JP2006243582A - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プライマー層あるいはハードコート層を剥離して、レンズ基材を再利用できるレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】 レンズ基材の外周部を切削により所定形状に切り出した(外整工程、ステップ32)後、切削されたコバ面をレンズ表面と同程度まで研磨し(研磨工程、ステップ33)、レンズ基材の表面にプライマー層またはハードコート層を形成する(層形成工程、ステップ34および35)。このプライマー層あるいはハードコート層に不具合があり、レンズ基材を再生する際(ステップ38)に、コバ面が研磨されているので、コバ面に塗布された層も残さずに除去することが可能となり、再生されたレンズ基材により、経済的に、性能の良いレンズを製造できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラスチックレンズの製造方法に関するものである。
眼鏡レンズは、基材(生地)にガラスの他にプラスチックが用いられている。プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べ軽量で、成形性、加工性および染色性が良く、さらに割れ難く安全性も高い等の多くのメリットがある。しかしながら、プラスチックレンズは軟質で非常に傷つきやすい。このため、プラスチックレンズの表面に硬度の高いハードコート層を形成し、耐擦傷性を向上させている。また、ハードコート層とレンズ基材との密着性をいっそう高めるために、レンズ基材にプライマー層を形成し、そのプライマー層の上にハードコート層を形成することも行われている。ハードコート層の表面には、さらに反射防止膜などの機能層が形成される。
特開平5−341237号公報 特開平6−298968号公報
特許文献1には、プラスチックレンズを成形して、ハードコートを形成し、染色した後に、反射防止膜を蒸着して出荷する過程が説明されている。ハードコートを塗布する前に、まず、レンズ基材の周辺部分が乾式または湿式研削により切削され所定の外形寸法に外周成形がなされることが記載されている。また、500〜1000rpmで回転するレンズの表面に、アルミナ系の研磨剤を含浸させつつ200〜500rpmで回転するスポンジロールを400g程度の負荷を与えて押し当てながらレンズの表面を研磨することが開示されている。その後、研磨剤を、純水などを用いて除去した後、ハードコート液を塗布することが開示されている。
特許文献2には、プラスチック眼鏡レンズにハードコート硬化皮膜を形成する際に、これを保持するために用いられる保持治具をはじめ、ハードコートや反射防止膜の被覆工程でミスがあった光学用レンズの再生のような、不必要な硬化物を物体から除去する目的のために適用できるとされる、硬化物除去方法が記載されている。
プラスチック眼鏡レンズは、何らかの原因により不良と判断されたハードコート層、プライマー層、あるいはプライマー層およびハードコート層、さらには、ハードコート層に重ねて形成された反射防止膜などを除去する場合、その工程に工業的な価値を持たせる。また、これらの層を除去したレンズ基材に工業的な価値を持たせるためには、短時間で、これらの層を確実に除去し、レンズ基材をハードコート層あるいはプライマー層を形成する前の、外周を切削し、レンズの表面を研磨した直後の状態にする必要がある。
特許文献2には、硬化物を剥離するために所定の溶液に浸漬することは開示されているが、プラスチックレンズに固有の問題について開示されておらず、プライマー層あるいはハードコート層、さらには他の層が形成されたプラスチックレンズを単に剥離溶液に浸漬しても、上述したような工業的に有効な時間内で、工業的に有効な状態にレンズ基材の再生が図られるものではないことは開示されていない。
本発明においては、プラスチックレンズから不良と判断されたプライマー層(ハードコート層が積層されている場合はそれ含めて)、またはハードコート層をレンズ基材から剥離して、レンズ基材を実際に、工業的に再生利用することができるプラスチックレンズの製造方法、さらには、再生利用に適したプラスチックレンズおよびレンズ基材を提供することを目的としている。
本願の発明者らは、上述したプライマー層あるいはハードコート層といったレンズ基材に塗布された膜を除去する際に、レンズの表面は容易に除去できるのに対し、レンズの外周側面部(以降においてはコバと称する場合もある。)は、塗布された膜を完全に除去することが難しいことを見出した。
コバは、メガネフレームに嵌まる部分であり、光学的には、有用な領域ではない。しかしながら、レンズを再生した後に、コバに、不良となったプライマー層あるいはハードコート層といった塗膜が残存していると、再生したレンズ基材に塗布されたプライマー層あるいはハードコート層がコバの部分から剥離しやすくなる。したがって、コバに塗布膜が残存している状態では、再生したレンズ基材の工業的な価値は小さい。剥離用の液に浸漬する時間を延長することにより、コバの部分の塗布膜を完全に剥離できるかもしれないが、レンズ基材の表面が剥離用の液に浸食される可能性があり、そのような事態になるとレンズ基材の工業的な価値はさらに低下する。したがって、コバも、レンズ基材の表面と同様の手順で塗布膜が完全に除去される必要がある。
このため、本発明のプラスチックレンズの製造方法は、プラスチック製のレンズ基材の表面にプライマー層またはハードコート層を形成する前に、レンズ基材の外周部を切削により所定形状に切り出す外整工程と、レンズ基材の表面にプライマー層またはハードコート層を形成する前に、外整工程により切削されたコバ面を研磨する研磨工程とを有している。
本発明の製造方法においては、従来、切削したままのコバ面を全体として研磨することにより、コバ面をレンズ基材の表面と同じ、あるいはほぼ同じ状態にしてから、プライマー層またはハードコート層を形成するようにしている。
すなわち、本発明の製造方法においては、切削してコバ面を形成した後、そのコバ面を研磨する工程を設け、その後、レンズ基材の表面にプライマー層、それに重ねてハードコート層を形成する。あるいは、コバ面を研磨した後に、レンズ基材の表面に直にハードコート層を形成する。そして、これらの層を形成する際に、コバ面にプライマー層あるいはハードコート層が付着しても、レンズ基材からこれらの層を剥離して再生する工程において、レンズ基材の表面と同様に、コバ面からもプライマー層あるいはハードコート層の成分を除去できるようにしている。
レンズ基材の表面研磨は、外整工程の前あるいは後のいずれのタイミングで行われても良いが、外整工程の後にレンズ表面の研磨を行うようであれば、それに続くタイミングで、コバ面を表面研磨することが望ましい。コバ面は光学的には有用ではないが、そのコバ面を、レンズ基材の表面と同様の面精度に仕上げることにより、レンズ基材の表面と同じ処理方法および同じ処理時間で、レンズ基材の表面と同様にコバ面からプライマー層またはハードコート層を除去することが可能となる。したがって、不良と判断された塗布層を除去してレンズ基材を再生する際に、レンズ基材の表面に損傷を与えずに、短時間で、確実にコバ面からもプライマー層あるいはハードコート層を除去できる。このため、コバ面を含めて、プライマー層またはハードコート層を塗布する前の状態のレンズ基材を再生することが可能となり、工業的に価値のあるレンズ基材の製造方法を提供できる。
研磨工程では、コバ面の表面粗さの最大値が5μm以下になるように研磨することが望ましい。望ましくは、表面粗さの最大値が1μm程度以下である。最大値が5μm以上の表面粗さでは、レンズの表面の表面粗さとの差が大きく、レンズ表面から塗布液を除去するのと同様の過程、すなわち、同じ濃度の液に同じ時間浸漬しても塗布された層を完全には除去できず、コバ面に塗布液が残るか、あるいはレンズ表面を損傷する結果になってしまう。塗布された層を除去するという点では、コバ面の面精度は高い方が好ましいが、研磨作業に費やされる時間と費用が増大し、効率的ではない。コバ面の精度は、プラスチックレンズの表面と同程度あるいはそれより若干低い程度で十分であり、例えば、表面粗さの最大値は0.01μm以上で十分である。
したがって、本発明の製造方法では、プラスチックレンズ基材上に形成されたプライマー層またはハードコート層を剥離する剥離工程を設け、不良と判断されたプライマー層またはハードコート層を剥離して、レンズ基材を工業的に再利用することが可能となる。
レンズ基材の表面にプライマー層を形成する工程と、そのプライマー層に重ねてハードコート層を形成する工程とを有する本発明の製造方法においては、プライマー層は、少なくとも以下のA成分およびB成分を含有することが望ましい。また、ハードコート層は、少なくとも以下のB成分、C成分およびD成分を含有することが望ましい。
A成分は、ポリエステル系樹脂であり、ジカルボン酸類とグリコール類よりなるが、ここでジカルボン酸類としてはフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、デカメチレンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、ε−オキシカプロン酸等の脂肪族オキソカルボン酸等、およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。グリコール類としてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、1、6−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール、ポリ(1、2−ブタジエングリコール)、ポリ(1、4−ブタジエングリコール)およびその水素添加物、およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。また、ε−カプロラクトン(C6)、エナントラクトン(C7)およびカプロリロラクトン(C8)もポリエステル成分として有用である。
B成分は、平均粒径1nm〜100nmのAl、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる微粒子および/またはSi、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、Tiから選ばれる2種以上の金属酸化物から構成される複合酸化物微粒子である。例えば、Al、SnO、Sb、Ta、CeO、La、Fe、ZnO、WO、ZrO、In、TiOの無機酸化物微粒子が、分散媒たとえば水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散させたものがある。また、SiO、Al3、SnO、SbO、Ta、CeO、La、Fe、ZnO、WO、ZrO、In、TiOの無機酸化物の2種以上によって構成される複合微粒子が水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド状に分散したものがある。さらにコーティング液中での分散安定性を高めるためにこれらの微粒子表面を有機ケイ素化合物またはアミン系化合物で処理したものを使用することも可能である。
この際に用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、あるいは二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等がある。処理に際しては加水分解性基を未処理で行ってもあるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。またアミン系化合物としてはアンモニウムまたはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンがある。これら有機ケイ素化合物とアミン化合物の添加量は微粒子の重量に対して1から15%程度の範囲内で加える必要がある。いずれも粒子径は約0.001〜0.3μmが好適であり、本発明のコーティング組成物への適用種および使用量は目的とする被膜性能により決定されるものであるが、使用量は固形分の10〜70重量%であることが望ましい。すなわち、10重量%未満では、無機蒸着膜との密着性が不充分となるか、もしくは、塗膜の耐擦傷性が不充分となる。また70重量%を越えると、塗膜にクラックが生じる。
C成分は、一般式:RSiX で表される有機ケイ素化合物であり、式中、Rは重合可能な反応基を有する炭素数が3以上の有機基を表し、Xは加水分解性基を表す。R1は重合可能な反応基を有する有機基であり、アリル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有するシラン化合物である。またXは加水分解可能な官能基でありその具体的なものとして、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。
このシラン化合物の具体例として、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等がある。これらを2種以上混合して用いてもかまわない。このC成分の使用量は、全組成物の20〜60重量%であることが望ましい。すなわち、20重量%未満であると、他の層、例えば低屈折率の反射防止層などを積層した場合に、その層との密着性が不充分となりやすい。また60重量%を越えると、硬化被膜にクラックを生じさせる原因となり好ましくない。
D成分は、Fe(III)を中心金属原子とするアセチルアセトネートであり、硬化触媒としての働き以外に、高屈折率金属微粒子を主成分とする組成物を熱硬化で得られるコーティング被膜の透明性・硬化性に優れた性能が得られると同時に、塗液の寿命を延ばす働きも兼ね備えている。特に高屈折率金属微粒子に酸化チタンが含まれる場合、さらにその効果を発揮する。また密着性にも影響をおよぼし、密着性を考慮すると100〜300ppmの範囲であることが望ましい。
(製造方法の第1の例)
図1に、本発明におけるプラスチックレンズの製造方法の第1の例の概要を示してある。先ず、ステップ31で、チオウレタン樹脂系のセイコーエプソン(株)製、セイコースーパーソブリン用レンズ生地(以下SSVと略す。)を用いて屈折率1.67程度のプラスチックレンズ基材を型成形する。
ステップ32で、このプラスチック基材の外周部を切削により所定形状に切り出し外整する(外整工程)。本例の外整工程では、プラスチックレンズ基材を枠入れに適した外周寸法となるように、レンズ基材の周辺部分を乾式または湿式研削により切削する。
ステップ32において切削されたレンズ基材のコバ面(外周の側面)を、ステップ33において、表面粗さの最大値が5μm以下となるまで研磨する(研磨工程)。この研磨工程33では、吸着パッドによりレンズ基材を支持し、500〜3000rpmで回転させ、コバ面の研磨温度が10〜30℃程度に収まるように、アルミナ系の研磨剤でPOLIPLA203Z((株)フジミインコーポレーテッド製)を含浸させたスポンジロールで負荷を与えて押し当てながら拭過する。研磨剤の粒径は1〜300μm程度である。コバ面の表面粗さは、フォームタリサーフPGI1240(テイラーホブソン社製)で測定した際に、表面粗さの最大値Rmaxが5μm以下、望ましくは、1μm以下になるように管理する。
レンズ基材の表面の凸面または凹面を研磨する必要があるときは、ステップ32またはステップ33に前後して、レンズ基材の表面研磨を行う。レンズ表面の研磨方法は公知であり、多くのケースでは、表面粗さの最大値Rmaxが1μm以下、例えば、0.1μmあるいはそれ以下になる程度まで研磨される。したがって、ステップ33において、コバ面を研磨する場合、後述する剥離工程において同程度のプロセスで塗布膜が剥離されるように、レンズ基材の表面と同程度の表面粗さまで研磨しておくことが望ましい。
ステップ34の層形成工程では、レンズ表面に加えてコバ面も研磨された面になったレンズ基材に、プライマー液(PL液)を塗布することによりプライマー層を形成する。本例のPL液は、市販のポリエステル樹脂「ペスレジンA−160P」(高松油脂(株)製、水分散エマルション、固形分濃度27%)100重量%に、酸化チタン系複合微粒子は「オプトレイク1130F−2(A−8)」(触媒化成工業(株)製、Fe/TiO=0.02、SiO/TiO=0.11、粒径:0.01μm、固形分濃度:30%、分散溶媒:メチルアルコール、表面処理:テトラエトキシシラン)84重量%、希釈溶剤としてメチルアルコール640重量%、レベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製「SILWET L−77」)1重量%を混合し、均一な状態になるまで攪拌したものである。
このPL液を、浸漬法(引き上げ速度20cm/分)にてレンズ基材(SSV)の上に塗布した。塗布したレンズ基材は100℃で15分間加熱硬化処理することにより、レンズ基材上に0.8μmのプライマー層が形成された。
ステップ35の層形成工程では、プライマー層の上にハードコート液(HC1液)を塗布してハードコート層を形成した。本例のHC1液は、ブチルセロソルブ144重量%と、メタノール分散二酸化チタン−二酸化ジルコニウム−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)603重量%とを混合した後、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン170重量%を混合し、この混合液に0.05N塩酸水溶液60重量%を撹拌しながら滴下し、さらに4時間撹拌後一昼夜熟成させた後、Fe(III)アセチルアセトネート0.2重量%、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.3重量%を添加し4時間撹拌後一昼夜熟成したものである。
このHC1液を、浸漬法(引き上げ速度18cm/分)にて、ステップ34で得られたプライマー層を形成したレンズ基材上に塗布し、塗布後80℃で20分間風乾した後130℃で120分間加熱硬化処理(焼成)して、プライマー層の上に膜厚2.1μmのハードコート層を形成した。
ステップ36で、得られたプラスチックレンズの外観を検査する(検査工程)。この外観検査は、暗箱中で黒色の背景を用いて蛍光灯で、透過光および反射光で白濁と干渉縞について観察した。この段階で良品と判断されたものは、ステップ37において出荷される。一方、ステップ36において、何らかの不良が発見されたレンズは、ステップ38において再生される。
ステップ38の剥離工程では、塗布されている層(プライマー層およびハードコート層)を剥離する。そのため、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材を、アルカリ(KOH、NaOH等)を主成分とし界面活性剤・水・その他の溶剤を含有する、60℃の剥離液に約30分間浸漬した。同時に超音波(20kHz〜100kHz)を加えて剥離を促した。剥離工程38により、塗布されたプライマー層およびハードコート層が剥離されたレンズ基材は、ステップ34に戻り、再度、プライマー層やハードコート層が塗布し直され製品となる。
図2に、この製造方法の第1の例により製造されたレンズ基材を剥離工程により再生した結果を纏めてある。ただし、ステップ33において、コバ面の研磨面の面精度が異なる6つのサンプル(サンプルNo1〜6)を用意し、その他の条件は同じにして、剥離工程後の結果を纏めて示してある。サンプルNo1は、コバ面の表面粗さの最大(Rmax)が0.01μmであり、サンプルNo2は、Rmaxが0.10μmであり、サンプルNo3は、Rmaxが1.00μmであり、サンプルNo4は、Rmaxが5.00μmであり、サンプルNo5は、Rmaxが7.00μmであり、サンプルNo6は、Rmaxが8.00μmである。サンプルNo5および6のコバ面は、切削した状態、すなわち、研磨していない状態に等しい。
(製造方法の第2の例)
本発明のプラスチックレンズの製造方法においては、プライマー層に重ねてハードコート層を形成する代わりに、レンズ基材の上にハードコート層を形成することも可能である。この製造方法の第2の例においては、図1に示した製造方法のうち、ステップ34を省いて、ステップ35において、レンズ基材の上にハードコート層を形成する。その他の工程は、上述した製造方法の第1の例と同様である。
本例のステップ35においては、次のようにハードコート液(HC2液)を調整した。まず、2−ブトキシエタノール1700g、メタノール分散二酸化チタン−二酸化錫複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、商品名「オプトレイク1120Z(8Ru・A8)」、固形分濃度20重量%)5900gおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1830gを混合した。この混合液に0.05N塩酸水溶液550gを撹拌しながら滴下し、4時間撹拌後一昼夜熟成させた後、Fe(III)アセチルアセトネート10g、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)3gを添加し4時間撹拌後一昼夜熟成させてHC2液(塗液)とした。
このようにして得られたHC2液(塗液)を、ステップ33でコバ面が研磨された状態のレンズ基材(SSV、屈折率1.67)をアルカリ処理を施し、浸漬法にて塗布を行った。引き上げ速度は、20cm/分とした。塗布後80℃で20分間風乾した後130℃で120分間焼成を行い、ハードコート層を形成した。
この製造方法の第2の例により製造されたレンズ基材を剥離工程により再生した結果を、図2にあわせて纏めてある。ただし、ステップ33において、コバ面の研磨面の面精度が異なる6つのサンプル(サンプルNo7〜12)を用意し、その他の条件は同じにして、剥離工程後の結果を纏めて示してある。
サンプルNo7は、コバ面の表面粗さの最大(Rmax)が0.01μmであり、サンプルNo8は、Rmaxが0.10μmであり、サンプルNo9は、Rmaxが1.00μmであり、サンプルNo10は、Rmaxが5.00μmであり、サンプルNo11は、Rmaxが7.00μmであり、サンプルNo12は、Rmaxが8.00μmである。サンプルNo11および12のコバ面は、切削した状態、すなわち、研磨していない状態に等しい。
図2に示した、剥離工程後のレンズ基材の状態、特に、コバ面の状態は次の通りである。「◎」は、コバ面を含めたレンズに、塗布膜が残存していない状態を示し、「○」は、10%以下程度の塗布膜がレンズに残存している状態を示し、「△」は、10〜70%程度の塗布膜がレンズに残存している状態を示し、「×」は、70%以上の塗布膜がレンズに残存している状態を示している。
図2に示した結果から分かるように、レンズ基材のコバ面を研磨して、面精度が上がるほど、プライマー層あるいはハードコート層を容易に除去(剥離)できることがわかる。特に、表面粗さの最大値が5μmを超えると、残存塗膜が70%を超え、レンズ基材を再利用することができない。すなわち、レンズ基材を、剥離工程を経て再利用することが難しい。
ハードコート層を単層でレンズ基材に塗布したサンプルでは、レンズ基材のコバ面の表面粗さの最大値を1μm程度あるいはそれ以下にすることにより、ほぼ塗膜を除去することができ、レンズ基材を再生して、新しいレンズ基材と同様に処理することができる。
一方、密着性の向上を目指したプライマー層を挟んでハードコート層を形成したサンプルにおいては、レンズ基材を工業的に再利用するためには、レンズ基材のコバ面の研磨の精度を上げて、表面粗さの最大値を0.1μm程度あるいはそれ以下にすることが望ましいことが分かる。
いずれのケースでも、表面粗さの最大値が0.01μm程度になると、残存する塗膜が見られないので、これ以上の面精度は不要であり、研磨粉が多量に生成されるなど、かえってレンズ基材の製造効率を下げてしまう可能性がある。
このように、レンズ基材を外整加工した後に、そのコバ面をレンズ表面と同程度の面精度まで研磨することにより、剥離工程において、レンズ表面に損傷を与えず、レンズ表面からプライマー層あるいはハードコート層を除去するのと同じプロセスにより、コバ面からもプライマー層あるいはハードコート層を確実に除去することが可能となる。このため、再生処理されたレンズ基材を使用して、レンズの製造過程において、プライマー層あるいはハードコート層が未塗布のレンズ基材と同等のハンドリングをすることが可能となる。また、剥離処理されたレンズ基材を、未塗布の基材を使用したものと同じ性能のプラスチックレンズを製造できる。したがって、剥離して再生されたレンズ基材により、経済的に、性能の良いレンズを製造できる。さらに、研磨することで、生産ラインの歩留まりを向上でき、塗膜除去作業時の拭き取り性も向上できる。
なお、上記のレンズの製造方法では、ステップ31〜35において、レンズ基材にプライマー層とハードコート層とが形成された例を示したが、これに限らず、これらの工程の前後で染色するようにしても良い。または、ハードコート層の上に、低屈折率の反射防止層や防曇層(撥水層)を形成するようにしても良い。この場合であっても、コバ面を研磨しておくことで、機能膜の剥離工程が容易になることは上述したとおりである。
また、上記では、レンズ基材にチオウレタン樹脂を用いた例を説明しているが、チオエポキシ樹脂であっても良い。
さらに、コバ面を研磨する研磨剤は、上記のアルミナ系に限らず、酸化セリウム等であっても良い。また、上記の製造方法では、プライマー層およびハードコート層を浸漬(ディッピング)方式塗布した例を示しているが、層形成方法はこれに限られない。スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布方法の場合でも、レンズの側面(コバ面)にいくらかの塗布液が付着するため、本発明の製造方法は有用である。
本発明に係る製造方法を示すフローチャート。 本発明に係る製造方法及び比較例のレンズの評価を示す図。
符号の説明
31〜38 製造プロセス

Claims (4)

  1. プラスチック製のレンズ基材の表面にプライマー層またはハードコート層を成膜する前に、前記レンズ基材の外周部を切削により所定形状に切り出す外整工程と、
    前記レンズ基材の表面にプライマー層またはハードコート層を形成する前に、前記外整工程により切削されたコバ面を研磨する研磨工程とを有する、プラスチックレンズの製造方法。
  2. 請求項1において、前記研磨工程では、前記コバ面の表面粗さの最大値が5μm以下になるように研磨する、プラスチックレンズの製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記レンズ基材の表面には少なくとも下記A成分およびB成分を含有する前記プライマー層を形成する工程と、前記プライマー層に重ねて、少なくとも下記B成分、C成分およびD成分を含有する前記ハードコート層を形成する工程とを有する、プラスチックレンズの製造方法。
    A成分:ポリエステル系樹脂
    B成分:平均粒径1nm〜100nmのAl、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる微粒子および/またはSi、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、Tiから選ばれる2種以上の金属酸化物から構成される複合酸化物微粒子
    C成分:一般式:RSiX で表される有機ケイ素化合物
    (式中、Rは重合可能な反応基を有する炭素数が3以上の有機基を表し、Xは加水分解性基を表す。)
    D成分:Fe(III)を中心金属原子とするアセチルアセトネート
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法において得られたプラスチックレンズの前記レンズ基材上に形成された前記プライマー層または前記ハードコート層を剥離する剥離工程を有する、プラスチックレンズの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010234807A (ja) * 2009-03-10 2010-10-21 Hoya Corp プラスチックレンズの製造方法
JP2012173480A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Hoya Corp 眼鏡レンズの製造方法

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