JP2006240358A - ステアリングコラム跳ね上げシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】コスト及び重量が増大することなく、跳ね上げ時のコラムカバーとインストルメントパネルの干渉を防いで可動部の跳ね上げ角度を大きくすることができるステアリングコラム跳ね上げシステムを提供する。
【解決手段】固定部と可動部に分割形成して可動部を引き出し或いは押し戻すことができるテレスコピック機構を備えたステアリングコラム跳ね上げシステムにおいて、可動部5の跳ね上げを許容する跳ね上げ機構8と、車両の停止状態時のみ動作可能なテレスコピック機構6による停止時引き出し領域を形成する規制制御部303と、可動部5がテレスコピック機構6によって引き出し領域内の所定の長さまで引き出されたとき以外は、跳ね上げ機構8による可動部5の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構13とを有する。
【選択図】図2

Description

この発明は、ステアリングコラム跳ね上げシステムに関し、特に、チルト機構と跳ね上げ機構を共用しつつテレスコピック機構も備えたステアリング装置のステアリングコラム跳ね上げシステムに関する。
従来、乗降性の向上を目的として、ステアリングホイールを通常運転角度以上に跳ね上げることができるステアリング装置が知られている。このステアリング装置は、軸方向の所定位置でステアリングギア側の固定部とステアリングホイール側の可動部とに分割形成されたステアリングコラムを備えており、ステアリングコラムが引き出されることにより、可動部(ステアリングホイール)と固定部との間の回転軸(チルトヒンジ軸)も前方へ引き出される。これにより、跳ね上げ機構による可動部の最大跳ね上げ時において、可動部の外周に設けられた、例えばコラムカバーがインストルメントパネルに対し干渉するのを防止することができる(特許文献1参照)。
特開2004−114768号公報
しかしながら、運転者の目の前や胸周り或いは膝周り等のスペースの更なる拡大を目的として、可動部の跳ね上げ角度を大きく、即ち、可動部をチルト機構による最大上方位置よりも上方に跳ね上げようとすると、跳ね上げ時のコラムカバーとインストルメントパネルの干渉を防ぐため、跳ね上げる際のテレスコピック量(引き出し量)を増やす必要があるが、引き出し量を増やした場合、その増加分を含む、よりコラム長が長い状態まで、ステアリングコラム単品としての動剛性を保証しなければならなくなる。
なお、跳ね上げる際のテレスコピック量を増やすことは、ステアリングコラム跳ね上げ式システムをドライバーズメータ採用車に搭載して、センターメータ採用車と同等の跳ね上げ角度を確保し或いは更に拡大しようとする場合に、跳ね上げ時のコラムカバーとメータ若しくはインストルメントパネルの干渉を防ぐためにも、必要となる。
このように、よりコラム長が長い状態まで、ステアリングコラム単品としての動剛性を保証しなければならなくなると、その対応の結果、ステアリングコラムのコスト及び重量の増大が避けられなくなる。
この発明の目的は、コスト及び重量が増大することなく、跳ね上げ時のコラムカバーとインストルメントパネルの干渉を防いで可動部の跳ね上げ角度を大きくすることができるステアリングコラム跳ね上げシステムを提供することである。
上記目的を達成するため、この発明に係るステアリングコラム跳ね上げシステムは、車両のステアリングコラムを固定部と可動部に分割形成して前記可動部を引き出し或いは押し戻すことができるテレスコピック機構を備えたステアリングコラム跳ね上げシステムにおいて、前記可動部の跳ね上げを許容する跳ね上げ機構と、前記車両の停止状態時のみ動作可能な前記テレスコピック機構による停止時引き出し領域を形成する規制制御部と、前記可動部が前記テレスコピック機構によって前記引き出し領域内の所定の長さまで引き出されたとき以外は、前記跳ね上げ機構による前記可動部の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構とを有している。
この発明によれば、跳ね上げ機構が、可動部の跳ね上げを許容し、規制制御部が、車両の停止状態時のみ動作可能なテレスコピック機構による停止時引き出し領域を形成し、跳ね上げ規制機構が、可動部がテレスコピック機構によって引き出し領域内の所定の長さまで引き出されたとき以外は、跳ね上げ機構による可動部の跳ね上げを規制する。
これにより、コスト及び重量が増大することなく、跳ね上げ時のコラムカバーとインストルメントパネルの干渉を防いで可動部の跳ね上げ角度を大きくすることができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、自動変速機搭載車両に適用されたステアリング装置の一実施形態を示すシステム概略構成図である。本実施形態のステアリング装置は、ステアリングホイールを運転者が手前に引き出したり、奥方に押し戻したり、或いは上下方向に移動させたり、更に上方に跳ね上げたりすることができるように、ステアリングコラム201にテレスコピック機構やチルト機構、跳ね上げ機構を備えた。
このうち、特に跳ね上げ機構によるステアリングホイールの跳ね上げは、前記ステアリングコラム201に設けられた電磁アクチュエータ19をオン状態にしないと許容されない。この電磁アクチュエータ19の通電状態を司るのがステアリングコントローラ202であり、跳ね上げスイッチ31やキースイッチ32の信号を読込むと共に変速機コントローラ203と相互通信を行って電磁アクチュエータ19の通電状態を制御する。
また、前記変速機コントローラ203は、例えばセレクトレバーのシフトセレクト状態を検出するインヒビタスイッチ33の信号を読込み、後述するシフトロック機構204のシフトロックソレノイド34の通電状態を制御する。なお、各コントローラは、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置を備え、当該演算処理装置で行われる演算処理に従って、前記アクチュエータやソレノイドの通電状態を制御する。
前記本実施形態のステアリングコラム201の構成を図2、図3に示す。ステアリングホイール1に連結されたアッパシャフト2はステアリングコラム201内に挿通され、ユニバーサルジョイント等を介してロアシャフトに連結され、このロアシャフトにステアリングギヤ装置、タイロッド、転舵輪である前輪が連結されている。
本実施形態のステアリングコラム201は、チルトヒンジ軸3によって軸方向に分割され、このチルトヒンジ軸3よりステアリングギヤ装置側、つまり車体側が固定部4であり、当該チルトヒンジ軸3よりステアリングホイール1側が可動部5となる。実質的には、前記固定部4のうち、前記チルトヒンジ軸3に近い部分は、後述するテレスコピック機構により、ステアリングホイール1側、つまり運転者側にスライドして進退、換言すれば引き出されたり押し戻されたりして移動するのであるが、上下方向には移動(回動)しないので、便宜的に固定部4の一部と考える。そして、前記固定部4はクランプ装置101によって車体に取付けられている。
前記可動部5のステアリングホイール1側端部には、コンビネーションスイッチを取付けるためのフランジ102が形成されている。この可動部5は、前記チルトヒンジ軸3を車体幅方向に配設された回転軸として、上下方向に回動自在に支持されると共に、テレスコピック機構6を介して前記チルトヒンジ軸3と共に車体前後方向に移動可能に設けられている。
前記テレスコピック機構6の詳細を図4に示す。このテレスコピック機構6は、軸方向を前記固定部4の軸方向に一致させて当該固定部4内に固定され且つ一部にスリット61aが形成されたアウタチューブ61と、前記アウタチューブ61内に配設され且つ運転者側端部が前記可動部5に連結されたインナチューブ62と、前記アウタチューブ61の外側に配設され、当該アウタチューブ61を挟圧して変形させることで前記インナチューブ62を固定する固定装置63とを備えて構成される。前記固定装置63は、前記固定部4内において前記アウタチューブ61の下部両側に配設されたブロック64と、このうち図示左方のブロックに挿通され且つ図示右方のブロックに螺合されたねじ杆65と、このねじ杆65に連結されたテレスコピックレバー66(図2、図3参照)とを備えて構成される。
従って、前記テレスコピックレバー66を図1の時計回りに回転させると、ねじ杆65が図3の図示右方のブロック64から抜けて二つのブロック64が離間し、これによりアウタチューブ61が広がってインナチューブ62が自在となるので、この状態で可動部5、つまりステアリングホイール1を引き出したり押し戻したりして移動(伸縮:テレスコピック)させることができる。ステアリングホイール1を必要な位置まで移動させたら、前記テレスコピックレバー66を反時計回りに回転させると、ねじ杆65が図3の図示右方のブロック63にねじ込まれるので、二つのブロック64が接近してアウタチューブ61を挟圧する。
アウタチューブ61には、前述のようにスリット61aが形成されているので、このスリット61aを狭めるようにアウタチューブ61が変形、つまり収縮してインナーチューブ62を締め付け、これによりインナチューブ62、即ち可動部5やステアリングホイール1が固定される。
このテレスコピック機構6によって、前記固定部4のうち、前記ブロック64が収納されている部分から前記チルトヒンジ軸3までの部分は可動部5と一緒に移動される。そのため、この移動される部分を移動部50とする。
また、前記可動部5は、チルト機構7によって所定角度範囲内で上下方向に回動できると共に、跳ね上げ機構8によって前記チルト機構7の所定角度範囲よりも上方に跳ね上げ可能としてある。
このうち、前記チルト機構7は、図1、図2及び図4に示すように、前記チルトヒンジ軸3と、前記可動部5内に配設されて、前記チルトヒンジ軸3よりも運転者側にずらして設けられたチルトレバー軸21と、前後方向、つまり運転者側及びそれと反対側に回動自在なるように前記チルトレバー軸21取付けられたチルトレバー12と、前記チルトレバー軸21に巻回され、前記チルトレバー12を運転者側と逆方向に付勢する捩りコイルバネ11(付勢手段)と、前記可動部5内の下部に配設された可動ツース軸22と、図1の図示上下方向に回動自在なるように前記可動ツース軸22に取付けられた可動ツース15と、前記移動部50の下端部から可動部5内に向けて配設され、ボルト71で当該移動部50の下端部に固定された固定ツース16と、前記チルトレバー12に設けられて、前記可動ツース15を係止する係止ピン23を備えて構成される。
また、前記跳ね上げ機構8は、前記チルト機構7のチルトヒンジ軸3やチルトレバー12、可動ツース15、固定ツース16を共用すると共に、可動部5を上方に付勢する渦巻きバネ18を備えて構成される。なお、この渦巻きバネ18は、前記チルト機構7で可動部5、つまりステアリングホイール1を上下方向に回動させて移動する際にも、当該可動部5を上方に付勢する機能を持つ。
前記可動ツース15及び固定ツース16は、互いに噛合する複数の歯を前後方向、つま
り運転者側に向けて、前記チルトヒンジ軸3を中心とする円弧上に、等ピッチで配設している。また、可動ツース15の前方端部、つまり運転者側と反対側の端部には、固定ツース16の後方端部、つまり運転者側の角隅部に係止する係止部17が形成されている。
そこで、例えば図1に示すように可動ツース15の歯と固定ツース16の歯とが噛合している状態から、前記チルトレバー12を運転者が手前、つまり運転者側に操作すると、互いに軸をずらして配設されたチルトヒンジ軸3、チルトレバー軸21、可動ツース軸22、係止ピン23で構成されるリンクによって可動ツース15が後下方に移動され、当該可動ツース15の歯が固定ツース16の歯から離れる。
そこで、運転者は、前記可動ツース15の歯と固定ツース16の歯とが互い噛合する範囲で、前記チルト機構7により、前記チルトヒンジ軸3を中心として可動部5、つまりステアリングホイール1を上下方向に回動し、所望の位置でチルトレバー12を解放する。すると、チルトレバー12は前記捩りコイルバネ11によって前方、つまり運転者の操作方向と逆方向に付勢されて回動し、前記可動ツース15が前上方に移動されて当該可動ツース15の歯と固定ツース16の歯とが互いに噛合して係止し、可動部5、つまりステアリングホイール1が保持規制される。
一方、運転者がチルトレバー12を手前に操作した後、例えばステアリングホイール1から手を放すと、図5に示すように、前記跳ね上げ機構8により、前記可動部5が渦巻きバネ18によって付勢されて上方に跳ね上げられ、それに伴ってステアリングホイール1も上方に跳ね上げられる。その状態から、前記チルトレバー12を解放すると、前記捩りコイルバネ11によってチルトレバー12が前方、つまり運転者の操作方向と逆方向に付勢されて回動し、これに伴って可動ツース15も前上方に移動される。すると、可動ツース15の前方端部に形成された前記係止部17が前記固定ツース16の後方端部の角隅部に係止し、可動部5、つまりステアリングホイール1が下方に移動するのを規制する。
従って、前記可動ツース15、固定ツース16、係止部17が係止構造10を構成し、この係止構造、前記捩りコイルバネ11(付勢手段)、チルトレバー12が可動部規制機構9を構成している。
前述したように、前記跳ね上げ機構8は、まず前記テレスコピック機構6により可動部5が運転者側に最大に引き出されている状態(以下、テレスコピック最大状態とも記す)で、且つセレクトレバーのシフトセレクト位置がPレンジであること、イグニッションキーが差し込まれた位置にあること、つまりイグニッションキーが差し込まれていない状態から、単にキースイッチにイグニッションキーを差し込んだだけの位置であること、又はこれからイグニッションキーを引き抜く位置にあること、の全てが満足されないと前述のように可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げることができないようになっている。
また、可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げた状態では、セレクトレバーをPレンジ以外の位置に変更できないようになっている。なお、前記イグニッションキーをキースイッチに差し込んだだけの位置を、キー差し込み位置とも記す。
まず、セレクトレバーがPレンジであり、且つイグニッションキーがキー差し込み位置にあるときにのみ、前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許容する作動制御手段について説明する。この作動制御手段のうち、本実施形態のステアリングコラム201に設けられた機構的な構成は、図2、図3及び図7に示すように、前記移動部50の側方に設けられたロックプレート41と、このロックプレート41を駆動する前記電磁アクチュエータ19と、前記可動部5から前記ロックプレート41側に向けて延設されたストッパレバー42とを備えて構成される。
前記ロックプレート41は、図7に明示するように上下方向に長手な長方形状に形成され、その中央部が、ステアリングコラム軸に平行な回転軸43に回動自在に取付けられて
いる。そして、このロックプレート41の下端部には、前記電磁アクチュエータ19の駆動軸が連結されている。この電磁アクチュエータ19は、ソレノイドへの通電により駆動軸を引き込む作用があるので、当該電磁アクチュエータ19を通電状態にすると、ロックプレート41は、図7に二点鎖線で示すように、その上端部がステアリングコラム201から離間する。また、前記ロックプレート41のステアリングコラム側上端部には、前記ストッパレバー42の突出端部が係止する係止溝44が形成されている。
従って、前記電磁アクチュエータ19への通電が行われていない状態、所謂オフ状態では、前記ロックプレート41の上端部がステアリングコラム201側に接近しており、前記可動部5から延設されたストッパレバー42の突出端部が、当該ロックプレート41の係止溝44に係止するため、可動部5、つまりステアリングホイール1を、前記チルト機構7による回動調整範囲より上方に跳ね上げることができない。一方、電磁アクチュエータ19に通電した状態、所謂オン状態では、前記ロックプレート41の上端部がステアリングコラム201から離間し、前記ストッパレバー42の突出端部は前記ロックプレート41の係止溝44に係止しなくなるため、可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げることができる。
ちなみに、前記ストッパレバー42の突出端部は、ステアリングコラム201を側方から見たときに扇形に形成されており、前述のように可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げると、例えば図6に示すように、当該ストッパレバー42の扇形先端部が前記跳ね上げスイッチ31に当接するように構成されており、この跳ね上げスイッチ31の信号に基づいて、後述するシフトロック機構204のシフトロックソレノイド34の通電状態を制御する。また、前記ロックプレート41の上端部には、ステアリングコラム201側に向けて、後述する跳ね上げ規制機構13を構成する係止部51が突設されている。
次に、前記テレスコピック機構6によって可動部5、つまりステアリングホイール1が最も運転者側にあるとき(以下、テレスコピック最大状態とも記す)以外には、前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構13について説明する。この跳ね上げ規制機構13は、前記ロックプレート41の上端部に設けられた係止部51と、前記固定部4の上部において、当該係止部51に向けて延設された小径丸棒状の規制部52とを備えて構成される。
前記係止部51は、図7に明示するように、前記ロックプレート41の上端部からステアリングコラム201側に向けて水平に突設されているが、その先端部は斜め上方に折り曲げられている。一方、前記規制部52は、固定部4から可動部5側に向けて突設され、前記電磁アクチュエータ19に通電のない状態で前記ロックプレート41の上端部がステアリングコラム201側に接近しているときには、前記係止部51の水平部の上方に位置するように構成されている。
従って、例えば可動部5、つまりステアリングホイール1が前記テレスコピック最大状態でないときには、前記係止部51の上方に規制部52が位置しているため、例えば前記電磁アクチュエータ19に通電してロックプレート41の上端部をステアリングコラム201から離間し、もって可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げ機構8によって跳ね上げようとしても、前記係止部51の上面が規制部52に係止して規制されるので、結果的にロックプレート41の上端部はステアリングコラム201から離間できず、その結果、可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げることはできない。
これに対し、例えば図6に示すように、可動部5、つまりステアリングホイール1を前記テレスコピック最大状態にすると、前記規制部52が係止部51の上方から外れるので、前述のように前記電磁アクチュエータ19に通電するとロックプレート41の上端部がステアリングコラム201から離間し、その結果、前記ストッパレバー42の係止が外れて可動部5、つまりステアリングホイール1を上方に跳ね上げることが可能となる。
このように、本実施形態のステアリング装置によれば、可動部5、つまりステアリングホイール1をテレスコピック最大状態にしたときにのみ、当該可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げが可能となるので、例えばステアリングコラム上面がインストルメントパネルに当接することがない。また、前述のように、前記可動ツース15及び固定ツース16などからなる一つの可動部規制機構9で、チルト機構7によって回動された可動部5、つまりステアリングホイール1を保持規制すると共に、跳ね上げ機構8によって跳ね上げられた可動部5、つまりステアリングホイール1の下方への移動を規制することができるので、構造が簡潔で、しかも安全性に優れる。
また、前記チルトレバー12を捩りコイルバネ11(付勢手段)によって運転者の操作方向と逆方向に付勢しているため、当該チルトレバー12を運転者が解放すると、前記可動ツース15及び固定ツース16からなる係止構造10が自動的に係止して、チルト機構7によって回動された可動部5、つまりステアリングホイール1を保持規制すると共に、跳ね上げ機構8によって跳ね上げられた可動部5、つまりステアリングホイール1の下方への移動を規制することができるので、構造が簡潔で、しかも利便性に優れる。
次に、前記シフトロック機構204の構成について図8を用いて説明する。この実施形態のシフトロック機構204は、例えば特開平6−249327号公報に記載されるものを適用することができる。このシフトロック機構204は、セレクトレバー72で所望するシフトレンジをセレクトするポジションプレート73にユニット化されて取付けられており、ユニットの基部をなすベース部材74と、第1作動部材75、第2作動部材76、ロック部材77及び前記シフトロックソレノイド34を備えて構成される。なお、図中の符号78はセレクトレバー72から突設されたポジションピン、符号79はキーインターロック機構に連係するキーロックケーブル、符号80は、前記第1作動部材75及び第2作動部材76の回転中心となる回転軸である。
このシフトロック機構204の構成の詳細は、前記公報を参照されるとして、その作用のみ簡潔に説明すると、セレクトレバー72をPレンジ位置にシフトセレクトした状態で、前記ポジションピン78が前記第1作動部材75と第2作動部材76とによって圧接挟持され、その状態で、前記シフトロックソレノイド34に通電すると、前記ロック部材74が前記第2作動部材76を上方に押圧し、これによりポジションピン78がPレンジ係止溝81に押圧されて係止し、もってセレクトレバー72をPレンジから他のレンジに移動させることができなくなる。
本実施形態では、前記ストッパレバー42が前記跳ね上げスイッチ31に当接してオン状態となると、それを前記ステアリングコントローラ202から変速機コントローラ203に出力し、もって変速機コントローラ203が前記シフトロックソレノイド34の通電状態を制御するので、前述のように跳ね上げ機構8によって前記可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げ状態にすると、前記シフトロック機構204によってセレクトレバー72がPレンジ以外のレンジに移動できなくなるため、車両は走行することがなく、安全性を確保することができる。
次に、本実施形態のステアリング装置で、前記電磁アクチュエータ19の通電状態を制御するための演算処理について図9のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、前記ステアリングコントローラ202内で実行され、まずステップS1で前記可動部5、つまりステアリングホイール1が前記テレスコピック最大状態であるか否かを判定し、当該テレスコピック最大状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
前記ステップS2では、前記インヒビタスイッチ33からの信号に基づいてシフトセレクトによってPレンジがセレクトされ且つ前記キースイッチ32からの信号に基づいてイ
グニッションキーがキー差し込み状態であるか否かを判定し、Pレンジがセレクトされ且つキー差し込み状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
前記ステップS3では、前記チルト機構7による通常チルト範囲のみで可動部5、つまりステアリングホイール1の可動を許可する、つまり前記電磁アクチュエータ19をオフ状態としてからメインプログラムに復帰する。
前記ステップS4では、前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許可する、つまり前記電磁アクチュエータ19をオン状態としてからステップS5に移行する。なお、このステップS4では、前記シフトロック機構204によるシフトロック、前記テレスコピック機構6(図ではテレスコ)による位置調整不能とする。
前記ステップS5では、前記跳ね上げスイッチ31の信号から通常チルト範囲にあるか否かを判定し、通常チルト範囲にある場合にはメインプログラムに復帰し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。
この演算処理によれば、前記セレクトレバー72によるPレンジセレクトに合わせて、キー差し込み状態であるときに限って前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許可する。そもそも、ステアリングホイール1を跳ね上げるのは、乗降性を向上するためであって、走行するためではない。従って、エンジンが運転状態にある必要はなく、イグニッションをオンする必要もない。そして、何よりも、前記キー差し込み状態は、時間的に非常に短時間であるため、前記電磁アクチュエータ19に通電する時間を短縮することができ、その分だけ、電力の消費が少なくなるので、結果的に燃費を向上することが可能となる。
図10には、前記電磁アクチュエータ19の通電状態を制御するための演算処理の他の実施形態を示す。この演算処理では、前記図9の演算処理のステップS2がステップS2’に変更されている。このステップS2’では、前記インヒビタスイッチ33からの信号に基づいてシフトセレクトによってPレンジがセレクトされ且つ前記キースイッチ32からの信号に基づいてイグニッションキーがACC(一般にアクセサリーと呼ばれている)位置であるか否かを判定し、Pレンジがセレクトされ且つイグニッションキーがACC位置である場合には前記ステップS4に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
この演算処理では、前記キー差し込み状態に代えて、イグニッションキーがACC位置であり且つ前記セレクトレバー72によるPレンジセレクト時に限って前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許可する。一般に、イグニッションキーをACC位置にしている時間というのも比較的短時間であり、前述のようにエンジンを運転状態とする必要もない。そのため、前記電磁アクチュエータ19に通電する時間を短縮することができ、その分だけ、電力の消費を少なくして、結果的に燃費を向上することができる。
次に、このステアリング装置の更に他の実施形態について、図11を用いて説明する。この実施形態のステアリングコラムの構成や、シフトロック機構は、前記図2乃至図8のものと同様であり、システム全体の構成が異なる。即ち、前記各実施形態では、例えば図9の演算処理にしても、図10の演算処理にしても、キースイッチが差し込まれているか、或いはキースイッチが操作されている、つまりキースイッチがなければ、電磁アクチュエータ19がオンされず、結果的にステアリングコラムを跳ね上げることができない。
そこで、本実施形態では、セレクトレバー72によってPレンジがセレクトされていることを検出するPレンジ検出スイッチ35を、前記インヒビタスイッチ33とは個別に、或いはインヒビタスイッチ33に組込むなどして設け、この上流にバッテリBを接続する。一方、前記跳ね上げスイッチ31の上流にはブレーキペダルスイッチ30を接続し、このブレーキペダルスイッチ30の上流にバッテリを接続することにより、ブレーキペダルが踏込まれていない状態では、跳ね上げスイッチ31もオン状態とならず、ステアリングコントローラ202に電力が供給されない。
また、ステアリングコラム201には、運転者による前述のチルト操作を検出するチルト操作検出スイッチ36を設け、これを前記Pレンジ検出スイッチ35の下流に接続する。更に、このチルト操作検出スイッチ36の下流に電磁アクチュエータ37を接続する。
前記チルト操作検出スイッチ36は、運転者がステアリングコラム201のチルト操作を行うことにつながる運転者の操作を検出するものであり、具体的には、前記チルトレバー12の操作に伴ってオン状態となるものや、チルトレバー12の操作による捩りコイルバネ11の作動に伴ってオン状態となるもの、或いはチルトレバー12の操作による可動ツース15や渦巻きバネ18の作動に伴ってオン状態となるものなど、チルト操作ができない、チルトロックの状態でオフ状態、チルト操作が可能なチルトロック解除状態でオン状態となるものである。
従って、本実施形態では、キースイッチの操作に係わらず、セレクトレバー72によってPレンジがセレクトされ且つチルトロック解除状態では、Pレンジ検出スイッチ35及びチルト操作検出スイッチ36が共にオン状態となって電磁アクチュエータ37に強制的に電力が供給されるので、ステアリングコラム201の跳ね上げが可能となる。このように、本実施形態では、キースイッチの操作に係わらず、ステアリングコラム201を容易に跳ね上げることができる。また、チルトロック解除状態でのみ、電磁アクチュエータ37に電力が供給されるので、バッテリBの電力の消費を抑制し、もってバッテリBの長寿命化を可能とする。
なお、このステアリング装置は、前記実施形態に限定されるものではない。特に、前記跳ね上げ機構による可動部、つまりステアリングホイールの跳ね上げは、前記テレスコピック機構による可動部、つまりステアリングホイールの最大引き出し位置でなくともよく、例えば、それより多少、押し込んだ位置で跳ね上げを許可するようにすることも可能である。
また、チルト機構がなく、回転軸(チルトヒンジ軸3)は単に跳ね上げするためだけの回転軸であっても良い。さらに、テレスコピック機構は、テレスコピックレバー66による手動調整に限らず、例えば、伸縮スイッチによる電動調整ができる機構であっても良い。また、前記各コントローラは、マイクロコンピュータに代えて、各種の演算処理装置や演算器を用いて構成してもよい。
図12は、本発明に係るステアリングコラム跳ね上げシステムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。図12に示すように、ステアリングコラム跳ね上げシステム300は、上述したステアリング装置(図1〜11参照)に適用したものであり、ステアリング装置に設けた規制部301及び規制プレート302と、規制プレート302の作動を制御する規制制御部303を有している。規制制御部303には、規制プレート302を駆動するテレスコピック用電磁アクチュエータ304が備えられている。このステアリングコラム跳ね上げシステム300により、車両が停止状態にある場合、例えば、シフトレバーがPレンジ位置にある場合に、ステアリング装置のステアリングコラム16を大幅に跳ね上げることが可能になる。
この車両が停止状態にある場合としては、車両に備えられたATデバイスのシフトレバーがPレンジに位置するとき、或いは車両に備えられたサイドブレーキを引いたサイドブレーキ作動時、或いは車両に備えられた車速センサによる車速0状態検出時の、少なくとも一つを確認することができればよい。シフトレバーがPレンジに位置するときは、Pレンジ検出スイッチ35により検出することができ、サイドブレーキ作動時或いは車速0状態検出時は、それぞれの検出手段により検出することができる。
図13は、図12の規制部を示す、図3の跳ね上げ規制機構部分を拡大した概略説明図である。図14は、図13の規制プレートを示す、図7と同様の正面図である。図13に示すように、規制部301は、跳ね上げ規制機構13の規制部52に、外向きフランジ状のロック用凸部301aを設けた構成を有している。その他の構成及び作用は、規制部52と同様である。このロック用凸部301aは、係止部51とシフトレバーがPレンジに位置する場合のみ動作可能となる跳ね上げ用のテレスコピック領域(引き出し領域)を区別するために、規制部52に追加して設けられている。
図13及び図14に示すように、規制プレート302は、移動部50(図2,3参照)に組み付けられており、ソレノイド等のテレスコピック用電磁アクチュエータ(テレスコソレノイド)304に駆動されて規制部301に対し接近離反するように回動する(図14、矢印参照)。規制プレート302の先端には、規制プレート302の回動時に規制部301に係止する切欠部302aが形成されており、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の非作動時(図14、実線参照)、規制プレート302が規制部301に接近して、切欠部302aが規制部301に係止する。切欠部302aが規制部301に係止することで、規制部301の移動時、規制プレート303がロック用凸部302aに接することになり、規制部301の跳ね上げ用テレスコピック領域への移動を制限する。
一方、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の作動時(図14、点線参照)、規制プレート302が規制部301から離反して、切欠部302aと規制部301の係止が解除される。切欠部302aが係止が解除されることで、規制プレート302がロック用凸部301aに接することが無いので、規制部301の跳ね上げ用テレスコピック領域への移動が可能になる。
このように、テレスコピック用電磁アクチュエータ304は、規制部301を規制する規制プレート302を動作させるために設けられており、テレスコピックレバー操作検出スイッチ305の切り替わりに連動して通電され、通電時、規制プレート302を自らの方へ引き込む動きをする。このテレスコピック用電磁アクチュエータ304は、規制部301の動きを規制する規制プレート302を駆動することができるように、例えば、電磁アクチュエータ19(図3参照)に隣接して設置されている。
次に、ステアリングコラム跳ね上げシステムによる、操作者(運転者等)の跳ね上げ操作手順の概要を説明する。なお、説明は、テレスコピック用レバーが有る場合と、テレスコピック用レバーが無い場合に分けて行う。
[テレスコピック用レバーが有る場合]
図15は、図12のステアリングコラム跳ね上げシステムの回路の一例を概略的に示すブロック説明図である。図15に示すように、規制制御部303は、テレスコピック用電磁アクチュエータ304に加えて、テレスコピックレバー操作検出スイッチ305、テレスコピック位置検出スイッチ306、及びコラム長最長位置検出スイッチ307を有しており、ステアリングコラム201に備えられている。
テレスコピックレバー操作検出スイッチ305は、テレスコピックレバー66の操作状況を検出して、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の通電条件を制御するスイッチであり、操作者が、テレスコピックレバー66をロック位置から解除位置へ操作した際、テレスコピックレバー66の動きに対応して、スイッチ両側の接点が「a1とa2」から「b1とb2」へとメカ的に連動して切り替える。接点a1はシフトロックソレノイド34に、接点b1はPレンジ検出スイッチ35に、接点a2はテレスコピック位置検出スイッチ306に、接点b2はチルト操作検出スイッチ36及びテレスコピック用電磁アクチュエータ304に、それぞれ接続されている。
テレスコピック位置検出スイッチ306は、跳ね上げ用テレスコピック領域における車両の走行を禁止し、最短若しくは通常テレスコピック範囲のみで走行可能とするためのものであり、最短若しくは通常テレスコピック領域を検出する。検出信号は、跳ね上げスイッチ31へ出力される。このテレスコピック位置検出スイッチ306は、通常使用可能なテレスコピック機構がない仕様の場合、テレスコピック最短位置(最前端位置)にあることを検出してスイッチオンとなり、通常使用可能なテレスコピック機構がある仕様の場合、コラム長が通常テレスコピック領域内にあることを検出してスイッチオンとなる。スイッチの仕様としては、ノーマルオープン、且つ、オートリターンタイプのものが用いられる。
コラム長最長位置検出スイッチ307は、跳ね上げ用テレスコピック領域の最長位置にコラムがあるときのみ跳ね上げ可能とするためのものである。チルト操作検出スイッチ36からの出力信号が入力するコラム長最長位置検出スイッチ307は、使用者が跳ね上げをするためにテレスコピック操作を行った際、コラム長が最長になったことを検出してスイッチオンとなる。このコラム長最長位置検出スイッチ307の検出信号は、チルト用の電磁アクチュエータ37へ出力される。スイッチの仕様としては、ノーマルオープン、且つ、オートリターンタイプのものが用いられる。
この規制制御部303により、車両の停止状態時のみ動作可能なテレスコピック機構6による停止時引き出し領域が形成され、停止時引き出し領域での最長部で可動部5の跳ね上げを可能とする。なお、この実施の形態においては、Pレンジ検出スイッチ35の電源を、バッテリー(B)電源から取ることを前提としているが、これに限らず、例えば、ACC(所謂アクセサリー)からとっても良い。
(1)通常使用可能なテレスコピック機構が無い仕様の場合
図16は、ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その一)である。図16に示すように、先ず、操作者は、シフトレバーをPレンジに入れて、シフトレバーがPレンジになっていることを確認し(A−1)、シフトレバーがPレンジに入っていれば(yes)、テレスコピックレバー66をロック位置から解除位置へ操作する(A−2)。ここで、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合、また、テレスコピックレバー66を操作しない(no)場合、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(A−3)。
テレスコピックレバー66を操作する(yes)ことにより、テレスコピックレバー操作検出スイッチ305の両側の接点が「a1とa2」から「b1とb2」へと機械的に連動して切り替わり、テレスコピック用電磁アクチュエータ304が作動して、跳ね上げ用テレスコピック領域へ移動可能になる。つまり、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の作動により、規制部301を規制する規制プレート302が回転して、規制部301に設けたロック用凸部301aから規制プレート302が外れ、テレスコピック操作ができるようになる(A−4)。
次に、操作者は、テレスコピック機構を操作してコラム長を最長(テレスコピック最長)位置にして、コラム長が最長位置になっていることを確認する(A−5)。コラム長が最長位置になっていれば(yes)、コラム長最長位置検出スイッチ307がオンになり、チルト用の電磁アクチュエータ37が通電・作動状態となる(A−6)。これにより、チルトレバー12の操作によってステアリングコラム201の大幅な跳ね上げが可能になる(A−7)。このとき、シフトレバーがPレンジから抜けないシフトロック、テレスコピック位置の調整不能、エンジン始動/停止可能、ステアリングロック可能の各状態になる(A−8)。
一方、コラム長が最長位置になっていなければ(no)、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合と同様に、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(A−3)。
その後、跳ね上げを解除すると、コラム長が最短位置になっていることを確認し(A−9)、コラム長が最短位置になっていれば(yes)、ステアリングコラム201はチルト標準状態となって、ATシフトレバーをPレンジ以外に移動可能な状態になる(A−10)。一方、コラム長が最短位置になっていなければ(no)、シフトロック状態となってATシフトレバーはPレンジから移動不可能な状態になる(A−11)。
(2)通常使用可能なテレスコピック機構が有る仕様の場合
図17は、ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その二)である。図17に示すように、先ず、操作者は、ステアリングコラム201が通常のテレスコピック位置にある(B−1)状態で、シフトレバーをPレンジに入れて、シフトレバーがPレンジになっていることを確認し(B−2)、シフトレバーがPレンジに入っていれば(yes)、テレスコピックレバー66をロック位置から解除位置へ操作する(B−3)。ここで、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合、また、テレスコピックレバー66を操作しない(no)場合、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(B−4)。
テレスコピックレバー66を操作する(yes)ことにより、テレスコピックレバー操作検出スイッチ305の両側の接点が「a1とa2」から「b1とb2」へと機械的に連動して切り替わり、テレスコピック用電磁アクチュエータ304が作動して、跳ね上げ用テレスコピック領域へ移動可能になる。つまり、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の作動により、規制部301を規制する規制プレート302が回転して、規制部301に設けたロック用凸部301aから規制プレート302が外れ、通常テレスコピック位置範囲よりも更に乗員側へ伸びる跳ね上げ用テレスコピック領域に移動可能となり、テレスコピック機構を最長位置まで操作することができるようになる(B−5)。
次に、操作者は、テレスコピック機構を操作してコラム長を最長(テレスコピック最長)位置にして、コラム長が最長位置になっていることを確認する(B−6)。コラム長が最長位置になっていれば(yes)、コラム長最長位置検出スイッチ307がオンになり、チルト用の電磁アクチュエータ37が通電・作動状態となる(B−7)。これにより、チルトレバー12の操作によってステアリングコラム201の大幅な跳ね上げが可能になる(B−8)。このとき、シフトレバーがPレンジから抜けないシフトロック、テレスコピック位置の調整不能、エンジン始動/停止可能、ステアリングロック可能の各状態になる(B−9)。
一方、コラム長が最長位置になっていなければ(no)、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合と同様に、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(B−4)。
その後、跳ね上げを解除すると、コラム長が通常テレスコピック領域になっていることを確認し(B−10)、コラム長が通常テレスコピック領域になっていれば(yes)、ステアリングコラム201はチルト標準状態となって、ATシフトレバーをPレンジ以外に移動可能な状態になる(B−11)。一方、コラム長が通常テレスコピック領域になっていなければ(no)、シフトロック状態となってATシフトレバーはPレンジから移動不可能な状態になる(B−12)。
[テレスコピック用レバーが無い(チルト用とテレスコピック用のレバーが一体である構成)場合]
図18は、図12のステアリングコラム跳ね上げシステムの回路の他の例を概略的に示すブロック説明図である。図18に示すように、この例では、テレスコピック用レバーが無いので、テレスコピック用レバーの操作を検出するテレスコピックレバー操作検出スイッチ305が備えられていない。つまり、規制制御部303は、テレスコピック用電磁アクチュエータ304に加えて、テレスコピック位置検出スイッチ306及びコラム長最長位置検出スイッチ307を有しており、ステアリングコラム201に備えられている。
従って、シフトロックソレノイド34の出力がテレスコピック位置検出スイッチ306に入力し、Pレンジ検出スイッチ35の出力がチルト操作検出スイッチ36に入力して、チルト操作検出スイッチ36の出力が、コラム長最長位置検出スイッチ307及びテレスコピック用電磁アクチュエータ304に入力する。その他の構成及び作用は、テレスコピック用レバーが有る場合のステアリングコラム跳ね上げシステムの回路(図15参照)と同様である。
(1)通常使用可能なテレスコピック機構が無い仕様の場合
図19は、ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その三)である。図19に示すように、先ず、操作者は、シフトレバーをPレンジに入れて、シフトレバーがPレンジになっていることを確認し(C−1)、シフトレバーがPレンジに入っていれば(yes)、チルトレバー12をロック位置から解除位置へ操作する(C−2)。ここで、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(C−3)。
チルトレバー12を操作することにより、チルト操作検出スイッチ36がオンになって、テレスコピック用電磁アクチュエータ304が作動し、跳ね上げ用テレスコピック領域へ移動可能になる。つまり、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の作動により、規制部301を規制する規制プレート302が回転して、規制部301に設けたロック用凸部301aから規制プレート302が外れ、テレスコピック機構の操作ができるようになる(C−4)。
次に、操作者は、テレスコピック機構を操作してコラム長を最長(テレスコピック最長)位置にして、コラム長が最長位置になっていることを確認する(C−5)。コラム長が最長位置になっていれば(yes)、コラム長最長位置検出スイッチ307がオンになり、チルト用の電磁アクチュエータ37が通電・作動状態となる(C−6)。これにより、チルトレバー12の操作によってステアリングコラム201の大幅な跳ね上げが可能になる(C−7)。このとき、シフトレバーがPレンジから抜けないシフトロック、テレスコピック位置の調整不能、エンジン始動/停止可能、ステアリングロック可能の各状態になる(C−8)。
一方、コラム長が最長位置になっていなければ(no)、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合と同様に、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(C−3)。
その後、跳ね上げを解除すると、コラム長が最短位置になっていることを確認し(C−9)、コラム長が最短位置になっていれば(yes)、ステアリングコラム201はチルト標準状態となって、ATシフトレバーをPレンジ以外に移動可能な状態になる(C−10)。一方、コラム長が最短位置になっていなければ(no)、シフトロック状態となってATシフトレバーはPレンジから移動不可能な状態になる(C−11)。
(2)通常使用可能なテレスコピック機構が有る仕様の場合
図20は、ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その四)である。図20に示すように、先ず、操作者は、ステアリングコラム201が通常のテレスコピック位置にある(D−1)状態で、シフトレバーをPレンジに入れて、シフトレバーがPレンジになっていることを確認し(D−2)、シフトレバーがPレンジに入っていれば(yes)、チルトレバー12をロック位置から解除位置へ操作する(D−3)。ここで、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(D−4)。
チルトレバー12を操作することにより、チルト操作検出スイッチ36がオンになって、テレスコピック用電磁アクチュエータ304が作動し、跳ね上げ用テレスコピック領域へ移動可能になる。つまり、テレスコピック用電磁アクチュエータ304の作動により、規制部301を規制する規制プレート302が回転して、規制部301に設けたロック用凸部301aから規制プレート302が外れ、通常テレスコピック位置範囲よりも更に乗員側へ伸びる跳ね上げ用テレスコピック領域に移動可能となり、テレスコピック機構を最長位置まで操作することができるようになる(D−5)。
次に、操作者は、テレスコピック機構を操作してコラム長を最長(テレスコピック最長)位置にして、コラム長が最長位置になっていることを確認する(D−6)。コラム長が最長位置になっていれば(yes)、コラム長最長位置検出スイッチ307がオンになり、チルト用の電磁アクチュエータ37が通電・作動状態となる(D−7)。これにより、チルトレバー12の操作によってステアリングコラム201の大幅な跳ね上げが可能になる(D−8)。このとき、シフトレバーがPレンジから抜けないシフトロック、テレスコピック位置の調整不能、エンジン始動/停止可能、ステアリングロック可能の各状態になる(D−9)。
一方、コラム長が最長位置になっていなければ(no)、シフトレバーがPレンジに入っていない(no)場合と同様に、通常のチルト範囲のみの移動が可能である(D−4)。
その後、跳ね上げを解除すると、コラム長が通常テレスコピック領域になっていることを確認し(D−10)、コラム長が通常テレスコピック領域になっていれば(yes)、ステアリングコラム201はチルト標準状態となって、ATシフトレバーをPレンジ以外に移動可能な状態になる(D−11)。一方、コラム長が通常テレスコピック領域になっていなければ(no)、シフトロック状態となってATシフトレバーはPレンジから移動不可能な状態になる(D−12)。
図21は、本発明に係るステアリングコラム跳ね上げシステムによるステアリングコラムの大幅な跳ね上げ状態を、通常の跳ね上げ状態と比較した説明図である。図21に示すように、ステアリングコラム201において、通常のチルト角度は+6°/+3°/0°/−3°/−6°であり、従来の跳ね上げによるステアリングコラム201aの跳ね上げ角度は略45°である。これに対し、本発明に係るステアリングコラム跳ね上げシステム300によれば、テレスコピック移動領域tにポップアップ用移動領域pを加えた引き出しが行われて大幅な跳ね上げが可能になり、跳ね上げ角度は略80°になる。
なお、このステアリングコラム跳ね上げシステム300によるステアリングコラム201の跳ね上げ操作は、シフトレバーがPレンジになっている状態を検出して行う場合に限らず、車両に備えられたサイドブレーキを引いたサイドブレーキ作動状態時、或いは車両に備えられた車速センサの0検出状態時を検出したことを条件にして行っても良い。
即ち、サイドブレーキ作動状態の検出による場合は、サイドブレーキを引いて駐車ブレーキを掛けた状態にしなければステアリングコラム201を跳ね上げることができず、ステアリングコラム201を跳ね上げているときはサイドブレーキを戻す(解除する)ことができない。また、車速センサ0の検出による場合は、車速センサが0の状態でなければステアリングコラム201を跳ね上げることができず、ステアリングコラム201を跳ね上げているときはシフトレバーを移動することができず、跳ね上げを戻さない限り駆動力の伝達ができないニュートラル状態のままとなる。
上述したように、ステアリングコラム跳ね上げシステム300は、車両のステアリングコラムを固定部と可動部に分割形成して前記可動部を上下方向に回動自在に設けると共に、前記可動部を上方或いは下方位置に保持規制するチルト機構及び前記可動部を引き出し或いは押し戻すことができるテレスコピック機構を備えたステアリングコラム跳ね上げシステムにおいて、前記チルト機構による前記可動部の最大上方位置よりも上方に前記可動部の跳ね上げを許容する跳ね上げ機構と、前記可動部が前記テレスコピック機構によって所定の長さまで引き出されたとき以外は、前記跳ね上げ機構による前記可動部の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構と、前記チルト機構による前記可動部の保持規制と共に前記跳ね上げ機構により跳ね上げられた前記可動部の下方移動を規制する可動部規制機構と、領域最長部で前記可動部の跳ね上げを可能とする、前記車両の停止状態時のみ動作可能な前記テレスコピック機構による停止時引き出し領域を形成する規制制御部とを有している。
また、前記車両の停止状態時は、前記車両に備えられたATデバイスのシフトレバーがPレンジに位置するとき、或いは前記車両に備えられたサイドブレーキを引いたサイドブレーキ作動時、或いは前記車両に備えられた車速センサによる車速0状態検出時の少なくとも一つである。
また、前記停止時引き出し領域は、通常使用可能な引き出し領域に加えて、前記車両の停止状態時のみ更に引き出し方向に伸びる。また、前記停止時引き出し領域と前記通常使用可能な引き出し領域を、操作者が区別することができる区別手段を設けた。また、前記区別手段は、前記通常使用可能な引き出し領域を超えたときに鳴動するアラーム音発生手段、或いは前記通常使用可能な引き出し領域から前記停止時引き出し領域への切り替わり時を知らせるクリックストップ手段である。
このように、この発明によれば、跳ね上げ機構が、可動部の跳ね上げを許容し、規制制御部が、車両の停止状態時のみ動作可能なテレスコピック機構による停止時引き出し領域を形成し、跳ね上げ規制機構が、可動部がテレスコピック機構によって引き出し領域内の所定の長さまで引き出されたとき以外は、跳ね上げ機構による可動部の跳ね上げを規制するので、コスト及び重量が増大することなく、跳ね上げ時のコラムカバーとインストルメントパネルの干渉を防いで可動部の跳ね上げ角度を大きくすることができる。
つまり、このステアリングコラム跳ね上げシステム300は、ATデバイスのシフトレバーがPレンジに位置するときのみ動作可能なテレスコピック領域(引き出し領域)を設け、その領域の最長部で、ステアリングコラム201の跳ね上げができるようにした。また、ステアリングコラム201の跳ね上げに際し、ATデバイスのシフトレバーがPレンジに位置するときのみ、通常使用可能なテレスコピック領域より更に乗員側に伸びる跳ね上げ用のテレスコピック領域を設けている。更に、この通常のテレスコピック領域と跳ね上げ用のテレスコピック領域を、乗員から区別することができる手段、例えば、通常テレスコピック領域を超えたことを乗員に知らせるアラーム音、操作時に通常テレスコピック領域から跳ね上げ用のテレスコピック領域に切り替わることを知らせるクリックストップ等を設けている。
従って、跳ね上げ用テレスコピック領域は、シフトレバーがPレンジに位置するときのみ動作可能であって、運転中にステアリングコラム201が延びることはないので、ドライビングポジション調整用テレスコピック領域に比べ小さな動剛性であっても許容される。このため、テレスコピック量を拡大してもコラム最長状態までのコラム単品動剛性の保証が不要になり、コラムのコスト及び重量の増大を抑えることができる。また、乗員によって、通常テレスコピック領域と跳ね上げ用テレスコピック領域の区別ができるため、誤動作の発生自体を防止することができる。この結果、コスト及び重量が増大することなく、跳ね上げ時のコラムカバーとインストルメントパネルの干渉を防いで可動部の跳ね上げ角度を大きくすることができる。
本発明のステアリング装置の一実施形態を示すシステム概略構成図である。 図1のステアリング装置のステアリングコラムを示す左側面図である。 図2のステアリングコラムの平面図である。 図2のステアリングコラムに設けられたテレスコピック機構の断面図である。 図2のステアリングコラムの右側面図である。 図2のステアリングコラムに設けられた跳ね上げ機構による作用説明図である。 図2のステアリングコラムの正面図である。 シフトロック機構の説明図である。 図1のステアリングコントローラで行われる演算処理を示すフローチャートである。 図1のステアリングコントローラで行われる演算処理の他の実施形態を示すフローチャートである。 本発明のステアリング装置の更に他の実施形態を示すシステム概略構成図である。 本発明に係るステアリングコラム跳ね上げシステムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。 図12の規制部を示す、図3の跳ね上げ規制機構部分を拡大した概略説明図である。 図13の規制プレートを示す、図7と同様の正面図である。 図12のステアリングコラム跳ね上げシステムの回路の一例を概略的に示すブロック説明図である。 ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その一)である。 ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その二)である。 図12のステアリングコラム跳ね上げシステムの回路の他の例を概略的に示すブロック説明図である。 ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その三)である。 ステアリングコラム跳ね上げシステムによる跳ね上げ操作手順の概要説明図(その四)である。 本発明に係るステアリングコラム跳ね上げシステムによるステアリングコラムの大幅な跳ね上げ状態を、通常の跳ね上げ状態と比較した説明図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 アッパシャフト
3 チルトヒンジ軸
4 固定部
5 可動部
6 テレスコピック機構
7 チルト機構
8 跳ね上げ機構
9 可動部規制機構
10 係止構造
11 捩りコイルバネ(付勢手段)
12 チルトレバー
13 跳ね上げ規制機構
15 可動ツース
16 固定ツース
17 係止部
18 渦巻きバネ
19,37 電磁アクチュエータ
30 ブレーキペダルスイッチ
31 跳ね上げスイッチ
32 キースイッチ(キー操作状態検出手段)
33 インヒビタスイッチ(Pレンジ検出手段)
34 シフトロックソレノイド
35 Pレンジ検出スイッチ
36 チルト操作検出スイッチ
50 移動部
51 係止部
52 規制部
66 テレスコピックレバー
201 ステアリングコラム
300 ステアリングコラム跳ね上げシステム
301 規制部
301a ロック用凸部
302 規制プレート
302a 切欠部
303 規制制御部
304 テレスコピック用電磁アクチュエータ
305 テレスコピックレバー操作検出スイッチ
306 テレスコピック位置検出スイッチ
307 コラム長最長位置検出スイッチ

Claims (6)

  1. 車両のステアリングコラムを固定部と可動部に分割形成して前記可動部を引き出し或いは押し戻すことができるテレスコピック機構を備えたステアリングコラム跳ね上げシステムにおいて、
    前記可動部の跳ね上げを許容する跳ね上げ機構と、
    前記車両の停止状態時のみ動作可能な前記テレスコピック機構による停止時引き出し領域を形成する規制制御部と、
    前記可動部が前記テレスコピック機構によって前記引き出し領域内の所定の長さまで引き出されたとき以外は、前記跳ね上げ機構による前記可動部の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構と
    を有するステアリングコラム跳ね上げシステム。
  2. 前記可動部を上下方向に回動自在に設けると共に前記可動部を上方或いは下方位置に保持規制するチルト機構をさらに有し、
    前記跳ね上げ機構は、前記チルト機構による前記可動部の最大上方位置よりも上方に前記可動部を跳ね上げ許容し、
    前記チルト機構による前記可動部の保持規制と共に前記跳ね上げ機構により跳ね上げられた前記可動部の下方移動を規制する可動部規制機構をさらに有する請求項1に記載のステアリングコラム跳ね上げシステム。
  3. 前記車両の停止状態時は、前記車両に備えられたATデバイスのシフトレバーがPレンジに位置するとき、或いは前記車両に備えられたサイドブレーキを引いたサイドブレーキ作動時、或いは前記車両に備えられた車速センサによる車速0状態検出時の少なくとも一つである請求項1または2に記載のステアリングコラム跳ね上げシステム。
  4. 前記停止時引き出し領域は、通常使用可能な引き出し領域に加えて、前記車両の停止状態時のみ更に引き出し方向に伸びる請求項1から3のいずれか一項に記載のステアリングコラム跳ね上げシステム。
  5. 前記停止時引き出し領域と前記通常使用可能な引き出し領域を、操作者が区別することができる区別手段を設けた請求項4に記載のステアリングコラム跳ね上げシステム。
  6. 前記区別手段は、前記通常使用可能な引き出し領域を超えたときに鳴動するアラーム音発生手段、或いは前記通常使用可能な引き出し領域から前記停止時引き出し領域への切り替わり時を知らせるクリックストップ手段である請求項5に記載のステアリングコラム跳ね上げシステム。
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