JP2006236965A - 電子放出素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高性能の誘電体デバイスを提供すること。
【解決手段】本発明の誘電体デバイスを適用した電子放出素子10Aは、誘電体で構成されたエミッタ部12と、電子放出のための駆動電圧Vaが印加される上部電極14及び下部電極16とを備える。エミッタ部12はエアロゾルデポジション法を用いて形成されていて、その内部には当該エミッタ部12の厚さ方向について導通しない程度に金属が分散状態で混入されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等のディスプレイや、電子線照射装置、光源、電子部品製造装置、電子回路部品のような、電子線を利用した種々の装置における電子線源として適用され得る電子放出素子に関する。
上述の電子放出素子は、周知の通り、所定の真空度の真空中で動作させられるものであって、電子放出部(以下、エミッタ部と称する。)に所定の電界を印加することによって、エミッタ部から電子が放出されるように構成されている。この電子放出素子がFEDに適用される場合、複数の電子放出素子が二次元的に配列され、これら複数の電子放出素子に対応するように、複数の蛍光体が、電子放出素子と所定の間隔をもってそれぞれ配置される。そして、二次元配列された前記複数の電子放出素子中の、任意の位置のものが選択的に駆動されることによって、任意の位置の電子放出素子から電子が放出され、この放出された電子が蛍光体に衝突することで、任意の位置の蛍光体より蛍光が発せられ、以て所望の表示を行うことができる。
この電子放出素子の具体例としては、例えば、下記特許文献1〜5が挙げられる。これらの電子放出素子は、尖った先端部を有する微細な導体電極からなるエミッタ部を有しており、このエミッタ部に対向して設けられた基準電極と当該エミッタ部との間に所定の駆動電圧を印加することで、当該エミッタ部の上記先端部より電子を放出するように構成されていた。よって、この微細な導体電極を形成するためにはエッチングやフォーミング加工等による微細加工が必要となり、製造工程が複雑となっていた。また、上記導体電極の先端部から所定の真空度の真空中に所定量の電子を放出させるためには、駆動電圧として或る程度の高電圧が必要となり、この電子放出素子を駆動するためのIC等の駆動素子として高電圧駆動に対応可能な高価なものが必要となった。
このように、エミッタ部を導体電極とした上述の電子放出素子では、当該電子放出素子そのものや、この電子放出素子が適用された装置の製造コストが高くなるという問題があった。
そこで、エミッタ部が誘電体で構成された電子放出素子が案出され、例えば、下記特許文献6,7に開示されている。また、誘電体をエミッタ部とする場合の電子放出に関する一般的な知見は、下記非特許文献1〜3にて開示されている。
この特許文献6,7に開示された電子放出素子(以下、単に「従来の電子放出素子」という。)は、誘電体で構成されたエミッタ部の上面の一部をカソード電極で覆うとともに、このエミッタ部の下面上、又はエミッタ部の上面上であってカソード電極と所定の間隔を設けた位置にアノード電極を配設することにより構成される。すなわち、エミッタ部の上面側に、カソード電極もアノード電極も形成されていないエミッタ部表面の露出部が、カソード電極の外縁部近傍に存在するように、電子放出素子が構成される。
そして、先ず第1段階として、カソード電極とアノード電極との間に、カソード電極の方が高電位となるような電圧が印加され、この印加電圧によって形成された電界によって、エミッタ部(特に前記の露出部)が所定の分極状態に設定される。次に、第2段階として、カソード電極とアノード電極との間に、カソード電極の方が低電位となるような電圧が印加される。このとき、カソード電極の外縁部から1次電子が放出されるとともに、エミッタ部の分極が反転し、この分極が反転したエミッタ部の露出部に、前記の1次電子が衝突することで、エミッタ部(特に前記の露出部)から2次電子が放出される。この2次電子が、外部からの所定の電界により所定方向に飛翔することで、この電子放出素子による電子放出が行われる。
特開平1−311533号公報 特開平7−147131号公報 特開2000−285801号公報 特公昭46−20944号公報 特公昭44−26125号公報 特開2004−146365号公報 特開2004−172087号公報 安岡、石井著「強誘電体陰極を用いたパルス電子源」応用物理第68巻第5号、p546〜550(1999) V.F.Puchkarev, G.A.Mesyats, On the mechanism of emission from theferroelectric ceramic cathode, J.Appl.Phys., vol. 78, No. 9, 1 November, 1995,p. 5633-5637 H.Riege, Electron emission ferroelectrics - a review, Nucl. Instr.and Meth. A340, p. 80-89(1994)
ところで、前記従来の電子放出素子において、電子がカソード電極からエミッタ部に向けて放出される際には、カソード電極の表面上であって電気力線が集中して電界強度が高くなる箇所にて電子放出が起こる(なお、上述したような、導体である電極の表面上にて電気力線が集中することで、その電気力線が集中している部分の電界強度が高くなることを、以下単に「電界集中」と称し、この「電界集中」が起こる箇所のことを、以下単に「電界集中部」と称する。)。
ここで、図26に、従来の電子放出素子の一例を模式的に示す。この従来の電子放出素子200においては、エミッタ部202の上面に上部電極204が、下面に下部電極206が形成されている。そして、上部電極204は、エミッタ部202上に密着して形成されている。この場合の電界集中部は、上部電極204とエミッタ部202と真空とが交わる所謂3重点(トリプルジャンクション)である、上部電極204の外縁部分に限られる。このように、従来の電子放出素子200においては、電子放出箇所の数が限られるために、電子放出量を増やそうとしても、エミッタ部202の絶縁破壊が起こらない程度にまでしか駆動電圧を上げられない等、一定の限界があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、電子放出量を向上することができる電子放出素子を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明の特徴は、誘電体からなるエミッタ部と、そのエミッタ部に形成されており当該エミッタ部の表面から電子を放出させるための駆動電圧が印加される第1の電極及び第2の電極と、を備えた電子放出素子が、以下の構成を備えたことにある。
(1)本発明の電子放出素子においては、前記エミッタ部が、前記誘電体の微粒子からエアロゾルデポジション法により形成された誘電体層より構成されている。エアロゾルデポジション法とは、振動等を用いて粉体を気体中に分散させて煙のような状態(エアロゾル)にした後、このエアロゾルを、所定の減圧下の製膜室に搬送し、ノズルを通して所定の基板上に吹き付けることで、緻密で結晶化した固体膜を形成する方法である。このエアロゾルデポジション法によれば、空孔が少なく(例えば理論密度の90〜95%程度の)高い充填密度の誘電体層からなるエミッタ部が得られる。よって、その後に700℃あるいは600℃以下といった比較的低温の熱処理工程を行うだけで(すなわち、900℃以上の焼成工程を行わなくても)、充分な誘電特性が得られるエミッタ部を形成することが可能になる。したがって、上述の基板として耐熱温度が低い材質(例えばガラスや合成樹脂等)を用いた場合であっても、エミッタ部を構成する誘電体層の組織の緻密化が良好に行われ得る。このように、エアロゾルデポジション法を用いてエミッタ部を形成することにより、上記電界集中部における電界強度の高い、より電子放出性に優れた電子放出素子を提供することができる。
(a)本発明の電子放出素子においては、前記第1の電極の縁部における前記エミッタ部の前記表面と対向する面と前記エミッタ部の前記表面との間に空隙を有していてもよい。かかる構成によれば、上記トリプルジャンクションが前記第1の電極の縁部の先端(第1の電極の外縁、及び第1の電極が下記の通り開口部を有する場合は開口部における内縁を含む。)とは異なる箇所に発生するため、上記電界集中部が、上記トリプルジャンクション以外に、前記第1の電極の縁部の先端にも生じ得る。これにより、電子放出箇所となる電界集中部が従来よりも増加し、電子放出素子における電子放出量を向上させることができる。
(b)ここで、前記第2の電極は、前記エミッタ部の前記表面とは反対の面である裏面側に設けられていることが好適である。これにより、エミッタ部に印加される電界の方向が当該エミッタ部を構成する誘電体層の厚さ方向となるとともに、当該エミッタ部の前記表面には第1の電極のみが配列形成されることとなる。よって、エミッタ部の前記表面に第1及び第2の電極の双方が配列形成される構成と比べ、電子放出素子の平面視における占有面積が小さくなり、電子放出素子の高集積化が可能となる。特に、この電子放出素子がFEDに適用される場合に、ディスプレイの高解像度化が容易に達成される。
また、この場合、前記第1の電極の縁部における前記エミッタ部の前記表面と対向する面と前記エミッタ部の前記表面との間に形成された空隙(ギャップ)により、前記第1の電極の縁部における前記エミッタ部の前記表面と対向する面と前記エミッタ部の前記表面との間に形成される仮想的なコンデンサの静電容量が、ギャップがない場合よりも小さくなる。よって、駆動電圧のうちの大部分が実質的に当該ギャップ部分に印加されることになり、上述のようなギャップがなかった従来の電子放出素子の構成に比べて、第1の電極の縁部の電界強度が上がり、電子放出量が向上する。
(c)また、前記第1の電極は、前記エミッタ部の前記表面を当該電子放出素子の外部に向かって露出する複数の開口部を備えることが好適である。これにより、上記の電界集中部となるトリプルジャンクションや第1の電極の縁部先端が、第1の電極の外縁だけでなく、複数の開口部の内縁にも生じる。よって、電子放出箇所となる電界集中部がさらに増加し、電子放出素子における電子放出量を向上させることができる。また、第1の電極には、その外縁部と、当該外縁部より内側に位置する複数の開口部とにおいて、電子放出箇所となる電界集中部が形成されているので、当該第1の電極が占める領域内にて偏りやばらつきが抑えられた均等な電子放出が可能となる。
(d)ここで、本発明の電子放出素子は、特に、第1段階として、前記第1の電極が前記エミッタ部よりも低電位となるような駆動電圧を印加することで、前記第1の電極から前記エミッタ部に向けて電子の放出(供給)が行われ、すなわち、当該エミッタ部上に電子が蓄積(エミッタ部が帯電)され、第2段階として、前記第1の電極が前記エミッタ部よりも高電位となるような駆動電圧を印加することで、このエミッタ部上に蓄積された電子が放出される、という動作を行い得るように構成されていることが好適である。かかる動作は、例えば、以下の通りに行い得る。
第1の電極と第2の電極との間に印加される駆動電圧としては、例えば、所定の基準電位(例えば0V)に対して、パルス状又は交流状に印加される電圧が用いられる。
先ず、第1段階において、第1の電極が基準電位よりも低電位となり、第2の電極が基準電位よりも高電位となるような駆動電圧が、第1の電極と第2の電極との間に印加される。すると、この駆動電圧による電界により、エミッタ部の分極方向が、エミッタ部の表面に正電荷が現れるような方向とされるとともに、上述の電界集中部において電界集中が発生し、第1の電極からエミッタ部に向けて電子の供給が行われる。これにより、エミッタ部の表面上であって、第1の電極における開口部に対応した部分には、当該表面に現れた正電荷に引き寄せられることで電子が蓄積される。すなわち、エミッタ部の表面のうち、第1の電極における開口部に対応した部分が帯電することになる。このとき、第1の電極が電子供給源として機能する。
次に、第2段階において、駆動電圧が急減に変化して、第1の電極が基準電位よりも高電位となり、第2の電極が基準電位よりも低電位となるような駆動電圧が、第1の電極と第2の電極との間に印加される。すると、この駆動電圧による電界により、エミッタ部の分極方向が反転し、エミッタ部の表面に負電荷が現れる。これにより、前記第1段階において、エミッタ部の表面のうち、第1の電極の開口部に対応した部分に付着した電子は、分極反転により静電斥力を受けることで、エミッタ部の表面上から飛翔し、この飛翔した電子が開口部を介して外部に放出される。
このような動作によれば、前記第1段階における前記エミッタ部の帯電量の制御は比較的容易であるため、安定した電子放出量が高い制御性で得られる。特に、開口部を有する第1の電極をエミッタ部の表面に配し、第2の電極をエミッタ部の裏面に配した構成は、上記の動作を行うための電子放出素子の構成として最適である。
また、第1の電極における、エミッタ部の表面と離隔した開口部が、エミッタ部の表面から放出される電子に対して、ゲート電極又はフォーカス電子レンズのような機能を果たし得るので、放出電子の直進性を向上させることができる。
(e)また、本発明の電子放出素子においては、前記第1の電極の前記縁部が、電気力線が集中するような形状を有していてもよい。このような、電気力線が集中するような縁部形状は、例えば、縁部の内壁面において側断面視にて鋭角な形状を有する部分を設けたり、当該内壁面に突起物や、第1の電極の厚さと概略等しいかそれよりも小さい導電性微粒子を付着させたりすることにより実現可能である。また、上記形状は、縁部の内壁面が双曲面状(特に縁部の側断面視上端部と下端部とがともに鋭角となるような双曲面状)に形成されることによっても実現可能である。その他、縁部にて電気力線が集中するような第1の電極の形状は、上述したもの以外にも、様々な態様により実現可能である。これにより、当該第1の電極の縁部(第1の電極の外縁部や前記開口部の内縁部)の先端における電界集中の度合いが高くなり、当該先端からエミッタ部への電子放出量をより多くすることができる。
(f)また、本発明の電子放出素子においては、前記第1の電極が、側断面視で長手方向を有する形状の導電性粒子の集合体であり、前記長手方向が前記エミッタ部の前記表面に沿うように当該導電性粒子が配列されていてもよい。これにより、上述のような、第1の電極の縁部における前記エミッタ部の前記表面と対向する面と前記エミッタ部の前記表面との間に空隙を有する形状(以下、単に「庇形状」と称することがある。)を容易に実現することができる。
ここで、前記第1の電極を構成する、側断面視で長手方向を有する形状の導電性粒子としては、例えば、鱗片状、円盤状、コイルばね状、中空円筒状の粒子や、側断面視で棒状、針状、半球状、長円状、半長円状の形状の粒子等、様々な形状の粒子を採用し得る。そして、当該導電性粒子は、前記エミッタ部の前記表面上に、前記長手方向が前記表面に沿うように複数配置されるが、この際、前記長手方向が、必ずしも前記エミッタ部の表面と完全に平行である必要はなく、一般的にみて、上述のような作用を奏する前記ギャップや庇形状が形成される程度に「寝た」状態で、導電性粒子が前記表面上に配置されていればよい。例えば、導電性粒子の側断面視における長手方向と、前記エミッタ部の前記表面とのなす角度は、略30度以下であれば好適である。
(g)更に、前記第1の電極が開口部を有する場合、当該開口部は、複数の前記導電性粒子の外縁部により構成されていることが好適である。すなわち、前記エミッタ部の前記表面に前記導電性粒子を塗布等により単に多数配置するだけで、平面視にて隣り合う導電性粒子の外縁部により囲まれる空間によって、前記庇形状を有する開口部を容易に形成することができる。
(h)また、前記第1の電極は、前記導電性粒子の1次粒子及び/又はその1次粒子が集まった2次粒子が、前記エミッタ部の前記表面に沿って複数配列されることにより形成され、前記1次粒子又は2次粒子の、側断面視における長手方向の長さが、前記エミッタの前記表面における結晶粒の平均粒径よりも長いことが好適である。すなわち、エミッタ部を構成する誘電体層は通常多結晶体であり、結晶粒界や粉体粒子間の接合部にて凹部が生じやすい。よって、この凹部を利用すれば、前記導電性粒子の1次粒子又は2次粒子を、前記エミッタ部の前記表面上に単に複数配置するだけで、上述のような庇形状を容易に形成することができる。
(i)また、前記第1の電極は、黒鉛からなることが好適である。ここで、黒鉛粉末は、鱗状や鱗片状等、比較的鋭い端部を有する形状の導電性粒子である。換言すれば、側断面視で長手方向を有する形状を有している。したがって、この黒鉛粉末を用いて前記第1の電極を構成すれば、上述したような、前記エミッタ部と前記第1の電極の縁部との間のギャップ(空隙)や、第1の電極の縁部における庇形状や、前記第1の電極の縁部にて電気力線が集中するような形状を、容易に実現することができる。
(j)また、前記第1の電極は、更に導電性の微粒子を含むことが好適である。これに加え、前記導電性の微粒子は、前記エミッタ部の前記表面上にも付着していることが好適である。これにより、当該微粒子が前記第1の電極の表面に突起物の如く存在することとなるので、この突起形状による効果から、この微粒子が電界集中部となり得るため、電子放出箇所をさらに増加させることができる。
(k)また、前記微粒子は、前記第1の電極の縁部に対応する前記エミッタ部の前記表面上にも付着していることがさらに好適である。これにより、誘電体で構成されたエミッタ部上に、前記微粒子からなる微小なフロート電極が設けられることとなる。このフロート電極は、前記第1の電極からエミッタ部に対して放出された電子を多量に蓄積するために好適であり、電子放出素子における電子放出量をさらに増加させることができるものであるところ、このフロート電極を前記微粒子により構成すれば、例えば、前記第1の電極を前記エミッタ部の表面上に形成する際に当該第1の電極を構成する材料とともに前記表面上に塗布する等、簡単な工程でフロート電極を前記エミッタ部の表面上に設けることができる。
(l)また、前記微粒子は銀からなることが好適である。これにより、導電性の微粒子を含んだ前記第1の電極を簡易且つ安価に実現することができる。特に、前記第1の電極として黒鉛を用いた場合であって、当該第1の電極の形成過程において、酸素ガスを含む雰囲気下における加熱工程が含まれる場合、この加熱工程により銀微粒子のまわりの黒鉛が酸化されて侵食を受ける。これにより、第1の電極の縁部の形状が、鋭い端部を有するものや、電極内部に貫通孔による開口部を有するものとなりやすい。よって、電界集中部がさらに増加し得ることとなり、より好適な電極形状を得ることが可能になる。
(m)ここで、上述のような第1の電極は、以下の方法によってエミッタ部上に形成され得る。
すなわち、側断面視で長手方向を有する形状の導電性粒子が分散媒に分散されてなるペーストを調製し、前記エミッタ部の前記表面上に、前記ペーストからなる膜を形成し、前記の膜を、セラミックスの焼結温度よりも低い温度(好ましくは500℃前後)で加熱することで前記第1の電極を形成する。
これにより、(前記ペーストの粘度や配合比を適宜調整することで)上述の膜形成後、膜に対する加熱が完了するまでに、導電性粒子の自重や表面エネルギー等の作用により、上述したような、導電性粒子を「寝た」状態にすることができ、前記エミッタ部と前記第1の電極の開口部との間のギャップ(空隙)や、第1の電極における開口部の庇形状を有した好適な電子放出素子を容易に製造することができる。また、第1の電極の形成工程と、上述したようなエミッタ部に対する熱処理工程とを兼ねることができる。
また、上記の製造方法において、前記ペーストを調製する際、導電性の微粒子を前記分散媒に分散させるようにすることが好適である。これにより、上述したような、電界集中部がより多く、電子放出量が向上された電子放出素子を容易に製造することができる。
(2)本発明の他の特徴は、誘電体層を備えた誘電体デバイスであって、当該誘電体層に金属が混入されていることにある。具体的には、例えば、当該誘電体層内には、金属の微粒子状物及び/又は膜状物が分散状態で混入されている。あるいは、当該誘電体層は多数の誘電体微粒子から構成されていて、隣り合う前記誘電体微粒子の間に前記金属の微粒子状物等が介在している。
この誘電体層内への金属の混入は、当該誘電体層の形成と同時に行われ得る。例えば、上述のエアロゾルデポジション法による前記誘電体層の形成時に、誘電体粒子と金属粒子とを所定の基板に向けて噴射することによって、前記誘電体層内への金属の混入が行われ得る。あるいは、前記誘電体層内への金属の混入は、当該誘電体層の形成後に行われ得る。
好ましくは、前記金属は、誘電体層中にて散在するように(不連続に存在するように分散状態で)当該誘電体層中に混入される。あるいは、前記金属は、当該誘電体層を支持する所定の基板と当該誘電体層との間の界面にて散在するように配置され得る。なお、ここで、「不連続」とは、前記誘電体層の厚さ方向の全体にわたって(すなわち前記誘電体層の表面から裏面まで)導電性が生じることがないように、前記厚さ方向に沿って隣り合う金属の微粒子状物及び/又は膜状物の間に間隙が存在する状態をいうものとする。
かかる構成によれば、誘電体層の特性(誘電特性や電気−機械変換特性(圧電/電歪特性)等)を利用した誘電体デバイスにおいて、当該誘電体層内の空孔(ボイド)が前記金属によって埋められることで、当該誘電体層の誘電率が高められる。よって、本発明によれば、良好な特性の誘電体層を備えた高性能の誘電体デバイスが得られる。
特に、誘電体微粒子を原料として上述のエアロゾルデポジション法を用いて形成された誘電体層を備えた誘電体デバイスにおいては、前記金属がその延性により固着剤として機能することで、誘電体層の成膜性が向上される。前記原料として複数種類の誘電体微粒子が用いられる場合(例えば、平均粒径の大きな粗粒と、平均粒径の小さな微粒とが、原料として用いられ、これら粗粒と微粒とから誘電体層が構成される場合。あるいは、平均粒径はほぼ同じであるが比重が異なる複数種類の誘電体微粒子が原料として用いられ、これら複数種類の誘電体微粒子から誘電体層が構成される場合。)、成膜性の向上の効果が顕著である。したがって、良好な特性の誘電体層を備えた誘電体デバイスの生産性が向上される。
かかる構成の誘電体デバイスは、上述の電子放出素子に好適に適用され得る。すなわち、前記誘電体層は、上述の電子放出素子におけるエミッタ部として用いられ得る。換言すれば、上述の電子放出素子の構成において、前記エミッタ部に金属が混入されている。具体的には、例えば、前記金属の微粒子状物及び/又は膜状物が、前記エミッタ部中にて散在するように(不連続に存在するように分散状態で)混入され得る。あるいは、前記金属の微粒子状物等が、前記エミッタ部と当該エミッタ部を支持する所定の基板との間の界面における前記各誘電体粒子と当該基板との間にて散在し得る。
上述の構成によれば、エミッタ部の誘電体層としての性質(絶縁性ないし半導電性)が維持されつつ、当該エミッタ部内の空孔(ボイド)が当該金属によって埋められることで当該エミッタ部における誘電率が高められ、以て良好な電子放出特性が得られる。
このエミッタ部を構成する前記誘電体層内への金属の混入は、当該誘電体層の形成と同時に行われ得る。例えば、上述のエアロゾルデポジション法による前記誘電体層の形成時に、誘電体粒子と金属粒子とを、前記第2電極が形成された所定の基板に向けて噴射することによって、当該エミッタ部を構成する前記誘電体層内への金属の混入が行われ得る。
あるいは、前記エミッタ部を構成する前記誘電体層内への金属の混入は、当該誘電体層の形成後に行われ得る。例えば、所定の基板上に、金属からなる前記第2の電極を形成し、形成された当該第2の電極の上に前記誘電体層を形成し、その後に熱処理等を行うことで、当該エミッタ部を構成する前記誘電体層内への金属の混入が行われ得る。
前記エミッタ部を構成する前記誘電体層内へ混入される金属には、銀が含まれていることが好適である。この場合、前記第2の電極として、銀を含有する電極(例えば、銀電極や、銀−パラジウム合金等の銀合金からなる電極)が用いられていることが好適である。
なお、上述の(2)に記載の構成と、上述の(a)ないし(m)の内容とが、矛盾しない範囲で組み合わされ得る。
(3)本発明の他の特徴は、電子放出素子が、上述のエミッタ部、第1の電極、及び第2の電極の他に、耐熱温度(ガラスの場合は歪み点、合成樹脂の場合はガラス転移温度又は流動開始温度)が低い材質からなり前記第2の電極及び/又は前記エミッタ部を支持する基板(以下、「低耐熱性基板」と称する。)がさらに備えられていて、前記エミッタ部が0.5μm以上の粒径の結晶を20%以上含有する多結晶体から構成されていることにある。これにより、当該エミッタ部の比誘電率をより高くすることができる。なお、1μm以上の粒径の結晶を20%以上含有するように前記エミッタ部が構成されていることが、より好適である。これにより、後述するような、前記エミッタ部における表面粗さが容易且つ確実に形成され得る。
かかる低耐熱性基板を構成する上述の材質としては、例えば、ガラスや合成樹脂を挙げることができる。具体例としては、前記耐熱温度が700℃以下であるガラスが、前記低耐熱性基板として好適に用いられ得る。
ここで、前記エミッタ部には、電磁波の照射による加熱が施されていることが好適である。これにより、上述のエミッタ部における誘電体組織の緻密化のための熱処理工程が、低耐熱性基板に対してダメージを与えることなく良好に行われ得る。具体的には、例えば、前記エミッタ部の上方から赤外線照射を行うことで、前記低耐熱性基板がほとんど加熱されることなく、前記エミッタ部(及び前記第2電極における前記エミッタ部との界面近傍)が集中的に加熱され得る。
なお、上述の(3)に記載の構成と、上述の(2)及び(a)ないし(m)の内容とが、矛盾しない範囲で組み合わされ得る。
(4)なお、上述した本発明の電子放出素子においては、前記第1の電極が、前記エミッタ部の前記表面に設けられ、前記エミッタ部の前記表面における表面粗さが、中心線平均粗さ(Ra)で0.1(μm)以上3(μm)以下となるように、当該エミッタ部が構成されていることが好適である(以下、中心線平均粗さをRaと略し、単位μmの記載を省略する。)。
すなわち、所定の駆動電圧の印加によって前記第1の電極からの電子供給を受け、電子放出作用を奏する前記エミッタ部表面の表面粗さを、Ra0.1以上とすることで、電子放出作用に係るエミッタ部の表面積が大きくなったり、後述するような、第1の電極の縁部下面とエミッタ部表面との間に形成されるギャップないし庇形状の発生等により、第1の電極の縁部における電界集中が生じやすくなったりすることにより、電子放出量が従来よりも増加する。
また、前記エミッタ部表面の表面粗さをRa3以下とすることで、エミッタ部表面のうちの、電子放出作用を奏し得ない深い溝状の凹部の割合が低くなり、電子放出効率を高めることができる。ここで、前記エミッタ部表面の表面粗さは、(1)Raが0.1以上0.5以下である第1の範囲、又は(2)Raが0.5を超え且つ3以下である第2の範囲、のいずれかに適合するように設定され得る。例えば、第1の電極とエミッタ部表面との接合性や電子放出特性等を考慮した上で、前記第1の電極の特性(形状、形成方法、当該第1の電極を構成する材料の粒子径や粒子形状等)や、前記エミッタ部の特性(形成方法、材料の粒径その他の特性)等の当該電子放出素子の構造上の特性に応じて、前記エミッタ部表面の表面粗さが上述の第1の範囲及び第2の範囲のうちのいずれかに適合するように適宜設定され得る。
(5)本発明は、基板と、その基板の上に形成された下部電極(上述の第2電極に相当する)と、その下部電極の上に形成された誘電体層よりなるエミッタ部と、そのエミッタ部の上に形成された上部電極(上述の第1電極に相当する)と、を備えた電子放出素子の製造方法を対象としている。
本発明の製造方法は、耐熱温度が低い材質からなる基板(上述の低耐熱性基板)の上に下部電極を形成する工程と、その下部電極の上に、誘電体層よりなるエミッタ部を形成する工程と、そのエミッタ部の上に、上部電極を形成する工程と、を含む。
ここで、本発明の製造方法は、前記エミッタ部に対して電磁波を照射することにより、当該エミッタ部を加熱する工程をさらに含んでいることが好適である。これにより、エミッタ部における誘電体組織の緻密化のための熱処理工程が、当該低耐熱性基板に対してダメージを与えることなく良好に行われ得る。具体的には、例えば、前記エミッタ部の上方から赤外線照射を行うことで、前記低耐熱性基板がほとんど加熱されることなく、前記エミッタ部(及び前記下部電極における前記エミッタ部との界面近傍)が集中的に加熱され得る。
また、前記エミッタ部を形成する工程は、エアロゾルデポジション法を用いて、前記下部電極の上に誘電体層を形成する工程であることが好適である。このエアロゾルデポジション法によれば、前記低耐熱性基板の上に、空孔が少なく高い充填密度の誘電体層からなるエミッタ部が得られる。よって、その後に700℃あるいは600℃以下といった比較的低温の熱処理工程を行うだけで、充分な誘電特性が得られるエミッタ部を形成することが可能になる。したがって、エミッタ部を構成する誘電体層の組織の緻密化が良好に行われ得る。
また、前記エミッタ部を構成する誘電体層に金属を含有させる工程をさらに含んでいてもよい。これにより、当該エミッタ部における誘電率を高くすることが容易に行われ得る。
また、前記下部電極を形成する工程は、前記基板の上に、金属(例えば、銀または銀の合金)を含有する電極層を形成する工程であってもよい。これにより、前記エミッタ部に金属が含有されている場合に当該エミッタ部と当該下部電極との親和性が向上し、当該エミッタ部と当該下部電極との固着強度が向上し得る。また、前記エミッタ部における誘電体組織の緻密化のための熱処理工程が行われる際(特に上述の電磁波を照射する工程)によって、当該下部電極から金属成分(例えば銀)が前記エミッタ部に拡散する。よって、簡略な工程を用いて前記エミッタ部に金属を含有させることができる。
また、前記エミッタ部を構成する誘電体層に金属を含有させる工程は、前記エミッタ部を形成する工程に含まれていてもよい。例えば、上述のエアロゾルデポジション法による前記誘電体層の形成時に、誘電体粒子と金属粒子とを、前記第2電極が形成された所定の基板に向けて噴射することによって、当該エミッタ部を構成する前記誘電体層内への金属の混入が行われ得る。
以上説明したように、本発明に係る電子放出素子によれば、電子放出量が向上された電子放出素子を提供することが可能となる。
以下、本発明に係る誘電体デバイスの好適な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、本発明に係る誘電体デバイスが、FED等のディスプレイや、電子線照射装置、光源、LEDの代替用途、電子部品製造装置、電子回路部品のような、電子線を利用した種々の装置の電子線源として用いられる電子放出装置に適用された例を示したものである。
<第1の実施形態の電子放出素子の構成>
まず、第1の実施の形態に係る誘電体デバイスである電子放出素子の構成について、図1〜図10を用いて説明する。
<<電子放出素子の概略構成>>
図1は、本実施形態の電子放出素子10Aを拡大した側断面図である。当該電子放出素子10Aは、ガラス基板11の上に2次元的に多数形成されており、図1はそのうちの1つを図示しているものとする。この電子放出素子10Aは、板状のエミッタ部12と、該エミッタ部12の表面12a上に形成されるとともに開口部20を備えた第1の電極としての上部電極14と、前記ガラス基板11上に形成され、前記エミッタ部12の第2の面である裏面12bと接するように配置された第2の電極としての下部電極16とを備えている。
エミッタ部12は、誘電体を材質とする多結晶体から構成されており、エミッタ部12の厚みは、上部電極14と下部電極16との間に駆動電圧を印加した場合に、当該エミッタ部12にて分極反転が生じ、且つ絶縁破壊が起こらない程度の電界強度となるように、駆動電圧との関係で決定される。例えば、エミッタ部12の絶縁破壊電圧が10kV/mm以上であるとした場合、駆動電圧として100Vを印加するとすれば、理論的にはエミッタ部12の厚みは10μm以上であればよいことになるが、絶縁破壊が起こらないようにマージンを見て、エミッタ部12の厚みは20μm程度に設定されることが好ましい。
上部電極14は、厚みが0.1〜20μmとなるように形成されており、エミッタ部12の表面12aが外部に露出される複数の開口部20を有する。図2は、この開口部20の形状の一例を示す平面図である。図2に示すように、上部電極14は、鱗片状の形状を有する多数の導電性粒子15(例えば黒鉛)から構成されている。すなわち、上部電極14は、多数の導電性粒子15が、当該導電性粒子15の側断面視における長手方向がエミッタ部12の表面12aに沿うように「寝た」状態で配置されることにより形成されている。具体的には、導電性粒子15の側断面視における長手方向と、エミッタ部12の表面12a(結晶粒界等による凹凸を平均化した滑らかな仮想平面)とのなす角度が略30度以下であるように、各導電性粒子15が上記表面12a上に配置されている。この導電性粒子15は、本実施形態においては、エミッタ部12を構成する誘電体の粒径よりも大きい一次粒子の大きさ(側断面視における最も長い長手方向の長さ)となるものが用いられている。
なお、図1及び図2から明らかなように、1つの上部電極14を構成する多数の導電性粒子15は、それぞれ互いに重なり合うことで導通が保たれている。そして、開口部20は、平面視にて、多数の導電性粒子15の外縁部15aにより構成されている。すなわち、開口部20における開口20aは、複数の導電性粒子15の外縁部15aで囲まれた空間により形成されている。
下部電極16は、金属薄膜により構成され、厚みは20μm以下であるとよく、より好適には5μm以下であるとよい。また、上部電極14及び下部電極16には、これら上部電極14と下部電極16との間に駆動電圧Vaを印加するパルス発生源18が接続されている。
本電子放出素子10Aは、所定の真空雰囲気中にて作動するものであり、雰囲気(特に図1におけるエミッタ部12の表面12aの上方の空間)中の真空度は、例えば、102〜10-6Paが好ましく、より好ましくは10-3〜10-5Paである。そして、本電子放出素子10Aは、上部電極14から供給された電子を、開口部20に対応するエミッタ部12の表面12a上に蓄積した後に、この表面12a上に蓄積された電子を、開口部20を介して外部の雰囲気(図1における上方)に放出するように構成されている。
また、上述の通り、エミッタ部12は多結晶体から構成されているので、エミッタ部12の表面12aには、結晶粒界等により微視的な凹凸が形成され、エミッタ部12の表面12aには凹部24が形成されている。そして、上部電極14の開口部20は、前記凹部24に対応した部分に形成されている。図1の例では、1つの凹部24に対応して1つの開口部20が形成される場合を示しているが、複数の凹部24に対応して1つの開口部20が形成される場合もある。
<<電子放出素子の要部の詳細な構成>>
図3は、本実施形態の電子放出素子10Aの要部を拡大して示す側断面図である。図3に示すように、開口部20は、当該開口部20の内縁で構成される開口20aと、その開口20aの周囲の部分である周部26とからなる。そして、上部電極14のうち、開口部20の周部26におけるエミッタ部12と対向する面26aが、エミッタ部12から離隔している。つまり、上部電極14のうち、開口部20の周部26におけるエミッタ部12と対向する面26aとエミッタ部12との間にギャップ28が形成され、上部電極14における開口部20の周部26が庇状(オーバーハング状)に形成された形となっている(従って、以下の説明では、「周部26」を「庇部26」と記す。また、「周部26におけるエミッタ部12と対向する面26a」を「庇部26の下面26a」と記す。)。そして、図2及び図3から明らかなように、上述の庇部26は、複数の導電性粒子15の外縁部15aにより構成されている。
ここで、本実施形態では、エミッタ部12の表面12a(凹凸形状における凸部の頂点付近の面)と、上部電極14の庇部26の下面26aとのなす角の最大角度θを、1°≦θ≦60°としている。
また、エミッタ部12の表面12aと、上部電極14の庇部26の下面26aとの間の鉛直方向に沿った最大間隔dを、0μm<d≦10μmとするとともに、当該表面12aの表面粗さを、Raで0.1以上3以下(0.1以上0.5以下、又は0.5を超え且つ3以下)としている。
そして、エミッタ部12の表面と上部電極14と該電子放出素子10Aの周囲の媒質(例えば、真空)との接触箇所においてトリプルジャンクション(上部電極14とエミッタ部12と真空との接触により形成される3重点)26cが形成されている。そして、このトリプルジャンクション26cは、上部電極14と下部電極16との間に駆動電圧Vaを印加した場合に、電気力線の集中(電界集中)が生じる箇所(電界集中部)である。なお、ここにいう「電気力線の集中」とは、仮に上部電極14,エミッタ部12,及び下部電極16を側断面視無限長の平板として電気力線を描く場合に、下側電極16から均等間隔で発した電気力線が集中する箇所をいうものとする。この電気力線の集中(電界集中)の様子は、有限要素法による数値解析によって簡単にシミュレーションすることができる。
さらに、本実施形態においては、開口部20は、当該開口部20の内縁26bが電界集中部となるような形状を備えている。具体的には、上記開口部20の庇部26の側断面視における形状は、当該庇部26の先端である上記内縁26bに向かって鋭角に尖っている(厚みが徐々に薄くなっていく)ように形成されている。このような開口部20の形状を有する上部電極14は、側断面視にて長手方向を有する形状の粒子である導電性粒子15を、上述の通り、当該導電性粒子15の側断面視における長手方向がエミッタ部12の表面12aに沿うように「寝た」状態で配置することにより、簡易な方法で形成することができる。なお、上述のような、開口部20の内縁26bにおける電界集中部、及び前記トリプルジャンクション26cは、上部電極14の外周における外縁部21(図1参照)に対応する位置にも生ずる。
ここで、開口部20は、平面視にて開口20aの形状を当該開口20aの面積と同面積となるような円形に近似した場合の直径の平均が、0.1μm以上、20μm以下となるように形成されている。その理由は、以下の通りである。
図3に示すように、エミッタ部12のうち、上部電極14と下部電極16(図1参照)間に印加される駆動電圧Vaに応じて分極が反転あるいは変化する部分は、上部電極14が形成されている直下の部分(第1の部分)40と、開口部20の内縁(内周)から開口部20の内方に向かう領域に対応した部分(第2の部分)42であり、特に、第2の部分42の発生範囲は、駆動電圧Vaのレベルや当該部分の電界集中の度合いによって変化することになる。そして、本実施形態における開口20aの平均径(0.1μm以上、20μm以下)の範囲であれば、開口部20にて放出される電子の放出量が充分稼げるとともに、効率よく電子を放出することができる。すなわち、開口20aの平均径が0.1μm未満の場合、上部電極14から供給された電子を蓄積して電子放出に寄与する主要な領域である第2の部分42の面積が小さくなり、放出される電子の量が少なくなる。一方、開口20aの平均径が20μmを超えると、エミッタ部12の前記開口部20から露出した部分のうち、第2の部分42の割合(占有率)が小さくなり、電子の放出効率が低下する。
<<電子放出素子における電子放出原理の説明>>
次に、電子放出素子10Aの電子放出原理について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、本電子放出素子10Aに適用される駆動電圧の波形を示す図である。図5及び図6は、本電子放出素子10Aの動作の様子を示す図である。本実施形態では、上部電極14と下部電極16との間に印加される駆動電圧Vaとしては、図4に示す通り、基準電圧を0Vとし、第1段階としての時間T1は、上部電極14の方が下部電極16よりも低電位となる(負電圧)V2となり、続く第2段階としての時間T2は、上部電極14の方が下部電極16よりも高電位となる(正電圧)V1となるような、周期が(T1+T2)である矩形波が用いられる。
また、初期状態において、エミッタ部12が一方向に分極されていて、例えば双極子の負極がエミッタ部12の表面12aに向いた状態(図5A参照)となっている場合を想定して説明する。
先ず、基準電圧が印加されている初期状態では、図5Aに示すように、双極子の負極がエミッタ部12の表面12aに向いた状態となっていることから、エミッタ部12の表面12aには電子がほとんど蓄積されていない状態となっている。
その後、負電圧V2を印加すると、分極が反転する(図5B参照)。この分極反転によって、上記した電界集中部である内縁26bやトリプルジャンクション26cにおいて電界集中が発生し、上部電極14における上記の電界集中部からエミッタ部12の表面12aに向けた電子放出(供給)が起こり、例えば表面12aのうち、上部電極14の開口部20から露出する部分や上部電極14の庇部26近傍の部分に電子が蓄積される(図5C参照)。すなわち、表面12aが帯電することになる。この帯電は、エミッタ部12の表面抵抗値により一定の飽和状態となるまで可能であるが、制御電圧の印加時間により帯電量を制御することが可能である。このように、上部電極14(特に上記電界集中部)が、エミッタ部12(表面12a)への電子供給源として機能する。
その後、負電圧V2から、図6Aの如く一旦基準電圧となった後、さらに、正電圧V1が印加されると、分極が再度反転し(図6B参照)、双極子の負極によるクーロン反発力により、表面12aに蓄積されていた電子が開口20aを通過して外部に向けて放出される(図6C参照)。
なお、上部電極14における、開口部20のない外周部における外縁部においても、上述と同様に電子放出が行われている。
<<電子放出素子の等価回路図>>
また、本実施形態においては、図7に示すように、電気的な動作において、上部電極14と下部電極16間に、エミッタ部12によるコンデンサC1と、各ギャップ28による複数のコンデンサCaの集合体とが形成された形となる。すなわち、各ギャップ28による複数のコンデンサCaは、互いに並列に接続された1つのコンデンサC2として構成され、等価回路的には、集合体によるコンデンサC2にエミッタ部12によるコンデンサC1が直列接続された形となる。
実際には、集合体によるコンデンサC2にエミッタ部12によるコンデンサC1がそのまま直列接続されることはなく、上部電極14への開口部20の形成個数や全体の形成面積等に応じて、直列接続されるコンデンサ成分が変化する。
ここで、図8に示すように、例えばエミッタ部12によるコンデンサC1のうち、その25%が集合体によるコンデンサC2と直列接続された場合を想定して、容量計算を行ってみる。先ず、ギャップ28の部分は真空であることから比誘電率は1となる。そして、ギャップ28の最大間隔dを0.1μm、1つのギャップ28の部分の面積S=1μm×1μmとし、ギャップ28の数を10,000個とする。また、エミッタ部12の比誘電率を2000、エミッタ部12の厚みを20μm、上部電極14と下部電極16の対向面積を200μm×200μmとすると、集合体によるコンデンサC2の容量値は0.885pF、エミッタ部12によるコンデンサC1の容量値は35.4pFとなる。そして、エミッタ部12によるコンデンサC1のうち、集合体によるコンデンサC2と直列接続されている部分を全体の25%としたとき、該直列接続された部分における容量値(集合体によるコンデンサC2の容量値を含めた容量値)は0.805pFであり、残りの容量値は26.6pFとなる。
これら直列接続された部分と残りの部分は並列接続されているから、全体の容量値は、27.5pFとなる。この容量値は、エミッタ部12によるコンデンサC1の容量値35.4pFの78%である。つまり、全体の容量値は、エミッタ部12によるコンデンサC1の容量値よりも小さくなる。
このように、複数のギャップ28によるコンデンサCaの集合体については、ギャップ28によるコンデンサCaの容量値が相対的に小さいものとなり、エミッタ部12によるコンデンサC1との分圧から、印加電圧Vaのほとんどはギャップ28に印加されることになり、各ギャップ28において、電子放出の高出力化が実現される。
また、集合体によるコンデンサC2は、エミッタ部12によるコンデンサC1に直列接続された構造となることから、全体の容量値は、エミッタ部12によるコンデンサC1の容量値よりも小さくなる。このことから、電子放出は高出力であり、全体の消費電力は小さくなるという好ましい特性を得ることができる。
ここで、本発明の電子放出素子の好適な一実施例について、図9を用いて説明する。この第1実施例の電子放出素子110Aにおいて、エミッタ部12は、多数の第1の誘電体粒子12e及び第2の誘電体粒子12fから構成されている。第1の誘電体粒子12eは、粒径が1μm以上の比較的粗大な粒子であり、第2の誘電体粒子12fは、第1の誘電体粒子12eと同材質であるが、サブミクロンの粒径を有する微粒子である。そして、第2の誘電体粒子12fは、多数の第1の誘電体粒子12e同士で囲まれる空間内に充填されるように配置されている。
ここで、エミッタ部12の表面12aは、所定の電界の印加によって電子放出作用を奏するため、あまりに粒子径が小さい粒子が多いと結晶粒界等の欠陥が多くなって比誘電率が下がることで印加電界強度が下がるので好ましくなく、ミクロンオーダーの粒径の粗粒子が多いほど好ましい。よって、エミッタ部12を構成する誘電体粒子(第1の誘電体粒子12e及び第2の誘電体粒子12fを含む)の粒径分布としては、1μm以上の粒径の粒子が30%以上含まれることが好適であり、より好ましくは、1μm以上の粒径の粒子が50%以上含まれ、さらに好ましくは、2μm以上の粒径の粒子が50%以上含まれる。なお、上述の粒径及びその割合は、断面を画像解析して算出した値であり、例えば、各粒子を、当該粒子の面積と等しい面積の円形に近似して、その円形の直径を粒径とし、この粒径の分布を面積基準で算出した場合の値を用いることができる。
また、上述の通り、エミッタ部12は多数の第1の誘電体粒子12e及び第2の誘電体粒子12fから構成された多結晶体であるので、エミッタ部12の表面12aには、隣接する第1の誘電体粒子12e同士の接合部や結晶粒界により微視的な凹凸が形成される。
上述の通り、本実施例では、エミッタ部12は、ミクロンオーダーの比較的粗大な第1の誘電体粒子12eと、サブミクロンオーダーの微粒子である第2の誘電体粒子12fとからなり、第2の誘電体粒子12fは、多数の第1の誘電体粒子12e同士で囲まれた空間内を充填するように配置されている。よって、多数の第1の誘電体粒子12e同士で囲まれた空間内における第2の誘電体粒子12fの充填度合いを適宜調整することで、エミッタ部12に要求される物理的・電気的特性を適切に設定することが容易となる。特に、上述のような表面粗さに前記表面12aを設定することが容易にできる。また、当該エミッタ部12の表面12aに、隣接する複数の誘電体粒子12e,12fの接合部や結晶粒界により微視的な凹凸が形成され、この微視的な凹凸を利用すれば、上述の庇部26のような庇形状が容易に形成できる。特に、側断面視にて長手方向を有する形状の導電性粒子15を当該エミッタ部12の表面12a上に単に配列するだけで、上述の庇部26が容易に且つ多数形成される。なお、この場合、エミッタ部12における第1の誘電体粒子12eの平均粒径が上述のように1〜2μm近辺となることからすれば、導電性粒子15の一次粒子の大きさは略3μm以上であれば好適である。また、第2の誘電体粒子12fは、第1の誘電体粒子12eと同材質であるので、互いの接触部において両者の表面エネルギーに差がないために、当該接触部において第1の誘電体粒子12eと第2の誘電体粒子12fとのなじみが良く、エミッタ部12における誘電体材料の充填密度を高めることが容易となる。
特に、エミッタ部12をエアロゾルデポジション法やゾル含浸法を用いて形成すれば、欠陥の少ない高充填率で高誘電率の誘電体薄層が比較的低温のプロセスによって得られる。よって、ガラス基板(例えば、セントラル硝子株式会社製 CP600V:歪み点583℃)等の耐熱性の比較的低い安価な基板上に電子放出素子10Aを形成することができ、FEDにおける画面の大型化や低コスト化が可能となる。また、エアロゾルデポジション法やゾル含浸法の成膜条件により、エミッタ部12の物性(表面粗さ等)を任意に調整することができる。なお、上部電極14を形成する際に500℃以下の熱処理を行えば、エミッタ部12の誘電率がより高くなり、電子放出能力が向上する。
さらに、第2の好適な実施例に係る電子放出素子210Aについて、図10を参照しながら説明する。この第2の実施例に係る電子放出素子210Aにおいては、エミッタ部12は、当該エミッタ部12の最上層をなす第1層12cと、この第1層12cの下層にあって前記下部電極16上に形成された第2層12dとからなる2層構造を有している。そして、第1層12cの表面がエミッタ部12の表面12aを構成する。また、前記第1層12cは、多数の第1の誘電体粒子12eから構成されている。
上述の通り、第1層12cの表面は、所定の電界の印加によって電子放出作用を奏する、エミッタ部12の表面12aを構成するため、特に第1層12cを構成する第1の誘電体粒子12eについては、あまりに粒子径が小さいと結晶粒界等の欠陥が多くなって比誘電率が下がることで印加電界強度が下がるので好ましくなく、ミクロンオーダーの粒径の粗粒子が多いほど好ましい。よって、この第1の誘電体粒子12eの粒径分布としては、1μm以上の粒径の粒子が30%以上含まれることが好適であり、より好ましくは、1μm以上の粒径の粒子が50%以上含まれ、さらに好ましくは、2μm以上の粒径の粒子が50%以上含まれる。なお、ここにいう粒子の粒径及びその割合は、断面を画像解析して算出した値であり、例えば、各粒子を、当該粒子の面積と等しい面積の円形に近似して、その円形の直径を粒径とし、この粒径の分布を面積基準で算出した場合の値を用いることができる。
また、前記第2層12dは、前記第1の誘電体粒子12eよりも平均粒径の小さな多数の第2の誘電体粒子12fから構成されている。この第2層12dは、ガラス基板11上に予め形成された金属製の下部電極16の上に形成されるとともに、当該第2層12dの上に第1層12cを支持する。すなわち、当該第2層12dは、金属製の下部電極16上に充分な強度で固着するとともに、第1層12cとの間にクラック等の欠陥が生じないように、第1層12cとも強固に固着する必要がある。よって、当該第2層12dを構成する第2の誘電体粒子12fは、第1の誘電体粒子12eとは異なり、粒径分布の狭いサブミクロンオーダーの微粒子であることが好適である。
<電子放出素子の製造方法>
次に、本実施形態の電子放出素子10Aの製造方法について、特にエミッタ部12の形成方法を中心に、図11ないし図14を用いて説明する。なお、以下の製造方法の説明にあたって、当該電子放出素子の各部を参照する際に、上述の各図における符号を適宜引用するものとする。
図11は、本製造方法の概略を示す流れ図である。図11に示されているように、本製造方法においては、まず、ガラス基板上に下部電極16を形成する工程S1(Sはステップの略:以下同様)が行われる。次に、この工程S1によって形成された下部電極16の上に誘電体膜を形成する工程S2が行われる。続いて、この工程S2によって形成された誘電体膜に熱処理を行うことでエミッタ部12を形成する熱処理工程S3が行われる。さらに、この熱処理工程S3を経て形成されたエミッタ部12の上に上部電極14を形成する工程S4が行われる。
<<エアロゾルデポジション法による誘電体層の形成>>
図12は、エアロゾルデポジション法で膜形成することで、エミッタ部12を構成する誘電体層を形成する工程S2において用いられ得る、エアロゾルデポジション装置の概略を示す構成図である。エアロゾルデポジション法によれば、基板上での製膜過程において、原料粉末の破砕、磨砕が生じるため、表面粗さを安定的に制御することができる。
エアロゾルデポジション装置60は、成膜室70と、第1エアロゾル供給部80とを備える。成膜室70は、内部が所定の真空度に保たれる真空容器71と、その真空容器71内にガラス基板11を保持して任意の方向にガラス基板11を移動可能なXYZθステージ72と、そのXYZθステージ72に保持されたガラス基板11上にエアロゾルを吹き付けるために前記真空容器71内に固定された第1ノズル73と、前記真空容器71内を所定の真空度にするための真空ポンプ76とを備えている。
真空容器71は、真空ポンプ76を用いて、内部の真空度を50〜1000Pa前後に設定される。前記第1ノズル73は、10mm×0.4mmのスリット形の開口を有し、この開口から、第1エアロゾル供給部80より供給されたエアロゾルを、上記の真空度にされた真空容器71内でガラス基板11上に向けて噴射するためのノズルである。ガラス基板11は、XYZθステージ72によって任意の方向に移動されることにより、第1ノズル73に対して相対移動されながらエアロゾルが吹き付けられる。
第1エアロゾル供給部80は、原料粉体81を貯蔵する第1エアロゾル化室82と、この第1エアロゾル化室82にて原料粉体81と混合してエアロゾルを生成させるためのキャリアガスを貯蔵する圧縮ガス供給源83と、この圧縮ガス供給源83からキャリアガスを第1エアロゾル化室82に供給するための圧縮ガス供給管84と、第1エアロゾル化室82内で原料粉体81と前記キャリアガスを混合してエアロゾル化するために第1エアロゾル化室82に振動を与えるための振動撹拌部85と、第1エアロゾル化室82からエアロゾルを第1ノズル73に供給するためのエアロゾル供給管86と、このエアロゾル供給管86におけるエアロゾル流量を調節することで第1ノズル73からガラス基板11へのエアロゾル噴射量を制御するための制御弁87とを備えている。
原料粉体81は、誘電体の粉体であり、上記第1・第2の実施例のような構成のエミッタ部12を形成する場合には、比較的粗粒の誘電体の粉体と、それよりも粒径の小さい誘電体微粒子の粉体との2種類の誘電体粉体が用いられる。例えば、平均粒径1.5〜5μm(メーカー公称値:レーザー回折法又はコールターマルチサイザー(登録商標)による測定値)の比較的粗粒の誘電体の粉体と、平均粒径1μm(メーカー公称値:同上)以下の誘電体の微粉末とを混合したものが用いられる。また、上記各実施例のような構成ではなく、単層構成のエミッタ部12を構成する場合には、平均粒径1μm(同上)以下の誘電体の粉体が用いられる。
この原料粉体81は、第1エアロゾル化室82内で、振動撹拌部85から受ける振動により、キャリアガスと激しく混合されることでエアロゾル化される。このエアロゾルは流体のような挙動を示すので、制御弁87が開かれた状態においては、第1エアロゾル化室82と真空容器71との圧力差によって、エアロゾルは真空容器71に向かって流動し、第1ノズル73を介して高速でガラス基板11に向けて噴射され得る。なお、圧縮ガス供給源83に貯蔵されたキャリアガスは、圧縮空気の他、ヘリウム,アルゴンその他の希ガスや窒素ガス等の不活性ガスを用いることもできる。そして、制御弁87を開いて、原料粉体81のエアロゾルをガラス基板11に向けて噴射することで、ガラス基板11上(正確には下部電極16上)にエミッタ部12が形成される。
図13は、エアロゾルデポジション法で膜形成することで、エミッタ部12を構成する誘電体層を形成する工程S2において用いられ得る、エアロゾルデポジション装置の別の例について、その概略を示す構成図である。なお、図12におけるエアロゾルデポジション装置60と同様の作用・機能を有する構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
エアロゾルデポジション装置160は、成膜室70と、第1エアロゾル供給部80と、第2エアロゾル供給部90とを備える。成膜室70には、前記第1ノズル73の他、第2エアロゾル供給部から供給されたエアロゾルを成膜室70内でガラス基板11に向けて噴射するための第2ノズル74を備える。第1エアロゾル供給部80は、原料粉体181を使用する以外は上記の図12の場合と同様である。第2エアロゾル供給部90も、原料粉体191を使用する以外は第1エアロゾル供給部80と同様の構成を有しており、第2エアロゾル化室92と、圧縮ガス供給源93と、圧縮ガス供給管94と、振動撹拌部95と、エアロゾル供給管96と、制御弁97とを備えている。前記第2ノズル74は、5mm×0.3mmのスリット形の開口を有する。
原料粉体181は、平均粒径1.5〜5μm(メーカー公称値:同上)の比較的粗粒の誘電体の粉体であり、原料粉体191は、平均粒径1μm(メーカー公称値:同上)以下の誘電体の微粉末である。そして、制御弁87及び制御弁97を同時に、又は適宜いずれか一方を開くことで、ガラス基板11上(正確には下部電極16上)にエミッタ部12が得られる。
なお、エアロゾルの噴射条件や原料粉体81,181,191の各粒子における機械的特性等によって様子は異なるが、前記原料粉体81,181,191の各粒子は、ガラス基板11に向けて噴射されガラス基板11等と衝突した際に衝撃力を受けるので、前記原料粉体81,181,191の各粒子の形状と、ガラス基板11上に形成されたエミッタ部12を構成する誘電体粒子(例えば第1の誘電体粒子12eや第2の誘電体粒子12f)の形状とは通常異なる。
このようにして、エアロゾルデポジション法により形成されたエミッタ部12は、極めて緻密で充填密度の高い誘電体薄膜として形成され、900℃以上の焼成を行わなくても充分な誘電特性が得られる。よって、700℃あるいは600℃以下といった低温での膜形成が可能となる。また、エミッタ部12の表面12aも、エアロゾルデポジション法の成膜条件により、任意の表面状態(表面粗さ)に形成することができる。
また、エミッタ部12は、ゾル含浸法を用いて形成することもできる。このゾル含浸法を用いる場合、まず、第1の誘電体粒子12eからなる薄板状の誘電体層を用意する。この誘電体層は、誘電体粉末を有機バインダ等の分散媒によりペースト化し、スクリーン印刷等により、所定の厚み・形状に形成した後、400〜500℃で前記分散媒を分解・蒸散することで形成されたものである。そして、この誘電体層に対して、第2の誘電体粒子12fの分散液(以下、ゾル溶液と称する。)を滴下し、このゾル溶液を前記誘電体層に含浸させる。その後、スピンコーターを用いて、余分なゾル溶液を除去した後、100〜200℃で乾燥後、400〜500℃で熱処理する。これらのゾル溶液の含浸と乾燥・熱処理は通常数回繰り返される。そして、最終的に、700℃以下で熱処理が施されることで、エミッタ部12が形成される。なお、上記のプロセスにおいて、前記ゾル溶液が滴下される前の前記誘電体層としては、グリーンシートや、さらには上述のエアロゾルデポジション法により膜形成されたもの利用することも可能である。
<<電磁波の照射による誘電体層の熱処理工程>>
ここで、上述の熱処理工程S3の好適な例について、図14を用いて説明する。図14は、上述のエアロゾルデポジション法を用いて形成されたエミッタ部12の表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図14(a)においては、熱処理が行われていない状態が示されている。図14(b)及び(c)においては、RTA(Rapid thermal annealing)装置によって上方から赤外線を照射することで600〜700℃で熱処理が行われた後の状態が示されている。なお、図14(b)においては、加熱時間が30分であり、図14(c)においては、加熱時間が1時間である。このRTA装置は、赤外線ランプ又は赤外線レーザーを対象物に照射することで、当該対象物を瞬間的に加熱し得るように構成された装置であり、赤外線ランプを用いた装置が主に市販されている。RTA装置の具体例としては、例えば、アルバック理工株式会社製 MILA−3000を挙げることができる。
図14から明らかなように、当該熱処理工程によって、結晶粒が成長した。図14(b)及び図14(c)においては、1μm以上の粒径の結晶の割合が20%以上となった。そして、図14(b)及び(c)から明らかなように、成長した結晶粒の形状は、通常の900℃程度の焼結による熱処理の場合と比べて、丸みが少なくやや角張った形状となった。
特に、下部電極16として銀電極を用いた場合、エミッタ部12を構成する誘電体層の形成工程である工程S2にて当該誘電体層に金属を混入させなくても、当該熱処理工程によって下部電極16から銀がエミッタ部12内に拡散し、当該エミッタ部12に微量の銀がほぼ均一に混入された状態が得られることが、電子線マイクロアナライザ(XMA:X-ray Micro Analyzer)によるEPMA分析(Electron Probe Micro-Analysis)によって確認された。
そして、当該熱処理工程を経たエミッタ部12を用いた電子放出素子10Aによれば、当該熱処理工程を経ていない場合と比べて、電子放出量が4倍以上となった。
以上の通り、かかる熱処理工程によれば、結晶粒が成長することで、誘電率の高い緻密な誘電体組織を有するエミッタ部12が得られ、当該エミッタ部12からの電子放出量が向上する。また、成長した結晶粒による結晶粒界に基づいて形成される凹部(図3における凹部24)によって、上述のRaの範囲に合致するような表面粗さのエミッタ部12が、簡易な工程で形成され得る。
また、かかる熱処理工程によれば、エミッタ部12を構成する誘電体層の上方から赤外線が照射されることで、当該誘電体層が高速に加熱されている一方、ガラス基板11は赤外線によって加熱されない。よって、耐熱温度(歪み点)が低いガラス基板11が当該耐熱温度以上の温度に加熱されて変形することが抑制され得る。よって、ガラス基板等の耐熱性の比較的低い安価な基板上に電子放出素子10Aを形成することができ、FEDにおける画面の大型化や低コスト化が可能となる。
<<エミッタ部を構成する材料>>
エミッタ部12を構成する誘電体材料は、好適には、比誘電率が比較的高い、例えば1000以上の誘電体を採用することができる。このような誘電体としては、チタン酸バリウムのほかに、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等、又はこれらの任意の組み合わせを含有するセラミックスや、主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものや、前記セラミックスに対して、さらにランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物、もしくはこれらのいずれかの組み合わせ、又は他の化合物を適切に添加したもの等を挙げることができる。
例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)とチタン酸鉛(PT)の2成分系nPMN−mPT(n、mをモル数比とする)においては、PMNのモル数比を大きくすると、キュリー点が下げられて、室温での比誘電率を大きくすることができる。特に、n=0.85〜1.0、m=1.0−nでは比誘電率3000以上となり好ましい。例えば、n=0.91、m=0.09では室温の比誘電率15000が得られ、n=0.95、m=0.05では室温の比誘電率20000が得られる。
次に、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)、ジルコン酸鉛(PZ)の3成分系では、PMNのモル数比を大きくするほかに、正方晶と擬立方晶又は正方晶と菱面体晶のモルフォトロピック相境界(MPB:Morphotropic Phase Boundary)付近の組成とすることが比誘電率を大きくするのに好ましい。例えば、PMN:PT:PZ=0.375:0.375:0.25にて比誘電率5500、PMN:PT:PZ=0.5:0.375:0.125にて比誘電率4500となり、特に好ましい。
さらに、絶縁性が確保できる範囲内でこれらの誘電体に白金や銀のような金属を混入して、誘電率を向上させるのが好ましい。この場合、例えば、誘電体に白金を重量比で20%程度(体積比で17%程度)混入させるとよい。
具体的には、例えば、原料粉体81及び/又は91に、粒径が誘電体粒子12fより大きく誘電体粒子12eより小さい(例えば0.01〜1μm程度の)金属の微粒子を混入する。これにより、図9及び図10に示されているような構造を容易に実現することができる。
すなわち、図9及び図10における、誘電体粒子12eを構成する原料粉体81に含まれる誘電体粒子(以下「粗粒」という)の粒径は、誘電体粒子12fを構成する原料粉体91に含まれる誘電体粒子(以下「微粒」という)よりも非常に大きい。よって、原料粉体81がノズル73から吹き付けられる際の当該粗粒の運動エネルギーは、ノズル73又は74から吹き付けられた原料粉体81又は91に含まれる微粒の運動エネルギーよりも非常に大きくなる。したがって、当該粗粒の粒径や材質によっては、ガラス基板11上(下側電極16上)や、誘電体粒子12e,12fの層(以下「成膜層」という)の上で、ほとんど全ての粗粒が弾き飛ばされる場合があり得る。この場合、当該粗粒による成膜が非常に困難となるのみならず、当該粗粒がガラス基板11の表面・下側電極16の表面や前記成膜層にダメージを与えるおそれがある。そこで、上述のような金属の微粒子を原料粉体81及び/又は91に混入し、金属の延性を利用する(金属を固着剤として機能させる)ことで、ガラス基板11上にて当該成膜層の形成を良好に行うことができる。
ここで、金属の微粒子としては、上述の白金の他、金,銀等の貴金属、ニッケル,銅,鉄等の卑金属、銀−パラジウム,白金−ロジウム,真ちゅう等の合金の微粒子を用いることができる。合金の場合、組成を適宜調製して延性を調整することにより成膜性を向上することが可能であるので、前記金属の微粒子として合金の微粒子を用いることがより好ましい。
また、混入割合としては、体積比で0.01〜20%が好ましく、0.05〜10%がさらに好ましい。
図15は、図9の構成において、金属が混入されたエミッタ部12’が適用された場合の当該エミッタ部12’の周辺の拡大断面図である。この図15に示されているように、エミッタ部12’中における、隣り合う誘電体粒子12e,12fの間、及びエミッタ部12’と下側電極16との間にて、金属部12kが散在している(不連続に存在するように分散状態で存在している:以下同様)。
これにより、当該金属部12kが、エミッタ部12’中における、隣り合う誘電体粒子12e,12fの間、及びエミッタ部12’と下側電極16との間の固着剤として機能することで、上層12c及び下層12dの成膜性が向上する。
また、隣り合う誘電体粒子12e・12fの間の隙間が金属部12kにより充填されることにより、エミッタ部12’の誘電率を高くして当該エミッタ部12’における良好な誘電特性を実現することが可能になる。
さらに、複数の金属部12kを介して上部電極14(図9参照)と下部電極16とが導通する(エミッタ部12’が厚さ方向に沿って導電性を示す)ことがないように、エミッタ部12’の厚さ方向(図中上下方向)に沿って隣り合う複数の金属部12kの間に、適度な間隙が少なくとも1つ形成されている。よって、当該エミッタ部12’における良好な誘電特性(圧電/電歪特性や帯電/電子放出特性等を含む)が安定して得られる。
図16は、図10の構成において、金属が混入されたエミッタ部12’が適用された場合の当該エミッタ部12’の周辺の拡大断面図である。この図16に示されているように、エミッタ部12’中における、上層12c内の隣り合う誘電体粒子12eの間、下層12d内の隣り合う誘電体粒子12fの間、及び上層12cと下層12dとの間にて、金属部12kが散在している。また、下層12dを構成する誘電体粒子12fと、ガラス基板11上に形成された下側電極16との間にも、金属部12kが散在している。
これにより、当該金属部12kが、上層12c内の隣り合う誘電体粒子12eの間、下層12d内の隣り合う誘電体粒子12fの間、上層12cと下層12dとの間、及び下層12dと下側電極16との間の固着剤として機能することで、上層12c及び下層12dの成膜性が向上する。また、上述の図15の場合と同様に、エミッタ部12’における良好な誘電特性を実現することが可能になる。
また、エミッタ部12は、上述したように、圧電/電歪層や反強誘電体層等を用いることができるが、エミッタ部12として圧電/電歪層を用いる場合、該圧電/電歪層としては、例えば、ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等、又はこれらのいずれかの組み合わせを含有するセラミックスが挙げられる。
主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものであってもよいことはいうまでもない。また、前記セラミックスのうち、ジルコン酸鉛を含有するセラミックスは、エミッタ部12を構成する圧電/電歪層の構成材料として最も使用頻度が高い。
また、圧電/電歪層をセラミックスにて構成する場合、前記セラミックスに、さらに、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物、もしくはこれらのいずれかの組み合わせ、又は他の化合物を、適宜、添加したセラミックスを用いてもよい。また、前記セラミックスにSiO2、CeO2、Pb5Ge311もしくはこれらのいずれかの組み合わせを添加したセラミックスを用いてもよい。具体的には、PT−PZ−PMN系圧電材料にSiO2を0.2wt%、もしくはCeO2を0.1wt%、もしくはPb5Ge311を1〜2wt%添加した材料が好ましい。例えば、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛及びチタン酸鉛とからなる成分を主成分とし、さらにランタンやストロンチウムを含有するセラミックスを用いることが好ましい。圧電/電歪層は、緻密であっても、多孔質であってもよく、多孔質の場合、その気孔率は40%以下であることが好ましい。
エミッタ部12として反強誘電体層を用いる場合、該反強誘電体層としては、ジルコン酸鉛を主成分とするもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分を主成分とするもの、さらにはジルコン酸鉛に酸化ランタンを添加したもの、ジルコン酸鉛とスズ酸鉛とからなる成分に対してジルコン酸鉛やニオブ酸鉛を添加したものが望ましい。また、この反強誘電体層は、多孔質であってもよく、多孔質の場合、その気孔率は30%以下であることが望ましい。
さらに、エミッタ部12にタンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SrBi2Ta29)を用いた場合、分極反転疲労が小さく好ましい。このような分極反転疲労が小さい材料は、層状強誘電体化合物で、(BiO22+(Am-1m3m+12-という一般式で表される。ここで、金属Aのイオンは、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Pb2+、Bi3+、La3+等であり、金属Bのイオンは、Ti4+、Ta5+、Nb5+等である。さらに、チタン酸バリウム系、ジルコン酸鉛系、PZT系の圧電セラミックスに添加剤を加えて半導体化させることも可能である。この場合、エミッタ部12内で不均一な電界分布をもたせて、電子放出に寄与する上部電極14との界面近傍に電界集中を行うことが可能となる。
また、圧電/電歪/反強誘電体セラミックスに、例えば鉛ホウケイ酸ガラス等のガラス成分や、他の低融点化合物(例えば酸化ビスマス等)を混ぜることによって、焼成温度を下げることができる。
また、圧電/電歪/反強誘電体セラミックスで構成する場合、その形状はシート状の成形体、シート状の積層体、あるいは、これらを他の支持用基板に積層又は接着したものであってもよい。
また、エミッタ部12に非鉛系の材料を使用する等により、エミッタ部12を融点もしくは蒸散温度の高い材料とすることで、電子もしくはイオンの衝突に対し損傷しにくくなる。
本実施形態の上部電極14を構成する導電性粒子15としては、好適には、鱗片状黒鉛粉末や金属粉末等の鱗片状粉末や、カーボンナノチューブ等の針状ないし棒状粉末が用いられる。この上部電極14を形成する方法としては、上記の鱗片状粉末を、(必要に応じて分散剤を用いつつ)エチルセルロース等の有機溶媒(バインダ)に分散してペーストを作成し、このペーストを用いて、スピンコート、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー塗布等によって、エミッタ部12の表面12aに上記ペーストの厚膜を形成し、この厚膜形成されたペーストを熱処理する方法等が用いられ得る。厚膜形成する場合、ペースト粘度を上記厚膜形成に適した10万〜20万cp程度とした場合、印刷後の膜厚は1μ〜25μm程度が好ましく、より好ましくは3〜15μm程度とされる。膜厚が厚すぎると、開口部20の大きさが小さくなりすぎ、逆に膜厚が薄すぎると、1つの上部電極14内における導通が確保できなくなる。そして、上記の範囲の膜厚の厚膜形成をした後、熱処理を行うことで、上部電極14となるべきエミッタ部12上の形成膜が、バインダの分解とともに電極材のみとなると同時に、複数の開口部20が形成されていき、結果的に、何らマスキング処理等の特別なパターニング処理を施すことなく、図1等に示すように、上部電極14に複数の開口部20及び庇部26が形成される。ここで、焼成の際の雰囲気は、窒素など不活性ガス雰囲気中であることが(特に炭素系材料を用いた場合に)好ましいが、ペースト中の導電性粒子15の配合比を適宜調整すれば、大気中その他の酸素雰囲気中(減圧下も含む)でも可能である。
上部電極14を形成する際には、上述の通り、より好適には導電性微粒子19も添加される。かかる導電性微粒子19は、金属微粒子の他、球状化黒鉛粉末やカーボンブラック等の炭素系微粒子を用いることができる。導電性微粒子19を添加する場合は、所定の粒径に分級された金属微粒子を用いる他、焼成により最終的に導電性微粒子となりうるものが利用可能であり、例えばレジネート等を用いてもよい。
導電性粒子15として炭素系材料を用いる場合(特に大気中その他の酸素雰囲気中)には、上部電極14を熱処理する際の温度は、好ましくは500℃以下とするとともに、導電性微粒子19を添加する場合は、この導電性微粒子19が所定の粒径を超えて凝集ないし粒成長しないような温度を選択する必要がある。
一方、下部電極16は、導電性を有する物質、例えば金属が用いられ、銀、白金、モリブデン、タングステン等によって構成される。また、下部電極16は、高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体、例えば金属単体、合金、絶縁性セラミックスと金属単体との混合物、絶縁性セラミックスと合金との混合物等によって構成され得る。この場合、好適には、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点貴金属や、銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするものや、白金や銀とセラミック材料とのサーメット材料が用いられ得る。さらに好適には、銀のみ、銀系の合金、白金のみ、又は白金系の合金を主成分とする材料によって構成される。また、下部電極16として、カーボン、グラファイト系の材料を用いてもよい。なお、電極材料中に添加されるセラミック材料の割合は、5〜30体積%程度が好適である。もちろん、上述した上部電極と同様の材料を用いるようにしてもよい。そして、下部電極16を上述の金属や炭素系材料により形成する場合、好適には上記厚膜形成法が用いられる。
以上に詳述した通り、本実施形態に係る電子放出素子10Aにおいては、エミッタ部12の表面12aと、上部電極14の庇部26の下面26aとの間の鉛直方向に沿った最大間隔dを、0μm<d≦10μmとするとともに、当該表面12aの表面粗さを、Raで0.1以上3以下としている。すなわち、エミッタ部12の表面12aの表面粗さを、或る程度大きくすることで、図5(C)や図6(A),(B)に示したような、電子を表面に担持する表面12aの面積が大きくなり、電子放出量が従来よりも増加する。
一方、エミッタ部12の表面12aの表面粗さが大きすぎると、エミッタ部12の表面12aにおける凹部24(図3参照)の深さが深くなりすぎた箇所が多くなる。このような箇所は、図5や図6で示した双極子の向く方向である、エミッタ部12の厚さ方向と、凹部24の内表面とがほぼ平行になってしまう。すると、図6(A)に示すように凹部24の内表面に一旦担持された電子は、図6(B)のように分極が反転されても、当該凹部24の内表面に再度トラップされる(換言すれば、当該凹部24の内表面と双極子の分極方向が略平行であるために、当該凹部24の内表面に正極と負極とが交互に現れ、この正極に電子が引き寄せられる。)。よって、当該凹部24の内表面から飛翔して開口部20の開口20aを通過する電子の数は非常に少なくなる。したがって、エミッタ部12の表面12aにおける表面粗さを大きくするに際しても限界がある。
以上のことから、本発明では、エミッタ部12の表面12aの表面粗さを、Raで0.1以上3以下としている。これにより、電子放出性に極めて優れたエミッタ部12の表面12aが得られる。なお、この場合の表面粗さは、触針式の表面粗さ測定装置や、走査型共焦点レーザー顕微鏡(例えば、オリンパス光学株式会社製 OLS1100)等により測定可能である。また、エミッタ部12の表面12aの表面粗さは、(1)Raが0.1以上0.5以下である第1の範囲、又は(2)Raが0.5を超え且つ3以下である第2の範囲、のいずれかに適合するように設定され得る。例えば、上部電極14とエミッタ部12の表面12aとの接合性や電子放出特性等を考慮した上で、上部電極14の特性(形状、形成方法、当該上部電極14を構成する材料の粒子径や粒子形状等)やエミッタ部12の特性(形成方法、材料の粒径その他の特性)等の当該電子放出素子10Aの構造上の特性に応じて、エミッタ部12の表面12aの表面粗さが上述の第1の範囲及び第2の範囲のうちのいずれかに適合するように適宜設定され得る。
また、本実施形態に係る電子放出素子10Aにおいては、上部電極14に庇部26を形成したことにより、トリプルジャンクション26cが、上部電極の内縁26bとは異なる場所に生じ得る。さらに、開口部20は、当該開口部20の内縁26bが電界集中部となるような形状を備えている。よって、庇部26がない場合と比して電界集中部の数を大幅に増やすことができる。特に、本実施形態の庇部26は、当該庇部26の先端である上記内縁26bに向かって鋭角に尖っているように形成されているので、当該内縁26bの形状が直角ないし鈍角の場合よりも電界集中の度合いを高め、エミッタ部12の表面12aへの電子蓄積量を増やすことが可能になる。
また、エミッタ部12の表面12aにおいて、エミッタ部12の表面12a(凹凸形状における凸部の頂点付近の面)と上部電極14の庇部26の下面26aとのなす角の最大角度θを1°≦θ≦60°、及びエミッタ部12の表面12aと、上部電極14の庇部26の下面26aとの間の鉛直方向に沿った最大間隔dを0μm<d≦10μmとしたので、これらの構成により、ギャップ28の部分での電界集中の度合いをより大きくすることができ、エミッタ部12の表面12aへの電子蓄積量を増やすことが可能になる。
さらに、上述の庇部26の形成により、上部電極14のうち、開口部20の庇部26におけるエミッタ部12と対向する下面26aとエミッタ部12との間にギャップ28が形成され、このギャップ28における仮想的なコンデンサの静電容量の影響で、駆動電圧Vaのうちの大部分が実質的に当該ギャップ28に印加されることになり、開口部20における電界が強くなる。よって、開口部20にて同じ電界強度を得るために必要な駆動電圧Vaの絶対値を小さくすることが可能になる。
また、上部電極14の庇部26がフォーカス電子レンズないしゲート電極(制御電極)として機能するため、放出電子の直進性を向上させることができる。これは、電子放出素子10Aを多数並べて例えばディスプレイの電子源として構成した場合に、クロストークを低減する上で有利となる。
また、上述のような、上部電極14の平面視における領域内には、開口部20が多数形成され、開口部20の内縁26bにおける電界集中部、及び前記トリプルジャンクション26cも、上部電極14の平面視における領域内に多数形成されている(上部電極14の外周における外縁部21(図1参照)に対応する位置にも多数形成されている)。よって、上部電極14が占める平面視における領域内にて電子放出が均等で偏りなく行われる。
<電子放出素子を適用したディスプレイの構成>
次に、本実施形態に係る電子放出素子10Aを使用して構成されたディスプレイ100について、図17を用いて説明する。
ディスプレイ100においては、図17に示すように、上部電極14の上方に、例えばガラスやアクリル製の透明板130が配置され、該透明板130の裏面(上部電極14と対向する面)に例えば透明電極にて構成されたコレクタ電極132が配置され、該コレクタ電極132には蛍光体134が塗布される。なお、コレクタ電極132にはバイアス電圧源136(コレクタ電圧Vc)が抵抗を介して接続される。また、電子放出素子10Aは、上述の通り、真空雰囲気中に配置される。雰囲気中の真空度は、102〜10-6Paが好ましく、より好ましくは10-3〜10-5Paである。
このような範囲を選んだ理由は、低真空では、(1)空間内に気体分子が多いため、プラズマを生成し易く、プラズマが多量に発生され過ぎると、その正イオンが多量に上部電極14に衝突して損傷を進めるおそれや、(2)放出電子がコレクタ電極132に到達する前に気体分子に衝突してしまい、コレクタ電圧Vcで十分に加速した電子による蛍光体134の励起が十分に行われなくなるおそれがあるからである。
一方、高真空では、電界が集中するポイントから電子を放出し易いものの、構造体の支持、及び真空のシール部が大きくなり、小型化に不利になるという問題があるからである。
<第2の実施形態の電子放出素子>
次に、第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bについて、図18を参照しながら説明する。この第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bは、上述した第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aとほぼ同様の構成を有するが、上部電極14を構成する導電性粒子15は、一次粒子15bとしてのみならず、二次粒子15cとしてもエミッタ部12の表面12a上に存在する。そして、二次粒子15cの、側断面視における長手方向の長さが、エミッタ部12を構成する多結晶体の結晶粒径よりも大きいことを特徴とする。この第2の実施の形態に係る電子放出素子10Bにおいても、上述した第1の実施の形態に係る電子放出素子10Aと同様の作用・効果を奏する。
<第3の実施形態の電子放出素子>
さらに、第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cについて、図19を参照しながら説明する。この第3の実施の形態に係る電子放出素子10Cは、上述した第1ないし第2の実施の形態に係る電子放出素子10A,10Bとほぼ同様の構成を有するが、上部電極14は、上記と同様の導電性粒子15の他、導電性微粒子19から構成されている。かかる導電性微粒子19は、導電性粒子15の一次粒子の厚さ(側断面視における長手方向と直交する方向の幅)と略同等か、それよりも小さいことが好適である。例えば、導電性粒子15の厚みが約2μmである場合、導電性微粒子19の平均粒径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。これにより、同一の上部電極14内における各導電性粒子15間の導通が容易に確保され得る。
ここで、前記導電性微粒子19は、図19に示されているように、上部電極14の表面上、特に庇部26にて露呈されていることが好適である。これにより、当該導電性微粒子19が上部電極14の表面に突起物の如く存在することとなるので、この突起形状による効果から、この導電性微粒子19も電界集中部となり得るため、エミッタ部12の表面12aに対する電子供給箇所をさらに増加させることができる。また、導電性微粒子19は、開口部20に対応するエミッタ部12の表面12a上にも付着していることがさらに好適である。これにより、誘電体で構成されたエミッタ部12上に、上記導電性微粒子19からなる微小なフロート電極が設けられることとなる。このフロート電極は、上部電極14からエミッタ部12に対して放出された電子を多量に蓄積するために好適であり、電子放出素子における電子放出量をさらに増加させることができるものであるところ、このフロート電極を前記導電性微粒子19により構成すれば、例えば、後述するように、上部電極14をエミッタ部12の表面12a上に形成する際に導電性粒子15と導電性微粒子19とを混合してエミッタ部12の表面12a上に塗布する等、簡単な工程でフロート電極をエミッタ部12の表面12a上に設けることができる。
さらに、上記の導電性粒子15として炭素系材料(例えば黒鉛)、導電性微粒子19として銀を用いた場合で、上部電極14の形成の際に加熱処理が行われるときは、この加熱処理の際に、銀の微粒子の周りの黒鉛等が酸化により侵食されるために、上部電極14の外縁部の形状が、鋭い端部を有するものや、電極内部に貫通孔による開口部を有するものとなりやすい。これにより、電界集中部がさらに増加し得ることとなり、より好適な電極形状を得ることが可能になる。
<変形例の示唆>
なお、本発明は、上述の実施例や実施の形態に限定されるものではなく、本発明の本質的部分を変更しない限りにおいて、種々の構成を採り得ることはもちろんである。以下、変形例のうちのいくつかについて例示する。
例えば、本発明におけるエミッタ部12の表面12aにおける上述の表面粗さは、上述の実施例以外にも、様々な方法を用いて実現可能である。例えば、従来のスクリーン印刷法やグリーンシート法を用いても実現可能である。ここで、従来のスクリーン印刷法等や上述の実施例のようなエアロゾルデポジション法等で形成された圧電膜(以下「ベース膜」と称する)上に、(解砕された)所定の表面粗さ及び誘電特性を有する圧電焼結膜を敷設する(敷き詰める)ことで、表面粗さと誘電特性との調整を行うようにしてもよい。この場合、前記ベース膜は絶縁膜としての機能を奏することになる。なお、前記圧電焼結膜は、前記ベース膜と熱処理等により一体化され得る。この一体化のため、前記ベース膜にはガラスや金属等の添加物が添加され得る(金属が添加された場合、図15及び図16に示されているようなエミッタ部12’が形成される。)。これにより、比較的低温の処理で前記ベース膜と圧電焼結膜との一体化が行われ得る。
また、上記各実施形態において、上部電極14と下部電極16とは、エミッタ部12の異なる面(表面と裏面)に設けられていたが、ともに同一面(表面)に設けてもよい。
また、上述したような、金属が混入された誘電体層(図15,14におけるエミッタ部12’を参照)は、上述の各実施形態のすべてにおいて採用可能であるのみならず、電子放出素子以外の誘電体デバイス(弾性表面波(SAW)デバイス等)に対しても適用可能である。ここで、金属の混入の仕方としては、上述のような、エアロゾルデポジション法における原料粉体81等に混入する方法や、加熱による下部電極16からの拡散による方法の他、蒸着や塗布等の任意の方法を採用することが可能である。さらに、誘電体層の構造も、図15や図16に示されているような2種類の誘電体粒子からなる構造のみならず、単一種類の誘電体粒子からなる構造や、3種類以上の誘電体粒子からなる構造(多層構造)が可能である。
また、内縁にて電界集中部となるような開口部20の形状について、上記各実施形態にて説明した形状の他にも様々な形状が採用可能である。例えば、図20のように、庇部26の下面26aがほぼ水平であって、庇部26が内縁26bに向かって徐々に先細っていくような形状であってもよい。また、図21のように、庇部26が、エミッタ部12の凹部24に向かって徐々に落ち込むように形成されてもよい。さらに、図22のように、庇部26の下面26aが、側断面視略ハの字状の傾斜面として構成されてもよい。また、図23のように、開口部20の内壁面が双曲面状に形成されてもよい。また、図24に示すように、エミッタ部12の表面12aのうち、開口部20と対応する部分にフローティング電極50を存在させてもよい。
また、上述のような、内縁にて電界集中部となるような開口部20の形状を採用した場合、エアロゾルデポジション法及び/又はゾル含浸法により形成されたエミッタ部12の表面12aは、鏡面のように平滑に構成してもよい。これにより、開口部20の形状によって電界集中部の数を増大させつつ、前記エミッタ部12は高充填率・高誘電率とすることで、電界集中部における電界強度を高め、従来よりも電子放出量を充分向上させることができる。
また、上記実施形態におけるゾル含浸法は、誘電体微粒子を有機溶媒に分散したものを用いたが、これに代えて、加熱や他の反応開始剤等の作用により誘電体微粒子を析出させる誘電体微粒子の前駆体溶液を用いてもよい。
また、上記実施形態の製造方法における熱処理工程S3は、上部電極14を形成する工程S4の後に行われてもよい。
また、上記実施形態の製造方法において用いられていた赤外線照射に代えて、赤外線以外の電磁波(マイクロ波等)や誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)等のプラズマの照射等によって、熱処理工程S3を行ってもよい。
さらに、上記実施形態の製造方法においては、上部電極14の開口部20は、ペーストの粘度や配合比、膜厚制御により、単に厚膜形成するだけで、特段のマスキング等を用いなくても形成することができるが、図25に示すように、特定形状の孔32が形成されるようにマスキング等を用いて形成しても差し支えない。この場合、孔32は、巨視的に見れば真円状であるが、微視的に見れば、導電性粒子15の形状の影響で、いびつな形状を有しており、エミッタ部12に対する電子供給箇所の増加という作用・効果を充分奏することができる。
第1の実施の形態に係る電子放出素子を一部省略して示す断面図である。 上部電極に形成された開口部の形状の一例を示す平面図である。 上記電子放出素子の要部を拡大して示す断面図である。 上記電子放出素子に適用される駆動電圧の電圧波形を示す図である。 上記電子放出素子の動作の様子を示す説明図である。 上記電子放出素子の動作の様子を示す説明図である。 上部電極とエミッタ部との間のギャップ形成により上部電極−下部電極間の電界が受ける影響について説明するための等価回路図である。 上部電極とエミッタ部との間のギャップ形成により上部電極−下部電極間の電界が受ける影響について説明するための等価回路図である。 第1の実施例に係る電子放出素子を示す断面図である。 第2の実施例に係る電子放出素子を示す断面図である。 上記電子放出素子の製造方法の概略を示す流れ図である。 エミッタ部の形成方法を説明するための概略構成図である。 エミッタ部の別の形成方法を説明するための概略構成図である。 エミッタ部を構成する誘電体層の表面の電子顕微鏡写真である。 エミッタ部の変形例を示す断面図である。 エミッタ部の別の変形例を示す断面図である。 上記電子放出素子を適用したディスプレイの概略を示す構成図である。 第2の実施の形態に係る電子放出素子を一部省略して示す断面図である。 第3の実施の形態に係る電子放出素子を一部省略して示す断面図である。 第1〜第4の実施の形態に係る電子放出素子における上部電極の庇部の断面形状の変形例を示す図である。 上部電極の庇部の断面形状のさらに他の変形例を示す図である。 上部電極の庇部の断面形状のさらに他の変形例を示す図である。 上部電極の庇部の断面形状のさらに他の変形例を示す図である。 第1〜第4の実施の形態に係る電子放出素子にてフロート電極を設けた変形例を示す図である。 第1〜第4の実施の形態に係る電子放出素子における開口部形状の変形例を示す図である。 従来の電子放出素子を一部省略して示す断面図である。
符号の説明
10A,10B,10C,110A…電子放出素子、
11…ガラス基板、 12…エミッタ部、 12a…表面、
14…上部電極、 15…導電性粒子、 16…下部電極、
19…導電性微粒子、 20…開口部、 26…庇部、
26b…内縁、 28…ギャップ、
60,160…エアロゾルデポジション装置、70…成膜室、
73…第1ノズル、 74…第2ノズル、
80…第1エアロゾル供給部、 81…原料粉体、
82…第1エアロゾル化室、 90…第2エアロゾル供給部、
91…原料粉体、 92…第2エアロゾル化室

Claims (32)

  1. 誘電体の微粒子からエアロゾルデポジション法により形成された誘電体層よりなるエミッタ部と、
    そのエミッタ部の表面に形成された第1の電極と、
    前記エミッタ部の前記表面とは反対の面である裏面側に形成された第2の電極と、
    を備えたことを特徴とする電子放出素子。
  2. 請求項1に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極には、前記エミッタ部の前記表面を当該電子放出素子の外部に向かって露出する開口部が形成されていて、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧を印加することにより、前記エミッタ部の前記表面から前記開口部を介して電子を放出するように構成されたことを特徴とする電子放出素子。
  3. 請求項1または2に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極の縁部における前記エミッタ部の前記表面と対向する面と前記エミッタ部の前記表面との間に空隙を有することを特徴とする電子放出素子。
  4. 請求項2または3に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極の縁部は、電気力線が集中するような形状を有していることを特徴とする電子放出素子。
  5. 請求項4に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極は、側断面視で長手方向を有する形状の導電性粒子の集合体であり、当該導電性粒子は、前記長手方向が前記エミッタ部の前記表面に沿うように配列されている電子放出素子。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の電子放出素子であって、
    前記エミッタ部には金属が混入されていることを特徴とする電子放出素子。
  7. 請求項6に記載の電子放出素子であって、
    前記金属に銀が含まれていることを特徴とする電子放出素子。
  8. 請求項7に記載の電子放出素子であって、
    前記第2の電極は銀を含むように構成されていることを特徴とする電子放出素子。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の電子放出素子において、
    耐熱温度が低い材質からなり、前記第2の電極及び/又は前記エミッタ部を支持する基板をさらに備え、
    前記エミッタ部は、0.5μm以上の粒径の結晶を20%含有する多結晶体から構成されていることを特徴とする電子放出素子。
  10. 請求項9に記載の電子放出素子であって、
    前記エミッタ部には、電磁波の照射による加熱が施されていることを特徴とする電子放出素子。
  11. 金属が混入された誘電体層よりなるエミッタ部と、
    そのエミッタ部の表面に形成された第1の電極と、
    前記エミッタ部の前記表面とは反対の面である裏面側に形成された第2の電極と、
    を備えたことを特徴とする電子放出素子。
  12. 請求項11に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極には、前記エミッタ部の前記表面を当該電子放出素子の外部に向かって露出する開口部が形成されていて、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に駆動電圧を印加することにより、前記エミッタ部の前記表面から前記開口部を介して電子を放出するように構成されたことを特徴とする電子放出素子。
  13. 請求項11または12に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極の縁部における前記エミッタ部の前記表面と対向する面と前記エミッタ部の前記表面との間に空隙を有することを特徴とする電子放出素子。
  14. 請求項12または13に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極の縁部は、電気力線が集中するような形状を有していることを特徴とする電子放出素子。
  15. 請求項14に記載の電子放出素子であって、
    前記第1の電極は、側断面視で長手方向を有する形状の導電性粒子の集合体であり、当該導電性粒子は、前記長手方向が前記エミッタ部の前記表面に沿うように配列されている電子放出素子。
  16. 請求項11ないし15のいずれかに記載の電子放出素子であって、
    前記金属には銀が含まれていることを特徴とする電子放出素子。
  17. 請求項16に記載の電子放出素子であって、
    前記第2の電極は銀を含むように構成されていることを特徴とする電子放出素子。
  18. 請求項11ないし17のいずれかに記載の電子放出素子において、
    耐熱温度が低い材質からなり、前記第2の電極及び/又は前記エミッタ部を支持する基板をさらに備え、
    前記エミッタ部は、0.5μm以上の粒径の結晶を20%含有する多結晶体から構成されていることを特徴とする電子放出素子。
  19. 請求項18に記載の電子放出素子であって、
    前記エミッタ部には、電磁波の照射による加熱が施されていることを特徴とする電子放出素子。
  20. 誘電体層からなるエミッタ部と、
    そのエミッタ部の表面に形成された第1の電極と、
    前記エミッタ部の前記表面とは反対の面である裏面側に形成された第2の電極と、
    耐熱温度が低い材質からなり、前記第2の電極及び/又は前記エミッタ部を支持する基板と、
    を備え、
    前記エミッタ部は、0.5μm以上の粒径の結晶を20%含有する多結晶体から構成されていることを特徴とする電子放出素子。
  21. 請求項20に記載の電子放出素子であって、
    前記エミッタ部には、電磁波の照射による加熱が施されていることを特徴とする電子放出素子。
  22. 請求項20又は21に記載の電子放出素子であって、
    前記エミッタ部には金属が混入されていることを特徴とする電子放出素子。
  23. 請求項22に記載の電子放出素子であって、
    前記金属には銀が含まれていることを特徴とする電子放出素子。
  24. 請求項22又は23に記載の電子放出素子であって、
    前記第2の電極が前記金属を含有していることを特徴とする電子放出素子。
  25. 耐熱温度が低い材質からなる基板の上に下部電極を形成する工程と、
    その下部電極の上に、エアロゾルデポジション法を用いて、誘電体層よりなるエミッタ部を形成する工程と、
    そのエミッタ部の上に、上部電極を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
  26. 請求項25に記載の、電子放出素子の製造方法において、
    前記エミッタ部に対して電磁波を照射することにより、当該エミッタ部を加熱する工程をさらに含むことを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
  27. 請求項25又は26に記載の、電子放出素子の製造方法であって、
    前記下部電極を形成する工程は、前記基板の上に、金属を含有する電極層を形成する工程であることを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
  28. 耐熱温度が低い材質からなる基板の上に下部電極を形成する工程と、
    その下部電極の上に、誘電体層よりなるエミッタ部を形成する工程と、
    そのエミッタ部に対して電磁波を照射することにより、当該エミッタ部を加熱する工程と、
    前記エミッタ部の上に、上部電極を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
  29. 請求項28に記載の、電子放出素子の製造方法であって、
    前記エミッタ部を形成する工程は、エアロゾルデポジション法を用いて、前記下部電極の上に誘電体層を形成する工程であることを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
  30. 請求項28又は29に記載の、電子放出素子の製造方法であって、
    前記下部電極を形成する工程は、前記基板の上に、金属を含有する電極層を形成する工程であることを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
  31. 請求項25ないし30のいずれかに記載の、電子放出素子の製造方法において、
    前記エミッタ部を構成する誘電体層に金属を含有させる工程をさらに含むことを特徴とする、電子放出素子の製造方法
  32. 請求項31に記載の、電子放出素子の製造方法であって、
    前記エミッタ部を構成する誘電体層に金属を含有させる工程は、前記エミッタ部を形成する工程に含まれることを特徴とする、電子放出素子の製造方法。
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