JP2006231200A - 排ガス脱硝装置及び該装置を具備した一体型濾過集塵装置、並びに排ガス処理設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を同時に除去する一体型濾過集塵装置20において、装置本体21内に濾布24と触媒層16とを順に配設し、濾布と触媒層との間にアンモニア供給部12を設け、該アンモニア供給部を、アンモニア液30を供給するアンモニア液供給管13と、該供給管から供給されたアンモニア液を排ガスの顕熱により気化する伝熱面積を有するように形成されたアンモニア液受け皿14とから構成するとともに、アンモニア供給部12と触媒層16の間に受け皿14から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる邪魔板15を設けた。
【選択図】 図2
Description
従来のアンモニア供給方式としては、(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式、(2)予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式、(3)排ガスダクト内でアンモニア液を気化してガス状アンモニアを噴霧する方式が挙げられる。
また特許文献1のように電気ヒータを用いて加熱する場合には別途電力を使用する必要があるためランニングコストが増大するという問題があった。
また特許文献2のように排ガスを一部抽出して気化に利用する場合には、アンモニア液を気化する際に酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が懸念されるとともに、蒸発量変化に対する応答性が緩慢であるという問題があった。
さらに特許文献3のように水蒸気加熱により気化する場合は、燃焼装置より回収された水蒸気を利用するため、発電等に用いることができる水蒸気量が低減し、発電量が減少するという問題があった。
また、特許文献4のように蒸気エジェクタを用いる場合にはアンモニア気化設備が不要となるが、やはり水蒸気を利用するため発電量が減少するとともに、気化しきらずにアンモニア液として噴霧された場合、アンモニア供給孔より液垂れし、機器の腐食等の不具合を引き起こしてしまう。集塵装置一体化により下部に集塵装置がある場合には、濾過部の閉塞をもたらす可能性もある。さらにアンモニアが液滴のまま触媒に到達した場合、排ガス中のアンモニア混合が不十分であり、脱硝性能の低下を引き起こす問題があった。
また、特許文献6のように一部排ガスにより気化する方法では、ダクト内に気化器、アンモニア注入手段、連絡管を設置しているため構造が複雑であるとともに、アンモニア注入手段のガス流上流側にスペースが必要となり装置全体のコンパクト化が図れない。
さらに、特許文献7のように、多孔質セラミック管体を用いる方法では、酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が発生してしまう。
しかしながら、このような排ガス処理設備では、再加熱器、触媒塔の設置に新たな設置スペースが必要となる上、再加熱に必要となる熱エネルギーがロスとなり多大なコストを要するという問題があった。
しかし、バグフィルタの上流側で還元剤としてアンモニアを導入すると、バグフィルタ表面のダスト層にアンモニアが吸着してしまい、脱硝においてロスが生じる上に回収されたダストがアンモニア臭を放つという問題を有していた。さらに、非特許文献1のように、集塵装置と一体化された触媒の直前でアンモニアを供給しようとすると、滞留時間が短いためアンモニア濃度分布が不均一になって脱硝性能が低下して問題となる。特にアンモニアが液で供給される場合、十分に気化されず液滴のまま触媒に到達し極端な性能低下を起こしたり、液だれした場合に下方に位置する機器の腐食や下部に集塵装置がある場合には濾過部の閉塞を引き起こす可能性がある。
そこで、特許文献9では、酸性ガス除去性能が高く薬剤コスト及び灰処理コストの低減が可能なNa系酸性ガス除去剤を用いているが、代表的なNa系酸性ガス除去剤である水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでは、噴霧後に反応性生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となり、集塵装置であるバグフィルタにて目詰まりを起こす上に潮解性を有する物質であるため、集塵装置の圧力損失が増大し、寿命が短くなったり、バグフィルタの保護剤(珪藻土等)を大量に噴霧しなければならないなどの問題を抱えていた。
また、Na系酸性ガス除去剤及び消石灰を噴霧する際に、排ガス中のSOx濃度変化に追従できず、残留SOx濃度が増加し、後段の触媒の劣化を促進したり、逆に過剰のNa系酸性除去剤及び消石灰を供給し、薬剤コストが増大する惧れがあった。
さらに、上記した目的を達成するとともに、酸性ガス除去剤、濾布保護剤の使用量を削減可能でランニングコストを低減でき、また排ガス中の有害物質を効率良く除去することができることから再加熱器なしにて触媒の延命化が図れる排ガス処理設備を提供することを目的とする。
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化する伝熱面積を有するように形成されたアンモニア液受け皿とから構成されることを特徴とする。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が間隔を存して複数段積層された構造であり、ガス流上流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
前記排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の前記アンモニア供給部よりガス流上流側に濾過材が配設された集塵部を有し、排ガスの窒素化合物を除去するとともに煤塵、及びダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去することを特徴とする。
装置本体内に、濾過材が配設された集塵部と、該集塵部に対してガス流下流側に設けられた触媒部とが収容されるとともに、前記集塵部と前記触媒部との間にアンモニア供給部が設けられ、排ガスに含有される煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を含む有害物質を同時に除去するようにした一体型濾過集塵装置において、
前記アンモニア供給部が、内部にアンモニア液が供給されるアンモニア通路と、該通路の外周を形成する多孔質体とからなるアンモニア供給体により構成され、該多孔質体の微細孔から浸透したアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するようにし、
前記触媒部よりガス流上流側に、前記気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる分散部を設けたことを特徴とする。前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
前記一体型濾過集塵装置の上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、前記排ガスに含有される窒素酸化物、煤塵及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質とともに酸性ガスを除去するようにしたことを特徴とする。
これは、酸性ガス除去剤として酸性ガスに対し数倍量(モル比)が必要となる消石灰のみを用いた場合に対し、酸性ガスとの反応効率が高い潮解性を有する酸性ガス除去剤を加えることで、全体の薬剤使用量が低減する上に高い酸性ガス除去性能が得られる。
また、潮解性を有する酸性ガス除去剤は、噴霧後の反応生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有する物質であるため、従来は濾布の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布の保護剤(珪藻土など)としての助剤を大量に噴霧しなければならなかったが、本発明では消石灰を噴霧することにより、この消石灰が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減できるか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
一方、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給する場合、特に酸性ガス濃度が高い場合において除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。
尚、何れの場合にも消石灰の供給は紛体又はスラリとして供給することができる。
このように、潮解性を有する酸性ガス除去剤及び消石灰の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒部前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒部を集塵部と一体化した濾過集塵装置を好適に採用でき、イニシャルコストを削減できるとともに、再加熱エネルギーを節約できるためランニングコストも削減できる。
このように、減温塔で潮解性を有する酸性ガス除去剤を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少してコストが低減する。
このように、SOx濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SOx濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSOx濃度或いは酸性ガス除去後のSOx濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOxによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにすることにより、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できるとともに、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇を防止でき、装置の安定運転が可能である。
さらに、前記脱硝装置を濾過材と一体化した一体化濾過集塵装置によれば、装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
さらにまた、多孔質のアンモニア供給体からなるアンモニア供給部と、濾過材とを一体化した一体型濾過集塵装置によれば、アンモニア供給体の全面からアンモニアガスを均等に気化させることができ、アンモニアの均一分散効果が高まる。
さらに、酸性ガス除去性能の向上により触媒被毒となるSOx濃度が減少するため触媒の延命化により交換又は再生コストが削減でき、トータルで低コストな排ガス処理システムとすることができる。
図1〜図7は本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置に関する図で、図8は本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図9〜図11は本発明の実施例3に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図12は及び図13は本発明の実施例4に係る排ガス処理設備に関する図で、図14は本発明の実施例5に係る排ガス処理設備に関する図である。
本実施例では、図示されるように縦型の装置であり、下方から上方に向けて排ガス31が通流する構成となっているが、上方から下方に向けてガス流れが形成される構成であっても良いし、またガス流れがアンモニア液受け皿14に対して平行になる横流れの構成とすることも可能である。
前記アンモニア供給管13は一又は複数配設され、該アンモニア供給管13には一又は複数のアンモニア供給孔が穿設されている。
前記アンモニア液受け皿14は、少なくとも受け皿上に貯留されるアンモニア液の気化に必要となる伝熱面積が確保されるように形成される。
尚本実施例では、図2及び図3に示した形状、構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる形状、構成であれば適用可能である。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア30の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒層16の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置10の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
さらに、前記受け皿14は、下部の排ガス31が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31との熱伝達が促進される構造としてもよく、また上部のアンモニア液30が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31及びアンモニア液30との熱伝達が促進される構造であっても良い。
図4に示されるように、前記一体型濾過集塵装置10’の上方には前記排ガス脱硝装置10が設けられ、その下方には複数の濾布24が設けられている。前記排ガス脱硝装置10のダクト11内の前記アンモニア供給管13と触媒層16との間に設けられる邪魔板15は、一又は複数積層されて設置され、夫々排ガス31が流通する排ガス通気部を有する。前記邪魔板15が複数積層される場合には、排ガス上流側の邪魔板15Aは、前記排ガス31が混合されるように排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板15Bは、前記排ガス31が整流化されるように排ガス通気部が形成されていると良い。
これらの邪魔板15A、15Bは、平板又は波板や湾曲した板が設置されたものであり、前記排ガス通気部として排ガス通過穴が穿設された構造であるか、溝状、スリット状に排ガス通気部を有するか、クロス状構造で隙間に排ガス通気部を有するなどによって構成されている。また邪魔板15A、15Bそのものに微細な貫通孔を有しているものでもよい。排ガス通気部の割合は、空塔断面における1〜50%とするように邪魔板を設置するのがよく、好ましくは3〜20%である。これらの邪魔板15A、15Bは前記アンモニア供給管13より排ガス中に供給されたアンモニア水30が、排ガス中で均一な濃度となるように混合する役割を果たすため、空塔断面における排ガス通気部の割合を小さくするほど混合効果が高まるが圧損も上昇するため、排ガス分散部における圧損を50mmAq以下、好ましくは20mmAq以下とする必要があることから上記の範囲が決まってくる。
尚、前記邪魔板15A(又は15B)の構造は、上記した構造に限定されるものではなく、排ガス中のアンモニア濃度分布を均一化させる構造であれば何れでも良いことは勿論である。
該触媒層16では、この上流側で注入されたアンモニアの存在下で、排ガスと触媒とが接触することにより触媒反応が起こり、排ガス中の窒素酸化物(NOx)が窒素ガス(N2)と水(H2O)に分解・除去される。該触媒層16は、複数積層して配置しても良い。
本実施例は、特にアンモニア噴霧後触媒に到達するまでの滞留時間が少ない場合に有効である。また本実施例では、上下方向のガス流れでダクト断面積が小さく、アンモニア液受け皿にて気化に必要な面積が確保できない場合や横方向のガス流れにおいても効果的にアンモニア液を気化させ均一に混合させることができる。
上記したように前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト内のガス流路断面積に対して、該アンモニア液受け皿14がガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内としている。
具体的な実施例として、図6に示すような平底(厚さ2mm)の受け皿14を想定した場合、アンモニア液30を気化させるのに必要となる受け皿底面面積について検討を行ない、ダクト断面積に対する受け皿底面面積の割合について推算した結果を示す。
処理対象としては、ごみ焼却炉から排出される排ガスを用いた。この排ガスは、ガス量50,000Nm3/h、温度200℃、NOx濃度100〜150ppm、アンモニア当量比0.7〜1.0、ダクト内流速0.5〜10m/sである。
アンモニア液受け皿14が最小となるケースとして、処理NOx量が少なく、(NOx濃度100ppm、脱硝率70%程度を想定し、NH2当量比0.7)空塔速度が10m/sと速い場合、ダクト断面面積が2.4m2に対し受け皿底面面積が0.063m2であり、受け皿の面積割合は2.6%となる。その他アンモニア液受け皿14が大きくなる条件での結果については、下記表1に示す。
これより、ダクト断面面積に対するNH3液受け皿底面面積の割合は2〜80%、好ましくは2〜50%の範囲内で、この範囲内において前記アンモニア受け皿14はアンモニア液を気化するのに十分な伝熱面積を有することが確認された。
尚、これは平底の受け皿について想定したものであり、受け皿の壁が高く側面からの熱伝達も考慮できる場合はこの限りではない。このような受け皿の場合には、底面及び側面のうちアンモニア液との接触面の面積の和を上記受け皿底面面積として考えることで、アンモニア液受け皿の形状を決定することができる。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20は、上部に筒状の濾布が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記濾布24は定期的に洗浄することが好ましい。洗浄は、濾布24の上方に逆洗ノズル(不図示)を配し、空気を該逆洗ノズルに送り込み、ベンチュリ効果を利用して濾布24に高圧空気を噴霧して、濾布に付着したダスト層を払い落とす。払い落とされた飛灰を含むダストは、前記本体21の下部のホッパより排出される。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20’は、上部に濾布24が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記アンモニア供給体17は、図10(a)に示されるように円筒状であっても良いし、(b)に示されるように角筒状であっても良く、さらに表面が凹凸を有していても良く、その形状は限定されない。また、前記多孔質体17aは、金属多孔質体、セラミックス多孔質体、耐熱高分子多孔質体等が好適に用いられる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、前記アンモニア供給体17は、平面上で2次元的に結合した形状であっても良いし、(c)に示されるようにガス流れ方向に排ガス流路を形成するように結合していたり、ランダムに3次元的に結合していても良い。
さらに、前記アンモニア供給体17は、一又は複数配置することも可能である。
このように、アンモニア液30をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体17の全面から均等に気化させることにより、アンモニアガスの均一分散効果が高まる。
図12に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段若しくは同時に、消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20(20’も同様。以下20’の記載は省略)と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
一方、前記消石灰42は粉末状であることが好ましいが、スラリー状であっても良い。
尚、これらの薬剤の導入量は、前記酸性ガス除去剤41の当量比が2.0以下で、且つ前記消石灰42の当量比が2.0以下であることがよい。
酸性ガス除去剤は潮解性を有するため、過剰に投入すると未反応の酸性ガス助剤がべたついて濾布に目詰まりを生じてしまう。また、酸性ガス除去剤や消石灰を多く使用すると薬剤コストが増大してしまう。このため、当量比は2.0以下がよいのである。
さらに、好ましくは、前記酸性ガス除去剤の当量比が0.5〜1.5で、且つ前記消石灰42の当量比が0.1〜1.6であることがよい。
酸性ガス除去剤は、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)などの強アルカリ性物質では反応性が高いため導入した薬剤はほぼ全量反応に寄与することから、消石灰との複合効果が得られる当量比0.5以上で濾布目詰まりを起こさない1.5以下とすることが好ましいのである。また消石灰についても最低限の濾布保護剤としての役割を果たす当量比0.1以上とし、酸性ガス除去剤で残存する酸性ガスを十分除去できる1.6以下とするのが好ましい。
また、酸性ガス除去剤41のように潮解性の高い薬剤を用いることにより、消石灰粒子近傍に水が介在して消石灰と酸性ガスとの中和反応が促進され、消石灰42の反応効率が高まり、一段と除去効率が高くなる。
さらに、減温塔で酸性ガス除去剤41を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少することでコストが低減する。
このように、酸性ガス除去剤41及び消石灰42の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒層前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒層16を集塵部と一体化した本実施例2及び3に示した一体型濾過集塵装置20、20’を好適に採用できイニシャルコスト低減に繋がる上に、再加熱エネルギーを節約できランニングコストも低減することができる。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるSOx濃度を連続的に検出し、該検出されたSOx濃度が所定のSOx濃度以下となるように、酸性ガス除去剤導入量及び消石灰導入量の少なくとも何れか一方を制御する制御装置45を備えている。該制御装置45では、例えば検出SOx濃度が所定基準値以上であった場合に、酸性ガス除去剤41を増量するように制御するか、或いは消石灰42を増量するように制御しても良いし、また、酸性ガス除去剤41と消石灰42の導入量を比率制御するようにしても良い。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるHCl濃度あるいはSOx濃度とHCl濃度を同時に連続的に検出し、該検出されたHCl濃度あるいはSOx濃度がそれぞれ所定のHCl濃度あるいはSOx濃度以下となるように制御してもよい。
同図に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に消石灰42を導入する消石灰導入手段と、該消石灰導入手段の後段に、潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガスを大気放出する煙突43と、を備えている。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で130〜250℃程度、好ましくは150〜210℃程度まで減温した後、該排ガスに消石灰42を噴霧し、HCl、SOx等の酸性ガスを粗取りした後、後段に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤41で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。
このように特に酸性ガス濃度が高い場合の処理において、除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。なおこの場合も、未反応の消石灰が存在するため濾布保護剤としての役割を果たす。
11 ダクト
12 アンモニア供給部
13 アンモニア液供給管
14 アンモニア液受け皿
15 邪魔板
16 触媒層
17 アンモニア液供給体
20、20’ 一体型濾過集塵装置
24 濾布
30 アンモニア液
31 排ガス
32 処理ガス
41 潮解性を有する酸性ガス除去剤
42 消石灰
45 制御装置
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように形成された受け皿若しくは多孔質体からなり、ガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設したアンモニア液気化部と、
前記アンモニア液気化部から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部とを具え、
前記アンモニア気化部と排ガス分散部を下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って装置本体内に配設したことを特徴とする。
この場合に廃棄物焼却炉、ガス化炉若しくは溶融炉から排出される排ガスに含有される窒素化合物をダイオキシンとともに除去する請求項1記載の排ガス脱硝装置において、
前記触媒部に用いる触媒の形状がペレット状であるのがよい。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側の下側に位置する第一の邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、その上方のガス流下流側に位置する第二の邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記第一の邪魔板の排ガス通気部を覆うように排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
該受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設され、更に前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の、前記アンモニア液気化部の下方に、排ガス中の窒素化合物、煤塵、及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去する濾過材が配設された集塵部を設けたことを特徴とする。
前記装置本体内に、濾過材が配設された集塵部と、該集塵部に対してガス流下流側に設けられた触媒部とが収容されるとともに、前記集塵部と前記触媒部との間にアンモニア供給部が設けられ、排ガスに含有される煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を含む有害物質を同時に除去するようにした一体型濾過集塵装置において、
前記アンモニア液気化部が、内部にアンモニア液が供給されるアンモニア通路の外周を形成する多孔質体の微細孔から浸透したアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように構成されたアンモニア液気化部であって、
前記触媒部下方の排ガス流れ方向上流側に、前記気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる邪魔板を設けたことを特徴とする。この場合に前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向上流側に、酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、
前記消石灰が粉体若しくはスラリー体として導入されることを特徴とする。
このように、SOx濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SOx濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSOx濃度或いは酸性ガス除去後のSOx濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOxによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
従来のアンモニア供給方式としては、(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式、(2)予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式、(3)排ガスダクト内でアンモニア液を気化してガス状アンモニアを噴霧する方式が挙げられる。
また特許文献1のように電気ヒータを用いて加熱する場合には別途電力を使用する必要があるためランニングコストが増大するという問題があった。
また特許文献2のように排ガスを一部抽出して気化に利用する場合には、アンモニア液を気化する際に酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が懸念されるとともに、蒸発量変化に対する応答性が緩慢であるという問題があった。
さらに特許文献3のように水蒸気加熱により気化する場合は、燃焼装置より回収された水蒸気を利用するため、発電等に用いることができる水蒸気量が低減し、発電量が減少するという問題があった。
また、特許文献4のように蒸気エジェクタを用いる場合にはアンモニア気化設備が不要となるが、やはり水蒸気を利用するため発電量が減少するとともに、気化しきらずにアンモニア液として噴霧された場合、アンモニア供給孔より液垂れし、機器の腐食等の不具合を引き起こしてしまう。集塵装置一体化により下部に集塵装置がある場合には、濾過部の閉塞をもたらす可能性もある。さらにアンモニアが液滴のまま触媒に到達した場合、排ガス中のアンモニア混合が不十分であり、脱硝性能の低下を引き起こす問題があった。
また、特許文献6のように一部排ガスにより気化する方法では、ダクト内に気化器、アンモニア注入手段、連絡管を設置しているため構造が複雑であるとともに、アンモニア注入手段のガス流上流側にスペースが必要となり装置全体のコンパクト化が図れない。
さらに、特許文献7のように、多孔質セラミック管体を用いる方法では、酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が発生してしまう。
しかしながら、このような排ガス処理設備では、再加熱器、触媒塔の設置に新たな設置スペースが必要となる上、再加熱に必要となる熱エネルギーがロスとなり多大なコストを要するという問題があった。
しかし、バグフィルタの上流側で還元剤としてアンモニアを導入すると、バグフィルタ表面のダスト層にアンモニアが吸着してしまい、脱硝においてロスが生じる上に回収されたダストがアンモニア臭を放つという問題を有していた。さらに、非特許文献1のように、集塵装置と一体化された触媒の直前でアンモニアを供給しようとすると、滞留時間が短いためアンモニア濃度分布が不均一になって脱硝性能が低下して問題となる。特にアンモニアが液で供給される場合、十分に気化されず液滴のまま触媒に到達し極端な性能低下を起こしたり、液だれした場合に下方に位置する機器の腐食や下部に集塵装置がある場合には濾過部の閉塞を引き起こす可能性がある。
そこで、特許文献9では、酸性ガス除去性能が高く薬剤コスト及び灰処理コストの低減が可能なNa系酸性ガス除去剤を用いているが、代表的なNa系酸性ガス除去剤である水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでは、噴霧後に反応性生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となり、集塵装置であるバグフィルタにて目詰まりを起こす上に潮解性を有する物質であるため、集塵装置の圧力損失が増大し、寿命が短くなったり、バグフィルタの保護剤(珪藻土等)を大量に噴霧しなければならないなどの問題を抱えていた。
また、Na系酸性ガス除去剤及び消石灰を噴霧する際に、排ガス中のSOx濃度変化に追従できず、残留SOx濃度が増加し、後段の触媒の劣化を促進したり、逆に過剰のNa系酸性除去剤及び消石灰を供給し、薬剤コストが増大する惧れがあった。
さらに、上記した目的を達成するとともに、酸性ガス除去剤、濾布保護剤の使用量を削減可能でランニングコストを低減でき、また排ガス中の有害物質を効率良く除去することができることから再加熱器なしにて触媒の延命化が図れる排ガス処理設備を提供することを目的とする。
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように形成された受け皿からなり、ガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設したアンモニア液気化部と、
前記アンモニア液気化部から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部とを具え、
前記アンモニア気化部と排ガス分散部を下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って装置本体内に配設し、
前記アンモニア液気化部を形成する受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設されていることを特徴とする。
この場合に廃棄物焼却炉、ガス化炉若しくは溶融炉から排出される排ガスに含有される窒素化合物をダイオキシンとともに除去する請求項1記載の排ガス脱硝装置において、
前記触媒部に用いる触媒の形状がペレット状であるのがよい。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側の下側に位置する第一の邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、その上方のガス流下流側に位置する第二の邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記第一の邪魔板の排ガス通気部を覆うように排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
該受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設され、更に前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の、前記アンモニア液気化部の下方に、排ガス中の窒素化合物、煤塵、及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去する濾過材が配設された集塵部を設けたことを特徴とする。
前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、
前記消石灰が粉体若しくはスラリー体として導入されることを特徴とする。
ここで前記酸性ガス除去剤は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO 3 )、炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO 3 )、炭酸カリウム(K 2 CO 3 )等のカリウム系薬剤である。
これは、酸性ガス除去剤として酸性ガスに対し数倍量(モル比)が必要となる消石灰のみを用いた場合に対し、酸性ガスとの反応効率が高い潮解性を有する酸性ガス除去剤を加えることで、全体の薬剤使用量が低減する上に高い酸性ガス除去性能が得られる。
また、潮解性を有する酸性ガス除去剤は、噴霧後の反応生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有する物質であるため、従来は濾布の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布の保護剤(珪藻土など)としての助剤を大量に噴霧しなければならなかったが、本発明では消石灰を噴霧することにより、この消石灰が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減できるか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
一方、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給する場合、特に酸性ガス濃度が高い場合において除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。
尚、何れの場合にも消石灰の供給は紛体又はスラリとして供給することができる。
このように、潮解性を有する酸性ガス除去剤及び消石灰の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒部前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒部を集塵部と一体化した濾過集塵装置を好適に採用でき、イニシャルコストを削減できるとともに、再加熱エネルギーを節約できるためランニングコストも削減できる。
このように、減温塔で潮解性を有する酸性ガス除去剤を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少してコストが低減する。
このように、SOx濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SOx濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSOx濃度或いは酸性ガス除去後のSOx濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOxによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにすることにより、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できるとともに、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇を防止でき、装置の安定運転が可能である。
さらに、前記脱硝装置を濾過材と一体化した一体化濾過集塵装置によれば、装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
さらにまた、多孔質のアンモニア供給体からなるアンモニア供給部と、濾過材とを一体化した一体型濾過集塵装置によれば、アンモニア供給体の全面からアンモニアガスを均等に気化させることができ、アンモニアの均一分散効果が高まる。
さらに、酸性ガス除去性能の向上により触媒被毒となるSOx濃度が減少するため触媒の延命化により交換又は再生コストが削減でき、トータルで低コストな排ガス処理システムとすることができる。
図1〜図7は本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置に関する図で、図8は本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図9〜図11は本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図12は及び図13は本発明の実施例3に係る排ガス処理設備に関する図で、図14は本発明の実施例4に係る排ガス処理設備に関する図である。
本実施例では、図示されるように縦型の装置であり、下方から上方に向けて排ガス31が通流する構成となっているが、上方から下方に向けてガス流れが形成される構成であっても良いし、またガス流れがアンモニア液受け皿14に対して平行になる横流れの構成とすることも可能である。
前記アンモニア供給管13は一又は複数配設され、該アンモニア供給管13には一又は複数のアンモニア供給孔が穿設されている。
前記アンモニア液受け皿14は、少なくとも受け皿上に貯留されるアンモニア液の気化に必要となる伝熱面積が確保されるように形成される。
尚本実施例では、図2及び図3に示した形状、構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる形状、構成であれば適用可能である。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア30の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒層16の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置10の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
さらに、前記受け皿14は、下部の排ガス31が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31との熱伝達が促進される構造としてもよく、また上部のアンモニア液30が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31及びアンモニア液30との熱伝達が促進される構造であっても良い。
図4に示されるように、前記一体型濾過集塵装置10’の上方には前記排ガス脱硝装置10が設けられ、その下方には複数の濾布24が設けられている。前記排ガス脱硝装置10のダクト11内の前記アンモニア供給管13と触媒層16との間に設けられる邪魔板15は、一又は複数積層されて設置され、夫々排ガス31が流通する排ガス通気部を有する。前記邪魔板15が複数積層される場合には、排ガス上流側の邪魔板15Aは、前記排ガス31が混合されるように排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板15Bは、前記排ガス31が整流化されるように排ガス通気部が形成されていると良い。
これらの邪魔板15A、15Bは、平板又は波板や湾曲した板が設置されたものであり、前記排ガス通気部として排ガス通過穴が穿設された構造であるか、溝状、スリット状に排ガス通気部を有するか、クロス状構造で隙間に排ガス通気部を有するなどによって構成されている。また邪魔板15A、15Bそのものに微細な貫通孔を有しているものでもよい。排ガス通気部の割合は、空塔断面における1〜50%とするように邪魔板を設置するのがよく、好ましくは3〜20%である。これらの邪魔板15A、15Bは前記アンモニア供給管13より排ガス中に供給されたアンモニア水30が、排ガス中で均一な濃度となるように混合する役割を果たすため、空塔断面における排ガス通気部の割合を小さくするほど混合効果が高まるが圧損も上昇するため、排ガス分散部における圧損を50mmAq以下、好ましくは20mmAq以下とする必要があることから上記の範囲が決まってくる。
尚、前記邪魔板15A(又は15B)の構造は、上記した構造に限定されるものではなく、排ガス中のアンモニア濃度分布を均一化させる構造であれば何れでも良いことは勿論である。
該触媒層16では、この上流側で注入されたアンモニアの存在下で、排ガスと触媒とが接触することにより触媒反応が起こり、排ガス中の窒素酸化物(NOx)が窒素ガス(N2)と水(H2O)に分解・除去される。該触媒層16は、複数積層して配置しても良い。
本実施例は、特にアンモニア噴霧後触媒に到達するまでの滞留時間が少ない場合に有効である。また本実施例では、上下方向のガス流れでダクト断面積が小さく、アンモニア液受け皿にて気化に必要な面積が確保できない場合や横方向のガス流れにおいても効果的にアンモニア液を気化させ均一に混合させることができる。
上記したように前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト内のガス流路断面積に対して、該アンモニア液受け皿14がガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内としている。
具体的な実施例として、図6に示すような平底(厚さ2mm)の受け皿14を想定した場合、アンモニア液30を気化させるのに必要となる受け皿底面面積について検討を行ない、ダクト断面積に対する受け皿底面面積の割合について推算した結果を示す。
処理対象としては、ごみ焼却炉から排出される排ガスを用いた。この排ガスは、ガス量50,000Nm3/h、温度200℃、NOx濃度100〜150ppm、アンモニア当量比0.7〜1.0、ダクト内流速0.5〜10m/sである。
アンモニア液受け皿14が最小となるケースとして、処理NOx量が少なく、(NOx濃度100ppm、脱硝率70%程度を想定し、NH2当量比0.7)空塔速度が10m/sと速い場合、ダクト断面面積が2.4m2に対し受け皿底面面積が0.063m2であり、受け皿の面積割合は2.6%となる。その他アンモニア液受け皿14が大きくなる条件での結果については、下記表1に示す。
これより、ダクト断面面積に対するNH3液受け皿底面面積の割合は2〜80%、好ましくは2〜50%の範囲内で、この範囲内において前記アンモニア受け皿14はアンモニア液を気化するのに十分な伝熱面積を有することが確認された。
尚、これは平底の受け皿について想定したものであり、受け皿の壁が高く側面からの熱伝達も考慮できる場合はこの限りではない。このような受け皿の場合には、底面及び側面のうちアンモニア液との接触面の面積の和を上記受け皿底面面積として考えることで、アンモニア液受け皿の形状を決定することができる。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20は、上部に筒状の濾布が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記濾布24は定期的に洗浄することが好ましい。洗浄は、濾布24の上方に逆洗ノズル(不図示)を配し、空気を該逆洗ノズルに送り込み、ベンチュリ効果を利用して濾布24に高圧空気を噴霧して、濾布に付着したダスト層を払い落とす。払い落とされた飛灰を含むダストは、前記本体21の下部のホッパより排出される。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20’は、上部に濾布24が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記アンモニア供給体17は、図10(a)に示されるように円筒状であっても良いし、(b)に示されるように角筒状であっても良く、さらに表面が凹凸を有していても良く、その形状は限定されない。また、前記多孔質体17aは、金属多孔質体、セラミックス多孔質体、耐熱高分子多孔質体等が好適に用いられる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、前記アンモニア供給体17は、平面上で2次元的に結合した形状であっても良いし、(c)に示されるようにガス流れ方向に排ガス流路を形成するように結合していたり、ランダムに3次元的に結合していても良い。
さらに、前記アンモニア供給体17は、一又は複数配置することも可能である。
このように、アンモニア液30をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体17の全面から均等に気化させることにより、アンモニアガスの均一分散効果が高まる。
図12に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段若しくは同時に、消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20(20’も同様。以下20’の記載は省略)と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
一方、前記消石灰42は粉末状であることが好ましいが、スラリー状であっても良い。
尚、これらの薬剤の導入量は、前記酸性ガス除去剤41の当量比が2.0以下で、且つ前記消石灰42の当量比が2.0以下であることがよい。
酸性ガス除去剤は潮解性を有するため、過剰に投入すると未反応の酸性ガス助剤がべたついて濾布に目詰まりを生じてしまう。また、酸性ガス除去剤や消石灰を多く使用すると薬剤コストが増大してしまう。このため、当量比は2.0以下がよいのである。
さらに、好ましくは、前記酸性ガス除去剤の当量比が0.5〜1.5で、且つ前記消石灰42の当量比が0.1〜1.6であることがよい。
酸性ガス除去剤は、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)などの強アルカリ性物質では反応性が高いため導入した薬剤はほぼ全量反応に寄与することから、消石灰との複合効果が得られる当量比0.5以上で濾布目詰まりを起こさない1.5以下とすることが好ましいのである。また消石灰についても最低限の濾布保護剤としての役割を果たす当量比0.1以上とし、酸性ガス除去剤で残存する酸性ガスを十分除去できる1.6以下とするのが好ましい。
また、酸性ガス除去剤41のように潮解性の高い薬剤を用いることにより、消石灰粒子近傍に水が介在して消石灰と酸性ガスとの中和反応が促進され、消石灰42の反応効率が高まり、一段と除去効率が高くなる。
さらに、減温塔で酸性ガス除去剤41を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少することでコストが低減する。
このように、酸性ガス除去剤41及び消石灰42の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒層前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒層16を集塵部と一体化した本実施例2及び3に示した一体型濾過集塵装置20、20’を好適に採用できイニシャルコスト低減に繋がる上に、再加熱エネルギーを節約できランニングコストも低減することができる。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるSOx濃度を連続的に検出し、該検出されたSOx濃度が所定のSOx濃度以下となるように、酸性ガス除去剤導入量及び消石灰導入量の少なくとも何れか一方を制御する制御装置45を備えている。該制御装置45では、例えば検出SOx濃度が所定基準値以上であった場合に、酸性ガス除去剤41を増量するように制御するか、或いは消石灰42を増量するように制御しても良いし、また、酸性ガス除去剤41と消石灰42の導入量を比率制御するようにしても良い。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるHCl濃度あるいはSOx濃度とHCl濃度を同時に連続的に検出し、該検出されたHCl濃度あるいはSOx濃度がそれぞれ所定のHCl濃度あるいはSOx濃度以下となるように制御してもよい。
同図に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に消石灰42を導入する消石灰導入手段と、該消石灰導入手段の後段に、潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガスを大気放出する煙突43と、を備えている。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で130〜250℃程度、好ましくは150〜210℃程度まで減温した後、該排ガスに消石灰42を噴霧し、HCl、SOx等の酸性ガスを粗取りした後、後段に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤41で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。
このように特に酸性ガス濃度が高い場合の処理において、除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。なおこの場合も、未反応の消石灰が存在するため濾布保護剤としての役割を果たす。
11 ダクト
12 アンモニア供給部
13 アンモニア液供給管
14 アンモニア液受け皿
15 邪魔板
16 触媒層
17 アンモニア液供給体
20、20’ 一体型濾過集塵装置
24 濾布
30 アンモニア液
31 排ガス
32 処理ガス
41 潮解性を有する酸性ガス除去剤
42 消石灰
45 制御装置
従来のアンモニア供給方式としては、(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式、(2)予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式、(3)排ガスダクト内でアンモニア液を気化してガス状アンモニアを噴霧する方式が挙げられる。
また特許文献1のように電気ヒータを用いて加熱する場合には別途電力を使用する必要があるためランニングコストが増大するという問題があった。
また特許文献2のように排ガスを一部抽出して気化に利用する場合には、アンモニア液を気化する際に酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が懸念されるとともに、蒸発量変化に対する応答性が緩慢であるという問題があった。
さらに特許文献3のように水蒸気加熱により気化する場合は、燃焼装置より回収された水蒸気を利用するため、発電等に用いることができる水蒸気量が低減し、発電量が減少するという問題があった。
また、特許文献4のように蒸気エジェクタを用いる場合にはアンモニア気化設備が不要となるが、やはり水蒸気を利用するため発電量が減少するとともに、気化しきらずにアンモニア液として噴霧された場合、アンモニア供給孔より液垂れし、機器の腐食等の不具合を引き起こしてしまう。集塵装置一体化により下部に集塵装置がある場合には、濾過部の閉塞をもたらす可能性もある。さらにアンモニアが液滴のまま触媒に到達した場合、排ガス中のアンモニア混合が不十分であり、脱硝性能の低下を引き起こす問題があった。
また、特許文献6のように一部排ガスにより気化する方法では、ダクト内に気化器、アンモニア注入手段、連絡管を設置しているため構造が複雑であるとともに、アンモニア注入手段のガス流上流側にスペースが必要となり装置全体のコンパクト化が図れない。
さらに、特許文献7のように、多孔質セラミック管体を用いる方法では、酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が発生してしまう。
しかしながら、このような排ガス処理設備では、再加熱器、触媒塔の設置に新たな設置スペースが必要となる上、再加熱に必要となる熱エネルギーがロスとなり多大なコストを要するという問題があった。
しかし、バグフィルタの上流側で還元剤としてアンモニアを導入すると、バグフィルタ表面のダスト層にアンモニアが吸着してしまい、脱硝においてロスが生じる上に回収されたダストがアンモニア臭を放つという問題を有していた。さらに、非特許文献1のように、集塵装置と一体化された触媒の直前でアンモニアを供給しようとすると、滞留時間が短いためアンモニア濃度分布が不均一になって脱硝性能が低下して問題となる。特にアンモニアが液で供給される場合、十分に気化されず液滴のまま触媒に到達し極端な性能低下を起こしたり、液だれした場合に下方に位置する機器の腐食や下部に集塵装置がある場合には濾過部の閉塞を引き起こす可能性がある。
そこで、特許文献9では、酸性ガス除去性能が高く薬剤コスト及び灰処理コストの低減が可能なNa系酸性ガス除去剤を用いているが、代表的なNa系酸性ガス除去剤である水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでは、噴霧後に反応性生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となり、集塵装置であるバグフィルタにて目詰まりを起こす上に潮解性を有する物質であるため、集塵装置の圧力損失が増大し、寿命が短くなったり、バグフィルタの保護剤(珪藻土等)を大量に噴霧しなければならないなどの問題を抱えていた。
また、Na系酸性ガス除去剤及び消石灰を噴霧する際に、排ガス中のSOx濃度変化に追従できず、残留SOx濃度が増加し、後段の触媒の劣化を促進したり、逆に過剰のNa系酸性除去剤及び消石灰を供給し、薬剤コストが増大する惧れがあった。
さらに、上記した目的を達成するとともに、酸性ガス除去剤、濾布保護剤の使用量を削減可能でランニングコストを低減でき、また排ガス中の有害物質を効率良く除去することができることから再加熱器なしにて触媒の延命化が図れる排ガス処理設備を提供することを目的とする。
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように形成された受け皿からなり、ガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設したアンモニア液気化部と、
前記アンモニア液気化部から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部とを具え、
前記アンモニア気化部と排ガス分散部を下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って装置本体内に配設し、
前記アンモニア液気化部を形成する受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設されていることを特徴とする。
この場合に廃棄物焼却炉、ガス化炉若しくは溶融炉から排出される排ガスに含有される窒素化合物をダイオキシンとともに除去する請求項1記載の排ガス脱硝装置において、
前記触媒部に用いる触媒の形状がペレット状であるのがよい。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側の下側に位置する第一の邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、その上方のガス流下流側に位置する第二の邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記第一の邪魔板の排ガス通気部を覆うように排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
該受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設され、更に前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の、前記アンモニア液気化部の下方に、排ガス中の窒素化合物、煤塵、及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去する濾過材が配設された集塵部を設けたことを特徴とする。
前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、
前記消石灰が粉体若しくはスラリー体として導入されることを特徴とする。
ここで前記酸性ガス除去剤は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)等のカリウム系薬剤である。
これは、酸性ガス除去剤として酸性ガスに対し数倍量(モル比)が必要となる消石灰のみを用いた場合に対し、酸性ガスとの反応効率が高い潮解性を有する酸性ガス除去剤を加えることで、全体の薬剤使用量が低減する上に高い酸性ガス除去性能が得られる。
また、潮解性を有する酸性ガス除去剤は、噴霧後の反応生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有する物質であるため、従来は濾布の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布の保護剤(珪藻土など)としての助剤を大量に噴霧しなければならなかったが、本発明では消石灰を噴霧することにより、この消石灰が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減できるか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
一方、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給する場合、特に酸性ガス濃度が高い場合において除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。
尚、何れの場合にも消石灰の供給は紛体又はスラリとして供給することができる。
このように、潮解性を有する酸性ガス除去剤及び消石灰の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒部前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒部を集塵部と一体化した濾過集塵装置を好適に採用でき、イニシャルコストを削減できるとともに、再加熱エネルギーを節約できるためランニングコストも削減できる。
このように、減温塔で潮解性を有する酸性ガス除去剤を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少してコストが低減する。
このように、SOx濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SOx濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSOx濃度或いは酸性ガス除去後のSOx濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOxによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにすることにより、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できるとともに、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇を防止でき、装置の安定運転が可能である。
さらに、前記脱硝装置を濾過材と一体化した一体化濾過集塵装置によれば、装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
さらにまた、多孔質のアンモニア供給体からなるアンモニア供給部と、濾過材とを一体化した一体型濾過集塵装置によれば、アンモニア供給体の全面からアンモニアガスを均等に気化させることができ、アンモニアの均一分散効果が高まる。
さらに、酸性ガス除去性能の向上により触媒被毒となるSOx濃度が減少するため触媒の延命化により交換又は再生コストが削減でき、トータルで低コストな排ガス処理システムとすることができる。
図1〜図7は本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置に関する図で、図8は本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図9〜図11は本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図12は及び図13は本発明の実施例3に係る排ガス処理設備に関する図で、図14は本発明の実施例4に係る排ガス処理設備に関する図である。
本実施例では、図示されるように縦型の装置であり、下方から上方に向けて排ガス31が通流する構成となっているが、上方から下方に向けてガス流れが形成される構成であっても良いし、またガス流れがアンモニア液受け皿14に対して平行になる横流れの構成とすることも可能である。
前記アンモニア供給管13は一又は複数配設され、該アンモニア供給管13には一又は複数のアンモニア供給孔が穿設されている。
前記アンモニア液受け皿14は、少なくとも受け皿上に貯留されるアンモニア液の気化に必要となる伝熱面積が確保されるように形成される。
尚本実施例では、図2及び図3に示した形状、構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる形状、構成であれば適用可能である。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア30の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒層16の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置10の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
さらに、前記受け皿14は、下部の排ガス31が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31との熱伝達が促進される構造としてもよく、また上部のアンモニア液30が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31及びアンモニア液30との熱伝達が促進される構造であっても良い。
図4に示されるように、前記一体型濾過集塵装置10’の上方には前記排ガス脱硝装置10が設けられ、その下方には複数の濾布24が設けられている。前記排ガス脱硝装置10のダクト11内の前記アンモニア供給管13と触媒層16との間に設けられる邪魔板15は、一又は複数積層されて設置され、夫々排ガス31が流通する排ガス通気部を有する。前記邪魔板15が複数積層される場合には、排ガス上流側の邪魔板15Aは、前記排ガス31が混合されるように排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板15Bは、前記排ガス31が整流化されるように排ガス通気部が形成されていると良い。
これらの邪魔板15A、15Bは、平板又は波板や湾曲した板が設置されたものであり、前記排ガス通気部として排ガス通過穴が穿設された構造であるか、溝状、スリット状に排ガス通気部を有するか、クロス状構造で隙間に排ガス通気部を有するなどによって構成されている。また邪魔板15A、15Bそのものに微細な貫通孔を有しているものでもよい。排ガス通気部の割合は、空塔断面における1〜50%とするように邪魔板を設置するのがよく、好ましくは3〜20%である。これらの邪魔板15A、15Bは前記アンモニア供給管13より排ガス中に供給されたアンモニア水30が、排ガス中で均一な濃度となるように混合する役割を果たすため、空塔断面における排ガス通気部の割合を小さくするほど混合効果が高まるが圧損も上昇するため、排ガス分散部における圧損を50mmAq以下、好ましくは20mmAq以下とする必要があることから上記の範囲が決まってくる。
尚、前記邪魔板15A(又は15B)の構造は、上記した構造に限定されるものではなく、排ガス中のアンモニア濃度分布を均一化させる構造であれば何れでも良いことは勿論である。
該触媒層16では、この上流側で注入されたアンモニアの存在下で、排ガスと触媒とが接触することにより触媒反応が起こり、排ガス中の窒素酸化物(NOx)が窒素ガス(N2)と水(H2O)に分解・除去される。該触媒層16は、複数積層して配置しても良い。
本実施例は、特にアンモニア噴霧後触媒に到達するまでの滞留時間が少ない場合に有効である。また本実施例では、上下方向のガス流れでダクト断面積が小さく、アンモニア液受け皿にて気化に必要な面積が確保できない場合や横方向のガス流れにおいても効果的にアンモニア液を気化させ均一に混合させることができる。
上記したように前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト内のガス流路断面積に対して、該アンモニア液受け皿14がガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内としている。
具体的な実施例として、図6に示すような平底(厚さ2mm)の受け皿14を想定した場合、アンモニア液30を気化させるのに必要となる受け皿底面面積について検討を行ない、ダクト断面積に対する受け皿底面面積の割合について推算した結果を示す。
処理対象としては、ごみ焼却炉から排出される排ガスを用いた。この排ガスは、ガス量50,000Nm3/h、温度200℃、NOx濃度100〜150ppm、アンモニア当量比0.7〜1.0、ダクト内流速0.5〜10m/sである。
アンモニア液受け皿14が最小となるケースとして、処理NOx量が少なく、(NOx濃度100ppm、脱硝率70%程度を想定し、NH2当量比0.7)空塔速度が10m/sと速い場合、ダクト断面面積が2.4m2に対し受け皿底面面積が0.063m2であり、受け皿の面積割合は2.6%となる。その他アンモニア液受け皿14が大きくなる条件での結果については、下記表1に示す。
これより、ダクト断面面積に対するNH3液受け皿底面面積の割合は2〜80%、好ましくは2〜50%の範囲内で、この範囲内において前記アンモニア受け皿14はアンモニア液を気化するのに十分な伝熱面積を有することが確認された。
尚、これは平底の受け皿について想定したものであり、受け皿の壁が高く側面からの熱伝達も考慮できる場合はこの限りではない。このような受け皿の場合には、底面及び側面のうちアンモニア液との接触面の面積の和を上記受け皿底面面積として考えることで、アンモニア液受け皿の形状を決定することができる。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20は、上部に筒状の濾布が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記濾布24は定期的に洗浄することが好ましい。洗浄は、濾布24の上方に逆洗ノズル(不図示)を配し、空気を該逆洗ノズルに送り込み、ベンチュリ効果を利用して濾布24に高圧空気を噴霧して、濾布に付着したダスト層を払い落とす。払い落とされた飛灰を含むダストは、前記本体21の下部のホッパより排出される。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20’は、上部に濾布24が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記アンモニア供給体17は、図10(a)に示されるように円筒状であっても良いし、(b)に示されるように角筒状であっても良く、さらに表面が凹凸を有していても良く、その形状は限定されない。また、前記多孔質体17aは、金属多孔質体、セラミックス多孔質体、耐熱高分子多孔質体等が好適に用いられる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、前記アンモニア供給体17は、平面上で2次元的に結合した形状であっても良いし、(c)に示されるようにガス流れ方向に排ガス流路を形成するように結合していたり、ランダムに3次元的に結合していても良い。
さらに、前記アンモニア供給体17は、一又は複数配置することも可能である。
このように、アンモニア液30をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体17の全面から均等に気化させることにより、アンモニアガスの均一分散効果が高まる。
図12に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段若しくは同時に、消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
一方、前記消石灰42は粉末状であることが好ましいが、スラリー状であっても良い。
尚、これらの薬剤の導入量は、前記酸性ガス除去剤41の当量比が2.0以下で、且つ前記消石灰42の当量比が2.0以下であることがよい。
酸性ガス除去剤は潮解性を有するため、過剰に投入すると未反応の酸性ガス助剤がべたついて濾布に目詰まりを生じてしまう。また、酸性ガス除去剤や消石灰を多く使用すると薬剤コストが増大してしまう。このため、当量比は2.0以下がよいのである。
さらに、好ましくは、前記酸性ガス除去剤の当量比が0.5〜1.5で、且つ前記消石灰42の当量比が0.1〜1.6であることがよい。
酸性ガス除去剤は、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)などの強アルカリ性物質では反応性が高いため導入した薬剤はほぼ全量反応に寄与することから、消石灰との複合効果が得られる当量比0.5以上で濾布目詰まりを起こさない1.5以下とすることが好ましいのである。また消石灰についても最低限の濾布保護剤としての役割を果たす当量比0.1以上とし、酸性ガス除去剤で残存する酸性ガスを十分除去できる1.6以下とするのが好ましい。
また、酸性ガス除去剤41のように潮解性の高い薬剤を用いることにより、消石灰粒子近傍に水が介在して消石灰と酸性ガスとの中和反応が促進され、消石灰42の反応効率が高まり、一段と除去効率が高くなる。
さらに、減温塔で酸性ガス除去剤41を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少することでコストが低減する。
このように、酸性ガス除去剤41及び消石灰42の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒層前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒層16を集塵部と一体化した本実施例2及び3に示した一体型濾過集塵装置20、20’を好適に採用できイニシャルコスト低減に繋がる上に、再加熱エネルギーを節約できランニングコストも低減することができる。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるSOx濃度を連続的に検出し、該検出されたSOx濃度が所定のSOx濃度以下となるように、酸性ガス除去剤導入量及び消石灰導入量の少なくとも何れか一方を制御する制御装置45を備えている。該制御装置45では、例えば検出SOx濃度が所定基準値以上であった場合に、酸性ガス除去剤41を増量するように制御するか、或いは消石灰42を増量するように制御しても良いし、また、酸性ガス除去剤41と消石灰42の導入量を比率制御するようにしても良い。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるHCl濃度あるいはSOx濃度とHCl濃度を同時に連続的に検出し、該検出されたHCl濃度あるいはSOx濃度がそれぞれ所定のHCl濃度あるいはSOx濃度以下となるように制御してもよい。
同図に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に消石灰42を導入する消石灰導入手段と、該消石灰導入手段の後段に、潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガスを大気放出する煙突43と、を備えている。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で130〜250℃程度、好ましくは150〜210℃程度まで減温した後、該排ガスに消石灰42を噴霧し、HCl、SOx等の酸性ガスを粗取りした後、後段に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤41で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。
このように特に酸性ガス濃度が高い場合の処理において、除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。なおこの場合も、未反応の消石灰が存在するため濾布保護剤としての役割を果たす。
11 ダクト
12 アンモニア供給部
13 アンモニア液供給管
14 アンモニア液受け皿
15 邪魔板
16 触媒層
17 アンモニア液供給体
20、20’ 一体型濾過集塵装置
24 濾布
30 アンモニア液
31 排ガス
32 処理ガス
41 潮解性を有する酸性ガス除去剤
42 消石灰
45 制御装置
Claims (11)
- 排ガス中の窒素化合物を除去する触媒部と、該触媒部より上流側のガス流路に配置されたアンモニア供給部と、を備えた排ガス脱硝装置において、
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化する伝熱面積を有するように形成されたアンモニア液受け皿とから構成されることを特徴とする排ガス脱硝装置。 - 前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けたことを特徴とする請求項1記載の排ガス脱硝装置。
- 前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることを特徴とする請求項2記載の排ガス脱硝装置。
- 前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記排ガス通気部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の排ガス脱硝装置。 - 前記アンモニア液受け皿が、前記アンモニア液供給管のアンモニア液供給孔より離れた側を下方に向けて傾斜させて配置されることを特徴とする請求項1若しくは2記載の排ガス脱硝装置。
- 前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1若しくは2記載の排ガス脱硝装置。
- 請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の前記アンモニア供給部よりガス流上流側に濾過材が配設された集塵部を有し、排ガスの窒素化合物を除去するとともに煤塵、ダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去することを特徴とする一体型濾過集塵装置。 - 装置本体内に、濾過材が配設された集塵部と、該集塵部に対してガス流下流側に設けられた触媒部とが収容されるとともに、前記集塵部と前記触媒部との間にアンモニア供給部が設けられ、排ガスに含有される煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を含む有害物質を同時に除去するようにした一体型濾過集塵装置において、
前記アンモニア供給部が、内部にアンモニア液が供給されるアンモニア通路と、該通路の外周を形成する多孔質体とからなるアンモニア供給体により構成され、該多孔質体の微細孔から浸透したアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するようにし、
前記触媒部よりガス流上流側に、前記気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる邪魔板を設けたことを特徴とする一体型濾過集塵装置。 - 請求項7若しくは8記載の一体型濾過集塵装置を備えた排ガス処理設備であって、
前記一体型濾過集塵装置の上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、前記排ガスに含有される窒素酸化物、煤塵及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質とともに酸性ガスを除去するようにしたことを特徴とする排ガス処理設備。 - 前記一体型濾過集塵装置の上流側に配設された減温塔に前記酸性ガス除去剤導入手段を付設し、該減温塔にて液状の酸性ガス除去剤と水を前記排ガスに噴霧するようにしたことを特徴とする請求項9記載の排ガス処理設備。
- 前記一体型濾過集塵装置の下流側に、排ガス中のSOx濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方を連続的に検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出されたSOx濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方に基づき、前記酸性ガス除去剤の導入量及び前記消石灰の導入量のうち少なくとも何れか一方を制御するようにしたことを特徴とする請求項9記載の排ガス処理設備。
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