JP4626985B2 - 摩擦係合要素の締結圧制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成するロックアップクラッチ等の摩擦係合要素を締結させる処理の途中で、アクセルが踏み込まれ、締結処理をやり直す場合に、締結ショックの発生を低減できる締結圧制御装置を提供することを目的とする。
かかる構成によると、ロックアップクラッチ等の摩擦係合要素の締結圧指令値を漸増させる締結処理中に、回転速度差が閾値以上になると、締結圧指令値を初期値に戻して締結処理をやり直すと共に、締結処理の終了タイミングを締結処理開始からの時間として規定する締結制御時間を前記エンジンの負荷又は前記入力側回転速度に応じて通常値よりも長く変更する。
請求項2記載の発明では、締結圧指令値を漸増制御して摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったときに、締結圧指令値を初期値に戻して締結処理をやり直すと共に、前記締結処理を終了させる締結制御時間を前記エンジンの負荷又は前記入力側回転速度に応じて延長する構成とした。
従って、回転速度差を大きくする入力側回転速度の増大変化が発生したことに基づいて締結処理をやり直しても、締結制御時間内で締結を完了させることができるようになり、締結制御時間が経過した時点で締結圧指令値が大きくステップ的に増大され、大きな締結ショックが発生することを防止できる。
かかる構成によると、締結開始から、回転速度差が閾値以上になったと判断された時点までの時間、換言すれば、締結制御時間の残りに応じて、締結制御時間を延長する時間が決定される。
請求項4記載の発明では、締結圧指令値を漸増制御して摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、摩擦係合要素の入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったときに、前記締結処理をやり直すと共に、締結処理を終了させる締結制御時間を延長する構成とし、かつ、摩擦係合要素の締結処理の開始から、入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったと判断された時点までの時間に応じて、締結制御時間を延長する時間を決定する構成とした。
かかる構成によると、締結開始から、入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったと判断された時点までの時間、換言すれば、締結制御時間の残りに応じて、締結制御時間を延長する時間が決定される。
図1は、実施の形態における車両用自動変速機のシステム構成図である。
この図1において、エンジン1には、トルクコンバータ2を介して変速機3が転結される。尚、前記変速機3は、歯車式の有段変速機の他、ベルト式やトロイダル式の無段変速機(CVT)であっても良い。
ロックアップ油圧制御バルブ22は、ロックアップクラッチ21の解放側に供給される油圧と締結側に供給される油圧とを制御する。
前記変速機制御ユニット31は、マイクロコンピュータを含んで構成され、各種センサからの検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいて前記ロックアップ油圧制御バルブ22を制御すると共に、変速機3を構成する各種摩擦係合要素に対する油圧の供給を制御する変速バルブを制御する。
前記変速機制御ユニット31は、スロットル開度TVO(アクセル開度)と車速VSPとに対応して予め設定されるシフトスケジュールに従って前記変速バルブを制御する一方、スロットル開度TVO(アクセル開度)及び車速VSPに基づき特定されるロックアップ領域において前記ロックアップ油圧制御バルブ22を制御して、ロックアップクラッチ21を締結させる。
図2のフローチャートにおいて、まず、ステップS1では、ロックアップ要求があるか否かを判別する。具体的には、スロットル開度TVO(アクセル開度)及び車速VSPに基づき特定されるロックアップ領域に該当するか否かを判別する。
前記締結処理において、締結処理の開始直後は、フィードホワード制御によって締結圧指令値を初期値から漸増させ、前記ロックアップクラッチ21の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差の規定以上の低下を判断すると、前記回転速度差を0にまで徐々に収束させるべく前記回転速度差の目標を設定して、該目標と実際値との偏差に応じた締結圧指令値のフィードバック制御を開始する。
但し、前記締結圧指令値を漸増させる方法を、上記の方法に限定するものではなく、また、前記初期値は運転条件(例えば入力トルク)に応じて可変に設定することができる。
また、締結処理の開始時点から締結制御時間が経過した時点で、前記締結圧指令値は完全締結維持状態での目標値にまで強制的にステップ変化させられる構成となっている。
ステップS3では、前記締結処理の最中に、前記ロックアップクラッチ21の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差が、閾値SL1以上になったか否かを判別する。
これは、締結処理中にアクセルが踏み込まれることで、エンジン出力が増大してエンジン回転速度が増大し、これによって前記回転差が拡大するから、入力側回転速度の急増から、回転速度差の増大変化が推定されるためである。
ステップS3で回転速度差(又は入力側回転速度の増大変化速度)が閾値未満であると判別された場合には、ステップS4,5を迂回してステップS6へ進み、それまでの締結処理をそのまま継続させる。
ステップS4では、締結処理中に後述するステップS5の処理を実行した回数が規定回数(例えば1〜2回)以上になっているか否かを判別する。
そして、ステップS5の処理を実行した回数が規定回数以上に達していない場合にステップS5へ進み、規定回数以上になっている場合には、ステップS5を迂回してステップS6へ進む。
締結処理をやり直すと、締結処理が基準の締結制御時間内で完了しなくなり、締結制御時間が経過した時点で締結圧指令値を最終目標値にまでステップ変化させる必要が生じ、これによって締結ショックが発生してしまう。
前記締結制御時間の延長時間は、固定値として与える構成とすることができるが、下記パラメータのうちの少なくとも1つに基づき可変に設定することが好ましい。
(1)ロックアップクラッチ21の入力側と出力側との回転速度差
(2)ロックアップクラッチ21の入力側回転速度の増大変化速度
(3)ロックアップクラッチ21の締結処理開始からの時間
(4)エンジン負荷の変化速度
ここで、各パラメータと延長時間との相関を以下に説明する。
また、入力側回転速度の増大変化速度が速いほど大きな回転速度差が生じることになるので、増大変化速度が速いほど延長時間を長く設定する。
更に、締結開始からの経過時間が長いほど残りの締結制御時間が短くなっていることになり、回転速度差を収束させるための時間がより不足することになるから、締結開始からの時間が長いほど延長時間を長く設定する。
尚、上記(1)〜(4)の各条件のうちの複数条件から1つの延長時間を決定させることができ、更に、上記(1)〜(4)の各条件から決定される複数の延長時間のうちの最大値,平均値などを最終的な延長時間とすることができる。
ステップS6では、締結制御時間が経過したか否かを判別し、締結制御時間が経過していない場合には、ステップS2に戻る。
一方、ステップS6で締結制御時間が経過したと判断されると、ステップS7へ進み、締結圧指令値を最終目標値に強制的に変化させることで、ロックアップクラッチ21の締結処理を終了させる。
また、延長された締結制御時間で締結を完了させることができなくても、締結制御時間を延長した分だけ締結制御時間が経過した時点での回転速度差をより小さくできるので、締結ショックを大きく低減することができる。
尚、上記実施形態では、エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素としてロックアップクラッチ21を例としたが、この他、変速機3を構成するクラッチ等の締結制御にも同様の処理を適用することが可能である。
(イ)請求項1〜4のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置において、前記摩擦係合要素がトルクコンバータに設けられるロックアップクラッチであることを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
(ロ)請求項1〜4のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置において、
前記締結処理のやり直し及び前記締結制御時間の延長処理を、所定回数以下に制限することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
(ハ)請求項1〜4のいずれか1つに記載の摩擦係合要素の締結圧制御装置において、
前記締結処理が、前記摩擦係合要素の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差に基づき前記締結圧指令値をフィードバック制御することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
Claims (4)
- エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素の締結圧を制御する締結圧制御装置であって、
締結圧指令値を漸増制御して前記摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差が閾値以上になったときに、前記締結圧指令値を初期値に戻して締結処理をやり直すと共に、前記締結処理を終了させる締結制御時間を前記エンジンの負荷又は前記入力側回転速度に応じて延長することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。 - エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素の締結圧を制御する締結圧制御装置であって、
締結圧指令値を漸増制御して前記摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったときに、前記締結圧指令値を初期値に戻して締結処理をやり直すと共に、前記締結処理を終了させる締結制御時間を前記エンジンの負荷又は前記入力側回転速度に応じて延長することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。 - エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素の締結圧を制御する締結圧制御装置であって、
締結圧指令値を漸増制御して前記摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度と出力側回転速度との回転速度差が閾値以上になったときに、前記締結処理をやり直すと共に、前記締結処理を終了させる締結制御時間を延長する構成とし、かつ、前記摩擦係合要素の締結処理の開始から、前記回転速度差が閾値以上になったと判断された時点までの時間に応じて、前記締結制御時間を延長する時間を決定することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。 - エンジン出力を伝達する動力伝達系を構成する摩擦係合要素の締結圧を制御する締結圧制御装置であって、
締結圧指令値を漸増制御して前記摩擦係合要素を締結させる締結処理の途中で、前記摩擦係合要素の入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったときに、前記締結処理をやり直すと共に、前記締結処理を終了させる締結制御時間を延長する構成とし、かつ、前記摩擦係合要素の締結処理の開始から、前記入力側回転速度の増大変化速度が閾値以上になったと判断された時点までの時間に応じて、前記締結制御時間を延長する時間を決定することを特徴とする摩擦係合要素の締結圧制御装置。
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