JP2005014897A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が簡潔で、安全性が高く、しかも電力消費を低減して燃費の向上を可能とするステアリング装置を提供する。
【解決手段】可動ツース15及び固定ツース16で構成されるチルト機構7のステアリングホイール保持規制機構に加え、前記可動ツース15の下端部に、固定ツース16の運転者側端部角隅部に係止する係止部17を形成し、ステアリングホイール1の跳ね上げ状態でチルトレバー12を解放すると、可動ツース15の係止部17が固定ツース16の運転者側端部角隅部に係止してステアリングホイール1が下方に移動するのを規制する機構を付与する。ステアリングホイール1の跳ね上げはテレスコピック最大状態で許可するが、これに加えてイグニッションキーが差し込まれた状態か、若しくはACC位置にあるときにのみ、跳ね上げを許可する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、ステアリングホイールの傾きを制御するチルト機構と跳ね上げ機構を共用しつつ、ステアリングホイールを前後方向へ引き出し、押し戻し可能なテレスコピック機構をも備えたステアリング装置に関する。
周知のように、車両への乗降性向上を目的として、降車する際にはステアリングホイールを所定の退避位置に跳ね上げ移動させる一方、乗車後には、ステアリングホイールをドライビングポジションに移動させるステアリング装置が種々提供されている。
また、近時にあってはステアリングホイールの跳ね上げ角度を大きくして乗降性を更に向上させるものも実用化されており、その一つとして、例えばオートマチックトランスミッション(自動変速機)付き車両に具備され、アイドル中又はキーがイグニッションオン位置にあるときにステアリングホイールを通常運転角度以上の跳ね上げられるようになっている(例えば特許文献1参照)。
このステアリング装置は、ステアリング位置選択手段と、ステアリング位置検出手段と、セレクトレバーパーキング位置検出手段と、フットブレーキペダル位置検出手段と、ステアリング移動手段と、シフトセレクトを不可能にするセレクトレバーロック手段と、前記ステアリング位置選択手段とステアリング位置検出手段及びセレクトレバーパーキング位置検出手段、フットブレーキペダル位置検出手段の各信号を取り込んで、前記セレクトレバーロック手段とステアリング移動手段とを制御するステアリング移動制御手段とを有している。
そして、前記ステアリング移動制御手段は、ステアリングホイールが跳ね上がっているときには、フットブレーキペダルを踏んでも前記セレクトレバーロック手段によってシフトセレクトできず、ステアリングホイール位置を復帰させる場合でも、ステアリングホイール位置がドライビングポジションに完全に復帰していなければ、フットブレーキペダルを踏んでもセレクトレバーロック手段を解除できないように制御するようになっている。一方、ステアリングホイールがドライビングポジションに完全に復帰すれば、フットブレーキペダルを踏むことによってセレクトレバーロック手段を解除するように制御するようになっている。
このように、ステアリングホイールがドライビングポジションに完全に復帰したときのみフットブレーキペダルを踏むことによってセレクトレバーロック手段を解除するようにしたため、アイドル中又はキーがイグニッションオンの状態のときでもステアリングホイールが運転不能な位置にあるときには、フットブレーキペダルを踏んでもパーキングから他のレンジへのシフトセレクトができないようになっている。
特開2000−71798公報
しかしながら、従来のステアリング装置は、車両の停止時等において、跳ね上げ機構によってステアリングホイールを上方へ大きく跳ね上げた場合には、ステアリングコラム上面が、車体の運転席前方には位置されたインストルメントパネルに干渉してしまう恐れがある。
本発明は、前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、ステアリングホイールを跳ね上げた際に、ステアリングコラム上面がインストルメントパネルに干渉せず且つ構造が簡潔にして安全性の高いステアリング装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明のステアリング装置は、車両のステアリングコラムを、軸方向の所定位置でステアリングギア側の固定部とステアリングホイール側の可動部とに分割形成し、可動部がテレスコピック機構によって所定の長さまで引き出されたとき以外は、跳ね上げ機構による可動部の跳ね上げを規制すると共に、チルト機構によって回動された可動部の位置を保持規制すると共に跳ね上げ機構によって跳ね上げられた可動部の下方への移動を規制する可動部規制機構を設けたことを特徴とするものである。
而して、本発明のステアリング装置によれば、ステアリングシャフトがテレスコピック機構によって押し戻されているときには、跳ね上げ規制機構が可動部の跳ね上げ回動を規制する一方、可動部が所定の長さだけ引き出されたときには、跳ね上げ規制機構の規制が解除されて可動部が跳ね上げ位置に跳ね上げ可能となることから、ステアリングコラム上面がインストルメントパネルに干渉するのを防止することができると共に、可動部規制機構によって可動部を回動位置で保持規制し且つ跳ね上げ位置から下方に移動するのを規制することができるので、構造が簡潔で、しかも安全性が高い。
次いで本発明のステアリング装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、自動変速機搭載車両に適用された本発明のステアリング装置の一実施形態を示すシステム概略構成図である。本実施形態のステアリング装置は、ステアリングホイールを運転者が手前に引き出したり、奥方に押し戻したり、或いは上下方向に移動させたり、更に上方に跳ね上げたりすることができるように、ステアリングコラム201にテレスコピック機構やチルト機構、跳ね上げ機構を備えた。このうち、特に跳ね上げ機構によるステアリングホイールの跳ね上げは、前記ステアリングコラム201に設けられた電磁アクチュエータ19をオン状態にしないと許容されない。この電磁アクチュエータ19の通電状態を司るのがステアリングコントローラ202であり、跳ね上げスイッチ31やキースイッチ32の信号を読込むと共に変速機コントローラ203と相互通信を行って電磁アクチュエータ19の通電状態を制御する。また、前記変速機コントローラ203は、例えばセレクトレバーのシフトセレクト状態を検出するインヒビタスイッチ33の信号を読込み、後述するシフトロック機構204のシフトロックソレノイド34の通電状態を制御する。なお、各コントローラは、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置を備え、当該演算処理装置で行われる演算処理に従って、前記アクチュエータやソレノイドの通電状態を制御する。
前記本実施形態のステアリングコラム201の構成を図2、図3に示す。ステアリングホイール1に連結されたアッパシャフト2はステアリングコラム201内に挿通され、ユニバーサルジョイント等を介してロアシャフトに連結され、このロアシャフトにステアリングギヤ装置、タイロッド、転舵輪である前輪が連結されている。
本実施形態のステアリングコラム201は、チルトヒンジ軸3によって軸方向に分割され、このチルトヒンジ軸3よりステアリングギヤ装置側、つまり車体側が固定部4であり、当該チルトヒンジ軸3よりステアリングホイール1側が可動部5となる。実質的には、前記固定部4のうち、前記チルトヒンジ軸3に近い部分は、後述するテレスコピック機構により、ステアリングホイール1側、つまり運転者側にスライドして進退、換言すれば引き出されたり押し戻されたりして移動するのであるが、上下方向には移動(回動)しないので、便宜的に固定部4の一部と考える。そして、前記固定部4はクランプ装置101によって車体に取付けられている。
前記可動部5のステアリングホイール1側端部には、コンビネーションスイッチを取付けるためのフランジ102が形成されている。この可動部5は、前記チルトヒンジ軸3を車体幅方向に配設された回転軸として、上下方向に回動自在に支持されると共に、テレスコピック機構6を介して前記チルトヒンジ軸3と共に車体前後方向に移動可能に設けられている。
前記テレスコピック機構6の詳細を図4に示す。このテレスコピック機構6は、軸方向を前記固定部4の軸方向に一致させて当該固定部4内に固定され且つ一部にスリット61aが形成されたアウタチューブ61と、前記アウタチューブ61内に配設され且つ運転者側端部が前記可動部5に連結されたインナチューブ62と、前記アウタチューブ61の外側に配設され、当該アウタチューブ61を挟圧して変形させることで前記インナチューブ62を固定する固定装置63とを備えて構成される。前記固定装置63は、前記固定部4内において前記アウタチューブ61の下部両側に配設されたブロック64と、このうち図示左方のブロックに挿通され且つ図示右方のブロックに螺合されたねじ杆65と、このねじ杆65に連結されたテレスコレバー66(図2、図3参照)とを備えて構成される。
従って、前記テレスコレバー66を図1の時計回りに回転させると、ねじ杆65が図3の図示右方のブロック64から抜けて二つのブロック64が離間し、これによりアウタチューブ61が広がってインナチューブ62が自在となるので、この状態で可動部5、つまりステアリングホイール1を引き出したり押し戻したりして移動(伸縮:テレスコピック)させることができる。ステアリングホイール1を必要な位置まで移動させたら、前記テレスコレバー66を反時計回りに回転させると、ねじ杆65が図3の図示右方のブロック63にねじ込まれるので、二つのブロック64が接近してアウタチューブ61を挟圧する。アウタチューブ61には、前述のようにスリット61aが形成されているので、このスリット61aを狭めるようにアウタチューブ61が変形、つまり収縮してインナーチューブ62を締め付け、これによりインナチューブ62、即ち可動部5やステアリングホイール1が固定される。
このテレスコピック機構6によって、前記固定部4のうち、前記ブロック64が収納されている部分から前記チルトヒンジ軸3までの部分は可動部5と一緒に移動される。そのため、この移動される部分を移動部50とする。
また、前記可動部5は、チルト機構7によって所定角度範囲内で上下方向に回動できると共に、跳ね上げ機構8によって前記チルト機構7の所定角度範囲よりも上方に跳ね上げ可能としてある。このうち、前記チルト機構7は、図1、図2及び図4に示すように、前記チルトヒンジ軸3と、前記可動部5内に配設されて、前記チルトヒンジ軸3よりも運転者側にずらして設けられたチルトレバー軸21と、前後方向、つまり運転者側及びそれと反対側に回動自在なるように前記チルトレバー軸21取付けられたチルトレバー12と、前記チルトレバー軸21に巻回され、前記チルトレバー12を運転者側と逆方向に付勢する捩りコイルバネ11(付勢手段)と、前記可動部5内の下部に配設された可動ツース軸22と、図1の図示上下方向に回動自在なるように前記可動ツース軸22に取付けられた可動ツース15と、前記移動部50の下端部から可動部5内に向けて配設され、ボルト71で当該移動部50の下端部に固定された固定ツース16と、前記チルトレバー12に設けられて、前記可動ツース15を係止する係止ピン23を備えて構成される。また、前記跳ね上げ機構8は、前記チルト機構7のチルトヒンジ軸3やチルトレバー12、可動ツース15、固定ツース16を共用すると共に、可動部5を上方に付勢する渦巻きバネ18を備えて構成される。なお、この渦巻きバネ18は、前記チルト機構7で可動部5、つまりステアリングホイール1を上下方向に回動させて移動する際にも、当該可動部5を上方に付勢する機能を持つ。
前記可動ツース15及び固定ツース16は、互いに噛合する複数の歯を前後方向、つまり運転者側に向けて、前記チルトヒンジ軸3を中心とする円弧上に、等ピッチで配設している。また、可動ツース15の前方端部、つまり運転者側と反対側の端部には、固定ツース16の後方端部、つまり運転者側の角隅部に係止する係止部17が形成されている。
そこで、例えば図1に示すように可動ツース15の歯と固定ツース16の歯とが噛合している状態から、前記チルトレバー12を運転者が手前、つまり運転者側に操作すると、互いに軸をずらして配設されたチルトヒンジ軸3、チルトレバー軸21、可動ツース軸22、係止ピン23で構成されるリンクによって可動ツース15が後下方に移動され、当該可動ツース15の歯が固定ツース16の歯から離れる。そこで、運転者は、前記可動ツース15の歯と固定ツース16の歯とが互い噛合する範囲で、前記チルト機構7により、前記チルトヒンジ軸3を中心として可動部5、つまりステアリングホイール1を上下方向に回動し、所望の位置でチルトレバー12を解放する。すると、チルトレバー12は前記捩りコイルバネ11によって前方、つまり運転者の操作方向と逆方向に付勢されて回動し、前記可動ツース15が前上方に移動されて当該可動ツース15の歯と固定ツース16の歯とが互いに噛合して係止し、可動部5、つまりステアリングホイール1が保持規制される。
一方、運転者がチルトレバー12を手前に操作した後、例えばステアリングホイール1から手を放すと、図5に示すように、前記跳ね上げ機構8により、前記可動部5が渦巻きバネ18によって付勢されて上方に跳ね上げられ、それに伴ってステアリングホイール1も上方に跳ね上げられる。その状態から、前記チルトレバー12を解放すると、前記捩りコイルバネ11によってチルトレバー12が前方、つまり運転者の操作方向と逆方向に付勢されて回動し、これに伴って可動ツース15も前上方に移動される。すると、可動ツース15の前方端部に形成された前記係止部17が前記固定ツース16の後方端部の角隅部に係止し、可動部5、つまりステアリングホイール1が下方に移動するのを規制する。
従って、前記可動ツース15、固定ツース16、係止部17が係止構造10を構成し、この係止構造、前記捩りコイルバネ11(付勢手段)、チルトレバー12が可動部規制機構9を構成している。
前述したように、前記跳ね上げ機構8は、まず前記テレスコピック機構6により可動部5が運転者側に最大に引き出されている状態(以下、テレスコピック最大状態とも記す)で、且つセレクトレバーのシフトセレクト位置がPレンジであること、イグニッションキーが差し込まれた位置にあること、つまりイグニッションキーが差し込まれていない状態から、単にキースイッチにイグニッションキーを差し込んだだけの位置であること、又はこれからイグニッションキーを引き抜く位置にあること、の全てが満足されないと前述のように可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げることができないようになっている。また、可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げた状態では、セレクトレバーをPレンジ以外の位置に変更できないようになっている。なお、前記イグニッションキーをキースイッチに差し込んだだけの位置を、キー差し込み位置とも記す。
まず、セレクトレバーがPレンジであり、且つイグニッションキーがキー差し込み位置にあるときにのみ、前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許容する作動制御手段について説明する。この作動制御手段のうち、本実施形態のステアリングコラム201に設けられた機構的な構成は、図2、図3及び図7に示すように、前記移動部50の側方に設けられたロックプレート41と、このロックプレート41を駆動する前記電磁アクチュエータ19と、前記可動部5から前記ロックプレート41側に向けて延設されたストッパレバー42とを備えて構成される。
前記ロックプレート41は、図7に明示するように上下方向に長手な長方形状に形成され、その中央部が、ステアリングコラム軸に平行な回転軸43に回動自在に取付けられている。そして、このロックプレート41の下端部には、前記電磁アクチュエータ19の駆動軸が連結されている。この電磁アクチュエータ19は、ソレノイドへの通電により駆動軸を引き込む作用があるので、当該電磁アクチュエータ19を通電状態にすると、ロックプレート41は、図7に二点鎖線で示すように、その上端部がステアリングコラム201から離間する。また、前記ロックプレート41のステアリングコラム側上端部には、前記ストッパレバー42の突出端部が係止する係止溝44が形成されている。
従って、前記電磁アクチュエータ19への通電が行われていない状態、所謂オフ状態では、前記ロックプレート41の上端部がステアリングコラム201側に接近しており、前記可動部5から延設されたストッパレバー42の突出端部が、当該ロックプレート41の係止溝44に係止するため、可動部5、つまりステアリングホイール1を、前記チルト機構7による回動調整範囲より上方に跳ね上げることができない。一方、電磁アクチュエータ19に通電した状態、所謂オン状態では、前記ロックプレート41の上端部がステアリングコラム201から離間し、前記ストッパレバー42の突出端部は前記ロックプレート41の係止溝44に係止しなくなるため、可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げることができる。
ちなみに、前記ストッパレバー42の突出端部は、ステアリングコラム201を側方から見たときに扇形に形成されており、前述のように可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げると、例えば図6に示すように、当該ストッパレバー42の扇形先端部が前記跳ね上げスイッチ31に当接するように構成されており、この跳ね上げスイッチ31の信号に基づいて、後述するシフトロック機構204のシフトロックソレノイド34の通電状態を制御する。また、前記ロックプレート41の上端部には、ステアリングコラム201側に向けて、後述する跳ね上げ規制機構13を構成する係止部51が突設されている。
次に、前記テレスコピック機構6によって可動部5、つまりステアリングホイール1が最も運転者側にあるとき(以下、テレスコピック最大状態とも記す)以外には、前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構13について説明する。この跳ね上げ規制機構13は、前記ロックプレート41の上端部に設けられた係止部51と、前記固定部4の上部において、当該係止部51に向けて延設された小径丸棒状の規制部52とを備えて構成される。
前記係止部51は、図7に明示するように、前記ロックプレート41の上端部からステアリングコラム201側に向けて水平に突設されているが、その先端部は斜め上方に折り曲げられている。一方、前記規制部52は、固定部4から可動部5側に向けて突設され、前記電磁アクチュエータ19に通電のない状態で前記ロックプレート41の上端部がステアリングコラム201側に接近しているときには、前記係止部51の水平部の上方に位置するように構成されている。従って、例えば可動部5、つまりステアリングホイール1が前記テレスコピック最大状態でないときには、前記係止部51の上方に規制部52が位置しているため、例えば前記電磁アクチュエータ19に通電してロックプレート41の上端部をステアリングコラム201から離間し、もって可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げ機構8によって跳ね上げようとしても、前記係止部51の上面が規制部52に係止して規制されるので、結果的にロックプレート41の上端部はステアリングコラム201から離間できず、その結果、可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げることはできない。これに対し、例えば図6に示すように、可動部5、つまりステアリングホイール1を前記テレスコピック最大状態にすると、前記規制部52が係止部51の上方から外れるので、前述のように前記電磁アクチュエータ19に通電するとロックプレート41の上端部がステアリングコラム201から離間し、その結果、前記ストッパレバー42の係止が外れて可動部5、つまりステアリングホイール1を上方に跳ね上げることが可能となる。
このように、本実施形態のステアリング装置によれば、可動部5、つまりステアリングホイール1をテレスコピック最大状態にしたときにのみ、当該可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げが可能となるので、例えばステアリングコラム上面がインストルメントパネルに当接することがない。また、前述のように、前記可動ツース15及び固定ツース16などからなる一つの可動部規制機構9で、チルト機構7によって回動された可動部5、つまりステアリングホイール1を保持規制すると共に、跳ね上げ機構8によって跳ね上げられた可動部5、つまりステアリングホイール1の下方への移動を規制することができるので、構造が簡潔で、しかも安全性に優れる。また、前記チルトレバー12を捩りコイルバネ11(付勢手段)によって運転者の操作方向と逆方向に付勢しているため、当該チルトレバー12を運転者が解放すると、前記可動ツース15及び固定ツース16からなる係止構造10が自動的に係止して、チルト機構7によって回動された可動部5、つまりステアリングホイール1を保持規制すると共に、跳ね上げ機構8によって跳ね上げられた可動部5、つまりステアリングホイール1の下方への移動を規制することができるので、構造が簡潔で、しかも利便性に優れる。
次に、前記シフトロック機構204の構成について図8を用いて説明する。この実施形態のシフトロック機構204は、例えば特開平6−249327号公報に記載されるものを適用することができる。このシフトロック機構204は、セレクトレバー72で所望するシフトレンジをセレクトするポジションプレート73にユニット化されて取付けられており、ユニットの基部をなすベース部材74と、第1作動部材75、第2作動部材76、ロック部材77及び前記シフトロックソレノイド34を備えて構成される。なお、図中の符号78はセレクトレバー72から突設されたポジションピン、符号79はキーインターロック機構に連係するキーロックケーブル、符号80は、前記第1作動部材75及び第2作動部材76の回転中心となる回転軸である。
このシフトロック機構204の構成の詳細は、前記公報を参照されるとして、その作用のみ簡潔に説明すると、セレクトレバー72をPレンジ位置にシフトセレクトした状態で、前記ポジションピン78が前記第1作動部材75と第2作動部材76とによって圧接挟持され、その状態で、前記シフトロックソレノイド34に通電すると、前記ロック部材74が前記第2作動部材76を上方に押圧し、これによりポジションピン78がPレンジ係止溝81に押圧されて係止し、もってセレクトレバー72をPレンジから他のレンジに移動させることができなくなる。本実施形態では、前記ストッパレバー42が前記跳ね上げスイッチ31に当接してオン状態となると、それを前記ステアリングコントローラ202から変速機コントローラ203に出力し、もって変速機コントローラ203が前記シフトロックソレノイド34の通電状態を制御するので、前述のように跳ね上げ機構8によって前記可動部5、つまりステアリングホイール1を跳ね上げ状態にすると、前記シフトロック機構204によってセレクトレバー72がPレンジ以外のレンジに移動できなくなるため、車両は走行することがなく、安全性を確保することができる。
次に、本実施形態のステアリング装置で、前記電磁アクチュエータ19の通電状態を制御するための演算処理について図9のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、前記ステアリングコントローラ202内で実行され、まずステップS1で前記可動部5、つまりステアリングホイール1が前記テレスコピック最大状態であるか否かを判定し、当該テレスコピック最大状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
前記ステップS2では、前記インヒビタスイッチ33からの信号に基づいてシフトセレクトによってPレンジがセレクトされ且つ前記キースイッチ32からの信号に基づいてイグニッションキーがキー差し込み状態であるか否かを判定し、Pレンジがセレクトされ且つキー差し込み状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
前記ステップS3では、前記チルト機構7による通常チルト範囲のみで可動部5、つまりステアリングホイール1の可動を許可する、つまり前記電磁アクチュエータ19をオフ状態としてからメインプログラムに復帰する。
前記ステップS4では、前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許可する、つまり前記電磁アクチュエータ19をオン状態としてからステップS5に移行する。なお、このステップS4では、前記シフトロック機構204によるシフトロック、前記テレスコピック機構6(図ではテレスコ)による位置調整不能とする。
前記ステップS5では、前記跳ね上げスイッチ31の信号から通常チルト範囲にあるか否かを判定し、通常チルト範囲にある場合にはメインプログラムに復帰し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。
この演算処理によれば、前記セレクトレバー72によるPレンジセレクトに合わせて、キー差し込み状態であるときに限って前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許可する。そもそも、ステアリングホイール1を跳ね上げるのは、乗降性を向上するためであって、走行するためではない。従って、エンジンが運転状態にある必要はなく、イグニッションをオンする必要もない。そして、何よりも、前記キー差し込み状態は、時間的に非常に短時間であるため、前記電磁アクチュエータ19に通電する時間を短縮することができ、その分だけ、電力の消費が少なくなるので、結果的に燃費を向上することが可能となる。
図10には、前記電磁アクチュエータ19の通電状態を制御するための演算処理の他の実施形態を示す。この演算処理では、前記図9の演算処理のステップS2がステップS2’に変更されている。このステップS2’では、前記インヒビタスイッチ33からの信号に基づいてシフトセレクトによってPレンジがセレクトされ且つ前記キースイッチ32からの信号に基づいてイグニッションキーがACC(一般にアクセサリーと呼ばれている)位置であるか否かを判定し、Pレンジがセレクトされ且つイグニッションキーがACC位置である場合には前記ステップS4に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
この演算処理では、前記キー差し込み状態に代えて、イグニッションキーがACC位置であり且つ前記セレクトレバー72によるPレンジセレクト時に限って前記跳ね上げ機構8による可動部5、つまりステアリングホイール1の跳ね上げを許可する。一般に、イグニッションキーをACC位置にしている時間というのも比較的短時間であり、前述のようにエンジンを運転状態とする必要もない。そのため、前記電磁アクチュエータ19に通電する時間を短縮することができ、その分だけ、電力の消費を少なくして、結果的に燃費を向上することができる。
次に、本発明のステアリング装置の更に他の実施形態について、図11を用いて説明する。この実施形態のステアリングコラムの構成や、シフトロック機構は、前記図2乃至図8のものと同様であり、システム全体の構成が異なる。即ち、前記各実施形態では、例えば図9の演算処理にしても、図10の演算処理にしても、キースイッチが差し込まれているか、或いはキースイッチが操作されている、つまりキースイッチがなければ、電磁アクチュエータ19がオンされず、結果的にステアリングコラムを跳ね上げることができない。
そこで、本実施形態では、セレクトレバー72によってPレンジがセレクトされていることを検出するPレンジ検出スイッチ35を、前記インヒビタスイッチ33とは個別に、或いはインヒビタスイッチ33に組込むなどして設け、この上流にバッテリBを接続する。一方、前記跳ね上げスイッチ31の上流にはブレーキペダルスイッチ30を接続し、このブレーキペダルスイッチ30の上流にバッテリを接続することにより、ブレーキペダルが踏込まれていない状態では、跳ね上げスイッチ31もオン状態とならず、ステアリングコントローラ202に電力が供給されない。
また、ステアリングコラム201には、運転者による前述のチルト操作を検出するチルト操作検出スイッチ36を設け、これを前記Pレンジ検出スイッチ35の下流に接続する。更に、このチルト操作検出スイッチ36の下流に前記電磁アクチュエータ34を接続する。
前記チルト操作検出スイッチ36は、運転者がステアリングコラム201のチルト操作を行うことにつながる運転者の操作を検出するものであり、具体的には、前記チルトレバー12の操作に伴ってオン状態となるものや、チルトレバー12の操作による捩りコイルバネ11の作動に伴ってオン状態となるもの、或いはチルトレバー12の操作による可動ツース15や渦巻きバネ18の作動に伴ってオン状態となるものなど、チルト操作ができない、チルトロックの状態でオフ状態、チルト操作が可能なチルトロック解除状態でオン状態となるものである。
従って、本実施形態では、キースイッチの操作に係わらず、セレクトレバー72によってPレンジがセレクトされ且つチルトロック解除状態では、Pレンジ検出スイッチ35及びチルト操作検出スイッチ36が共にオン状態となって電磁アクチュエータ34に強制的に電力が供給されるので、ステアリングコラム201の跳ね上げが可能となる。このように、本実施形態では、キースイッチの操作に係わらず、ステアリングコラム201を容易に跳ね上げることができる。また、チルトロック解除状態でのみ、電磁アクチュエータ34に電力が供給されるので、バッテリBの電力の消費を抑制し、もってバッテリBの長寿命化を可能とする。
なお、本発明のステアリング装置は、前記実施形態に限定されるものではない。特に、前記跳ね上げ機構による可動部、つまりステアリングホイールの跳ね上げは、前記テレスコピック機構による可動部、つまりステアリングホイールの最大引き出し位置でなくともよく、例えば、それより多少、押し込んだ位置で跳ね上げを許可するようにすることも可能である。
また、前記各コントローラは、マイクロコンピュータに代えて、各種の演算処理装置や演算器を用いて構成してもよい。
本発明のステアリング装置の一実施形態を示すシステム概略構成図である。 図1のステアリング装置のステアリングコラムを示す左側面図である。 図2のステアリングコラムの平面図である。 図2のステアリングコラムに設けられたテレスコピック機構の断面図である。 図2のステアリングコラムの右側面図である。 図2のステアリングコラムに設けられた跳ね上げ機構による作用説明図である。 図2のステアリングコラムの正面図である。 シフトロック機構の説明図である。 図1のステアリングコントローラで行われる演算処理を示すフローチャートである。 図1のステアリングコントローラで行われる演算処理の他の実施形態を示すフローチャートである。 本発明のステアリング装置の更に他の実施形態を示すシステム概略構成図である。
符号の説明
1はステアリングホイール
2はアッパシャフト
3はチルトヒンジ軸
4は固定部
5は可動部
6はテレスコピック機構
7はチルト機構
8は跳ね上げ機構
9は可動部規制機構
10は係止構造
11は捩りコイルバネ(付勢手段)
12はチルトレバー
13は跳ね上げ規制機構
15は可動ツース
16は固定ツース
17は係止部
18は渦巻きバネ
19は電磁アクチュエータ
30はブレーキペダルスイッチ
31は跳ね上げスイッチ
32はキースイッチ(キー操作状態検出手段)
33はインヒビタスイッチ(Pレンジ検出手段)
34は電磁アクチュエータ
35はPレンジ検出スイッチ
36はチルト操作検出スイッチ

Claims (4)

  1. 車両のステアリングコラムを、軸方向の所定位置でステアリングギア側の固定部とステアリングホイール側の可動部とに分割形成すると共に、該分割部に車幅方向に沿って配設された回転軸を中心として、前記可動部を上下方向に回動自在に設け、且つ前記可動部を運転時の最適な上方或いは下方位置に保持規制するチルト機構を備えると共に、前記回転軸を含む可動部を、車体前後方向へ引き出し或いは押し戻し可能にするテレスコピック機構を備えたステアリング装置において、前記チルト機構による可動部の最大上方位置よりも上方に当該可動部の跳ね上げを許容する跳ね上げ機構を設けると共に、前記可動部がテレスコピック機構によって所定の長さまで引き出されたとき以外は、前記跳ね上げ機構による前記可動部の跳ね上げを規制する跳ね上げ規制機構を設け、前記チルト機構によって回動された可動部の位置を保持規制すると共に前記跳ね上げ機構によって跳ね上げられた可動部の下方への移動を規制する可動部規制機構を設けたことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記可動部規制機構は、運転者によって所定の方向に操作されるチルトレバーと、前記運転者による操作方向と逆方向に前記チルトレバーを付勢する付勢手段と、前記付勢手段によってチルトレバーが付勢されたときに前記チルト機構によって回動された位置で可動部を係止すると共に、当該付勢手段によるチルトレバーの付勢によって前記跳ね上げ機構による跳ね上げ位置で可動部を係止する係止構造とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 車両に備えられた自動変速機のセレクトレバーがPレンジにあることを検出するPレンジ検出手段と、イグニッションキーの操作状態を検出するキー操作状態検出手段と、前記跳ね上げ機構による可動部の跳ね上げを機械的に制御する作動制御手段とを備え、前記作動制御手段は、前記Pレンジ検出手段でセレクトレバーがPレンジにあることが検出され且つ前記キー操作状態検出手段で検出されたイグニッションキーの操作状態がキースイッチに差し込まれた状態か又はACCの位置にあるときに前記可動部の跳ね上げを可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  4. 車両に備えられた自動変速機のセレクトレバーがPレンジにあることを検出するPレンジ検出手段と、運転者がステアリングコラムのチルト操作を行うことにつながる運転者の動作を検出するチルト操作検出手段と、前記跳ね上げ機構による可動部の跳ね上げを機械的に制御する作動制御手段とを備え、前記作動制御手段は、前記Pレンジ検出手段でセレクトレバーがPレンジにあることが検出され且つ前記チルト操作検出手段で運転者の前記動作を検出した際に前記可動部の跳ね上げを可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
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