JP2006232087A - 車両用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 給気手段の大型化を回避しつつ、高速なバッグ展開を実現することができる車両用エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】 車両に装備されたエアバッグ装置において、給気手段による給気時に、バッグの展開を促進するように該バッグを付勢させるバッグ付勢手段を設ける。バッグ付勢手段として、例えば、バッグの内表面に、給気手段による給気側に対向して取り付けられ、給気手段により給気された気体を受けることで反発力を生じるシート状部材を用いる。また、バッグ付勢手段としては、給気手段による給気の方向に沿って伸張可能に取り付けられたバネ部材を用いる。
【選択図】図2B
【解決手段】 車両に装備されたエアバッグ装置において、給気手段による給気時に、バッグの展開を促進するように該バッグを付勢させるバッグ付勢手段を設ける。バッグ付勢手段として、例えば、バッグの内表面に、給気手段による給気側に対向して取り付けられ、給気手段により給気された気体を受けることで反発力を生じるシート状部材を用いる。また、バッグ付勢手段としては、給気手段による給気の方向に沿って伸張可能に取り付けられたバネ部材を用いる。
【選択図】図2B
Description
この発明は、車両に装備されたエアバッグ装置に関する。
従来、車両に装備されたエアバッグ装置においては、衝突が検出された若しくは衝突が予知された場合に、バッグの展開用にその内部に気体を供給する給気手段として、火薬を利用するインフレータが用いられることが一般的であった(例えば特開平11−91503号公報参照)。このインフレータは、火薬の交換作業を要する1回使用タイプであるが、これに対して、近年では、ファンを回転させることで外部からバッグ内にエアを供給する、繰り返し使用可能なブロアファンを備えたエアバッグ装置が提案されている(例えば特開2004−338557号公報参照)。
ところで、エアバッグ装置では、安全性を確保する上で、衝突が検出された若しくは衝突が予知された時点からバッグの展開がより高速に行われることが望まれる。しかしながら、インフレータ又はブロアファン等の給気手段による給気の圧力のみによりバッグを展開させるエアバッグ装置においては、給気量が制限されるため、高速なバッグ展開を実現するには、給気手段の大型化が必要であった。特にブロアファンを利用する場合には、駆動初期時の立ち上がりが遅いという駆動モータの特性上、インフレータに比べて給気量が少なく展開圧力が十分に得られないため、高速なバッグ展開を実現するには、駆動モータの著しい大型化が必要である。
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、給気手段の大型化を回避しつつ、高速なバッグ展開を実現することができる車両用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本願の請求項1に係る発明は、車両に装備されたエアバッグ装置において、内部への給気により展開可能なバッグと、該バッグ内に給気する給気手段と、該給気手段による給気時に、上記バッグの展開を促進するように該バッグを付勢させる付勢手段と、を有していることを特徴としたものである。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記付勢手段が、上記バッグの内表面において、上記給気手段による給気側に対向して取り付けられ、該給気手段により給気された気体を受けることで反発力を生じるシート状部材であることを特徴としたものである。
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、上記シート状部材が、上記給気手段による給気側に対向する側で、略凹状に形成されていることを特徴としたものである。
また、更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記付勢手段が、上記給気手段による給気の方向に沿って伸張可能に取り付けられたバネ部材であることを特徴としたものである。
また、更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、収縮状態にある上記バネ部材の伸張を規制する規制部材が、上記バッグの内表面に取り付けられており、該規制部材が、上記給気手段による給気時に、給気された気体を受けることで反発力を生じるシート状部材として機能することを特徴としたものである。
また、更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項1〜5に係る発明のいずれか一において、上記バッグが、車両バンパーを覆うバンパー用バッグであることを特徴としたものである。
また、更に、本願の請求項7に係る発明は、請求項1〜6に係る発明のいずれか一において、上記給気手段が、ブロアファンであることを特徴としたものである。
本願の請求項1に係る発明によれば、給気手段による給気に伴い、付勢手段が、バッグの展開を促進するように、バッグを車両前方へ付勢させるため、バッグを高速に展開させることができる。
また、本願の請求項2に係る発明によれば、付勢手段が、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力により移動し、バッグを車両前方へ付勢させるため、バッグを高速に展開させることができる。
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、基本的には、請求項2に係る発明による効果を奏することができ、その上、更に、付勢手段が、給気手段の給気側に対向する側で凹状に形成されるため、噴射された気体の分散が抑制され、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力を付勢手段の移動方向に集中させることができ、バッグを一層効率的に展開させることができる。
また、更に、本願の請求項4に係る発明によれば、バッグ内に車両前方に伸張可能なバネ部材を設けることにより、バネ部材が、バッグの展開を促進するように、バッグを車両前方へ付勢させるため、バッグを高速に展開させることができる。
また、更に、本願の請求項5に係る発明によれば、基本的には、請求項4に係る発明による効果を奏することができ、その上、更に、付勢手段が、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力により移動し、バッグを車両前方へ付勢させるため、バッグをより効率的に展開させることができる。
また、更に、本願の請求項6に係る発明によれば、バンパー用バッグの高速な展開を実現することができ、これにより、歩行者等の非乗員の安全性を向上させることができる。
また、更に、本願の請求項7に係る発明によれば、給気手段として、比較的供給量の少ないブロアファンを利用した場合にも、高速なバッグ展開を実現することができ、給気手段の大型化を回避することができる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、各種エアバッグ装置が装備された車両を概略的に示す図である。図の左側が車両前方に対応し、図の右側が車両後方に対応する。この車両1には、運転席2用のエアバッグ装置,助手席3用のエアバッグ装置,フロントガラス8用のエアバッグ装置、及び、フロントバンパー9用のエアバッグ装置が装備されている。運転席2用のエアバッグ装置では、バッグ5及びブロアファン(不図示)が組み込まれたモジュールケース4が、インストルメントパネル6内に設置され、ハンドル7の中央部からのバッグ5の展開が可能である。助手席3用のエアバッグ装置では、運転席2用のエアバッグ装置と同様に、バッグ5及びブロアファン(不図示)が組み込まれたモジュールケース11が、インストルメントパネル6内に設置され、インストルメントパネル6からのバッグ13の展開が可能である。
図1は、各種エアバッグ装置が装備された車両を概略的に示す図である。図の左側が車両前方に対応し、図の右側が車両後方に対応する。この車両1には、運転席2用のエアバッグ装置,助手席3用のエアバッグ装置,フロントガラス8用のエアバッグ装置、及び、フロントバンパー9用のエアバッグ装置が装備されている。運転席2用のエアバッグ装置では、バッグ5及びブロアファン(不図示)が組み込まれたモジュールケース4が、インストルメントパネル6内に設置され、ハンドル7の中央部からのバッグ5の展開が可能である。助手席3用のエアバッグ装置では、運転席2用のエアバッグ装置と同様に、バッグ5及びブロアファン(不図示)が組み込まれたモジュールケース11が、インストルメントパネル6内に設置され、インストルメントパネル6からのバッグ13の展開が可能である。
また、フロントガラス8用のエアバッグ装置では、バッグ17及びブロアファン(不図示)が組み込まれたモジュールケース15が、フロントガラス8の前方かつ車幅方向中央にて、例えばフロントガラス8の前方に配置されるカウルプレート(不図示)に対応する部位に設置され、フロントガラス8の前方かつ車幅方向中央からのバッグ17の展開が可能である。展開後のバッグ17は、フロントガラス8の前面及びフロントピラーの下側領域を覆う。フロントガラス8用のエアバッグ装置は、歩行者等の非乗員を保護するために設けられるものである。
更に、フロントバンパー9用のエアバッグ装置では、バッグ24及びブロアファン21(図2A以降参照)が組み込まれたモジュールケース20が、車幅方向中央にて、フロントバンパー9内に設置され、フロントバンパー9の正面中央からのバッグ24の展開が可能である。展開後のバッグ24は、フロントバンパー9の車幅方向の全域にわたって覆う。フロントバンパー9用のエアバッグ装置は、フロントガラス8用のエアバッグ装置と同様に、歩行者等の非乗員を保護するために設けられるものである。
この車両1には、これらのエアバッグ装置とともに、車両に加わる荷重に基づき衝突を検出する衝突センサ18、及び、車両前方にある障害物との距離に基づき衝突を予知するための衝突予知センサ19が装備されている。衝突センサ18としては、例えば加速度センサ(所謂Gセンサ)を用いることが可能であり、また、衝突予知センサ19としては、赤外線レーダ等を用いることが可能である。
更に、この車両1には、前述したエアバッグ装置におけるモジュールケース4,11,15,20内の駆動可能な構成(例えばブロアファン等),衝突センサ18及び衝突予知センサ19を含む各構成を制御するコンピュータユニット10が設けられる。モジュールケース4,11,15,20内の駆動可能な構成,衝突センサ18及び衝突予知センサ19は、共に、コンピュータユニット10に接続されており、コンピュータユニット10は、衝突センサ18及び衝突予知センサ19により検出された信号を受信し、必要に応じて、モジュールケース4,11,15,20内の駆動可能な構成へ駆動信号を供給する。
ところで、各エアバッグ装置では、ブロアファンによる給気の展開圧力を用いてバッグを展開させるが、前述したように、従来では、かかるエアバッグ装置において、高速なバッグ展開を実現するには、ブロアファン用のモータの大型化が必要であった。これに対処して、本実施形態では、各エアバッグ装置におけるモジュールケース4,11,15,20内で、ブロアファン用のモータの大型化を回避しつつ、バッグ5,13,17,19の高速なかつ効率的な展開を実現するための工夫がなされている。以下、バッグ5,13,17,19の高速なかつ効率的な展開を実現すべく、それぞれ異なる特徴を備えた第1〜第5の実施例について説明する。なお、以下では、フロントバンパー9用のエアバッグ装置を取り上げて説明するが、これに限定されることなく、本発明は、他のエアバッグ装置にも適用可能である。
(第1の実施例)
図2A及び2Bは、それぞれ、第1の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。フロントバンパー9内に設置されたモジュールケース20には、車両前後方向に延びる給気管22が設けられ、この給気管22の内部には、ファン21aとブロアファンモータ21bとからなるブロアファン21が、車両前方に向かって給気可能に取り付けられている。また、給気管22の気体噴射口をなす前側端部には、バッグ24が気密に接続されている。
図2A及び2Bは、それぞれ、第1の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。フロントバンパー9内に設置されたモジュールケース20には、車両前後方向に延びる給気管22が設けられ、この給気管22の内部には、ファン21aとブロアファンモータ21bとからなるブロアファン21が、車両前方に向かって給気可能に取り付けられている。また、給気管22の気体噴射口をなす前側端部には、バッグ24が気密に接続されている。
この第1の実施例では、バッグ24の内表面に、略平らなシート状部材(以下、リアクションシートという)25がブロアファン21の給気側に対向するように取り付けられている。図2Aに示すように、バッグ24が折り畳まれた状態で、リアクションシート25は、給気管22の前側端部に対向するように配置される。このリアクションシート25は、ブロアファン21から給気管22を通じて給気された気体を受けることで反発力を生じる比較的剛性の高い樹脂等の素材から構成されている。なお、リアクションシート25はバッグ24の内表面に対して接着されてもよい。
コンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、ブロアファンモータ21bが駆動させられると、給気管22の前側端部に対向するように配置されたリアクションシート25に対して、給気される気体が噴射される。これにより、リアクションシート25は、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力により、車両前方へ移動する。また、リアクションシート25に対して噴射された気体がバッグ24内に蓄積されることで、バッグ24が展開する。バッグ24は、その後、モジュールケース20の前方壁部として開閉可能に取り付けられた蓋部20a及びフロントバンパー9に設けられた開閉部(不図示)を押し開き、フロアバンパー9の外側に飛び出して展開し続ける。なお、モジュールケース20の蓋部20a及びフロントバンパー9の開閉部については、それらを電気的に駆動させる機構が設けられていてもよい。
バッグ24がフロアバンパー9の外側に飛び出した後も、リアクションシート25は、依然として、ブロアファン21により給気される気体を受けて、車両前方へ移動する。このように、リアクションシート25を設けることにより、リアクションシート25が、バッグ24の展開を促進するように、バッグ24を車両前方へ付勢させることができ、その結果、図2Bに示す状態までバッグ24を高速に展開させることが可能となる。
続いて、第2の実施例を説明するが、これ以降では、第1の実施例と同じ構成については同一の符号を付し、それ以上の説明を省略する。
(第2の実施例)
図3A及び3Bは、それぞれ、第2の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第2の実施例では、バッグ24の内表面に、ブロアファン21の給気側に対向する側で凹状に形成されたリアクションシート35が取り付けられている。図3Aに示すように、バッグ24が折り畳まれた状態で、リアクションシート35は、給気管22の前側端部に対向するように配置される。このリアクションシート35は、第1の実施例に係るリアクションシート25と同様に、ブロアファン21から給気管22を通じて給気された気体を受けることで反発力を生じる比較的剛性の高い樹脂等の素材から構成されている。なお、リアクションシート35はバッグ24の内表面に対して接着されてもよい。
図3A及び3Bは、それぞれ、第2の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第2の実施例では、バッグ24の内表面に、ブロアファン21の給気側に対向する側で凹状に形成されたリアクションシート35が取り付けられている。図3Aに示すように、バッグ24が折り畳まれた状態で、リアクションシート35は、給気管22の前側端部に対向するように配置される。このリアクションシート35は、第1の実施例に係るリアクションシート25と同様に、ブロアファン21から給気管22を通じて給気された気体を受けることで反発力を生じる比較的剛性の高い樹脂等の素材から構成されている。なお、リアクションシート35はバッグ24の内表面に対して接着されてもよい。
コンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、ブロアファンモータ21bが駆動させられると、給気管22の前側端部に対向するように配置されたリアクションシート35に対して、給気される気体が噴射される。これにより、リアクションシート35は、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力により、車両前方へ移動する。また、リアクションシート35に対して噴射された気体がバッグ24内に蓄積されることで、バッグ24が展開する。バッグ24は、その後、モジュールケース20の前方壁部として開閉可能に取り付けられた蓋部20a及びフロントバンパー9に設けられた開閉部(不図示)を押し開き、フロアバンパー9の外側に飛び出して展開し続ける。
バッグ24がフロアバンパー9の外側に飛び出した後も、リアクションシート35は、依然として、ブロアファン21により給気される気体を受けて、車両前方へ移動する。このように、リアクションシート35を設けることにより、リアクションシート35が、バッグ24の展開を促進するように、バッグ24を車両前方へ付勢させることができ、その結果、図3Bに示す状態までバッグ24を高速に展開させることが可能となる。また、この第2の実施例では、リアクションシート35が、ブロアファン21の給気側に対向する側で凹状に形成されるため、第1の実施例に係るリアクションシート25に比べて、噴射された気体の分散が抑制され、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力をリアクションシート35の移動方向(すなわち車両前方)に集中させることができ、バッグ24を一層効率的に展開させることができる。
(第3の実施例)
図4A及び4Bは、それぞれ、本発明の第3の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第3の実施例では、リアクションシート25及び35の代わりに、コイル状のバネ部材53が用いられる。バネ部材53は、その一端側(後端側)で、給気管22内にてブロアファン21の前方に設けられたバネ取付け部材52に対して固定され、車両前方に伸張可能に保持されている。また、給気管22の前端部近傍には、バネ部材53を収縮状態に保持するための電磁操作可能なアクチュエータ55が設けられている。なお、このアクチュエータ55は、他の駆動可能な構成と同様に、コントロールユニット10に接続され、該コントロールユニット10により駆動制御される。
図4A及び4Bは、それぞれ、本発明の第3の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第3の実施例では、リアクションシート25及び35の代わりに、コイル状のバネ部材53が用いられる。バネ部材53は、その一端側(後端側)で、給気管22内にてブロアファン21の前方に設けられたバネ取付け部材52に対して固定され、車両前方に伸張可能に保持されている。また、給気管22の前端部近傍には、バネ部材53を収縮状態に保持するための電磁操作可能なアクチュエータ55が設けられている。なお、このアクチュエータ55は、他の駆動可能な構成と同様に、コントロールユニット10に接続され、該コントロールユニット10により駆動制御される。
アクチュエータ55は、電磁コイル(不図示)が組み込まれた本体55aと、磁性体を備えた駆動シャフト55bとを有しており、駆動シャフト55bは、本体55aに対する駆動電流の供給の有無に応じて、バネ部材53の伸張方向に対して交差する(直交する)方向において本体55aから突出させられる若しくは本体55b側に引き込まれるように駆動する。すなわち、バネ部材53を収縮させた上で、駆動シャフト55bを突出させることにより、バネ部材53を収縮状態に保持することができる。このバネ部材53の収縮保持は、ブロアファンモータ21bの駆動と同時に、アクチュエータ55の本体55aに駆動電流が供給されることにより解除され、これに応じて、バネ部材53が車両前方へ伸張する。
コンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、ブロアファンモータ21bが駆動させられると、バッグ24内に噴射された気体が蓄積され、バッグ24が展開する。また、これと同時に、同じくコンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、アクチュエータ55の駆動シャフト55bが本体55a側に引き込まれ、バネ部材53の収縮保持が解除されると、車両前方へ伸張するバネ部材53が、その前端側で、バッグ24の内表面に当接して、バッグ24を車両前方へ付勢させる。その後、バッグ24は、バネ部材24により車両前方へ付勢させられつつ、モジュールケース20の前方壁部として開閉可能に取り付けられた蓋部20a及びフロントバンパー9に設けられた開閉部(不図示)を押し開き、フロアバンパー9の外側に飛び出して図4Bに示す状態まで展開し続ける。
このように、バッグ24内に車両前方に伸張可能なバネ部材53を設けることにより、バネ部材53が、バッグ24の展開を促進するように、バッグ24を車両前方へ付勢させることができ、その結果、図4Bに示す状態までバッグ24を高速に展開させることが可能となる。
(第4の実施例)
図5A及び5Bは、それぞれ、本発明の第4の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第4の実施例では、第3の実施例と同様に、バッグ24を車両前方へ付勢させるためのバネ部材53がバッグ内に設けられるが、ここでは、更に、バネ部材53の前端側に、収縮状態にあるバネ部材53の伸張を規制するための伸張規制部材61が設けられている。この伸張規制部材61は、バッグ24の内表面に、ブロアファン21の給気側に対向するように取り付けられ、また、ブロアファン21の給気側に対向する側で略凹状に形成されている。バネ部材53は、その前端側で伸張規制部材61に固定されている。なお、この伸張規制部材61は、第1及び第2の実施例におけるリアクションシート25及び35と同様に、ブロアファン21から給気管22を通じて給気された気体を受けることで反発力を生じる比較的剛性の高い樹脂等の素材から構成されている。
図5A及び5Bは、それぞれ、本発明の第4の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第4の実施例では、第3の実施例と同様に、バッグ24を車両前方へ付勢させるためのバネ部材53がバッグ内に設けられるが、ここでは、更に、バネ部材53の前端側に、収縮状態にあるバネ部材53の伸張を規制するための伸張規制部材61が設けられている。この伸張規制部材61は、バッグ24の内表面に、ブロアファン21の給気側に対向するように取り付けられ、また、ブロアファン21の給気側に対向する側で略凹状に形成されている。バネ部材53は、その前端側で伸張規制部材61に固定されている。なお、この伸張規制部材61は、第1及び第2の実施例におけるリアクションシート25及び35と同様に、ブロアファン21から給気管22を通じて給気された気体を受けることで反発力を生じる比較的剛性の高い樹脂等の素材から構成されている。
また、第3の実施例と同様に、給気管22の前端部近傍には、バネ部材53を収縮状態に保持するための電磁操作可能なアクチュエータ55が設けられているが、この第4の実施例では、伸張規制部材61において、アクチュエータ55の駆動シャフト55bと係合する孔部61aが形成されており、図5Aに示すように、バネ部材53を収縮させた上で、駆動シャフト55bを伸張規制部材61の孔部61aに係合するように本体55aから突出させることにより、バネ部材53を収縮状態に保持することができる。
コンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、ブロアファンモータ21bが駆動させられると、バッグ24内に噴射された気体が蓄積され、バッグ24が展開する。また、これと同時に、同じくコンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、アクチュエータ55の駆動シャフト55bが伸張規制部材61の孔部61aから外れるように本体55a側に引き込まれ、バネ部材53の収縮保持が解除されると、車両前方へ伸張するバネ部材53が、その前端側で、伸張規制部材61を車両前方へ付勢させ、これにより、バッグ24が車両前方へ付勢させられる。その後、バッグ24は、伸張規制部材61を介して車両前方へ付勢させられつつ、モジュールケース20の前方壁部として開閉可能に取り付けられた蓋部20a及びフロントバンパー9に設けられた開閉部(不図示)を押し開き、フロアバンパー9の外側に飛び出して図5Bに示す状態まで展開し続ける。
このように、バッグ24内に車両前方に伸張可能なバネ部材53及び伸張規制部材61を設けることにより、バネ部材53が、伸張規制部材61を介して、バッグ24の展開を促進するように、バッグ24を車両前方へ付勢させることができ、その結果、図5Bに示す状態までバッグ24を高速に展開させることが可能となる。また、この第4の実施例では、伸張規制部材61が、ブロアファン21から給気管22を通じて給気された気体を受けることで反発力を生じる素材から構成されることで、バネ部材53の伸張力に加え、給気された気体による推進力及び伸張規制部材61にて生じた反発力により、バッグ24を車両前方へより効率的に付勢させることができる。更に、この第4の実施例では、伸張規制部材61が、ブロアファン21の給気側に対向する側で凹状に形成されるため、噴射された気体の分散が抑制され、給気された気体による推進力及びそれに応じて生じた反発力を伸張規制部材61の移動方向(すなわち車両前方)に集中させることができ、バッグ24を一層効率的に展開させることができる。
(第5の実施例)
図6A,6B及び6Cは、それぞれ、本発明の第5の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態,バッグ展開途中の状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第5の実施例では、バッグ24の車両前方への付勢手段として、弾性素材からなる略平らなシート状部材(以下、リアクションシートという)71がバッグ24の内表面に取り付けられている。このリアクションシート71は、図6Aに示すように、バッグ24が折り畳まれモジュールケース20内に収納された状態で、断面略C字状に湾曲させられつつ、給気管22の前端側に保持される。
図6A,6B及び6Cは、それぞれ、本発明の第5の実施例に係るエアバッグ装置のバッグ収納状態,バッグ展開途中の状態及びバッグ展開状態をあらわす説明図である。この第5の実施例では、バッグ24の車両前方への付勢手段として、弾性素材からなる略平らなシート状部材(以下、リアクションシートという)71がバッグ24の内表面に取り付けられている。このリアクションシート71は、図6Aに示すように、バッグ24が折り畳まれモジュールケース20内に収納された状態で、断面略C字状に湾曲させられつつ、給気管22の前端側に保持される。
この第5の実施例では、給気管22の前端部近傍に、電磁操作可能なアクチュエータ55が設けられ、また、これに対応して、リアクションシート71には、アクチュエータ55の駆動シャフト55bと係合する孔部71aが形成されており、図6Aに示すように、駆動シャフト55bをリアクションシート71の孔部71aに係合するように本体55aから突出させることにより、給気管22の前端側で、リアクションシート71を断面略C字状をなす湾曲状態に保持することができる。
コンピュータユニット10からの駆動信号に応じて、ブロアファンモータ21bが駆動させられるとともに、アクチュエータ55の駆動シャフト55bがリアクションシート71の孔部71aから外れるように本体55a側に引き込まれ、リアクションシート71の保持が解除されると、リアクションシート71は、給気された気体による推進力により、給気管22から外れるように車両前方へ移動する。給気管22から外れたリアクションシート71は、給気された気体による推進力に加え、湾曲状態から略平らな状態に戻ろうとするそれ自体の弾性力により、バッグ24を車両前方へ付勢させる。また、これと同時に、バッグ24内に噴射された気体が蓄積され、バッグ24が展開する。バッグ24は、その後、リアクションシート71により車両前方へ付勢させられつつ、モジュールケース20の前方壁部として開閉可能に取り付けられた蓋部20a及びフロントバンパー9に設けられた開閉部(不図示)を押し開き、フロアバンパー9の外側に飛び出して展開し続ける。
図6Bに示すように、バッグ24がフロアバンパー9の外側に飛び出した後も、リアクションシート71は、ブロアファン21により給気される気体による推進力とそれ自体の弾性力とにより、バッグ24を車両前方へ付勢させる。その後、バッグ24は、図6Cに示す状態まで展開する。
このように、バッグ24内に弾性素材からなるリアクションシート71を設けることにより、リアクションシート71が、ブロアファン21により給気される気体による推進力とそれ自体の弾性力とによりバッグ24の展開を促進するように、バッグ24を車両前方へ付勢させることができ、その結果、図6Cに示す状態までバッグ24を高速に展開させることが可能となる。
第1〜第5の実施例を取り上げて説明したように、本発明によれば、気体の給気によるバッグ24の展開と同時に、バッグ24を車両前方へ付勢させるため、バッグ24をより高速に展開させることができる。これにより、比較的給気量の少ないブロアファン21を用いた場合にも、バッグ24を効率的に展開させることができ、ブロアファンモータ21bの大型化を回避することができる。また、第1〜第5の実施例に係る特徴は、ブロアファン21の代わりにインフレータが用いられた場合にも適用可能であり、この場合にも、インフレータの大型化を回避しつつ、バッグ24を高速にかつ効率的に展開させることができる。
なお、本発明は、例示された実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、前述した第3及び第4の実施例では、バッグ24に対してバネ部材53が1つのみ設けられたが、これに限定されることなく、車両前方に伸張するバネ部材53に加えて、前方に対して斜め方向に伸張するバネ部材が設けられてもよい。この場合には、バネ部材53が1つのみ設けられた場合に比べて、バッグ24をより効率的に展開させることができる。
本発明に係る車両用エアバッグ装置は、自動車等の車両を含み、エアバッグ装置が搭載されるものであれば、いかなるものにも適用可能である。
1…車両,9…フロントバンパー,18…衝突センサ,19…衝突予知センサ,20…モジュールケース,21…ブロアファン,21a…ファン,21b…ブロアファンモータ,22…給気管,24…バッグ,25,35,71…リアクションシート,53…バネ部材,55…アクチュエータ,55a…アクチュエータ本体,55b…駆動シャフト,61…伸張規制部材。
Claims (7)
- 車両に装備されたエアバッグ装置において、
内部への給気により展開可能なバッグと、
上記バッグ内に給気する給気手段と、
上記給気手段による給気時に、上記バッグの展開を促進するように該バッグを付勢させる付勢手段と、を有していることを特徴とする車両用のエアバッグ装置。 - 上記付勢手段が、上記バッグの内表面において、上記給気手段による給気側に対向して取り付けられ、該給気手段により給気された気体を受けることで反発力を生じるシート状部材であることを特徴とする請求項1記載の車両用エアバッグ装置。
- 上記シート状部材が、上記給気手段による給気側に対向する側で、略凹状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の車両用エアバッグ装置。
- 上記付勢手段が、上記給気手段による給気の方向に沿って伸張可能に取り付けられたバネ部材であることを特徴とする請求項1記載の車両用エアバッグ装置。
- 収縮状態にある上記バネ部材の伸張を規制する規制部材が、上記バッグの内表面に取り付けられており、該規制部材が、上記給気手段による給気時に、給気された気体を受けることで反発力を生じるシート状部材として機能することを特徴とする請求項4記載の車両用エアバッグ装置。
- 上記バッグが、車両バンパーを覆うバンパー用バッグであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の車両用エアバッグ装置。
- 上記給気手段が、ブロアファンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の車両用エアバッグ装置。
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2005
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