
(a)アルキレン基
(b)フッ素原子、シアノ基、フェニル基、又はハロゲン原子若しくはC1〜C5のアルキル基で置換されたフェニル基によって置換されたアルキレン基
(c)アリーレン基
(d)下記一般式(5)で表わされる基
Figure 2006259347

{式中、Yは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−及び以下の2価基を表わす。
Figure 2006259347
Figure 2006259347
Figure 2006259347
Figure 2006259347
(ここで、R、Rは水素原子、アルキル基、前記(c)で定義された置換基を有するアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、前記(e)で定義された置換基を有するアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表わし、p、q、r、sは1〜12の整数を表わす)}
Figure 2006259347

、Rは置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、Rは同一であっても異なってもよい。
また、Ar、ArおよびArで示されるアリーレン基としてはRおよびRと同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式(2)で挙げたものと同じである。
Figure 2006259347

、R10は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、R10は同一であっても異なってもよい。
また、Ar、およびArで示されるアリーレン基としてはRおよびR10と同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式(2)で挙げたものと同じである。
以上の硬化型保護層に硬化性電荷輸送物質を配合することは帯電安定性を高める作用を持つ。これにより下地との誘電率の差が緩和されることが多い。硬化型保護層と下地との誘電率が大きく異なると、各層で充放電のバランスが崩れてしまい、帯電安定性が確保しにくくなる。結果、残像等の異常画像を生じてしまうことがある。硬化性電荷輸送物質の配合は感度特性の向上の他に帯電安定性が得られるため、高信頼性を付与するのに有利である。
感光体最表面層は感光層の一部である電荷輸送層のような厚膜(15〜40μm程度)にする必要がないため、電荷輸送層並の電荷移動度を確保する電荷輸送成分の含有量(大凡、電荷輸送層全重量に対して30重量%〜70重量%)は必要としない。発明者は実際の電子写真装置を用いた評価において、7.5重量%以上の含有量とすることで出力画像の画像濃度に支障の生じないことを確認した。これより、感光体表面相に含有させる電荷輸送成分は大凡、7.5重量%以上が好ましい。
硬化型保護層塗料を調製する際に使用する分散溶媒は硬化型保護層塗料の成分を充分に溶解し、且つ下地に対する溶解性が1ml/10mg以下の溶解度となる溶媒を選ぶとよい。これに対し、一般式(1)の溶媒を用いることが重要となる。
Figure 2006259347
(式中Rはアルキル基を表わす)
このような溶剤としては、例えば1−メトキシ−2−プロパノール(沸点=121℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点=187.2℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点=149.8℃)等が、非限定的な例として挙げられる。
一般式(1)のうちRがメトキシ基またはエトキシ基であるものは硬化型保護膜の塗工不良の発生が少ないため良好であり、硬化性電荷輸送物質の溶解性が一段良好であるケースの多い1−メトキシ−2−プロパノールが特によい。
これにより硬化型保護層成膜時の下地の溶解を抑制することができる。尚、下地成分の保護層中への具体的な含有量は静電特性面から0.5重量%未満まで抑制した方がよい。
硬化型保護層の形成方法として、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。多くの場合、塗工液はポットライフが長くないため、少量の塗料で必要な分量のコーティングができる手段が環境への配慮とコスト面で有利となる。このうちスプレー塗工法とリングコート法が好適である。
硬化型保護層塗工液被膜を加熱乾燥する際、この被膜はタックリーにならない状態であることが重要となる。これにより硬化不足や硬化具合の不均一化を抑制することができる。
硬化温度は高すぎても低すぎても硬化不良を生じてしまうため、この設定も品質の安定化を左右することとなる。充分な硬化を進めるためには急激な溶媒の揮発は回避した方がよい。一方、硬化速度が緩慢すぎると硬化型保護層自体の膜厚ムラやクラックや電荷輸送物質の結晶化など下地の変質を来すため、適正な温度で加熱する必要がある。
使用する材料によって具体的な設定温度は調整する必要があるが、保護層塗工液の吸熱ピーク温度をX(℃)、該塗工液溶媒の沸点をY(℃)、保護層成膜時の最大加熱乾燥温度をZ(℃)としたとき、次の条件を満たす設定温度で硬化を進めるとよい。
Figure 2006259347
ここで保護層塗工液の吸熱ピーク温度はDSC測定装置によって得られる値である。本発明では理学電機社製示差走査熱量計 Thermoplus DSC8230を用いて計測している。測定は開放型アルミパンを用いて、40℃から200℃の温度範囲を10℃/minの走査速度で昇温したときに得られるファーストスキャン時のDSCカーブを採用した。
種々の下地に対して均質な硬化型保護層を得るため、最大加熱温度は電荷輸送層のガラス転移温度以下で行なうことがより好ましい。
架橋反応が進むことで加熱温度が溶媒の沸点以下でも溶媒は揮発してしまうことが多い。溶媒の大気中への拡散と架橋の発熱が揮発を助長していると思われる。
充分な迄に残留溶剤の滞留や硬化不良が抑制された硬化型保護層の硬化膜は先と同様にしてDSCカーブを得ても吸熱ピークが観測されない。そこで、この特徴を呈する硬化型保護層を成膜することが望ましい。
硬化型保護層の塗膜の平滑性を得るために一般塗料に用いられるようなアクリル系や脂肪酸系多価カルボン酸類、ないしシリコーン系の湿潤分散剤、アクリル系もしくはシリコーン系の表面調整剤、アクリル系もしくはシリコーン系消泡剤、およびシリコーン系などのレベリング剤の併用はきわめて有用である。
硬化型保護層の膜厚は1〜10μm程度が適当であり、好ましくは2〜5μm程度が適当である。
本発明においてはガスバリアー性向上、及び耐環境性改善のため、各層に酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。例えば特開2003−322984号公報の段落番号[0127]〜[0160]に記される材料が用いられる。また、各層に添加できる低分子電荷輸送物質は、電荷発生層(25)の説明に記載したものと同じものを用いることができる。
実施例1
肉厚0.8mm、φ100mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、29μmの電荷輸送層を形成した。次に感光体最表面層用塗工液をリングコートで塗工し、5μmの感光体最表面層を設け本発明の電子写真感光体を得た。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307−60−EL,
大日本インキ化学工業製) 10重量部
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60,
大日本インキ化学工業製) 7重量部
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40重量部
メチルエチルケトン 200重量部
〔電荷発生層用塗工液〕
チタニルフタロシアニン(リコー社製) 20重量部
ポリビニルアルコール(エスレックB BX−1、積水化学工業社製) 10重量部
メチルエチルケトン 100重量部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 7重量部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
Figure 2006259347

テトラヒドロフラン 79重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1重量部
〔硬化型保護層用塗工液〕
自己治癒性樹脂(主剤)
(自己治癒性クリヤーNo.100、ナトコ社製) 19重量部
自己治癒性樹脂(硬化剤)
(自己治癒性クリヤーNo.2、ナトコ社製) 51重量部
下記構造の架橋性電荷輸送物質 30重量部
Figure 2006259347
1−メトキシ−2−プロパノール 900重量部
実施例2
実施例1の硬化型保護層用塗料を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。
〔硬化型保護層用塗工液〕
自己治癒性樹脂(主剤)
(自己治癒性クリヤーNo.100、ナトコ社製) 19重量部
自己治癒性樹脂(硬化剤)
(自己治癒性クリヤーNo.2、ナトコ社製) 51重量部
下記構造の架橋性電荷輸送物質 30重量部
Figure 2006259347
1−メトキシ−2−プロパノール 900重量部
実施例3
実施例1の硬化型保護層用塗料を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。
〔硬化型保護層用塗工液〕
自己治癒性樹脂(主剤)
(自己治癒性クリヤーNo.100、ナトコ社製) 27重量部
自己治癒性樹脂(硬化剤)
(自己治癒性クリヤーNo.2、ナトコ社製) 43重量部
下記構造の架橋性電荷輸送物質 30重量部
Figure 2006259347
1−メトキシ−2−プロパノール 900重量部
実施例4
実施例1の硬化型保護層用塗料を下記のものに変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を得た。
〔硬化型保護層用塗工液〕
自己治癒性樹脂(主剤)
(自己治癒性クリヤーNo.100、ナトコ社製) 4重量部
自己治癒性樹脂(硬化剤)
(自己治癒性クリヤーNo.2、ナトコ社製) 92重量部
下記構造の架橋性電荷輸送物質 24重量部
Figure 2006259347
1−メトキシ−2−プロパノール 1080重量部
比較例1
実施例1における硬化型保護層塗工液に用いた1−メトキシ−2−プロパノールを4−メチル−2−ペンタノンに変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例2
実施例2における硬化型保護層塗工液に用いた1−メトキシ−2−プロパノールを4−メチル−2−ペンタノンに変えた以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例3
実施例3における硬化型保護層塗工液に用いた1−メトキシ−2−プロパノールを4−メチル−2−ペンタノンに変えた以外は実施例3と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例4
実施例4における硬化型保護層塗工液に用いた1−メトキシ−2−プロパノールを4−メチル−2−ペンタノンに変えた以外は実施例4と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例5
実施例1における硬化型保護層を設けなかった以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1〜4と比較例1〜4の硬化型保護層は25℃58%RHの環境下でスプレー塗工を行なった。ノズルと感光体ドラムとの距離を50mmとし、ドラムを120rpmの速度で回転させながら塗工速度7.5mm/secで連続2回コーティングした。塗工終了2分後に加熱乾燥したが、この直前まで塗工液の被膜は流動性を呈していた。硬化条件は115℃20分間とした。
得られた各感光体から、ダイヤモンドカッタのミクロトームで保護層を剥離してDSC解析したところ、40℃〜200℃までの温度範囲におけるDSCカーブについて吸熱ピークは観測されなかった。
以上のように作製した実施例1〜4と比較例1〜5の電子写真感光体を実装用にした後、感光体の像露光部位が現像手段のスリーブ部に至るまでのプロセス時間を95msecに改造した高速電子写真装置(リコー社製、imagio MF105)に搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで画像濃度が6%となるテキストとグラフィック画像のパターンを連続999枚づつ印刷する条件で通算10万枚、コピー用紙(リコー社製、マイペーパー)に複写印刷した。トナーは純正品を用いた。現像剤は純正品のものに対して平均キャリア粒径のみ20μmに変更した現像剤を使用した。電子写真装置の帯電手段は装置に取り付けられているスコロトロンチャージャーをそのまま用いた。電子写真装置のプロセス状態をコントロールする回路(プロセスコントロール)は作動させて試験を行なった。試験環境は、24℃/54%RHであった。
試験終了後、プロセスコントロールは非作動の状態にして、帯電電位は−800Vとなるようにチャージワイヤに電圧印加させたときの黒ベタパターン書込時の露光部電位を測定した。また同じ条件で解像度評価用のチャート(竹の子チャート)を複写印刷し、この出力画像の解像度評価を行なった。更に、試験終了後の摩耗量を測定した。評価結果を表1に記す。
Figure 2006259347
実施例1〜4とこれに対応する比較例1〜4をそれぞれ比較すると、品質に及ぼす硬化型保護層用塗工液に用いる溶媒の影響は極めて大きいといえる。比較例1〜4に用いた溶媒は一般塗料のシンナーに多用されるものであり、奇異な材料とは考えられない。実施例1〜4、比較例1〜4の感光体は硬化型保護層の下地が電荷輸送層である。選択する溶媒でこの溶解具合が異なり、品質に影響したと思われる。また、実施例1〜4と比較例5との試験結果の比較から、本発明の電子写真感光体は長寿命であると解釈される。
尚、実施例4の硬化型保護層に含有される硬化性電荷輸送物質は他の実施例と比較して配合比が小さい。この分子自身の当量が小さく、この系ではほぼ硬化が可能な最大含有量となるため、この配合比にした。
実施例5
肉厚0.8mm、φ30mmアルミニウムドラム上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、18μmの電荷輸送層を形成した。次に感光体最表面層用塗工液をリングコートで塗工し、5μmの感光体最表面層を設け本発明の電子写真感光体を得た。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂(ベッコゾール 1307−60−EL,
大日本インキ化学工業製) 10重量部
メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60,
大日本インキ化学工業製) 7重量部
酸化チタン(CR−EL 石原産業社製) 40重量部
メチルエチルケトン 200重量部
〔電荷発生層用塗工液〕
チタニルフタロシアニン(リコー社製) 20重量部
ポリビニルアルコール(エスレックB BX−1、積水化学工業社製) 10重量部
メチルエチルケトン 100重量部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 7重量部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
Figure 2006259347
テトラヒドロフラン 79重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1重量部
〔硬化型保護層用塗工液〕
自己治癒性樹脂(主剤)
(自己治癒性クリヤーNo.100、ナトコ社製) 19重量部
自己治癒性樹脂(硬化剤)
(自己治癒性クリヤーNo.2、ナトコ社製) 51重量部
下記構造の架橋性電荷輸送物質 30重量部
Figure 2006259347
1−メトキシ−2−プロパノール 900重量部
硬化型保護層塗工液の吸熱ピーク温度は70℃で、1−メトキシ−2−プロパノールの沸点は118℃である。
感光体最表面層の硬化条件は115℃30分とした。
実施例6
実施例5における硬化型保護層の硬化温度を60℃に設定した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例7
実施例5における硬化型保護層の硬化温度を160℃に設定した以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例6
実施例7における硬化型保護層塗工液に用いた1−メトキシ−2−プロパノールを4−メチル−2−ペンタノンに変えた以外は実施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例5〜7と比較例6の硬化型保護層は23℃52%RHの環境下でリングコート塗工を行なった。塗工速度は160mm/secとした。塗工終了2分後に加熱乾燥したが、この直前まで塗工液の被膜は流動性を呈していた。
得られた各感光体から、ダイヤモンドカッタのミクロトームで保護層を剥離してDSC解析したところ、40℃〜200℃までの温度範囲におけるDSCカーブについて吸熱ピークは観測されなかった。
以上のように作製した実施例5〜7と比較例6の電子写真感光体をプロセスカートリッジに搭載して実装用にした後、更にこのプロセスカートリッジを電子写真装置にセットした。リコー社製、imagio MF150)に搭載し、画素密度が600dpi×600dpiで画像濃度が6%となるテキストとグラフィック画像のパターンを連続999枚づつ印刷する条件で通算1万枚、コピー用紙(リコー社製、マイペーパー)に複写印刷した。トナーおよびプロセスカートリッジは純正品を用いた。現像剤はプロセスカートリッジに内包されたものを使用した。電子写真装置の帯電手段は装置に取り付けられている帯電ローラをそのまま用いた。電子写真装置のプロセス状態をコントロールする回路(プロセスコントロール)は作動させて試験を行なった。試験環境は、24℃/54%RHであった。
試験終了後、摩耗量を測定した。評価結果を表2に記す。
Figure 2006259347
実施例5は保護層塗工液の吸熱ピークと保護層用塗工液に利用されている溶媒の沸点に挟まれる温度で架橋をさせており、中でも摩耗量も小さな結果が得られている。
実施例8
実施例5における電荷輸送層用塗工液を以下のものに変えた以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
下記構造の高分子電荷輸送物質 12重量部
Figure 2006259347
(重量平均分子量 100000)
テトラヒドロフラン 87重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1重量部
この電荷輸送層の樹脂膜のガラス転移温度は180℃だった。
実施例9
実施例5における電荷輸送層用塗工液を以下のものに変えた以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
ポリカーボネート樹脂(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 9重量部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
Figure 2006259347
テトラヒドロフラン 79重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1重量部
この電荷輸送層の樹脂膜のガラス転移温度は74℃だった。
実施例10
実施例5における電荷輸送層用塗工液を以下のものに変えた以外は実施例5と同様にして電子写真感光体を作製した。
ポリカーボネート樹脂(パンライトTS−2050、帝人化成社製) 7重量部
下記構造の低分子電荷輸送物質 10重量部
Figure 2006259347
テトラヒドロフラン 80重量部
1%シリコーンオイル(KF50−100CS信越化学工業社製)
テトラヒドロフラン溶液 1重量部
この電荷輸送層の樹脂膜のガラス転移温度は85℃だった。
比較例7
実施例8における硬化型保護層塗工液に用いた1−メトキシ−2−プロパノールを4−メチル−2−ペンタノンに変えた以外は実施例8と同様にして電子写真感光体を作製した。
比較例8
実施例8における硬化型保護を設けない以外は実施例8と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例8〜10と比較例7の硬化型保護層は26℃53%RHの環境下でスプレー塗工を行なった。ノズルと感光体ドラムとの距離を50mmとし、ドラムを120rpmの速度で回転させながら塗工速度7.5mm/secで連続2回コーティングした。塗工終了2分後に加熱乾燥したが、この直前まで塗工液の被膜は流動性を呈していた。硬化条件は80℃60分間とした。
得られた各感光体から、ダイヤモンドカッタのミクロトームで保護層を剥離してDSC解析したところ、40℃〜200℃までの温度範囲におけるDSCカーブについて吸熱ピークは観測されなかった。
以上のように作製した実施例8〜10および比較例7の電子写真感光体を実装用にした後、一部改造した電子写真装置(リコー社製:IPSiO Color 8000)に搭載し、画像濃度が5%となるテキストとグラフィック画像のパターンを通算2万枚、プリントアウトした。
電子写真装置の帯電手段は装置に変更加えず、感光体に近接配置された帯電ローラを用いた。試験環境は、23℃/55%RHであった。
試験終了後の感光体表面粗さを測定した。結果を表3に記す。
Figure 2006259347
硬化温度が電荷輸送層のガラス転移温度以下で成膜することにより、感光体表面の耐傷性が向上している。
本発明における電子写真方式を使用した画像形成装置の概略図を示す図である。 本発明の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の別の層構成を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 ・・・電子写真感光体
2 ・・・帯電装置
3 ・・・画像露光装置
4 ・・・現像装置
5 ・・・転写装置
6 ・・・除電チャージャ
7 ・・・クリーニング装置
71・・・クリーニングブレード
8 ・・・除電手装置
9 ・・・定着装置
10・・・給紙トレー
11・・・被転写体
12・・・排紙トレー
13・・・ハードコピー
21・・・導電性支持体
22・・・下引き層
23・・・電荷発生層
24・・・電荷輸送層
25・・・硬化型保護層

Claims (17)

  1. 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層からなる感光層に更に硬化型保護層を積層しる電子写真感光体の製造方法において、下記一般式(1)の塗工溶媒中に硬化性電荷輸送成分と硬化型バインダー成分を含有する保護層塗工液を、前記支持体上に塗布、乾燥して、架橋した硬化型保護層を有する形成する段階を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2006259347

    (式中Rはアルキル基を表わす)
  2. 前記硬化型バインダー成分が2官能以上のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物であることを特徴とする請求項1の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記硬化性電荷輸送成分が少なくとも下記一般式(2)〜(4)の化合物の何れかを含むことを特徴とする請求項1又は2の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2006259347

    式中、Rは水素原子、アルキル基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアリール基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアリール基を表わし、Rは水素原子、アルキル基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアルキル基、アリール基、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子で置換されたアリール基、C〜Cのアルキル基で置換されたフェニル基で置換されたアリール基、ハロゲン原子を表わし、Rは水素原子を表わし、Ar、Arはアリール基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されたアリール基を表わす。但し、Rが水素原子、且つAr及びArがp−トリル基である場合を除く。
    Xは下記(a)〜(d)のいずれかを表わす。
    (a)アルキレン基
    (b)フッ素原子、シアノ基、フェニル基、又はハロゲン原子若しくはC1〜C5のアルキル基で置換されたフェニル基によって置換されたアルキレン基
    (c)アリーレン基
    (d)下記一般式(5)で表わされる基
    Figure 2006259347

    {式中、Yは−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−及び以下の2価基を表わす。
    Figure 2006259347
    Figure 2006259347
    Figure 2006259347
    Figure 2006259347
    (ここで、R、Rは水素原子、アルキル基、前記(c)で定義された置換基を有するアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、前記(e)で定義された置換基を有するアリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基を表わし、p、q、r、sは1〜12の整数を表わす)}
    Figure 2006259347

    、Rは置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、Rは同一であっても異なってもよい。
    また、Ar、ArおよびArで示されるアリーレン基としてはRおよびRと同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式(2)で挙げたものと同じである。
    Figure 2006259347

    、R10は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。R、R10は同一であっても異なってもよい。
    また、Ar、およびArで示されるアリーレン基としてはRおよびR10と同様のアリール基の2価基が挙げられ、同一であっても異なってもよい。Xは一般式(2)で挙げたものと同じである。
  4. 前記電荷輸送層が高分子電荷輸送物質からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 感光層上に塗布された前記保護層塗工液の被膜が流動性を呈する状態で加熱乾燥されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記保護層塗工液の吸熱ピーク温度をX(℃)、該塗工液の溶媒の沸点をY(℃)、保護層成膜時の最大加熱乾燥温度をZ(℃)として、少なくとも下記条件で保護層が成膜されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2006259347
  7. 前記保護層塗工液の最大加熱乾燥温度が電荷輸送層のガラス転移温度以下であることを特徴とする請求項6の電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記保護層中の残存溶媒量が100ppm未満であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 少なくとも請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法によって得られたものであることを特徴とする電子写真感光体。
  10. 少なくとも前記硬化型保護層の感光層成分含有量が0.5重量%未満であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。
  11. 少なくとも前記感光層の硬化型保護層成分含有量が0.5重量%未満であることを特徴とする請求項10の電子写真感光体。
  12. 少なくとも40℃〜200℃までの温度範囲におけるDSCカーブについて吸熱ピークが観測されない硬化型保護層が積層されてなることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 前記硬化型保護層がポリウレタンであることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体。
  14. 前記硬化型保護層がポリカプロラクトン変性ポリウレタンであることを特徴とする請求項13の電子写真感光体。
  15. 前記電荷輸送層が高分子電荷輸送物質からなることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体。
  16. 少なくとも請求項9乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  17. 少なくとも請求項9乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体または請求項16のプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする電子写真装置。

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JP2009186635A (ja) * 2008-02-05 2009-08-20 Konica Minolta Business Technologies Inc 画像形成方法

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