JP2006232686A - 新規なカルノシンエステル化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抹消循環障害、脳血管障害、神経症、白内障などの糖尿病合併症や皮膚の老化に起因するメイラード反応に対して阻害活性を示す、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品等の分野で有用な新規カルノシンエステル化合物を提供する。
【解決手段】 本発明は、下記一般式(A)で表わされるカルノシンエステル化合物である。
【化1】
Figure 2006232686

Description

本発明は、新規なカルノシンエステル化合物に関するものであり、当該化合物は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の分野においてメイラード反応阻害剤などとして好適に使用することができる。
メイラード反応とは、アミノ酸、タンパク質中のアミノ基と、還元糖のアルデヒド基とが非酵素的に反応し、シッフ塩基、アマドリ転位生成物を経て、各種化合物の生成やタンパク質の架橋、変性に至る反応のことである。食品工業においては、食品の加工や貯蔵の際に生じる着色、香気成分の生成等に関わる反応であり、食品独自の差別化や品質管理の上で、非常に重要な反応とされている(非特許文献1)。
一方、生体内においてもメイラード反応が関与、進行して、タンパク質の架橋、変性等の原因となることが知られている(非特許文献2)。中高齢者のみならず、近年では低年齢化が進んでいる糖尿病において、その患者には様々な合併症が見られるが、代表的な糖尿病合併症である白内障や動脈硬化等の血管障害の主要な原因の一つがメイラード反応の進行によると報告されている(非特許文献3)。また、加齢とともに進行する皮膚のシワ、クスミ、弾力性低下等の老化現象もメイラード反応が関与するコラーゲンやエラスチンなどの真皮構成タンパク質の架橋、変性に起因するものと考えられている(特許文献1)。
したがって、上述のような各種障害の主要な原因となっているメイラード反応を阻害、抑制する化合物や薬剤の開発は、医薬、皮膚科学、食品化学等の分野において重要な研究課題なのである。これまで、アミノグアニジン(特許文献2)をはじめとするいくつかのメイラード反応阻害剤が報告されている(非特許文献4)が、必ずしも効果が十分ではなく、新たな阻害剤の開発が望まれている。
フェルラ酸又はその誘導体を含むフェニルプロペン酸類がメイラード反応阻害剤として有用であることは報告されている(特許文献3及び4)。一方、大麦中に存在する化合物で、N−フェルロイルグリシンが知られているが、この化合物の関連酵素であるN−フェルロイルグリシンアミドヒドロラーゼの研究に際し、N−フェルロイルアラニン、N−ジヒドロフェルロイルグリシン等が合成されている(非特許文献5)。また、N−フェルロイルアミノ酸に構造が類似した化合物であるカフェ酸アミド誘導体が抗酸化活性やチロシナーゼ活性阻害能を有することは報告されている(特許文献5)。しかし、いずれの文献も、N−フェルロイルアミノ酸類やN−ジヒドロフェルロイルアミノ酸類が、メイラード反応に関与し、その阻害活性に係る報告ではない。さらに、カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)を化学的に修飾したN−アシルアミノ酸化合物が、抗酸化力、乳化力、抗菌力、保湿力などを有することは知られている(例えば特許文献6参照)。しかしながら、このN−アシルアミノ酸化合物では、乳化力を発揮させるために、もっぱら長鎖脂肪酸がアシル化剤の原料として使用されており、アシル化剤の原料としてフェルラ酸やジヒドロフェルラ酸が使用されたものではない。
特開昭62−249909号公報(発明の詳細な説明) 特開昭62−142114号公報(特許請求の範囲) 特開2000−256259号公報(特許請求の範囲) 特開2003−212774号公報(発明の実施の形態) 特開2003−192522号公報(特許請求の範囲) 特開平5−65275号公報(特許請求の範囲) Maillard,L.C.,Compt.Rend.Soc.Biol.,72,599(1912) Brownlee,M.et al.,Science,232,1629(1986) Brownlee,M.et al.,N.Engl.J.Med.,318,1315(1988) 加藤健、医薬ジャーナル、38,No4,1259(2002) Martens,M.,et al.,Phytochemistry,27,2465(1988)
本発明の目的は、上述のような状況をふまえ、優れたメイラード反応阻害剤などとしても好適な新規化合物を提供することにある。
本発明者らはメイラード反応に関する研究を重ねた結果、フェルラ酸又はジヒドロフェルラ酸とカルノシンが結合した新規カルノシンエステル化合物に、メイラード反応に対する阻害活性を見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち本発明は、下記一般式(A)で表わされるカルノシンエステル化合物である。
Figure 2006232686
但し、式(A)中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示し、nは2又は3を示す。R1は炭素数1〜8の分枝又は不飽和結合を有することもある炭化水素基を示し、R2は水素原子又はメチル基を示す。
本発明の新規カルノシンエステル化合物は、メイラード反応に対して優れた阻害活性を有することから、メイラード反応が関与する疾患、すなわち種々の糖尿病合併症、アテローム動脈硬化症などの老化に伴う疾患や皮膚の老化などに対して有効である。当該化合物はメイラード反応阻害剤として、前述の疾患などに対する予防・治療剤となるばかりか、そのほか、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の分野で広範な応用が可能である。
式(A)で表わされる化合物について
はじめに、式(A)で表わされる化合物(以下、化合物(A)ともいう、その他一般式で表わされる後記化合物についても同様に略記する)について説明する。
Figure 2006232686
式(A)中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示し、nは2又は3を示す。R1は炭素数1〜8の分枝又は不飽和結合を有することもある炭化水素基を示し、R2は水素原子又はメチル基を示す。
ここで、式(A)中のR1を具体的に例示するならば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等の直鎖飽和炭化水素基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基などの分枝を有する飽和炭化水素基、メタリル基、ベンジル基などの不飽和結合を有する炭化水素基が挙げられるが、なかでもメチル基及びエチル基が好適である。
式(A)で表わされる化合物の製造方法について
化合物(A)は、たとえば、化合物(B)と化合物(C)とを縮合させた後、エステル基を加水分解することで化合物(D)を調製し、得られた化合物(D)と化合物(E)を縮合させることで製造することができる。縮合反応は、脱水縮合剤を用いる方法、活性エステル法など、化学合成分野で用いられる常法に従って実施することができる。
Figure 2006232686
但し、式(B)中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示す。
Figure 2006232686
但し、式(C)中のnは2又は3を示す。また、Rは炭素数1〜8の分枝又は不飽和結合を有することもある炭化水素基を示す。Rの具体例としては、合成化学分野においてカルボキシル基の保護基として使用されるメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等の直鎖飽和炭化水素基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基などの分枝を有する飽和炭化水素基、メタリル基、ベンジル基などの不飽和結合を有する炭化水素基が挙げられ、メチル基、エチル基、t−ブチル基、ベンジル基が好適に使用することができる。
Figure 2006232686
Figure 2006232686
式(D)中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示し、nは2又は3を示す。また、式(E)中のR1は炭素数1〜8の分枝又は不飽和結合を有することもある炭化水素基を示し、R2は水素原子又はメチル基を示す。R1の具体例は、前記Rと同様である。
化合物(A)の合成法として、N−ヒドロキシこはく酸イミドを用いる活性エステル法を例に、さらに具体的に説明する。なお、以下の説明において使用する略号X、n、R、R1、及びR2は上記に定義した意味を表す。
はじめに、化合物(B)とN−ヒドロキシこはく酸イミドとを有機溶媒中で脱水縮合剤を用いて反応させることで、化合物(F)を調製することができる。
Figure 2006232686
この反応で使用するN−ヒドロキシこはく酸イミドの量は、基本的には化合物(B)に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
脱水縮合剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3ジメチルアミプロピル)カルボジイミド、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、ジ−2−ピリジルカルボネート、ジ−2−ピリジルチオノカルボネートなどが例示され、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを好適に使用することができる。脱水縮合剤の使用量は、基本的には化合物(B)に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
本反応は有機溶媒中、なかでも、非プロトン性の溶媒中で行うことが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルプロピレンウレア、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン及びこれらの混合溶媒等を好適に使用することができる。
上記の反応温度は、0〜50℃が好ましく、より好ましくは10〜30℃である。この反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する場合がある。
反応時間は条件により異なるが、通常、数時間である。
この反応終了後、化合物(F)を未精製のまま使用することもでき、また、再結晶等の公知の方法により、化合物(F)を単離精製することもできる。
上述のように調製した化合物(F)に、化合物(C)を反応させ、引き続いてエステル基の加水分解反応を行うことにより、化合物(D)を合成することができる。
化合物(F)と化合物(C)との反応で使用する化合物(C)の量は、基本的には化合物(F)に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
本反応は、塩基性条件下で行うことが好ましく、好適には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムを化合物(F)に対して、0.7〜5化学当量、より好適には1.0〜3.0化学当量使用する。
この反応は、化合物(C)、化合物(F)、ならびに、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性物質を溶解する溶媒中で実施することが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルプロピレンウレア、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンなどの有機溶媒と、水とを併用することが好適である。
上記の反応温度は、0〜50℃が好ましく、より好ましくは10〜30℃である。この反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する場合がある。
この反応時間は条件により異なるが、通常、数時間から数10時間である。
反応終了後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法により精製することもできる。
つぎに、エステル基の加水分解を行なうことで化合物(D)を合成することができる。この加水分解反応は有機合成化学分野で用いられる常法、すなわち、酸性又はアルカリ性条件下での反応を行うことにより、実施することができる。得られた化合物(D)は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法により、精製することができる。
上述のごとく得られた化合物(D)は、先の化合物(F)の製造方法と同様の方法でN−ヒドロキシこはく酸イミドの活性エステル誘導体に変換することができる。この活性エステル誘導体を、上述の化合物(F)と化合物(C)との反応と同様の方法で、化合物(E)と反応させることにより、化合物(A)を製造することができる。
得られた化合物(A)は溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法により精製して使用することができる。
本発明の式(A)で表される化合物は、メイラード反応に対して優れた阻害活性を示す。このことから、メイラード反応が関与する疾患である種々の糖尿病合併症(例えば、冠動脈性心疾患、抹消循環障害、脳血管障害、神経症、腎症、動脈硬化症、関節硬化症、白内障及び結膜症など)の予防・治療剤、アテローム性動脈硬化症の予防・治療剤、あるいは皮膚の老化防止剤、さらにはメイラード反応が関与する食品の着色・変色や変質等の防止剤や保存剤など、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の広範な分野で、極めて有益性が高いものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
ジヒドロフェルラ酸とN−ヒドロキこはく酸イミドとの縮合反応を行い、化合物1を得た。
すなわち、ジヒドロフェルラ酸(23.6g、120mmol)、N−ヒドロキシこはく酸イミド(13.9g、121mmol)のテトラヒドロフラン(250ml)溶液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.0g、121mmol)を加えた。室温で3時間攪拌後、蒸留水5mlを加え、16時間放置した。つぎに、生成した不溶物を濾別し、濾液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒から再結晶し、無色結晶性の化合物(25.0g、収率71%)を得た。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物1であることを確認した。
化合物1の融点は140−142℃であった。化合物1の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.80-2.92(6H,m), 2.96- 3.02(2H,m), 3.89(3H,s), 5.57(1H,s), 6.70-6.75(2H,m), 6.85(1H,d,J=7.6Hz)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3430, 2940, 1820, 1780, 1730, 1520, 1370, 1220, 1070, 820, 650であった。
○化合物1の構造式
Figure 2006232686
<合成例2>
化合物1とβ−アラニンエチルエステル塩酸塩とを反応させ、引き続いて、エステル基を加水分解することにより、N−ジヒドロフェルロイル−β−アラニン(以下、化合物2という)を合成した。
すなわち、β−アラニンエチルエステル塩酸塩(10.0g、65.1mmol)及び炭酸水素ナトリウム(5.47g、65.1mmol)に蒸留水(65ml)を加えて溶解した。この溶液に、攪拌しながら、化合物1(19.1g、65.1mmol)をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解した溶液を加えた。室温で18時間攪拌後、20%炭酸ナトリウム水溶液(50ml)、飽和食塩水(100ml)及び酢酸エチル(50ml)を加えて分配した。有機層を回収後、水層を酢酸エチル(100ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で溶媒を留去した。つぎに、得られた残渣をイソプロピルアルコール(180ml)に溶解した後、1N水酸化ナトリウム水溶液(70ml)を加えて室温で攪拌した。18時間後、反応溶液に6N塩酸(12ml)を加えて反応を停止した。溶媒を減圧濃縮後、残渣にイソプロピルアルコール(30ml)を加えて、減圧濃縮する操作を2回繰り返すことで、水分を除去した。得られた残渣にイソプロピルアルコール(50ml)を加えて加熱し、不溶物を濾別した。濾液を4℃で放置することにより、無色結晶性の化合物(6.13g、収率35%)を得た。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物2であることを確認した。
化合物2の融点は129−130℃であった。化合物2の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.26-2.40(4H,m), 2.68(2H,t,J=7.8Hz), 3.22(2H,d,J=6.0,6.8Hz), 3.73(3H,s), 6.56(1H,d,J=8.0Hz), 6.65(1H,d,J=8.0Hz), 6.74(1H,s), 7.88(1H,br), 8.65(1H,br), 12.20(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3520, 3320, 1700, 1640, 1550, 1520, 1280, 1270, 1220, 1030, 690であった。
○化合物2の構造式
Figure 2006232686
<合成例3>
β−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりに4−アミノ酪酸塩酸塩を用い、粗生成物の再結晶溶媒をイソプロピルアルコールから酢酸エチルに変更した以外は合成例2と同様の操作を行なうことで、化合物3を合成した。
化合物3の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は1.55-1.63(2H,m), 2.19(2H,t,J=7.4Hz), 2.28-2.33(2H,m), 2.69 (2H,t,J=7.4Hz), 3.01-3.06(2H,m), 3.73(3H,s), 6.56(1H,dd,J=1.6,8.0Hz), 6.65 (1H,d,J=8.0Hz), 6.74(1H,d,J=1.6Hz), 7.81(1H,t,J=5.6Hz), 8.66(1H,br), 12.04 (1H,br)であった。
○化合物3の構造式
Figure 2006232686
<実施例1>
合成例2で調製した化合物2をN−ヒドロキシこはく酸イミドの活性エステル誘導体に変換した後、L−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩を反応させることで、本発明の化合物4を製造した。
すなわち、合成例2で調製した化合物2(3.26g、12.2mmol)、及び、N−ヒドロキシこはく酸イミド(1.73g、15.0mmol)のテトラヒドロフラン(75ml)溶液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(3.26g、15.8mmol)を加えた。室温で3時間攪拌後、生成した不溶物を濾別し、テトラヒドロフラン(75ml)で洗浄した。合わせた濾液を、予めL−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩(3.63g、15.0mmol)及び炭酸水素ナトリウム(2.52g、30.0mmol)を蒸留水(50ml)に溶解した溶液に加えた。室温で18時間攪拌後、反応溶液に20%炭酸ナトリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(100ml)、及び酢酸エチル(50ml)を加えて分配した。有機層を回収し、水層を酢酸エチル(50ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、無色の吸湿性粉末状の化合物を得た(3.54g、収率70%)。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物4であることを確認した。
化合物4の重ジメチルスルフィド中で測定した1H-NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.23-2.32(4H,m), 2.68(2H,t,J=7.2Hz), 2.81-2.94(2H,m), 3.16-3.23 (2H,m), 3.59(3H,s), 3.73(3H,s), 4.45-4.50(1H,m), 6.55(1H,d,J=8.0Hz), 6.65 (1H,d,J=8.0Hz), 6.74(1H,s), 6.80(1H,s), 7.53(1H,s), 7.86(1H,t,J=5.8Hz), 2.29 (1H,d,J=7.2Hz), 8.72(1H,br), 11.85(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3280, 2960, 1740, 1660, 1520, 1440, 1280, 1220, 1030, 760, 620であった。
○化合物4の構造式
Figure 2006232686
<実施例2>
実施例1で用いたL−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩の代わりに、1−メチル−L−ヒスチジンメチルエステル塩酸塩を用いて、実施例1と同様の操作を行なうことで、化合物5を製造した。
化合物5の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.24-2.32(4H,m), 2.69(2H,t,J=7.4Hz), 2.76-2.87(2H,m), 3.18-3.24(2H,m), 3.56 (3H,s), 3.59(3H,s), 3.73(3H,s), 4.44-4.47(1H,m), 6.54-6.57 (1H,m), 6.66(1H,d,J=7.4Hz), 6.74(1H,s), 6.84(1H,s), 7.45(1H,s), 7.88(1H,t, J= 5.6Hz), 8.27(1H,d,J=7.4Hz), 8.78(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3300, 2950, 1740, 1660, 1520, 1440, 1280, 1220, 1030, 820, 630であった。
○化合物5の構造式
Figure 2006232686
<実施例3>
化合物2の代わりに、合成例3で調製した化合物3を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なうことで、化合物6を製造した。
化合物6の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は1.14-1.57(2H,m), 2.05-2.09(2H,m), 2.30(2H,t,J=7.4Hz), 2.70 (2H,t,J=7.4Hz), 2.84-3.00(4H,m), 3.59(3H,s), 3.72(3H,s), 4.43-4.49(1H,m), 6.55-6.57(1H,m), 6.65(1H,d,J=7.4Hz), 6.74(1H,s), 6.80(1H,s), 7.53(1H,s), 7.79 (1H,t,J=5.4Hz), 8.20(1H,d,J=7.2Hz), 8.70(1H,br),11.80(1H,br).であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3270, 2950, 1740, 1640, 1550, 1520, 1440, 1280, 1220, 1030, 760, 620であった。
○化合物6の構造式
Figure 2006232686
<実施例4>
合成例1で用いたジヒドロフェルラ酸の代わりにトランス−フェルラ酸を用い、
引き続いて、合成例2及び実施例1と同様の操作を行なうことで、化合物7を製造した。
化合物7の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.32-2.35(2H,m),2.82-2.95(2H,m),3.24-3.50(3H,brm), 3.59(3H, s), 3.80(3H,s), 4.47-4.52(1H,m), 6.45(1H,d,J=16.0Hz),6.78-6.81(1H,m), 6.97-7.00(1H,m), 7.12(1H,s), 7.31(1H,d,J=16.0Hz), 7.54(1H,s), 7.97(1H,t,J=5.6Hz), 8.32-8.34(1H,m), 9.49(1H,br), 11.82(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3270, 1740, 1660, 1600, 1520, 1440, 1260, 1210, 1030, 820, 760, 620であった。
○化合物7の構造式
Figure 2006232686
<試験例>
上記実施例1〜4で製造した化合物4〜7、及び公知のメイラード反応阻害剤であるアミノグアニジン塩酸塩を用い、メイラード反応阻害率測定の常法であるフロシン生成阻害率の測定を行なった(例えば、E.Schleicher,et al.,J.Clin.Chem.Clin.Biochem.19,81(1981)参照)。
具体的な手順を以下に示した。
[1]リン酸緩衝液の調製
リン酸二水素カリウム(2.04g、15mmol)及び水酸化ナトリウム(440mg、11.0mmol)を蒸留水(300ml)に溶解した。
[2]試験液の調製
上記リン酸緩衝液、牛血清アルブミン(シグマ社製No.A−8022、以下BSAと略す)、ブドウ糖、及び被験物質を用いて下記の通りのサンプル溶液を調製した。なお、DMSOはジメチルスルホキシドを示し、アミノグアニジン塩酸塩はリン酸緩衝液に、その他の被検物質はDMSOに予め溶解して添加した。
(正常群):BSA(60mg)+リン酸緩衝液(2.85ml)+DMSO (0.15ml)
(対照群):BSA(60mg)+ブドウ糖(27mg)+リン酸緩衝液(2.85ml)+DMSO(0.15ml)
(被験群):BSA(60mg)+ブドウ糖(27mg)+リン酸緩衝液(2.85ml)+DMSO(0.15ml)+被験
物質(0.030mmol)
[3]非酵素的グリコシル化反応とフロシン生成阻害率の測定
各試験液(3ロット分)を37℃で保存した。3週間放置した後、各試験液(1.2ml)を取り、40%トリクロロ酢酸水溶液(0.3ml)を加えた。生成した沈殿物を回収後、沈殿物を8%トリクロロ酢酸水溶液(6ml)で2回洗淨した。沈殿物を減圧乾燥した後、6N塩酸(1ml)を加えて100℃で20時間の加水分解を行った。塩酸を減圧留去した後、蒸留水(1ml)を加えて、高速液体クロマトグラフィー用の試料とした。
チロシン(保持時間約9.2分)と非酵素的グリコシル化の進行に伴って生成するフロシン(保持時間約3.6分)の高速液体クロマトグラフィー上でのピーク面積比をフロシン値とし、下記式によりフロシン生成の阻害率を求めた。各被検物質について得られた3ロットの平均阻害率を表1に示した。
〔高速液体クロマトグラフィーの条件〕
カラム:TOSOH TSKgel Octyl−80Ts(15cm)
溶離液:7mMリン酸水溶液
検出波長:280nm、カラム温度25℃、流速0.8ml/min
Figure 2006232686
Figure 2006232686
Figure 2006232686
表1に示すように、本発明の化合物4〜7は、公知のメイラード反応阻害剤であるアミノグアニジン塩酸塩に比し、より高いフロシン生成阻害効果を有することが明らかとなった。すなわち、メイラード反応におけるタンパク質分子間架橋形成の直接の原因物質であるアマドリ転移生成物の生成自体を阻害することが判明した。
本発明のカルノシンエステル化合物は新規であり、メイラード反応阻害活性を有することから、メイラード反応の関与する疾患、すなわち末梢循環障害、糖尿病性腎症、冠動脈性心疾患、脳血管障害、神経障害、網膜症、白内障等の種々な糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症、老人性白内障、毛細血管閉塞、透析関連合併症等の老化に伴う疾患等の予防・治療剤、さらには皮膚の老化防止剤への応用にも期待でき、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の分野でその有益性は非常に高い。

Claims (1)

  1. 下記一般式(A)で表わされるカルノシンエステル化合物。
    Figure 2006232686


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