JP4784725B2 - メイラード反応阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、N−末端にフェルロイル基又はジヒドロフェルロイル基を有するグリシン、β−アラニン、セリン、ヒスチジンから選ばれるアミノ酸若しくはカルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)、ホモカルノシン、アンセリンから選ばれるジペプチド又はそれらの誘導体(上記アミノ酸若しくはジペプチドを構成するアミノ酸のC末端にあるカルボキシル基がエステル基(−COOCH 3 )に置換したもの)の用途に関するものであり、当該化合物は、メイラード反応に起因する糖尿病合併症の予防又は治療のためのメイラード反応阻害剤として好適に使用することができる。
メイラード反応とは、アミノ酸、タンパク質中のアミノ基と、還元糖のアルデヒド基とが非酵素的に反応し、シッフ塩基、アマドリ転位生成物を経て、各種化合物の生成やタンパク質の架橋、変性に至る反応のことである。食品工業においては、食品の加工や貯蔵の際に生じる着色、香気成分の生成等に関わる反応であり、食品独自の差別化や品質管理の上で、非常に重要な反応とされている(非特許文献1)。
一方、生体内においてもメイラード反応が関与、進行して、タンパク質の架橋、変性等の原因となることが知られている(非特許文献2)。中高齢者のみならず、近年では低年齢化が進んでいる糖尿病において、その患者には様々な合併症が見られるが、代表的な糖尿病合併症である白内障や動脈硬化等の血管障害の主要な原因の一つがメイラード反応の進行によると報告されている(非特許文献3)。また、加齢とともに進行する皮膚のシワ、クスミ、弾力性低下等の老化現象もメイラード反応が関与するコラーゲンやエラスチンなどの真皮構成タンパク質の架橋、変性に起因するものと考えられている(特許文献1)。
したがって、上述のような各種障害の主要な原因となっているメイラード反応を阻害、抑制する化合物や薬剤の開発は、医薬、皮膚科学、食品化学等の分野において重要な研究課題なのである。これまで、アミノグアニジン(特許文献2)をはじめとするいくつかのメイラード反応阻害剤が報告されている(非特許文献4)が、必ずしも効果が十分ではなく、新たな阻害剤の開発が望まれている。
フェルラ酸又はその誘導体を含むフェニルプロペン酸類がメイラード反応阻害剤として有用であることは報告されている(特許文献3及び4)。一方、大麦中に存在する化合物で、N−フェルロイルグリシンが知られているが、この化合物の関連酵素であるN−フェルロイルグリシンアミドヒドロラーゼの研究に際し、N−フェルロイルアラニン、N−ジヒドロフェルロイルグリシン等が合成されている(非特許文献5)。また、N−フェルロイルアミノ酸に構造が類似した化合物であるカフェ酸アミド誘導体が抗酸化活性やチロシナーゼ活性阻害能を有することは報告されている(特許文献5)。しかし、いずれの文献も、N−フェルロイルアミノ酸類やN−ジヒドロフェルロイルアミノ酸類が、メイラード反応に関与し、その阻害活性に係る報告ではない。さらに、カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)を化学的に修飾したN−アシルアミノ酸化合物が、抗酸化力、乳化力、抗菌力、保湿力などを有することは知られている(例えば特許文献6参照)。しかしながら、このN−アシルアミノ酸化合物では、乳化力を発揮させるために、もっぱら長鎖脂肪酸がアシル化剤の原料として使用されており、アシル化剤の原料としてフェルラ酸やジヒドロフェルラ酸が使用されたものではない。
特開昭62−249909号公報(発明の詳細な説明) 特開昭62−142114号公報(特許請求の範囲) 特開2000−256259号公報(特許請求の範囲) 特開2003−212774号公報(発明の実施の形態) 特開2003−192522号公報(特許請求の範囲) 特開平5−65275号公報(特許請求の範囲) Maillard,L.C.,Compt.Rend.Soc.Biol.,72,599(1912) Brownlee,M.et al.,Science,232,1629(1986) Brownlee,M.et al.,N.Engl.J.Med.,318,1315(1988) 加藤健、医薬ジャーナル、38,No4,1259(2002) Martens,M.,et al.,Phytochemistry,27,2465(1988)
本発明の目的は、上述のような状況をふまえ、メイラード反応に起因する糖尿病合併症の予防又は治療のための優れたメイラード反応阻害剤を提供することにある。
本発明者らは、メイラード反応阻害剤に関する研究を重ねた結果、N−末端に、フェルラ酸又はジヒドロフェルラ酸が結合したアミノ酸又はジペプチドを有する化合物が優れたメイラード反応阻害活性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち本発明は、グリシン、β−アラニン、セリン、ヒスチジンから選ばれるアミノ酸若しくはカルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)、ホモカルノシン、アンセリンから選ばれるジペプチド又はそれらの誘導体(上記アミノ酸若しくはジペプチドを構成するアミノ酸のC末端にあるカルボキシル基がエステル基(−COOCH 3 )に置換したもの)が有するアミノ基に、フェルラ酸又はジヒドロフェルラ酸が結合した下記一般式(A)で表される化合物を含有することを特徴とするメイラード反応に起因する糖尿病合併症の予防又は治療のためのメイラード反応阻害剤である。
Figure 0004784725
本発明は、メイラード反応に起因する糖尿病合併症の予防や治療のための式(A)で表される化合物を含有するメイラード反応阻害剤である。
本発明の化合物はメイラード反応阻害活性を有することから、メイラード反応の関与する疾患、すなわち末梢循環障害、糖尿病性腎症、冠動脈性心疾患、脳血管障害、神経障害、網膜症、白内障等の種々な糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症、老人性白内障、毛細血管閉塞、透析関連合併症等の老化に伴う疾患等の予防・治療剤、さらには皮膚の老化防止剤への応用にも期待でき、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の分野でその有益性は非常に高い。
[1]一般式(A)で表わされる化合物について
一般式(A)で表される化合物において、式中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示し、Rはグリシン、β−アラニン、セリン、ヒスチジンから選ばれるアミノ酸若しくはカルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)、ホモカルノシン、アンセリンから選ばれるジペプチド又はそれらの誘導体(上記アミノ酸若しくはジペプチドを構成するアミノ酸のC末端にあるカルボキシル基がエステル基(−COOCH 3 )に置換したもの)である。
また、アミノ酸残基とは、アミノ酸の一つのアミノ基を除いた残りの基及びその誘導体をいい、若しくは、ジペプチドを構成するアミノ酸のうち、その一つのアミノ基を除いた残りの基及びその誘導体をいう。
Figure 0004784725
本明細書でいうアミノ酸とは、カルボシキル基とアミノ基が同一炭素原子に結合したα−アミノ酸を始め、β―及びγ−アミノ酸のほかε−アミノ酸等、分子中にカルボシキル基とアミノ基を各々少なくとも1つ以上有するものである。また、分子中に不斉炭素を有する場合、いずれの光学異性体及びラセミ体混合物も含まれるものである。本発明の化合物には、グリシン、β−アラニン、セリン、ヒスチジンから選ばれるアミノ酸を用いなくてはならない。これらのアミノ酸は市販のものを使用することができる。
本明細書でいうアミノ酸の誘導体とは、アミノ酸残基中のカルボキシル基がエステル基(−COOCH 3 )で置換されたものでなくてはならない
アミノ酸エステルとしては、アミノ酸残基中のカルボキシル基がエステル結合した炭化水素基としてメチル基でなくてはならない。
本明細書でいうジペプチドとは、前記アミノ酸の中で、任意の2つのアミノ酸から構成されるペプチドのことであり、カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)、ホモカルノシン、アンセリンでなくてはならない
本明細書でいうジペプチドの誘導体とは、ジペプチドを構成するアミノ酸のC末端がエステル基(−COOCH 3 )でなくてはならない
ジペプチドのエステル誘導体としては、ジペプチドを構成するアミノ酸のカルボキシル基がエステル化された、前記アミノ酸エステルの項で記載したものが同様に挙げられる。
[2]一般式(A)で表わされる化合物の製造方法について
はじめに、一般式(A)で表わされる化合物(以下、化合物(A)ともいう、その他一般式で表わされる後記の化合物も同様に略記する)について説明する。
化合物(A)中のRが1つのアミノ酸の残基を示す化合物は(Rがジペプチドの残基を示す化合物については後述する)、たとえば、化合物(B)と化合物(C)とを縮合させることにより、製造することができる。縮合反応は、脱水縮合剤を用いる方法、活性エステル法など、化学合成分野で用いられる常法に従って実施することができる。
Figure 0004784725
Figure 0004784725
化合物(C)は、アミノ酸又はその誘導体である。但し、式(C)中のY1は側鎖官能基に合成化学上必要な保護基を有することもあるアミノ酸側鎖を示し、L1は水素原子、炭化水素基CH 3 を示す。アミノ酸としては、グリシン、β−アラニン、セリン、ヒスチジンでなくてはならない。分子中に不斉炭素が存在する場合は、いずれの光学異性体及びラセミ混合物も使用可能であるが、入手容易なL−アミノ酸類が好適である。
また、側鎖官能基に合成化学上必要な保護基を有するアミノ酸の具体例としては、O−アセチル−L−セリン、O−t−ブチル−L−セリン、N−Im−トリチル−L−ヒスチジン等、ペプチド合成で汎用されるものが好適であり、保護基の導入・除去は常法に従って実施することができる。
化合物(A)中のRが1つのアミノ酸の残基を示す化合物の合成法として、N−ヒドロキシこはく酸イミドを用いる活性エステル法を例に、さらに具体的に説明する。
はじめに、化合物(B)とN−ヒドロキシこはく酸イミドとを有機溶媒中で脱水縮合剤を用いて反応させることで、化合物(D)を調製することができる。
Figure 0004784725
この反応で使用するN−ヒドロキシこはく酸イミドの量は、基本的には化合物(B)に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
脱水縮合剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3ジメチルアミプロピル)カルボジイミド、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、ジ−2−ピリジルカルボネート、ジ−2−ピリジルチオノカルボネートなどが例示され、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを好適に使用することができる。脱水縮合剤の使用量は、基本的には化合物(B)に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
上記の反応は有機溶媒中、なかでも、非プロトン性の溶媒中で行うことが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルプロピレンウレア、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン及びこれらの混合溶媒等を好適に使用することができる。
上記の反応温度は、0〜50℃が好ましく、より好ましくは10〜30℃である。この反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する場合がある。
反応時間は条件により異なるが、通常、数時間である。
この反応終了後、化合物(D)を未精製のまま使用することもでき、また、再結晶等の公知の方法により、化合物(D)を単離精製することもできる。
上述のように調製した化合物(D)に化合物(C)を反応させることにより、化合物(A)中のRが1つのアミノ酸の残基を示す化合物を合成することができる。また、アミノ酸残基中の側鎖官能基に合成化学上必要な保護基を有する場合は、ペプチド合成法の常法に従って、保護基を除去することができる。
化合物(D)と化合物(C)との反応で使用する化合物(C)の量は、基本的には化合物(D)に対して1化学当量であり、0.7〜1.3化学当量であることが好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.1化学当量である。
この反応は、塩基性条件下で行うことが好ましく、好適には炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムを化合物(D)に対して、0.7〜5化学当量、より好適には1.0〜3.0化学当量使用する。
反応条件としては、化合物(C)、化合物(D)、ならびに、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性物質を溶解する溶媒中で実施することが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルプロピレンウレア、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンなどの有機溶媒と、水とを併用することが好適である。
上記の反応温度は、0〜50℃が好ましく、より好ましくは10〜30℃である。この反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する場合がある。
反応時間は条件により異なるが、通常、数時間から数10時間である。
この反応終了後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の公知の方法により、精製することができる。
また、上述のごとく製造した化合物(A)中のRが1つのアミノ酸の残基を示す化合物においては、加水分解、エステル化、エステル交換、イオン交換などの常法により、R部分の変換を行なうこともできる。
つぎに、化合物(A)中のRがジペプチドの残基を示す化合物の製造方法について説明する。
化合物(A)中のRがジペプチドの残基を示す化合物は、あらかじめ公知の方法で調製したジペプチド、あるいは、市販のジペプチドを原料として、当該ペプチド中のアミノ基と化合物(D)を反応させることで製造することができる。
例えば、公知のペプチドの合成方法として、「ペプチド合成の基礎と実験」(著者:泉谷信夫、加藤哲夫、青柳東彦、脇道典、発行所:丸善株式会社、発行年:昭和60年)、「第4版 実験化学講座22 有機合成IV −酸・アミノ酸・ペプチド−」(193−309ページ、編者:日本化学会、発行所:丸善株式会社、発行年:平成4年)等に記載の方法が例示できる。
あるいは、前述の化合物(B)と化合物(C)との縮合により得られる化合物(E)と化合物(F)とを縮合させることにより、化合物(A)中のRがジペプチドの残基である化合物(G)を製造することができる。さらに同様の操作を繰り返して実施することで、Rがトリペプチド以上の残基で所望の化合物を製造することも可能である。
Figure 0004784725
但し、式(E)中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示し、Y1及びL1は前記式(C)と同じである。
Figure 0004784725
式(F)も式(C)同様、アミノ酸又はその誘導体である。また、式(F)中のY2及びL2も前記式(C)と同じである。
Figure 0004784725
但し、式(G)中のXは−CH2CH2−又は−CH=CH−を示し、Y1及びY2はそれぞれ独立して、側鎖官能基に合成化学上必要な保護基を有することもあるアミノ酸残基を示す。L2は前記の式(F)と同じである。
化合物(E)と化合物(F)との縮合反応は、前述の化合物(B)と化合物(C)との縮合反応と同様の方法、すなわち脱水縮合剤を用いる方法、活性エステル法など、合成化学分野で用いられる常法に従って実施することができる。
一般式(A)で表される化合物は、メイラード反応に対して優れた阻害活性を有する。このことから、メイラード反応が関与する疾患、すなわち末梢循環障害、糖尿病性腎症、冠動脈性心疾患、脳血管障害、神経障害、網膜症、白内障等の種々な糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症、老人性白内障、毛細血管閉塞、透析関連合併症等の老化に伴う疾患等の予防・治療剤、さらに皮膚の老化防止剤への応用にも期待でき、その他メイラード反応が関与する食品の着色・変色や変質等の防止剤や保存剤など、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の広範な分野で極めて有益性が高いものである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
ジヒドロフェルラ酸とN−ヒドロキこはく酸イミドとの縮合反応を行い、化合物1を得た。
すなわち、ジヒドロフェルラ酸(23.6g、120mmol)、N−ヒドロキシこはく酸イミド(13.9g、121mmol)のテトラヒドロフラン(250ml)溶液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.0g、121mmol)を加えた。室温で3時間攪拌後、蒸留水5mlを加え、16時間放置した。つぎに、生成した不溶物を濾別し、濾液を濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒から再結晶し、無色結晶性の化合物(25.0g、収率71%)を得た。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物1であることを確認した。
化合物1の融点は140−142℃であった。化合物1の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.80-2.92(6H,m),2.96-3.02(2H,m), 3.89(3H,s), 5.57(1H,s), 6.70-6.75(2H,m), 6.85(1H,d,J=7.6Hz)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3430, 2940, 1820, 1780, 1730, 1520, 1370, 1220, 1070, 820, 650であった。
○化合物1の構造式
Figure 0004784725
<合成例2>
化合物1とグリシンとを反応させることにより、N−ジヒドロフェルロイルグリシン(以下、化合物2という)を合成した。
すなわち、グリシン(375mg、5.01mmol)及び炭酸水素ナトリウム(421mg、5.01mmol)に蒸留水(5ml)を加えた。この溶液に、攪拌しながら、化合物1(1.47g、5.01mmol)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解した溶液を加えた。室温で18時間攪拌後、1N塩酸(5ml)を加えて中和した。つぎに、反応混合物に飽和食塩水(10ml)及び酢酸エチル(15ml)を加えて分配した。有機層を回収後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色結晶性の化合物(490mg、収率48%)を得た。得られた化合物の融点、及び、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)が文献記載の値に一致したことから、本化合物が化合物2であることを確認した。
○化合物2の構造式
Figure 0004784725
<合成例3>
化合物1とβ−アラニンエチルエステル塩酸塩とを反応させ、引き続いて、エステル基を加水分解することにより、N−ジヒドロフェルロイル−β−アラニン(以下、化合物3という)を合成した。
すなわち、β−アラニンエチルエステル塩酸塩(10.0g、65.1mmol)及び炭酸水素ナトリウム(5.47g、65.1mmol)に蒸留水(65ml)を加えて溶解した。この溶液に、攪拌しながら、化合物1(19.1g、65.1mmol)をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解した溶液を加えた。室温で18時間攪拌後、20%炭酸ナトリウム水溶液(50ml)、飽和食塩水(100ml)及び酢酸エチル(50ml)を加えて分配した。有機層を回収後、水層を酢酸エチル(100ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で溶媒を留去した。つぎに、得られた残渣をイソプロピルアルコール(180ml)に溶解した後、1N水酸化ナトリウム水溶液(70ml)を加えて室温で攪拌した。18時間後、反応溶液に6N塩酸(12ml)を加えて反応を停止した。溶媒を減圧濃縮後、残渣にイソプロピルアルコール(30ml)を加えて、減圧濃縮する操作を2回繰り返すことで、水分を除去した。得られた残渣にイソプロピルアルコール(50ml)を加えて加熱し、不溶物を濾別した。濾液を4℃で放置することにより、無色結晶性の化合物(6.13g、収率35%)を得た。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物3であることを確認した。
化合物3の融点は129−130℃であった。化合物3の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.26-2.40(4H,m), 2.68(2H,t,J=7.8Hz),3.22(2H,d,J=6.0,6.8Hz),3.73(3H,s),6.56(1H,d,J=8.0Hz),6.65(1H,d,J=8.0Hz),6.74(1H,s),7.88(1H,br),8.65(1H,br),12.20(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3520, 3320, 1700, 1640, 1550, 1520, 1280, 1270, 1220, 1030, 690であった。
○化合物3の構造式
Figure 0004784725
<合成例4>
合成例3で用いたβ−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりに、L−セリンエチルエステル塩酸塩を用い、N−ジヒドロフェルロイル−L−セリン(以下、化合物4という)を合成した。
化合物4の融点は137−139℃であった。化合物4の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.42(2H,t,J= 7.6Hz), 2.68 (2H,t,J=7.6Hz), 3.55-3.80(6H,m),4.23-4.36(1H,m), 6.58(1H,d,J= 7.6Hz), 6.65 (1H,d,J=7.6Hz), 6.77(1H,s), 8.00(1H,br), 8.65(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3520, 3310, 2940, 1750, 1710, 1650, 1540, 1520, 1280, 1270, 1220, 1030, 860, 820, 800であった。
○化合物4の構造式
Figure 0004784725
<合成例5>
合成例1で得た化合物1とL−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩との反応を行い、N−ジヒドロフェルロイル−L−ヒスチジンメチルエステル(以下、化合物5という)を合成した。
すなわち、L−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩(2.43g、10.0mmol)及び炭酸水素ナトリウム(2.52g、30.0mmol)を蒸留水(10ml)に溶解した。つぎに、化合物1(2.94g、10.0mmol)をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解した溶液を加え、室温で攪拌した。18時間後、反応溶液に、20%炭酸ナトリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(20ml)及び酢酸エチル(10ml)を加えて分配した。有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色粉末状の化合物(3.05g、収率97%)を得た。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析により、得られた化合物が化合物5であることを確認した。
化合物5の重クロロホルムと重メタノールの混合溶媒中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.46-2.56(2H,m),2.80-2.87(2H,m),2.97-3.06 (2H,m), 3.70(3H,s),3.83(3H,s),4.68(1H,t,J=7.2Hz),6.60-6.67(2H,m), 6.71 (1H,s), 6.75(1H,d,J=8.0Hz), 7.47(1H,s)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3290, 1740, 1660, 1520, 1440, 1370, 1280, 1130, 1030, 750であった。
○化合物5の構造式
Figure 0004784725
<合成例6>
合成例1で用いたジヒドロフェルラ酸の代わりにtrans−フェルラ酸を用いて活性エステル化合物を調製し、得られた活性エステル化合物とL−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩との反応を、合成例5と同様の手順で行ない、N−フェルロイル−L−ヒスチジンメチルエステル(以下、化合物6という)を得た。
化合物6の重クロロホルムと重メタノールの混合溶媒中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、3.08(2H,m),3.74(3H,s),3.90(3H,s),4.80-4.90(1H,m),6.44(1H,d,J=16.0Hz),6.81-6.90(2H,m),7.01-7.12(2H,m), 7.50(1H,s), 7.56(1H,s)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3300,1740,1660,1590,1510,1280,1210,1130,980,820であった。
○化合物6の構造式
Figure 0004784725
<合成例7>
合成例1で得た化合物1と市販のL−カルノシンとを反応させることにより、N−ジヒドロフェルロイル−L−カルノシン(以下、化合物7という)を合成した。
すなわち、L−カルノシン(3.40g、15.0mmol)及び炭酸水素ナトリウム(1.27g、15.1mmol)を蒸留水(30ml)に溶解した。この溶液に、化合物1(4.40g、15.0mmol)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶かした溶液を加えた。室温で16時間攪拌後、テトラヒドロフランを減圧留去した。得られた水溶液をクロロホルム(15ml)で3回洗浄した後、水層に1N塩酸(15ml)を滴下した。水層をイソプロピルアルコールとの共沸により、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒、クロロホルム:メタノール=2:1)で精製した。得られた粗生成物をメタノールに溶解し、エタノールを加えて一夜放置した。生成した結晶性化合物を再度、メタノールに溶解し、エタノールを加えて一夜放置した。生成した結晶性化合物を濾過回収し、冷水及びエタノールで順次洗浄後、減圧乾燥し、淡灰色結晶性の化合物(3.19g、収率53%)を得た。
1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物7であることを確認した。
化合物7の融点は217−219℃であった。化合物7を重ジメチルスルフィドと重メタノールの混合溶媒中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.25-2.39(4H,m), 2.72(2H,t,J=7.8Hz), 2.91(1H,dd,J=8.4,14.8Hz), 3.03(1H,dd, J=5.0,14.8Hz),3.20-3.30(2H,m), 3.76(3H,s), 4.45(1H,dd,J=5.0, 8.4Hz), 6.58(1H,d,J=8.0Hz), 6.67(1H,d,J=8.0Hz), 6.76(1H,s), 6.91(1H,s), 7.78(1H,s)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3290,3230,1660, 1530,1430,1330,1280,1220,1030,810.であった。
○化合物7の構造式
Figure 0004784725
<合成例8>
合成例7で得た化合物7を塩酸塩に変換することでN−ジヒドロフェルロイル−L−カルノシン塩酸塩(以下、化合物8という)を得た。
すなわち、化合物7(2.43g、6.01mmol)をメタノール(20ml)に懸濁した液に、攪拌しながら1N塩酸(6.0ml)を滴下した。均一溶液となるまで攪拌した後、メタノールを減圧留去した。残った水溶液をエタノールで共沸乾燥後、残渣をメタノール10mlに溶解し、アセトン50mlを加えた。生成した不溶物をデカンテーションにより回収し、減圧乾燥することで、無色の吸湿性粉末状化合物(1.98g、収率75%)を得た。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物8であることを確認した。
化合物8を重ジメチルスルフィドと重水の混合溶媒中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、2.21-2.38(4H,m), 2.70(2H,t,J=7.6Hz), 3.01 (1H,dd,J=9.2,15.4Hz),3.13-3.25(3H,m), 3.74(3H,s), 4.57(1H,dd,J=5.2, 9.2Hz), 6.59(1H,d,J=8.0Hz), 6.68(1H,d,J=8.0Hz), 6.76(1H,s), 7.36(1H,s), 8.88(1H,s)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収のあった波数(cm-1)は、3270,1730,1640,1520,1440,1370,1280,1130,1030,820.であった。
○化合物8の構造式
Figure 0004784725
<合成例9>
合成例3で調製した化合物3をN−ヒドロキシこはく酸イミドの活性エステル誘導体に変換した後、L−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩を反応させることで、N−ジヒドロフェルロイル−L−カルノシンメチルエステル(以下、化合物9という)を製造した。
すなわち、合成例3で調製した化合物3(3.26g、12.2mmol)、及び、N−ヒドロキシこはく酸イミド(1.73g、15.0mmol)のテトラヒドロフラン(75ml)溶液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(3.26g、15.8mmol)を加えた。室温で3時間攪拌後、生成した不溶物を濾別し、テトラヒドロフラン(75ml)で洗浄した。合わせた濾液を、予めL−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩(3.63g、15.0mmol)及び炭酸水素ナトリウム(2.52g、30.0mmol)を蒸留水(50ml)に溶解した溶液に加えた。室温で18時間攪拌後、反応溶液に20%炭酸ナトリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(100ml)、及び、酢酸エチル(50ml)を加えて分配した。有機層を回収し、水層を酢酸エチル(50ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することにより、無色の吸湿性粉末状の化合物を得た(3.54g、収率70%)。1H−NMRスペクトル及び赤外線吸収スペクトル分析を行ない、得られた化合物が化合物9であることを確認した。
化合物9の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.23-2.32(4H,m),2.68(2H,t,J=7.2Hz),2.81-2.94(2H,m),3.16-3.23(2H,m), 3.59(3H,s), 3.73(3H,s), 4.45-4.50(1H,m), 6.55(1H,d,J=8.0Hz), 6.65(1H, d,J=8.0Hz), 6.74(1H,s), 6.80(1H,s), 7.53(1H,s), 7.86(1H,t,J=5.8Hz), 2.29(1H, d,J=7.2Hz),8.72(1H,br),11.85(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3280, 2960, 1740, 1660, 1520, 1440, 1280, 1220, 1030, 760, 620であった。
○化合物9の構造式
Figure 0004784725
<合成例10>
合成例9で用いたL−ヒスチジンメチルエステル二塩酸塩の代わりに、1−メチル−L−ヒスチジンメチルエステル塩酸塩を用いて、合成例9と同様の操作を行なうことで、N−ジヒドロフェルロイル−L−アンセリンメチルエステル(以下、化合物10という)を製造した。
化合物10の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.24-2.32(4H,m),2.69(2H,t,J=7.4Hz),2.76-2.87(2H,m),3.18-3.24(2H,m), 3.56 (3H,s),3.59(3H,s),3.73(3H,s),4.44-4.47(1H,m),6.54-6.57(1H, m), 6.66(1H,d,J=7.4Hz), 6.74(1H,s), 6.84(1H,s), 7.45(1H,s), 7.88(1H,t,J= 5.6Hz), 8.27(1H,d,J=7.4Hz), 8.78(1H,br)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3300, 2950, 1740, 1660, 1520, 1440, 1280, 1220, 1030, 820, 630であった。
○化合物10の構造式
Figure 0004784725
<合成例11>
β−アラニンエチルエステル塩酸塩の代わりに4−アミノ酪酸塩酸塩を用い、粗生成物の再結晶溶媒をイソプロピルアルコールから酢酸エチルに変更した以外は、合成例3と同様の操作を行なうことで、化合物11を合成した。
化合物11の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は1.55-1.63(2H,m),2.19(2H,t,J=7.4Hz),2.28-2.33(2H,m), 2.69 (2H, t,J=7.4Hz), 3.01-3.06(2H,m), 3.73(3H,s), 6.56(1H,dd,J=1.6,8.0Hz), 6.65 (1H,d,J=8.0Hz),6.74(1H,d,J=1.6Hz),7.81(1H,t,J=5.6Hz),8.66(1H,br),12.04(1H,br)であった。
○化合物11の構造式
Figure 0004784725
<合成例12>
化合物3の代わりに、合成例11で調製した化合物11を用いた以外は、合成例9と同様の操作を行なうことで、N−ジヒドロフェルロイル−L−ホモカルノシンメチルエステル(以下、化合物12という)を製造した。
化合物12の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は1.14-1.57(2H,m),2.05-2.09(2H,m), 2.30(2H,t,J=7.4Hz), 2.70 (2H, t,J=7.4Hz),2.84-3.00(4H,m),3.59(3H,s),3.72(3H,s),4.43-4.49(1H,m),6.55-6.57(1H,m),6.65(1H,d,J=7.4Hz),6.74(1H,s),6.80(1H,s),7.53(1H,s),7.79(1H,t,J=5.4Hz),8.20(1H,d,J=7.2Hz),8.70(1H,br),11.80(1H,br).であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3270, 2950, 1740, 1640, 1550, 1520, 1440, 1280, 1220, 1030, 760, 620であった。
○化合物12の構造式
Figure 0004784725
<合成例13>
合成例1で用いたジヒドロフェルラ酸の代わりにトランス−フェルラ酸を用い、
引き続いて、合成例3及び合成例9と同様の操作を行なうことで、N−フェルロイル−L−カルノシンメチルエステル(以下、化合物13という)を製造した。
化合物13の重ジメチルスルフィド中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は2.32-2.35(2H,m),2.82-2.95(2H,m),3.24-3.50(3H,brm), 3.59 (3H, s), 3.80 (3H,s),4.47-4.52(1H,m),6.45(1H,d,J=16.0Hz),6.78-6.81(1H,m), 6.97-7.00(1H,m), 7.12(1H,s), 7.31(1H,d,J=16.0Hz), 7.54(1H,s), 7.97(1H,t,J= 5.6Hz), 8.32-8.34(1H,m), 9.49(1H,br),11.82(1H,br).であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm-1)は3270, 1740, 1660, 1600, 1520, 1440, 1260, 1210, 1030, 820, 760, 620であった。
○化合物13の構造式
Figure 0004784725
<実施例>
上記合成例2〜13で各々製造した化合物2〜13、及び、公知のメイラード反応阻害剤であるアミノグアニジン塩酸塩を用い、メイラード反応阻害率測定の常法であるフロシン生成阻害率の測定を行なった(例えば、E.Schleicher,et al.,J.Clin.Chem.Clin.Biochem.19,81(1981)参照)。
具体的な手順を以下に示した。
[1]リン酸緩衝液の調製
リン酸二水素カリウム(2.04g、15mmol)及び水酸化ナトリウム(440mg、11.0mmol)を蒸留水(300ml)に溶解した。
[2]試験液の調製
上記リン酸緩衝液、牛血清アルブミン(シグマ社製No.A−8022、以下BSA
と略す)、ブドウ糖、及び、被験物質を用いて下記の通りのサンプル溶液を
調製した。なお、DMSOはジメチルスルホキシドを示し、化合物8及びアミ
ノグアニジン塩酸塩はリン酸緩衝液に、その他の被検物質はDMSOに予め溶解
して添加した。
(正常群):BSA(60mg)+リン酸緩衝液(2.85ml)+DMSO (0.15ml)
(対照群):BSA(60mg)+ブドウ糖(27mg)+リン酸緩衝液(2.85ml)+
DMSO(0.15ml)
(被験群):BSA(60mg)+ブドウ糖(27mg)+リン酸緩衝液(2.85ml)+
DMSO(0.15ml)+被験物質(0.030mmol)
[3]非酵素的グリコシル化反応とフロシン生成阻害率の測定
各試験液(3ロット分)を37℃で保存した。3週間放置した後、各試験液
(1.2ml)を取り、40%トリクロロ酢酸水溶液(0.3ml)を加えた。
生成した沈殿物を回収後、沈殿物を8%トリクロロ酢酸水溶液(6ml)で2
回洗淨した。沈殿物を減圧乾燥した後、6N塩酸(1ml)を加えて100℃
で20時間の加水分解を行った。塩酸を減圧留去した後、蒸留水(1ml)を
加えて、高速液体クロマトグラフィー用の試料とした。
チロシン(保持時間約9.2分)と非酵素的グリコシル化の進行に伴って生
成するフロシン(保持時間約3.6分)の高速液体クロマトグラフィー上での
ピーク面積比をフロシン値とし、下記式によりフロシン生成の阻害率を求めた。
各被検物質について得られた3ロットの平均阻害率を表1に示した。
〔高速液体クロマトグラフィーの条件〕
カラム:TOSOH TSKgel Octyl-80Ts(15cm)
溶離液:7mMリン酸水溶液
検出波長:280nm、カラム温度25℃、流速0.8ml/min
Figure 0004784725
Figure 0004784725
Figure 0004784725
表1に示すように、本発明の化合物2〜13は、公知のメイラード反応阻害剤であるアミノグアニジン塩酸塩に対し、より高いフロシン生成阻害効果を有することが明らかとなった。すなわち、メイラード反応におけるタンパク質分子間架橋形成の直接の原因物質であるアマドリ転移生成物の生成自体を阻害することが判明したのである。
本発明の化合物はメイラード反応阻害活性を有することから、メイラード反応の関与する疾患、すなわち末梢循環障害、糖尿病性腎症、冠動脈性心疾患、脳血管障害、神経障害、網膜症、白内障等の種々な糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症、老人性白内障、毛細血管閉塞、透析関連合併症等の老化に伴う疾患等の予防・治療剤、さらには皮膚の老化防止剤への応用にも期待でき、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の分野でその有益性は非常に高い。

Claims (1)

  1. メイラード反応に起因する糖尿病合併症の予防又は治療のための下記一般式(A)で表わされる化合物を含有するメイラード反応阻害剤。当該一般式(A)で表される化合物は、
    グリシン、β−アラニン、セリン、ヒスチジンから選ばれるアミノ酸若しくはカルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)、ホモカルノシン、アンセリンから選ばれるジペプチド又はそれらの誘導体(上記アミノ酸若しくはジペプチドを構成するアミノ酸のC末端にあるカルボキシル基がエステル基(−COOCH3)に置換したもの)が有するアミノ基に、フェルラ酸又はジヒドロフェルラ酸が結合した化合物である
    Figure 0004784725
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