JPH10241553A - 冷陰極型電界放出素子及びその製造方法 - Google Patents

冷陰極型電界放出素子及びその製造方法

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JPH10241553A
JPH10241553A JP4118997A JP4118997A JPH10241553A JP H10241553 A JPH10241553 A JP H10241553A JP 4118997 A JP4118997 A JP 4118997A JP 4118997 A JP4118997 A JP 4118997A JP H10241553 A JPH10241553 A JP H10241553A
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upper electrode
forming
etching
holes
sacrificial film
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JP4118997A
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Toshinao Suzuki
利尚 鈴木
Kunio Suzuki
国雄 鈴木
Osamu Mochizuki
修 望月
Atsuo Hattori
敦夫 服部
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Original Assignee
Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放出電流の増大を図ると共に、真空封止のた
めの高温プロセスにも電極機能が損なわれることがない
ようにした面電子源を持つ冷陰極型電界放出素子とその
製造方法を提供する。 【解決手段】 絶縁性基板11上に下部電極12が配列
形成され、この下部電極12が形成され面に絶縁層12
を介して電子加速層13が形成され、電子加速層13上
に上部電極15が配列形成された冷陰極型電界放出素子
において、上部電極15の少なくとも下部電極12と対
向して面電子源となる領域に多数の穴16を配列形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、平面ディスプレ
イ等に適用される、面電子源を用いた冷陰極型電界放出
素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶ディスプレイに代わる平面デ
ィスプレイとして、冷陰極電子源を二次元マトリクス状
に配列した電子源アレイを用いたFED(Field Emissi
on Display)が注目され、各所で研究開発が行われてい
る。冷陰極電子源の方式は、大きく分けて、先端を針の
ように尖らせたスピント(Spindt)方式に代表される点
電子源と、平面から電子を取り出す面電子源との二つが
ある。これらのうち、点電子源は取り出せる電流は大き
いが、雑音に弱く、残留ガスの吸着・脱離等の影響が大
きく、また電子ビームが拡がるために集束手段を必要と
するといった難点がある。一方面電子源は、取り出せる
電流は小さいが、低雑音・高安定の動作が可能で、電子
ビームが拡がることなく放出されるため集束手段も要ら
ないといった長所を有する。従って、FED等には面電
子源が好ましい。
【0003】面電子源は、上下電極間の電界印加により
加速電子を得て上部電極を透過させて電子を取り出す
が、その加速電子を生成するための層の構造によって、
以下に列記するようなものがある。 図33(a)に示すように、上下部電極1,2間に薄
い絶縁層3を挟んだMIM(Metal Insulator Metal)
構造として、高電界により絶縁膜3をトンネリングした
電子を取り出す方式(例えば、日本学術振興会真空マイ
クロエレクトロニクス第158委員会第5回研究会資料
p.1〜6参照)。 図33(b)に示すように、上下電極1,2間にPN
接合を形成する半導体層4a,4bを有する構造を用
い、高電界によりアバランシェブレークダウンを起こし
てホットエレクトロンを生成するPN接合素子方式(例
えば、1991年1月発行の「電子材料」p.34参
照)。 図33(c)に示すように、上下電極1,2の間に上
部電極1との間でショットキー接合を構成する半導体層
5を挟み、高電界によりアバランシェブレークダウンを
起こしてホットエレクトロンを生成するショットキー接
合素子方式(例えば、1990年電子情報通信学会秋季
全国大会,SC−8−6参照)。 図33(d)に示すように、上下電極間1,2に絶縁
層6と半導体層7を挟んだMOS(Metal Insulator Se
miconductor)構造を用い、高電界により絶縁層6をト
ンネリングした電子を取り出す方式(例えば、1990
年電子情報通信学会秋季全国大会,SC−8−7参
照)。 図34(e)に示すように、上下電極間1,2に電子
加速層8と絶縁層9を挟んだEL(Electro Luminescen
ce)素子構造を用い、電子加速層8でホットエレクトロ
ンを生成する方式(例えば、「応用物理」第63巻第6
号(1994)P.592〜P.595参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した〜の面電
子源は、上述したようにFED用として好ましい長所を
有するが、実用化のためにはまだ解決すべき問題があ
る。一つは、素子内部に流れる電流に対する外部に取り
出される電流の割合が、点電子源に比べて小さいことで
ある。これは、電子を透過させるAuやAl等の上部電
極での電子散乱が大きいためである。散乱を小さくする
ために、上部電極には10nm以下という薄膜が用いら
れが、これでも十分な放出電子が得られない。もう一つ
は、FED等への適用のためには電子源アレイを低融点
ガラス等により真空封止することが必要であるが、その
際に面電子源アレイを400℃以上に加熱しなければな
らず、10nmといった薄い上部電極はこの熱処理工程
で膜が凝集して、電極の機能が損なわれるということで
ある。これらは、〜のいずれを用いる場合にも共通
の問題としてある。
【0005】上述した〜の面電子源に対して、上部
電極での電子散乱の問題を解決できるものとして、図3
4に示すように上下電極1,2間に絶縁層3を挟んだM
IM構造において、上部電極1と絶縁層3とにわたって
これらを貫通するピンホール10を配列形成した陰極構
造も提案されている(特開平6−203772号公報参
照)。しかしこの構造は、ピンホール10内に露出する
下部電極2から真空中への電界による電子放出を利用す
るもので、固体中のホットエレクトロンを利用する〜
とは異なり、真空管の原理を利用している点でスピン
ト型に近い。しかし、スピント型のように先端が尖って
いないため、形状による電界集中を利用できず、絶縁層
3の厚みが1μm として1kV程度の電圧が必要になる
という問題を有する。
【0006】この発明は、上記事情を考慮してなされた
もので、放出電流の増大を図ると共に、真空封止のため
の高温プロセスにも電極機能が損なわれることがないよ
うにした面電子源を持つ冷陰極型電界放出素子とその製
造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、少なくとも
表面部に下部電極となる導電層を有する基板と、この基
板の前記下部電極上に形成された電子加速層と、この電
子加速層上に前記下部電極に対向するように形成されて
前記下部電極との間に電圧を印加する上部電極とを有す
る冷陰極型電界放出素子において、前記上部電極に複数
の穴が形成されていることを特徴とする。この発明はま
た、少なくとも表面部に下部電極となる導電層を有する
基板と、この基板の前記下部電極上に絶縁層を介して形
成された電子加速層と、この電子加速層上に前記下部電
極に対向するように形成された上部電極とを有し、前記
上部電極と下部電極の間に交流電圧を印加して前記上部
電極から前記電子加速層に注入された電子を加速して前
記上部電極側から放出させるようにした冷陰極型電界放
出素子において、前記上部電極に複数の穴が形成されて
いることを特徴とする。この発明において好ましくは、
前記上部電極の各穴の大きさは、前記上部電極と下部電
極間の厚みの5倍以下に設定される。
【0008】この発明はまた、少なくとも表面部に下部
電極となる導電層を有する基板の前記下部電極上に電子
加速層を形成し、この電子加速層上に前記下部電極に対
向するように前記下部電極との間に電圧を印加する上部
電極を形成する工程を有する冷陰極型電界放出素子の製
造方法において、前記上部電極に複数の穴を形成する工
程を有することを特徴とする。前記上部電極に複数の穴
を形成する工程として、具体的には次のような工程を用
い得る。 (a)前記上部電極上に耐エッチングマスクをパターン
形成して前記上部電極を選択エッチングする。 (b)前記上部電極形成に先だって前記電子加速層上の
前記複数の穴に対応する位置に犠牲層をパターン形成
し、その後上部電極を積層形成した後、前記犠牲層を除
去することにより前記上部電極をリフトオフ加工する。 (c)前記電子加速層をその表面に凹凸のある状態に形
成し、この電子加速層上に前記凹凸を反映した凹凸を有
する上部電極を形成し、この上部電極表面の凹部に耐エ
ッチング材を埋め込み形成して前記上部電極を選択エッ
チングする。 (d)前記電子加速層上に前記上部電極材料となる微粒
子を分散させた溶液を塗布し、加熱焼成して多孔質の上
部電極を形成する。
【0009】この発明による面電子源構造では、上部電
極に複数の穴を形成しており、この穴の大きさやピッチ
を最適化することによって、穴の部分においても電子加
速層には大きな電界がかかり、電子加速層で加速された
電子がこれらの穴から放出される。従って従来のように
上部電極での散乱がなくなるため、上部電極を透過させ
て電子を取り出す従来方式に比べて1桁程度の放出電流
の増加が可能となる。またこの発明においては、電子放
出が上部電極の穴を通して行われるから、上部電極を薄
くする必要はなく、従って、低融点ガラス等により封止
する場合に高温プロセスにさらされても、上部電極の導
通が失われることはない。更にこの発明のものは、電極
から真空中に直接電子を電界放出させる真空管方式と異
なり、固体の電子加速層で電子を加速して取り出す方式
であるから、残留ガスの陰極への悪影響がなく、雑音が
少なく、また面電子源構造であって電子をほぼ垂直に取
り出すことができるといった長所を有し、FED等に最
適な冷陰極電子放出素子となる。
【0010】この発明において、上部電極に形成する穴
は小さい程好ましく、実験によれば、電子加速層を含む
上下電極間の厚みの5倍以下に設定することにより、従
来の上部電極を透過させる方式に比べて放出電流増加に
有意差が認められる。穴の大きさの下限は、加工限界に
より制限される。
【0011】なおこの明細書において、“電子加速層”
は、図33(e)のEL素子型におけるように、交流駆
動による上部電極からの注入電子を加速する電子加速層
の他、図33(b),(c)に示すような、アバランシ
ェのためのPN接合やショットキー接合を構成する半導
体層、更に図33(a),(d)に示すMIM型やMO
S型におけるトンネリングを利用する絶縁層をも含む意
味で用いている。即ちこの発明は、図33(a)〜
(e)のいずれの型にも適用される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
をEL素子型の冷陰極型電界放出素子に適用した実施例
を説明する。図1(a),(b)は、電子源を二次元的
に配列形成した実施例の電界放出素子の平面図とそのA
−A′断面図である。ガラス,石英等の絶縁性基板11
上に、ITO膜を用いた下部電極12が所定間隔で配列
形成され、これを覆うように絶縁層13を介して電子加
速層14が形成されている。絶縁層13はTa25であ
り、電子加速層14はこの実施例ではZnSまたはZn
Se等の半導体層である。電子加速層14として、Y2
3のような絶縁層を用いることもできる。電子加速層
14の上には、Au膜またはAl膜を用いた上部電極1
5が下部電極とは交差する方向に配列形成されている。
【0013】図1(a)に斜線で示したように、上部電
極15と下部電極12とが対向する各交差部が、FED
応用の場合の1画素に対応する一つの面電子源であっ
て、図2(a)はその一つの面電子源部分を拡大して示
した平面図であり、同図(b)は更にこれを拡大して一
部切欠して示す斜視図である。図示のようにこの実施例
では、上部電極15の少なくとも下部電極12と対向す
る面電子源の領域に、多数の正方形状の穴16が配列形
成されている。穴16の大きさは例えば、a=1μm で
あり、これがピッチp=2μm でマトリクス状に配列形
成される。この様な穴16を1000×1000個配列
したとき、面電子源の面積は2×2mm2となり、複数
の穴16の総面積の電子源面積に対する比率(以下、開
口率という)は、約1/4(=25%)となる。なお、
穴16の形状は正方形に限らず、図2(c)に示したよ
うな長方形状(細長い形状)の穴16′でもよい。
【0014】なお、上部電極15に形成される穴16の
大きさは、後に具体的データを用いて詳細に説明する
が、小さい方がよく、好ましくは、電子加速層14と絶
縁層13の合計厚みbの5倍以下にする。また、穴16
の幅と間隔をほぼ等しくすると、開口率は約1/4とな
る。穴16の形状は、矩形である必要はなく、丸い穴で
あってもよい。穴16の配列はマトリクス状に規則的で
あることも必ずしも必要ではなく、ランダムに配置され
てもよい。これらの穴形状や配列は、以下に例示するよ
うに、具体的な製造方法により適宜選択することができ
る。
【0015】実施例1 図3(a)に示すように、絶縁性基板11上にITO膜
を蒸着し、これをリソグラフィ工程を用いてストライプ
状にパターニングして下部電極12を形成する。下部電
極12が形成された基板上に、図3(b)に示すよう
に、絶縁層13としてTa25をスパッタ法により0.
3μm 堆積し、引き続き図3(c)に示すように、ホッ
トウォール法またはスパッタ法により電子加速層14と
してZnSを0.7μm 堆積する。その後、図4(a)
に示すように、電子加速層14上に上部電極15となる
Au膜をスパッタ法により10nm以上、好ましくは1
0〜100nmの厚み堆積し、その上に図4(b)に示
すように、フォトレジストパターン17を形成する。レ
ジストパターン17は例えば、ノボラック系ポジ型レジ
ストを用い、NA=0.5のi線ステッパにて露光し、
TMAH2.38%のアルカリ現像液で現像する。
【0016】レジストパターン17は例えば、図5の斜
視図を示すように、1μm 角の窓18が2μm ピッチで
マトリクス状に配列形成されたものとする。但し、これ
らの製造工程図は、一つの面電子源の要部について示し
たものであり、実際にはレジストパターン17は、図1
で説明したように上部電極15をストライプ状にパター
ニングするための窓も有する。このレジストパターン1
7を用いてAu膜をイオンミリング装置によりエッチン
グして、図4(c)に示すように、電子加速層14を露
出する多数の穴16が配列された上部電極15を形成す
る。レジストパターン17は、O2アッシャーにより、
或いは剥離液,硫酸+過酸化水素水等で除去する。
【0017】実施例2 上部電極15のパターニングにリフトオフ法を適用した
製造方法の工程図を図6に示す。電子加速層14を形成
する図3(c)までは実施例1と同じであり、その後電
子加速層14に上部電極膜を形成する前に、リフトオフ
の犠牲膜となるフォトレジストパターン17aを形成す
る(図6(a))。このときレジストパターン17a
は、図7に示すように例えば1μm φの円形パターンが
2μm ピッチでマトリクス状に配列されたものとする。
この後、上部電極15となるAu膜をスパッタにより1
0〜20nm堆積する(図6(b))。スパッタによる
Au膜はステップカバレージが悪く、図示のようにレジ
ストパターン17aの側壁底部では膜厚が薄くなる。こ
れをレジスト剥離液に浸漬すると、剥離液はAu膜の薄
いレジスト側壁から侵入して、レジストパターン17a
を溶解し、その上のAu膜をリフトオフして、電子加速
層14を露出するように形成された穴16を有する上部
電極15を得ることができる(図6(c))。
【0018】実施例3 電子加速層14としてZnS層或いはZnSe層を用い
た場合、これらは多結晶であるために、表面には高さ
0.2〜0.5μmの周期的凹凸が形成されることが多
い。図8はこのことを示すZnS層表面のSEM写真で
ある。この表面の凹凸を利用してセルフアラインで上部
電極15に穴16を開ける方法の工程図を図9及び図1
0に示す。
【0019】実施例1,2と同様の工程に従って、電子
加速層14としてZnS層を形成した状態で、図9
(a)に示すように表面には凹凸ができる。この後、上
部電極15となるAu膜をその表面に凹凸が反映するよ
うに0.1μm 堆積し(図9(b))、更にフォトレジ
スト17bを塗布してベークし、表面を平坦化する(図
9(c))。次いで、フォトレジスト17bを例えば、
2プラズマ雰囲気中でRIEにより、凹部にフォトレ
ジスト17bが残り、凸部のフォトレジスト17bが除
去されるようにエッチングする(図10(a))。そし
て凹部に埋め込まれた状態のフォトレジスト17bをマ
スクとしてAu膜をエッチングすることにより、電子加
速層14を露出するように形成された穴16を有する上
部電極15をパターニングする事ができる(図10
(c))。なおこの方法は、電子加速層14の表面が平
坦である場合に、その表面に凹凸を人為的に例えばエッ
チング等により形成して適用することもできる。また、
フォトレジスト17bに代わって、ポリイミド等の他の
有機材料やSOG(Spin On Glass)等の無機材料を用
いることが可能である。
【0020】実施例4 穴開き上部電極15として多孔質層を利用する方法の工
程図を図11に示す。電子加速層14を形成するまで
は、実施例1〜3と同じである。電子加速層14の上
に、Au微粒子を分散させた溶液19を塗布する(図1
1(a))。具体的には例えば、平均粒径8nmのAu
微粒子を含む溶液パーフェクトゴールド(商品名;真空
冶金(株)製)をトルエンで希釈してスピンコーティン
グする。そして、300℃,30分程度加熱焼成する。
これにより、0.1μm 程度の微小な穴16が多数開い
た多孔質の上部電極15が得られる(図11(b))。
図12は、実際にこの方法で形成された上部電極のSE
M写真である。
【0021】次に、各実施例により得られる電界放出素
子の具体的な動作と特性データを詳細に説明する。実施
例の電界放出素子は、図13に示すように、蛍光層32
を形成したアノード31に対向するカソードとして、全
体を真空封止して用いられる。この実施例の場合、電界
放出素子はEL素子であって、上部電極15と下部電極
12の間に交流電圧VCC(具体的には図15に示すよう
なパルス電圧)が印加され、上部電極15とアノード2
1の間にはアノード電圧Vaが印加される。
【0022】図14は、EL素子型の電子放出素子の電
子放出の原理を示すバンド図である。下部電極(IT
O)12側が正のとき、図14(a)に示すように、上
部電極(Au)15から電子加速層(ZnS)14に電
子が注入され、注入された電子は絶縁層(Ta25)1
3との界面にトラップされる。下部電極12が負になる
と、図14(b)に示すように、トラップされていた電
子が飛び出して電子加速層14で加速されて高エネルギ
ーを得て、上部電極15を透過して放出される。上部電
極15を100nm程度と厚くした場合には、電子は上
部電極15を透過して放出されることはなく、従ってこ
の実施例の場合上部電極15の穴16を通してのみ電子
放出される。図15(b)には、この電子放出によるカ
ソードルミネセンス波形を示している。これは蛍光層3
2として、ZnS:Agを用い、VCCとしてパルス幅1
00μSのパルス電圧を用い、Va=4kVを与えた場
合の例である。
【0023】具体的に、実施例1による試作素子につい
て、パルス電圧値VCC(絶対値)と、蛍光層32の輝度
の関係を測定した結果を図16に示す。これは上部電極
15の厚みが100nm、穴16はa=1μm でピッチ
p=2μm の場合である。比較例は、上部電極として1
0nmのAu連続膜を用いた他、実施例1と同様の素子
条件によるものである。図から明らかなように、実施例
1の素子では比較例に比べて、約3倍の輝度が得られて
いる。
【0024】先に挙げた従来例によれば、10nmの
Au膜によって、外部に放出される電子電流は約1/1
0に減衰される。実施例1の場合、開口率が約1/4で
あり、1μm 角の穴からのみ均一に電子が放出されると
すれば、10nmのAu連続膜を形成した比較例に対し
て、2.5倍の強度の電子電流が得られるはずであり、
図16の実験データと概ね合致する。しかし、後に説明
するシミュレーション結果から、この実施例の素子は穴
全体から均一に電子が放出しているとは考えられず、従
来とは異なる状態(例えば、穴に露出するZnS層のZ
nS−真空界面の状態等)が放出電流増大に寄与してい
る可能性がある。いずれにしても、上部電極に穴を配列
形成することにより、放出電流を増加させる効果がある
ことが実証された。
【0025】実施例2による電界放出素子の場合の同様
のデータを、図17に示す。図6及び図7では丸い穴を
形成する例を示しているが、このデータは実施例1と同
様に1μm 角の穴を2μm ピッチで形成した素子の場合
である。上部電極Au膜は10nmのものと20nmの
ものを用意したが、これらに有意差はなかった。比較例
は図16と同じである。この実施例2の素子も同様に放
出電流の増加が認められる。
【0026】実施例3及び実施例4による電界放出素子
の同様のデータをそれぞれ、図18及び図19に示す。
実施例3の素子は、上部電極の穴の大きさ及び配列にば
らつきがあるが、開口率は約1/4である。実施例1,
2とほぼ同様の放出電流増加が認められる。実施例4の
素子は、比較例に対してそれほど大きな放出電流増大は
得られていないが、開口率が小さかったこと等が理由と
考えられ、製造条件を最適化すれば、一層の効果が期待
される。
【0027】次に、実施例1の素子について、穴16の
大きさをa=1,3,5μmと異ならせたものを作り、
これらについてパルス電圧VCCをパラメータとして輝度
を測定したデータを図20に示す。a=1,3,5μm
に対応してそれぞれピッチp=2,6,10μm として
いる。従って開口率はいずれも、約1/4である。図の
穴径0のデータは、図16〜図19に示した比較例のも
のである。この結果から、a=3μm の場合に、ほぼ比
較例と同等の輝度となっている。a=5μm の場合に
も、穴の間隔を1〜3μm と小さくして開口率を大きく
すれば、比較例より大きな輝度を得ることは可能であ
る。但し開口率を余り大きくとると、上部電極15の抵
抗値が大きくなるので、抵抗値増加が問題にならない範
囲で大きくすることが好ましい。
【0028】図20のデータから、穴の大きさを1μm
以下とすれば、更に放出電流が増すことが予想される。
そこで、a=1μm 以下の場合を含めて、等電位線分布
のシミュレーションを行った。そのデータを、図21及
び図22に示す。図21(a)は、a=2μm ,p=3
μm の場合、図21(b)はa=1μm ,p=2μmの
場合である。また図22(a)(b)(c)はa=0.
5μm ,0.2μm ,0.1μm とし、ピッチpをいず
れも2μm とした場合である。これらのシミュレーショ
ンは、絶縁層13と電子加速層14をまとめて同じ絶縁
層として単純化して、上部電極15と下部電極12の間
の等電位線分布を求めたものである。
【0029】以上のシミュレーションデータから、a=
2μm の場合、穴部では等電位線が殆ど外部(真空)に
飛び出しており、穴内部の電界は上部電極直下に比べて
小さく、従ってこの場合、穴の周辺部からの電子放出が
多くなる。穴の大きさを小さくする程、穴中央の電界は
上部電極直下の電界に近づき、穴からの電子放出が大き
くなることが分かる。
【0030】図20のデータから、開口率を考慮してa
=5μm まで有効とすると、このとき、絶縁層13と電
子加速層14の合計厚み、即ち上部電極15と下部電極
12間の厚みがb=1μm であるから、a/bは5であ
る。素子のサイズを全体の形状を保持したまま拡大或い
は縮小しても、等電位線分布は変わらないから、a/b
≦5の範囲に設定することが従来より大きな放出電流を
得る上で好ましいことが分かる。a/bの下限は、加工
限界により決まる。
【0031】また、上部電極15の厚みを100nm程
度とすれば、400℃程度の高温プロセスにも耐えるこ
とができる。具体的に実施例1による電界放出素子を蛍
光層付きのアノード板に対向させて低融点ガラスで封止
してディスプレイを試作した。ガラス封止は、N2ガス
中で400℃加熱により行った。なおアノード板側に
は、予めガラス管を取り付ておき、このガラス管を用い
て真空排気した後、ガラス管をバーナーで焼き切ること
により真空封止した。この結果、電子放出による発光が
確認され、上部電極が正常に導通を保っていることが確
認された。上部電極が10nmである上述の比較例の素
子を用いて同様の条件でディスプレイを作ったが、動作
不能となり、解析の結果上部電極Auが凝集して電極機
能を失っていることが確認された。
【0032】この発明において、上部電極を薄くすれ
ば、上部電極を透過した電子放出も見込めることから、
より放出電流が増加する。従って、400℃程度の加熱
処理に耐えられる範囲で上部電極をできる限り薄くする
ことは好ましい。またここまで説明した実施例では、上
部電極15に設けられる穴16の底部には、電子加速層
14が露出する状態としたが、例えば実施例1におい
て、穴16の底部の電極材料を完全にエッチングするこ
とは必ずしも必要ではない。穴16の底部に残す電極膜
は7nm以下とすることが、穴16からの電子放出を妨
げないためには重要であり、この範囲で電極膜を残すこ
とにより、穴16の上部電極15と下部電極12の間の
電界が増加し、その結果放出電流の増加を見込むことが
できる。
【0033】この発明の更に他の実施例をいくつか説明
する。図23は、例えば実施例1の方法で穴16が形成
された上部電極15を形成した後、改めて全面に10n
m以下、好ましくは7nm以下のAu膜15bをスパッ
タ法により成膜したものである。先に説明したように、
穴16を開けるエッチング工程で底部に電極膜を残すこ
とができるが、10nm以下の膜を残す際に面内均一
性、基板間均一性,及びロット間均一性等を十分満たす
ことは難しい。この実施例のように、穴16の底部を完
全に露出するまでエッチングを行い、改めてスパッタに
より全面に膜厚10nm以下のAu等の導電性電極膜を
成膜すれば、穴16の内部の電極膜厚を精度よく制御す
ることができる。この場合、穴16の内部においては、
下部のZnS層14が全て覆われるのではなく、図23
(b)に示すようにAuが凝集した島構造16aを有し
ており、ZnS層14が一部露出されていて、その露出
されたZnS層14から図23(c)に示すように電子
が放出される。従って、ZnS層14を完全に露出する
ように穴16を形成してから膜厚10nm以下の膜を穴
16に堆積しても、穴16の底部が完全に露出した状態
で電子を放出させる場合と比較して、実質的に同じよう
に電子を放出させることができる。
【0034】図24は、上部電極15にテーパエッチン
グを行うようにした実施例であり、実施例1の図4
(b)の工程に続く工程を示している。レジストパター
ン17は例えばノボラック系のポジ型レジストであっ
て、これをアルカリ現像液で現像した後、ホットプレー
トにて180℃,90秒の加熱処理を行って、レジスト
パターン17をリフローさせる(図24(a))。この
様にリフローさせたレジストパターン17を用いてAu
上部電極15をイオンミリングすると、テーパ加工され
た上部電極15を得ることができる(図24(b))。
その後更に、Au膜15aを10nm以下の範囲でスパ
ッタにより堆積してもよい(図24(c))。
【0035】次に、上部電極15の穴16の大きさや開
口率を調整する方法をいくつか説明する。実施例1の図
4(b)の工程で例えば、レジストパターン17を、窓
18の径0.5μm 、ピッチ1μm で形成したとする。
この後、O2アッシャーにてレジストを等方的にエッチ
ングすると、窓18の径を大きくすることができる。具
体的には例えば、窓18を0.8μm 径まで拡大する。
その後は実施例1と同様の工程で上部電極15をエッチ
ングする。この方法により、上部電極15の開口率を約
0.2から約0.5まで、2.5倍程大きくすることが
可能である。
【0036】図25及び図26は、上部電極15の耐エ
ッチングマスクとしてシリコン酸化膜を利用する方法で
ある。実施例1の図4(a)の工程の後、上部電極15
上にシリコン酸化膜21を200nm程度堆積する(図
25(a))。更にシリコン酸化膜21上に、ノボラッ
ク系ポジ型レジストを用いてレジストパターン22を形
成する(図25(b))。そして緩衝弗酸(HF+NH
4F)を用いてシリコン酸化膜21を等方的にエッチン
グする(図25(c))。そしてレジストパターン22
を剥離し(図26(a))、その後開口部が薄くなった
シリコン酸化膜21をマスクとして上部電極15をイオ
ンミリングによりテーパエッチングして、穴16を開け
る(図26(b))。最後にシリコン酸化膜21を緩衝
弗酸によりエッチング除去する(図26(c))。
【0037】この方法によっても、上部電極15の穴1
6の大きさや開口率の調整ができる。開口率を大きくす
るには、犠牲膜であるシリコン酸化膜21の膜厚を小さ
くすればよい。シリコン酸化膜21の膜厚を小さくする
と、加工される上部電極15のテーパ部の面積は減少す
る。シリコン酸化膜21に代わって、シリコン窒化膜や
アルマイト等他の絶縁膜、多結晶シリコン,アモルファ
スシリコン,ゲルマニウム等の半導体膜、Al,Cu,
Ni,Mo等の金属膜、WSi,MoSi,NiSi,
TaSi等のシリサイド膜を用いることもできる。
【0038】図27及び図28は、上部電極15の耐エ
ッチングマスクとしてBPSG,PSG等のガラス膜を
利用して、そのリフロー処理により開口率を調整する方
法である。実施例1の図4(a)の工程の後、上部電極
15上に例えば、BPSG膜23を200nm堆積する
(図27(a))。このBPSG膜23上に上の実施例
と同様にレジストパターン22を形成し(図27
(b))、BPSG膜23を異方性エッチングする(図
27(c))。具体的には、マイクロ波プラズマエッチ
ング装置を用い、CHF3+CO2+Arガスを用いて、
垂直側壁を出すようにエッチングする。その後、レジス
トパターン22を除去して、BPSG膜23をリフロー
させる(図28(a))。このフロー処理は、1050
℃まで10秒で昇温し、10秒間保持するという条件の
ランプアニールによる。その後、上の実施例と同様に上
部電極15をテーパエッチングし(図28(b))、B
PSG膜23を除去する(図28(c))。
【0039】図29は2層のシリコン酸化膜を犠牲膜と
して利用して開口率を調整する方法である。図25
(a)と同様にシリコン酸化膜21を上部電極15上に
堆積した後、これを異方性エッチングして垂直側壁を持
つ窓を開けたシリコン酸化膜21aをパターン形成し、
更にその側壁にシリコン酸化膜21bを形成する(図2
9(a))。具体的に第2層のシリコン酸化膜21bは
例えば、O3+TEOSを原料とした常圧CVDにより
堆積し、これをCHF3+CO2+Arガスを用いたプラ
ズマエッチングにより異方的にエッチングすることによ
り、第1層のシリコン酸化膜21aの側壁のみに残すこ
とができる。これら2層のシリコン酸化膜21a,21
bをマスクとして上部電極15をエッチングすることに
より、テーパ付きの穴16を開ける(図29(b))。
【0040】図30は、図29の2層目のシリコン酸化
膜21bに代わって、SOG膜を用いて側壁絶縁膜を形
成する方法である。SOG膜を塗布してこれをエッチバ
ックすることにより、なだらかに傾斜する側壁絶縁膜と
してのSOG膜21b′を得ることができる(図30
(a))。その後図29と同様に上部電極15をエッチ
ングしてテーパ付きの穴16を開ける(図30
(b))。
【0041】図31は、側壁絶縁膜のみを上部電極エッ
チングの耐エッチングマスクとして利用して開口率を調
整する方法である。図29或いは図30と同様の工程
で、上部電極15上に二種の絶縁膜25a,25bによ
るマスクをパターン形成する(図31(a))。例え
ば、第1の絶縁膜25aにはCVDシリコン窒化膜を用
い、これを異方性エッチングによりパターン形成した
後、第2の絶縁膜25bとしてSOG膜を塗布しエッチ
バックして側壁に残す。そして、第1の絶縁膜25aを
第2の絶縁膜25bに対して選択比の大きいエッチング
法で除去する。例えば第1の絶縁膜25aがシリコン窒
化膜、第2の絶縁膜25bがSOG膜であれば、シリコ
ン窒化膜を熱燐酸により選択的にエッチングすることが
できる。その後、側壁絶縁膜である第2の絶縁膜25b
のみをマスクとして上部電極15をエッチングする(図
31(b))。この方法によると、図29或いは図30
に比べて一層大きい開口率を得ることが可能である。第
1,第2の絶縁膜25a,25bには、エッチングの選
択比を大きくとれる他の適当な材料の組み合わせを用い
ることができる。
【0042】なお、図24〜図31に示した方法におい
て、上部電極15をパターニングした後、更に10nm
以下の薄い電極膜を全面に形成する図23の方法を適用
することができる。また、上部電極15としてAl等の
低融点金属を用いれば、穴16を形成した後にリフロー
処理ができる。Al膜の場合であれば、窒素または硫黄
雰囲気の炉で500℃,30分の加熱処理でリフローで
きる。またこのリフロー処理にランプアニールやレーザ
アニールを利用すれば、10秒程度の処理時間でリフロ
ー可能である。この加熱処理時間の短縮は、電子加速層
にZnS層を用いた場合に、加熱処理での硫黄(S)の
離脱を抑制する上で有利である。
【0043】図32は更に別の実施例の電界放射素子を
示す図1(a)のA−A′とは直交する方向の断面図で
ある。図示のように下部電極12はストライプ状にパタ
ーン形成されて配列されるから、この下部電極12の面
には凹凸がある。従って、図32では、絶縁層13とし
て2層の絶縁層13a,13bを用いて平坦化してい
る。具体的に第2層目の絶縁層13bとしてSOG等を
用いて、平坦化する事ができる。
【0044】また、実施例では絶縁性基板を用いてこれ
に下部電極を形成したが、下部電極を兼ねた導電性基板
を出発基板とすることもできる。その他この発明はその
趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可
能である。
【0045】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、上
部電極に複数の穴を形成することによって放出電流の増
大を図ると共に、上部電極の厚みを確保して真空封止の
ための高温プロセスにも電極機能が損なわれることがな
いようにした面電子源を持つ冷陰極型電界放出素子を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例による電界放出素子の平
面図とそのA−A′断面図である。
【図2】 同実施例の一つの面電子源部分の平面図と一
部切欠した斜視図である。
【図3】 実施例1の要部製造工程を示す断面図であ
る。
【図4】 実施例1の要部製造工程を示す断面図であ
る。
【図5】 図4(b)の状態の斜視図である。
【図6】 実施例2の要部製造工程を示す断面図であ
る。
【図7】 図6(a)の状態の斜視図である。
【図8】 ZnS層の表面状態を示すSEM写真であ
る。
【図9】 実施例3の要部製造工程を示す断面図であ
る。
【図10】 実施例3の要部製造工程を示す断面図であ
る。
【図11】 実施例4の要部製造工程を示す断面図であ
る。
【図12】 図11(b)の上部電極表面状態を示すS
EM写真である。
【図13】 実施例の電界放出素子の応用例を示す図で
ある。
【図14】 実施例の電界放出素子の電子放出原理を説
明するためのバンド図である。
【図15】 図13におけるパルス電圧とカソードルミ
ネセンスの波形を示す。
【図16】 実施例1の電界放出素子の輝度特性を示す
図である。
【図17】 実施例2の電界放出素子の輝度特性を示す
図である。
【図18】 実施例3の電界放出素子の輝度特性を示す
図である。
【図19】 実施例4の電界放出素子の輝度特性を示す
図である。
【図20】 実施例1の電界放出素子の輝度と穴の大き
さの関係を示す図である。
【図21】 実施例による電界放出素子の等電位線分布
のシミュレーション結果を示す図である。
【図22】 実施例による電界放出素子の等電位線分布
のシミュレーション結果を示す図である。
【図23】 他の実施例による電界放出素子の断面図で
ある。
【図24】 他の実施例による要部製造工程を示す断面
図である。
【図25】 他の実施例による要部製造工程を示す断面
図である。
【図26】 同実施例による要部製造工程を示す断面図
である。
【図27】 他の実施例による要部製造工程を示す断面
図である。
【図28】 同実施例による要部製造工程を示す断面図
である。
【図29】 他の実施例による要部製造工程を示す断面
図である。
【図30】 他の実施例による要部製造工程を示す断面
図である。
【図31】 他の実施例による要部製造工程を示す断面
図である。
【図32】 他の実施例による電界放出素子の断面図で
ある。
【図33】 従来の面電子源の構成法を示す図である。
【図34】 他の従来例の面電子源の構成法を示す図で
ある。
【符号の説明】
11…絶縁性基板、12…下部電極、13…絶縁層、1
4…電子加速層、15…上部電極、16…穴。
フロントページの続き (72)発明者 服部 敦夫 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面部に下部電極となる導電
    層を有する基板と、この基板の前記下部電極上に形成さ
    れた電子加速層と、この電子加速層上に前記下部電極に
    対向するように形成されて前記下部電極との間に電圧を
    印加する上部電極とを有する冷陰極型電界放出素子にお
    いて、 前記上部電極に複数の穴が形成されていることを特徴と
    する冷陰極型電界放出素子。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面部に下部電極となる導電
    層を有する基板と、この基板の前記下部電極上に絶縁層
    を介して形成された電子加速層と、この電子加速層上に
    前記下部電極に対向するように形成された上部電極とを
    有し、前記上部電極と下部電極の間に交流電圧を印加し
    て前記上部電極から前記電子加速層に注入された電子を
    加速して前記上部電極側から放出させるようにした冷陰
    極型電界放出素子において、 前記上部電極に複数の穴が形成されていることを特徴と
    する冷陰極型電界放出素子。
  3. 【請求項3】 前記上部電極の各穴の大きさは、前記上
    部電極と下部電極間の厚みの5倍以下に設定されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の冷陰極電界
    放出素子。
  4. 【請求項4】 少なくとも表面部に下部電極となる導電
    層を有する基板の前記下部電極上に電子加速層を形成
    し、この電子加速層上に前記下部電極に対向するように
    前記下部電極との間に電圧を印加する上部電極を形成す
    る工程を有する冷陰極型電界放出素子の製造方法におい
    て、 前記上部電極に複数の穴を形成する工程を有することを
    特徴とする冷陰極電界放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記上部電極に複数の穴を形成する工程
    は、前記上部電極上に耐エッチングマスクをパターン形
    成して前記上部電極を選択エッチングするものであるこ
    とを特徴とする請求項4記載の冷陰極型電界放出素子の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記上部電極に複数の穴を形成する工程
    は、前記上部電極形成に先だって前記電子加速層上の前
    記複数の穴に対応する位置に犠牲層をパターン形成し、
    その後上部電極を積層形成した後、前記犠牲層を除去す
    ることにより前記上部電極をリフトオフ加工するもので
    あることを特徴とする請求項4記載の冷陰極型電界放出
    素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記上部電極に複数の穴を形成する工程
    は、前記電子加速層をその表面に凹凸のある状態に形成
    し、この電子加速層上に前記凹凸を反映した凹凸を有す
    る上部電極を形成し、この上部電極表面の凹部に耐エッ
    チング材を埋め込み形成して前記上部電極を選択エッチ
    ングするものであることを特徴とする請求項4記載の冷
    陰極型電界放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記上部電極に複数の穴を形成する工程
    は、前記電子加速層上に前記上部電極材料となる微粒子
    を分散させた溶液を塗布し、加熱焼成して多孔質の上部
    電極を形成するものであることを特徴とする請求項4記
    載の冷陰極型電界放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記上部電極に複数の穴を形成する工程
    は、第1の上部電極材料膜を成膜した後、この第1の上
    部電極材料膜上に耐エッチングマスクをパターン形成し
    て第1の上部電極材料膜を選択エッチングした後、第2
    の上部電極材料膜を成膜するものであることを特徴とす
    る請求項4記載の冷陰極型電界放出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に耐エッチングマスクをパターン
    形成し、前記耐エッチングマスクをリフローさせた後、
    前記上部電極を選択エッチングするものであることを特
    徴とする請求項4記載の冷陰極型電界放出素子の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に耐エッチングマスクをパターン
    形成し、前記耐エッチングマスクをエッチバックして穴
    径を増大させた後、前記上部電極を選択エッチングする
    ものであることを特徴とする請求項4記載の冷陰極型電
    界放出素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に犠牲膜を成膜し、次いで耐エッ
    チングマスクをパターン形成し、前記犠牲膜を等方的に
    エッチングした後、前記上部電極を選択エッチングする
    ものであることを特徴とする請求項4記載の冷陰極型電
    界放出素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上にPSG,BPSG等の低融点犠
    牲膜を成膜し、次いで耐エッチングマスクをパターン形
    成し、前記犠牲膜を等方的にエッチングし、前記犠牲膜
    をリフローさせた後、前記上部電極を選択エッチングす
    るものであることを特徴とする請求項4記載の冷陰極型
    電界放出素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に第1の犠牲膜を成膜し、次いで
    耐エッチングマスクをパターン形成し、前記第1の犠牲
    膜を等方的にエッチングした後、第2の犠牲膜を成膜
    し、前記第2の犠牲膜をエッチバックし、前記第1の犠
    牲膜の側壁にサイドスペーサを形成した後、前記上部電
    極を選択エッチングするものであることを特徴とする請
    求項4記載の冷陰極型電界放出素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に第1の犠牲膜を成膜し、次いで
    耐エッチングマスクをパターン形成し、前記第1の犠牲
    膜を等方的にエッチングした後、SOG等を第2の犠牲
    膜として塗布し、前記第2の犠牲膜をエッチバックした
    後、前記上部電極を選択エッチングするものであること
    を特徴とする請求項4記載の冷陰極型電界放出素子の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に第1の犠牲膜を成膜し、次いで
    耐エッチングマスクをパターン形成し、前記第1の犠牲
    膜を等方的にエッチングした後、第2の犠牲膜を成膜
    し、前記第2の犠牲膜をエッチバックし、前記第1の犠
    牲膜の側壁にサイドスペーサを形成し、前記第1の犠牲
    膜を選択的に除去した後、前記上部電極を選択エッチン
    グするものであることを特徴とする請求項4記載の冷陰
    極型電界放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極上に第1の犠牲膜を成膜し、次いで
    耐エッチングマスクをパターン形成し、前記第1の犠牲
    膜を等方的にエッチングした後、SOG等を第2の犠牲
    膜として塗布してエッチバックを行い、前記第1の犠牲
    膜を選択的に除去した後、前記上部電極を選択エッチン
    グするものであることを特徴とする請求項4記載の冷陰
    極型電界放出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極として低融点導電材料膜を成膜し、
    次いで耐エッチングマスクをパターン形成し、前記上部
    電極を等方的にエッチングした後、前記上部電極をリフ
    ローさせるものであることを特徴とする請求項4記載の
    冷陰極型電界放出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記上部電極に複数の穴を形成する工
    程は、前記上部電極に前記電子加速層が露出するように
    穴を形成した後、厚さ10nm以下の導電性電極材料膜
    を形成する工程を含むことを特徴とする請求項4記載の
    冷陰極型電界放出素子の製造方法。
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