<全体構成>
まず、図1を用いて、本実施例1に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、図1はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施例1において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施例1では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
又、各々のリール110〜112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。このバックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間を、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例1においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施例1では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプと呼ぶこともある。
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ156は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置157は、例えば開閉自在な扉(シャッター)163が前面に取り付けられた液晶表示装置を含み、この演出装置157には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。
<制御部>
次に、図2及び図3を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、図2を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。なお、図2は主制御部300の回路ブロック図を示したものである。
主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック補正回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
又、CPU310には、センサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
更に、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算ボタンセンサ324、メダル払い出しセンサ326の状態を検出し、各センサを監視している。
メダル投入センサ320は、メダル投入口134に投入されたメダルを検出するためのセンサである。スタートレバーセンサ321はスタートレバー135の操作を検出するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン137〜139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検出するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検出するためのセンサである。精算ボタンセンサ324は、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダル及びベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサ326は、払い出されるメダルを検出するためのセンサである。
CPU310には、更に、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110〜112の取付台の所定位置に設置されており、リール110〜112に設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにハイレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを駆動させるためのモータを制御するリールモータ駆動部330と、ホッパー(バケットにたまっているメダルをメダル払出口155から払出すための装置。図示省略。)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器341(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)が接続されている。
又、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。主制御部300と副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。
<副制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。なお、図3は副制御部400の回路ブロック図を示したものである。
副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。
又、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
又、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。
更に、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、各リール110〜112の図柄を背面より照明するためのバックライト420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422が接続されている。
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、扉・液晶画面制御部490からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472等が接続されている。
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を遊技店の係員等が確認できるようになっている。更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、受け皿ランプ156、払出口ストロボ171を制御する。タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、払い出し口の内側に設置されたストロボタイプのランプである。なお、CPU410は、扉・液晶画面制御部490への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。扉・液晶画面制御部490は、液晶表示装置157及び扉(図示省略)163を制御する制御部である。CPU410には、乱数発生回路492がデータバスを介して接続されている。
乱数発生回路492は、水晶発振器411及び水晶発振器494から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU410に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する演出抽選に使用される。
<図柄配列>
次に、図4を用いて、上述の各リール110〜112に施される図柄配列について説明する。なお、図4は、各リール(左リール110、中リール111、右リール112)に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。
図に示されるように、各リール110〜112には、複数種類の図柄が所定コマ数(本実施例1では、番号0〜20の21コマ)だけ配置されている。又、同図の左端に示した番号0〜20は、各リール110〜112上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、本実施例1では、左リール110の番号2のコマには「リプレイ」の図柄、中リール111の番号2のコマには「俵」の図柄、右リール112の番号3のコマには「姫」の図柄、がそれぞれ配置されている。
<入賞役の種類>
次に、図5を用いて、スロットマシン100の入賞役の種類について説明する。
遊技状態毎に以下に説明する入賞役が採用されている。なお、各遊技状態における入賞役の種類は、本実施例1で示す入賞役に限定されるものではなく、任意に採用できることは言うまでもない。又、本実施例1における入賞役の内、ビッグボーナス(BB)及びレギュラーボーナス(RB)はボーナスゲームに移行する図柄として、又、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる図柄として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本発明に係る「入賞役」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスが含まれ、本発明に係る「入賞」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスへの入賞が含まれる。
<通常遊技>
図5(A)は、通常遊技における入賞役の種類と、対応する入賞図柄組合せと、メダルの払出枚数(配当)と、図柄抽選データ(メダル3枚投入時)とを示した図である。
図5(A)に示される各図柄抽選データは、所定の遊技回数における各入賞役の出現回数を示すものである。実際の各入賞役の内部当選確率は、各図柄抽選データの数値を、入賞役の内部抽選時に取得される乱数値の範囲の大きさの値(本実施例1では65536)で除した値となる。乱数値は予めいくつかの数値範囲(図柄抽選データの数値範囲に対応)に分割され、その各数値範囲に各入賞役やはずれが対応付けられる。なお、図柄抽選データは、設定1〜設定6まで存在し(図5には設定1における図柄抽選データのみ示している)、遊技店の係員等はいずれかを任意に選択し、設定することができる。
なお、図6(A)及び(B)は、通常遊技における、抽選順序と、図柄抽選結果コードと、入賞役の種類と、これに対応する図柄抽選データ(図中には図柄抽選データの数値範囲を示した)と、からなる抽選データ1及び2を示したものである。又、同図(C)及び(D)は、それぞれ抽選データ1及び2における図柄抽選データの数値範囲と、各入賞役やはずれとの対応関係を模式的に図示したものである。
抽選データ1及び2は、主制御部300のROM312に格納されており、入賞役抽選では、取得した乱数値が図柄抽選データの、どの数値範囲に属するかで入賞役の内部当選の当否が決定する。なお、抽選データ1及び2における各入賞役に内部当選しなかった場合は、はずれとなる。
例えば、後述するビッグボーナス(BB)は、抽選データ1における図柄抽選データの数値範囲1〜256の領域に対応付けられており、BBに内部当選したと判断されるのは、入賞役抽選時に取得した乱数値が1〜256の範囲にある場合である。従って、本実施例1におけるBBの内部当選確率は、256/65536である。
一方、後述する小役3は、抽選データ2における図柄抽選データの数値範囲0〜2146の領域に対応付けられている。抽選データ2は、入賞役抽選時に取得した乱数値が抽選データ1における図柄抽選データの0に該当する場合にのみ使用(参照)される抽選データであり、本実施例1では抽選データ2は1/65536の確率で使用される。即ち、本実施例1における小役3の内部当選確率は、抽選データ2において小役3に当選する確率(小役3の図柄抽選データの値2147を、抽選データ2における全ての図柄抽選データの数値範囲の大きさの合計値65536で除した値)2147/65536に、抽選データ2が抽選に使用される確率1/65536を乗じた値となり、約200万分の1である。この小役3の内部当選確率は、遊技店における遊技台一機種の設置台数を10台、1日当たりの平均ゲーム数を7000回/日と仮定した場合、約1月に1回当選する確率である。
図5に戻って、通常遊技の入賞役には、ビッグボーナス(BB)と、レギュラーボーナス(RB)と、再遊技(リプレイ)と、小役(小役1、小役2、小役3)がある。
「ビッグボーナス(BB)」は、入賞によりビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始される入賞役(作動役)である。本実施例1では、入賞時に所定数(ここでは15枚)のメダルの払い出しを行う。対応する入賞図柄組合せは本実施例1の場合、「セブン−セブン−セブン」と「姫−姫−姫」である。又、本実施例1ではBBについてフラグ持越しを行う。すなわち、BBに内部当選すると、これを示すフラグが立つ(主制御部300のRAM313の所定のエリア内に記憶される)が、その遊技においてBBに入賞しなかったとしても、入賞するまでフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBBに内部当選中とする。
「レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が開始される入賞役(作動役)である。本実施例1では、入賞時に所定数(ここでは15枚)のメダルの払い出しを行う。対応する入賞図柄組合せは本実施例1の場合、「BAR−BAR−BAR」である。なお、本実施例1ではRBについても上述のBBと同様にフラグ持越しを行う。
「再遊技(リプレイ)」は、入賞により、次回の遊技でメダルの投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行わない。なお、対応する入賞図柄組合せは本実施例1の場合、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」である。
「小役(小役1、小役2、小役3)」は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役で、本実施例1の場合、小役1は「松−松−松」、小役2は「俵−俵−俵」、小役3は「チェリー−any−any」である。各小役に対応する払出枚数は、図5(A)に示す通りである。なお、「チェリー−any−any」の場合、左リール110の図柄が「チェリー」であればよく、中リール111と右リール112の図柄はどの図柄でもよい。
<BB一般遊技>
図5(B)は、BB一般遊技における入賞役の種類と、対応する入賞図柄組合せと、メダルの払出枚数(配当)と、図柄抽選データ(メダル3枚投入時)とを示した図である。なお、小役については、そのメダル払い出し枚数や図柄抽選データを通常遊技とは異なるものとしてもよい。
本実施例1におけるBB一般遊技の入賞役には、シフトレギュラーボーナス(SRB)と、小役(小役1、小役2、小役3)がある。
「シフトレギュラーボーナス(SRB)」は、入賞によりシフトレギュラーボーナスゲーム(SRBゲーム)が開始される入賞役(作動役)である。本実施例1では、入賞時には所定数(ここでは15枚)のメダルの払い出しを行う。なお、対応する入賞図柄組合せは本実施例1の場合、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」である。 又、前述したRBと比べるとSRBの方が内部当選確率が極めて高い。つまり、BBゲームではこのSRBに入賞し易くすることで遊技者がより大きな利益を得られることになる。尚、SRBについてはBBと同様にフラグ持越しを行うものとしても良い。
「小役(小役1、小役2、小役3)」は、通常遊技と同じであり、本実施例1の場合、小役1は「松−松−松」、小役2は「俵−俵−俵」、小役3は「チェリー−any−any」である。
<RB(SRB)遊技>
図5(C)は、RB(SRB)遊技における入賞役の種類と、対応する入賞図柄組合せと、メダルの払出枚数(配当)と、図柄抽選データ(メダル1枚投入時)とを示した図である。RB(SRB)遊技における入賞役は「役物」のみであり、RB(SRB)遊技中の各遊技を役物遊技という。役物はRB(SRB)遊技中にのみ入賞する入賞役であって、本実施例1では、入賞時には所定数(ここでは15枚)のメダルの払い出しを行う。なお、対応する入賞図柄組合せは本実施例1の場合、「リプレイ―リプレイ―リプレイ」と「俵−俵−俵」である。
<遊技状態の種類>
次に、スロットマシン100の遊技状態の種類について説明する。
スロットマシン100の遊技状態は、通常遊技と、BBゲームと、RB(SRB)ゲームと、に大別される。
BBゲームの内容は、複数種類考えられるが、本実施例1では、BBゲーム中にSRBに入賞することが可能で、これに入賞するとSRBゲームが開始される。なお、BBゲームは、本実施例1では予め定めたメダル数を獲得した場合(例えば、入賞により獲得したメダル数が465枚に達した場合)に終了する。又、その他の条件を加えてBBゲームの終了条件としてもよく、例えば、SRBゲームを予め定めた遊技回数行った場合(例えば、SRBゲームが3回終了した場合)にBBゲームが終了するようにしてもよい。この場合、SRBゲームが終了するとBB一般遊技に戻るか、或いは、BBゲームが終了する(BB一般遊技の30回目にSRBに入賞してSRBが開始された場合)こととなる。
RB(SRB)ゲームの内容は、複数種類考えられるが、本実施例1では、予め定めた回数(本実施例1では12回)の遊技を行うか、あるいは、役物が予め定めた回数(本実施例1では8回)入賞するかのいずれかの条件が成立することを終了条件とするゲームである。
<遊技モード>
本実施例1では、通常遊技において「Normalモード」と「Extraモード」とが設定されている。遊技モードの設定はRAM413上の所定のエリアに記憶される。「Normalモード」では、内部当選したBBに対する入賞が規制される。つまり、内部当選した全てのBBがすぐさま入賞可能な状態とはならない。一方、「Extraモード」では、内部当選しストックしたBBに対する入賞が許容される。
本実施例1では、「Normalモード」においてBBに内部当選した場合、更に抽選を実行し、その半数がストックされる。ストックすると決定した場合に内部当選回数がカウントされる。このカウントはRAM413上の所定のエリアに設定されるソフトウエアカウンタ(ストックカウンタという)により行う。そして、「Extraモード」においては、BBに入賞する度にストックカウンタのカウント値(内部当選回数)を一つずつ減数する。こうしてストックカウンタによりBBの内部当選のストック管理を行う。
本実施例1の場合、「Normalモード」におけるBBの入賞の規制は後述するリール110〜112の停止制御により行う。要約すれば、「Normalモード」においては、BBに対応する絵柄の組合せが表示されないようにリール110〜112の停止制御を行い、「Extraモード」においては、BBに対応する絵柄の組合せが表示されることを許容するように、リール110〜112の停止制御を行う。
<遊技実行処理>
次に、図7を用いて、主制御部300のメイン処理である遊技実行処理について説明する。なお、図7は、主制御部300の遊技実行処理の流れを示すフローチャートである。
遊技の基本的制御は、主制御部300のMainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、MainCPU310が同図の遊技実行を繰り返し実行する。
スロットマシン100に電源が投入されると、まず、各種の初期化処理(ステップS101)が実行され、その後、遊技実行処理のステップS102では、メダル投入に関する処理を行う。ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。
ステップS103では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。ここでは、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。又、副制御部400に対してスタートレバー受付コマンドを送信する。副制御部400は、このスタートレバー受付コマンドを受信することによって遊技の開始を把握する。
ステップS104では、有効な入賞ライン114を確定する。
ステップS105では、乱数取得処理1(詳細は後述)を実行する。
ステップS106では、乱数取得処理2(詳細は後述)を実行する。なお、ステップS105及びS106で取得した乱数値は、入賞役内部抽選のほかにも、リール停止制御テーブルを選択するときの抽選等にも使用してもよい。
ステップS107では、内部抽選処理1(詳細は後述)を実行する。
ステップS108では、全リール110〜112の回転を開始させる。この際、ステップS107の内部抽選結果等に基づき、停止位置データ選択テーブルを参照し、いずれか一つのリール停止制御テーブルを選択する。
ステップS109では、ストップボタン137〜139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役又はフラグ持越し中の入賞役に対応する入賞図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が揃っていたならばリプレイ入賞と判定する。また、入賞した入賞役に対応するフラグがリセットされる。
ステップS110では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
ステップS111では、遊技状態更新処理を実行する。この遊技状態更新処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、BB入賞やSRB入賞の場合に次回からBBゲーム又はSRBゲームを開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。
以上により1ゲームが終了し、以降、この遊技実行処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<乱数取得処理1、乱数取得処理2>
次に、図8を用いて、上記遊技実行処理における乱数取得処理1(ステップS105)及び乱数取得処理2(ステップS106)について説明する。なお、乱数取得処理1及び乱数取得処理2は略同一の処理であるため、乱数取得処理として、まとめて説明することにする。
ステップS201では、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基づいて乱数発生回路317によって生成されるカウンタ値を取得する。
ステップS202では、全てのカウンタ値を取得したか否かを判定し、全てのカウンタ値を取得した場合にはステップS203へ進む。一方、全てのカウンタ値を取得していない場合にはステップS201に進み、カウンタ値の取得を継続する。
ステップS203では、乱数値を取得する。具体的には、乱数取得処理1では水晶発振器311に基づく乱数値(以下、「抽選乱数1」と称す)を取得するのに対して、乱数取得処理2では水晶発振器311とはクロックの周期が異なる水晶発振器316に基づく乱数値(以下、「抽選乱数2」と称す)を取得する。即ち、抽選乱数1及び抽選乱数2は、互いに発生源の異なる乱数値である。なお、本実施例1では、乱数取得処理1及び2において、異なるハードウェア乱数を取得するように構成したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、乱数取得処理1及び2の少なくとも一方において、ソフトウェアによって生成されたソフトウェア乱数を使用してもよい。この場合、乱数取得処理は上述のフローに限定されず、例えば、カウンタを用いることなく、前回取得した乱数に別の抽選等で取得した値を加算してソフトウェア乱数を生成してもよい。
<内部抽選処理1>
次に、図9を用いて、上記遊技実行処理における内部抽選処理1(ステップS107)について説明する。なお、図9は内部抽選処理1の流れを示すフローチャートである。
ステップS301では、現在の遊技状態を取得する。
ステップS302では、ステップS301で取得した遊技状態に応じた抽選データを取得する。
ステップS303では、ステップS302で取得した抽選データの中から、上記図6(A)に示される抽選データ1を取得する。
ステップS304では、上記乱数取得処理1で取得した抽選乱数1を取得する。
ステップS305では、ステップS304で取得した抽選乱数1から、抽選データ1における各入賞役の図柄抽選データの減算を行う。なお、本実施例1では、抽選データ1における抽選順序に従って、最初に、抽選データ1とは異なる抽選データ2が存在し抽選の抽選結果が未決定であることを示す「抽選結果未決定データ(本実施例1では数値0の数値範囲である「1」)が取得され、以降、図柄抽選データの取得先は「BB」→「RB」→「再遊技」→「小役1」→「小役2」の順序で変更される。なお、抽選データ1における抽選結果未決定データの当選確率(抽選データ2が使用される確率)は1/65536である。
ステップS306では、ステップS305の減算によってキャリーが発生したか否か、即ち、減算結果が0未満になったか否かが判断される。そして、減算結果が0以上の場合にはステップS307に進む。一方、減算結果が0未満の場合には、抽選乱数1が現在抽選の対象とされている入賞役の数値範囲に属し、入賞役に内部当選したものと判断し、ステップS308に進む。
ステップS307では、図柄抽選データの取得先を上述の順序に従って次の図柄に変更した後、ステップS305及びステップS306の処理を行う。
ステップS308では、入賞役に対応した図柄抽選結果コードをRAM313に書き込み、内部当選した入賞役を記憶する。なお、いずれの入賞役にも内部当選しなかった場合には、はずれと判定され、はずれに該当するコードが記憶される。
ステップS309では、図柄抽選結果コードが7であるか否か(この例では抽選乱数1が0であるか否か)を判定し、図柄抽選結果コードが7の場合にはステップS310に進み、内部抽選処理2(詳細は後述)を行う。一方、図柄抽選結果コードが7でない場合には処理を終了する。
<内部抽選処理2>
次に、図10を用いて、上記内部抽選処理1における内部抽選処理2(ステップS310)について説明する。なお、図10は内部抽選処理2の流れを示すフローチャートである。
ステップS401では、上記内部抽選処理1のステップS302で取得した図柄抽選データの中から、上記図6(B)に示される抽選データ2を取得する。
ステップS402では、上記乱数取得処理2で取得した抽選乱数2を取得する。
ステップS403では、ステップS402で取得した抽選乱数2から、抽選データ2における各入賞役の図柄抽選データの減算を行う。なお、本実施例1では、「小役3」の図柄抽選データである2147が取得される。
ステップS404では、ステップS403の減算によってキャリーが発生したか否か、即ち、減算結果が0未満になったか否かが判断される。そして、減算結果が0以上の場合にはステップS405に進む。一方、減算結果が0未満の場合には、抽選乱数2が現在抽選の対象とされている入賞役(この例では、小役3)の数値範囲に属し、入賞役に内部当選したものと判断し、ステップS406に進む。
ステップS405では、図柄抽選データの取得先を次の図柄(この例では、はずれ)に変更した後、ステップS403及びステップS404の処理を行う。
ステップS406では、入賞役に対応した図柄抽選結果コードをRAM313に書き込み、内部当選した入賞役を記憶した後、処理を終了する。なお、いずれの入賞役にも内部当選しなかった場合には、はずれと判定され、はずれに該当するコードが記憶される。
なお、本実施例1では、この内部抽選処理2において小役3に内部当選した場合、上記遊技実行処理の遊技状態更新処理(ステップS111)において、遊技状態が通常遊技状態(Normal状態)からExtraモードに変更される。
より具体的には、図11に示されるように、通常遊技状態では、BBに内部当選した場合には50%の確率ではずれ停止制御テーブルが選択され、この時入賞できなかったBBが一旦ストックされる。これに対して、Extraモードでは、BBのストックがある場合には、はずれ時にBBに入賞可能な停止制御テーブルが選択され、BBに入賞可能な状態となる。又、小役3の内部当選確率は、上述の通り、極めて低い確率(この例では約200万分の1)に設定されており、小役3に当選した場合には、図12に示されるように、演出装置157を用いて小役3に当選したことを知らせる特別な演出表示を行う。
本実施例1に係るスロットマシン100の図柄抽選によれば、抽選データを複数種類(本実施例1では抽選データ1及び2の2種類)有し、この複数種類の抽選データの内の第1の抽選データ(本実施例1では抽選データ1)は、この第1の抽選データとは異なる第2の抽選データ(本実施例1では抽選データ2)が存在し抽選の抽選結果が未決定であることを示す抽選結果未決定データ(本実施例1では数値0の数値範囲である「1」)を少なくとも1つ有し、抽選手段は、第1の抽選時に、抽選結果未決定データにより抽選結果が未決定であると判定した場合に、第1の抽選データとは異なる第2の抽選データを用いて第2の抽選(本実施例1では内部抽選処理2)を行い、少なくとも2回(本実施例1では2回)の抽選によって抽選結果を決定可能に構成されているため、従来よりも抽選における当選確率の範囲を拡大し、意外性のある遊技を実現することが可能である。(本実施例1の図柄抽選において小役3に当選する確率は約200万分の1であり、他の入賞役に比べて出現率を非常に低く設定することができ、意外性のある遊技が可能である。)
なお、抽選手段のN回目(Nは2以上の整数)の抽選において所定の抽選確率データ(図柄抽選データ)に当選する確率は、前記N回目の抽選に使用される第Nの抽選データにおける前記所定の抽選確率データの数値範囲の大きさの値を前記第Nの抽選データの数値範囲の大きさの値で除した値に、前記第Nの抽選データが使用される確率を乗じた値で求めることができ、例えば、2回目の抽選において小役3の図柄抽選データに当選する確率は、2回目の抽選に使用される抽選データ2における小役3の図柄抽選データの数値範囲の大きさの値2147を抽選データ2における全ての図柄抽選データの数値範囲の大きさの合計値65536で除した値2147/65536に、抽選データ2が抽選に使用される確率1/65536を乗じた値で求めることができ、2127/(65536)2である。
又、乱数値生成手段を複数種類(本実施例1では乱数取得処理1及び2の2種類)有し、この複数種類の乱数値生成手段は、互いに発生源の異なる乱数値(本実施例1では抽選乱数1及び抽選乱数2)を生成可能に構成され、抽選手段は、少なくとも2回の抽選を各々異なる乱数値を用いて行うため、抽選結果にばらつきを与えることができ、例えば、特定の入賞役の図柄が狙い打ちされるのを未然に防止することができる。
更に、少なくとも2回の抽選における各抽選データの数値範囲が同一(本実施例では抽選データ1及び2の数値範囲は0〜65535)であるため、記憶領域を効率良く使用することができる上に、抽選手段における演算処理の複雑化、処理時間の長期化を防止することができる。
なお、本発明に係る抽選手段の抽選は、入賞役の当否を抽選によって決定するための図柄抽選に限定されるものではなく、複数種類の演出から1つの演出を抽選によって決定するための演出抽選に適用することもできる。
以下、この演出抽選をボーナス演出に適用した例について詳細に説明する。なお、このボーナス演出抽選は副制御部400によって行われる。
<ボーナス演出の種類>
最初に、図13を用いて、スロットマシン100のボーナス演出の種類について説明する。
スロットマシン100のボーナス演出には、図13(A)〜(C)に示されるように、演出I(家紋の表示を遊技毎に大きくする演出)、演出II(殿様と刺客とが対決する演出)、演出III(殿様が城下町で姫を探す演出)の3種類の演出と、演出なしIVがある。そして、演出抽選時に取得される乱数値の範囲(この例では0〜15)が予めいくつかの領域(各当選確率の大きさに相当する領域)に分割されており、各領域に上記3種類の演出I、II、IIIの当選やはずれ(演出なしIV)が対応付けられている。なお、図13(A)〜(C)は、ボーナス演出の抽選データ(以下、「演出抽選データ」と称す。)1〜3の内訳をそれぞれ示したものであり、同図(D)〜(F)は、それぞれボーナス演出の演出抽選データ1〜3に対応付けられた各演出や演出なしの領域を模式的に図示したものである。
演出抽選データ1〜3は、副制御部400のROM412に格納されており、演出抽選では、取得した乱数値がどの範囲に属するかで演出の態様が決定する。
例えば、演出Iは、演出抽選データ1の数値範囲1〜9の領域に対応付けられており、抽選確率データは9である。演出Iが行われるのは、演出抽選時に取得した乱数値が1〜9の範囲にある場合であり、本実施例1における演出Iの当選確率は、9/16(=2304/4096)である。
演出IIは、演出抽選データ1の数値範囲10〜11の領域に対応付けられており、演出抽選データ1における抽選確率データは2である。又、演出IIは、演出抽選データ2の数値範囲1〜15の領域にも対応付けられており、演出抽選データ2における抽選確率データは15(当選確率は15/16)である。演出抽選データ2は、演出抽選時に取得した乱数値が演出抽選データ1の数値0に該当する場合にのみ使用(参照)される演出抽選データであり、演出抽選データ2は上述の通り1/16の確率で使用される。即ち、本実施例1における演出IIの当選確率は、演出抽選データ2が使用される確率である1/16に、演出抽選データ2の演出IIに当選する確率15/16を乗じた値15/256に、演出抽選データ1において演出IIに当選する確率2/16を加えた値47/256(=752/4096)となる。
以下、演出III及び演出なしIVも同様にして当選確率を求めることができる。即ち、演出IIIは演出抽選データ3の数値0に対応付けられており、その当選確率は1/16×1/16×1/16=1/4096である。又、演出なしIVは、演出抽選データ1の数値範囲12〜15及び演出抽選データ3の数値範囲1〜15の領域に対応付けられており、その当選確率は4/16+1/16×1/16×15/16=1039/4096である。
<副制御部割り込み処理>
次に、図14を用いて、副制御部400の割り込み処理について説明する。なお、図14は副制御部400の割り込み処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS501では、主制御部300からのコマンドを受信したか否かを判断し、コマンドを受信した場合には、ステップS502に進み、受信したコマンドをRAM413に格納する。一方、コマンドを受信していない場合には処理を終了する。
副制御部400は、以上の副制御部割り込み処理を、タイマ回路415からの割り込み要求に応じて実行する。
<副制御部メイン処理>
次に、図15を用いて、副制御部400のメイン処理について説明する。なお、図15は副制御部400のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS601では、主制御部300からのコマンドを受信したか否かを判断する。そして、主制御部300から何らかのコマンドを受信した場合はステップS602に進み、コマンドを受信していない場合はステップS601の判定を繰り返し実行し、コマンド受信待ちとなる。
ステップS602では、コマンド判定処理(詳細は後述)によって、主制御部300から受信したコマンドを解析する。なお、主制御300部からのコマンドには、設定変更開始(終了)、エラー発生(解除)、遊技待機状態、遊技開始、メダル投入、入賞判定、払出枚数、入賞演出情報、遊技状態などを報知するためのコマンドがある。
ステップS603では、所定の演出処理を行い、処理を終了する。
副制御部400のSubCPU410は、以上の処理を、電源断等を検知しないかぎり繰り返し実行する。
<コマンド判定処理>
次に、図16を用いて、上記副制御部メイン処理におけるコマンド判定処理(ステップS602)について説明する。なお、図16はコマンド判定処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS701では、BBの演出を開始するか否かを判断し、BB演出を開始する場合にはステップS702に進む。一方、BB演出を開始しない場合には処理を終了する。
ステップS702では、演出抽選処理(詳細は後述)を行う。
ステップS703では、演出設定により各種演出データの設定を行う。
ステップS704では、その他のコマンドの判定処理を行い、処理を終了する。
<演出抽選処理1>
次に、図17を用いて、上記コマンド判定処理における演出抽選処理1(ステップS702)について説明する。なお、図17は演出抽選処理1の流れを示すフローチャートである。
ステップS801では、BB当選演出の演出抽選データを取得する。
ステップS802では、ステップS801で取得したBB当選演出の演出抽選データの中から、上記図13(A)に示される演出抽選データ1を取得する。
ステップS803では、水晶発振器411で発振されるクロックに基づいて乱数発生回路492で生成された抽選乱数3を取得する。
ステップS804では、ステップS803で取得した抽選乱数3から、演出抽選データ1における各演出の抽選確率データの減算を行う。なお、本実施例1では、演出抽選データ1における抽選順序に従って、最初に、演出抽選データ1とは異なる演出抽選データ2が存在し抽選の抽選結果が未決定であることを示す抽選結果未決定データ(本実施例1では数値0の数値範囲である「1」)が取得され、以降、抽選確率データの取得先は「演出I」→「演出II」→「演出IV」の順序で変更される。なお、演出抽選データ1における抽選結果未決定データの当選確率(演出抽選データ2が使用される確率)は1/16である。
ステップS805では、ステップS804の減算によってキャリーが発生したか否か、即ち、減算結果が0未満になったか否かが判断される。そして、減算結果が0以上の場合にはステップS806に進む。一方、減算結果が0未満の場合には、抽選乱数3が現在抽選の対象とされている演出(演出なしも含む)の数値範囲に属し、演出に当選したものと判断し、ステップS807に進む。
ステップS806では、抽選確率データの取得先を上述の順序に従って次の演出に変更した後、ステップS804及びステップS805の処理を行う。
ステップS807では、演出に対応した結果コードをRAM413に書き込み、当選した演出を記憶する。
ステップS808は、結果コードが5であるか否か(この例では抽選乱数3が0であるか否か)を判定し、結果コードが5の場合にはステップS809に進み、演出抽選処理2(詳細は後述)を行う。一方、結果コードが5でない場合には処理を終了する。
<演出抽選処理2>
次に、図18を用いて、上記演出抽選処理1における演出抽選処理2(ステップS809)について説明する。なお、図18は演出抽選処理2の流れを示すフローチャートである。
ステップS901では、上記演出抽選処理1のステップS801で取得した演出抽選データの中から、上記図13(B)に示される演出抽選データ2を取得する。
ステップS902では、水晶発振器494で発振されるクロックに基づいて乱数発生回路492で生成された抽選乱数4を取得する。
ステップS903では、ステップS902で取得した抽選乱数4から、演出抽選データ2における各演出の抽選確率データの減算を行う。
ステップS904では、ステップS903の減算によってキャリーが発生したか否か、即ち、減算結果が0未満になったか否かが判断される。そして、減算結果が0以上の場合にはステップS905に進む。一方、減算結果が0未満の場合には、抽選乱数4が現在抽選の対象とされている演出の数値範囲に属し、演出に当選したものと判断し、ステップS906に進む。
ステップS905では、抽選確率データの取得先を次の演出に変更した後、ステップS903及びステップS904の処理を行う。
ステップS906では、演出に対応した結果コードをRAM413に書き込み、当選した演出を記憶した後、処理を終了する。
ステップS907では、結果コードが6であるか否か(この例では抽選乱数4が0であるか否か)を判定し、結果コードが6の場合にはステップS908に進み、演出抽選処理3(詳細は後述)を行う。一方、結果コードが6でない場合には処理を終了する。
<演出抽選処理3>
次に、図19を用いて、上記演出抽選処理2における演出抽選処理3(ステップS908)について説明する。なお、図19は演出抽選処理3の流れを示すフローチャートである。
ステップS1001では、上記演出抽選処理1のステップS801で取得した演出抽選データの中から、上記図13(C)に示される演出抽選データ3を取得する。
ステップS1002では、例えば、上記抽選乱数3及び抽選乱数4とは発生源の異なるソフトウェア乱数を抽選乱数5として取得する。なお、抽選乱数5は、抽選乱数3及び抽選乱数4とは発生源の異なる乱数であることが好ましいが、抽選乱数3又は抽選乱数4を利用しても構わない。
ステップS1003では、ステップS1002で取得した抽選乱数5から、演出抽選データ3における各演出の抽選確率データの減算を行う。
ステップS1004では、ステップS1003の減算によってキャリーが発生したか否か、即ち、減算結果が0未満になったか否かが判断される。そして、減算結果が0以上の場合にはステップS1005に進む。一方、減算結果が0未満の場合には、抽選乱数5が現在抽選の対象とされている演出の数値範囲に属し、演出に当選したものと判断し、ステップS1006に進む。
ステップS1005では、抽選確率データの取得先を次の演出に変更した後、ステップS1003及びステップS1004の処理を行う。
ステップS1006では、演出に対応した結果コードをRAM413に書き込み、当選した演出を記憶した後、処理を終了する。
本実施例1に係るスロットマシン100の演出抽選によれば、抽選データを複数種類(本実施例1では演出抽選データ1〜3の3種類)有し、この複数種類の抽選データの内の第1の抽選データ(本実施例1では演出抽選データ1及び2)は、この第1の抽選データとは異なる第2の抽選データ(本実施例1では演出抽選データ2及び3)が存在し抽選の抽選結果が未決定であることを示す抽選結果未決定データを少なくとも1つ有し、抽選手段(本実施例1では演出抽選処理1)は、第1の抽選時に、抽選結果未決定データにより抽選結果が未決定であると判定した場合に、第1の抽選データとは異なる第2の抽選データを用いて第2の抽選(本実施例1では演出抽選処理2又は/及び演出抽選処理3)を行い、少なくとも2回(本実施例1では2回又は3回)の抽選によって抽選結果を決定するように構成されているため、従来よりも抽選における当選確率の範囲を拡大し、意外性のある遊技を実現することが可能である(本実施例1の演出抽選において演出IIIに当選する確率は1/4096であり、他の演出に比べて出現率を非常に低く設定することができ、意外性のある遊技の演出が可能である。)
なお、抽選手段のN回目(Nは2以上の整数)の抽選において所定の抽選確率データに当選する確率は、前記N回目の抽選に使用される第Nの抽選データにおける前記所定の抽選確率データの数値範囲の大きさの値を前記第Nの抽選データの数値範囲の大きさの合計値で除した値に、前記第Nの抽選データが使用される確率を乗じた値で求めることができ、例えば、3回目の抽選において演出IIIの抽選確率データに当選する確率は、3回目の抽選に使用される演出抽選データ3における演出IIIの抽選確率データの数値範囲の大きさの値1を演出抽選データ3における全ての抽選確率データの数値範囲の大きさの合計値16で除した値1/16に、演出抽選データ3が抽選に使用される確率1/256(=1/16×1/16)を乗じた値で求めることができ、1/4096である。
特に、乱数値生成手段を複数種類有し、この複数種類の乱数値生成手段は、互いに発生源の異なる乱数値(本実施例1では抽選乱数3〜5)を生成可能に構成され、抽選手段は、少なくとも2回の抽選を各々異なる乱数値を用いて行うように構成されているため、抽選結果にばらつきを与えることができ、演出の種類が偏ることを未然に防止することができる。
又、同一種類の抽選確率データ(本実施例1では演出IIの抽選データ)が複数種類の抽選データ(本実施例1では演出抽選データ1及び2)に設定されているため、例えば、演出抽選データ1及び演出抽選データ2のいずれか一方を設計変更すれば演出IIの抽選確率を変更することができ、演出抽選データの設計変更が容易である。
なお、上記実施例1においては、上記図5(A)に示したように、16bit(数値範囲0〜65535)の抽選データ1及び2を用いて入賞役の内部抽選を行うように構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図20(A)〜(C)に示されるように8bit(数値範囲0〜255)の抽選データ1〜4を用いて入賞役の内部抽選を行ってもよい。
図20(A)に示されるように、従来の16bitの抽選データを用いた場合には、各入賞役(この例では、BB、RB、再遊技、小役1、小役2、小役3の6種類)毎に16bitの図柄抽選データを持つ必要があるため、最低で6種類の入賞役×16bit=96bitの記憶容量が必要となる。
一方、8bitの抽選データ1〜4を用いた場合には、抽選データ1における4種類の入賞役(この例では、再遊技、小役1、小役2、小役3)×8bit=32bitと、抽選データ2における2種類の入賞役(この例では、BB、RB)×8bit=16bitと、抽選データ3における4種類の入賞役(この例では、RB、再遊技、小役2、小役3)×8bit=32bitと、抽選データ4における1種類の入賞役(この例では、小役3)×8bit=8bitと、を合計した88bitの記憶容量が必要となる。
抽選データを複数用いた場合、例えば8bitの抽選データ1、2を用いて、この抽選データ1、2に全ての入賞役(この例では、BB、RB、再遊技、小役1、小役2、小役3の6種類)を設定すると、6(種類)×8bit×2(抽選データ数)=96bitの記憶容量が必要となり、従来の16bitの抽選データを用いた場合と同じ記憶容量が必要となる。しかしながら、本実施例では、上述の通り8bitの抽選データ1〜4を用いた場合であっても、従来の16bitの抽選データを用いた場合と比べ、96bit−88bit=8bitの記憶容量の削減を実現している。これは、BBやRBの当選確率が再遊技などに比べて極端に低く設定されるというスロットマシン特有のデータ構造に着目した結果、抽選データの設計変更を容易としながら、同時に、記憶容量の削減を可能としたものである。
従来の16bitの抽選データを用いた場合と同様の抽選を8bitの抽選データを用いて実現する場合、当選確率が再遊技などに比べ極端に低く設定されるBBやRBの抽選確率データは抽選データ1には設定されない。即ち、本発明に係る「少なくとも1つの抽選確率データ」は、第1の抽選データには設定されず、第2の抽選データにのみ設定され、「少なくとも1つの抽選確率データ」は、複数種類の抽選データのうち、特定の抽選データのみに設定されることになる。
よって、N回目の抽選データに設定される抽選確率データは、抽選データNが抽選に使用される確率の最小値以下の当選確率となる。例えば図20(A)では、BB当選確率を1/368と設定したが、1/368は抽選データ2が抽選に使用される確率の最小値1/256以下の確率であるので、抽選データ1にはBBに関する当選データは設定されず、抽選データ2のみに設定されている。
一方、当選確率がBBやRBなどに比べ極端に高く設定される再遊技の抽選確率データは、抽選データ1と抽選データ3の2つの抽選データに設定される。即ち、同一種類(この例では再遊技)の抽選確率データが複数種類の抽選データに設定されることになる。
なお、本実施例に係る抽選手段の2回の抽選において再遊技の抽選確率データに当選する確率は、1回目の抽選に使用される抽選データ1における再遊技の抽選確率データの数値範囲の大きさの値35を抽選データ1の数値範囲の大きさの値256で除した値35/256に、1回目の抽選に使用される抽選データ1における抽選データ3による抽選を行う抽選結果未決定データの数値範囲の大きさの値1を抽選データ1の数値範囲の大きさの値256で除した値1/256に2回目の抽選に使用される抽選データ3における再遊技の抽選確率データの数値範囲の大きさの値16を2回目の抽選に使用される抽選データ3の数値範囲の大きさの値256で除した値16/256に乗じた値16/65536(=1/256×16/256)を、足した値8976/65536(=35/256+8976/65536)であり、当選する確率はおよそ1/7.3となる。
又、図20(B)及び(C)に示されるように、抽選データ1は、抽選データ2〜4に対応する抽選結果未決定データを有している。本発明に係る第1の抽選データは、抽選結果未決定データを少なくとも1つ有していればよく、この例のように第1の抽選データが複数の抽選結果未決定データを有して構成されていてもよく、複数の抽選結果未決定データに対応した複数種類の抽選データを有する構成としてもよい。
なお、本発明に係るスロットマシンは、上記実施例1に係るスロットマシンの構造等に限定されるものではない。従って、例えば、上記実施例1においては、メダル(コイン)を遊技媒体としたスロットマシンの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたスロットマシン(いわゆるパチロット)等にも適用可能である。