JP2006241409A - アスファルト用付着防止剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 毒性のなく、容易に運搬、使用が可能で低価格である水溶性アスファルト付着防止剤を提供すること。
【解決手段】 アスファルト用付着防止剤は、アスファルト用付着防止剤において、分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物を主成分とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 アスファルト用付着防止剤は、アスファルト用付着防止剤において、分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物を主成分とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、道路の舗装等に用いられるアスファルトが使用器具等に付着することを防止するためのアスファルト付着防止剤に関し、詳しくは、水溶性のアスファルト付着防止剤に関する。
アスファルト用付着防止剤は、アスファルト合材の製造、保管サイロ、トラック、施工時のローラーおよび作業員の靴底などにアスファルトが付着するのを防止するために必要不可欠である。また、製造、トラックへの積み込みおよび道路舗装時に噴霧して使用するため、作業員への安全性の面から低毒性であることに加えて生分解性を持つことなど環境負荷の小さいことが要求される。
これまで多くのアスファルト付着防止剤が市販されているが、いずれも価格と性能のバランス面から満足なものは見出されていない。例えば、大豆などから抽出された生分解性の高い植物性油を主成分とするアスファルト付着防止剤が市販されているが、水で希釈して使用する場合、これらは水と本質的に交じり合わないため、しばらくすると二層分離してしまうという問題があった。また水で希釈せずに使用する場合には、価格が高いために施工コストを上昇させてしまうという問題点があった。
また、一部では軽油などの鉱物油を付着防止剤として使用している例もあるが、鉱物油はアスファルト付着防止能が高いものの、作業員の健康上および環境汚染の観点から好ましくないことに加えて、アスファルト合材中のアスファルト成分を溶出させてしまうという問題がある。合材からアスファルト成分が溶出すると、合材中の砂利同士の結合力を弱めてしまうため、車が走行した際に砂利が跳ね上がるなど施工不良の原因になると言われている。
そこで、本発明の技術的課題は、低毒性でかつ環境負荷の小さいなアスファルト付着防止剤を提供することにある。
また、本発明の技術的課題は、水溶性で扱いやすくかつアスファルト成分を溶出させない安価な水溶性アスファルト付着防止剤を提供することにある。
以上のような問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明の水溶性アスファルト付着防止剤を開発するに至ったものである。
即ち、本発明によれば、分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物を主成分とすることを特徴とするアスファルト用付着防止剤が得られる。
また、本発明によれば、前記アスファルト用付着防止剤において、前記水溶性有機化合物を水で希釈してなることを特徴とするアスファルト用付着防止剤が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれか一つのアスファルト用付着防止剤において、前記水溶性有機化合物がエチレングリコール、エチレングリコール多量体、グリセリン、グリセリン多量体の内の少なくとも一種であることを特徴とするアスファルト用付着防止剤が得られる。
さらに、本発明によれば、前記アスファルト用付着防止剤において、前記水溶性有機化合物が食用油のケン化あるいはトランスエステル化により得られるグリセリンあるいはグリセリンを含む混合物であることを特徴とするアスファルト用付着防止剤が得られる。
本発明においては、低毒性でかつ環境負荷の小さいなアスファルト付着防止剤を提供することができる。
さらに、本発明においては、水溶性で扱いやすくかつアスファルト成分を溶出させない安価な水溶性アスファルト付着防止剤を提供することができる。
以下、本発明をさらに、具体的に説明する。
本発明者らは従来のアスファルト付着防止剤が油性であるために水と混和しづらく、またアスファルト成分を溶出させることを見出し、これらの問題点を解決するために水溶性の化合物について検討した。その結果、少なくとも二つ以上の水酸基を有する水溶性有機化合物である多価アルコールが優れた付着防止性能を持ち、かつアスファルト成分を殆ど溶出させないことを見出し、本発明をなすにいたった。
本発明のアスファルト用付着防止剤は、分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物を主成分としている。この水溶性有機化合物を水で希釈しても良い。
ここで、本発明において、分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物とは多価アルコールを指す。この分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物としては、次のものを使用することができる。
2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのエチレングリコール多量体、プロピレングリコール、ブタンジオール類が挙げられる。
また、3価のアルコールとしては例えば、グリセリンが挙げられる。
さらに、4価のアルコールとしては例えば、ジグリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
これらの多価アルコールをアスファルト用付着防止剤として使用する場合には、意図的に混合して使用しても良いし、反応などの結果として生成した混合物をそのまま使用してもよい。
さらに、この多価アルコールをアスファルト用付着防止剤として使用する場合には、適宜水で希釈して使用しても良い。多価アルコールと水の混合割合に特別な制限はなく、使用条件や剥離性能に合わせて適宜選択すればよい。
一般的な使用条件下では多価アルコールが1重量部に対して水が0.1重量部から100重量部の範囲で希釈すればよく、好ましくは多価アルコール1重量部に対して水が1重量部から20重量部の範囲で希釈するのが良い。
食用油のケン化とは、食用油を苛性カリ、苛性ソーダなどの苛性アルカリ水溶液で処理することによって、食用油を脂肪酸塩とグリセリンに分解する反応を指す。一般に、ケン化ではグリセリンが水溶液として得られる。
一方、食用油のトランスエステル化とは、食用油をメタノール、エタノールなどの1価の低級アルコールと触媒の存在下で反応させることにより、脂肪酸の低級アルコールエステルとグリセリンを生成する反応であり、エステル交換反応とも呼ばれる。
これらの反応により得られたグリセリンをアスファルト用付着防止剤として用いる場合には、苛性アルカリ、触媒成分、脂肪酸、脂肪酸塩、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等を含んでいても良い。また必要に応じて精製して用いても良いし、苛性アルカリを中和して用いても良い。
また、上記反応において水溶性という場合には、常温において水に対して1vol%以上溶解するものを指す。また、多価アルコールの製造方法によっては一部、水不溶分を含む場合もあるが、噴霧器等を目詰まりさせることがなければ問題なく使用可能である。
以下、本発明の具体例について説明する。
(例1)
使用済み食用油1kgに苛性カリ14gとメタノール0.15kgを加えて30分間攪拌した。その後、24時間、室温で静置してトランスエステル化反応させた。反応後、液液分離により二層分離してグリセリンを得た。以下、このグリセリンを粗製グリセリンと呼ぶ。
使用済み食用油1kgに苛性カリ14gとメタノール0.15kgを加えて30分間攪拌した。その後、24時間、室温で静置してトランスエステル化反応させた。反応後、液液分離により二層分離してグリセリンを得た。以下、このグリセリンを粗製グリセリンと呼ぶ。
(例2)
例2では、付着防止性能テストについて説明する。
例2では、付着防止性能テストについて説明する。
上記例1で得られた粗製グリセリンを水で20vol%に希釈したサンプルを調製した。また、比較実験として軽油(希釈せず)、および水で20vol%に希釈した市販のアスファルト付着防止剤3種類(A〜C)を塗布したバットを用意した。これらのサンプル少量を、各々、ホーロー製バットに入れて表面に良くなじませた。アスファルト((株)森長組製アスファルト合材)をバーナーにより加熱して軟化させた後、各々のサンプルを塗布したバットに入れて10分間放置した。放置後、金属製のヘラでアスファルトをバットから剥がした。バットに付着して残ったアスファルトの残量から剥離性能を評価した。なお、残ったアスファルトの量が多いほど剥離性が悪いこと意味する。結果を表1および図1乃至図8に示す。
上記表1及び図1から、何も塗布しない場合には、アスファルトは全てバットに残った。粗製グリセリンを塗布した場合は、全てのアスファルトがバットより剥離し、良好な付着防止性能を示すことがわかる。軽油を塗布した場合は、大量のアスファルトがバットに付着し、またアスファルトの一部が溶解した。市販品Aでは、アスファルトのほぼ全てがバットから剥がれたが、アスファルトのわずかな付着が観察された。市販品B、C、高純度グリセリン、エチレングリコールではアスファルトが完全には剥がれず、付着が認められた。
軽油を塗布したバットではアスファルトの溶解が確認されたが、このようなアスファルト成分の溶出はアスファルト合材中の砂利同士の結合力を弱めるため、舗装工事施工後に車が走行した際、砂利のはね上げ等の問題を生じるため、好ましくいない。
(例3)
例3では、アスファルト成分の溶出テストについて説明する。
例3では、アスファルト成分の溶出テストについて説明する。
内容積およそ100mlのサンプル瓶にアスファルトおよそ数gを取り、さらに、上記例1で得られた粗製グリセリンを容器の8分目まで加えて放置した。また粗製グリセリンの替わりに軽油、市販品A〜C、高純度グリセリンおよびエチレングリコールを用いて同様の試料を調製した。これらの試料を室温で放置してアスファルトの溶解を観察した。なおアスファルトの溶解が少ないものほど付着防止剤としての性能が高いことになる。結果を表2および図9乃至図15に示す。
上記表2及び図2の結果より粗製グリセリン、高純度グリセリン、エチレングリコールなどの分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物はアスファルトを全く溶解させないことが分かる。
以上の説明の通り、本発明に係るアスファルト付着防止剤は、アスファルトの運搬や使用する分野に適用可能である。
Claims (4)
- 分子内に少なくとも二つの水酸基を有する水溶性有機化合物を主成分とすることを特徴とするアスファルト用付着防止剤。
- 請求項1記載のアスファルト用付着防止剤において、前記水溶性有機化合物を水で希釈してなることを特徴とするアスファルト用付着防止剤。
- 請求項1又は2に記載のアスファルト用付着防止剤において、前記水溶性有機化合物がエチレングリコール、エチレングリコール多量体、グリセリン、グリセリン多量体の内の少なくとも一種であることを特徴とするアスファルト用付着防止剤。
- 請求項1又は2に記載のアスファルト用付着防止剤において、前記水溶性有機化合物が食用油のケン化あるいはトランスエステル化により得られるグリセリンあるいはグリセリンを含む混合物であることを特徴とするアスファルト用付着防止剤。
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