JP2016013740A - 車両の制御装置 - Google Patents

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未来織 渡辺
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未来織 渡辺
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Abstract

【課題】ニュートラル制御の開始時、トルクコンバータが発生させる内燃機関の負荷が減少するのに合わせてスロットル弁開度が減少しても、実際に筒内吸入空気量が減少するまでに時間を要することに起因して機関回転速度が一時的に上昇する吹き上がりが発生する。この吹き上がりを抑制することが可能な車両の制御装置を提供する。【解決手段】車両の制御装置は、トルクコンバータ回転速度比(ポンプインペラの回転速度に対するタービンランナの回転速度の比)に相関を有する補正量に基づいてスロットル弁開度を決定する際、補正量の単位時間あたりの変化量の大きさが大きくなるほどスロットル弁開度を小さい値に設定する。【選択図】図2

Description

本発明は、流体式トルクコンバータ及び断続装置を備える車両の内燃機関がアイドル運転状態にあるとき、断続装置のトルク伝達を遮断するニュートラル制御を実行する車両の制御装置に関する。
内燃機関(機関)から駆動輪までのトルク伝達経路に流体式トルクコンバータ(トルクコンバータ)とクラッチ装置(断続装置)とを配設した車両が知られている。この車両において、トルクコンバータの入力軸は機関の出力軸に接続され、トルクコンバータの出力軸はクラッチ装置の入力軸に接続される。更に、クラッチ装置の出力軸は駆動輪にトルク伝達可能に接続された回転軸に接続される。
係る車両においては、所謂「ニュートラル制御」が実行されることがある。ニュートラル制御は、アクセル操作がなされておらず(即ち、機関がアイドル運転状態にあり)、ブレーキ操作が行われ且つ車両が停止している場合にクラッチ装置によって機関から駆動輪へのトルク伝達を遮断する制御である。ニュートラル制御が実行されれば、トルクコンバータ内の流体を撹拌するために機関が発生しなければならないトルク(以下、「トルコン負荷」とも称呼される。)が低下するので、燃費が改善される。
ところで、機関がアイドル運転状態にあるとき、多くの機関では、機関回転速度が所定の目標アイドル回転速度に維持されるように「スロットル弁開度又はスロットル弁をバイパスする通路に設けられた弁の開度(バイパス弁の開度)」が制御される。この場合、機関がアイドル運転状態になった後にニュートラル制御が実行されると、トルコン負荷が減少するから、目標アイドル回転速度を実現するスロットル弁開度(又はバイパス弁開度)はトルコン負荷の減少分に応じて所定量だけ低下する。
しかし、ニュートラル制御が開始されたとき、スロットル弁開度又はバイパス弁開度を所定量だけ急激に減少させると、機関の回転速度が過度に減少し、機関の運転状態が不安定になる場合がある。この理由は、ニュートラル制御の開始後においてクラッチ装置の摩擦係合が徐々に解除されるのでトルコン負荷が急激には減少しないのに対し、スロットル弁開度又はバイパス弁開度が急減されることによって吸入空気量が急減するからである。
そこで、従来の装置は、ニュートラル制御の開始直後において機関回転速度を出来るだけ一定に保つため、クラッチ装置のクラッチ係合圧力(即ち、摩擦係合要素の摩擦係合状態)に基づいてISC補正値を求め、そのISC補正値に基づいてISCバルブ(上記バイパス弁)の開度を調整するようになっている(特許文献1を参照。)。
特開2005−207272公報
ところで、クラッチ係合圧力が低下するのに従ってトルクコンバータの出力軸は自由に回転できる状態へと近づくので、「トルクコンバータの入力軸の回転速度」に対する「トルクコンバータの出力軸の回転速度」の比率(即ち、トルクコンバータ回転速度比)は上昇する。このことから、トルクコンバータ回転速度比はトルコン負荷を精度良く表すパラメータの一つであると考えられる。従って、トルクコンバータ回転速度比は、ISC補正値を求める際のパラメータとして、クラッチ係合圧に代えて採用され得る。
そこで、本発明の発明者は、ニュートラル制御の開始後において、スロットル弁開度又はバイパス弁開度を「トルクコンバータ回転速度比が大きくなるほど1に近づく第1補正係数を前記所定量に乗じた値」だけ「ニュートラル制御を開始する前の基準開度」よりも減少させれば良いと考えた。
しかしながら、実際には、スロットル弁開度又はバイパス弁開度の変化に対して機関に実際に吸入される空気の量の変化は遅れるので、特に、トルコン負荷が急減する場合(トルクコンバータ回転速度比が急増する場合)に吸入空気量が過大となる状態が生じ、その結果、機関回転速度が目標アイドル回転速度に対して相当量上昇してしまう(所謂「吹き上がり」が発生する)という問題がある。
本発明は、上述した問題に対処するために成され、その目的は、ニュートラル制御の開始後において機関の回転速度が大きく変動することを回避し得る制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための車両の制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼される。)は、
「スロットル弁開度」又は「スロットル弁をバイパスする通路に設けられたバイパス弁の開度」を変更可能なアクチュエータを有する内燃機関と、
前記機関に接続された入力軸と駆動輪にトルク伝達可能な出力軸とを有する流体式トルクコンバータと、
前記出力軸と前記駆動輪との間のトルク伝達経路に介装され且つ摩擦係合要素を有するとともに同摩擦係合要素が摩擦係合したときにトルクを伝達する断続装置と、
を備える車両に適用される。
更に、本発明装置は、制御部を備え、
前記制御部は、
前記車両を加速するためのアクセル操作がなされておらず、前記車両を制動するためのブレーキ操作が行われ且つ前記車両が停止しているとき、前記断続装置の前記摩擦係合要素の摩擦係合を解除することにより前記機関から前記駆動輪へのトルク伝達を遮断するニュートラル制御を実行する。
加えて、前記制御部は、
前記ニュートラル制御の実行中において前記アクチュエータを制御して「前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁の開度」を「同ニュートラル制御を開始する前の基準開度」に対して所定量低下させる。
加えて、前記制御部は、
前記ニュートラル制御を実行するために前記摩擦係合要素の摩擦係合を解除させ始めた後、前記アクチュエータを制御して「前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁の開度」を、「前記入力軸の回転速度に対する前記出力軸の回転速度の比であるトルクコンバータ回転速度比」が大きくなるほど1に近づく第1補正係数と、
前記第1補正係数の単位時間あたりの変化量の大きさが大きくなるほど1よりも大きい範囲で大きくなる第2補正係数と、
を前記所定量に乗じることにより得られる量だけ前記基準開度に対して低下させた開度に制御するように構成されている。
このように、本発明の制御装置は、ニュートラル制御の実行を開始した後、前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁開度を、「トルクコンバータ回転速度比が大きくなるほど1に近づく第1補正係数と、前記第1補正係数の単位時間あたりの変化量(第1補正係数の時間微分値)の大きさが大きくなるほど1よりも大きい範囲で大きくなる第2補正係数と、を前記所定量に乗じることにより得られる量」だけ、前記基準開度に対して減少させる。よって、トルコン負荷の変化に遅れることなく適切な量の吸入空気量を機関に供給することができる。その結果、ニュートラル制御の開始後において機関の回転速度が大きく変動することを回避することができる。
なお、本発明は、上記車両の制御装置を搭載する車両にも係り、更に、上記車両の制御装置にて使用される方法にも及ぶ。
本発明の実施形態に係る制御装置(本制御装置)が適用される車両(本車両)の概略図である。 本車両の各部の作動状態の変化を表したタイムチャートである。 本制御装置が実行するISC制御ルーチンを表したフローチャートである。 本制御装置が実行するN制御開始ルーチンを表したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る車両の制御装置(以下、「本制御装置」とも称呼される。)について説明する。
本制御装置は、図1に概略構成を示した車両10に適用される。車両10は、内燃機関21、流体式トルクコンバータ22、クラッチ(断続装置)23、ベルト式無段変速機(CVT)24、差動歯車装置(ディファレンシャルギア)25及び駆動輪26を含んでいる。
機関21は、火花点火式ガソリンエンジンである。機関21の吸気通路31には、エアクリーナ32、スロットル弁33及びスロットル弁アクチュエータ34が配設されている。スロットル弁アクチュエータ34は、後述するECU40の指示に応答してスロットル弁33の開度(スロットル弁開度)TAを変更し、吸気通路31内の空気流量を制御する。機関21は、図示しない燃料噴射弁を備えている。燃料噴射弁はECU40の指示に応じた量の燃料を噴射することができる。
流体式トルクコンバータ22は、入力軸と接続されたポンプインペラ、出力軸と接続されたタービンランナ及びトルク増幅機能を実現させるステータ(何れも不図示)等を備えている。流体式トルクコンバータ22は、ポンプインペラとタービンランナとの間で流体(トルクコンバータ・オイル)を介して動力伝達を行う。流体式トルクコンバータ22の入力軸は、機関21のクランクシャフト(機関21の出力軸)に連結されている。流体式トルクコンバータ22の出力軸は、クラッチ23(クラッチ23の入力軸)に連結されている。
クラッチ23は、ベルト式無段変速機24と連結されたクラッチディスク35、流体式トルクコンバータ22の出力軸と連結されたフライホイール36、プレッシャープレート37、リターンスプリング38、レリーズシリンダ39及びクラッチフォーク39a等を備えている。即ち、クラッチ23の入力側部材は、流体式トルクコンバータ22の出力軸に連結されている。クラッチ23の出力側部材は、ベルト式無段変速機24及び差動歯車装置25を介して駆動輪26にトルク伝達可能な回転軸(ベルト式無段変速機24)に連結されている。
リターンスプリング38が発生させる力によってクラッチディスク35がフライホイール36及びプレッシャープレート37に挟圧されるとき、クラッチ23は、流体式トルクコンバータ22とベルト式無段変速機24との間でトルクを伝達する。即ち、クラッチディスク35とフライホイール36とが摩擦係合する。クラッチディスク35及びフライホイール36は「摩擦係合要素」とも称呼される。クラッチ23が摩擦係合状態にあるとき、クラッチディスク35とフライホイール36との間の滑りは発生しない。
この係合の圧力が、クラッチ係合圧力Cpである。レリーズシリンダ39が力(油圧)を発生させていないとき、クラッチ係合圧力Cpは最大圧力Cmaxとなる。この場合、クラッチ23は摩擦係合状態となる。レリーズシリンダ39が発生させる油圧がクラッチフォーク39aを介してプレッシャープレート37に伝えられ、フライホイール36及びプレッシャープレート37がクラッチディスク35を挟圧する力が弱められると、クラッチ係合圧力Cpが低下する。クラッチ係合圧力Cpが低下するに従って、クラッチ23は半係合状態を経て遮断状態となる。
クラッチ23が半係合状態にあるとき、クラッチディスク35とフライホイール36との間に滑りが発生する。クラッチ23が遮断状態にあるとき、クラッチディスク35とフライホイール36との間でトルク伝達は行われない。
ベルト式無段変速機(CVT機構)24は、入力側のプライマリプーリ、出力側のセカンダリプーリ及び「プライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられた金属製のベルト」(いずれも不図示)等を備えている。プライマリプーリはクラッチ23と連結され、セカンダリプーリは差動歯車装置25と連結されている。プライマリプーリ及びセカンダリプーリは、有効径が可変である可変プーリである。これら可変プーリの有効径が変化することよって、「セカンダリプーリの回転速度に対するプライマリプーリの回転速度の比率であるギア比」が変化する。
更に、車両10は、ECU(電子制御ユニット)40を備えている。ECU40は、CPU41、CPU41が実行するプログラム及びマップ等を記憶するROM42並びにデータを一時的に記憶するRAM43を含んでいる。ECU40は、以下に説明するエアフローメータ51、スロットル弁開度センサ52、クランク角度センサ53、トルクコンバータ回転速度センサ54、車速センサ55、シフトポジションセンサ56、アクセル開度センサ57及びブレーキペダルセンサ58と接続されている。
エアフローメータ51は、吸気通路31内を通過する吸入空気の質量流量(吸入空気量)を測定し、その吸入空気量Gaを表す信号を発生させる。スロットル弁開度センサ52はスロットル弁33の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を発生させる。
クランク角度センサ53は、機関21のクランクシャフトの回転位置を表す信号を発生させる。ECU40は、クランク角度センサ53からの信号に基づいて機関回転速度NEを算出する。機関回転速度NEは、流体式トルクコンバータ22の入力軸回転速度でもある。トルクコンバータ回転速度センサ54はタービンランナの回転速度(流体式トルクコンバータ22の出力軸回転速度)であるタービン回転速度NTを表す信号を発生させる。車速センサ55は、車両10の車速Vsを表す信号を発生させる。
シフトポジションセンサ56は、運転者によるシフトレバー61の操作によって選択された車両10の走行モード(シフトポジション)を表す信号を発生させる。シフトポジションには、駐車のためのパーキング(P)レンジ、後進走行のためのリバース(R)レンジ、機関21から駆動輪26への動力伝達を遮断するニュートラル(N)レンジ、前進走行のためのドライブ(D)レンジ、及び、ベルト式無段変速機24のギア比がドライブ(D)レンジよりも高い値に維持されるロー(L)レンジが含まれている。
アクセル開度センサ57は、運転者が車両10を加速させるために操作するアクセルペダル62の開度(アクセルペダル操作量)Accpを表す信号を発生させる。即ち、運転者の要求トルクが大きくなるほど、アクセルペダル62は踏み込まれ、アクセルペダル操作量Accpが増加する。ブレーキペダルセンサ58は、運転者が車両10に搭載された図示しない主制動装置(サービスブレーキ、フットブレーキ)による制動力を調整するために操作するブレーキペダル63が操作されているか否かを表す信号を発生させる。即ち、アクセルペダル62及びブレーキペダル63は、運転者が車両10の車速Vsを制御するために用いられる。
なお、車両10は、パーキングブレーキ64を備えている。パーキングブレーキ64は、車両10の駐車時に用いられる。
<作動>
次に、ECU40のCPU41(以下、単に「CPU」とも称呼される。)が実行するアイドルスピードコントロール制御(以下、「ISC制御」とも称呼される。)及びニュートラル制御(以下、「N制御」とも称呼される。)について説明する。
<ISC制御の概要>
機関21がアイドル運転状態にあるとき、CPUは、機関回転速度NEが所定の目標アイドル回転速度Ntgtとなるようにスロットル弁開度TAをフィードバック制御する、ISC制御を実行する。アイドル運転状態であるか否かの判定条件は「ISC制御条件」とも称呼される。本例において、ISC制御条件は、アクセルペダル操作量Accpが「0」であって且つ車速Vsが「0」であるとき(又は、車速Vsが所定の速度閾値以下であるとき)に成立する。
<N制御の概要>
シフトレバー61のシフトポジションが、パーキング(P)レンジ及びニュートラル(N)レンジ以外のレンジ(以下、「走行レンジ」とも称呼される。)であるとき、機関21が発生するトルクは、流体式トルクコンバータ22、クラッチ23及びベルト式無段変速機24等を介して駆動輪26に伝達される。この場合であっても、車両10の運転者は、アクセルペダル操作量Accpを「0」とする一方、ブレーキペダル63を操作して制動力を発生させることにより車速Vsを「0」に維持することができる。
シフトポジションが走行レンジであり、クラッチ23がトルクを伝達している状態であり、アクセルペダル操作量Accpが「0」であり、ブレーキペダル63が操作され且つ車速Vsが「0」である状態は、本明細書において「アイドルブレーキ状態」とも称呼される。即ち、上述の場合、車両10はアイドルブレーキ状態となっている。
車両10がアイドルブレーキ状態にあるとき、流体式トルクコンバータ22のポンプインペラが機関回転速度NEにて回転する一方、タービン回転速度NTは「0」となる。この場合、流体式トルクコンバータ22内部の流体を攪拌させるために機関21が発生しなければならないトルク(トルコン負荷)が上昇する。
トルコン負荷は、機関回転速度NEが一定であれば、タービン回転速度NTが低下するほど大きくなり、タービン回転速度NTが「0」であるとき、最大となる。
トルコン負荷が発生しているとき、CPUは、機関回転速度NEを目標アイドル回転速度Ntgtに維持するために吸入空気量Ga及び燃料噴射量を、トルコン負荷が「0」であるときよりも増加させる必要がある。その結果、機関21の燃費が悪化し得る。
より具体的に述べると、トルコン負荷が「0」であるとき、機関回転速度NEを目標アイドル回転速度Ntgtに維持できるスロットル弁開度TAは、無負荷スロットル弁開度TAaである。一方、タービン回転速度NTが「0」であるとき、機関回転速度NEを目標アイドル回転速度Ntgtに維持できるスロットル弁開度TAは、基準スロットル弁開度TAb(基準開度)である。基準スロットル弁開度TAbは、無負荷スロットル弁開度TAaよりも大きい(即ち、TAa<TAb)。従って、基準スロットル弁開度TAbと無負荷スロットル弁開度TAaとの差分であるトルコン負荷基準補正量TAtcb(即ち、TAtcb=TAb−TAa)に応じて吸入空気量Ga及び燃料噴射量が増加する。
燃費の悪化を抑制するため、CPUは、クラッチ係合圧力Cpを低下させることによってクラッチ23のクラッチディスク35及びフライホイール36の摩擦係合を解除させ、以て、トルコン負荷を実質的に「0」とするN制御を実行する。N制御を実行すべきか否かの判定条件は「N制御条件」とも称呼される。本例において、N制御条件は、アイドルブレーキ状態が所定の時間閾値Nth以上継続しているときに成立する。
N制御の実行中、機関21の負荷が軽減されるので、CPUは、吸入空気量Ga(及び燃料噴射量)を減少させるため、スロットル弁開度TAを低下させる。N制御の実行を開始した直後、急激にスロットル弁開度TAが低下すると、機関回転速度NEが急激に減少するので、CPUは、トルコン負荷の低下に合わせてスロットル弁開度TAを徐々に低下させる。
トルコン負荷に相関を有する指標として、流体式トルクコンバータ22の入力軸の回転速度(即ち、機関回転速度NE)に対する流体式トルクコンバータ22の出力軸の回転速度(即ち、タービン回転速度NT)の比であるトルクコンバータ回転速度比eが用いられる。クラッチ係合圧力Cpの低下に伴い、即ち、トルコン負荷の低下に従って、トルクコンバータ回転速度比eは上昇する。
クラッチ23によって伝達されるトルクが「0」である場合、即ち、流体式トルクコンバータ22の出力側が無負荷であって、トルコン負荷が実質的に「0」である場合、トルクコンバータ回転速度比eは速度比閾値ethとなる。流体式トルクコンバータ22の出力側が無負荷であっても、流体式トルクコンバータ22内部のポンプインペラとタービンランナとの間に滑りが発生するため、速度比閾値ethは「1」よりも若干小さい値となる。
CPUは、トルクコンバータ回転速度比eが大きくなるほど「1」に近づく速度比補正係数Ke(第1補正係数)を取得する。この速度比補正係数Keをトルコン負荷基準補正量TAtcbに乗じて得られる値を基準スロットル弁開度TAbに対して低下させた開度(即ち、TAb−Ke×TAtcbによって得られる開度)が、その時点において目標アイドル回転速度Ntgtを実現するスロットル弁開度TAである。
しかし、トルコン負荷の低下に合わせてスロットル弁開度TAを減少させても、スロットル弁33を通過した吸入空気が吸気通路31を通過して燃焼室に至るまでには時間を要する。そのため、トルコン負荷が急激に減少し、よって、トルクコンバータ回転速度比eの単位時間あたりの上昇量が大きい場合、実際の筒内吸入空気量が、目標アイドル回転速度Ntgtを実現する筒内吸入空気量まで減少しない可能性がある。その結果、機関回転速度NEが目標アイドル回転速度Ntgtよりも大きくなる。
そこで、CPUは、この応答遅れを見越して、トルクコンバータ回転速度比eの増加速度が大きくなるほどスロットル弁開度TAを減少させる。具体的には、CPUは、速度比補正係数Keの単位時間あたりの変化量の大きさ(即ち、速度比補正係数Keの時間微分値の絶対値)である微分値Vdifが大きくなるほど1よりも大きい範囲で大きくなるN制御補正係数Kd(第2補正係数)を取得する。
更に、CPUは、トルコン負荷基準補正量TAtcbに速度比補正係数Ke及びN制御補正係数Kdを乗じることによって、トルクコンバータ補正量TAtcを算出する(即ち、TAtc=Ke×Kd×TAtcb)。CPUは、基準スロットル弁開度TAbに対してトルクコンバータ補正量TAtcだけ低下させた開度(即ち、TAb−Ke×Kd×TAtcbによって得られる開度)がスロットル弁開度TAとなるようにスロットル弁アクチュエータ34を制御する。
これにより、トルクコンバータ回転速度比eの増加速度が大きいほどスロットル弁開度TAが減少するので、筒内吸入空気量の応答遅れを見越したフィードフォワード制御が可能となる。即ち、N制御が開始されトルクコンバータ回転速度比eが上昇するとき、スロットル弁開度TAはこのフィードフォワード制御及び上述したISC制御によるフィードバック制御によって決定される。
図2は、ISC制御が実行され、更に、N制御が開始されるときの各部の作動状態の変化を表したタイムチャートである。本タイムチャートに表された期間、シフトレバー61のシフトポジションはドライブ(D)レンジであり、ブレーキペダル63が操作され且つアクセルペダル操作量Accpは「0」である。
図2[A]は、車速Vsの変化を表している。同図では、運転者によるブレーキペダル63の操作に基づいて車速Vsが徐々に減少した結果、時刻t0にて「0」になっている様子が表されている。更に、時刻t0以降、ブレーキペダル63の操作がなされ続け、車両10は停止している。その結果、時刻t0以降、ISC制御条件が成立するとともにアイドルブレーキ状態が発生している。
図2[B]は、機関回転速度NE及びタービン回転速度NTの変化を表している。同図の破線部については後述する。図2[C]は、トルクコンバータ回転速度比e(即ち、機関回転速度NEに対するタービン回転速度NTの比)を表している。
時刻t0にて機関回転速度NEは目標アイドル回転速度Ntgtとなる一方、タービン回転速度NTは「0」となっている。その結果、トルクコンバータ回転速度比eも、時刻t0にて「0」となっている。
図2[D]は、スロットル弁開度TAを表している。同図の破線部については後述する。トルクコンバータ回転速度比eの低下に従ってトルコン負荷が増大するので、機関回転速度NEを目標アイドル回転速度Ntgtに維持するのに必要なスロットル弁開度TAは時刻t0に至るまで増加し、時刻t0にて基準スロットル弁開度TAbとなっている。
図2[E]は、クラッチ係合圧力Cpを表している。ISC制御の実行中であってN制御が実行されていないとき(例えば、時刻t0)、クラッチ23が係合状態となるようにクラッチ係合圧力Cpは最大圧力Cmaxに維持されている。
時刻t0から時間閾値Nthだけ経過した時刻t1にてN制御条件が成立する。従って、N制御が開始される時刻t1以降、クラッチ係合圧力Cpが低下している。その結果、時刻t2にてクラッチ23が半係合状態(即ち、クラッチディスク35とフライホイール36との間で滑りが発生している状態)となり、タービン回転速度NT及びトルクコンバータ回転速度比eが上昇を開始している。
時刻t2から時刻t3に至るまで。クラッチ係合圧力Cpの低下に従ってタービン回転速度NT及びトルクコンバータ回転速度比eが上昇している。それに伴いトルコン負荷が低下することによって機関回転速度NEが目標アイドル回転速度Ntgtよりも大きくなることを防ぐため、スロットル弁開度TAが減少している。
トルクコンバータ回転速度比eは時刻t3にて速度比閾値ethに達している。即ち、トルコン負荷が実質的に「0」となっている。そのため、時刻t3以降、クラッチ係合圧力Cpの低下が停止され、クラッチ係合圧力Cpは一定の値に維持される。トルクコンバータ回転速度比eが速度比閾値ethであるとき、速度比補正係数Keは「1」に等しい。
時刻t3以降、クラッチ係合圧力Cpは一定の値に維持されるので、トルクコンバータ回転速度比e及び速度比補正係数Keは一定の値となる。従って、微分値Vdifは「0」となる。微分値Vdifが「0」であるとき、N制御補正係数Kdは「1」に等しい。
即ち、時刻t3以降、速度比補正係数Ke及びN制御補正係数Kdの値はいずれも「1」であるから、トルクコンバータ補正量TAtcはトルコン負荷基準補正量TAtcbに等しくなる(即ち、TAtc=1×1×TAtcb)。換言すれば、スロットル弁開度TAは、無負荷スロットル弁開度TAaに等しくなる。
一方、機関回転速度NEは、時刻t3近傍において一時的に急上昇すること無く(即ち、吹き上がりが大きくなること無く)目標アイドル回転速度Ntgtに収束している。
次に、N制御補正係数Kdの意義について説明する。仮に、N制御補正係数Kdの値が常に「1」であった場合、N制御開始処理が実行されるときのスロットル弁開度TAの変化は、図2[D]の破線のようになる。加えて、この場合の機関回転速度NE及びタービン回転速度NTの変化は同図[B]の破線のようになる。この場合のトルクコンバータ回転速度比eの変化は、N制御補正係数Kdが上述した処理によって決定された場合の変化との差分が僅かであるので破線による図示を省略する。
図2[D]の破線部から理解されるように、時刻t2から時刻t3にかけて、(実線部と同様に)スロットル弁開度TAが減少している。しかし、N制御補正係数Kdの寄与が無いため、破線によって表されるスロットル弁開度TAは、実線によって表されるスロットル弁開度TAよりも高い値になっている。
その結果、同図[B]の機関回転速度NEを表す破線部から理解されるように、時刻t3近傍において吹き上がりが発生し、機関回転速度NEが目標アイドル回転速度Ntgtよりも最大で回転速度量Os1だけ上回っている。回転速度量Os1は、実線部で表された機関回転速度NEが目標アイドル回転速度Ntgtを上回った量である回転速度量Os2よりも大きくなっている(即ち、Os1>Os2)。即ち、N制御補正係数Kdの寄与によって、時刻t3近傍にて発生する吹き上がりが抑制されている。
この吹き上がりは、トルクコンバータ回転速度比eの上昇(即ち、トルコン負荷の減少)に合わせて機関21の燃焼室に吸入される空気量(筒内吸入空気量)を減少させるべきところ、その筒内吸入空気量の減少がトルクコンバータ回転速度比eの減少に追いついていないことに起因している。そのため、時刻t2から時刻t3にかけて、筒内吸入空気量が目標筒内吸入空気量よりも大きくなり、以て、図2[B]にて破線で表された機関回転速度NEの吹き上がりが発生している。
一方、微分値Vdifが大きいとき、即ち、速度比補正係数Keの単位時間あたりの変化量の大きさが大きいとき、スロットル弁開度TAがN制御補正係数Kdの寄与によってより小さい値に設定される。これにより、上記筒内吸入空気量の応答遅れを見越したスロットル弁開度TAの制御が可能となり、その結果、吹き上がり量が回転速度量Os1から回転速度量Os2に減少している。
<具体的作動>
ISC制御の実行時、CPUがスロットル弁開度TAを決定する処理を、図3にフローチャートにより表された「ISC制御ルーチン」を参照しながら説明する。CPUは、本ルーチンを所定の時間が経過する毎に実行する。即ち、適当なタイミングになると、CPUは図3のステップ300から処理を開始してステップ305に進み、上述したISC制御条件が成立しているか否かを判定する。
(A−1)ISC制御条件が成立し且つN制御条件が不成立である場合
いま、ISC制御条件が不成立であった状態から同条件が成立した状態に変化し、且つ、アイドルブレーキ状態になったと仮定する。
この場合、CPUはステップ305にて「Yes」と判定し、ステップ310に進んでN制御の実行中であるか否かを判定する。前述の仮定によれば、アイドルブレーキ状態が時間閾値Nth以上継続しておらず、N制御条件が成立していないので、CPUはステップ310にて「No」と判定してステップ350に進み、トルクコンバータ補正量TAtcの値を「0」に設定する。
次いで、CPUはステップ330に進み、機関回転速度NEと目標アイドル回転速度Ntgtとの偏差である回転速度偏差ΔNE(即ち、ΔNE=Ntgt−NE)を算出する。
次いで、CPUはステップ335に進み、回転速度偏差ΔNEを「0」にするために必要なスロットル弁開度TAの変化量であるフィードバック量TAfbを決定する。より具体的に述べると、ECU40は、ステップ335の枠内にグラフにより表された回転速度偏差ΔNEに対するフィードバック量TAfbの関係をROM42にルックアップテーブルの形式にて記憶している。CPUは、このテーブルに回転速度偏差ΔNEを適用することによってフィードバック量TAfbを決定する。
同グラフから理解されるように、回転速度偏差ΔNEが「0」よりも大きい範囲で大きくなるほどフィードバック量TAfbが「0」よりも大きい範囲で増加する。そのため、例えば、機関回転速度NEが目標アイドル回転速度Ntgtよりも大きく下回っていた場合、回転速度偏差ΔNEは正の値で且つ絶対値の大きな値となる。その結果、後述するステップ340にて決定されるスロットル弁開度TAは、回転速度偏差ΔNEが「0」である場合と比較して増加する。即ち、スロットル弁開度TAが増加して機関回転速度NEが上昇するようにスロットル弁開度TAがフィードバック制御される。同様に、回転速度偏差ΔNEが「0」よりも小さい範囲で小さくなるほどフィードバック量TAfbが「0」よりも小さい範囲で減少する。
次いで、CPUはステップ340に進み、基準スロットル弁開度TAbからトルクコンバータ補正量TAtcを減じ、更に、フィードバック量TAfbを加えることによってスロットル弁開度TAを算出する(即ち、TA=TAb−TAtc+TAfb)。
次いで、CPUはステップ345に進み、ステップ340にて算出されたスロットル弁開度TAが実現されるようにスロットル弁アクチュエータ34を制御する。次いでCPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPUは、機関21の燃焼室内の空燃比が所定の目標空燃比(例えば、理論空燃比)と等しくなるように、実際の吸入空気量Ga及び機関回転速度NE等に基づいて燃料噴射量を決定する。燃料噴射量の決定方法は、例えば、特開2010−007618号公報及び特開2009−293528号公報等に記載されている。
(A−2)ISC制御条件が成立し且つN制御条件が成立している場合
次に、アイドルブレーキ状態が継続してN制御条件が不成立であった状態から同条件が成立した状態に変化したと仮定する。
この場合、CPUは、ステップ310にて「Yes」と判定してステップ315に進み、機関回転速度NEとタービン回転速度NTとに基づいてトルクコンバータ回転速度比e(=NT/NE)を算出する。
次いで、CPUはステップ320に進み、速度比補正係数Ke(第1補正係数)を決定する。より具体的に述べると、ECU40は、ステップ320の枠内にグラフにより表されたトルクコンバータ回転速度比eに対する速度比補正係数Keの関係をROM42にルックアップテーブルの形式にて記憶している。CPUは、このテーブルにトルクコンバータ回転速度比eを適用することによって速度比補正係数Keを決定する。
同グラフから理解されるように、速度比補正係数Keは、トルクコンバータ回転速度比eが上昇するほど増加し、トルクコンバータ回転速度比eが速度比閾値eth以上のとき、即ち、トルコン負荷が「0」であるとき、「1」となる。
次いで、CPUはステップ325に進み、トルコン負荷基準補正量TAtcbに速度比補正係数Ke及びN制御補正係数Kd(第2補正係数)を乗じることによってトルクコンバータ補正量TAtcを算出する(即ち、TAtc=Ke×Kd×TAtcb)。N制御補正係数Kdを決定する処理については後述する。
その後、CPUは、ステップ330乃至ステップ345の処理を実行する。その結果、
トルクコンバータ回転速度比eの上昇に伴い速度比補正係数Ke及びN制御補正係数Kdが大きくなるほど、トルクコンバータ補正量TAtcが大きくなるり、スロットル弁開度TAが減少する。
(A−3)ISC制御条件が不成立の場合
一方、ISC制御条件が成立していないとき、CPUはステップ305にて「No」と判定してステップ395に直接進む。この場合、CPUは図示しない他のルーチンを実行することによってスロットル弁開度TAをアクセルペダル操作量Accp及び車速Vsに基づいて決定し、スロットル弁アクチュエータ34を制御する。
次に、N制御が開始されるときにCPUが実行する処理を、図4にフローチャートにより表された「N制御開始ルーチン」を参照しながら説明する。
CPUは、本ルーチンを所定の時間が経過する毎に実行する。即ち、適当なタイミングになると、CPUは図4のステップ400から処理を開始してステップ405に進み、N制御開始条件が成立しているか否かを判定する。N制御開始条件は、上述したN制御条件が成立し且つトルクコンバータ回転速度比eが速度比閾値ethに未だ達していないときに成立する。
いま、N制御条件が不成立であった状態から同条件が成立した状態に変化し、N制御開始条件も成立したと仮定する。
この場合、CPUはステップ405にて「Yes」と判定してステップ410に進み、クラッチ23のレリーズシリンダ39が発生させる油圧を増加させることによってクラッチ係合圧力Cpを所定量ΔCpだけ減少させる。
次いでCPUは、ステップ415に進み、図3のステップ320にて決定された速度比補正係数Keの時間微分の大きさ(絶対値)である微分値Vdifを算出する。具体的には、微分値Vdifは、「現在の速度比補正係数Ke」から「前回、図3のルーチンが実行されたときに決定された速度比補正係数Ke」を減じて得られる差分を、図3のルーチンが実行される時間間隔で除して得られる値の絶対値(即ち、速度比補正係数Keの単位時間あたりの変化量の大きさ)である。次いでCPUは、ステップ420に進み、N制御補正係数Kdを決定する。
より具体的に述べると、ECU40は、図4のステップ420の枠内にグラフにより表された微分値Vdifに対するN制御補正係数Kdの関係をROM42にルックアップテーブルの形式にて記憶している。CPUは、このテーブルに微分値Vdifを適用することによってN制御補正係数Kdを決定する。
同グラフから理解されるように、微分値Vdifが大きくなるほど(即ち、速度比補正係数Keの上昇率が大きくなるほど)N制御補正係数Kdが1よりも大きい範囲で増加する。換言すれば、トルクコンバータ回転速度比eの上昇率が大きくなるほどN制御補正係数Kdが増加する。従って、図3のステップ325にて設定されるトルクコンバータ補正量TAtcも、単位時間あたりのトルクコンバータ回転速度比eの上昇率が大きいほど大きい値に設定される。
その結果、トルクコンバータ回転速度比eが急激に上昇する場合、トルクコンバータ回転速度比eが緩やかに上昇する場合と比較してトルクコンバータ補正量TAtcの値は大きくなる。従って、この場合、スロットル弁開度TAは小さな値に設定される。次いでCPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ410が繰り返し実行されることによって、クラッチ係合圧力Cpが低下し、トルクコンバータ回転速度比eが上昇して速度比閾値ethに達すると、N制御開始条件が成立しなくなる。即ち、N制御開始処理が完了する。これ以降、CPUは、ステップ405にて「No」と判定し、ステップ425に進んでN制御補正係数Kdの値を「1」に設定する。次いでCPUは、ステップ495に進む。
或いは、例えば、運転者がアクセルペダル62を踏み込むことによって車速Vsが上昇した結果、N制御条件が不成立となると、CPUは図示しない他のルーチンを実行することによってクラッチ係合圧力Cpを最大圧力Cmaxまで上昇させる。
以上、説明したように、本制御装置(ECU40)は、
スロットル弁開度(TA)又はスロットル弁をバイパスする通路に設けられたバイパス弁の開度を変更可能なアクチュエータ(スロットル弁アクチュエータ34)を有する内燃機関(21)と、
前記機関に接続された入力軸と駆動輪(26)にトルク伝達可能な出力軸とを有する流体式トルクコンバータ(22)と、
前記出力軸と前記駆動輪との間のトルク伝達経路に介装され且つ摩擦係合要素(クラッチ23のクラッチディスク35及びフライホイール36)を有するとともに同摩擦係合要素が摩擦係合したときにトルクを伝達する断続装置(クラッチ23)と、
を備える車両(10)に適用され、
前記車両を加速するためのアクセル操作がなされておらず、前記車両を制動するためのブレーキ操作が行われ且つ前記車両が停止しているとき(図4のステップ405)、前記断続装置の前記摩擦係合要素の摩擦係合を解除することにより前記機関から前記駆動輪へのトルク伝達を遮断するニュートラル制御を実行する(図4のステップ410)とともに、前記ニュートラル制御の実行中において前記アクチュエータを制御して前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁の開度を同ニュートラル制御を開始する前の基準開度(基準スロットル弁開度TAb)に対して所定量(トルコン負荷基準補正量TAtcb)低下させる制御部、を備えた車両の制御装置において、
前記制御部は、
前記ニュートラル制御を実行するために前記摩擦係合要素の摩擦係合を解除させ始めた後、前記アクチュエータを制御して前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁の開度を、前記入力軸の回転速度に対する前記出力軸の回転速度の比であるトルクコンバータ回転速度比(e)が大きくなるほど1に近づく第1補正係数(速度比補正係数Ke)と、前記第1補正係数の単位時間あたりの変化量の大きさ(微分値Vdif)が大きくなるほど1よりも大きい範囲で大きくなる第2補正係数(N制御補正係数Kd)と、を前記所定量に乗じることにより得られる量(トルクコンバータ補正量TAtc)だけ前記基準開度に対して低下させた開度に制御するように構成されている。
本制御装置によれば、N制御の開始時、筒内吸入空気量の応答遅れに起因する吹き上がりを抑制することが可能となる。その結果、機関回転速度NEを目標アイドル回転速度Ntgtに早期に収束させることが可能となり、以て、燃費が改善し得る。
以上、本発明に係る内燃機関の制御装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、車両10は、吸入空気量Gaを制御するため、スロットル弁アクチュエータ34によって駆動されるスロットル弁33を備えていた。しかし、車両10は、「アクセルペダル操作量Accpに応じてスロットル弁開度TAが変化する機械式スロットル弁」と「機関21がアイドル運転状態にあるときに機関回転速度NEが目標アイドル回転速度Ntgtに一致するように制御されるISCバルブ」とを備えていても良い。この場合、ISCバルブの開度は、「スロットル弁をバイパスする通路に設けられたバイパス弁の開度」に相当する。
加えて、車両10は、変速装置としてベルト式無段変速機24を備えていた。しかし、車両10は、クラッチ23及びベルト式無段変速機24の代わりに遊星歯車機構を備えた有段の自動変速装置を備えていても良い。
加えて、車速Vsが「0」であることは、ISC制御条件が成立するための必要条件であった。しかし、車速Vsが「0」であることに代わり、車速Vsが所定の速度閾値よりも小さいことをISC制御条件が成立するための必要条件であっても良い。
加えて、ECU40は、N制御を開始するとき、トルクコンバータ回転速度比eが速度比閾値ethと等しくなるまでクラッチ係合圧力Cpを弱めていた。しかし、ECU40は、N制御を開始するとき、クラッチ係合圧力Cpが「0」となるまで弱めても良い。
加えて、ECU40は、トルクコンバータ補正量TAtcをトルクコンバータ回転速度比eに基づいて決定していた。しかし、ECU40は、トルクコンバータ補正量TAtcをトルクコンバータ回転速度比eと「流体式トルクコンバータ22内部の流体の温度」とに基づいて決定しても良い。例えば、ECU40は、流体の温度が上昇するほどトルクコンバータ補正量TAtcを小さい値に設定しても良い。
10…車両、21…内燃機関、22…トルクコンバータ、23…クラッチ、24…ベルト式無段変速機、25…差動歯車装置、26…駆動輪、40…ECU。

Claims (1)

  1. スロットル弁開度又はスロットル弁をバイパスする通路に設けられたバイパス弁の開度を変更可能なアクチュエータを有する内燃機関と、
    前記機関に接続された入力軸と駆動輪にトルク伝達可能な出力軸とを有する流体式トルクコンバータと、
    前記出力軸と前記駆動輪との間のトルク伝達経路に介装され且つ摩擦係合要素を有するとともに同摩擦係合要素が摩擦係合したときにトルクを伝達する断続装置と、
    を備える車両に適用され、
    前記車両を加速するためのアクセル操作がなされておらず、前記車両を制動するためのブレーキ操作が行われ且つ前記車両が停止しているとき、前記断続装置の前記摩擦係合要素の摩擦係合を解除することにより前記機関から前記駆動輪へのトルク伝達を遮断するニュートラル制御を実行するとともに、前記ニュートラル制御の実行中において前記アクチュエータを制御して前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁の開度を同ニュートラル制御を開始する前の基準開度に対して所定量低下させる制御部、を備えた車両の制御装置において、
    前記制御部は、
    前記ニュートラル制御を実行するために前記摩擦係合要素の摩擦係合を解除させ始めた後、前記アクチュエータを制御して前記スロットル弁開度又は前記バイパス弁の開度を、前記入力軸の回転速度に対する前記出力軸の回転速度の比であるトルクコンバータ回転速度比が大きくなるほど1に近づく第1補正係数と、前記第1補正係数の単位時間あたりの変化量の大きさが大きくなるほど1よりも大きい範囲で大きくなる第2補正係数と、を前記所定量に乗じることにより得られる量だけ前記基準開度に対して低下させた開度に制御するように構成された制御装置。
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