JP2006234018A - 摩擦係合要素の締結圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 締結圧指令値を漸増させるロックアップクラッチの締結処理中に、アクセルの踏み込みによってロックアップクラッチの入出力回転速度差が閾値以上になると、締結圧指令値を現在値と初期値との中間値に戻して締結処理をやり直す。初期値に戻す代わりにより大きな中間値に戻すことで、締結処理の進行を速めて、締結制御時間内での締結完了を図る。
【選択図】 図2
Description
かかる構成によると、回転速度差が閾値以上になったことに基づいて締結処理を途中でやり直すときに、締結圧指令値を本来の初期値にまで戻すのではなく、初期値と現在値との中間値、即ち、本来の初期値よりも大きな値から再締結処理を開始させる。
請求項2記載の発明では、締結圧指令値を漸増制御して摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったときに、前記締結圧指令値を初期値と現在値との中間値まで戻して締結処理をやり直す構成とした。
従って、回転速度差を大きくする入力側回転速度の増大変化が発生したことに基づいて締結処理をやり直しても、やり直した締結処理によって摩擦係合要素を締結状態に移行させるのに要する時間を短くでき、締結制御時間が経過した時点での回転速度差を縮小して、締結ショックを低減できる。
かかる構成によると、回転速度差又は入力側回転速度の増大変化速度の大きさによって初期値に対してどれだけ大きな値から締結処理をやり直すかが決定される。
従って、回転速度差又は入力側回転速度の増大変化速度が大きく、回転速度差を収束させるのに時間を要すると判断されるときに、これに対応する締結圧指令値から締結処理をやり直すことができる。
かかる構成によると、締結開始から、回転速度差又は入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったと判断された時点までの時間、換言すれば、締結制御時間の残り時間に応じて、初期値に対してどれだけ大きな値から締結処理をやり直すかが決定される。
請求項5記載の発明では、前記エンジンの負荷の増大変化速度に応じて前記中間値を決定する構成とした。
かかる構成によると、締結処理中にアクセルが踏み込まれてエンジン負荷が増大変化すると、エンジン負荷の増大変化速度に応じて締結処理をやり直すために締結圧指令値を戻す目標が決定される。
図1は、実施の形態における車両用自動変速機のシステム構成図である。
この図1において、エンジン1には、トルクコンバータ2を介して変速機3が転結される。尚、前記変速機3は、歯車式の有段変速機の他、ベルト式やトロイダル式の無段変速機(CVT)であっても良い。
ロックアップ油圧制御バルブ22は、ロックアップクラッチ21の解放側に供給される油圧と締結側に供給される油圧とを制御する。
前記変速機制御ユニット31は、マイクロコンピュータを含んで構成され、各種センサからの検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいて前記ロックアップ油圧制御バルブ22を制御すると共に、変速機3を構成する各種摩擦係合要素に対する油圧の供給を制御する変速バルブを制御する。
前記変速機制御ユニット31は、スロットル開度TVO(アクセル開度)と車速VSPとに対応して予め設定されるシフトスケジュールに従って前記変速バルブを制御する一方、スロットル開度TVO(アクセル開度)及び車速VSPに基づき特定されるロックアップ領域において前記ロックアップ油圧制御バルブ22を制御して、ロックアップクラッチ21を締結させる。
図2のフローチャートにおいて、まず、ステップS1では、ロックアップ要求があるか否かを判別する。具体的には、スロットル開度TVO(アクセル開度)及び車速VSPに基づき特定されるロックアップ領域に該当するか否かを判別する。
前記締結処理において、締結処理の開始直後は、フィードホワード制御によって締結圧指令値を初期値から漸増させ、前記ロックアップクラッチ21の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差の規定以上の低下を判断すると、前記回転速度差を0にまで徐々に収束させるべく前記回転速度差の目標を設定して、該目標と実際値との偏差に応じた締結圧指令値のフィードバック制御を開始する。
但し、前記締結圧指令値を漸増させる方法を、上記の方法に限定するものではなく、また、前記初期値は運転条件(例えば入力トルク)に応じて可変に設定することができる。
また、締結処理の開始時点から予め設定される締結制御時間が経過した時点で、前記締結圧指令値は完全締結維持状態での目標値にまで強制的にステップ変化させられる構成となっている。
ステップS3では、前記締結処理の最中に、前記ロックアップクラッチ21の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差が、閾値SL1以上になったか否かを判別する。
これは、締結処理中にアクセルが踏み込まれることで、エンジン出力が増大してエンジン回転速度が増大し、これによって前記回転速度差が拡大するから、入力側回転速度の急増から、回転速度差の増大変化が推定されるためである。
ステップS3で回転速度差(又は入力側回転速度の増大変化速度)が閾値未満であると判別された場合には、ステップS4,5を迂回してステップS6へ進み、それまでの締結処理をそのまま継続させる。
ステップS4では、締結処理中に後述するステップS5の処理を実行した回数が規定回数(例えば1〜2回)以上になっているか否かを判別する。
そして、ステップS5の処理を実行した回数が規定回数以上に達していない場合にステップS5へ進み、規定回数以上になっている場合には、ステップS5を迂回してステップS6へ進む。
そこで、やり直し後の締結処理の進行を速めて、やり直し後の締結処理に要する時間を短くすべく、締結処理のやり直しに伴って締結圧指令値を戻す値を本来の初期値よりも大きな値とするものである。
そこで、前記中間値を、下記パラメータのうちの少なくとも1つに基づき可変に設定することが好ましい。
(1)ロックアップクラッチ21の入力側と出力側との回転速度差
(2)ロックアップクラッチ21の入力側回転速度の増大変化速度
(3)ロックアップクラッチ21の締結処理開始からの時間
(4)エンジン負荷の変化速度
前記各パラメータに基づく中間値の設定においては、許容レベルを超える締結ショックを発生することのない範囲でなるべく大きな値を中間値として設定する。
アクセルの踏み込みにより回転速度差が大きくなるほど、前記回転速度差を収束させるのにより長い時間を要するため、回転速度差が大きいほど中間値をより大きな値に設定する(初期値と中間値との偏差を大きくする)。
また、入力側回転速度の増大変化速度が速いほど大きな回転速度差が生じることになるので、増大変化速度が速いほど中間値をより大きな値に設定する(初期値と中間値との偏差を大きくする)。
また、エンジン負荷の増大変化速度が速いほど大きな回転速度差が生じることになるので、増大変化速度が速いほど中間値をより大きな値に設定する(初期値と中間値との偏差を大きくする)。
また、前記中間値には、一定の制限を設けることが好ましい。
ステップS6では、予め設定された締結制御時間が経過したか否かを判別し、締結制御時間が経過していない場合には、ステップS2に戻る。
上記のように、締結処理の途中でのアクセルの踏み込みに伴って締結処理をやり直すときに、締結圧指令値を初期値に戻すのではなく、初期値と現在値との中間値に戻すようにすれば、締結制御時間内で締結を最大限に進めることができ、締結制御時間の終了時に大きな回転差が残って、大きな締結ショックが生じることを回避できる。
尚、上記実施形態では、エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素としてロックアップクラッチ21を例としたが、この他、変速機3を構成するクラッチ等の締結制御にも同様の処理を適用することが可能である。
(イ)請求項1〜5のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置において、前記摩擦係合要素がトルクコンバータに設けられるロックアップクラッチであることを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
(ロ)請求項1〜5のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置において、
前記締結処理のやり直しを、所定回数以下に制限することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
(ハ)請求項1〜5のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置において、
前記締結処理が、前記摩擦係合要素の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差に基づき前記締結圧指令値をフィードバック制御することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
Claims (5)
- エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素の締結圧を制御する締結圧制御装置であって、
締結圧指令値を漸増制御して前記摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差が閾値以上になったときに、前記締結圧指令値を初期値と現在値との中間値まで戻して締結処理をやり直すことを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。 - エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素の締結圧を制御する締結圧制御装置であって、
締結圧指令値を漸増制御して前記摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったときに、前記締結圧指令値を初期値と現在値との中間値まで戻して締結処理をやり直すことを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。 - 前記回転速度差又は入力側回転速度の増大変化速度に応じて前記中間値を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置。
- 前記摩擦係合要素の締結処理の開始から、前記回転速度差又は入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったと判断された時点までの時間に応じて、前記中間値を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置。
- 前記エンジンの負荷の増大変化速度に応じて前記中間値を決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置。
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