JP2006240975A - 無機微粒子分散液、及び無機微粒子分散液の製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録用媒体 - Google Patents

無機微粒子分散液、及び無機微粒子分散液の製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録用媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 光沢性に特に優れたインクジェット記録用媒体を提供する。
【解決手段】 水溶性有機カチオン化合物、水溶性多価金属化合物、及び無機微粒子を含む分散液を、対向衝突型高圧分散機又はオリフィス通過型高圧分散機を用いて分散することを特徴とする無機微粒子分散液の製造方法、それを用いて得られた無機微粒子分散液、及びそれらを用いて得られたインクジェット記録用媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、経時安定性に優れた無機微粒子分散液、及びその製造方法、更にインクジェット記録用媒体に関し、特に高光沢度と高い印画濃度を保持しながら画像の経時にじみが改良されたインクジェット記録媒体に関する。
インクジェット記録媒体は、通常、支持体上にインク受容層用塗布液を塗布し乾燥することによって製造される。該インク受容層用塗布液は、シリカ微粒子等の無機微粒子の分散液に、親水性バインダー(例えば、ポリビニルアルコール等)の水溶液や、その他添加剤(例えば、カチオン性ポリマー、硬膜剤、界面活性剤等)を添加し作製する製造方法が一般的に知られている。
無機微粒子としては、無機顔料微粒子が好適であり、該無機顔料微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイト等を挙げることができ、インク吸収性、高い発色性の観点から、特に、シリカ微粒子が好ましい。
シリカ分散液としては、四塩化珪素を原料として酸水素炎中で燃焼させて作る気相法シリカ(ヒュームドシリカ)、珪酸ソーダを中和して作る沈澱法シリカやゲル法シリカといった、いわゆる湿式シリカ、あるいは、珪素のアルコキシドを原料としてアルカリ性もしくは酸性の含水有機溶媒中で加水分解して作るゾルーゲル法シリカが優れており、かかるシリカを使用したシリカ分散液が注目されている。
一方、インクジェット記録媒体の分野では、近年フォトライクなものが求められている。即ち、光沢が高く、彩度が高く、かつインク吸収性が高い記録材料が求められている。これらの特性を満足させるには、平均一次粒子径が50nm以下の超微粒子が好適であり、例えば気相法シリカやアルミナゾルが好ましく用いられている。例えば、シリカ微粒子を親水性バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている(例えば、特許文献1〜9参照。)。
また、気相法による合成シリカ微粒子(以降、「気相法シリカ」と称す)を用いたインクジェット記録媒体が提案されている(例えば、特許文献10〜16参照。)。
しかしながら、超微粒子の分散液は、分散安定性が悪く、微粒子が凝集しやすいという問題があり、特に、インクジェット記録媒体のインク受容層用塗布液に上記無機微粒子分散液を用いた場合、分散が不安定ため、無機微粒子が更に凝集しやすくなり、その結果、ハジキや筋状の塗布故障の発生、インク吸収性の低下等の問題が生じる。
一方、インクジェット記録媒体に画像保存性向上のため金属を含有することが知られている。例えば、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物の使用が報告されている(例えば、特許文献17、18参照。)。
また、周期律表4A族元素及びアルミニウム化合物の使用が記載されている(特許文献19〜22参照。)。
しかしながら、これらの公報は上記金属化合物の存在下で無機微粒子を分散することを開示するものではない。
通常、シリカ分散液は分散媒(水や有機溶剤又はそれらの混合物)中に無機微粒子を一次分散(プレミキシング)して無機微粒子スラリーを作成し、次にこの無機微粒子スラリーをサンドミル、ボールミル等の分散機で二次分散されて作られる。
しかしながら、ボールミル、サンドグラインダーなどの分散機で作成されるシリカ分散液の粒子サイズは大きく、また、シリカ分散液の透明性も低いため、それを用いて作成されたインクジェット記録媒体の光沢は十分満足できるものではなかった。
また、前記気相法シリカは表面シラノール基が少ないことに起因する分散安定性が悪いという問題があるため、インク(染料)の定着性を上げるためにカチオン性ポリマーを用いることが知られているが、シリカ分散液とカチオン性ポリマーとを混合するとシリカ微粒子が凝集するという問題が起こる。これに対し、シリカ微粒子の分散安定性を向上させるためにカチオン性ポリマーの存在下で分散する技術が開示されている(例えば、特許文献23〜26参照。)。
特開昭55−51583号公報 特開昭56−157号公報 特開昭57−107879号公報 特開昭57−107880号公報 特開昭59−230787号公報 特開昭62−160277号公報 特開昭62−184879号公報 特開昭62−183382号公報、 特開昭64−11877号公報 特公平3−56552号公報 特開平2−188287号公報 特開平10−20306号公報 特開平10−81064号公報 特開平10−100397号公報 特開平10−119423号公報 特開平10−203006号公報 特開昭60−257286号公報 特開昭61−16884号公報 特開平6−32064号公報 特開平10−258567号公報 特開平10−309862号公報 特開2000−309157号公報 特開平11−20306号公報 特開平11−105411号公報 特開平11−321079号公報 特開2001−19421号公報
本発明の目的は、高光沢度、高い印画濃度、画像の経時ニジミが改良され、耐ガス性に優れ、特に高光沢に富み、かつ高印画濃度に優れたインクジェット記録用媒体を提供する。
前記実情に鑑み本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、シリカ粒子を高圧で分散することにより微粒子化することで、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<1> 水溶性有機カチオン化合物、水溶性多価金属化合物、及び無機微粒子を含む分散液を、対向衝突型高圧分散機又はオリフィス通過型高圧分散機を用いて分散することを特徴とする無機微粒子分散液の製造方法。
<2> 前記対向衝突型高圧分散機の処理圧力は、50MPa以上であることを特徴とする上記<1>に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<3> 前記オリフィス通過型高圧分散機のオリフィスの入口側と出口側の差圧が、50MPa以上であることを特徴とする上記<1>に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<4> 前記無機微粒子の平均一次粒子が30nm以下で、分散後の二次粒子径が200nm以下であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<5> 前記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<6> 前記無機微粒子のBET法による比表面積が200m2/g以上であることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<7> 前記水溶性多価金属化合物が3価以上の金属化合物であることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<8> 前記3価以上の水溶性金属化合物が水溶性アルミニウム化合物及び/又は水溶性ジルコニウム化合物であることを特徴とする上記<7>に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<9>前記水溶性有機カチオン化合物が第一級〜三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、又はホスホニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
<10>前記水溶性多価金属化合物の少なくとも1つが酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウムから選択される1種以上であることを特徴とする上記<1>〜<9>のいずれか一項に記載に無機微粒子分散液の製造方法。
<11>上記<1>〜<10>のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする無機微粒子分散液。
<12>上記<11>に記載の無機微粒子分散液を用いて塗布液を作製し塗工したインク受容層を有するインクジェット記録用媒体。
<13>水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤と上記<11>に記載の無機微粒子分散液を用いて塗布液を作製し塗工したインク受容層を有する上記<12>に記載のインクジェット記録用媒体。
<14>水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤、沸点150℃以上の水溶性有機溶剤、及び水分散性カチオン性樹脂と、上記<11>に記載の前記無機微粒子分散液と、を含む塗布液を塗布してなるインク受容層を有する上記<12>又は<13>に記載のインクジェット記録用媒体。
<15>前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする上記<13>又は<14>に記載のインクジェット記録用媒体。
<16>前記水溶性樹脂、界面活性剤、及び沸点が150℃以上の水溶性有機溶剤が水溶液中(水性媒体)に共溶解して用いられたことを特徴とする上記<14>又は<15>に記載のインクジェット記録用媒体。
<17>前記架橋剤がほう酸であることを特徴とする上記<13>〜<16>のいずれか一項に記載のインクジェット記録用媒体。
<18>前記水分散性カチオン樹脂がウレタン樹脂であることを特徴とする上記<13>〜<17>のいずれか一項に記載のインクジェット記録用媒体。
本発明によれば、対向衝突型高圧分散機又はオリフィス通過型高圧分散機で処理した分散液の透明性は高く、それを用いて作製した、インクジェット受像紙は、高光沢でかつ高濃度発色性を示した。
本発明の無機微粒子分散液の製造方法は、水溶性有機カチオン化合物と水溶性多価金属化合物の存在下、対向衝突型高圧分散機又はオリフィス通過型高圧分散機を用いて無機微粒子を分散することを特徴とする。
また、本発明の無機微粒子分散液は、上記方法により製造されたことを特徴とする。
更に、本発明のインクジェット記録用媒体は、無機微粒子分散液を用いて塗布液を作製し塗工したインク受容層を有することを特徴とする。
また、更に本発明のインクジェット記録用媒体は、水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤と前記無機微粒子分散液とを用いて塗布液を作製し塗工したインク受容層を有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体は、本発明の無機微粒子分散液と水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤、沸点150℃以上の水溶性有機溶剤、及び水分散性カチオン性樹脂とを含む塗布液を塗布してなるインク受容層を有することが好ましい。
前記構成として分散処理した無機微粒子分散液及びインク受容層塗布液の透明性は高く、それを用いて作製したインクジェット記録用媒体は、高光沢でかつ高濃度発色性を示すことができる。
以下、本発明の無機微粒子分散液及びその製造方法、並びにインクジェット記録用媒体について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用媒体においては、無機微粒子としては、合成シリカ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、特に限定されるものではないが、これらの中でも、合成シリカが好ましく用いられ、さらに気相法によって合成されたシリカ微粒子が好ましい。
本発明における無機微粒子は、BET法による比表面積が200m2/g以上であることが好ましく、250m2/g以上がより好ましく、270m2/g以上が特に好ましい。それぞれの比表面積の上限は400m2/g以下が好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体は、支持体上に少なくとも一層のインク受容層を有して構成され、更に他の層が設けられていてもよい。本発明に係るインク受容層は水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤、沸点150℃以上の水溶性有機溶剤、及び水分散性カチオン性樹脂と、前記無機微粒子分散液と、を含む塗布液を塗布してなることを特徴とする。
無機微粒子は、前述のように、BET法による比表面積が200m2/g以上の気相法シリカを含有することが好ましい。
該塗布液は後述の水溶性多価金属化合物(例えば、炭酸ジルコニルアンモニウム等)を含有するが、更にアンモニウム水を含んでもよい。また必要に応じて、前記以外の媒染剤等の他の成分を含んで構成することができる。
インク受容層は、無機微粒子として後述する気相法シリカを含有することによって多孔質構造に構成され、更にそのシリカ粒子の粒子径を、BET法による比表面積を200m2/g以上となる小粒径にしたときには、インク吸収性、印画濃度をより向上させることができる。
本発明に係るインク受容層は、後述するように、WET−ON−WET法(WOW法)により好適に形成することができる。具体的には後述する。また、インク受容層の層厚は、インクジェット記録では液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。具体的には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
以下、本発明に係るインク受容層を構成する各成分について説明する。
本発明に係るインク受容層は、無機粒子として、BET法による比表面積が200m2/g以上の気相法シリカ(以下、「シリカ微粒子」ともいう。)を含有することが多孔質を構成するために好ましい。気相法シリカを含有することによって、多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能を向上させることができる。前記比表面積が200m2/g未満以上とすることにより、インク吸収性、速乾性、インク滲みが少なくなり、画質や印画濃度がより向上する傾向がある。
本発明の無機微粒子分散液(例えば、シリカ分散液)は、高濃度、即ち無機微粒子(例えば、シリカ)が15重量%以上、更には18重量%以上であっても、長期間に渡って分散安定性が保たれる。それぞれ30%以下が好ましい。
本発明の無機微粒子分散液(例えば、シリカ分散液)の調製に用いられる分散媒は、水を主体とするものであるが、少量の有機溶剤(低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含むことが好ましい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20重量%以下、更には10重量%以下であることが好ましい。
次に、本発明の無機微粒子分散液の製造方法を、シリカ分散液を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
通常、シリカ分散液は、水等の分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備混合)し、さらにカチオン樹脂、水溶性多価金属化合物を添加してシリカスラリーを作製(予備分散ン)し、このシリカスラリーを液液対向衝突方式の分散機、例えばスギノマシン社アルティマイザーで分散することによって得られる。上記シリカスラリーをアルティマイザーで処理する回数は、1〜数十回の範囲から選ばれる。
合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがあるが、通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、(1)ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または(2)このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、(3)シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数ミクロンから10ミクロン位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には(4)シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。
一方、気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。
本発明のインクジェット記録用媒体において、湿式法シリカに比べて気相法シリカは、空隙率の高い三次元構造を形成しやすく、好ましく用いられる。この理由は、明確ではないが、表面シラノール基の密度が影響していると考えられている。即ち、湿式法シリカに比べて気相法シリカは、表面シラノール基の密度が低く、そのために粗な軟凝集(フロキュレート)となり、空隙率が高い構造となると考えられている。インク受容層の空隙率を高めることはインク吸収速度および吸収容量を増大させる意味で極めて重要である。
本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別されるが、本発明に係る気相法シリカは、乾式法(気相法)粒子である。気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。なお、上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流であり、気相法シリカと共に併用してもよい。
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行なったときにはインク受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性を得ることができる。受容層が透明であることは、フォト光沢紙等の用途に適用する場合でも高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
前記気相法シリカ(および必要に応じて他の無機微粒子)のインク受容層における総含有量(固形分)としては60質量%以上が好ましく、より好ましくは65質量%以上である。該総含有量が60質量%以上であると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、充分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用シートが得られるので好ましい。ここで、インク受容層における量(固形分)は、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される量である。
前記気相法シリカ(及び必要により他の無機微粒子)をインクジェット記録用シートに用いる場合、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも好ましく用いることができる。
また、分散性を改善する目的で、気相法シリカの微粒子表面をシランカップリング剤で処理してもよい。該シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能基(例えば、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
以下、本発明における無機微粒子を分散して、無機微粒子分散液を製造する方法について説明する。以下、無機微粒子を気相法シリカを例に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の無機微粒子分散液の製造方法は、水溶性有機カチオン化合物、水溶性多価金属化合物、及び無機微粒子を含む分散液(予分散液)を、高圧分散機を用いて、対向衝突させて、又は、オリフィスを通過させて分散することを特徴とする。
本発明の無機微粒子分散液の製造方法は、溶媒中に無機微粒子(シリカ)、水溶性有機カチオンポリマー、及び水溶性多価金属化合物を予備分散して得られる予分散液を、高圧で対向衝突させるか、又は、オリフィスを高圧で通過させることができれば、特に限定されるものではない。一般に、高圧ホモジナイザーと呼ばれている市販の装置が好適に使用できる。
前記高圧ホモジナイザーの代表例としては、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー(LA−31)、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。
なお、前記オリフィスとは、円形などの微細な穴を持つ薄板(オリフィス板)を直管内に挿入し、直管の流路を急激に絞る機構をいう。
上記高圧ホモジナイザーは、基本的には、原料スラリーなどを加圧する高圧発生部と、対向衝突部或いはオリフィス部とからなる装置である。高圧発生部としては、一般にプランジャーポンプと呼ばれている高圧ポンプが好適に採用される。高圧ポンプには、一連式、二連式、三連式などの各種の形式があるが、いずれの形式も特に制限なく本発明において採用できる。
前記高圧で対向衝突させる場合における処理圧力は50MPa以上、100MPa以上が好ましく、さらに130MPa以上が好ましい。
また、前記オリフィスを通過させる場合におけるオリフィスの入口側と出口側の差圧も、前記処理圧力と同様に、50MPa以上、好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは130MPa以上が望ましい。それぞれ350MPa以下が好ましい。
いずれの方法においても、分散効率は処理圧力に依存するため、処理圧力が高いほど分散効率も高くなる。ただし、処理圧力が350MPaを越えると高圧ポンプの配管等の耐圧性や装置の耐久性に問題が発生しやすい。
上記したいずれの方法においても、処理回数は特に制限されず、通常は、1〜数十回の範囲から適宜選択される。これにより本発明の無機微粒子分散液を得ることができる。
この分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤などが挙げられ、これらは必要に応じて適宜使用することができる。
特に、水混和性有機溶媒は、無機微粒子(シリカ)、水溶性有機カチオンポリマー、及び水溶性多価金属化合物を予備分散した際の微小なダマの形成が抑制される点で好ましい。水混和性有機溶媒は、分散液中に0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。
無機微粒子(気相法シリカ)分散液を調製する際のpHは、無機微粒子(気相法シリカ)の種類や水溶性有機カチオンポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。また、上記の分散は二種以上を併用することも可能である。
前記無機微粒子の平均一次粒子径としては、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましく、3〜10nmが特に好ましい。気相法シリカの平均一次粒子径が30nm以下で、分散後の無機微粒子分散液の二次粒子径は200nm以下であることが、光沢性を付与する点で好ましく、150nm以下がより好ましく、120nm以下が特に好ましい。
気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができると共に、インク受容層の透明性および表面光沢性を高めることができる。なお、気相法シリカは、一次粒子のまま用いるほか、二次粒子を形成した状態で含有してもよい。
(水溶性有機カチオン化合物)
気相法シリカは高圧分散機で分散する前に、予分散状態で用いることが好ましい。本発明の無機微粒子分散液は、分散剤(凝集防止剤)として水溶性有機カチオン化合物を用いる。
この水溶性有機カチオン化合物は特に限定はないが、後述する媒染剤の例など、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、又はホスホニウム塩基を有する水溶性有機カチオン化合物(それらの塩を含む)が好適である。中でも、平均分子量が5万以下が好ましく、2万以下が特に好ましい。その他の分散剤としてシランカップリング剤を用いることができる。
上記水溶性有機カチオン化合物の中でも、特にポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有する水溶性有機カチオン化合物が好ましく、ジアリルアミン化合物の環化縮合によって得られ、シャロールDC902P(第一工業製薬)、ジェットフィックス110(里田化工)、ユニセンスCP−101〜103(センカ)、PAS−H(日東紡績社)として市販されている。
上記水溶性有機カチオン化合物の使用量は無機微粒子(例えば、シリカ微粒子)に対して1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。使用量が多くなると前述したように、用いる気相法シリカの種類によっては塗布後のゲル化能が低下する。
前記水溶性有機カチオン化合物として、水溶性、または水性エマルションタイプなどを好適に使用でき、例えば、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体等のポリカチオン系カチオン樹脂などが挙げられる。中でも、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、モノメチルジアリルアンモニウムクロライドおよびポリアミジンが好ましく、耐水性の点で、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、モノメチルアンモニウムクロライドが特に好ましい。水溶性有機カチオン化合物は、単独でも二種以上を併用してもよい。
前記水溶性有機カチオン化合物のインク受容層における添加量としては、気相法シリカの質量に対して、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
水溶性有機カチオン化合物は、シリカ微粒子を添加する前の分散媒中に添加してもよいし、また、予備混合中あるいは分散終了後に添加してもよいが、水溶性有機カチオン化合物は、シリカ微粒子を添加する前の分散媒中に添加することが好ましい。
(水溶性多価金属化合物)
本発明の無機微粒子分散液は、水溶性多価金属化合物を含有する。
本発明における水溶性多価金属化合物は、分散媒中に添加してもよいし、予備混合中あるいは分散終了後に添加してもよいが、シリカ微粒子を添加する前の分散媒中に添加することが好ましい。
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、3価以上の金属化合物が好ましい。例えば、更に、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。
具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酪酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ナフトレゾルシンカルボン酸バリウム、酪酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、酪酸銅(II)、シュウ酸銅、フタル酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、ナフテン銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、スルファミン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄(III)、乳酸鉄(III)三水和物、三シュウ酸三アンモニウム鉄(III)三水和物、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニル、塩化酸化ジルコニル八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニル、酢酸クロム、硫酸クロム、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの水溶性多価金属化合物は2種以上を併用してもよい。本発明において、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1重量%以上溶解することを意味する。
上記の水溶性多価金属化合物の中でも、アルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
上記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-nm ・・式1
[Al(OH)3nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりHAP−25の名で、大明化学(株)よりアルファイン83の名でまた他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
前記周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニル、オキシ塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩基性炭酸ジルコニル、水酸化ジルコニル、乳酸ジルコニル、炭酸ジルコニル・アンモニウム、炭酸ジルコニル・カリウム、硫酸ジルコニル、フッ化ジルコニル化合物等が挙げられる。
上記した水溶性多価金属化合物は、無機微粒子に対して0.1〜10重量%の割合で添加するのが好ましく、0.5〜8重量%がより好ましい。分散液における無機微粒子の濃度は10〜40重量%程度が適当であり、15〜35重量%が好ましい。
本発明の無機微粒子(例えば、シリカ微粒子)分散液に用いられる分散媒は、水を主体とするものであるが、少量の有機溶剤(低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20重量%以下、更には10重量%以下であることが好ましい。予備混合(予分散)は、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で行うことができる。
また、分散液中のシリカ濃度をより高濃度にするために、段階的にシリカを添加する方法を採用することができる。
本発明において、一次分散(プレミキシング又は予分散)するときの液温は、特に指定はないが、30℃以下が好ましく、特に25℃以下が好ましい。これによって、シリカスラリーが安定して作製できる。この場合、シリカ微粒子を添加する前の分散媒を20℃以下の温度にしておいてもよいし、予備混合中に冷却して20℃以下に下げてもよい。
また、シリカスラリーの温度が20℃以下、さらには15℃以下の状態で分散機に注入するのが好ましい。これによって更に安定した分散液が得られる。
本発明において、一次分散(プレミキシング、予分散)は、プロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等を用いることができる。二次分散には、前記の液液対向衝突方式の高圧分散機(スギノマシン、アルティマイザー)等が用いられる。
本発明の無機微粒子分散液(シリカ分散液)または/およびインク受容層塗布液(シリカ塗布液)の調製からの経時時間は、塗布面状安定化の観点から、5時間以上、好ましくは8時間以上である。上限は制限がなく、数日から数十日であってもよい。経時する温度は約10℃〜約40℃、好ましくは約15℃〜約35℃である。微粒子が沈降しないよう、経時中に緩く攪拌してもよい。
本発明において、無機微粒子の分散を終了してから塗布液を塗布するまでに45℃以下の加熱処理を施してから塗布することも塗布液の安定性の点から好ましい。
特に、無機微粒子分散液(シリカ分散液)を30〜48℃、好ましくは40〜45℃の範囲で、約120分以上(上限はないが約1時間以上、約24時間以下が好ましい)の加熱処理を施した後、塗布液を調製し、塗布することが好ましい。さらに無機微粒子分散液(シリカ分散液)の上記した5時間以上の経時時間と加熱処理を組み合わすことが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体は、上記のようにして製造した無機微粒子分散液を、或いは該無機微粒子分散液、ポリビニルアルコールのような親水性バインダー、その架橋剤、界面活性剤、水分散性カチオン性樹脂等を混合してインク受容層の塗布液を作製し、次いでこれらのいずれか一種を塗布液として紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、あるいはプラスチック樹脂フィルム等の支持体に塗布して製造する。前記塗布液中の無機微粒子の濃度は、5〜25重量%程度が適当であり、好ましくは8〜20重量%である。本発明において、インク受容層が含有する無機微粒子の量は、5〜30g/m2の範囲が好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体において、水溶性樹脂、界面活性剤、及び沸点が150℃以上の水溶性有機溶剤が水溶液中(水性媒体)に共溶解して用いられることが好ましい。
(水溶性樹脂)
本発明にインクジェット記録用媒体のインク受容層は水溶性樹脂を含有する。水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
水溶性樹脂は、特に限定されるものではないが、上記の中でも、層の透明性や塗布形成性の観点から、気相法シリカと組合せる水溶性樹脂の種類が重要となり、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。前記ポリビニルアルコール系樹脂の例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載のものが挙げられる。また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例として、特開平11−165461号公報の[0011]〜[0014]に記載の化合物なども挙げられる。上記の水溶性樹脂は、それぞれ単独でも二種以上を併用してもよい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂はその構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記気相法シリカの表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く充分な強度の多孔質構造のインク受容層を形成できると考えられる。上記のように、多孔質に構成されたインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収でき、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
水溶性樹脂は、単独でも二種以上を併用してもよい。また、水溶性樹脂のインク受容層における含有量としては、
該層の固形分(質量)に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。なお、ポリビニルアルコール系樹脂と共に、そのほかの前記水溶性樹脂を併用してもよく、併用する場合の全水溶性樹脂中に占めるポリビニルアルコール系樹脂の量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキメチルセルロース等のセルロース類、ゼラチン等があるが、好ましくはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものが好ましい。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
<気相法シリカと水溶性樹脂との含有比>
気相法シリカ(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。本発明に係る少なくともインク受容層は、PB比(x/y)として、該PB比が大き過ぎることに起因する膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止すると共に、該PB比が小さ過ぎることによって空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。水溶性樹脂の添加量は、無機微粒子に対して5〜40重量%の範囲が好ましく、10〜25重量%の範囲がより好ましい。
インクジェットプリンタの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記PB(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンタで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカと水溶性樹脂とを、PB比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(架橋剤)
本発明に係るインク受容層は架橋剤を含有する。すなわち、インク受容層が上記の水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含むことにより、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層とすることができる。
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニル、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N'−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。上記の架橋剤は、一種単独でも二種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤は、インク受容層形成用の塗布液(以下、単に「インク受容層用塗布液」ともいう。)を塗布する際にインク受容層用塗布液中および/またはインク受容層の隣接層を形成するための塗布液中に添加してもよく、あるいは予め架橋剤を含む塗布液を塗布した支持体上に、前記インク受容層用塗布液を塗布する、架橋剤非含有のインク受容層用塗布液を塗布・乾燥後に架橋剤溶液をオーバーコートする、等してインク受容層に架橋剤を供給することができる。
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、ホウ素化合物を例に説明する。すなわち、インク受容層がインク受容層形成用の塗布液Aを塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液Aを塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液Aを塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(溶液B)を前記塗布層に付与することにより行なわれる。架橋剤たるホウ素化合物は、塗布液A又は溶液Bのいずれかに含有すればよく、塗布液A及び溶液Bの両方に含有させておいてもよい。インク受容層が二層以上で構成されるときは、二以上の塗布液を重層塗布することができ、重層形成された層上から塩基性溶液(溶液B)を付与すればよい。
架橋剤の使用量は、層中の水溶性樹脂の質量に対して、0.01〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
気相法シリカと共に他の無機微粒子を併用することもできる。他の無機微粒子としては、例えば、他のシリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これら微粒子は、一次粒子または二次粒子の状態で含有でき、その平均一次粒子径は20μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
(水分散性カチオン性樹脂)
水分散性カチオン性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチリル樹脂、ブタジエン樹脂などが挙げられるが、カチオン変性された自己自己乳化性高分子であるウレタン樹脂であることが好ましく、且つ、ガラス転移温度が50℃未満であることが好ましい。
この「カチオン変性された自己乳化性高分子」とは、乳化剤もしくは界面活性剤を用いることなく、或いは用いるとしてもごく少量の添加で、水系分散媒体中に自然に安定した乳化分散物となり得る高分子化合物を意味する。定量的には、上記「カチオン変性された自己乳化性高分子」とは、室温25℃で水系分散媒体に対して0.5質量%以上の濃度で安定して乳化分散性を有する高分子物質を表し、該濃度としては1質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることがより好ましい。
本発明の上記「カチオン変性された自己乳化性高分子」は、より具体的には、例えば、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基等のカチオン性の基を有する重付加系もしくは重縮合系高分子化合物が挙げられる。
上記高分子として有効なビニル重合系ポリマーは、例えば、以下のビニルモノマーを重合して得られるポリマーが挙げられる。即ち、アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類(エステル基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、tert−オクチル基、2−クロロエチル基、シアノエチル基、2−アセトキシエチル基、テトラヒドロフルフリル基、5−ヒドロキシペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、3−メトキシブチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基、2,2,2−テトラフルオロエチル基、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基等);
ビニルエステル類、具体的には、置換基を有していてもよい脂肪族カルボン酸ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート等)、置換基を有していてもよい芳香族カルボン酸ビニルエステル(例えば、安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等);
アクリルアミド類、具体的には、アクリルアミド、N−モノ置換アクリルアミド、N−ジ置換アクリルアミド(置換基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリル基であり、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、トリメチルシリル等);
メタクリルアミド類、具体的には、メタクリルアミド、N−モノ置換メタクリルアミド、N−ジ置換メタクリルアミド(置換基は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、シリル基であり、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、フェニル基、2,4,5−テトラメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、トリメチルシリル等);
オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等)、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、イソプロピルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン等)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等);等が挙げられる。
その他のビニルモノマーとして、クロトン酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、メチレンマロンニトリル、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記カチオン性基を有するモノマーとしては、例えば、ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ジアルキルアミノエチルアクリレート等の3級アミノ基を有するモノマー等が挙げられる。
上記カチオン性基含有ポリマーに適用可能なポリウレタンとしては、例えば、以下に挙げるジオール化合物とジイソシアネート化合物とを種々組み合わせて、重付加反応により合成されたポリウレタンが挙げられる。
上記ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチルー1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチルー2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200,300,400,600,1000,1500,4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200,400,1000)、ポリエステルポリオール、4,4'―ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン、4,4'―ジヒドロキシフェニルスルホン等が挙げられる。
上記ジイソシアネート化合物としては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート,1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'―ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が挙げられる。
カチオン性基含有ポリウレタンが含有するカチオン性基としては、1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩の如きカチオン性基が挙げられる。本発明の水分散物に用いる自己乳化性高分子としては、3級アミン及び4級アンモニウム塩の如きカチオン性基を有するウレタン樹脂が好ましい。
カチオン性基含有ポリウレタンは、例えば、ポリウレタンの合成の際、前記のごときジオールにカチオン性基を導入したものを使用することによって得られる。また4級アンモニウム塩の場合は、三級アミノ基を含有するポリウレタンを四級化剤で四級化してもよい。
上記ポリウレタンの合成に使用可能なジオール化合物、ジイソシアネート化合物は、各々1種を単独で使用していもよいし、種々の目的(例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整や溶解性の向上、バインダーとの相溶性付与、分散物の安定性改善等)に応じて、各々2種以上を任意の割合で使用することもできる。
(他の成分)
−媒染剤−
本発明に係るインク受容層には、好ましくは、画像の経時滲みおよび耐水性をより向上させる目的で以下のような媒染剤が含有される。媒染剤としては、カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤が好ましい。カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染剤モノマー)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他の単量体(非媒染剤モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
前記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染剤モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
更に、前記ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カオチン樹脂、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物等も好ましいものとして挙げることができる。
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号の各公報に記載のもの等が挙げられる。
前記無機媒染剤としては、前記以外の多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
具体例としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミナ、アルミナミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミナ、亜硫酸アルミナ、チオ硫酸アルミナ、ポリ塩化アルミナ、硝酸アルミナ九水和物、塩化アルミナ六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニルアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニル、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリン酸n氷和物、硝酸カリウム、酢酸マンガン、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。中でも、アルミナ含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
上記の他の媒染剤をインク受容層に添加する場合の添加量としては、0.01〜5g/m2が好ましい。
−他の添加剤−
本発明のインクジェット記録用シートは、必要に応じて、各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を更に含有することができる。
本発明に係るインク受容層は酸を含有していてもよい。酸を添加してインク受容層の表面pHを3〜8、好ましくは3.5〜7.5に調整することによって、白地部の耐黄変性を向上させることができる。表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面PHの測定のうちA法(塗布法)により行うことができ、例えば、前記A法に相当する、(株)共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行うことができる。
具体的な酸の例としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、サリチル酸金属塩(Zn,Al,Ca,Mg等の塩)、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、スルファニル酸、スルファミン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ボロン酸等が挙げられる。これらの酸の添加量は、インク受容層の表面PHが3〜8になるように決めればよい。
上記の酸は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム、セリウムなどの塩)、又はアミン塩(例えばアンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ポリアリルアミンなど)の形態で使用してもよい。
本発明においては、インク受容層が紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤などの保存性向上剤を含有することが好ましい。これら併用できる紫外線吸剤、酸化防止剤、滲み防止剤としては、アルキル化フェノール性化合物(ヒンダードフェノール性化合物を含む)、アルキルチオメチルフェノール性化合物、ヒドロキノン化合物、アルキル化ヒドロキノン化合物、トコフェロール化合物、チオジフェニルエーテル化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、O−,N−及びS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、ホスホネート化合物、アシルアミノフェノール性化合物、エステル化合物、アミド化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン化合物、アクリレート、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物(TEMPO化合物を含む)、2−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5,−トリアジン化合物、金属不活性化剤、ホスフィット化合物、ホスホナイト化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロン化合物、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ポリエーテル化合物、塩基性補助安定剤、核剤、ベンゾフラノン化合物、インドリノン化合物、ホスフィン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、尿素化合物、ヒドラジト化合物、アミジン化合物、糖化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル化フェノール性化合物、2個以上のチオエーテル結合を有する化合物、ビスフェノール性化合物、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、水溶性又は疎水性の金属塩、有機金属化合物、金属錯体、ヒンダードアミン化合物、ポリアミン化合物、チオ尿素化合物、ヒドラジド化合物、ヒドロキシ安息香酸化合物、ジヒドロキシ安息香酸化合物、トリヒドロキシ安息香酸化合物の少なくとも一種を含有するのが好ましい。
具体的な化合物例は、特願2002−13005号、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特開平11−170686号、特公平4−34512号、EP1138509号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2001−94829号、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許第2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号、
特公昭45−4699号、同54−5324号、ヨーロッパ公開特許第223739号、同309401号、同309402号、同310551号、同第310552号、同第459416号、ドイツ公開特許第3435443号、特開昭54−48535号、同60−107384号、同60−107383号、同60−125470号、同60−125471号、同60−125472号、同60−287485号、同60−287486号、同60−287487号、同60−287488号、同61−160287号、同61−185483号、同61−211079号、同62−146678号、同62−146680号、同62−146679号、同62−282885号、同62−262047号、同63−051174号、同63−89877号、同63−88380号、同66−88381号、同63−113536号、
同63−163351号、同63−203372号、同63−224989号、同63−251282号、同63−267594号、同63−182484号、特開平1−239282号、特開平2−262654号、同2−71262号、同3−121449号、同4−291685号、同4−291684号、同5−61166号、同5−119449号、同5−188687号、同5−188686号、同5−110490号、同5−1108437号、同5−170361号、特公昭48−43295号、同48−33212号、米国特許第4814262号、同第4980275号、等の各公報に記載のものが挙げられる。
インク受容層には、更に、界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
他の添加剤は、一種単独でも二種以上を併用してもよい。他の添加剤は、水溶性化、分散化、ポリマー分散、エマルション化、油滴化して添加してもよく、マイクロカプセル中に内包することもできる。また、他の添加剤を添加する場合の添加量としては、0.01〜10g/m2が好ましい。
本発明におけるインク受容層用塗布液には界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。また、これら界面活性剤は、単独も二種以上を併用してもよい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、インク受容層用塗布液に含有してもよい。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
前記界面活性剤のインク受容層用塗布液における含有量としては、0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
本発明に係るインク受容層は、ひび割れ防止、カール防止用に高沸点有機溶剤を含有することも好適であり、高沸点有機溶剤として常圧で沸点が150℃以上の有機化合物でかつ水溶性若しくは疎水性の化合物を含有でき、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
本発明のインクジェット記録用媒体は、本発明の無機微粒子分散液を含む単一層のインク受容層で構成されていてもよく、複数層で構成されていてもよい。複数層の場合、例えば、シリカ微粒子を含有するインク受容層と、アルミナ水和物を含有するインク受容層の2層構成であってもよい。
(インクジェット記録用媒体の作製)
本発明のインクジェット記録用媒体を構成するインク受容層は、例えば、支持体の表面に少なくとも気相法シリカ、水溶性樹脂等を含有するインク受容層形成用の塗布液(塗布液A)を塗布し、(1)該塗布により塗布層を形成すると同時、又は(2)該塗布により形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのタイミングで、pH7.1以上の塩基性溶液(溶液B)を塗設された塗布層に付与した後、該塗布層を架橋硬化させる方法(Wet−on−Wet法〈WOW法〉)により好適に形成することができる。ここで、前記水溶性樹脂を架橋する架橋剤は、上記の塗布液Aおよび溶液Bの少なくとも一方に含有される。以上のように架橋硬化させたインク受容層を設けることで、インク吸収性や膜のひび割れ防止などを向上させることできる。
上記のWOW法による場合に溶液Bに媒染剤を加えておくと、媒染剤がインク受容層の表面近くに多く存在するので、インクジェット記録用インク、特に染料が十分に媒染され、高濃度画像を形成し得ると共に、印字後の文字や画像の耐水性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は上記の塗布液Aに含有させてもよく、その場合は塗布液Aと溶液Bとに用いる媒染剤は同一でも異なっていてもよい。また、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
例えば、気相法シリカと水溶性樹脂(例えばPVA)と架橋剤(例えばホウ素化合物)とを少なくとも含有するインク受容層形成用の塗布液の調製は、気相法シリカとPVA水溶液(例えば、上記気相法シリカの15%程度の質量のPVAとなるように)とホウ素化合物とを加えて高速回転ホモミキサー(例えば、特殊機化(株)製、商品名「T,Kホモミキサー」)により、例えば2000rpm(好ましくは1000〜5000rpm)の高速回転の条件で、例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散を行なうことにより調製することができる。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを後述の塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、多孔質性のインク受容層を形成することができる。
インク受容層形成用の塗布液は、分散機を用いて細粒化することで平均粒子径10〜120nmの水分散液とすることができる。該水分散液を得るために用いる分散機としては、分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行なうという点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい
また、各液の調製に用いる溶媒には、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
本発明において、塗布液の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
前記pH7.1以上の塩基性溶液(溶液B)は、インク受容層用塗布液(塗布液A)の塗布後に付与することができるが、該付与は塗布層が減率乾燥を示すようになる前に行なうことができる。すなわち、塗布液Aの塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に溶液Bを導入することで好適に製造される。
前記pH7.1以上の塩基性溶液(溶液B)は、必要に応じて架橋剤、媒染剤を含有することができる。上記塩基性溶液のpHは7.1以上であり、好ましくは7.5以上、さらに好ましくは8.0以上である。前記pHが7.1未満であると、架橋剤によって塗布液Aに含まれる水溶性高分子の架橋反応が十分に行なわれず、インク受容層にひび割れ等の欠陥が発生してしまう。前記塩基性溶液には、少なくとも塩基性物質(例えば、アンモニア、第一アミン類(エチルアミン、ポリアリルアミン等)、第二アミン類(ジメチルアミン、トリエチルアミン等)、第三アミン類(N−エチル−N−メチルブチルアミン等)、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物)および/または該塩基性物質の塩が含まれる。
前記媒染剤塗布液(塩基性溶液B)は、例えば、イオン交換水に、媒染剤(塩基性化合物)である炭酸アンモニウム(例えば、1〜10%)と炭酸ジルコニルアンモニウム(例えば、0.5〜7%)とを添加し、十分に攪拌することで調製することができる。なお、各組成物の「%」はいずれも固型分質量%を意味する。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上述の通り、インク受容層用塗布液の塗布後、該塗布層が減率乾燥を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行なわれる。この乾燥時間は、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
前記塗布層が減率乾燥を示すようになる前に付与する方法としては、(1)溶液Bを塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)溶液B中に該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
前記方法(1)において、溶液Bを塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
該塩基性溶液(溶液B)の付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥および硬化が行なわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
また、塩基性溶液(溶液B)を、インク受容層用塗布液(塗布液A)を塗布すると同時に付与することもでき、かかる場合には塗布液Aおよび溶液Bを、該塗布液Aが支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
前記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を15〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターにより行なった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、すなわち支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。したがって、上記のように同時塗布する際は、塗布液Aおよび溶液Bの塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
前記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や水等を挙げることができる。前記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。なお、バリアー層液には媒染剤を含有させることもできる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としてインク受容層を透明フィルム上に形成したときのヘイズ値が30%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株)製)により測定することができる。
本発明のインクジェット記録用媒体の構成層(例えばインク受容層)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。ポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。なお、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物をインク受容層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
(支持体)
支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料で構成される不透明支持体のいずれをも使用できる。本発明においては、紙等の基体の両面に熱可塑性樹脂層が設けられてなる樹脂被覆支持体が好適である。
本発明に用いられる支持体としては耐水性支持体が好ましい。透明であっても不透明であってもよい。耐水性支持体の厚みは、約50〜200μm程度のものが好ましい。特に、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等の樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙を用いることによってまた、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂で紙を被覆(ラミネート)した支持体、更にガラス板等が挙げられる。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げられる。
樹脂被覆支持体としては、例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙基材の両面に熱可塑性樹脂層を設けたものや、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙が好適に挙げられる。
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
以下、ポリオレフィン樹脂被覆紙について詳細に説明する。
ポリオレフィン樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。
この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂や電子線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その両面が樹脂により被覆される。また、電子線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、ブレードコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体のインク受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などを有し、特に光沢面が優位に用いられる。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚味に表面または表裏両面にコーティングされる。
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
次に、前記レジンコート紙について詳述する。原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙の両側の表面は、一般にポリエチレンで被覆することができる。ポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行なわれているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度及び色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行なって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/mlに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み40μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
[実施例1]
次のようにして、シリカ微分散液を作製した。
(シリカ微分散液A−1の調製)
ホモミキサーで2000rpmで攪拌されているイオン交換水553部の中に気相法シリカ 25部(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m2/g)(以下シリカ)を添加、続いて、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(シャロールDC902P、50%水溶液 第一工業製薬)を処方量の0.33部を添加しさらにシリカを50部添加さらにジメチルジアリルアンモニウムクロリド(シャロールDC902P、50%水溶液 第一工業製薬)を処方量の0.67部添加しシリカを25部添加してその後水溶性多価金属化合物として酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−30 50%水溶液 第一稀元素工業)0.54部を添加溶解し、ホモミキサー(特殊機化工業製;T.K.ホモディスパー)で4000rpm 30℃で120分処理してシリカ予分散液を作製した。 この予分散液をさらに、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)で、130MPa、1パスで分散して、シリカ濃度が約15重量%のシリカ微分散液を作製した。
(インク受容層塗布液A−1の調製)
<ポリビニルアルコールとジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチセノール20P)とエマルゲン109Pの共溶解品(以下PVA共溶解品という。)の作成>
下記成分を冷却下混合後、90℃に加温して溶解して、PVA共溶解品とした。
イオン交換水 88.6部
エマルゲン109P(花王(株)製) 0.23部
ブチセノール20P(協和発酵ケミカル(株)製) 2.1部
ポリビニルアルコール 7.0部
((株)クラレ製の「PVA235」、鹸化度88.5%、重合度3500)
次に、上記で得られた(1)シリカ微分散液A−1に、上記で得られた(2)PVA共溶解品の溶液、及び下記成分(3)〜(7)を加え、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)回転数2000rpmで20分間かけて再度分散を行ない、下記組成からなるインク受容層用塗布液A−1を調製した。
<インク受容層塗布液A−1の組成>
(1)シリカ微分散液A−1 58.9部
(2)PVA共溶解品(水溶性樹脂)7.61%水溶液 31.2部
(3)ホウ酸(架橋剤) 3.9部
(4)イオン交換水 1.3部
(5)スーパーフレックス650(第一工業製薬(株)製) 2.2部
(6)エタノール 1.2部
(7)ポリ塩化アルミニウム(アルファイン83、大明化学(株)) 1.3部
次に、下記組成の各成分を混合し、媒染剤塗布液Bを調製した。
<媒染剤塗布液Bの組成>
(1)ホウ酸(架橋剤) 0.65部
(2)炭酸アンモニウム(関東化学製試薬1級) 5.0部
(3)炭酸ジルコニルアンモニウム(13%水溶液) 1.27部
(ジルコゾールAC−7,第一稀元素工業製)
(4)イオン交換水 87.08部
(5)エマルゲン109P(10%水溶液)(花王(株)製) 6.0部
(インクジェット記録シートの作製)
上記より得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、このオモテ面に上記のインク受容層用塗布液Aをエクストルージョンダイコーターを用いて175ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。塗布層は、この期間恒率乾燥を示した。減率乾燥を示す前に上記の媒染剤塗布液Bに3秒浸漬して該塗布層上にその15g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた(硬化工程)。これより、乾燥膜厚35μmのインク受容層が設けられた本発明のインクジェット記録用シートを得た。インク受容層表面のpHは4.1であった。
[実施例2]
(シリカ微分散液A−2の調製)
実施例1のシリカ微分散液A−1において、イオン交換水553部の代わりに531部に、また、変性アルコールを22部添加した以外は、実施例1のA−1と同様に分散しシリカ微分散液を作製した。
(インク受容層塗布液A−2の調製)
実施例1のインク受容層塗布液A−1の調製において、シリカ微分散液A−1の代わりにシリカ微分散液A−2に変更した以外は、実施例1と同様にしてインク受容層塗布液A−2を調整した。
(インクジェット記録シートの作製)
実施例1のインクジェット記録シートの作製において、インク受容層塗布液A−1の代わりに上記インク受容層塗布液A−2を用いた以外は、実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。インク受容層表面のpHは4.0であった。
[実施例3]
実施例1におけるシリカ微分散液作製時に、アルティマイザーの代わりに高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザーLA−31)を用いて、処理圧力80MPaでオリフィスに1回通過させることによりシリカ微分散液を作製した以外、実施例1と同様にしてインクジェット受容層塗布液、インクジェット記録シートを作成した。
[実施例4]
実施例1におけるシリカ微分散液作成時のアルティマイザーの圧力を70MPaに変えた以外は、実施例1と同様にシリカ微分散液、インク受容層塗布液、及びインクジェット記録シートを作成した。
[比較例1]
実施例1におけるシリカ微分散液A−1の調製において、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)の代わりにサンドグラインダー分散機(ダイノミル、シンマルエンタープライゼス社製)でシリカ分散したシリカ分散液に変更した以外は、実施例1と同様に行い、シリカ微分散液、インク受容層塗布液、及びインクジェット記録シートを作製した。
[比較例2]
実施例1におけるシリカ微分散液A−1において、水溶性多価金属化合物としての酢酸ジルコニルを用いない以外は、実施例1と同様に行い、シリカ微分散液、インク受容層塗布液、及びインクジェット記録シートを作製した。
[比較例3]
実施例1のシリカ微分散液A−1の代わりに、T.K.ホモディスパーの攪拌分散時間を240分に変更したシリカ予分散液を用いて、インク受容層塗布液、及びインクジェット記録シートを作製した。該シリカ予分散液の粒子径は、下記表1のシリカ微分散液の列に示した。
[比較例4]
実施例1のシリカ微分散液A−1の調製において、カチオン樹脂のシャロールDC902Pを除いた以外は、実施例1と同様に行い、シリカ微分散液、インク受容層塗布液、及びインクジェット記録シートを作製した。
[比較例5]
実施例1のシリカ微分散液A−1の調製において、アルティマイザー分散の圧力を40MPaで実施以外は、実施例1と同様に行い、シリカ微分散液、インク受容層塗布液、及びインクジェット記録シートを作製した。
上記のようにして作成したインクジェット記録シートについて、インク受容層の塗布面状、インク吸収性を次の基準で評価した。その結果を表1に示す。
<塗布面評価>
○:塗布面が目視光沢が良好である。
△:塗布面目視光沢が、不良と認められる。
×:塗布面目視光沢無し。
<透明性>
得られたシリカ微分散液、インク受容層塗布液をJASCO日本分光(株)製の分光光度計V−570で500nmの吸光度を測定した。吸光度が低いほど塗布液の透明性が高い。
<インク吸収性>
セイコーエプソン(株)製PMG−800カラープリンターを用いて常温常湿条件下で黒ベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:やや転写する。
×:転写が著しい。
<粒子径>
得られたシリカ微分散液の粒子径(メジアン径)をHORIBALA−920で測定した。
<印画濃度の測定>
上記で得られた実施例及び比較例の各インクジェット記録用シートについて、インクジェットプリンタPMG800C(セイコーエプソン社製)を用いて、黒ベタの印画を行ない、得られた黒部濃度を反射濃度計(Xrite938、Xrite社製)にて測定した。結果は下記表1に示す。
Figure 2006240975
上記結果より、本発明の分散液を用いたインクジェット記録シートは、塗布面光沢性に優れていることが分かる。更に、インク吸収速度、画像部濃度、耐水性のいずれにも優れていた。

Claims (18)

  1. 水溶性有機カチオン化合物、水溶性多価金属化合物、及び無機微粒子を含む分散液を、対向衝突型高圧分散機又はオリフィス通過型高圧分散機を用いて分散することを特徴とする無機微粒子分散液の製造方法。
  2. 前記対向衝突型高圧分散機の処理圧力は、50MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記オリフィス通過型高圧分散機のオリフィスの入口側と出口側の差圧が、50MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  4. 前記無機微粒子の平均一次粒子が30nm以下で、分散後の二次粒子径が200nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  5. 前記無機微粒子が、気相法シリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  6. 前記無機微粒子のBET法による比表面積が200m2/g以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  7. 前記水溶性多価金属化合物が3価以上の金属化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  8. 前記3価以上の水溶性金属化合物が水溶性アルミニウム化合物及び/又は水溶性ジルコニウム化合物であることを特徴とする請求項7に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  9. 前記水溶性有機カチオン化合物が第一級〜三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、又はホスホニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法。
  10. 前記水溶性多価金属化合物の少なくとも1つが酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウムから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載に無機微粒子分散液の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の無機微粒子分散液の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする無機微粒子分散液。
  12. 請求項11に記載の無機微粒子分散液を用いて塗布液を作製し塗工したインク受容層を有するインクジェット記録用媒体。
  13. 水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤と請求項11に記載の無機微粒子分散液とを用いて塗布液を作製し塗工したインク受容層を有する請求項12に記載のインクジェット記録用媒体。
  14. 水溶性樹脂、架橋剤、界面活性剤、沸点150℃以上の水溶性有機溶剤、及び水分散性カチオン性樹脂と、請求項11に記載の前記無機微粒子分散液と、を含む塗布液を塗布してなるインク受容層を有する請求項12又は13に記載のインクジェット記録用媒体。
  15. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項13又は14に記載のインクジェット記録用媒体。
  16. 前記水溶性樹脂、界面活性剤、及び沸点が150℃以上の水溶性有機溶剤が水溶液中(水性媒体)に共溶解して用いられたことを特徴とする請求項14又は15に記載のインクジェット記録用媒体。
  17. 前記架橋剤がほう酸であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載のインクジェット記録用媒体。
  18. 前記水分散性カチオン樹脂がウレタン樹脂であることを特徴とする請求項13〜17のいずれか一項に記載のインクジェット記録用媒体。
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