JP2006239578A - アンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置及び処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般廃棄物最終処分場浸出水、産業廃棄物などの埋立処分場浸出水、ごみ焼却場排水などの溶解性塩類を高濃度に含むアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水を、その水質変動にかかわらず、安定かつ効率的に処理して、良好な水質の処理水を得る。
【解決手段】一般廃棄物最終処分場浸出水等のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水を硝化反応槽1で硝化処理し、硝化液をpH4〜6にpH調整した後蒸発濃縮装置2で蒸発濃縮する。蒸発濃縮装置2の蒸気凝縮水を更にRO膜分離装置3で処理して処理水を得る。蒸発濃縮装置2の濃縮液は乾燥固化装置4で乾燥固化して固形物を得る。発生した蒸気は硝化反応槽1で硝化処理する。
【選択図】図1
【解決手段】一般廃棄物最終処分場浸出水等のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水を硝化反応槽1で硝化処理し、硝化液をpH4〜6にpH調整した後蒸発濃縮装置2で蒸発濃縮する。蒸発濃縮装置2の蒸気凝縮水を更にRO膜分離装置3で処理して処理水を得る。蒸発濃縮装置2の濃縮液は乾燥固化装置4で乾燥固化して固形物を得る。発生した蒸気は硝化反応槽1で硝化処理する。
【選択図】図1
Description
本発明は、アンモニア性窒素と溶解性塩類とを含む水、特に一般廃棄物最終処分場浸出水、産業廃棄物などの埋立処分場浸出水、ごみ焼却場排水(特に洗煙排水)などの溶解性塩類を高濃度に含むアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水を、その水質変動にかかわらず、安定かつ効率的に処理して、良好な水質の処理水を得る装置及び方法に関する。
一般廃棄物最終処分場浸出水、産業廃棄物などの埋立処分場浸出水、ごみ焼却場排水(特に洗煙排水)などの排水は、有機物やアンモニアなどの生物処理可能な成分の他に、溶解性塩類を多く含み、条件によっては海水よりも多くの溶解性塩類を含む高濃度溶解性塩類含有水である。例えば、一般的な焼却残渣の埋立最終処分場の浸出水(一般廃棄物最終処分場浸出水)の水質は下記表1に示す通りである。この水質は、埋立量、降雨量等に影響を受けて大きく変動する。
これらの高濃度溶解性塩類含有水はそのまま河川等に放流すると、放流先での塩害の発生を引き起こすことから、その放流に当っては、これを処理して溶解性塩類の除去、即ち脱塩処理を行う必要がある。
従来、このような排水の処理方法としては、次のような方法が知られている。
(1) 廃棄物埋立地浸出水を蒸発させた後、蒸気を凝縮して得た凝縮水を、触媒の存在下に酸化処理又は還元処理する方法(特開平11−309484号公報)。この方法では、蒸発により、アンモニア性窒素、臭気成分、有機物の一部を凝縮水側に移行させ、これを触媒湿式酸化又は還元分解処理する。
この方法では、触媒湿式酸化・還元処理において、160℃もの高温で反応を行うために、耐熱耐圧容器が必要となり、装置が大掛かりになるという問題がある。
この方法では、触媒湿式酸化・還元処理において、160℃もの高温で反応を行うために、耐熱耐圧容器が必要となり、装置が大掛かりになるという問題がある。
(2) し尿などのアンモニア性窒素含有水を、硝化脱窒処理した後、蒸発濃縮し、得られた蒸気凝縮水を活性炭吸着、イオン交換、塩素酸化又は生物学的硝化脱窒処理などで処理する方法(特公平1−14835号公報、特公平1−14838号公報)。
この方法では、硝化脱窒処理水をそのまま蒸発濃縮に供しているが、pH7〜8程度の硝化脱窒処理水をそのまま蒸発濃縮処理すると、残留するアンモニア性窒素がアンモニアとして蒸気側に移行し、結果として得られる蒸気凝縮水中のアンモニア性窒素濃度は高くなるため、これをそのまま処理水とすることはできない。しかも、蒸発濃縮で得られる凝縮水中にはアンモニア以外に揮発性の有機物も含まれるため、単独での処理では以下のような欠点があり、処理水としての水質が問題となる場合がある。特に、イオン交換法や活性炭吸着法では、処理水水質や処理水量に応じて交換、再生が必要となるという欠点もある。
・イオン交換法:有機物の処理ができない。
・活性炭吸着法:アンモニアの処理ができない。
・塩素酸化法:塩素濃度が上昇し、塩化物イオン濃度の規制値を超過する場合がある。
・生物学的硝化脱窒法:揮発したアンモニア性窒素濃度が薄いため、生物活性の維持が困難である。
この方法では、硝化脱窒処理水をそのまま蒸発濃縮に供しているが、pH7〜8程度の硝化脱窒処理水をそのまま蒸発濃縮処理すると、残留するアンモニア性窒素がアンモニアとして蒸気側に移行し、結果として得られる蒸気凝縮水中のアンモニア性窒素濃度は高くなるため、これをそのまま処理水とすることはできない。しかも、蒸発濃縮で得られる凝縮水中にはアンモニア以外に揮発性の有機物も含まれるため、単独での処理では以下のような欠点があり、処理水としての水質が問題となる場合がある。特に、イオン交換法や活性炭吸着法では、処理水水質や処理水量に応じて交換、再生が必要となるという欠点もある。
・イオン交換法:有機物の処理ができない。
・活性炭吸着法:アンモニアの処理ができない。
・塩素酸化法:塩素濃度が上昇し、塩化物イオン濃度の規制値を超過する場合がある。
・生物学的硝化脱窒法:揮発したアンモニア性窒素濃度が薄いため、生物活性の維持が困難である。
また、本発明で処理対象とする一般廃棄物最終処分場浸出水のような高濃度溶解性塩類含有水の脱塩処理については全く考慮されていおらず、蒸発工程で生成する濃縮液の処理について十分な検討がなされていない。仮りに、高濃度溶解性塩類含有水を特公平1−14835号公報、特公平1−14838号公報の方法で硝化脱窒処理した後蒸発濃縮に供すると、高濃度溶解性塩類含有水中のカルシウムイオンと炭酸イオンとの反応で濃縮工程において炭酸カルシウムスケールが生成してスケール障害をもたらす恐れがある。
一方、特に溶解性塩類含有水の処理方法については、逆浸透(RO)膜を用い、水中のイオンを分離する方法(伊藤ら、逆浸透膜による浸出水の高度処理、埋立地における高塩類問題と技術的対応 廃棄物埋立処分部会報告pp120−128(1996),田路明宏、逆浸透膜法による浸出水中の塩類除去技術、資源環境対策、Vol.38,No.2.pp68−72(2002))や、電気透析膜を用いて水中のイオンを分離する方法(吉沢ら、最終処分場浸出水処理における脱塩処理への電気透析法の適用例、資源環境対策、Vol.88,No.2.pp55−59(2002),堀井ら、電気透析法による最終処分場浸出水の脱塩処理、資源環境対策、Vol.88,No.2.pp60−68(2002))があり、これらの方法は、本発明で処理対象とする一般廃棄物最終処分場浸出水のような高濃度溶解性塩類含有水に対しても実績が示されているが、これらの方法で、十分に溶解性塩類濃度の低い処理水を得ようとすると、処理水の回収率が低い一方で、溶解性塩類が濃縮された濃縮液が多量に発生するために、結果的に処理コストが高くつくという欠点がある。
即ち、逆浸透膜法や電気透析法で使用するRO膜、電気透析膜の脱塩率は一定であるため、被処理水の溶解性塩類濃度の増減に応じて、得られる処理水の溶解性塩類濃度も変動する。しかし、前述の如く、一般廃棄物最終処分場浸出水の水質は、埋立量、降雨量等に応じて大きく変動するものであるため、このように水質変動の大きい被処理水を処理して、得られる処理水の溶解性塩類濃度を一定濃度に保つためには、回収率を下げる(濃縮倍数を下げる)必要がある。また、このために処理水水質維持のための装置の運転管理も煩雑となる。
特開平11−309484号公報
特公平1−14835号公報
特公平1−14838号公報
伊藤ら、逆浸透膜による浸出水の高度処理、埋立地における高塩類問題と技術的対応 廃棄物埋立処分部会報告pp120−128(1996)
田路明宏、逆浸透膜法による浸出水中の塩類除去技術、資源環境対策、Vol.38,No.2.pp68−72(2002)
吉沢ら、最終処分場浸出水処理における脱塩処理への電気透析法の適用例、資源環境対策、Vol.88,No.2.pp55−59(2002)
堀井ら、電気透析法による最終処分場浸出水の脱塩処理、資源環境対策、Vol.88,No.2.pp60−68(2002)
本発明は、上記従来の問題点を解決し、一般廃棄物最終処分場浸出水、産業廃棄物などの埋立処分場浸出水、ごみ焼却場排水(特に洗煙排水)などの溶解性塩類を高濃度に含むアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水を、その水質変動にかかわらず、安定かつ効率的に処理して、良好な水質の処理水を得る処理装置と処理方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置は、アンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置であって、被処理水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素に硝化する硝化反応槽と、該硝化反応槽からの硝化液をpH4〜6に調整するpH調整手段と、pH調整された硝化液を蒸発濃縮して濃縮液と蒸気を凝縮した凝縮水とを得る蒸発濃縮手段とを有することを特徴とする。
請求項2のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置は、請求項1において、該蒸発濃縮手段からの濃縮液を乾燥固化するための乾燥固化手段と、該乾燥固化手段からの蒸気を前記硝化反応槽へ返送するための返送路とを有することを特徴とする。
請求項3のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置は、請求項1又は2において、該蒸発濃縮手段からの凝縮水から凝縮水中に含まれるアンモニアを除去する逆浸透膜処理手段を有することを特徴とする。
本発明(請求項4)のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法は、アンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法であって、被処理水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素に硝化する硝化処理工程と、該硝化処理工程からの硝化液をpH4〜6に調整するpH調整工程と、pH調整された硝化液を蒸発濃縮して濃縮液と蒸気を凝縮した凝縮水とを得る蒸発濃縮工程とを有することを特徴とする。
請求項5のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法は、請求項4において、該蒸発濃縮工程からの濃縮液を乾燥固化するための乾燥固化工程と、該乾燥固化工程からの蒸気を前記硝化処理工程へ返送するための返送工程とを有することを特徴とする。
請求項6のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法は、請求項4又は5において、該蒸発濃縮工程からの凝縮水から凝縮水中に含まれるアンモニアを除去する逆浸透膜処理工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、一般廃棄物最終処分場浸出水、産業廃棄物などの埋立処分場浸出水、ごみ焼却場排水などの溶解性塩類を高濃度に含むアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水を、その水質変動にかかわらず、安定かつ効率的に処理して、良好な水質の処理水を得ることができる。
即ち、本発明では、まず、アンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水(原水)を硝化処理することにより、水中のBOD成分の酸化分解とアンモニア性窒素成分の硝化を行う。この処理を行うことで、後段の蒸発濃縮工程で得られる凝縮水に移行し得るアンモニア性窒素を不揮発性の硝酸イオン(NO3 −)や亜硝酸イオン(NO2 −)とすることで、蒸発濃縮工程での窒素成分の飛散量を低減する。本発明では、この硝化処理工程で、脱窒工程を設けず、硝化処理のみを行うため、発生汚泥量が少なく、また、脱窒工程のように炭素源などの添加の必要もない。この硝化反応では硝酸性窒素が発生するため、処理水は弱酸性となることにより、後段のpH調整工程のpH調整剤の添加量が少なくて足りる。
硝化液を次いでpH4〜6の酸性にpH調整することにより、液中の炭酸イオン(CO3 2−)を炭酸ガスとして、次工程の蒸発濃縮工程において大気中に放散させる。これにより、液中に含まれるカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオンとの反応で炭酸カルシウムスケールが生成することを抑制する。また、アンモニア性窒素のガス化を抑制して蒸発濃縮工程において蒸気中に移行するアンモニア量を低減する。
pH調整水を蒸発濃縮して得られた蒸気凝縮水は、予め硝化処理工程でアンモニア性窒素が除去され、しかもアンモニアのガス化が抑制された条件で得られたものであるため、アンモニアの含有量が少なく、そのまま処理水とすることができるが、この凝縮水を更にRO膜処理することにより、凝縮水中に含まれる微量のアンモニア性窒素や有機物(BOD,COD)成分を除去して、高水質の処理水を得ることができる。ここで用いるRO膜は、活性炭吸着法やイオン交換法のように再生、交換といった保守管理に要する手間が少なく、工業的に有利である。
蒸発濃縮工程で得られた濃縮液は乾燥固化することにより、塩化カルシウム(CaCl2)を主成分とする固形物を得ることができ、この固形分は再利用又は処分される。この濃縮液の乾燥固化工程で発生する蒸気は前段の硝化処理工程に返送することにより、この蒸気の脱臭装置やアンモニア除去装置等の処理装置を別途設けることが不要となる。
本発明で処理対象とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水中の溶解性塩類は不揮発性であるため、蒸発濃縮工程で蒸気側へ移行することはなく、従って、溶解性塩類濃度の変動があっても溶解性塩類を十分に低減した処理水を安定かつ確実に得ることができる。また、アンモニア性窒素についても、これが蒸発濃縮工程の蒸気凝縮水中に移行することを極力防止する条件で蒸発濃縮を行うため、アンモニア性窒素濃度の変動があっても、常にアンモニア性窒素濃度の低い高水質の処理水を得ることができる。従って、本発明によれば、原水の水質変動があっても、煩雑な運転管理を行うことなく、良好な水質の処理水を安定かつ効率的に得ることができる。
以下に図面を参照して本発明のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置及び処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置及び処理方法の実施の形態を示す系統図である。
本発明が処理対象とする原水は、アンモニア性窒素と溶解性塩類とを含む水、例えば、一般廃棄物最終処分場浸出水、産業廃棄物などの埋立処分場浸出水、ごみ焼却場排水(特に洗煙排水)であり、通常、以下のような水質の原水である。
pH:6〜9
BOD:10〜100mg/L
アンモニア性窒素:10〜100mg/L
塩化物イオン:1000〜15000mg/L
カルシウムイオン:100〜3000mg/L
pH:6〜9
BOD:10〜100mg/L
アンモニア性窒素:10〜100mg/L
塩化物イオン:1000〜15000mg/L
カルシウムイオン:100〜3000mg/L
本発明では、このような水質の原水をまず硝化反応槽1に導入して硝化処理することにより、水中のBOD成分の酸化分解とアンモニア性窒素成分の硝化を行う。
この硝化反応槽1としては通常の生物処理に使用されている硝化反応槽を用いることができるが、スポンジ担体等の担体を添加したものが、高濃度に硝化菌を保持でき、硝化効率に優れる点において好ましい。担体の添加量は槽容量の20〜30体積%とすることが好ましい。この硝化反応槽1の処理条件としてはpH5〜8、滞留時間3〜6日程度とすることが好ましい。
なお、この硝化反応槽1には後段の乾燥固化装置4で発生した蒸気が導入される。図1では、この蒸気は、硝化反応槽1への原水導入配管に注入され、原水と共に硝化反応槽1に導入されるか、硝化反応槽1の槽内液中に直接吹き込んでも良い。
前述の如く、原水を硝化処理することにより、後段の蒸発濃縮装置2で得られる凝縮水に移行し得るアンモニア性窒素を不揮発性の硝酸イオン(NO3 −)や亜硝酸イオン(NO2 −)とすることで、蒸発濃縮装置2での窒素成分の飛散量を低減する。この硝化処理工程では脱窒工程を行わず、硝化処理のみを行うため、発生汚泥量が少なく、また、脱窒工程のように炭素源などの添加の必要もない。この硝化反応では硝酸性窒素が発生するため、処理水は弱酸性となることにより、後段のpH調整におけるpH調整剤の添加量が少なくて足りる。
本発明においては、硝化処理により、原水中のアンモニア性窒素の95%以上を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素に硝化することが好ましい。
硝化反応槽1の硝化液は、通常pH5〜8程度であるが、本発明においては、この硝化液にpH調整剤を添加してpH4〜6の酸性にpH調整した後、蒸発濃縮装置2に導入する。このように、蒸発濃縮する水のpHを4〜6好ましくは5〜6、より好ましくは5〜5.5に調整することにより、水中の炭酸イオン(CO3 2−)を炭酸ガスとして、蒸発濃縮装置2において大気中に放散させる。これにより、水中に含まれるカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオンとの反応で炭酸カルシウムスケールが生成することを抑制する。また、アンモニア性窒素のガス化を抑制して蒸発濃縮装置2において蒸気中に移行するアンモニア量を低減する。
この蒸発濃縮原水のpHが高過ぎるとスケール障害が生じ、また、凝縮水側へのアンモニアの移行量が多くなる。逆に、この調整pH値が低過ぎると機器類の腐食の問題が生じる。
pH調整剤としては硫酸、塩酸等の酸が用いられるが、前述の如く、硝化液は、アンモニア性窒素の硝化により原水よりもpHが低下しており、ここで用いる酸添加量は少なくて足りる。
pH4〜6にpH調整された硝化液は、次いで、蒸発濃縮装置2で蒸発濃縮される。
蒸発濃縮装置2の運転には、炭酸カルシウム等のスケール防止のために、石膏等を添加し、スケール成分の伝熱面への付着を防止する種晶添加法を採用するのが好ましい。この伝熱面へのスケール付着の予防は、スケール防止剤の添加などの方法でも良いが、種晶添加法は、原水水質などに影響されずに安定してスケール付着抑制効果を得ることができ、好ましい方法である。
蒸発濃縮装置2の運転動力源には、種々のものが利用できる。例えば、発生した蒸気を再び熱源として使用する蒸気圧縮方式の場合は電気エネルギー、焼却設備がある場合は廃熱利用、またボイラーがある場合は水蒸気を利用できる。これらは施設により最適なものを採用する。
蒸発により得られた凝縮水中には微量のアンモニアや臭気成分、有機物が含まれているが、塩化物イオン濃度は1mg/L以下に低減され、また、溶解性塩類も検出されない。一方、濃縮液(蒸発残留液)中には、無機塩類や有機物等が濃縮される。
本発明において、この濃縮液の濃縮倍数は、2〜40倍、特に5〜30倍、とりわけ10〜20倍となるように、即ち濃縮液の容量が蒸発濃縮装置2に導入される水の容量の1/2〜1/40、特に1/5〜1/30、とりわけ1/10〜1/20となるように蒸発操作を行うのが好ましい。
図1では、蒸発濃縮装置2で得られた凝縮水を次いでRO膜分離装置3でRO膜分離処理する。
即ち、本発明では、硝化反応槽1でアンモニア性窒素を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素に硝化し、かつ、アンモニアのガス化を抑制した条件で蒸発濃縮を行うため、蒸発濃縮装置2で得られた凝縮水中のアンモニア性窒素濃度は非常に低く、通常1〜5mg/L程度であるため、処理水水質としてT−N濃度10mg/L以下程度が要求される場合には、この凝縮水をそのまま処理水として排出することができるが、T−N濃度1mg/L以下の処理水水質が求められる場合には、凝縮水は更にRO膜分離処理して、残留するアンモニア性窒素や有機物(BOD,COD)を除去することが好ましい。
このRO膜分離装置3では、得られる濃縮液のアンモニア性窒素濃度25mg/L以下の条件で処理水(透過水)アンモニア性窒素濃度1mg/L以下を達成することができる。RO膜分離装置3の仕様や操作圧力には特に制限はないが、給水pHは、アンモニア性窒素の除去効率を確保するためにpH5〜7、特に6程度とすることが好ましい。pHが過度に低いとアンモニア性窒素の除去率が悪くなるため、凝縮水のpHが上記範囲を外れる場合は必要に応じてpH調整を行う。ただし、この場合に、酸として塩酸を用いるとCl−負荷が増えるため硫酸を用いることが好ましい。
蒸発濃縮装置2の凝縮水をRO膜分離処理することにより、BOD,COD,全窒素濃度のすべての項目において1mg/L以下の高水質処理水を得ることができる。
このRO膜分離装置3の濃縮液は水質に問題がなければそのまま放流することも可能であるが、乾燥固化装置4に送給して、蒸発濃縮装置2の濃縮液と共に処理することが好ましい。
図1では、蒸発濃縮装置2の濃縮液は、乾燥固化装置4で乾燥固化させて固形物を得る。この固形物は、塩化カルシウム(CaCl2)を主成分とするものであり、常法に従って、再利用又は処分される。
この乾燥固化装置4で発生する蒸気は、アンモニア性窒素や有機物といった臭気成分を含むものであるが、硝化反応槽1に返送されて原水と共に処理される。このようにすることで、発生した蒸気を処理するための脱臭装置やアンモニア除去装置等の処理装置を別途設けることが不要となる。
このように、蒸発濃縮装置2の濃縮液を乾燥固化することにより、溶解性塩類を高濃度で含む濃縮液を容易に処分可能な形態とすることができる。
なお、図1に示す装置は、本発明の実施の形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示のものに限定されるものではない。
蒸発濃縮装置2の凝縮水の処理手段としてはRO膜分離処理以外にイオン交換処理、活性炭吸着処理等も採用し得る。ただし、再生や交換等の保守管理に多大な手間を要さず、しかも、アンモニア性窒素のみならずCOD,BODをも高度に除去し得る点からRO膜分離処理が最も好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
表2に示すように水質変動のある最終処分場浸出水を原水とし、図1に示す方法で処理を行った。
表2に示すように水質変動のある最終処分場浸出水を原水とし、図1に示す方法で処理を行った。
各装置の処理条件は次の通りである。原水の処理量は1L/hrとした。
<硝化反応槽>
スポンジ担体添加槽
担体添加量:水槽の有効容積の約30体積%
滞留時間:約3日
pH:5〜7
<pH調整>
硝化液に硫酸を添加してpH5.5に調整
<蒸発濃縮装置>
・圧力:80kPaA
・蒸発温度:92℃
・蒸発量:約0.7L/hr
・装置保有液量:約1L
・濃縮倍数:約15倍
・種晶:硫酸カルシウム二水塩を2重量%添加
<RO膜分離装置>
RO膜:ポリアミド製2インチ膜
操作圧力:1MPaG
水回収率:90%
<乾燥固化装置>
乾燥温度:110℃
蒸気量:約1.2kg/hr
固形物量:約0.16kg/hr
各工程の処理水の水質を表2に示す。
<硝化反応槽>
スポンジ担体添加槽
担体添加量:水槽の有効容積の約30体積%
滞留時間:約3日
pH:5〜7
<pH調整>
硝化液に硫酸を添加してpH5.5に調整
<蒸発濃縮装置>
・圧力:80kPaA
・蒸発温度:92℃
・蒸発量:約0.7L/hr
・装置保有液量:約1L
・濃縮倍数:約15倍
・種晶:硫酸カルシウム二水塩を2重量%添加
<RO膜分離装置>
RO膜:ポリアミド製2インチ膜
操作圧力:1MPaG
水回収率:90%
<乾燥固化装置>
乾燥温度:110℃
蒸気量:約1.2kg/hr
固形物量:約0.16kg/hr
各工程の処理水の水質を表2に示す。
なお、RO膜分離装置の濃縮液は乾燥固化装置へ送給した。この濃縮液はアンモニア性窒素濃度25mg/Lであった。また、乾燥固化装置からの蒸気はアンモニアを約10mg/L含むものであったが、これは硝化反応槽への原水導入配管に返送して原水と共に硝化反応槽に送給した。また、乾燥固化装置で得られた固形物は塩化カルシウムを約90重量%含むものであった。
表2より、本発明によれば、原水の水質変動にかかわらず、良好な水質の処理水を安定に得ることができることが分かる。なお、得られた処理水は原水量に対して84%であり、水回収率も高いことが確認された。
比較例1,2
実施例1において得られた硝化液をpH調整することなくそのまま蒸発濃縮装置に供給して同様にして蒸発濃縮処理した。この蒸発濃縮装置の蒸気凝縮水の水質は表3に示す通りであった。この蒸気凝縮水を下記条件のイオン交換処理又は活性炭吸着処理に供し、得られた処理水の水質を表3に示した。
なお、蒸発濃縮装置の濃縮液については処理を行わなかった。
実施例1において得られた硝化液をpH調整することなくそのまま蒸発濃縮装置に供給して同様にして蒸発濃縮処理した。この蒸発濃縮装置の蒸気凝縮水の水質は表3に示す通りであった。この蒸気凝縮水を下記条件のイオン交換処理又は活性炭吸着処理に供し、得られた処理水の水質を表3に示した。
なお、蒸発濃縮装置の濃縮液については処理を行わなかった。
比較例1:イオン交換処理
陽イオン交換塔にpH=6、SV=3hr−1で通水した。
陽イオン交換塔にpH=6、SV=3hr−1で通水した。
比較例2:活性炭吸着処理
活性炭塔にSV=5hr−1で通水した。
活性炭塔にSV=5hr−1で通水した。
表3より明らかなように、蒸発濃縮原水についてpH調整を行わないと、アンモニアが蒸気側に移行するため得られる蒸気凝縮水のアンモニア性窒素濃度が高いものとなる。この蒸気凝縮水をイオン交換処理してもCODを十分に除去し得ず、またアンモニア性窒素を除去することはできるが、その分イオン交換樹脂の再生を頻繁に行う必要がある。また、活性炭吸着処理では、アンモニア性窒素が残留する。また、いずれの場合も、水回収率において十分ではない。
従って、上記結果より、本発明に従って、硝化液をpH調整した後蒸発濃縮すること、そして更に得られた蒸気凝縮水をRO膜分離処理することによる有意性は明らかである。
1 硝化反応槽
2 蒸発濃縮装置
3 RO膜分離装置
4 乾燥固化装置
2 蒸発濃縮装置
3 RO膜分離装置
4 乾燥固化装置
Claims (6)
- アンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置であって、
被処理水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素に硝化する硝化反応槽と、
該硝化反応槽からの硝化液をpH4〜6に調整するpH調整手段と、
pH調整された硝化液を蒸発濃縮して濃縮液と蒸気を凝縮した凝縮水とを得る蒸発濃縮手段と
を有することを特徴とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置。 - 請求項1において、
該蒸発濃縮手段からの濃縮液を乾燥固化するための乾燥固化手段と、
該乾燥固化手段からの蒸気を前記硝化反応槽へ返送するための返送路と
を有することを特徴とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置。 - 請求項1又は2において、
該蒸発濃縮手段からの凝縮水から凝縮水中に含まれるアンモニアを除去する逆浸透膜処理手段を有することを特徴とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理装置。 - アンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法であって、
被処理水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素に硝化する硝化処理工程と、
該硝化処理工程からの硝化液をpH4〜6に調整するpH調整工程と、
pH調整された硝化液を蒸発濃縮して濃縮液と蒸気を凝縮した凝縮水とを得る蒸発濃縮工程と
を有することを特徴とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法。 - 請求項4において、
該蒸発濃縮工程からの濃縮液を乾燥固化するための乾燥固化工程と、
該乾燥固化工程からの蒸気を前記硝化処理工程へ返送するための返送工程と
を有することを特徴とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法。 - 請求項4又は5において、
該蒸発濃縮工程からの凝縮水から凝縮水中に含まれるアンモニアを除去する逆浸透膜処理工程を有することを特徴とするアンモニア性窒素及び溶解性塩類含有水の処理方法。
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