JP2006232901A - 硬化フェノール樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 平均粒径の小さな硬化フェノール樹脂粒子を提供すること。
【解決手段】 アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、更に、界面活性剤の存在下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて未硬化のフェノール樹脂粒子を製造した後、かかる未硬化フェノール樹脂を硬化せしめることにより、目的とする硬化フェノール樹脂粒子を得た。
【選択図】 な し
【解決手段】 アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、更に、界面活性剤の存在下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて未硬化のフェノール樹脂粒子を製造した後、かかる未硬化フェノール樹脂を硬化せしめることにより、目的とする硬化フェノール樹脂粒子を得た。
【選択図】 な し
Description
本発明は、硬化フェノール樹脂粒子の製造方法に係り、特に、充填材、各種炭素材用の原料等として有用な硬化フェノール樹脂粒子を、有利に製造することが出来る方法に関するものである。
従来より、硬化フェノール樹脂粒子は、充填材(添加剤)として、また、活性炭等の炭素材用の原料等として、広く用いられているのであり、その製造方法については、様々な手法が提案されている。
例えば、特開平11−60664号公報(特許文献1)及び特開2001−114852号公報(特許文献2)においては、水性媒体中で、縮合反応触媒たる所定のアルキルアミン化合物と、乳化分散剤たるグルコシド結合を有する高分子界面活性剤との存在下、フェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させることを特徴とする球状フェノール樹脂の製造法が示されており、また、特公昭62−30211号公報(特許文献3)においては、縮合反応触媒として塩酸を用いた粉末状フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂の製造法が、提案されている。
しかしながら、そのような手法に従って製造される硬化フェノール樹脂粒子は、窒素や塩素イオンを比較的多く含有するものであるため、かかる手法にて製造された硬化フェノール樹脂粒子に対して、別途、熱処理を施すと、粒子に含まれる窒素等から窒素酸化物や塩化物が生成し、これら窒素酸化物等が、設備を腐食したり、また、環境に対して悪影響を及ぼす等の問題があった。
一方、本願発明者等は、先に、特開平3−7714号公報(特許文献4)において、炭素数10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸と保護コロイドの存在下に、フェノール類とアルデヒド類を反応させて、熱硬化性の樹脂粒子を形成させる工程1と、該工程1に継続又は分離して該樹脂粒子を硬化させる工程2を含むことを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法を提案している。かかる手法は、腐食性の小さな酸触媒(アルキルベンゼンスルホン酸)を使用するものであるため、グラスライニングやハステロイ製などの高価な耐食性反応槽を必要とせず、既存のステンレス製設備をそのまま利用することが出来、また、緩やかな反応条件にて、安全に且つ高い収率をもって、硬化フェノール樹脂粒子を製造することが可能である。
しかしながら、かかる手法に従って得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、その平均粒径が、約30μm程度と比較的大きいものであったため、近年、平均粒径の小さい硬化フェノール樹脂粒子が、高密度充填性、表面積増大による単位体積当たりの性能向上性及び薄く広げることが出来ることによる薄型製品の作成性の点から、要求されている状況下においては、本願発明者等が先に提案した手法には、未だ改良の余地が残されていたのである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、平均粒径の小さな硬化フェノール樹脂粒子を提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、先に特許文献4にて提案した手法を基にして、鋭意検討を重ねた結果、アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、更に、界面活性剤を存在せしめた状態下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応させることにより、平均粒径が比較的小さい(10μm程度)、未硬化のフェノール樹脂粒子が生成することを見出したのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、界面活性剤の存在下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて未硬化のフェノール樹脂粒子を製造した後、該未硬化フェノール樹脂粒子を硬化せしめることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法にある。
なお、かかる本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法における、好ましい態様の一つにおいては、前記保護コロイドとして、アラビアゴムが用いられる。
また、本発明の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法における、別の好ましい態様の一つにおいては、前記界面活性剤として、非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の何れか1種以上が用いられるのである。
このような本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法にあっては、アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、更に、界面活性剤の存在下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応せしめるものであるところから、かかる界面活性剤によって、フェール類とアルデヒド類との反応によって生成した未硬化フェノール樹脂粒子の複合化や塊状化が効果的に抑制され、平均粒径が10μm程度の比較的小さな未硬化フェノール樹脂粒子が得られるのであり、そのような樹脂粒子を硬化せしめることにより、平均粒径の小さな硬化フェノール樹脂粒子が有利に製造されるのである。
なお、かかる本発明においては、フェノール類とアルデヒド類とを反応せしめる際の触媒として、アルキルベンゼンスルホン酸を用い、更にその使用量も、従来のアルキルアミン化合物等を用いる手法と比較して、比較的少量で足りるところから、得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、不純物の含有量が少ないものとなっている。
また、そのようなアルキルベンゼンスルホン酸は、腐食性が低いため、本発明に従って硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際しても、高価な耐食性の反応槽は必要とされず、通常の反応槽を利用することが可能であり、また、反応自体も緩やかに進行し、反応槽の汚れも有利に抑制されるところから、製造時の安全性や硬化フェノール樹脂粒子の高収率が確保され得、しかも、目的の用途に応じて実施される中和・洗浄工程の簡素化も、有利に図られるのである。
特に、本発明においては、保護コロイドとして、アラビアゴムを用いる場合や、界面活性剤として、非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の何れか1種以上の界面活性剤を用いる場合において、上述したような優れた効果を、より有利に享受することが出来る。
そして、そのような本発明の製造方法に従って得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、例えば、樹脂材料の軽量化や難燃化等を目的として、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、ゴム・エラストマー等に充填材として配合されたり、また、摩擦調整材、カーボンやイオン交換樹脂用の原料等として、好適に用いることが可能である。
ところで、本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法においては、所定の化合物の存在下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応せしめるものであるが、そこにおいて、先ず、本発明における一方の反応原料であるフェノール類としては、従来よりフェノール樹脂粒子の製造の際に用いられている公知の各種のものであれば、何れも用いることが可能である。そのようなフェノール類としては、通常、その分子内にアルデヒド類に対する反応部位を3個以上有するフェノール類(以下、単に多官能性フェノール類という。)や、多官能性フェノール類の製造時に副生するフェノール系精製残渣等が使用されるが、必要に応じて、2官能性フェノール類(分子内にアルデヒド類に対する反応部位を2個有するフェノール類)や、1官能性フェノール類(分子内にアルデヒド類に対する反応部位を1個有するフェノール類)等も、本発明の目的を阻害しない範囲内において、多官能性フェノール類と共に使用することも可能である。
ここで、かかる多官能性フェノール類としては、フェノールの他に、m−クレゾール、m−ブチルフェノール、3,5−キシレノール、m−ニトロフェノール、m−アミノフェノール、m−プロペニルフェノール、m−フェニルフェノール、m−クロロフェノール、m−ブロモフェノール等のm−置換フェノール類、レゾルシノールや、カテコール、ピロガロール、フロログルシノール、カシュナットシェルオイル等の多価フェノール類、ビスフェノールAや、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類、ナフトール等の多縮合環フェノール類、及びこれらの混合物等が例示される。また、フェノール系精製残渣としては、クレゾール残渣、レゾルシノール残渣、カテコール残渣、ビスフェノールA残渣、及びこれらの混合物等が例示される。なお、本発明においては、ここに例示したもの以外の多官能性フェノール類やフェノール系精製残渣を用い得ることは、言うまでもないところであり、また、目的とするフェノール樹脂粒子等に応じて、多官能性フェノール類若しくはフェノール系精製残渣を単独で使用しても、或いはそれらを併用することも可能である。
また、必要に応じて、それら多官能性フェノール類及び/又はフェノール系精製残渣と共に用いられる2官能性フェノール類や1官能性フェノール類としては、例えば、o−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、2,5−ジアミノフェノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール等が挙げられる。
一方、本発明において用いられる他方の反応原料たるアルデヒド類は、特に限定されるものではなく、一般的に反応性や原料価格等の観点から、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、アセタール等のホルムアルデヒド供給物質、グリオキザール、及びこれらの混合物等が、好適に用いられ得る。その他にも、必要に応じて、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロオキシベンズアルデヒド、アクロレイン、フルフラール等も使用可能である。
なお、本発明に従って硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際しては、かかるアルデヒド類は、一般に、フェノール類:1molに対して、アルデヒド類:1.0mol以上の割合となるような量において、より望ましくは、製造時の臭気や経済性等の観点から、アルデヒド類:1.1〜1.3molの割合となるような量的範囲において、使用されることとなる。
そして、本発明に係る硬化フェノール樹脂粒子の製造方法においては、上述の如きフェノール類及びアルデヒド類が、触媒としてのアルキルベンゼンスルホン酸と、生成したフェノール樹脂を粒子の形態にて得るための保護コロイドに加えて、更に、界面活性剤の存在下において、反応せしめられるのである。
すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、界面活性剤を併存させた状況の下、フェノール類とアルデヒド類とを反応せしめると、界面活性剤によって、反応の生成物たるフェノール樹脂粒子の凝集化や複合化、塊状化等が効果的に抑制されることとなり、以て、平均粒径の小さな未硬化のフェノール樹脂粒子が有利に得られることとなるのである。
ここで、本発明において用いられる界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性イオン系界面活性剤の何れも使用することが出来るが、併用されるアルキルベンゼンスルホン酸等の機能を阻害しない等の観点から、有利には、非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が用いられる。このような非イオン系界面活性剤としては、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン酸脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを有するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びその誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ショ糖エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンエチレンジアミン縮合体等を、例示することが出来る。また、アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデカンスルホン酸ナトリウム等のアルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジエチルアミノオレエート等を例示することが出来る。
なお、そのような界面活性剤は、単独で用いることは勿論のこと、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。また、その使用量は、使用する界面活性剤の種類や、反応原料たるフェノール類等の種類及び量等に応じて、適宜に決定されるものであるが、界面活性剤の使用量が少なすぎると、上述した界面活性剤を使用することによる効果が十分に得られない恐れがあり、一方、その使用量が多すぎると、フェノール類とアルデヒド類との反応を阻害する恐れがあるところから、一般には、フェノール類の0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは1.5〜6重量%の割合となるような量的範囲内において、その使用量が決定されることとなる。
また、本発明において、フェノール類等の反応触媒として使用されるアルキルベンゼンスルホン酸としては、従来より公知の各種アルキルベンゼンスルホン酸を用いることが可能であるが、好ましくは、炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸が、有利に用いられることとなる。そのような炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸としては、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、及びこれらの混合物等を例示することが出来るが、これらの中でも、経済性や入手容易性、触媒機能等の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸が、特に有利に用いられる。
なお、かかるアルキルベンゼンスルホン酸の使用量は、反応原料の配合条件や反応条件等に応じて、適宜に決定されることとなるが、一般的には、フェノール類の0.5〜2.0重量%の割合となるような量において、使用される。このように、本発明においては、反応触媒たるアルキルベンゼンスルホン酸の使用量が、従来の、アルキルアミン化合物等を触媒として使用する場合の使用量と比較して、比較的少量で足りることから、得られるフェノール樹脂粒子は、不純物の含有量が比較的少ないものとなるのである。尤も、アルキルベンゼンスルホン酸の存在下において、フェノール樹脂の生成反応が進行することから、得られるフェノール樹脂粒子にあっては、硫黄化合物等の不純物を若干量、含有するものとなる。
また、本発明における保護コロイドについては、特に限定されるものではなく、従来より公知の各種保護コロイドを使用することが出来るが、本発明の目的をより一層有利に達成せしめるものとしては、アラビアゴム、ガッチゴム、ヒドロキシアルキルグアルゴム、部分加水分解ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子化合物を例示することが出来、それらの中でも、特に、アラビアゴムが好適に用いられる。かかるアラビアゴムは、加熱処理を施すことにより、平均粒径の小さな未硬化のフェノール樹脂粒子が更に有利に得られることとなる。
なお、そのような保護コロイドは、単独で用いることも、又は2種以上を併用することも可能である。また、用いられる保護コロイドの種類等に応じて、その使用量が決定されるが、一般には、フェノール類の0.1〜10重量%の割合となるように、好ましくは、0.5〜5.0重量%の割合となるような量において、使用されることとなる。
そして、本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法にあっては、上述した界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドが存在せしめられた状態の下、フェノール類とアルデヒド類とが反応せしめられることとなるのであるが、有利には、以下のような手法に従って実施される。
先ず、還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた通常の反応槽内に、反応原料たるフェノール類及びアルデヒド類、アルキルベンゼンスルホン酸、保護コロイド、及び界面活性剤、更に、必要に応じて、希釈水(蒸留水)や各種変性剤(例えば、尿素、メラミン、グアナミン、アニリン、トール油等)を投入する。
ここで、保護コロイドの反応系への投入(添加)時期は、縮合物(反応生成物)が硬化する前であれば良く、特に制限されるものではないが、一般的には、樹脂化(乳化)時又はそれ以前に添加することが好ましく、特に、作業の簡素化等の観点から、反応開始時より配合しておくことが望ましい。また、本発明において、造粒を円滑に実施せしめ、且つ生成した未硬化フェノール樹脂粒子の凝集化を防止するためには、反応系中の水分量を、フェノール類に対して80重量%以上の割合となるように、好ましくは、100〜180重量%程度の割合となるように調整することが、廃液処理や生産効率等の点においても有利である。なお、かかる水分量の調整時期としては、反応開始時又は保護コロイドの添加時が適当である。
次いで、反応槽内のフェノール類等を攪拌しながら、反応槽内を、0.5〜2.0℃/min程度の昇温速度にて加熱し、通常70℃以上、好ましくは90℃以上の温度(反応温度)にて、所定時間、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、可融性の未硬化フェノール樹脂粒子を生成せしめる(工程1)。そして、引き続いて、反応温度と同温度、若しくは若干低めの温度にて、所定時間、反応を継続させることにより、不融性の硬化フェノール樹脂粒子とするのである(工程2)。なお、これら一連の反応に要する時間は、通常、0.5〜6時間程度である。
しかる後、反応槽内を冷却し、必要に応じてアルキルベンゼンスルホン酸を中和した後、濾過又は遠心分離器等の固液分離手段によって、生成した硬化フェノール樹脂粒子を分離する。そして、分離された硬化フェノール樹脂粒子を、必要に応じて洗浄し、従来より公知の各種乾燥方法、例えば、風乾や加熱乾燥(例えば、加熱、熱風循環、振動、流動層等)等によって乾燥させることにより、平均粒径の小さな硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来るのである。
なお、本発明においては、上記工程1に従って生成した可融性の未硬化フェノール樹脂を、更にハンドリング可能な状態まで反応させた後、上記した手法と同様の手法に従って、分離、及び必要に応じて洗浄した後、上記した加熱乾燥手法を用いて熱硬化させることによって、不融性の硬化フェノール樹脂粒子とすることも可能である。
また、本発明に従って得られる硬化フェノール樹脂粒子は、元来、未硬化分が少ない不融性粒子ではあるが、未硬化分が極めて少ないフェノール樹脂粒子が要求される用途向きに、更に熱処理又は溶剤抽出を行うことも可能である。
さらに、本発明に従って製造された硬化フェノール樹脂粒子を、従来より公知の手法に従ってアセチル化することにより、粒子中のフェノール性水酸基の一部がアセチル化された、淡色の硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来る。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、本実施例において、得られた硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径の測定は、以下のようにして行なった。
−平均粒径の測定−
株式会社堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(測定範囲:0.1〜200μm、分散媒として0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を使用)を用いて、マニュアルフロー方式で粒度分布を測定し、50%積算頻度値(メジアン)をもって平均粒度(μm)とした。
株式会社堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(測定範囲:0.1〜200μm、分散媒として0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を使用)を用いて、マニュアルフロー方式で粒度分布を測定し、50%積算頻度値(メジアン)をもって平均粒度(μm)とした。
〈実施例1〉
還流冷却器、温度計、及び攪拌機を備えた5L反応フラスコ内に、フェノール:300g、92%パラホルムアルデヒド:124.8gと共に、9gのアラビアゴム(三栄薬品貿易株式会社製、商品名:アラビアゴムHP末)と、ドデシルベンゼンスルホン酸(竹本油脂株式会社製、商品名:A40S)の10%水溶液を30g投入し、更に、416.6gの希釈水(蒸留水)を加えた。
還流冷却器、温度計、及び攪拌機を備えた5L反応フラスコ内に、フェノール:300g、92%パラホルムアルデヒド:124.8gと共に、9gのアラビアゴム(三栄薬品貿易株式会社製、商品名:アラビアゴムHP末)と、ドデシルベンゼンスルホン酸(竹本油脂株式会社製、商品名:A40S)の10%水溶液を30g投入し、更に、416.6gの希釈水(蒸留水)を加えた。
次いで、フラスコ内を攪拌しながら、フラスコ内の温度が還流温度となるまで、約1℃/minの昇温速度にて昇温(加熱)し、還流温度にて保持したまま、反応を進行させ、フェノール樹脂粒子の生成から45分経過以後は、生成した粒子の複合化を防止するために、フラスコ内の温度を若干下げて、更に4時間、保持することにより、生成したフェノール樹脂粒子を硬化せしめた。
そして、フラスコ内を水酸化ナトリウムにて中和し、冷却、濾過の後、洗浄(湯洗−メタノール洗浄)し、更に、減圧加熱乾燥することにより、硬化フェノール樹脂粒子(試料No.1)を製造した。得られたフェノール樹脂粒子の平均粒径を、上記手法に従って測定し、その結果を、下記表1に併せて示す。
また、フェノール、92%パラホルムアルデヒド、アラビアゴム、及び10%ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液と共に、更に、非イオン系界面活性剤(ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、竹本油脂株式会社製、商品名:D409)を、下記表1に掲げる割合において配合し、上記と同様の手法に従って、7種類の硬化フェノール樹脂粒子(試料No.2〜8)を得た。なお、下記表1において、非イオン系界面活性剤の配合量は、フェノールの配合量に対する重量%の割合にて示している。これら7種類のフェノール樹脂粒子についても、それぞれ平均粒径を測定し、その結果を、下記表1に示した。
かかる表1の結果からも明らかなように、本発明の手法の如く、非イオン系界面活性剤の存在下において、フェノールとパラホルムアルデヒドとを反応せしめて得られた硬化フェノール樹脂粒子(試料No.2〜8)にあっては、非イオン系界面活性剤が存在しない環境の下に製造された粒子(試料No.1)と比較して、その平均粒径が小さくなることが確認されたのであり、特に、本実施例の条件においては、非イオン系界面活性剤たるノニルフェノールエチレンオキサイド付加物が2〜6重量%(フェノールの配合量に対する重量%)の割合において添加されて、製造された樹脂粒子(試料No.5〜8)にあっては、その平均粒径が10μm以下となることが認められた。
〈実施例2〉
アラビアゴムとして、商品名:イナゲルアラビアガムA(伊那食品工業株式会社製)を用いると共に、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、竹本油脂株式会社製、商品名:A−41−S)を用いた以外は、実験例1と同様にして、フェノール等を下記表2に掲げる各割合にて使用して、3種類の硬化フェノール樹脂粒子(試料No.9〜11)を製造した。得られた粒子のそれぞれについて、平均粒径を測定し、その結果を、下記表2に示した。なお、下記表2において、アニオン系界面活性剤の配合量は、フェノールの配合量に対する重量%の割合にて示している。
アラビアゴムとして、商品名:イナゲルアラビアガムA(伊那食品工業株式会社製)を用いると共に、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、竹本油脂株式会社製、商品名:A−41−S)を用いた以外は、実験例1と同様にして、フェノール等を下記表2に掲げる各割合にて使用して、3種類の硬化フェノール樹脂粒子(試料No.9〜11)を製造した。得られた粒子のそれぞれについて、平均粒径を測定し、その結果を、下記表2に示した。なお、下記表2において、アニオン系界面活性剤の配合量は、フェノールの配合量に対する重量%の割合にて示している。
かかる表2からも明らかなように、本実施例の条件においては、アニオン系界面活性剤の使用量が増加するにつれて、得られるフェノール樹脂粒子の平均粒径が小さくなることが認められた。
〈実施例3〉
実験例2で用いたアラビアゴムと同種のアラビアゴムを用いた以外は、実験例1と同様にして、フェノール等を下記表3に掲げる各割合にて使用して、4種類の硬化フェノール樹脂粒子(試料No.12〜15)を製造した。得られた粒子のそれぞれについて、平均粒径を測定し、その結果を、下記表3に示した。なお、下記表3において、非イオン系界面活性剤の配合量は、フェノールの配合量に対する重量%の割合にて示している。
実験例2で用いたアラビアゴムと同種のアラビアゴムを用いた以外は、実験例1と同様にして、フェノール等を下記表3に掲げる各割合にて使用して、4種類の硬化フェノール樹脂粒子(試料No.12〜15)を製造した。得られた粒子のそれぞれについて、平均粒径を測定し、その結果を、下記表3に示した。なお、下記表3において、非イオン系界面活性剤の配合量は、フェノールの配合量に対する重量%の割合にて示している。
かかる表3の結果からも明らかなように、本発明手法に従って製造されたフェノール樹脂粒子(試料No.13〜15)にあっては、非イオン系界面活性剤を用いることなく製造された樹脂粒子(試料No.12)と比較して、平均粒径が小さいことが認められたのである。
Claims (3)
- アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドと共に、界面活性剤の存在下において、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて未硬化のフェノール樹脂粒子を製造した後、該未硬化フェノール樹脂粒子を硬化せしめることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
- 前記保護コロイドが、アラビアゴムである請求項1に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
- 前記界面活性剤が、非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の何れか1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
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