JP2006257384A - 潤滑剤組成物 - Google Patents
潤滑剤組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006257384A JP2006257384A JP2005246321A JP2005246321A JP2006257384A JP 2006257384 A JP2006257384 A JP 2006257384A JP 2005246321 A JP2005246321 A JP 2005246321A JP 2005246321 A JP2005246321 A JP 2005246321A JP 2006257384 A JP2006257384 A JP 2006257384A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- lubricant composition
- organic compound
- composition according
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Abandoned
Links
- HAUJTYLIMDPKJQ-UHFFFAOYSA-N CC(C)(C)[NH+]([O-])OC Chemical compound CC(C)(C)[NH+]([O-])OC HAUJTYLIMDPKJQ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Lubricants (AREA)
Abstract
【解決手段】 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面間に介在して剪断をうける潤滑油基油を含有しない潤滑剤組成物であって、(a)メソゲン構造を分子内に有し、40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴いトラクション係数の最小値を発現させる有機化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする潤滑剤組成物である。
【選択図】 なし
Description
現行の潤滑剤技術は、低摩擦係数と耐摩耗性の両立を使命としているが、起動時また低荷重では低粘性基油により低摩擦係数を、高荷重では境界潤滑膜によって低摩擦係数を得ており、一方、(低粘性基油ゆえに損なう)耐摩耗性を鉄への反応性膜の形成を基本とする境界潤滑膜技術によって補償するという機能分担が行われてきた。
それは、ひとつには、装置の小型化に伴いますます高温・極圧・高剪断条件での耐性が求められてきており、現行の鉱油あるいはPAO(ポリ−α−オレフィン)に代表される低粘性合成油基油が高温で揮発・分解するし、境界潤滑膜として好ましいMoS2も湿気や高温で分解するため、150℃からの高温域での境界潤滑性と低摩擦性が両立する潤滑剤が求められているためである。
別の要因としては、現行の境界潤滑膜技術が、すべて環境有害(硫黄、リン、ハロゲン)もしくは懸念物質(重金属)により構成されており、ELV(End of Life Vehicles)、WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)、RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)などの法律が相次いで制定されるような環境意識の高まりの状況下、迅速かつ抜本的な技術改善が求められているためである。
しかしながら、これまでの境界潤滑膜技術はいずれも鋼への反応性が基軸にあり、そのような強い鋼に反応し、かつ無害な“新たな”元素とは、強い反応性と安全性を同時に求めるものであるため、その代替技術の開発は容易ではない。
しかしその耐摩耗性技術がなければ、低粘性基油技術が活きてこないし、種々の添加剤技術も使えない。
本来、潤滑剤の基本的役割は低摩擦性、耐摩耗性の両立であるが、極圧状態の剪断場での低摩擦性と強靭な油膜形成による耐摩耗性を両立させる有機素材系は脂肪族化合物では満足させるものは得られてはいないし、それ以外のたとえば複素環を有する極性な有機化合物や自己組織的に配向する液晶性化合物、また液晶性はなくとも構造的異方性が大きな有機化合物の振る舞いについてトライボロジーの観点から詳細に検討されたことはなかった。
また、本発明は、環境有害または懸念元素の不使用を可能にする技術を背景とする環境調和性の潤滑剤組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、低摩擦性と耐摩耗性にも優れた機械要素を提供することを課題とする。
[1] 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面間に介在して剪断をうける潤滑油基油を含有しない潤滑剤組成物であって、(a)メソゲン構造を分子内に有し、40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴いトラクション係数の最小値を発現させる有機化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする潤滑剤組成物。
[2] さらに、(b)少なくとも一種の酸化防止剤を含有することを特徴とする[1]の潤滑剤組成物。
[3] 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面間に介在して剪断をうけている際に、前記(a)有機化合物の分子が、その拡散断面積が最も大きくなる分子面を前記二面に対して平行にして配向した分子集合体薄膜を形成可能な[1]又は[2]の潤滑剤組成物。
[5] 前記(a)有機化合物が、0.05以下のトラクション係数を発現させる[1]〜[4]のいずれかの潤滑剤組成物。
[6] 前記(a)有機化合物が、メソゲン構造として、平板状又は円盤状構造を分子内に有するとともに、それを核として三本以上の末端鎖が放射状に伸びた構造を有する[1]〜[5]のいずれかの潤滑剤組成物。
[7] 前記(a)有機化合物が、メソゲン構造として棒状の分子構造を有する[1]〜[6]のいずれかの潤滑剤組成物。
[8] 前記(a)有機化合物が、メソゲン構造として、少なくとも二つの芳香族環もしくは、少なくとも一つの縮合環、又はπ共役平面を構成要素とする有機化合物である[1]〜[6]のいずれかの潤滑剤組成物。
[9] 前記(a)有機化合物が、常圧で液晶相を呈する[1]〜[8]のいずれかの潤滑剤組成物。
[10] 互いに異なる周速で運動する二面間に介在して剪断をうけている際に、前記(a)有機化合物が、結晶相を呈しない[1]〜[9]のいずれかの潤滑剤組成物。
[13] 前記(a)有機化合物とともに、その液晶相形成温度を低下させる有機化合物を少なくとも一種含有する[1]〜[12]のいずれかの潤滑剤組成物。
[14] 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面と、該二面の間に配置された[1]〜[13]のいずれかの潤滑剤組成物とを少なくとも有する機械要素。
[15] 平均圧力が10MPa以上で摩擦摺動する二面間に[1]〜[13]のいずれかの潤滑剤組成物を配置して二面間の摩擦を軽減する方法。
[16] 平均圧力が10MPa以上で摩擦摺動する二面間の潤滑剤であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの潤滑剤組成物。
また、本発明の潤滑剤組成物は、パラフィン、ナフテン系基油等の潤滑油を含有せず、界面近傍での積層傾向と小さな粘度圧力係数を有する有機化合物を利用しているので、極圧高剪断条件、高湿や高温条件については、現行の潤滑油と比較して格段に高耐久性であり、また鉄反応性でないため、リンや重金属などの環境有害懸念性の元素を避けて分子設計されうるという利点がある。
本発明は、互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面間に介在して剪断をうける潤滑剤組成物に関する。前記二面の周速度については特に限定されず、大きい周速度をu1(>0)、小さい周速度をu2、即ち|u1|>|u2|と定義すると、平均速度(u2+u1)/2はゼロより大きく無限に可能であるが、通常は二面の平均速度は1000m/s以下であり、好ましくは1cm/s以上50m/s以下である。2×(u2−u1)/(u2+u1)で定義される滑り率Σの絶対値もゼロより大きく無限に可能であるが、u2がゼロすなわち停止している機械要素では−2となり、−2≦Σ<0の範囲で用いられるが、通常は−2以上で−0.01以下の範囲で用いられる機械要素が多い。
(a)所定の有機化合物
本発明の潤滑剤組成物は、液晶相を形成しうるメソゲン構造を分子内に有し、40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴いトラクション係数の最小値を発現させる性質を有する、少なくとも一種の有機化合物を含有する。
前記有機化合物は、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴いより低いトラクション係数を発現し、トラクション係数の最小値を発現させる。さらに、100MPa以上の圧力下で最小のトラクション係数を発現させるのが好ましい。また、前記潤滑剤組成物は、0.07以下の低トラクション係数を発現させるのが好ましく、0.05以下の低トラクション係数を発現させるのがさらに好ましい。10MPa以上の領域の圧力下から、ガラスや鋼でもその界面に弾性歪みの影響が出始めることが分かっている。従って、本発明の機械要素は、主な運動が10MPa以上の圧力下で行われるのが好ましく、50MPa以上の圧力で行われるのがより好ましく、100MPa以上の圧力下で行われるのがさらに好ましい。なお、前記潤滑剤組成物は、圧力上昇に伴い、混合潤滑領域まで達し、その膜界面が破壊されると考えられる。従って、前記潤滑剤組成物のトラクション係数の低下は、10MPa以上であり、且つ混合潤滑領域となる圧力以下の範囲における圧力上昇に伴って生じる。
但し、40℃で固体の化合物の場合は、測定条件で液体を呈する2以上の温度で粘度圧力係数を求め、それらの値を低温側に外挿して求めた40℃の値と定義する。
1)該分子につき、できる限り平面に近い、好ましくは平面分子構造を構築する。この場合、結合距離、結合角としては、軌道の混成に応じた標準値を用いることが好ましく、例えば日本化学会編、化学便覧改訂4版基礎編、第II分冊15章(1993年刊 丸善)を参照することができる。
2)前記1)で得られた構造を初期値として、分子軌道法や分子力場法にて構造最適化する。方法としては例えば、Gaussian98、MOPAC2000、CHARMm/QUANTA、MM3が挙げられ、好ましくはGaussian98である。
3)構造最適化によって得られた構造の重心を原点に移動させ、座標軸を慣性主軸(慣性テンソル楕円体の主軸)にとる。
4)各原子にファンデルワールス半径で定義される球を付与し、これによって分子の形状を記述する。
5)ファンデルワールス表面上で各座標軸方向の長さを計測し、それらそれぞれをa、b、cとする。
以上の手順により求められたa、b、cを用いて円盤状の形態を定義すると、c≦b<aかつa/2≦b≦a、好ましくはc≦b<aかつ0.7a≦b≦aと表すことができる。また、b/2>cであることが好ましい。
一つの側鎖に含まれる炭素原子の数は1以上40以下が好ましく、1以上20以下がさらに好ましい。
L0は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜20の、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキレン基を表す)、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。二価の連結基は置換基を有していてもよい。L0はアルキレン基が好ましい。
また、X0とL0との組み合わせの基としては、−O(C=O)−アルキレン−、−O(C=O)−シクロアルキレン−が好ましい。
R0は化合物の側鎖末端に位置し、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。
R71の炭素原子数は1〜40であるのが好ましく、1〜20であるのがより好ましい。
本発明の潤滑剤組成物は、前記(a)有機化合物とともに、(b)酸化防止剤を含有するのが好ましい。(b)酸化防止剤を含有していると、潤滑剤組成物の耐久性がより改善するので好ましい。また、本発明では、(a)所定の有機化合物の鋼鉄界面に対する配向性等を利用して低摩擦を達成しているので、鋼鉄界面への反応性を利用した従来の潤滑剤組成物と比較して、それに含有される酸化防止剤の劣化も軽減され、その結果、耐久性が格段に改善している。耐久性の改善に関しては、従来の酸化防止剤は炭化水素系基油の酸化防止効果を目的としており、その耐久性の向上による耐摩耗性の向上は期待できなかった。しかし、本発明の潤滑剤組成物は、摩擦係数の低減と耐摩耗性効果をも発現するため、酸化防止剤の併用によって、その耐久性は耐摩耗性にも及び、トータルで飛躍的な耐久性の改善が可能となることが分かった。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、4,4’−ブチリデン−ビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールなどが挙げられる。蒸発特性の点から、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が好適である。
また、硫黄系酸化防止剤としては、硫化油脂、ジベンジルサルファイトやジセチルサルファイドなどが挙げられる。
また、リン系酸化防止剤としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛やジアリルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
そのような重合体は粘度指数向上剤とよばれ、本発明においても上記粘度指数向上剤として用いることができる。粘度指数向上剤の例には、例えばポリメタクリレート(PMA)(より具体的には特開平7−62372号公報に記載のPMA)、オレフィン共重合体(OCP)(より具体的には特公昭46−34508号公報に記載のOCP)、水素化スチレン/ジエン共重合体(SDC)(より具体的には特公昭48−39203号公報に記載のSDC)、ポリイソブチレン(PIB)等が含まれる。SDCにおける重合形態としては、ランダム共重合体の他に、ブロック共重合体(例えば、特開昭49−47401号公報に記載のランダム共重合体)や星型重合体(例えば、特開昭52−96695号公報に記載の星型重合体)が開発されていて、いずれも本発明に用いることができる。これらの重合体を添加した潤滑油にはそれぞれ特徴がある。すなわち、PMAは粘度指数向上性に優れていて流動点降下作用もあるが、増粘効果が劣る。増粘効果を向上させるためには分子量を大きくすれば良いが、この場合、潤滑油の攪拌などに伴う剪断力に対する安定性が極端に悪くなる。PIBは増粘効果が大きいが、粘度指数向上性に劣る。OCP及びSDCは増粘効果が大きく、低温における粘度も低いが、粘度指数向上性はPMAに劣る。また、PMAは極性単量体を共重合することにより、他のものに比べてスラッジを潤滑油中に分散させる清浄分散性能を容易に付与することができる(特公昭51−20273号公報参照)。現在、潤滑油としては粘度指数向上性能の優れたマルチグレード油が一般に用いられているが、最近燃費向上等の要求から、さらに高性能な粘度指数向上剤が望まれるようになってきた。この要求を満足させる組成物として、PMAとOCP又はSDCを混合して用いることが考えられる。しかし、これらを単純に混合しただけでは相溶性が悪いため、潤滑油は二相に分離してしまう。そこで、この分離を防ぐために、異なる2種の重合体のグラフト共重合体が提案されている(具体的には、特公平4−50328号公報及び特開平6−346078号公報などに記載のグラフと共重合体)。かかるグラフト共重合体も、粘度指数向上剤として勿論用いることができる。
1.往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価及び測定法
摩擦係数及び耐摩耗性は、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験機を用いて評価し、以下に示す試験条件で摩擦摩耗試験を行った。
試験条件
・試験片(摩擦材):SUJ−2
・表面粗さ :0.45〜0.65μm
・プレート :24mm径×7mm
・シリンダー :15mm径×22mm
・温度 :80〜150℃
・荷重 : 5N(30MPa)、10N(46MPa)、15N(60MPa)、20N(68MPa)、50N(105MPa)、100N(149MPa)及び400N(298MPa)のいずれか
・振幅 :1.5mm
・振動数 :50Hz
・試験時間 :試験開始2分間(2分後)
[実施例1]
円盤状構造を有する化合物として例示化合物LUB−21を用い、単独で潤滑剤とし、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価を実施した。
結晶相 → ディスコティックネマティック相 → 等方性液体相
90〜91℃ 130℃
円盤状構造を有する化合物として例示化合物LUB−3を用い、単独で潤滑剤とし、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価を実施した。
LUB−3の相転移温度
結晶相I → 結晶相II → 等方性液体相
76℃ 95℃
LUB−3は常圧で液晶性を呈しない化合物であるが、加圧条件で液晶相を呈することが報告されている(Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1981,Vol.63,pp171−179. 図2)。測定条件は、圧力105MPa(=1.05Kbar)であり、上記文献の図2によれば、十分に液晶相を呈する圧力であるから、そこでは摺動による分子配向の効果が十分に期待される領域である。
円盤状構造を有する化合物として例示化合物LUB−9を用い、単独で潤滑剤とし、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価を実施した。
LUB−9の相転移温度
結晶相 → ディスコティックカラムナー相 → 等方性液体相
73℃ 98℃
LUB−9は常圧で非液晶性の化合物であるが、加圧条件では実施例2にあるように、若干高めの温度域で液晶相を呈することが期待される。
円盤状構造を有する化合物として例示化合物LUB−12を用い、単独で潤滑剤とし、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価を実施した。
LUB−12の相転移温度
結晶相 → ディスコティックカラムナー相 → 等方性液体相
68℃ 97℃
LUB−12は常圧で液晶性を呈する化合物であり、加圧条件では実施例2にあるように、若干高めの温度域で液晶相を呈することが期待される。
円盤状構造を有する化合物として例示化合物LUB−24を用い、単独で潤滑剤とし、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価を実施した。
LUB−24の液晶相転移温度
結晶相 → ディスコティックカラムナー相 → 等方性液体相
80℃ 130℃
LUB−24の相転移挙動は80℃と130℃での融解挙動は明確だが、カラムナー構造に特有のマーブル状やファン構造的な光学形態は観察されず、またディスコティックネマティック相に特有のシュリーレン模様も観察されなかった。ガラス板上では、弱い剪断で偏光顕微鏡下、一様に配向することが観察された。
円盤状構造を有する化合物として例示化合物LUB−9を用い、これに下記化合物を添加した潤滑剤LUB−MIXを調製し、往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価を実施した。
結晶相 → ディスコティックカラムナー相 → 等方性液体相
73℃ 98℃
LUB−MIXの相転移温度
結晶相 → ディスコティックカラムナー相 → 等方性液体相
34℃ 58℃
上記添加剤を添加することにより、LUB−9に対してLUB−MIXの液晶相転移温度は約40℃低下した。
下記表1〜8に示す組成の実施例1〜65の組成物、及び下記表9に示す組成の比較例1〜5の組成物をそれぞれ調製し、下記の試験条件で摩擦試験を行い、摩擦係数を測定した。また、耐磨耗性は、表面粗さ計にて摩耗深さを測定することによって評価した。
[試験条件]
酸化防止剤を配合した潤滑剤組成物を予め200℃で24時間加熱処理を行い、その加熱前後の試料を用いて下記条件で摩擦摩耗試験を実施した。
摩擦試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
シリンダー:φ15×22mm
温度:150℃
荷重:400N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:30分間
実施例の結果を表1〜8に、比較例の結果を表9に各々示した。
Claims (16)
- 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面間に介在して剪断をうける潤滑油基油を含有しない潤滑剤組成物であって、
(a)メソゲン構造を分子内に有し、40℃における粘度圧力係数が20GPa-1以下であり、10MPa以上の圧力下で圧力上昇に伴いトラクション係数の最小値を発現させる有機化合物の少なくとも一種を含有する潤滑剤組成物。 - さらに、(b)少なくとも一種の酸化防止剤を含有する請求項1に記載の潤滑剤組成物。
- 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面間に介在して剪断をうけている際に、前記(a)有機化合物の分子が、その拡散断面積が最も大きくなる分子面を前記二面に対して平行にして配向した分子集合体薄膜を形成可能な請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物が、100MPa以上の圧力下で最小のトラクション係数を発現させる化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物が、0.05以下のトラクション係数を発現させる化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物が、メソゲン構造として、平板状又は円盤状構造を分子内に有するとともに、それを核として三本以上の末端鎖が放射状に伸びた構造を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物が、メソゲン構造として棒状の分子構造を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物が、メソゲン構造として、少なくとも二つの芳香族環もしくは、少なくとも一つの縮合環、又はπ共役平面を構成要素とする有機化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物が、常圧で液晶相を呈する請求項1〜8のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 互いに異なる周速で運動する二面間に介在して剪断をうけている際に、前記(a)有機化合物が、結晶相を呈しない請求項1〜9のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物を二種類以上含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 前記(a)有機化合物とともに、その液晶相形成温度を低下させる有機化合物を少なくとも一種含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
- 互いに異なる周速で運動する鋼鉄からなる二面と、該二面の間に配置された請求項1〜13のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物とを少なくとも有する機械要素。
- 平均圧力が10MPa以上で摩擦摺動する二面間に請求項1〜13のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物を配置して二面間の摩擦を軽減する方法。
- 平均圧力が10MPa以上で摩擦摺動する二面間の潤滑剤であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005246321A JP2006257384A (ja) | 2005-02-15 | 2005-08-26 | 潤滑剤組成物 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005037173 | 2005-02-15 | ||
JP2005246321A JP2006257384A (ja) | 2005-02-15 | 2005-08-26 | 潤滑剤組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006257384A true JP2006257384A (ja) | 2006-09-28 |
Family
ID=37096991
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005246321A Abandoned JP2006257384A (ja) | 2005-02-15 | 2005-08-26 | 潤滑剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006257384A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006331709A (ja) * | 2005-05-24 | 2006-12-07 | Fujifilm Holdings Corp | 異方導電性材料、機械要素及び素子 |
WO2019041042A1 (en) * | 2017-08-30 | 2019-03-07 | Synoil Fluids Holdings Inc. | SHEAR STABLE FRICTION REDUCTION IN HYDROCARBON FLUIDS |
Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02503326A (ja) * | 1988-02-26 | 1990-10-11 | メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング | 機械成分 |
JPH09104866A (ja) * | 1995-07-07 | 1997-04-22 | Fuji Photo Film Co Ltd | ディスコティック液晶組成物及びそれを用いた光学的異方性材料、液晶表示素子 |
JPH10279973A (ja) * | 1997-04-04 | 1998-10-20 | Nematel Dr Rudolf Eidenschink | 潤滑剤 |
JP2000213543A (ja) * | 1999-01-28 | 2000-08-02 | Sankyo Seiki Mfg Co Ltd | 軸受装置およびスピンドルモ―タ |
JP2001081465A (ja) * | 1999-09-10 | 2001-03-27 | Fuji Photo Film Co Ltd | ディスコティック液晶組成物、光学補償シートおよび液晶表示装置 |
JP2002069472A (ja) * | 2000-06-15 | 2002-03-08 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物 |
JP2003064390A (ja) * | 2001-06-11 | 2003-03-05 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物 |
JP2004315703A (ja) * | 2003-04-17 | 2004-11-11 | Toyota Motor Corp | 低トラクション性流体およびこれを含むエンジンオイル |
JP2004331950A (ja) * | 2003-04-14 | 2004-11-25 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物およびトリアジン環含有化合物 |
JP2005008876A (ja) * | 2003-05-27 | 2005-01-13 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物およびその調製方法 |
JP2006266429A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Hitachi Powdered Metals Co Ltd | 軸受および軸受と軸との組み合わせ |
-
2005
- 2005-08-26 JP JP2005246321A patent/JP2006257384A/ja not_active Abandoned
Patent Citations (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02503326A (ja) * | 1988-02-26 | 1990-10-11 | メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング | 機械成分 |
JPH09104866A (ja) * | 1995-07-07 | 1997-04-22 | Fuji Photo Film Co Ltd | ディスコティック液晶組成物及びそれを用いた光学的異方性材料、液晶表示素子 |
JPH10279973A (ja) * | 1997-04-04 | 1998-10-20 | Nematel Dr Rudolf Eidenschink | 潤滑剤 |
JP2000213543A (ja) * | 1999-01-28 | 2000-08-02 | Sankyo Seiki Mfg Co Ltd | 軸受装置およびスピンドルモ―タ |
JP2001081465A (ja) * | 1999-09-10 | 2001-03-27 | Fuji Photo Film Co Ltd | ディスコティック液晶組成物、光学補償シートおよび液晶表示装置 |
JP2002069472A (ja) * | 2000-06-15 | 2002-03-08 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物 |
JP2003064390A (ja) * | 2001-06-11 | 2003-03-05 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物 |
JP2004331950A (ja) * | 2003-04-14 | 2004-11-25 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物およびトリアジン環含有化合物 |
JP2004315703A (ja) * | 2003-04-17 | 2004-11-11 | Toyota Motor Corp | 低トラクション性流体およびこれを含むエンジンオイル |
JP2005008876A (ja) * | 2003-05-27 | 2005-01-13 | Fuji Photo Film Co Ltd | 潤滑剤組成物およびその調製方法 |
JP2006266429A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Hitachi Powdered Metals Co Ltd | 軸受および軸受と軸との組み合わせ |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006331709A (ja) * | 2005-05-24 | 2006-12-07 | Fujifilm Holdings Corp | 異方導電性材料、機械要素及び素子 |
JP4660277B2 (ja) * | 2005-05-24 | 2011-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 異方導電性材料、機械要素及び素子 |
WO2019041042A1 (en) * | 2017-08-30 | 2019-03-07 | Synoil Fluids Holdings Inc. | SHEAR STABLE FRICTION REDUCTION IN HYDROCARBON FLUIDS |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006257383A (ja) | 潤滑剤組成物 | |
JP2006257382A (ja) | 機械要素 | |
Iglesias et al. | Friction and wear of aluminium–steel contacts lubricated with ordered fluids-neutral and ionic liquid crystals as oil additives | |
Yu et al. | Oil-miscible and non-corrosive phosphonium-based ionic liquids as candidate lubricant additives | |
KR101471197B1 (ko) | 윤활제 조성물 및 이것을 이용한 윤활 시스템 | |
JP2007056213A (ja) | 焼結含油軸受油用組成物、並びにそれを用いた軸受け装置及び摺動部材 | |
JP2006328126A (ja) | 潤滑剤組成物及び機械要素 | |
EP1164182A1 (en) | Lubricant composition | |
US20080194441A1 (en) | Grease composition, viscous agent, and mechanical element | |
KR20070116672A (ko) | 윤활제 조성물 | |
KR101442256B1 (ko) | 윤활제 조성물 및 이것을 이용한 윤활 시스템 | |
JP5426208B2 (ja) | 化合物 | |
CN106753719A (zh) | 聚醚型全合成压缩机油组合物及其制备方法 | |
JP4890907B2 (ja) | 潤滑剤組成物 | |
WO1999024533A1 (en) | Liquid crystal and surfactant containing lubricant compositions | |
US20190203138A1 (en) | Phase change materials for enhanced heat transfer fluid performance | |
JP2006257384A (ja) | 潤滑剤組成物 | |
Guo et al. | Friction and wear properties of halogen-free and halogen-containing ionic liquids used as neat lubricants, lubricant additives and thin lubricant layers | |
JP2006328127A (ja) | 潤滑剤組成物 | |
JP4231379B2 (ja) | 潤滑剤組成物 | |
US5866522A (en) | Sulfur containing aromatic lubricant and method of using same | |
CA2268183C (en) | Non-aqueous solvent-free lamellar liquid crystalline lubricants | |
JPS6119697A (ja) | トラクシヨンオイル組成物 | |
Reeves et al. | The Effect of Phosphonium-‐and Imidazolium-‐Based Ionic Liquids as Additives in Natural Oil: An Investigation of Tribological Performance | |
Ważyńska et al. | Tribological properties of paraffin oil doped with liquid crystalline mezogenes |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20061208 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110517 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110518 |
|
A762 | Written abandonment of application |
Effective date: 20110711 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762 |