JP2006258953A - 冷却搬送装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加熱定着された記録材を効率よく冷却して搬送する冷却搬送装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 弾性層1aを有する回転可能なロール部材1と、このロール部材1に圧接し且つロール部材1と共に転動して記録材3を挟持搬送する無端状のベルト部材2と、このベルト部材2の裏面側に設けられ、ベルト部材2を所定のニップ域にてロール部材1側に押し当て且つ記録材3からの吸熱を行う吸熱加圧部材4とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に用いられ、未定着トナー像が加熱定着された記録材を冷却搬送させる冷却搬送装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等においては、記録材上の未定着トナー像を加熱溶融させて定着する加熱定着方式が知られている。しかしながら、例えば定着の高速化がなされたり、連続的な定着の繰り返しが行われることで、定着後の記録材の冷却不足によるトナー硬化不足が発生し、排出された記録材間での硬化不足トナーによる用紙相互間での粘着が生じる虞があった。また、両面印刷時には、定着後の記録材搬送に伴い搬送される記録材からの排熱によってトナーの帯電性等が影響を受け、濃度むら等の画像異常を生じる虞もある。
このような問題に対し、定着直後の記録材を強制的に冷却する冷却搬送装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1では、図8(a)に示すように、弾性層101aを持った吸熱ロール101とヒートパイプからなるロール102とで構成される一対の回転体を互いに押圧してニップ域を形成し、このニップ域にて定着直後の記録材103を挟持搬送することで冷却しようとする方式が提示されている。
更にこの特許文献では、図8(b)に示すように、ヒートパイプからなるロール104ともう一つのロール105との間に熱伝導性のよい搬送ベルト106を掛け渡し、この搬送ベルト106に対向して弾性層101aを有する吸熱ロール101を配設することで広いニップ域を形成し、定着後の記録材103に対し搬送ベルト106上を搬送させて冷却を行う方式が提示されている。
特開2003−233227号公報(発明の実施の形態、図2,7)
しかしながら、一対の回転体にて記録材を挟持搬送させるタイプにあっては、ニップ域を広く取ることができず、記録材の冷却効果としては不十分なものとなっていた。一方、搬送ベルトを使用するタイプでは、ニップ域を広く取ることはできるが、搬送ベルト自体の冷却効果によって記録材の冷却を行うようにしたもので、ニップ域に至る前の搬送ベルトの放冷効果もあり、ニップ域での冷却効果を損なう問題があった。
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであって、加熱定着された記録材を効率よく冷却して搬送する冷却搬送装置及びこれを用いた画像形成装置を提供しようとしたものである。
すなわち、本発明は、図1に示すように、弾性層1aを有する回転可能なロール部材1と、このロール部材1に圧接し且つロール部材1と共に転動して記録材3を挟持搬送する無端状のベルト部材2と、このベルト部材2の裏面側に設けられ、ベルト部材2を所定のニップ域にてロール部材1側に押し当て且つ記録材3からの吸熱を行う吸熱加圧部材4とを備えることを特徴とするものである。
このような技術的手段において、ロール部材1は弾性層1aを備え弾性変形可能なものであればよく、例えば表面に金属薄層等の高熱伝導性を有する薄層や、フッ素系樹脂層等の離型層を備えることは差し支えなく、更には、金属薄層等の薄層表面に離型層を備えるようにしてもよい。ロール部材1表面に高熱伝導層を設けるようにすれば、記録材3からロール部材1への吸熱効果も付加され、記録材3からの熱が一層奪われ易くなり、冷却効果が向上するようになる。また、ロール部材1の表面に離型層を施すことで、記録材3上のトナーTの付着を抑止できるようになる。
また、ベルト部材2は、耐熱性を備えていれば金属ベルト、樹脂ベルト等が使用でき、ベルト部材2としても単層構成、複層構成のいずれでもよい。
更に、吸熱加圧部材4は、ロール部材1側にベルト部材2を押し当てた際に所定のニップ域が形成可能な形態を備えていることが必要であり、冷却効率を上げる上ではニップ域を可能な限り広く確保することが好ましい。また、吸熱加圧部材4は、記録材3からの熱を吸熱するものであればよく、全体が吸熱機能部であってもよいし、一部(内部や表面)に吸熱機能部を備える等、その部材構成は特には問わないが、好ましくは金属等の高熱伝導性を備える部材で構成されることがよい。また、記録材3からの吸熱効果が得られれば、高熱伝導性のフィラーを充填した樹脂であっても差し支えない。
更にまた、所定のニップ域は広く確保されれば、その形状としてはロール部材1側に凸形状、吸熱加圧部材4側に凸形状、水平形状等いずれであっても差し支えない。
そして、記録材3からの吸熱効果を向上させる観点から、吸熱加圧部材4には、この内部に冷媒を循環させる冷却装置5が接続されることが好ましい。
このとき、冷却装置5としては、水冷装置を使用するようにすれば、吸熱加圧部材4を有効且つ安価に冷却することができ、記録材3からの吸熱作用を安定して維持することが可能になる。
また、本発明では、ベルト部材2と吸熱加圧部材4との接触面の少なくとも一方には、互いの摩擦抵抗を小さくする低摩擦処理層が施されていることが好ましく、このように低摩擦処理層を施すことで、ベルト部材2の回転動作が一層スムーズになり、ベルトウォーク等の発生をより抑えることができる。また、記録材3の搬送に対する影響も低減され、紙しわ等の発生も抑制されるようになる。
低摩擦処理層としては、ベルト部材2裏面に潤滑剤を塗布することが好ましく、この場合、簡単な構成でベルト部材2と吸熱加圧部材4との摩擦抵抗が軽減され、ベルト部材2の回転動作が一層スムーズになる。
更に、ベルト部材2としては、金属からなるもので構成するようにすれば、ベルト部材2での高熱伝導性が確保され記録材3から吸熱加圧部材4への吸熱がより効果的に行われるようになる。
また、本発明では、ロール部材1及びベルト部材2の回転軸方向ニップ長さは、使用される記録材3の最大幅より大きくすることが好ましい。
更に、本発明においては、ベルトウォーク制御を不要とし、装置を小型化する観点から、ロール部材1は駆動源を備え、ベルト部材2はロール部材1との間でニップ搬送されるようにすることが好ましい。この場合、ベルト部材2の内側には、ベルト部材2の移動軌跡をガイドするガイド部材6を備えるようにすれば、ベルト部材2の不要なバタツキを抑えることができ、ベルト部材2の回転動作が一層スムーズになる。尚、ガイド部材6のベルト部材2側表面には、ベルト部材2との摩擦抵抗を小さくするための処理層(離型層等)を備えることが好ましい。
更に、本発明は、上述した冷却搬送装置のみならず、画像形成装置をも対象とするものであり、この場合、トナー像を担持する像担持体と、この像担持体上のトナー像を記録材3上に転写する転写装置と、記録材3上に転写されたトナー像を加熱定着する定着装置と、定着後の記録材3の冷却を行う冷却搬送装置とを備え、この冷却搬送装置として上述の冷却搬送装置を用いるようにすればよい。尚、転写同時定着の態様にあっては、転写装置と定着装置が兼用されるものも含む。
更にまた、記録材3は、定着されたトナーT像面がロール部材1側に位置するように搬送されることが好ましく、このように、弾性変形するロール部材1側にトナーT像面を配置することで、ロール部材1と吸熱加圧部材4とのニップ域で画像乱れの発生を抑えることができるようになる。
本発明によれば、弾性層を有する回転可能なロール部材と、このロール部材と転動して記録材を挟持搬送するベルト部材と、ベルト部材の裏面側に設けられ、ベルト部材を所定のニップ域にてロール部材側に押し当て且つ記録材からの吸熱を行う吸熱加圧部材とを備えたので、ロール部材とベルト部材とのニップ域を広く取ることができると共に、記録材の冷却が有効に行われる冷却搬送装置を提供することが可能になる。
また、この冷却搬送装置を用いることで、定着後の記録材からの排熱によって画質等が影響されない画像形成装置を提供することが可能になる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は、本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。同図において、本実施の形態の画像形成装置は、カラー画像を形成可能な画像形成ユニット20を備えた装置本体10と、装置本体10の上部に原稿を読み取るための画像読取ユニット11を配設すると共に、その上方に画像読取ユニット11に原稿を送るための原稿送り装置12を配設する一方、装置本体20の画像形成ユニット20の下方には、記録材としての用紙を供給する多段の給紙カセット51〜53を引き出し可能に配設したものである。
本実施の形態で用いられる画像形成ユニット20は、例えば電子写真方式を採用したものであって、イエロ(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)及びブラック(K色)の4色の作像ユニット21(21a〜21d)を中間転写ベルト30上に並列配置させた所謂タンデム型の構成となっている。そのため、夫々の作像ユニット21(21a〜21d)にて形成された各色のトナー像を中間転写ベルト30上に順次一次転写させて多重化し、この多重化されたトナー像を二次転写装置35にて給紙カセット51〜53から搬送された用紙上に一括転写させ、定着装置40へ導き、更に冷却搬送装置70へと導くようにしたものである。尚、4色の作像ユニット21の配色はこの順番に限らず、他の順番であっても差し支えない。
本実施の形態における作像ユニット21(21a〜21d)は、各色成分トナー像を形成担持する感光体ドラム22と、この感光体ドラム22を帯電する帯電ロール等の帯電装置23、帯電された感光体ドラム22に潜像を形成するレーザ露光装置24、感光体ドラム22上の静電潜像を顕像化する現像装置25、感光体ドラム22上のトナー像を中間転写ベルト30上に一次転写する例えば一次転写ロールからなる一次転写装置26、感光体ドラム22上に残留した残留トナーを清掃するクリーニング装置27にて構成されている。尚、本実施の形態では、レーザ露光装置24は、4色の作像ユニット21全体を一つのレーザ露光装置24にて露光するようになっている。
また、中間転写ベルト30は、複数の張架ロール31〜33に張架され、例えば張架ロール31を駆動ロールとして循環搬送されるものであり、例えば二次転写ロールからなる二次転写装置35が張架ロール33をバックアップロールとして対向配置されている。更に、この中間転写ベルト30の張架ロール32と対向する位置には、中間転写ベルト30上の残留トナーを除去するベルトクリーニング装置36が配設されている。
ここで、本実施の形態における用紙搬送系は次のようになっている。夫々の給紙カセット51〜53から略垂直上方に延びる垂直搬送路61と、この垂直搬送路61の下流側で、略水平に延びる主搬送路62と、主搬送路62の最下流近傍に略Y字状に下方に延びる退避搬送路63及びこの退避搬送路63の途中から略水平に延びて垂直搬送路61まで導く反転搬送路64とで構成されている。
そして、主搬送路62には、用紙の位置決め規制を行うレジストロール54、中間転写ベルト30上で多重化されたトナー像を一括転写する二次転写装置35、トナー像が一括転写された用紙を搬送する搬送ベルト55、トナー像を用紙に定着する定着装置40、定着直後の用紙を冷却しながら搬送する冷却搬送装置70及び装置本体10の側方に設けられ用紙を収容する収容トレイ57に用紙を排出する排出ロール56等が設けられている。
尚、これらの搬送路61〜64には、用紙の搬送を確実にするための搬送ロールや搬送ガイド等の搬送部材が適宜配設されている。
本実施の形態の定着装置40は、トナーを加熱溶融して定着させるもので、例えば内部にハロゲンランプ等の加熱源を有する加熱ロール41と、この加熱ロール41に対向配置される加圧ロール42とで構成されている。
そして、特に、本実施の形態における冷却搬送装置70は、図3のように構成されている。同図において、冷却搬送装置70は、用紙Sのトナー面側には弾性層71aを有する弾性ロール71が配設され、この弾性ロール71と転動して用紙Sを挟持搬送するエンドレスベルト72と、このエンドレスベルト72の裏面側に接触して、エンドレスベルト72を弾性ロール71側に加圧すると共に、弾性ロール71とエンドレスベルト72とで挟持搬送される際の用紙Sから吸熱する加圧部材73とを主要な構成要素としている。
また、エンドレスベルト72を十分回転でき、加圧部材73による用紙Sからの吸熱を十分効果的に行うように、弾性ロール71と加圧部材73とのニップ域は広く形成されるようになっている。
本実施の形態における弾性ロール71は、機械的強度に優れた金属製の芯金71bの外周に例えばシリコーン樹脂のスポンジゴム等からなる弾性層71aを被覆した構成となって、駆動回転するようになっている。
尚、本実施の形態では、弾性層71aの表面は無処理としたが、例えば弾性層71aの表面に、ステンレス、ニッケル、ジュラルミン等の機械的強度に優れ高熱伝導性を有する金属薄層を有してもよく、また、機械的強度及び高熱伝導性を備えれば、金属以外の樹脂であっても差し支えない。このような薄層を備えることで、用紙Sからの吸熱作用が弾性ロール71側でも積極的に行われ、冷却効果が一層向上するようになる。
更に、これらの薄層の代わりに、弾性ロール71表面に、例えばフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂からなる離型性の優れた高離型層を施すようにしてもよい。高離型層を備えることで、定着直後の用紙S上のトナーが半硬化状態であっても、弾性ロール71に付着することを抑えることができ、画像欠陥を防ぐことができるようになる。このとき、フッ素系樹脂の代表例としては、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられ、シリコーン系樹脂では熱可塑性のシリコーンゴムが挙げられる。
そして、これらの材料を弾性ロール71表面に被覆するには、例えばスプレー塗布等によるコーティングや、樹脂チューブを被せる等の方法で行うことができる。
更に、これらの高離型層は、上述した金属薄層等を形成した上に更に形成するようにしてもよい。
一方、エンドレスベルト72は、機械的強度に優れ、ある程度の耐熱性(100〜120℃程度)があればよく、例えばポリイミド樹脂等の樹脂フィルムであってもよいが、用紙Sの冷却効果を高めるためには、例えばステンレス、ニッケルあるいはジュラルミン等の金属製の薄層ベルトが好ましい。エンドレスベルト72として、このような金属製の薄層ベルトを使用することで、熱伝導性が一層確保され、後述する加圧部材73での吸熱作用が一層有効的に行われるようになる。
本実施の形態では、金属製のエンドレスベルト72を用いたが、例えばエンドレスベルト72としては単層構造であっても複層構造であっても差し支えなく、金属製エンドレスベルト72の表面に離型層としての樹脂層を設けてもよい。この樹脂層としては、例えばPFA、PTFE、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素系樹脂層を形成することで、離型性が向上すると共に、摩擦力も低下し、用紙Sの挟持搬送に際し、用紙搬送性が向上し、紙しわ等の発生を抑えることができるようになる。
また、本実施の形態では、エンドレスベルト72の内周面には、潤滑剤が塗布されており、エンドレスベルト72と加圧部材73との摺動性が向上し、エンドレスベルト72の回転が一層スムーズになるようになっている。
この潤滑剤としては、例えばシリコーン系オイルやフッ素系オイルあるいはこれらのグリースが用いられるが、用紙Sの冷却効果を高めるために、シリコーンオイルにアルミナ等の熱伝導性のよい粉末を配合したシリコーンオイルコンパウンド等の熱伝導性グリースを用いることでもよい。
本実施の形態では、エンドレスベルト72の裏側には、エンドレスベルト72に接し、エンドレスベルト72を弾性ロール71側に加圧すると共に用紙Sからの吸熱を行う加圧部材73が配設されている。
この加圧部材73は、高熱伝導性を有するステンレス、アルミニウム、ニッケル、銅、亜鉛等の金属やこれらの合金を基材としており、弾性ロール71とのニップ域を形成すると共に内部に空間74が穿たれた加圧部73aと、この加圧部73aを支持する支持部73bとで構成されている。
尚、加圧部材73としては、上述した金属部材に限らず、ヒートパイプやヒートシンクを利用したり、また、これらを組み合わせてもよく、その形状も板状、ロール状等であっても差し支えなく、形成したいニップ形状に合わせて自由に設定することができる。また、加圧部73aと支持部73bとは別体で構成されても差し支えない。
更に、本実施の形態では、エンドレスベルト72の内部で、加圧部材73がエンドレスベルト72と接していない箇所の一部には、エンドレスベルト72の回転中のバタツキを抑え、スムーズな回転を維持するように設けられた弧状のベルト走行ガイド75が、加圧部材73の支持部73bに固定されて配設されている。
このベルト走行ガイド75は、剛性があれば金属製であっても良いし、樹脂製であってもよい。そして、本実施の形態では、このベルト走行ガイド75のエンドレスベルト72側は、フッ素系樹脂からなる離型層が施され、ベルト走行ガイド75にエンドレスベルト72が接触しても、摩擦抵抗を小さく保ち、エンドレスベルト72の回転に支障がないようになっている。
特に、本実施の形態では、加圧部材73の加圧部73a内の空間74には、冷却水が流れるようになっており、図4に示すように、加圧部73a内の空間74に接続され、両側に延びた銅パイプ73cにフレキシブルホース84がジョイントされ、このフレキシブルホース84の他端は水冷装置80に繋がっている。
水冷装置80は、装置本体81内に例えば張り巡らした銅パイプ中を冷却水が通るラジエータ82及びこのラジエータ82にエアーを送風するファン83と、装置本体81の外部で複数のフレキシブルホース85にジョイントされ、水冷装置80と加圧部73a内の空間74の間でフレキシブルホース85を介して冷却水を送るマイクロポンプ84とで構成されている。尚、このような水冷装置80は、例えばパソコンの冷却装置と同様の構成となっており、画像形成装置の装置本体10(図2参照)内に取り付けられている。
次に、本実施の形態における作動について、先ず、図2を用いて画像形成装置の用紙搬送系を中心に説明する。
給紙カセット51〜53のいずれかから送り出された用紙は、垂直搬送路61を進み、主搬送路62に設けられたレジストロール54にて位置決め規制された後、二次転写装置35へと進む。
一方、作像ユニット21(21a〜21d)によって中間転写ベルト30上に多重転写された各色トナー像は、中間転写ベルト30上を搬送され、二次転写装置35に至る。そして、二次転写装置35にて、中間転写ベルト30上の多重化されたトナー像は用紙上に一括転写される。トナー像が一括転写された用紙は、搬送ベルト55によって搬送され、定着装置40に至る。その後、定着装置40によってトナー像が加熱溶融されて用紙上に定着され、冷却搬送装置70にて定着直後の用紙は冷却され、その冷却された用紙はそのまま主搬送路62を進み、排出ロール56から収容トレイ57に排出される。
したがって、収容トレイ57上に排出される用紙では、トナーは硬化されているため、収容トレイ57上で排出用紙が積載されても、トナーの粘着作用によって用紙同士が粘着することを防ぐことができるようになる。
更に、用紙への両面記録を行う場合には、冷却搬送装置70にて冷却された用紙は、一旦主搬送路62から退避搬送路63側に退避する。そして、退避搬送路63を十分進んだ後、用紙の後端が反転搬送路64の入口を越えたところで、退避搬送路63中の所定の搬送ロールが反転動作を行い、退避搬送路63中の用紙は反転搬送路64側に反転搬送される。反転搬送された用紙は、用紙の表裏を逆にした状態で再び主搬送路62に搬送され、新たなトナー像が形成される。その後、定着装置40、冷却搬送装置70、排出ロール56を経て収容トレイ57に排出される。
この場合にあっても、冷却搬送装置70によって反転搬送される用紙は冷却されているため、その後の搬送経路中での用紙の排熱による不具合の発生を防ぐことができる。
次に、冷却搬送装置70での作動について、図3を中心に説明する。
トナーTが一括転写された用紙は、定着装置40によって加熱された後、冷却搬送装置70に挿入される。
冷却搬送装置70内では、弾性ロール71と加圧部材73との所定のニップ域で用紙Sは冷却される。このとき、加圧部材73では、水冷装置80(図4参照)によって冷却水が循環されるため、用紙Sからの吸熱効果を維持できる。また、本実施の形態では、エンドレスベルト72は金属製であるため高熱伝導性を有し、用紙Sから加圧部材73への吸熱効果は一層向上するようになる。尚、エンドレスベルト72が例えばポリイミド樹脂等の樹脂フィルムの場合であっても、その厚さが薄いことから、加圧部材73による用紙Sからの吸熱効果には支障がない。
また、冷却搬送装置70として弾性ロール71と加圧部材73とを対向配置させ、その間にエンドレスベルト72を挟持させ、弾性ロール71に転動させると共に、加圧部材73を冷却する構成としたので、加熱溶融によって高温状態で定着装置40から排出された用紙Sから有効に吸熱することができ、その後の用紙Sの排熱による各種の不具合の発生を防ぐことができる。
更に、エンドレスベルト72のベルトウォーク制御等も必要とせず、冷却搬送装置70そのものを簡略化、小型化することが可能になる。
更にまた、弾性ロール71側にトナーTを位置させるようにしたので、弾性変形による用紙Sのトナーの画像乱れを防ぐことができる。
また、図5(a)(b)は、上述した実施の形態1の変形例を示すもので、加圧部材73の構成が異なり、加圧部73a内に空間74(図3参照)を持たず、加圧部73a内に例えば銅パイプからなる冷却パイプ76を張り巡らしたものとなっている。そして、この例では、冷却パイプ76が図示外の水冷装置に接続され、この冷却パイプ76内を冷却水が循環するようになっている。尚、図5(b)は(a)のB−B断面図である。
更に、この例では、冷却パイプ76の冷却水の入口側76aと出口側76bは同一方向に配置され、これらの入口側76a及び出口側76bは、冷却搬送装置70(例えば図3参照)への組み込みに対し、一方向からの装着が可能になり、装置構成の簡略化がなされるようになる。
このような構成においても、加圧部材73の冷却が十分行われるため、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、この例では、冷却パイプ76の入口側76a及び出口側76bを一方向に設けたが、これに限られるものではなく、また、冷却パイプ76の形状、サイズ、取付ピッチ等は適宜選定して差し支えないことは云うまでもない。
◎実施の形態2
図6は、本発明が適用された画像形成装置で用いられる実施の形態2の冷却搬送装置の概要を示す。本実施の形態は、実施の形態1の冷却搬送装置(例えば図3参照)と異なり、加圧部材内を冷却水が循環するようになっておらず、加圧部材にも空間を備えていない。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
本実施の形態の加圧部材73は、加圧部73aと支持部73bとで構成され、特に加圧部73aには加圧部材73からの放熱を促進させる放熱フィン731が、弾性ロール71の軸方向に沿って多数設けられている。
そのため、加圧部73aの熱をこの放熱フィン731で放熱することで、加圧部73aの温度が異常に上昇しないようになる。
このように、加圧部73a内に例えば冷却水を循環させなくても、加圧部73aの温度を低く抑えることができ、用紙Sからの吸熱を効果的に行うことが可能になる。
尚、放熱フィン731からの放熱効果を高め、放熱された熱が画像形成装置への悪影響をもたらさないようにするため、放熱フィン731に対し、例えばシロッコファンを使って送風するほうがよい。また、シロッコファンによって送風され放熱フィン731によって加温された送風が、画像形成装置の他の部位に流れないような送風ガイド等を設ける方がよい。
したがって、このように加圧部材73に冷却水を流すようにしなくても、加圧部材73の温度上昇を抑えることができ、実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態では、放熱フィン731を加圧部材73の加圧部73a側に設けたが、これに限られず、例えば支持部73b側に設けてもよい。
◎実施の形態3
図7は、本発明が適用された画像形成装置で用いられる実施の形態3の冷却搬送装置の概要を示す。本実施の形態は、実施の形態1の冷却搬送装置(例えば図3参照)と異なり、エンドレスベルトが張架されている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
本実施の形態のエンドレスベルト72は、3個の張架ロール91〜93に張架され、回転するようになっている。また、弾性ロール71とエンドレスベルト72とのニップ域は、弾性ロール71に対し加圧部材73を押圧することで確保され、加圧部材73の空間74には、実施の形態1と同様に図示外の水冷装置が接続されている。
このように、本実施の形態においても、弾性ロール71とエンドレスベルト72とのニップ域を広く確保し、加圧部材73の吸熱効果を高めることができ、用紙Sからの吸熱を効果的に行うことができる。
本実施例は、実施の形態1と略同様の構成で、冷却搬送装置の冷却効果を評価確認したものである。
本実施例における弾性ロールは、ステンレスの芯金にシリコーン樹脂を発泡させたスポンジ状の弾性層を被覆し、この弾性層表面に30μm厚のステンレスチューブを被覆し、更にその表面に30μm厚のPFAチューブを被せた構成で、外径26mm、長さ360mmのロールとなっている。
一方、エンドレスベルトは、内径30mm、厚み50μm、長さ330mmのニッケル電鋳ベルトを基材とし、その外周表面に離型層として30μm厚のPFAをコーティングしている。また、エンドレスベルト内表面には潤滑剤として粘度が0.3Pa・sのアミノ変成シリコーンオイルが塗布され、エンドレスベルトと後述する加圧部材との摩擦が少なくなるように処理されている。
また、加圧部材は、内部に空間を持ったアルミニウム合金からなり、ステンレス製のパイプを介して外部の水冷装置に接合され、冷却水が循環するようになっている。そして、この加圧部材と弾性ロールとのニップ域が15mm幅(用紙搬送方向に沿う長さ)になるように、加圧部材の圧力を調整している。
更に、加圧部材には例えばPBT樹脂からなるベルト走行ガイドを固定支持し、エンドレスベルトがスムーズに回転するようにしている。
このような条件下で、弾性ロールを回転させ、弾性ロール及びエンドレスベルトの周速を104mm/secとしたとき、用紙として坪量127g/mの片面コート紙を使用して冷却効果を測定したところ、次のような結果が得られた。
定着装置によって定着された後のトナー表面温度と、冷却搬送装置を通過した後の表面温度との差は15℃となった。
また、この冷却搬送装置の安定性を確認するため、上記と同様の方法で、10000枚の連続通紙を行ったところ、エンドレスベルトの折れやしわ等の破損もなく、定着後の画像が冷却搬送装置を通過させることによる乱れを生じることもなかった。
これにより、本件の有効性が確認された。
本発明に係る冷却搬送装置の概要を示す説明図である。 本発明が適用された実施の形態1の冷却搬送装置が利用された画像形成装置を示す説明図である。 実施の形態1の冷却搬送装置を示す説明図である。 実施の形態1の冷却搬送装置に接続される水冷装置を示す説明図である。 (a)(b)は実施の形態1の冷却搬送装置の変形例を示す説明図であり、(a)は概要図、(b)は(a)B−Bの断面図である。 実施の形態2に係る冷却搬送装置を示す説明図である。 実施の形態3に係る冷却搬送装置を示す説明図である。 (a)(b)は従来の冷却搬送装置を示す説明図である。
符号の説明
1…ロール部材,1a…弾性層,2…ベルト部材,3…記録材,4…吸熱加圧部材,5…冷却装置,6…ガイド部材,T…トナー

Claims (13)

  1. 弾性層を有する回転可能なロール部材と、
    このロール部材に圧接し且つロール部材と共に転動して記録材を挟持搬送する無端状のベルト部材と、
    このベルト部材の裏面側に設けられ、ベルト部材を所定のニップ域にてロール部材側に押し当て且つ記録材からの吸熱を行う吸熱加圧部材とを備えることを特徴とする冷却搬送装置。
  2. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    吸熱加圧部材には、この内部に冷媒を循環させる冷却装置が接続されることを特徴とする冷却搬送装置。
  3. 請求項2記載の冷却搬送装置において、
    冷却装置は、水冷装置であることを特徴とする冷却搬送装置。
  4. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    ベルト部材と吸熱加圧部材の接触面の少なくとも一方には、互いの摩擦抵抗を小さくする低摩擦処理層が施されていることを特徴とする冷却搬送装置。
  5. 請求項4記載の冷却搬送装置において、
    低摩擦処理層は、ベルト部材裏面に潤滑剤を塗布するものであることを特徴とする冷却搬送装置。
  6. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    ベルト部材は、金属からなるものであることを特徴とする冷却搬送装置。
  7. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    ロール部材の表面は、ロール部材に比べて高い熱伝導性を有する高熱伝導層が形成されていることを特徴とする冷却搬送装置。
  8. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    ロール部材の表面は、離型層が形成されていることを特徴とする冷却搬送装置。
  9. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    ロール部材及びベルト部材の回転軸方向ニップ長さは、使用される記録材の最大幅より大きいことを特徴とする冷却搬送装置。
  10. 請求項1記載の冷却搬送装置において、
    ロール部材は駆動源を備え、ベルト部材はロール部材との間でニップ搬送されるものであることを特徴とする冷却搬送装置。
  11. 請求項10記載の冷却搬送装置において、
    ベルト部材の内側には、ベルト部材の移動軌跡がガイド可能なガイド部材を備えることを特徴とする冷却搬送装置。
  12. トナー像を担持する像担持体と、
    この像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写装置と、
    記録材上に転写されたトナー像を加熱定着する定着装置と、
    定着後の記録材の冷却を行う請求項1記載の冷却搬送装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項12記載の画像形成装置において、
    記録材は、定着されたトナー像面がロール部材側になるように搬送されることを特徴とする画像形成装置。
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