JP2006231200A - 排ガス脱硝装置及び該装置を具備した一体型濾過集塵装置、並びに排ガス処理設備 - Google Patents

排ガス脱硝装置及び該装置を具備した一体型濾過集塵装置、並びに排ガス処理設備 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な装置構成で且つ装置の小型化、省スペース化が図れ、液垂れやアンモニア供給孔の閉塞等の不具合が生じることなく脱硝性能を高く維持できる排ガス脱硝装置及び一体型濾過集塵装置、並びに薬剤使用量を減少してランニングコストを低減できる排ガス処理設備の提供。
【解決手段】 煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を同時に除去する一体型濾過集塵装置20において、装置本体21内に濾布24と触媒層16とを順に配設し、濾布と触媒層との間にアンモニア供給部12を設け、該アンモニア供給部を、アンモニア液30を供給するアンモニア液供給管13と、該供給管から供給されたアンモニア液を排ガスの顕熱により気化する伝熱面積を有するように形成されたアンモニア液受け皿14とから構成するとともに、アンモニア供給部12と触媒層16の間に受け皿14から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる邪魔板15を設けた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置から排出される排ガスに含有されるNO等の窒素化合物を除去する排ガス脱硝装置に関し、さらに、窒素化合物とともに煤塵、酸性ガス、及び有機ハロゲン化合物などの有害物質を同時に除去することができる一体型濾過集塵装置、及びこれらの装置を具備した排ガス処理設備に関する。
廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置から排出される排ガス中には、高濃度の煤塵、SO及びHCl等の酸性ガス、NO等の窒素酸化物、及びポリハロゲン化ジベンゾジオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフラン、ポリハロゲン化ビフェニル等のダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体となるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化トルエン等の有機ハロゲン化合物などの有害物質が多く存在している。従来はこれらの有害物質を無害化・安定化するために、排ガス処理設備に夫々の有害物質に対応する処理装置を複数設けて処理していた。
これらの処理装置のうち、排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝処理としては、集塵後に残存するSOにより触媒が被毒を受けない温度まで排ガスを再加熱した後、排ガスを触媒塔に導入して脱硝する方法が一般的に用いられている。このとき、触媒塔内若しくはその前段で排ガスにアンモニアを注入し、アンモニア共存下で排ガスを触媒に通過させることにより、排ガス中のNOを窒素と水に分解していた。
従来のアンモニア供給方式としては、(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式、(2)予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式、(3)排ガスダクト内でアンモニア液を気化してガス状アンモニアを噴霧する方式が挙げられる。
(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式は、アンモニア液のままダクトに設けられたノズルから直接噴霧する。しかしこの方式では、ダクト内に蒸発スペースが必要となり装置の大型化が懸念され、また未蒸発、気体の不均一性による性能低下という問題が発生する。さらに、未蒸発のアンモニアによる液垂れが生じ、機器の腐食が発生する。さらにまた、煤塵、及び排ガス中のSOとの反応により生成する酸性硫安によりノズルが閉塞する惧れがある。
(2)外置きの加熱装置により予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式としては、アンモニア液を予め電気ヒータで気化した後にノズルより噴霧する方法(特許文献1)、排ガスを一部抽出してアンモニア液を加熱気化後にノズルよりダクト内に噴霧する方法(特許文献2)、アンモニア液を予め蒸気熱で気化した後にノズルよりダクト内に噴霧する方法(特許文献3)、蒸気エジェクタを用い、作動流体として水蒸気を利用してアンモニア液を気化しつつガス状アンモニアとして噴霧、又は気液混相流で噴霧する方法(特許文献4)などがある。
上記したように、予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式では、排ガスとの混合均一化が良好であるが、通常取り扱われるアンモニア液を予め十分に気化させるには、別にアンモニア気化設備を設置する必要があるため機器設置スペースが増大してしまう。
また特許文献1のように電気ヒータを用いて加熱する場合には別途電力を使用する必要があるためランニングコストが増大するという問題があった。
また特許文献2のように排ガスを一部抽出して気化に利用する場合には、アンモニア液を気化する際に酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が懸念されるとともに、蒸発量変化に対する応答性が緩慢であるという問題があった。
さらに特許文献3のように水蒸気加熱により気化する場合は、燃焼装置より回収された水蒸気を利用するため、発電等に用いることができる水蒸気量が低減し、発電量が減少するという問題があった。
また、特許文献4のように蒸気エジェクタを用いる場合にはアンモニア気化設備が不要となるが、やはり水蒸気を利用するため発電量が減少するとともに、気化しきらずにアンモニア液として噴霧された場合、アンモニア供給孔より液垂れし、機器の腐食等の不具合を引き起こしてしまう。集塵装置一体化により下部に集塵装置がある場合には、濾過部の閉塞をもたらす可能性もある。さらにアンモニアが液滴のまま触媒に到達した場合、排ガス中のアンモニア混合が不十分であり、脱硝性能の低下を引き起こす問題があった。
(3)ダクト内でアンモニア液を気化する方式としては、ダクト内に供給されたアンモニア液をチューブを介して気化した後、ノズルから噴霧する方法(特許文献5)、ダクト内に、気化器とアンモニア注入管とこれらを接続する連結管を設置し、一部排ガスの廃熱を利用してアンモニア液を気化し、ノズルから噴霧する方法(特許文献6)、ダクト内にて多孔質セラミック管体にアンモニア液を供給し、ダクト内で気化させる方法(特許文献7)などがある。
しかし、特許文献5のようにチューブ内で気化する方法では、燃焼装置の発停時や変動等により排ガス温度が低下した場合に、アンモニア供給ノズルからの液滴滴下が起こり、機器の腐食や触媒の溶出などの不具合を引き起こす可能性がある。
また、特許文献6のように一部排ガスにより気化する方法では、ダクト内に気化器、アンモニア注入手段、連絡管を設置しているため構造が複雑であるとともに、アンモニア注入手段のガス流上流側にスペースが必要となり装置全体のコンパクト化が図れない。
さらに、特許文献7のように、多孔質セラミック管体を用いる方法では、酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が発生してしまう。
一方、このような脱硝装置を備えた排ガス処理設備における一般的なプロセスは、まず燃焼装置から排出された高温の排ガスを減温塔にて水噴霧により所定温度まで減温した後、消石灰噴霧によるHCl、SO等の酸性ガスを除去後にバグフィルタや電気集塵機等により排ガス中の煤塵を集塵し、その後再加熱器により排ガスを昇温した後に、排ガスを触媒塔に通過させてアンモニア共存下触媒により脱硝及びダイオキシンを分解除去していた。
しかしながら、このような排ガス処理設備では、再加熱器、触媒塔の設置に新たな設置スペースが必要となる上、再加熱に必要となる熱エネルギーがロスとなり多大なコストを要するという問題があった。
そこで、特許文献8では集塵装置と触媒塔を一体とした装置構成を提案している。この集塵装置では、助剤と吸収剤と還元剤とを添加した排ガスを集塵装置内に導入し、まず装置内のバグフィルタにより集塵した後、その上方に設けた脱硝触媒層により排ガスの脱硝を行なうようにしている。
しかし、バグフィルタの上流側で還元剤としてアンモニアを導入すると、バグフィルタ表面のダスト層にアンモニアが吸着してしまい、脱硝においてロスが生じる上に回収されたダストがアンモニア臭を放つという問題を有していた。さらに、非特許文献1のように、集塵装置と一体化された触媒の直前でアンモニアを供給しようとすると、滞留時間が短いためアンモニア濃度分布が不均一になって脱硝性能が低下して問題となる。特にアンモニアが液で供給される場合、十分に気化されず液滴のまま触媒に到達し極端な性能低下を起こしたり、液だれした場合に下方に位置する機器の腐食や下部に集塵装置がある場合には濾過部の閉塞を引き起こす可能性がある。
また排ガス処理設備の別の問題として、酸性ガス除去工程において、消石灰による酸性ガス除去では除去性能が低いため多量に投入する必要があり、薬剤コストが高い上に飛灰処理量が多く、灰処理コストも高くなるという問題があった。さらに、残存するSOによる触媒の被毒劣化を防止するため、触媒の前段に昇温装置を設置する必要があり、システム全体が巨大となり装置設置スペースが大きく、設備費が嵩むとともにランニングコストも高いものとなっていた。
そこで、特許文献9では、酸性ガス除去性能が高く薬剤コスト及び灰処理コストの低減が可能なNa系酸性ガス除去剤を用いているが、代表的なNa系酸性ガス除去剤である水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでは、噴霧後に反応性生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となり、集塵装置であるバグフィルタにて目詰まりを起こす上に潮解性を有する物質であるため、集塵装置の圧力損失が増大し、寿命が短くなったり、バグフィルタの保護剤(珪藻土等)を大量に噴霧しなければならないなどの問題を抱えていた。
また、Na系酸性ガス除去剤及び消石灰を噴霧する際に、排ガス中のSO濃度変化に追従できず、残留SO濃度が増加し、後段の触媒の劣化を促進したり、逆に過剰のNa系酸性除去剤及び消石灰を供給し、薬剤コストが増大する惧れがあった。
特開2000−146147号公報 特開平7−16431号公報 特開2001−286735号公報 実開平4−9630号公報 特開平7−265660号公報 特開2004−261762号公報 実開平3−86030号公報 特開平5−217号公報 特開2004−866号公報 第8回廃棄物学会研究発表会講演論文集.1997.10;569-571
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、簡単な装置構成で且つ装置の小型化、省スペース化が図れるとともに、アンモニアの液垂れによる機器の腐食、及び煤塵や硫安によるアンモニア供給孔の閉塞等の不具合が発生することなく、また脱硝性能を高く維持することができる排ガス脱硝装置、並びに該装置を具備し、脱硝とともに煤塵、酸性ガス、有機ハロゲン化合物等の有害物質を同時に除去することができる一体型濾過集塵装置を提供することを目的とする。
さらに、上記した目的を達成するとともに、酸性ガス除去剤、濾布保護剤の使用量を削減可能でランニングコストを低減でき、また排ガス中の有害物質を効率良く除去することができることから再加熱器なしにて触媒の延命化が図れる排ガス処理設備を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、排ガス中の窒素化合物を除去する触媒部と、該触媒部より上流側のガス流路に配置されたアンモニア供給部と、を備えた排ガス脱硝装置において、
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化する伝熱面積を有するように形成されたアンモニア液受け皿とから構成されることを特徴とする。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が間隔を存して複数段積層された構造であり、ガス流上流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
本発明では、アンモニア液を予め気化したり蒸気エジェクタ等を用いることなく、そのままポンプ等によりガス流路内のアンモニア受け皿に供給し、排ガスの顕熱を利用して該受け皿からアンモニア液を気化してアンモニアガスとする。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
また、前記アンモニア液受け皿が、前記アンモニア液供給管のアンモニア液供給孔より離れた側を下方に向けて傾斜して配置されることを特徴とする。
これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
また、一体型濾過集塵装置における第1の発明として、
前記排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の前記アンモニア供給部よりガス流上流側に濾過材が配設された集塵部を有し、排ガスの窒素化合物を除去するとともに煤塵、及びダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去することを特徴とする。
このように本発明によれば、集塵部と脱硝装置を一体化した装置構成としたため装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
また、一体型濾過集塵装置における第2の発明として、
装置本体内に、濾過材が配設された集塵部と、該集塵部に対してガス流下流側に設けられた触媒部とが収容されるとともに、前記集塵部と前記触媒部との間にアンモニア供給部が設けられ、排ガスに含有される煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を含む有害物質を同時に除去するようにした一体型濾過集塵装置において、
前記アンモニア供給部が、内部にアンモニア液が供給されるアンモニア通路と、該通路の外周を形成する多孔質体とからなるアンモニア供給体により構成され、該多孔質体の微細孔から浸透したアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するようにし、
前記触媒部よりガス流上流側に、前記気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる分散部を設けたことを特徴とする。前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
本発明では、前記アンモニア供給体に供給されたアンモニア液は、前記多孔質体から供給体表面に浸透し、前記排ガスとの接触面又は微細孔を浸透する途中において排ガスのもつ顕熱により気化され、排ガス中にアンモニアガスが混合する。このように、アンモニア液をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体の全面から均等に気化させることにより、アンモニアの均一分散効果が高まる。
さらに、前記第1の発明若しくは前記第2の発明の一体型濾過集塵装置を備えた排ガス処理設備であって、
前記一体型濾過集塵装置の上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、前記排ガスに含有される窒素酸化物、煤塵及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質とともに酸性ガスを除去するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、潮解性を有する酸性ガス除去剤と消石灰を排ガスへ導入することにより、薬剤使用量が減少するとともに後段の集塵装置で捕集される飛灰処理量も大幅に低減でき、薬剤コスト及び灰処理コストが削減可能である。また、触媒の被毒物質であるSO濃度を低減させることができ触媒の劣化抑制に必要な再加熱器を置く必要がなくなるとともに、前記のような多孔質体によるアンモニア供給部においても酸性硫安析出による閉塞がなくなる。
これは、酸性ガス除去剤として酸性ガスに対し数倍量(モル比)が必要となる消石灰のみを用いた場合に対し、酸性ガスとの反応効率が高い潮解性を有する酸性ガス除去剤を加えることで、全体の薬剤使用量が低減する上に高い酸性ガス除去性能が得られる。
また、潮解性を有する酸性ガス除去剤は、噴霧後の反応生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有する物質であるため、従来は濾布の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布の保護剤(珪藻土など)としての助剤を大量に噴霧しなければならなかったが、本発明では消石灰を噴霧することにより、この消石灰が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減できるか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
潮解性を有する酸性ガス除去剤と消石灰を供給する方法としては、潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給後その後段で消石灰を供給してもよいし、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給してもよいし、更にはこれらを同時に供給してもよい。潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給後その後段で消石灰を供給する場合、酸性ガス除去性能の高い潮解性を有する酸性ガス除去剤が酸性ガスを吸収する工程を設けることで効果的な酸性ガス除去が可能となる。
一方、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給する場合、特に酸性ガス濃度が高い場合において除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。
また同時に供給する場合には前段に供給される潮解性を有する酸性ガス除去剤又は消石灰が酸性ガスを吸収する工程が省け、機器配置が単純となり機器点数が減るとともにコンパクトな設備となる。
尚、何れの場合にも消石灰の供給は紛体又はスラリとして供給することができる。
このように、潮解性を有する酸性ガス除去剤及び消石灰の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒部前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒部を集塵部と一体化した濾過集塵装置を好適に採用でき、イニシャルコストを削減できるとともに、再加熱エネルギーを節約できるためランニングコストも削減できる。
さらにまた、前記一体型濾過集塵装置の上流側に配設された減温塔に前記酸性ガス除去剤導入手段を付設し、該減温塔にて液状の酸性ガス除去剤と水を前記排ガスに噴霧するようにしたことを特徴とする。
ここで、液状の酸性ガス除去剤と減温するための水は、減温塔において別々の供給口より噴霧されてもよいし、予混合され一つの供給口より噴霧されてもよい。別々の供給口より噴霧される場合、特に酸性ガス除去剤の供給口が万一閉塞等のトラブルにより使用不能となった場合でも減温するための水のみは噴霧可能であるため、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置を継続して稼動させることができる。また予混合され一つの供給口より噴霧される場合、設備が簡素化するとともに希釈によりアルカリに対する材料負荷が軽減されコスト低減が図れる。更に希釈により酸性ガス除去剤に対する水分の割合が増えるため、噴霧後液滴の状態が長い時間維持され酸性ガスの吸収が促進され酸性ガス除去性能が向上する。
このように、減温塔で潮解性を有する酸性ガス除去剤を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少してコストが低減する。
また、前記一体型濾過集塵装置の下流側に、排ガス中のSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方を連続的に検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出されたSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方に基づき、前記酸性ガス除去剤の導入量及び前記消石灰の導入量のうち少なくとも何れか一方を制御することが好ましい。SO濃度としてSOの濃度を用いてもよい。
このように、SO濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSO濃度或いは酸性ガス除去後のSO濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
以上記載のごとく、本発明の排ガス脱硝装置によれば、外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなるため装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減できる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合し、脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにすることにより、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できるとともに、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇を防止でき、装置の安定運転が可能である。
また、前記アンモニア液受け皿を傾斜して配置することにより、アンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができる。
さらに、前記脱硝装置を濾過材と一体化した一体化濾過集塵装置によれば、装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
さらにまた、多孔質のアンモニア供給体からなるアンモニア供給部と、濾過材とを一体化した一体型濾過集塵装置によれば、アンモニア供給体の全面からアンモニアガスを均等に気化させることができ、アンモニアの均一分散効果が高まる。
また、本発明の排ガス処理設備によれば、助剤の添加を不要又は著しく低減し、排ガス中の酸性ガスを中和する薬剤の導入量を減少して薬剤コストを削減するとともに、集塵装置で捕集される飛灰処理量を大幅に低減でき、灰処理コストが削減可能な排ガス処理設備を提供することができる。
さらに、酸性ガス除去性能の向上により触媒被毒となるSO濃度が減少するため触媒の延命化により交換又は再生コストが削減でき、トータルで低コストな排ガス処理システムとすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1〜図7は本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置に関する図で、図8は本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図9〜図11は本発明の実施例3に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図12は及び図13は本発明の実施例4に係る排ガス処理設備に関する図で、図14は本発明の実施例5に係る排ガス処理設備に関する図である。
尚、本実施例において処理対象とされる排ガスは、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼炉を備えた燃焼設備から排出される排ガスであり、煤塵、SO及びHCl等の酸性ガス、NO等の硫黄酸化物、及びポリハロゲン化ジベンゾジオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフラン、ポリハロゲン化ビフェニル等のダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体となるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化トルエン等の有機ハロゲン化合物などの有害物質などの有害物質を含有する排ガスを好適に処理する。
図1に本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置の概略断面図を示す。同図に示されるように、本実施例1の排ガス脱硝装置10は、ダクト11内に、排ガス流上流から下流に向かって、アンモニア液供給管13とアンモニア液受け皿14とからなるアンモニア供給部12と、触媒層16と、を備えるとともに、該アンモニア供給部12と触媒層16との間に邪魔板15を設けている。
本実施例では、図示されるように縦型の装置であり、下方から上方に向けて排ガス31が通流する構成となっているが、上方から下方に向けてガス流れが形成される構成であっても良いし、またガス流れがアンモニア液受け皿14に対して平行になる横流れの構成とすることも可能である。
前記アンモニア供給部12は、ダクト11内にアンモニア液30を供給するアンモニア供給管13と、その下方に設けられ、前記アンモニア供給管13より供給されるアンモニアを受けるアンモニア液受け皿14と、から構成される。
前記アンモニア供給管13は一又は複数配設され、該アンモニア供給管13には一又は複数のアンモニア供給孔が穿設されている。
前記アンモニア液受け皿14は、少なくとも受け皿上に貯留されるアンモニア液の気化に必要となる伝熱面積が確保されるように形成される。
図2にアンモニア供給部の例を示す。図2(a)は、一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(b)は一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、一端側が複数に分岐したくし型状のアンモニア液受け皿14からなり、(c)は一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、開口部を複数有する方形状のアンモニア液受け皿14からなり、(d)は一のアンモニア供給孔を有する複数のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(e)は複数のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(f)は一のアンモニア供給孔を夫々有する複数のアンモニア供給管13と、これに対応した複数のアンモニア液受け皿14からなり、(g)は、一のアンモニア供給孔を夫々有する複数のアンモニア供給管13と、これに対向配置された複数のアンモニア供給管13と、これらに対応した複数のアンモニア液受け皿14からなる。
また、図3にアンモニア液受け皿14の例を示す。図3(a)は側面が上方に向けて拡径した平板形状を有し、(b)は側面が上方に向けて拡径した円形状の受け皿で、(c)は円柱状を有し、(d)は側面が上方に向けて縮径した平板形状を有し、(e)は側面が高い直方体状を有し、(f)は側面が低い直方体状を有し、(g)は側面が高く且つ上方に向けて縮径した円柱状を有し、(h)は側面が高く且つ上方に向けて拡径した円柱状を有する。何れも上方が開口部となっており、ここから気化されたアンモニアが放出される。
尚本実施例では、図2及び図3に示した形状、構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる形状、構成であれば適用可能である。
また、前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト11内のガス流路断面積に対して、該受け皿14のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア30の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒層16の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置10の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
さらに、前記受け皿14は、下部の排ガス31が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31との熱伝達が促進される構造としてもよく、また上部のアンモニア液30が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31及びアンモニア液30との熱伝達が促進される構造であっても良い。
前記排ガス邪魔板15は、平板又は波板や湾曲した板に排ガス通気部が設けられ、一又は複数積層した構造を有する。ここで、図4及び図5を参照して、一例として本実施例に係る排ガス脱硝装置10を備えた一体型濾過集塵装置10’に適用される排ガス邪魔板15の具体的な例について説明する。
図4に示されるように、前記一体型濾過集塵装置10’の上方には前記排ガス脱硝装置10が設けられ、その下方には複数の濾布24が設けられている。前記排ガス脱硝装置10のダクト11内の前記アンモニア供給管13と触媒層16との間に設けられる邪魔板15は、一又は複数積層されて設置され、夫々排ガス31が流通する排ガス通気部を有する。前記邪魔板15が複数積層される場合には、排ガス上流側の邪魔板15Aは、前記排ガス31が混合されるように排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板15Bは、前記排ガス31が整流化されるように排ガス通気部が形成されていると良い。
これらの邪魔板15A、15Bは、平板又は波板や湾曲した板が設置されたものであり、前記排ガス通気部として排ガス通過穴が穿設された構造であるか、溝状、スリット状に排ガス通気部を有するか、クロス状構造で隙間に排ガス通気部を有するなどによって構成されている。また邪魔板15A、15Bそのものに微細な貫通孔を有しているものでもよい。排ガス通気部の割合は、空塔断面における1〜50%とするように邪魔板を設置するのがよく、好ましくは3〜20%である。これらの邪魔板15A、15Bは前記アンモニア供給管13より排ガス中に供給されたアンモニア水30が、排ガス中で均一な濃度となるように混合する役割を果たすため、空塔断面における排ガス通気部の割合を小さくするほど混合効果が高まるが圧損も上昇するため、排ガス分散部における圧損を50mmAq以下、好ましくは20mmAq以下とする必要があることから上記の範囲が決まってくる。
図5に該邪魔板15A(又は15B)の断面図及び配置例を示す。(i)は平板、(ii)は波板、(iii)は平板が傾斜を持ったもの、(iv)は平板がハの字型のもの、(v)は平板からなる邪魔板が1段目の排ガス通気部を覆うように2段目が配置され積層したものの断面図を示す。(v)においては混合効果が高くアンモニアの均一化が促進される。また(a)は邪魔板15A(又は15B)の両端に矩形状の排ガス通気部15aが穿設された構造である。アンモニアを含む排ガスは、前記排ガス通気部15aに一旦集中した後に分散されるため、アンモニアと排ガスとが十分に混合され、アンモニア濃度分布の均一化が図れる。同様に、(b)は邪魔板15A(又は15B)の両端と中央部に矩形状の排ガス通気部15bが穿設された構造であり、(c)は邪魔板15A(又は15B)に矩形状の排ガス通気部15cが複数穿設された構造であり、(d)は邪魔板15A(又は15B)に溝状の排ガス通気部15dが複数並列に穿設されたスリット構造であり、(e)は邪魔板15A(又は15B)にパンチング処理を施して複数の微小な排ガス通気部15eを穿設した多孔質構造であり、(f)は邪魔板15A(又は15B)の外周に排ガス通気部15hが設けられ、該邪魔板15を邪魔板支持棒15iで支持した構造となっている。これらの構造において、前記排ガス通気部15a〜eは排ガス流が低圧力損失となるように形成する。何れの構造においても、排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が達成でき、後段の触媒層16における脱硝効率を向上させることが可能となる。
尚、前記邪魔板15A(又は15B)の構造は、上記した構造に限定されるものではなく、排ガス中のアンモニア濃度分布を均一化させる構造であれば何れでも良いことは勿論である。
前記触媒層16に用いる触媒の形状は、ペレット状、ハニカム状、繊維状、シート状等の何れを用いてもよいが、特にペレット状触媒であることが好ましい。これは、ダイオキシン類のように分子量が大きい有害物質の分解においては、触媒をペレット状、繊維状、又はシート状にすることで触媒表面近傍の境膜抵抗を下げることができ、分解性能を著しく向上させることができるが、比較的製造が容易であり安価であるものはペレット状触媒であるからである。またその形状から排ガス脱硝装置10をより小型化することができ、触媒層16を通過する排ガスの撹拌効果も有するためである。また、該触媒層16としては、例えば酸化バナジウム系、酸化タングステン系、酸化モリブデン系、酸化チタン系、酸化珪素系の金属触媒を好適に用いることができる。
該触媒層16では、この上流側で注入されたアンモニアの存在下で、排ガスと触媒とが接触することにより触媒反応が起こり、排ガス中の窒素酸化物(NO)が窒素ガス(N)と水(HO)に分解・除去される。該触媒層16は、複数積層して配置しても良い。
以上の構成を有する排ガス脱硝装置10についてその作用を説明すると、前記アンモニア供給管13から滴下されたアンモニア液30は前記アンモニア液受け皿14に貯留され、該受け皿14内にて排ガス31の顕熱を利用して気化し、アンモニアガスとして排ガス31中に混合される。アンモニアガスと混合した排ガス31は邪魔板15により撹拌され、アンモニアガスが排ガス中に略均一に分散した状態で触媒層16に導入される。そして、前記排ガス31はアンモニア共存下で触媒層16を通過する際に触媒反応により排ガス中のNOを窒素と水に分解する。
このように本実施例では、アンモニア供給部12がアンモニア供給管13とアンモニア液受け皿14のみで構成されることから、装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、アンモニア液30の気化に外部熱源を利用する必要がないことから、ランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食や触媒の溶出欠損等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板15を設けているため、アンモニアガスと排ガス31が十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
本実施例は、特にアンモニア噴霧後触媒に到達するまでの滞留時間が少ない場合に有効である。また本実施例では、上下方向のガス流れでダクト断面積が小さく、アンモニア液受け皿にて気化に必要な面積が確保できない場合や横方向のガス流れにおいても効果的にアンモニア液を気化させ均一に混合させることができる。
また、本実施例では前記アンモニア液受け皿14を水平に配置しているが、図7に示されるように、前記アンモニア液受け皿14を、アンモニア供給孔より離れた側が下方となるように傾斜させるようにしても良い。これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿14の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
ここで、前記アンモニア受け皿14が以下の条件である時に、アンモニア液を気化させるのに必要となる伝熱面積を有することを検討する。
上記したように前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト内のガス流路断面積に対して、該アンモニア液受け皿14がガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内としている。
具体的な実施例として、図6に示すような平底(厚さ2mm)の受け皿14を想定した場合、アンモニア液30を気化させるのに必要となる受け皿底面面積について検討を行ない、ダクト断面積に対する受け皿底面面積の割合について推算した結果を示す。
処理対象としては、ごみ焼却炉から排出される排ガスを用いた。この排ガスは、ガス量50,000Nm3/h、温度200℃、NO濃度100〜150ppm、アンモニア当量比0.7〜1.0、ダクト内流速0.5〜10m/sである。
検討にあたっては、排ガス流れがあるダクト内において、受け皿14内に存在するアンモニア液30が、受け皿底面からの伝熱及び上方液面からの対流伝熱により蒸発すると仮定し、供給したアンモニア液30が気化するのに必要となる受け皿底面面積を推算し、ダクト断面積に対する割合を導出した。
アンモニア液受け皿14が最小となるケースとして、処理NO量が少なく、(NO濃度100ppm、脱硝率70%程度を想定し、NH当量比0.7)空塔速度が10m/sと速い場合、ダクト断面面積が2.4m2に対し受け皿底面面積が0.063m2であり、受け皿の面積割合は2.6%となる。その他アンモニア液受け皿14が大きくなる条件での結果については、下記表1に示す。
さらに、ダクト内での排ガス偏流や、受け皿14のダスト等汚れ付着や腐食による伝熱不良、NH制御における応答遅れによるNH供給量増大などに対する安全率を見込み、アンモニア液受け皿が最大となるケースとして受け皿の面積割合は80%となる。この値は、過度の圧力上昇をもたらさない適当な値である。
これより、ダクト断面面積に対するNH液受け皿底面面積の割合は2〜80%、好ましくは2〜50%の範囲内で、この範囲内において前記アンモニア受け皿14はアンモニア液を気化するのに十分な伝熱面積を有することが確認された。
尚、これは平底の受け皿について想定したものであり、受け皿の壁が高く側面からの熱伝達も考慮できる場合はこの限りではない。このような受け皿の場合には、底面及び側面のうちアンモニア液との接触面の面積の和を上記受け皿底面面積として考えることで、アンモニア液受け皿の形状を決定することができる。
Figure 2006231200
図8に本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図を示す。本実施例2に係る一体型濾過集塵装置20は、前記実施例1に記載した排ガス脱硝装置10を備える。実施例1と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20は、上部に筒状の濾布が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記集塵部は、本体上部に設けられた濾布固定部より複数の濾布24が懸架され、ガス流に沿って並列に配置されている。該集塵部では、排ガス31に含有される煤塵や該集塵装置20の上流側で噴霧した消石灰等の薬剤などが濾布表面に付着、堆積してダスト層を形成する。一方、排ガス中に含有される酸性ガスは、同伴される薬剤との間で中和反応を起しながら前記堆積したダスト層の表面に到達するが、ここを通過する際に残存する酸性ガスが前記ダスト層中の未反応薬剤との間でさらに中和反応を起し、酸性ガスの殆どがここで除去される。
前記濾布24は定期的に洗浄することが好ましい。洗浄は、濾布24の上方に逆洗ノズル(不図示)を配し、空気を該逆洗ノズルに送り込み、ベンチュリ効果を利用して濾布24に高圧空気を噴霧して、濾布に付着したダスト層を払い落とす。払い落とされた飛灰を含むダストは、前記本体21の下部のホッパより排出される。
本実施例に係る一体型濾過集塵装置20では、前記排ガス入口22より装置本体21内に導入された排ガス31は、まず濾布24を通過して煤塵等が除去された後、前記アンモニア供給部12にて供給されるアンモニアガスと混合され、前記邪魔板15を通過する際に撹拌混合されてアンモニアガスが分散され、触媒層16に導入される。該触媒層16では、アンモニア共存下での触媒反応により排ガス中のNOが窒素と水に分解される。
このように、本実施例に係る集塵装置20では、集塵部と脱硝層16を一体化した装置構成としたため装置の小型化が図れ、また前記排ガス邪魔板15を設けたため、排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置20により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
図9に本発明の実施例3に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図を示す。本実施例3に係る一体型濾過集塵装置20’において、前記実施例2と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20’は、上部に濾布24が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
次に、本実施例の特徴的な構成として、図10及び図11を参照して前記アンモニア供給部12の構成について説明する。本実施例3にて前記アンモニア供給部12は、内部にアンモニア液30が供給される通路17bと、該通路17bの外周に、アンモニア液30が浸透する微細孔を複数有した多孔質体17aとからなるアンモニア供給体17により構成される。
前記アンモニア供給体17は、図10(a)に示されるように円筒状であっても良いし、(b)に示されるように角筒状であっても良く、さらに表面が凹凸を有していても良く、その形状は限定されない。また、前記多孔質体17aは、金属多孔質体、セラミックス多孔質体、耐熱高分子多孔質体等が好適に用いられる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、前記アンモニア供給体17は、平面上で2次元的に結合した形状であっても良いし、(c)に示されるようにガス流れ方向に排ガス流路を形成するように結合していたり、ランダムに3次元的に結合していても良い。
さらに、前記アンモニア供給体17は、一又は複数配置することも可能である。
本実施例によれば、前記アンモニア供給体17に供給されたアンモニア液30は、多孔質体17aから供給体表面に浸透し、前記排ガス31との接触面又は微細孔を浸透する途中において排ガス31のもつ顕熱により気化され、排ガス中にアンモニアガスが混合する。
このように、アンモニア液30をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体17の全面から均等に気化させることにより、アンモニアガスの均一分散効果が高まる。
図12及び図13に、本発明の実施例4に係る排ガス処理設備を示す。本実施例4の排ガス処理設備は、前記実施例2若しくは前記実施例3に記載した一体型濾過集塵装置20、20’を備える構成となっている。
図12に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段若しくは同時に、消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20(20’も同様。以下20’の記載は省略)と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
前記潮解性を有する酸性ガス除去剤41は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO)、炭酸ナトリウム、(NaCO)等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸カリウム(KCO)等のカリウム系薬剤を用いることができる。好適にはこれらの薬剤を液状若しくはスラリー状で用いると良く、噴霧にはディスク状のロータリーアトマイザー等を用いることができる。また、前記液状薬剤の噴霧の際に既存の減温塔に導入して噴霧しても良く、これにより排ガスの減温効果も同時に得られる。
一方、前記消石灰42は粉末状であることが好ましいが、スラリー状であっても良い。
尚、これらの薬剤の導入量は、前記酸性ガス除去剤41の当量比が2.0以下で、且つ前記消石灰42の当量比が2.0以下であることがよい。
酸性ガス除去剤は潮解性を有するため、過剰に投入すると未反応の酸性ガス助剤がべたついて濾布に目詰まりを生じてしまう。また、酸性ガス除去剤や消石灰を多く使用すると薬剤コストが増大してしまう。このため、当量比は2.0以下がよいのである。
さらに、好ましくは、前記酸性ガス除去剤の当量比が0.5〜1.5で、且つ前記消石灰42の当量比が0.1〜1.6であることがよい。
酸性ガス除去剤は、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)などの強アルカリ性物質では反応性が高いため導入した薬剤はほぼ全量反応に寄与することから、消石灰との複合効果が得られる当量比0.5以上で濾布目詰まりを起こさない1.5以下とすることが好ましいのである。また消石灰についても最低限の濾布保護剤としての役割を果たす当量比0.1以上とし、酸性ガス除去剤で残存する酸性ガスを十分除去できる1.6以下とするのが好ましい。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で200℃程度まで減温した後、該排ガスに酸性ガス除去剤41を噴霧し、HCl、SO等の酸性ガスを中和除去した後、後段若しくは同時に消石灰42を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤21で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。そして、集塵装置20で除塵及びダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去を行なうとともに、前記アンモニア供給部12より放出されるアンモニアガスの存在下で前記触媒層16にて脱硝及びガス状ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物の分解が行なわれ、これらの有害物質が除去された処理ガス32は煙突43より大気放出される。
本実施例によれば、消石灰42に加えて、酸性ガスの中和効率が高く除去性能に優れた酸性ガス除去剤41を組合わせることで、薬剤使用量が減少するとともに濾過集塵装置10で捕集される飛灰処理量も減少するため、薬剤コスト及び灰処理コストが低減する。
また、酸性ガス除去剤41のように潮解性の高い薬剤を用いることにより、消石灰粒子近傍に水が介在して消石灰と酸性ガスとの中和反応が促進され、消石灰42の反応効率が高まり、一段と除去効率が高くなる。
また、酸性ガス除去剤41では、噴霧後の反応性生物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有するため、従来は濾布24の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布24の保護するための助剤(珪藻土など)を大量に噴霧しなければならなかったが、本実施例では消石灰42を後段で噴霧することにより、この消石灰42が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減するか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
さらに、減温塔で酸性ガス除去剤41を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少することでコストが低減する。
このように、酸性ガス除去剤41及び消石灰42の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒層前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒層16を集塵部と一体化した本実施例2及び3に示した一体型濾過集塵装置20、20’を好適に採用できイニシャルコスト低減に繋がる上に、再加熱エネルギーを節約できランニングコストも低減することができる。
図13に、図12に示した排ガス処理装置の他の一例で、薬剤導入量制御装置を具備した排ガス処理設備を示す。該排ガス処理設備では、燃焼設備40から排出された排ガス31に水を噴霧して冷却する減温塔44と、該減温塔44内に液状の酸性ガス除去剤41を噴霧する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段にて排ガスに消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるSO濃度を連続的に検出し、該検出されたSO濃度が所定のSO濃度以下となるように、酸性ガス除去剤導入量及び消石灰導入量の少なくとも何れか一方を制御する制御装置45を備えている。該制御装置45では、例えば検出SO濃度が所定基準値以上であった場合に、酸性ガス除去剤41を増量するように制御するか、或いは消石灰42を増量するように制御しても良いし、また、酸性ガス除去剤41と消石灰42の導入量を比率制御するようにしても良い。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるHCl濃度あるいはSO濃度とHCl濃度を同時に連続的に検出し、該検出されたHCl濃度あるいはSOx濃度がそれぞれ所定のHCl濃度あるいはSO濃度以下となるように制御してもよい。
このように、SO濃度を集塵装置20の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度濃度以下となるよう薬剤ガス除去剤及び消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストが低減するとともにSOによる触媒の被毒劣化を抑制できる。
図14に本実施例5に係る排ガス処理設備につき説明する。実施例3と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に消石灰42を導入する消石灰導入手段と、該消石灰導入手段の後段に、潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガスを大気放出する煙突43と、を備えている。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で130〜250℃程度、好ましくは150〜210℃程度まで減温した後、該排ガスに消石灰42を噴霧し、HCl、SO等の酸性ガスを粗取りした後、後段に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤41で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。
このように特に酸性ガス濃度が高い場合の処理において、除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。なおこの場合も、未反応の消石灰が存在するため濾布保護剤としての役割を果たす。
本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置の概略断面図である。 図1のアンモニア供給部の例を示す概略平面図である。 図1のアンモニア液受け皿の例を示す概略斜視図である。 図1の排ガス脱硝装置を備えた一体型濾過集塵装置の斜視図である。 本実施例1に係る邪魔板の例を示す平面図である 実施例1の具体的な装置構成を説明する図である。 本発明の実施例1の他の構成を示す脱硝装置の概略断面図である。 本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図である。 本発明の実施例3に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図である。 図9のアンモニア液供給体の例を示す概略斜視図である。 図9のアンモニア供給部の例を示す概略平面図である。 本発明の実施例4に係る排ガス処理設備を示す図である。 図12に加えて薬剤導入量制御装置を具備した排ガス処理設備を示す図である。 本発明の実施例5に係る排ガス処理設備を示す図である。
符号の説明
10 排ガス脱硝装置
11 ダクト
12 アンモニア供給部
13 アンモニア液供給管
14 アンモニア液受け皿
15 邪魔板
16 触媒層
17 アンモニア液供給体
20、20’ 一体型濾過集塵装置
24 濾布
30 アンモニア液
31 排ガス
32 処理ガス
41 潮解性を有する酸性ガス除去剤
42 消石灰
45 制御装置
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、排ガス中の窒素化合物を除去する触媒部と、該触媒部より上流側のガス流路に配置されたアンモニア供給部と、を備えた排ガス脱硝装置において、
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように形成された受け皿若しくは多孔質体からなり、ガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設したアンモニア液気化部と、
前記アンモニア液気化部から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部とを具え、
前記アンモニア気化部と排ガス分散部を下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って装置本体内に配設したことを特徴とする。
この場合に廃棄物焼却炉、ガス化炉若しくは溶融炉から排出される排ガスに含有される窒素化合物をダイオキシンとともに除去する請求項1記載の排ガス脱硝装置において、
前記触媒部に用いる触媒の形状がペレット状であるのがよい。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側の下側に位置する第一の邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、その上方のガス流下流側に位置する第二の邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記第一の邪魔板の排ガス通気部を覆うように排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
本発明では、アンモニア液を予め気化したり蒸気エジェクタ等を用いることなく、そのままポンプ等によりガス流路内のアンモニア受け皿からなるアンモニア液気化部に供給し、排ガスの顕熱を利用して該受け皿からアンモニア液を気化してアンモニアガスとする。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記アンモニア液気化部が皿状の受け皿であって、
該受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設され、更に前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
また、一体型濾過集塵装置における第1の発明として、
ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の、前記アンモニア液気化部の下方に、排ガス中の窒素化合物、煤塵、及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去する濾過材が配設された集塵部を設けたことを特徴とする。
また、一体型濾過集塵装置における第2の発明として、
前記装置本体内に、濾過材が配設された集塵部と、該集塵部に対してガス流下流側に設けられた触媒部とが収容されるとともに、前記集塵部と前記触媒部との間にアンモニア供給部が設けられ、排ガスに含有される煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を含む有害物質を同時に除去するようにした一体型濾過集塵装置において、
前記アンモニア液気化部が、内部にアンモニア液が供給されるアンモニア通路の外周を形成する多孔質体の微細孔から浸透したアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように構成されたアンモニア液気化部であって、
前記触媒部下方の排ガス流れ方向上流側に、前記気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる邪魔板を設けたことを特徴とする。この場合に前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらに、前記第1の発明若しくは前記第2の発明の一体型濾過集塵装置を備えた排ガス処理設備であって、
前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向上流側に、酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、
前記消石灰が粉体若しくはスラリー体として導入されることを特徴とする。
また、前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向下流側に、排ガス中のSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方を連続的に検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出されたSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方に基づき、少なくとも前記酸性ガス除去剤若しくは前記消石灰の一方の導入量を制御することが好ましい。SO濃度としてSOの濃度を用いてもよい。
このように、SO濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSO濃度或いは酸性ガス除去後のSO濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
本発明は、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置から排出される排ガスに含有されるNO等の窒素化合物を除去する排ガス脱硝装置に関し、さらに、窒素化合物とともに煤塵、酸性ガス、及び有機ハロゲン化合物などの有害物質を同時に除去することができる一体型濾過集塵装置、及びこれらの装置を具備した排ガス処理設備に関する。
廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置から排出される排ガス中には、高濃度の煤塵、SO及びHCl等の酸性ガス、NO等の窒素酸化物、及びポリハロゲン化ジベンゾジオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフラン、ポリハロゲン化ビフェニル等のダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体となるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化トルエン等の有機ハロゲン化合物などの有害物質が多く存在している。従来はこれらの有害物質を無害化・安定化するために、排ガス処理設備に夫々の有害物質に対応する処理装置を複数設けて処理していた。
これらの処理装置のうち、排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝処理としては、集塵後に残存するSOにより触媒が被毒を受けない温度まで排ガスを再加熱した後、排ガスを触媒塔に導入して脱硝する方法が一般的に用いられている。このとき、触媒塔内若しくはその前段で排ガスにアンモニアを注入し、アンモニア共存下で排ガスを触媒に通過させることにより、排ガス中のNOを窒素と水に分解していた。
従来のアンモニア供給方式としては、(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式、(2)予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式、(3)排ガスダクト内でアンモニア液を気化してガス状アンモニアを噴霧する方式が挙げられる。
(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式は、アンモニア液のままダクトに設けられたノズルから直接噴霧する。しかしこの方式では、ダクト内に蒸発スペースが必要となり装置の大型化が懸念され、また未蒸発、気体の不均一性による性能低下という問題が発生する。さらに、未蒸発のアンモニアによる液垂れが生じ、機器の腐食が発生する。さらにまた、煤塵、及び排ガス中のSOとの反応により生成する酸性硫安によりノズルが閉塞する惧れがある。
(2)外置きの加熱装置により予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式としては、アンモニア液を予め電気ヒータで気化した後にノズルより噴霧する方法(特許文献1)、排ガスを一部抽出してアンモニア液を加熱気化後にノズルよりダクト内に噴霧する方法(特許文献2)、アンモニア液を予め蒸気熱で気化した後にノズルよりダクト内に噴霧する方法(特許文献3)、蒸気エジェクタを用い、作動流体として水蒸気を利用してアンモニア液を気化しつつガス状アンモニアとして噴霧、又は気液混相流で噴霧する方法(特許文献4)などがある。
上記したように、予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式では、排ガスとの混合均一化が良好であるが、通常取り扱われるアンモニア液を予め十分に気化させるには、別にアンモニア気化設備を設置する必要があるため機器設置スペースが増大してしまう。
また特許文献1のように電気ヒータを用いて加熱する場合には別途電力を使用する必要があるためランニングコストが増大するという問題があった。
また特許文献2のように排ガスを一部抽出して気化に利用する場合には、アンモニア液を気化する際に酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が懸念されるとともに、蒸発量変化に対する応答性が緩慢であるという問題があった。
さらに特許文献3のように水蒸気加熱により気化する場合は、燃焼装置より回収された水蒸気を利用するため、発電等に用いることができる水蒸気量が低減し、発電量が減少するという問題があった。
また、特許文献4のように蒸気エジェクタを用いる場合にはアンモニア気化設備が不要となるが、やはり水蒸気を利用するため発電量が減少するとともに、気化しきらずにアンモニア液として噴霧された場合、アンモニア供給孔より液垂れし、機器の腐食等の不具合を引き起こしてしまう。集塵装置一体化により下部に集塵装置がある場合には、濾過部の閉塞をもたらす可能性もある。さらにアンモニアが液滴のまま触媒に到達した場合、排ガス中のアンモニア混合が不十分であり、脱硝性能の低下を引き起こす問題があった。
(3)ダクト内でアンモニア液を気化する方式としては、ダクト内に供給されたアンモニア液をチューブを介して気化した後、ノズルから噴霧する方法(特許文献5)、ダクト内に、気化器とアンモニア注入管とこれらを接続する連結管を設置し、一部排ガスの廃熱を利用してアンモニア液を気化し、ノズルから噴霧する方法(特許文献6)、ダクト内にて多孔質セラミック管体にアンモニア液を供給し、ダクト内で気化させる方法(特許文献7)などがある。
しかし、特許文献5のようにチューブ内で気化する方法では、燃焼装置の発停時や変動等により排ガス温度が低下した場合に、アンモニア供給ノズルからの液滴滴下が起こり、機器の腐食や触媒の溶出などの不具合を引き起こす可能性がある。
また、特許文献6のように一部排ガスにより気化する方法では、ダクト内に気化器、アンモニア注入手段、連絡管を設置しているため構造が複雑であるとともに、アンモニア注入手段のガス流上流側にスペースが必要となり装置全体のコンパクト化が図れない。
さらに、特許文献7のように、多孔質セラミック管体を用いる方法では、酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が発生してしまう。
一方、このような脱硝装置を備えた排ガス処理設備における一般的なプロセスは、まず燃焼装置から排出された高温の排ガスを減温塔にて水噴霧により所定温度まで減温した後、消石灰噴霧によるHCl、SOx等の酸性ガスを除去後にバグフィルタや電気集塵機等により排ガス中の煤塵を集塵し、その後再加熱器により排ガスを昇温した後に、排ガスを触媒塔に通過させてアンモニア共存下触媒により脱硝及びダイオキシンを分解除去していた。
しかしながら、このような排ガス処理設備では、再加熱器、触媒塔の設置に新たな設置スペースが必要となる上、再加熱に必要となる熱エネルギーがロスとなり多大なコストを要するという問題があった。
そこで、特許文献8では集塵装置と触媒塔を一体とした装置構成を提案している。この集塵装置では、助剤と吸収剤と還元剤とを添加した排ガスを集塵装置内に導入し、まず装置内のバグフィルタにより集塵した後、その上方に設けた脱硝触媒層により排ガスの脱硝を行なうようにしている。
しかし、バグフィルタの上流側で還元剤としてアンモニアを導入すると、バグフィルタ表面のダスト層にアンモニアが吸着してしまい、脱硝においてロスが生じる上に回収されたダストがアンモニア臭を放つという問題を有していた。さらに、非特許文献1のように、集塵装置と一体化された触媒の直前でアンモニアを供給しようとすると、滞留時間が短いためアンモニア濃度分布が不均一になって脱硝性能が低下して問題となる。特にアンモニアが液で供給される場合、十分に気化されず液滴のまま触媒に到達し極端な性能低下を起こしたり、液だれした場合に下方に位置する機器の腐食や下部に集塵装置がある場合には濾過部の閉塞を引き起こす可能性がある。
また排ガス処理設備の別の問題として、酸性ガス除去工程において、消石灰による酸性ガス除去では除去性能が低いため多量に投入する必要があり、薬剤コストが高い上に飛灰処理量が多く、灰処理コストも高くなるという問題があった。さらに、残存するSOによる触媒の被毒劣化を防止するため、触媒の前段に昇温装置を設置する必要があり、システム全体が巨大となり装置設置スペースが大きく、設備費が嵩むとともにランニングコストも高いものとなっていた。
そこで、特許文献9では、酸性ガス除去性能が高く薬剤コスト及び灰処理コストの低減が可能なNa系酸性ガス除去剤を用いているが、代表的なNa系酸性ガス除去剤である水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでは、噴霧後に反応性生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となり、集塵装置であるバグフィルタにて目詰まりを起こす上に潮解性を有する物質であるため、集塵装置の圧力損失が増大し、寿命が短くなったり、バグフィルタの保護剤(珪藻土等)を大量に噴霧しなければならないなどの問題を抱えていた。
また、Na系酸性ガス除去剤及び消石灰を噴霧する際に、排ガス中のSO濃度変化に追従できず、残留SO濃度が増加し、後段の触媒の劣化を促進したり、逆に過剰のNa系酸性除去剤及び消石灰を供給し、薬剤コストが増大する惧れがあった。
特開2000−146147号公報 特開平7−16431号公報 特開2001−286735号公報 実開平4−9630号公報 特開平7−265660号公報 特開2004−261762号公報 実開平3−86030号公報 特開平5−217号公報 特開2004−866号公報 第8回廃棄物学会研究発表会講演論文集.1997.10;569-571
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、簡単な装置構成で且つ装置の小型化、省スペース化が図れるとともに、アンモニアの液垂れによる機器の腐食、及び煤塵や硫安によるアンモニア供給孔の閉塞等の不具合が発生することなく、また脱硝性能を高く維持することができる排ガス脱硝装置、並びに該装置を具備し、脱硝とともに煤塵、酸性ガス、有機ハロゲン化合物等の有害物質を同時に除去することができる一体型濾過集塵装置を提供することを目的とする。
さらに、上記した目的を達成するとともに、酸性ガス除去剤、濾布保護剤の使用量を削減可能でランニングコストを低減でき、また排ガス中の有害物質を効率良く除去することができることから再加熱器なしにて触媒の延命化が図れる排ガス処理設備を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、排ガス中の窒素化合物を除去する触媒部と、該触媒部より上流側のガス流路に配置されたアンモニア供給部と、を備えた排ガス脱硝装置において、
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように形成された受け皿からなり、ガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設したアンモニア液気化部と、
前記アンモニア液気化部から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部とを具え、
前記アンモニア気化部と排ガス分散部を下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って装置本体内に配設し
前記アンモニア液気化部を形成する受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設されていることを特徴とする。
この場合に廃棄物焼却炉、ガス化炉若しくは溶融炉から排出される排ガスに含有される窒素化合物をダイオキシンとともに除去する請求項1記載の排ガス脱硝装置において、
前記触媒部に用いる触媒の形状がペレット状であるのがよい。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側の下側に位置する第一の邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、その上方のガス流下流側に位置する第二の邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記第一の邪魔板の排ガス通気部を覆うように排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
本発明では、アンモニア液を予め気化したり蒸気エジェクタ等を用いることなく、そのままポンプ等によりガス流路内のアンモニア受け皿からなるアンモニア液気化部に供給し、排ガスの顕熱を利用して該受け皿からアンモニア液を気化してアンモニアガスとする。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記アンモニア液気化部が皿状の受け皿であって、
該受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設され、更に前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
また、前記アンモニア液受け皿が、前記アンモニア液供給管のアンモニア液供給孔より離れた側を下方に向けて傾斜して配置されることを特徴とする。
これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
また、一体型濾過集塵装置における第1の発明として、
排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の、前記アンモニア液気化部の下方に、排ガス中の窒素化合物、煤塵、及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去する濾過材が配設された集塵部を設けたことを特徴とする。
このように本発明によれば、集塵部と脱硝装置を一体化した装置構成としたため装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
本発明では、前記アンモニア供給体に供給されたアンモニア液は、前記多孔質体から供給体表面に浸透し、前記排ガスとの接触面又は微細孔を浸透する途中において排ガスのもつ顕熱により気化され、排ガス中にアンモニアガスが混合する。このように、アンモニア液をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体の全面から均等に気化させることにより、アンモニアの均一分散効果が高まる。
さらに、前記第1の発明若しくは前記第2の発明の一体型濾過集塵装置を備えた排ガス処理設備であって、
前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、
前記消石灰が粉体若しくはスラリー体として導入されることを特徴とする。
ここで前記酸性ガス除去剤は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO )、炭酸ナトリウム(Na CO )等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO )、炭酸カリウム(K CO )等のカリウム系薬剤である。
本発明によれば、潮解性を有する酸性ガス除去剤と消石灰を排ガスへ導入することにより、薬剤使用量が減少するとともに後段の集塵装置で捕集される飛灰処理量も大幅に低減でき、薬剤コスト及び灰処理コストが削減可能である。また、触媒の被毒物質であるSO濃度を低減させることができ触媒の劣化抑制に必要な再加熱器を置く必要がなくなるとともに、前記のような多孔質体によるアンモニア供給部においても酸性硫安析出による閉塞がなくなる。
これは、酸性ガス除去剤として酸性ガスに対し数倍量(モル比)が必要となる消石灰のみを用いた場合に対し、酸性ガスとの反応効率が高い潮解性を有する酸性ガス除去剤を加えることで、全体の薬剤使用量が低減する上に高い酸性ガス除去性能が得られる。
また、潮解性を有する酸性ガス除去剤は、噴霧後の反応生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有する物質であるため、従来は濾布の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布の保護剤(珪藻土など)としての助剤を大量に噴霧しなければならなかったが、本発明では消石灰を噴霧することにより、この消石灰が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減できるか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
潮解性を有する酸性ガス除去剤と消石灰を供給する方法としては、潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給後その後段で消石灰を供給してもよいし、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給してもよいし、更にはこれらを同時に供給してもよい。潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給後その後段で消石灰を供給する場合、酸性ガス除去性能の高い潮解性を有する酸性ガス除去剤が酸性ガスを吸収する工程を設けることで効果的な酸性ガス除去が可能となる。
一方、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給する場合、特に酸性ガス濃度が高い場合において除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。
また同時に供給する場合には前段に供給される潮解性を有する酸性ガス除去剤又は消石灰が酸性ガスを吸収する工程が省け、機器配置が単純となり機器点数が減るとともにコンパクトな設備となる。
尚、何れの場合にも消石灰の供給は紛体又はスラリとして供給することができる。
このように、潮解性を有する酸性ガス除去剤及び消石灰の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒部前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒部を集塵部と一体化した濾過集塵装置を好適に採用でき、イニシャルコストを削減できるとともに、再加熱エネルギーを節約できるためランニングコストも削減できる。
さらにまた、前記一体型濾過集塵装置の上流側に配設された減温塔に前記酸性ガス除去剤導入手段を付設し、該減温塔にて液状の酸性ガス除去剤と水を前記排ガスに噴霧するようにしたことを特徴とする。
ここで、液状の酸性ガス除去剤と減温するための水は、減温塔において別々の供給口より噴霧されてもよいし、予混合され一つの供給口より噴霧されてもよい。別々の供給口より噴霧される場合、特に酸性ガス除去剤の供給口が万一閉塞等のトラブルにより使用不能となった場合でも減温するための水のみは噴霧可能であるため、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置を継続して稼動させることができる。また予混合され一つの供給口より噴霧される場合、設備が簡素化するとともに希釈によりアルカリに対する材料負荷が軽減されコスト低減が図れる。更に希釈により酸性ガス除去剤に対する水分の割合が増えるため、噴霧後液滴の状態が長い時間維持され酸性ガスの吸収が促進され酸性ガス除去性能が向上する。
このように、減温塔で潮解性を有する酸性ガス除去剤を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少してコストが低減する。
また、前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向下流側に、排ガス中のSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方を連続的に検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出されたSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方に基づき、少なくとも前記酸性ガス除去剤若しくは前記消石灰の一方の導入量を制御することが好ましい。SO濃度としてSOの濃度を用いてもよい。
このように、SO濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSO濃度或いは酸性ガス除去後のSO濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
以上記載のごとく、本発明の排ガス脱硝装置によれば、外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなるため装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減できる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合し、脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにすることにより、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できるとともに、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇を防止でき、装置の安定運転が可能である。
また、前記アンモニア液受け皿を傾斜して配置することにより、アンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができる。
さらに、前記脱硝装置を濾過材と一体化した一体化濾過集塵装置によれば、装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
さらにまた、多孔質のアンモニア供給体からなるアンモニア供給部と、濾過材とを一体化した一体型濾過集塵装置によれば、アンモニア供給体の全面からアンモニアガスを均等に気化させることができ、アンモニアの均一分散効果が高まる。
また、本発明の排ガス処理設備によれば、助剤の添加を不要又は著しく低減し、排ガス中の酸性ガスを中和する薬剤の導入量を減少して薬剤コストを削減するとともに、集塵装置で捕集される飛灰処理量を大幅に低減でき、灰処理コストが削減可能な排ガス処理設備を提供することができる。
さらに、酸性ガス除去性能の向上により触媒被毒となるSO濃度が減少するため触媒の延命化により交換又は再生コストが削減でき、トータルで低コストな排ガス処理システムとすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1〜図7は本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置に関する図で、図8は本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図9〜図11は本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図12は及び図13は本発明の実施例に係る排ガス処理設備に関する図で、図14は本発明の実施例に係る排ガス処理設備に関する図である。
尚、本実施例において処理対象とされる排ガスは、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼炉を備えた燃焼設備から排出される排ガスであり、煤塵、SO及びHCl等の酸性ガス、NO等の硫黄酸化物、及びポリハロゲン化ジベンゾジオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフラン、ポリハロゲン化ビフェニル等のダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体となるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化トルエン等の有機ハロゲン化合物などの有害物質などの有害物質を含有する排ガスを好適に処理する。
図1に本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置の概略断面図を示す。同図に示されるように、本実施例1の排ガス脱硝装置10は、ダクト11内に、排ガス流上流から下流に向かって、アンモニア液供給管13とアンモニア液受け皿14とからなるアンモニア供給部12と、触媒層16と、を備えるとともに、該アンモニア供給部12と触媒層16との間に邪魔板15を設けている。
本実施例では、図示されるように縦型の装置であり、下方から上方に向けて排ガス31が通流する構成となっているが、上方から下方に向けてガス流れが形成される構成であっても良いし、またガス流れがアンモニア液受け皿14に対して平行になる横流れの構成とすることも可能である。
前記アンモニア供給部12は、ダクト11内にアンモニア液30を供給するアンモニア供給管13と、その下方に設けられ、前記アンモニア供給管13より供給されるアンモニアを受けるアンモニア液受け皿14と、から構成される。
前記アンモニア供給管13は一又は複数配設され、該アンモニア供給管13には一又は複数のアンモニア供給孔が穿設されている。
前記アンモニア液受け皿14は、少なくとも受け皿上に貯留されるアンモニア液の気化に必要となる伝熱面積が確保されるように形成される。
図2にアンモニア供給部の例を示す。図2(a)は、一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(b)は一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、一端側が複数に分岐したくし型状のアンモニア液受け皿14からなり、(c)は一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、開口部を複数有する方形状のアンモニア液受け皿14からなり、(d)は一のアンモニア供給孔を有する複数のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(e)は複数のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(f)は一のアンモニア供給孔を夫々有する複数のアンモニア供給管13と、これに対応した複数のアンモニア液受け皿14からなり、(g)は、一のアンモニア供給孔を夫々有する複数のアンモニア供給管13と、これに対向配置された複数のアンモニア供給管13と、これらに対応した複数のアンモニア液受け皿14からなる。
また、図3にアンモニア液受け皿14の例を示す。図3(a)は側面が上方に向けて拡径した平板形状を有し、(b)は側面が上方に向けて拡径した円形状の受け皿で、(c)は円柱状を有し、(d)は側面が上方に向けて縮径した平板形状を有し、(e)は側面が高い直方体状を有し、(f)は側面が低い直方体状を有し、(g)は側面が高く且つ上方に向けて縮径した円柱状を有し、(h)は側面が高く且つ上方に向けて拡径した円柱状を有する。何れも上方が開口部となっており、ここから気化されたアンモニアが放出される。
尚本実施例では、図2及び図3に示した形状、構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる形状、構成であれば適用可能である。
また、前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト11内のガス流路断面積に対して、該受け皿14のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア30の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒層16の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置10の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
さらに、前記受け皿14は、下部の排ガス31が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31との熱伝達が促進される構造としてもよく、また上部のアンモニア液30が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31及びアンモニア液30との熱伝達が促進される構造であっても良い。
前記排ガス邪魔板15は、平板又は波板や湾曲した板に排ガス通気部が設けられ、一又は複数積層した構造を有する。ここで、図4及び図5を参照して、一例として本実施例に係る排ガス脱硝装置10を備えた一体型濾過集塵装置10’に適用される排ガス邪魔板15の具体的な例について説明する。
図4に示されるように、前記一体型濾過集塵装置10’の上方には前記排ガス脱硝装置10が設けられ、その下方には複数の濾布24が設けられている。前記排ガス脱硝装置10のダクト11内の前記アンモニア供給管13と触媒層16との間に設けられる邪魔板15は、一又は複数積層されて設置され、夫々排ガス31が流通する排ガス通気部を有する。前記邪魔板15が複数積層される場合には、排ガス上流側の邪魔板15Aは、前記排ガス31が混合されるように排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板15Bは、前記排ガス31が整流化されるように排ガス通気部が形成されていると良い。
これらの邪魔板15A、15Bは、平板又は波板や湾曲した板が設置されたものであり、前記排ガス通気部として排ガス通過穴が穿設された構造であるか、溝状、スリット状に排ガス通気部を有するか、クロス状構造で隙間に排ガス通気部を有するなどによって構成されている。また邪魔板15A、15Bそのものに微細な貫通孔を有しているものでもよい。排ガス通気部の割合は、空塔断面における1〜50%とするように邪魔板を設置するのがよく、好ましくは3〜20%である。これらの邪魔板15A、15Bは前記アンモニア供給管13より排ガス中に供給されたアンモニア水30が、排ガス中で均一な濃度となるように混合する役割を果たすため、空塔断面における排ガス通気部の割合を小さくするほど混合効果が高まるが圧損も上昇するため、排ガス分散部における圧損を50mmAq以下、好ましくは20mmAq以下とする必要があることから上記の範囲が決まってくる。
図5に該邪魔板15A(又は15B)の断面図及び配置例を示す。(i)は平板、(ii)は波板、(iii)は平板が傾斜を持ったもの、(iv)は平板がハの字型のもの、(v)は平板からなる邪魔板が1段目の排ガス通気部を覆うように2段目が配置され積層したものの断面図を示す。(v)においては混合効果が高くアンモニアの均一化が促進される。また(a)は邪魔板15A(又は15B)の両端に矩形状の排ガス通気部15aが穿設された構造である。アンモニアを含む排ガスは、前記排ガス通気部15aに一旦集中した後に分散されるため、アンモニアと排ガスとが十分に混合され、アンモニア濃度分布の均一化が図れる。同様に、(b)は邪魔板15A(又は15B)の両端と中央部に矩形状の排ガス通気部15bが穿設された構造であり、(c)は邪魔板15A(又は15B)に矩形状の排ガス通気部15cが複数穿設された構造であり、(d)は邪魔板15A(又は15B)に溝状の排ガス通気部15dが複数並列に穿設されたスリット構造であり、(e)は邪魔板15A(又は15B)にパンチング処理を施して複数の微小な排ガス通気部15eを穿設した多孔質構造であり、(f)は邪魔板15A(又は15B)の外周に排ガス通気部15hが設けられ、該邪魔板15を邪魔板支持棒15iで支持した構造となっている。これらの構造において、前記排ガス通気部15a〜eは排ガス流が低圧力損失となるように形成する。何れの構造においても、排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が達成でき、後段の触媒層16における脱硝効率を向上させることが可能となる。
尚、前記邪魔板15A(又は15B)の構造は、上記した構造に限定されるものではなく、排ガス中のアンモニア濃度分布を均一化させる構造であれば何れでも良いことは勿論である。
前記触媒層16に用いる触媒の形状は、ペレット状、ハニカム状、繊維状、シート状等の何れを用いてもよいが、特にペレット状触媒であることが好ましい。これは、ダイオキシン類のように分子量が大きい有害物質の分解においては、触媒をペレット状、繊維状、又はシート状にすることで触媒表面近傍の境膜抵抗を下げることができ、分解性能を著しく向上させることができるが、比較的製造が容易であり安価であるものはペレット状触媒であるからである。またその形状から排ガス脱硝装置10をより小型化することができ、触媒層16を通過する排ガスの撹拌効果も有するためである。また、該触媒層16としては、例えば酸化バナジウム系、酸化タングステン系、酸化モリブデン系、酸化チタン系、酸化珪素系の金属触媒を好適に用いることができる。
該触媒層16では、この上流側で注入されたアンモニアの存在下で、排ガスと触媒とが接触することにより触媒反応が起こり、排ガス中の窒素酸化物(NO)が窒素ガス(N)と水(HO)に分解・除去される。該触媒層16は、複数積層して配置しても良い。
以上の構成を有する排ガス脱硝装置10についてその作用を説明すると、前記アンモニア供給管13から滴下されたアンモニア液30は前記アンモニア液受け皿14に貯留され、該受け皿14内にて排ガス31の顕熱を利用して気化し、アンモニアガスとして排ガス31中に混合される。アンモニアガスと混合した排ガス31は邪魔板15により撹拌され、アンモニアガスが排ガス中に略均一に分散した状態で触媒層16に導入される。そして、前記排ガス31はアンモニア共存下で触媒層16を通過する際に触媒反応により排ガス中のNOを窒素と水に分解する。
このように本実施例では、アンモニア供給部12がアンモニア供給管13とアンモニア液受け皿14のみで構成されることから、装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、アンモニア液30の気化に外部熱源を利用する必要がないことから、ランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食や触媒の溶出欠損等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板15を設けているため、アンモニアガスと排ガス31が十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
本実施例は、特にアンモニア噴霧後触媒に到達するまでの滞留時間が少ない場合に有効である。また本実施例では、上下方向のガス流れでダクト断面積が小さく、アンモニア液受け皿にて気化に必要な面積が確保できない場合や横方向のガス流れにおいても効果的にアンモニア液を気化させ均一に混合させることができる。
また、本実施例では前記アンモニア液受け皿14を水平に配置しているが、図7に示されるように、前記アンモニア液受け皿14を、アンモニア供給孔より離れた側が下方となるように傾斜させるようにしても良い。これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿14の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
ここで、前記アンモニア受け皿14が以下の条件である時に、アンモニア液を気化させるのに必要となる伝熱面積を有することを検討する。
上記したように前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト内のガス流路断面積に対して、該アンモニア液受け皿14がガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内としている。
具体的な実施例として、図6に示すような平底(厚さ2mm)の受け皿14を想定した場合、アンモニア液30を気化させるのに必要となる受け皿底面面積について検討を行ない、ダクト断面積に対する受け皿底面面積の割合について推算した結果を示す。
処理対象としては、ごみ焼却炉から排出される排ガスを用いた。この排ガスは、ガス量50,000Nm3/h、温度200℃、NO濃度100〜150ppm、アンモニア当量比0.7〜1.0、ダクト内流速0.5〜10m/sである。
検討にあたっては、排ガス流れがあるダクト内において、受け皿14内に存在するアンモニア液30が、受け皿底面からの伝熱及び上方液面からの対流伝熱により蒸発すると仮定し、供給したアンモニア液30が気化するのに必要となる受け皿底面面積を推算し、ダクト断面積に対する割合を導出した。
アンモニア液受け皿14が最小となるケースとして、処理NO量が少なく、(NO濃度100ppm、脱硝率70%程度を想定し、NH当量比0.7)空塔速度が10m/sと速い場合、ダクト断面面積が2.4m2に対し受け皿底面面積が0.063m2であり、受け皿の面積割合は2.6%となる。その他アンモニア液受け皿14が大きくなる条件での結果については、下記表1に示す。
さらに、ダクト内での排ガス偏流や、受け皿14のダスト等汚れ付着や腐食による伝熱不良、NH制御における応答遅れによるNH供給量増大などに対する安全率を見込み、アンモニア液受け皿が最大となるケースとして受け皿の面積割合は80%となる。この値は、過度の圧力上昇をもたらさない適当な値である。
これより、ダクト断面面積に対するNH液受け皿底面面積の割合は2〜80%、好ましくは2〜50%の範囲内で、この範囲内において前記アンモニア受け皿14はアンモニア液を気化するのに十分な伝熱面積を有することが確認された。
尚、これは平底の受け皿について想定したものであり、受け皿の壁が高く側面からの熱伝達も考慮できる場合はこの限りではない。このような受け皿の場合には、底面及び側面のうちアンモニア液との接触面の面積の和を上記受け皿底面面積として考えることで、アンモニア液受け皿の形状を決定することができる。
Figure 2006231200
図8に本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図を示す。本実施例2に係る一体型濾過集塵装置20は、前記実施例1に記載した排ガス脱硝装置10を備える。実施例1と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20は、上部に筒状の濾布が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記集塵部は、本体上部に設けられた濾布固定部より複数の濾布24が懸架され、ガス流に沿って並列に配置されている。該集塵部では、排ガス31に含有される煤塵や該集塵装置20の上流側で噴霧した消石灰等の薬剤などが濾布表面に付着、堆積してダスト層を形成する。一方、排ガス中に含有される酸性ガスは、同伴される薬剤との間で中和反応を起しながら前記堆積したダスト層の表面に到達するが、ここを通過する際に残存する酸性ガスが前記ダスト層中の未反応薬剤との間でさらに中和反応を起し、酸性ガスの殆どがここで除去される。
前記濾布24は定期的に洗浄することが好ましい。洗浄は、濾布24の上方に逆洗ノズル(不図示)を配し、空気を該逆洗ノズルに送り込み、ベンチュリ効果を利用して濾布24に高圧空気を噴霧して、濾布に付着したダスト層を払い落とす。払い落とされた飛灰を含むダストは、前記本体21の下部のホッパより排出される。
本実施例に係る一体型濾過集塵装置20では、前記排ガス入口22より装置本体21内に導入された排ガス31は、まず濾布24を通過して煤塵等が除去された後、前記アンモニア供給部12にて供給されるアンモニアガスと混合され、前記邪魔板15を通過する際に撹拌混合されてアンモニアガスが分散され、触媒層16に導入される。該触媒層16では、アンモニア共存下での触媒反応により排ガス中のNOが窒素と水に分解される。
このように、本実施例に係る集塵装置20では、集塵部と脱硝層16を一体化した装置構成としたため装置の小型化が図れ、また前記排ガス邪魔板15を設けたため、排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置20により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
比較例
図9に本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図を示す。本比較例に係る一体型濾過集塵装置20’において、前記実施例2と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20’は、上部に濾布24が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
次に、本実施例の特徴的な構成として、図10及び図11を参照して前記アンモニア供給部12の構成について説明する。本比較例にて前記アンモニア供給部12は、内部にアンモニア液30が供給される通路17bと、該通路17bの外周に、アンモニア液30が浸透する微細孔を複数有した多孔質体17aとからなるアンモニア供給体17により構成される。
前記アンモニア供給体17は、図10(a)に示されるように円筒状であっても良いし、(b)に示されるように角筒状であっても良く、さらに表面が凹凸を有していても良く、その形状は限定されない。また、前記多孔質体17aは、金属多孔質体、セラミックス多孔質体、耐熱高分子多孔質体等が好適に用いられる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、前記アンモニア供給体17は、平面上で2次元的に結合した形状であっても良いし、(c)に示されるようにガス流れ方向に排ガス流路を形成するように結合していたり、ランダムに3次元的に結合していても良い。
さらに、前記アンモニア供給体17は、一又は複数配置することも可能である。
本実施例によれば、前記アンモニア供給体17に供給されたアンモニア液30は、多孔質体17aから供給体表面に浸透し、前記排ガス31との接触面又は微細孔を浸透する途中において排ガス31のもつ顕熱により気化され、排ガス中にアンモニアガスが混合する。
このように、アンモニア液30をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体17の全面から均等に気化させることにより、アンモニアガスの均一分散効果が高まる。
図12及び図13に、本発明の実施例に係る排ガス処理設備を示す。本実施例の排ガス処理設備は、前記実施例2若しくは前記比較例に記載した一体型濾過集塵装置20、20’を備える構成となっている。
図12に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段若しくは同時に、消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20(20’も同様。以下20’の記載は省略)と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
前記潮解性を有する酸性ガス除去剤41は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO)、炭酸ナトリウム、(NaCO)等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸カリウム(KCO)等のカリウム系薬剤を用いることができる。好適にはこれらの薬剤を液状若しくはスラリー状で用いると良く、噴霧にはディスク状のロータリーアトマイザー等を用いることができる。また、前記液状薬剤の噴霧の際に既存の減温塔に導入して噴霧しても良く、これにより排ガスの減温効果も同時に得られる。
一方、前記消石灰42は粉末状であることが好ましいが、スラリー状であっても良い。
尚、これらの薬剤の導入量は、前記酸性ガス除去剤41の当量比が2.0以下で、且つ前記消石灰42の当量比が2.0以下であることがよい。
酸性ガス除去剤は潮解性を有するため、過剰に投入すると未反応の酸性ガス助剤がべたついて濾布に目詰まりを生じてしまう。また、酸性ガス除去剤や消石灰を多く使用すると薬剤コストが増大してしまう。このため、当量比は2.0以下がよいのである。
さらに、好ましくは、前記酸性ガス除去剤の当量比が0.5〜1.5で、且つ前記消石灰42の当量比が0.1〜1.6であることがよい。
酸性ガス除去剤は、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)などの強アルカリ性物質では反応性が高いため導入した薬剤はほぼ全量反応に寄与することから、消石灰との複合効果が得られる当量比0.5以上で濾布目詰まりを起こさない1.5以下とすることが好ましいのである。また消石灰についても最低限の濾布保護剤としての役割を果たす当量比0.1以上とし、酸性ガス除去剤で残存する酸性ガスを十分除去できる1.6以下とするのが好ましい。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で200℃程度まで減温した後、該排ガスに酸性ガス除去剤41を噴霧し、HCl、SO等の酸性ガスを中和除去した後、後段若しくは同時に消石灰42を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤21で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。そして、集塵装置20で除塵及びダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去を行なうとともに、前記アンモニア供給部12より放出されるアンモニアガスの存在下で前記触媒層16にて脱硝及びガス状ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物の分解が行なわれ、これらの有害物質が除去された処理ガス32は煙突43より大気放出される。
本実施例によれば、消石灰42に加えて、酸性ガスの中和効率が高く除去性能に優れた酸性ガス除去剤41を組合わせることで、薬剤使用量が減少するとともに濾過集塵装置10で捕集される飛灰処理量も減少するため、薬剤コスト及び灰処理コストが低減する。
また、酸性ガス除去剤41のように潮解性の高い薬剤を用いることにより、消石灰粒子近傍に水が介在して消石灰と酸性ガスとの中和反応が促進され、消石灰42の反応効率が高まり、一段と除去効率が高くなる。
また、酸性ガス除去剤41では、噴霧後の反応性生物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有するため、従来は濾布24の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布24の保護するための助剤(珪藻土など)を大量に噴霧しなければならなかったが、本実施例では消石灰42を後段で噴霧することにより、この消石灰42が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減するか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
さらに、減温塔で酸性ガス除去剤41を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少することでコストが低減する。
このように、酸性ガス除去剤41及び消石灰42の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒層前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒層16を集塵部と一体化した本実施例2及び3に示した一体型濾過集塵装置20、20’を好適に採用できイニシャルコスト低減に繋がる上に、再加熱エネルギーを節約できランニングコストも低減することができる。
図13に、図12に示した排ガス処理装置の他の一例で、薬剤導入量制御装置を具備した排ガス処理設備を示す。該排ガス処理設備では、燃焼設備40から排出された排ガス31に水を噴霧して冷却する減温塔44と、該減温塔44内に液状の酸性ガス除去剤41を噴霧する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段にて排ガスに消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるSOx濃度を連続的に検出し、該検出されたSO濃度が所定のSO濃度以下となるように、酸性ガス除去剤導入量及び消石灰導入量の少なくとも何れか一方を制御する制御装置45を備えている。該制御装置45では、例えば検出SO濃度が所定基準値以上であった場合に、酸性ガス除去剤41を増量するように制御するか、或いは消石灰42を増量するように制御しても良いし、また、酸性ガス除去剤41と消石灰42の導入量を比率制御するようにしても良い。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるHCl濃度あるいはSO濃度とHCl濃度を同時に連続的に検出し、該検出されたHCl濃度あるいはSOx濃度がそれぞれ所定のHCl濃度あるいはSO濃度以下となるように制御してもよい。
このように、SO濃度を集塵装置20の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度濃度以下となるよう薬剤ガス除去剤及び消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストが低減するとともにSOによる触媒の被毒劣化を抑制できる。
図14に本実施例に係る排ガス処理設備につき説明する。実施例3と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に消石灰42を導入する消石灰導入手段と、該消石灰導入手段の後段に、潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガスを大気放出する煙突43と、を備えている。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で130〜250℃程度、好ましくは150〜210℃程度まで減温した後、該排ガスに消石灰42を噴霧し、HCl、SO等の酸性ガスを粗取りした後、後段に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤41で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。
このように特に酸性ガス濃度が高い場合の処理において、除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。なおこの場合も、未反応の消石灰が存在するため濾布保護剤としての役割を果たす。
本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置の概略断面図である。 図1のアンモニア供給部の例を示す概略平面図である。 図1のアンモニア液受け皿の例を示す概略斜視図である。 図1の排ガス脱硝装置を備えた一体型濾過集塵装置の斜視図である。 本実施例1に係る邪魔板の例を示す平面図である 実施例1の具体的な装置構成を説明する図である。 本発明の実施例1の他の構成を示す脱硝装置の概略断面図である。 本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図である。 本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図である。 図9のアンモニア液供給体の例を示す概略斜視図である。 図9のアンモニア供給部の例を示す概略平面図である。 本発明の実施例に係る排ガス処理設備を示す図である。 図12に加えて薬剤導入量制御装置を具備した排ガス処理設備を示す図である。 本発明の実施例に係る排ガス処理設備を示す図である。
符号の説明
10 排ガス脱硝装置
11 ダクト
12 アンモニア供給部
13 アンモニア液供給管
14 アンモニア液受け皿
15 邪魔板
16 触媒層
17 アンモニア液供給体
20、20’ 一体型濾過集塵装置
24 濾布
30 アンモニア液
31 排ガス
32 処理ガス
41 潮解性を有する酸性ガス除去剤
42 消石灰
45 制御装置
本発明は、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置から排出される排ガスに含有されるNO等の窒素化合物を除去する排ガス脱硝装置に関し、さらに、窒素化合物とともに煤塵、酸性ガス、及び有機ハロゲン化合物などの有害物質を同時に除去することができる一体型濾過集塵装置、及びこれらの装置を具備した排ガス処理設備に関する。
廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置から排出される排ガス中には、高濃度の煤塵、SO及びHCl等の酸性ガス、NO等の窒素酸化物、及びポリハロゲン化ジベンゾジオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフラン、ポリハロゲン化ビフェニル等のダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体となるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化トルエン等の有機ハロゲン化合物などの有害物質が多く存在している。従来はこれらの有害物質を無害化・安定化するために、排ガス処理設備に夫々の有害物質に対応する処理装置を複数設けて処理していた。
これらの処理装置のうち、排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝処理としては、集塵後に残存するSOにより触媒が被毒を受けない温度まで排ガスを再加熱した後、排ガスを触媒塔に導入して脱硝する方法が一般的に用いられている。このとき、触媒塔内若しくはその前段で排ガスにアンモニアを注入し、アンモニア共存下で排ガスを触媒に通過させることにより、排ガス中のNOを窒素と水に分解していた。
従来のアンモニア供給方式としては、(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式、(2)予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式、(3)排ガスダクト内でアンモニア液を気化してガス状アンモニアを噴霧する方式が挙げられる。
(1)アンモニア液を排ガスに直接噴霧する方式は、アンモニア液のままダクトに設けられたノズルから直接噴霧する。しかしこの方式では、ダクト内に蒸発スペースが必要となり装置の大型化が懸念され、また未蒸発、気体の不均一性による性能低下という問題が発生する。さらに、未蒸発のアンモニアによる液垂れが生じ、機器の腐食が発生する。さらにまた、煤塵、及び排ガス中のSOとの反応により生成する酸性硫安によりノズルが閉塞する惧れがある。
(2)外置きの加熱装置により予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式としては、アンモニア液を予め電気ヒータで気化した後にノズルより噴霧する方法(特許文献1)、排ガスを一部抽出してアンモニア液を加熱気化後にノズルよりダクト内に噴霧する方法(特許文献2)、アンモニア液を予め蒸気熱で気化した後にノズルよりダクト内に噴霧する方法(特許文献3)、蒸気エジェクタを用い、作動流体として水蒸気を利用してアンモニア液を気化しつつガス状アンモニアとして噴霧、又は気液混相流で噴霧する方法(特許文献4)などがある。
上記したように、予め気化したガス状アンモニアを噴霧する方式では、排ガスとの混合均一化が良好であるが、通常取り扱われるアンモニア液を予め十分に気化させるには、別にアンモニア気化設備を設置する必要があるため機器設置スペースが増大してしまう。
また特許文献1のように電気ヒータを用いて加熱する場合には別途電力を使用する必要があるためランニングコストが増大するという問題があった。
また特許文献2のように排ガスを一部抽出して気化に利用する場合には、アンモニア液を気化する際に酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が懸念されるとともに、蒸発量変化に対する応答性が緩慢であるという問題があった。
さらに特許文献3のように水蒸気加熱により気化する場合は、燃焼装置より回収された水蒸気を利用するため、発電等に用いることができる水蒸気量が低減し、発電量が減少するという問題があった。
また、特許文献4のように蒸気エジェクタを用いる場合にはアンモニア気化設備が不要となるが、やはり水蒸気を利用するため発電量が減少するとともに、気化しきらずにアンモニア液として噴霧された場合、アンモニア供給孔より液垂れし、機器の腐食等の不具合を引き起こしてしまう。集塵装置一体化により下部に集塵装置がある場合には、濾過部の閉塞をもたらす可能性もある。さらにアンモニアが液滴のまま触媒に到達した場合、排ガス中のアンモニア混合が不十分であり、脱硝性能の低下を引き起こす問題があった。
(3)ダクト内でアンモニア液を気化する方式としては、ダクト内に供給されたアンモニア液をチューブを介して気化した後、ノズルから噴霧する方法(特許文献5)、ダクト内に、気化器とアンモニア注入管とこれらを接続する連結管を設置し、一部排ガスの廃熱を利用してアンモニア液を気化し、ノズルから噴霧する方法(特許文献6)、ダクト内にて多孔質セラミック管体にアンモニア液を供給し、ダクト内で気化させる方法(特許文献7)などがある。
しかし、特許文献5のようにチューブ内で気化する方法では、燃焼装置の発停時や変動等により排ガス温度が低下した場合に、アンモニア供給ノズルからの液滴滴下が起こり、機器の腐食や触媒の溶出などの不具合を引き起こす可能性がある。
また、特許文献6のように一部排ガスにより気化する方法では、ダクト内に気化器、アンモニア注入手段、連絡管を設置しているため構造が複雑であるとともに、アンモニア注入手段のガス流上流側にスペースが必要となり装置全体のコンパクト化が図れない。
さらに、特許文献7のように、多孔質セラミック管体を用いる方法では、酸性硫安の生成によるノズルの閉塞が発生してしまう。
一方、このような脱硝装置を備えた排ガス処理設備における一般的なプロセスは、まず燃焼装置から排出された高温の排ガスを減温塔にて水噴霧により所定温度まで減温した後、消石灰噴霧によるHCl、SOx等の酸性ガスを除去後にバグフィルタや電気集塵機等により排ガス中の煤塵を集塵し、その後再加熱器により排ガスを昇温した後に、排ガスを触媒塔に通過させてアンモニア共存下触媒により脱硝及びダイオキシンを分解除去していた。
しかしながら、このような排ガス処理設備では、再加熱器、触媒塔の設置に新たな設置スペースが必要となる上、再加熱に必要となる熱エネルギーがロスとなり多大なコストを要するという問題があった。
そこで、特許文献8では集塵装置と触媒塔を一体とした装置構成を提案している。この集塵装置では、助剤と吸収剤と還元剤とを添加した排ガスを集塵装置内に導入し、まず装置内のバグフィルタにより集塵した後、その上方に設けた脱硝触媒層により排ガスの脱硝を行なうようにしている。
しかし、バグフィルタの上流側で還元剤としてアンモニアを導入すると、バグフィルタ表面のダスト層にアンモニアが吸着してしまい、脱硝においてロスが生じる上に回収されたダストがアンモニア臭を放つという問題を有していた。さらに、非特許文献1のように、集塵装置と一体化された触媒の直前でアンモニアを供給しようとすると、滞留時間が短いためアンモニア濃度分布が不均一になって脱硝性能が低下して問題となる。特にアンモニアが液で供給される場合、十分に気化されず液滴のまま触媒に到達し極端な性能低下を起こしたり、液だれした場合に下方に位置する機器の腐食や下部に集塵装置がある場合には濾過部の閉塞を引き起こす可能性がある。
また排ガス処理設備の別の問題として、酸性ガス除去工程において、消石灰による酸性ガス除去では除去性能が低いため多量に投入する必要があり、薬剤コストが高い上に飛灰処理量が多く、灰処理コストも高くなるという問題があった。さらに、残存するSOによる触媒の被毒劣化を防止するため、触媒の前段に昇温装置を設置する必要があり、システム全体が巨大となり装置設置スペースが大きく、設備費が嵩むとともにランニングコストも高いものとなっていた。
そこで、特許文献9では、酸性ガス除去性能が高く薬剤コスト及び灰処理コストの低減が可能なNa系酸性ガス除去剤を用いているが、代表的なNa系酸性ガス除去剤である水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムでは、噴霧後に反応性生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となり、集塵装置であるバグフィルタにて目詰まりを起こす上に潮解性を有する物質であるため、集塵装置の圧力損失が増大し、寿命が短くなったり、バグフィルタの保護剤(珪藻土等)を大量に噴霧しなければならないなどの問題を抱えていた。
また、Na系酸性ガス除去剤及び消石灰を噴霧する際に、排ガス中のSO濃度変化に追従できず、残留SO濃度が増加し、後段の触媒の劣化を促進したり、逆に過剰のNa系酸性除去剤及び消石灰を供給し、薬剤コストが増大する惧れがあった。
特開2000−146147号公報 特開平7−16431号公報 特開2001−286735号公報 実開平4−9630号公報 特開平7−265660号公報 特開2004−261762号公報 実開平3−86030号公報 特開平5−217号公報 特開2004−866号公報 第8回廃棄物学会研究発表会講演論文集.1997.10;569-571
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、簡単な装置構成で且つ装置の小型化、省スペース化が図れるとともに、アンモニアの液垂れによる機器の腐食、及び煤塵や硫安によるアンモニア供給孔の閉塞等の不具合が発生することなく、また脱硝性能を高く維持することができる排ガス脱硝装置、並びに該装置を具備し、脱硝とともに煤塵、酸性ガス、有機ハロゲン化合物等の有害物質を同時に除去することができる一体型濾過集塵装置を提供することを目的とする。
さらに、上記した目的を達成するとともに、酸性ガス除去剤、濾布保護剤の使用量を削減可能でランニングコストを低減でき、また排ガス中の有害物質を効率良く除去することができることから再加熱器なしにて触媒の延命化が図れる排ガス処理設備を提供することを目的とする。
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、排ガス中の窒素化合物を除去する触媒部と、該触媒部より上流側のガス流路に配置されたアンモニア供給部と、を備えた排ガス脱硝装置において、
前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するように形成された受け皿からなり、ガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設したアンモニア液気化部と、
前記アンモニア液気化部から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部とを具え、
前記アンモニア気化部と排ガス分散部を下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って装置本体内に配設し、
前記アンモニア液気化部を形成する受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設されていることを特徴とする。
この場合に廃棄物焼却炉、ガス化炉若しくは溶融炉から排出される排ガスに含有される窒素化合物をダイオキシンとともに除去する請求項1記載の排ガス脱硝装置において、
前記触媒部に用いる触媒の形状がペレット状であるのがよい。
また、前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けると良い。
さらに、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることが好適である。
さらにまた、前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が下から上方に向かうガス流の流れ方向に沿って間隔を存して複数段積層された構造であり、
ガス流上流側の下側に位置する第一の邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、その上方のガス流下流側に位置する第二の邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記第一の邪魔板の排ガス通気部を覆うように排ガス通気部が形成されていることが好ましい。
本発明では、アンモニア液を予め気化したり蒸気エジェクタ等を用いることなく、そのままポンプ等によりガス流路内のアンモニア受け皿からなるアンモニア液気化部に供給し、排ガスの顕熱を利用して該受け皿からアンモニア液を気化してアンモニアガスとする。
これはアンモニア液を気化した後に供給する場合に対し、別途外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなり装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、電気ヒータ等の外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記アンモニア液気化部が皿状の受け皿であって、
該受け皿がガス流と直交する槽内横断面方向に延在して配設され、更に前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
また、前記アンモニア液受け皿が、前記アンモニア液供給管のアンモニア液供給孔より離れた側を下方に向けて傾斜して配置されることを特徴とする。
これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
また、前記一体型濾過集塵装置における発明として、
排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
前記装置本体内の、前記アンモニア液気化部の下方に、排ガス中の窒素化合物、煤塵、及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去する濾過材が配設された集塵部を設けたことを特徴とする。
このように本発明によれば、集塵部と脱硝装置を一体化した装置構成としたため装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
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さらに、前記請求項6記載の発明の一体型濾過集塵装置を備えた排ガス処理設備であって、
前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、
前記消石灰が粉体若しくはスラリー体として導入されることを特徴とする。
ここで前記酸性ガス除去剤は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸カリウム(KCO)等のカリウム系薬剤である。
本発明によれば、潮解性を有する酸性ガス除去剤と消石灰を排ガスへ導入することにより、薬剤使用量が減少するとともに後段の集塵装置で捕集される飛灰処理量も大幅に低減でき、薬剤コスト及び灰処理コストが削減可能である。また、触媒の被毒物質であるSO濃度を低減させることができ触媒の劣化抑制に必要な再加熱器を置く必要がなくなるとともに、前記のような多孔質体によるアンモニア供給部においても酸性硫安析出による閉塞がなくなる。
これは、酸性ガス除去剤として酸性ガスに対し数倍量(モル比)が必要となる消石灰のみを用いた場合に対し、酸性ガスとの反応効率が高い潮解性を有する酸性ガス除去剤を加えることで、全体の薬剤使用量が低減する上に高い酸性ガス除去性能が得られる。
また、潮解性を有する酸性ガス除去剤は、噴霧後の反応生成物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有する物質であるため、従来は濾布の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布の保護剤(珪藻土など)としての助剤を大量に噴霧しなければならなかったが、本発明では消石灰を噴霧することにより、この消石灰が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減できるか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
潮解性を有する酸性ガス除去剤と消石灰を供給する方法としては、潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給後その後段で消石灰を供給してもよいし、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給してもよいし、更にはこれらを同時に供給してもよい。潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給後その後段で消石灰を供給する場合、酸性ガス除去性能の高い潮解性を有する酸性ガス除去剤が酸性ガスを吸収する工程を設けることで効果的な酸性ガス除去が可能となる。
一方、消石灰を供給後潮解性を有する酸性ガス除去剤を供給する場合、特に酸性ガス濃度が高い場合において除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。
また同時に供給する場合には前段に供給される潮解性を有する酸性ガス除去剤又は消石灰が酸性ガスを吸収する工程が省け、機器配置が単純となり機器点数が減るとともにコンパクトな設備となる。
尚、何れの場合にも消石灰の供給は紛体又はスラリとして供給することができる。
このように、潮解性を有する酸性ガス除去剤及び消石灰の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒部前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒部を集塵部と一体化した濾過集塵装置を好適に採用でき、イニシャルコストを削減できるとともに、再加熱エネルギーを節約できるためランニングコストも削減できる。
さらにまた、前記一体型濾過集塵装置の上流側に配設された減温塔に前記酸性ガス除去剤導入手段を付設し、該減温塔にて液状の酸性ガス除去剤と水を前記排ガスに噴霧するようにしたことを特徴とする。
ここで、液状の酸性ガス除去剤と減温するための水は、減温塔において別々の供給口より噴霧されてもよいし、予混合され一つの供給口より噴霧されてもよい。別々の供給口より噴霧される場合、特に酸性ガス除去剤の供給口が万一閉塞等のトラブルにより使用不能となった場合でも減温するための水のみは噴霧可能であるため、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼装置を継続して稼動させることができる。また予混合され一つの供給口より噴霧される場合、設備が簡素化するとともに希釈によりアルカリに対する材料負荷が軽減されコスト低減が図れる。更に希釈により酸性ガス除去剤に対する水分の割合が増えるため、噴霧後液滴の状態が長い時間維持され酸性ガスの吸収が促進され酸性ガス除去性能が向上する。
このように、減温塔で潮解性を有する酸性ガス除去剤を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少してコストが低減する。
また、前記一体型濾過集塵装置の排ガス流れ方向下流側に、排ガス中のSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方を連続的に検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出されたSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方に基づき、少なくとも前記酸性ガス除去剤若しくは前記消石灰の一方の導入量を制御することが好ましい。SO濃度としてSOの濃度を用いてもよい。
このように、SO濃度或いはHCl濃度を集塵装置の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度或いはHCl濃度以下となるよう潮解性を有する酸性ガス除去剤及び/又は消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストを低減できる。また、酸性ガス除去後のSO濃度或いは酸性ガス除去後のSO濃度と相関があるHCl濃度をどちらか一方又は同時に直接監視することで、SOによる触媒の被毒劣化も抑制できる。
以上記載のごとく、本発明の排ガス脱硝装置によれば、外部にアンモニア気化設備を設置する必要がなくなるため装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、外部熱源を必要としないことからランニングコストを削減できる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板を設けているため、アンモニアガスと排ガスが十分に混合し、脱硝性能の向上が達成できる。
また、前記排ガス脱硝装置において、前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにすることにより、アンモニア液の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できるとともに、触媒部の圧損を超えるような過度の圧損上昇を防止でき、装置の安定運転が可能である。
また、前記アンモニア液受け皿を傾斜して配置することにより、アンモニア液が受け皿の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができる。
さらに、前記脱硝装置を濾過材と一体化した一体化濾過集塵装置によれば、装置の小型化、省スペース化が図れ、また前記邪魔板を設けたため排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
さらにまた、多孔質のアンモニア供給体からなるアンモニア供給部と、濾過材とを一体化した一体型濾過集塵装置によれば、アンモニア供給体の全面からアンモニアガスを均等に気化させることができ、アンモニアの均一分散効果が高まる。
また、本発明の排ガス処理設備によれば、助剤の添加を不要又は著しく低減し、排ガス中の酸性ガスを中和する薬剤の導入量を減少して薬剤コストを削減するとともに、集塵装置で捕集される飛灰処理量を大幅に低減でき、灰処理コストが削減可能な排ガス処理設備を提供することができる。
さらに、酸性ガス除去性能の向上により触媒被毒となるSO濃度が減少するため触媒の延命化により交換又は再生コストが削減でき、トータルで低コストな排ガス処理システムとすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1〜図7は本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置に関する図で、図8は本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図9〜図11は本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置に関する図で、図12は及び図13は本発明の実施例3に係る排ガス処理設備に関する図で、図14は本発明の実施例4に係る排ガス処理設備に関する図である。
尚、本実施例において処理対象とされる排ガスは、廃棄物焼却炉、ガス化炉、溶融炉等の燃焼炉を備えた燃焼設備から排出される排ガスであり、煤塵、SO及びHCl等の酸性ガス、NO等の硫黄酸化物、及びポリハロゲン化ジベンゾジオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフラン、ポリハロゲン化ビフェニル等のダイオキシン類やダイオキシン類の前駆体となるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化トルエン等の有機ハロゲン化合物などの有害物質などの有害物質を含有する排ガスを好適に処理する。
図1に本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置の概略断面図を示す。同図に示されるように、本実施例1の排ガス脱硝装置10は、ダクト11内に、排ガス流上流から下流に向かって、アンモニア液供給管13とアンモニア液受け皿14とからなるアンモニア供給部12と、触媒層16と、を備えるとともに、該アンモニア供給部12と触媒層16との間に邪魔板15を設けている。
本実施例では、図示されるように縦型の装置であり、下方から上方に向けて排ガス31が通流する構成となっているが、上方から下方に向けてガス流れが形成される構成であっても良いし、またガス流れがアンモニア液受け皿14に対して平行になる横流れの構成とすることも可能である。
前記アンモニア供給部12は、ダクト11内にアンモニア液30を供給するアンモニア供給管13と、その下方に設けられ、前記アンモニア供給管13より供給されるアンモニアを受けるアンモニア液受け皿14と、から構成される。
前記アンモニア供給管13は一又は複数配設され、該アンモニア供給管13には一又は複数のアンモニア供給孔が穿設されている。
前記アンモニア液受け皿14は、少なくとも受け皿上に貯留されるアンモニア液の気化に必要となる伝熱面積が確保されるように形成される。
図2にアンモニア供給部の例を示す。図2(a)は、一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(b)は一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、一端側が複数に分岐したくし型状のアンモニア液受け皿14からなり、(c)は一のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、開口部を複数有する方形状のアンモニア液受け皿14からなり、(d)は一のアンモニア供給孔を有する複数のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(e)は複数のアンモニア供給孔を有する一のアンモニア供給管13と、方形状の一のアンモニア液受け皿14からなり、(f)は一のアンモニア供給孔を夫々有する複数のアンモニア供給管13と、これに対応した複数のアンモニア液受け皿14からなり、(g)は、一のアンモニア供給孔を夫々有する複数のアンモニア供給管13と、これに対向配置された複数のアンモニア供給管13と、これらに対応した複数のアンモニア液受け皿14からなる。
また、図3にアンモニア液受け皿14の例を示す。図3(a)は側面が上方に向けて拡径した平板形状を有し、(b)は側面が上方に向けて拡径した円形状の受け皿で、(c)は円柱状を有し、(d)は側面が上方に向けて縮径した平板形状を有し、(e)は側面が高い直方体状を有し、(f)は側面が低い直方体状を有し、(g)は側面が高く且つ上方に向けて縮径した円柱状を有し、(h)は側面が高く且つ上方に向けて拡径した円柱状を有する。何れも上方が開口部となっており、ここから気化されたアンモニアが放出される。
尚本実施例では、図2及び図3に示した形状、構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる形状、構成であれば適用可能である。
また、前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト11内のガス流路断面積に対して、該受け皿14のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内とする。
これは、前記面積比率が2%以下であると、アンモニア30の気化に必要とされる最低限の伝熱面積を確保できず、また、前記面積比率が80%以上であると、触媒層16の圧損を超えるような過度の圧損上昇が生じてしまい、脱硝装置10の円滑な運転が妨げられるためである。また、前記面積比率が2〜50%の範囲内の時、空塔速度が適正な値に設定されるため好適である。
さらに、前記受け皿14は、下部の排ガス31が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31との熱伝達が促進される構造としてもよく、また上部のアンモニア液30が接する面にフィン状のものを取り付け、排ガス31及びアンモニア液30との熱伝達が促進される構造であっても良い。
前記排ガス邪魔板15は、平板又は波板や湾曲した板に排ガス通気部が設けられ、一又は複数積層した構造を有する。ここで、図4及び図5を参照して、一例として本実施例に係る排ガス脱硝装置10を備えた一体型濾過集塵装置10’に適用される排ガス邪魔板15の具体的な例について説明する。
図4に示されるように、前記一体型濾過集塵装置10’の上方には前記排ガス脱硝装置10が設けられ、その下方には複数の濾布24が設けられている。前記排ガス脱硝装置10のダクト11内の前記アンモニア供給管13と触媒層16との間に設けられる邪魔板15は、一又は複数積層されて設置され、夫々排ガス31が流通する排ガス通気部を有する。前記邪魔板15が複数積層される場合には、排ガス上流側の邪魔板15Aは、前記排ガス31が混合されるように排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板15Bは、前記排ガス31が整流化されるように排ガス通気部が形成されていると良い。
これらの邪魔板15A、15Bは、平板又は波板や湾曲した板が設置されたものであり、前記排ガス通気部として排ガス通過穴が穿設された構造であるか、溝状、スリット状に排ガス通気部を有するか、クロス状構造で隙間に排ガス通気部を有するなどによって構成されている。また邪魔板15A、15Bそのものに微細な貫通孔を有しているものでもよい。排ガス通気部の割合は、空塔断面における1〜50%とするように邪魔板を設置するのがよく、好ましくは3〜20%である。これらの邪魔板15A、15Bは前記アンモニア供給管13より排ガス中に供給されたアンモニア水30が、排ガス中で均一な濃度となるように混合する役割を果たすため、空塔断面における排ガス通気部の割合を小さくするほど混合効果が高まるが圧損も上昇するため、排ガス分散部における圧損を50mmAq以下、好ましくは20mmAq以下とする必要があることから上記の範囲が決まってくる。
図5に該邪魔板15A(又は15B)の断面図及び配置例を示す。(i)は平板、(ii)は波板、(iii)は平板が傾斜を持ったもの、(iv)は平板がハの字型のもの、(v)は平板からなる邪魔板が1段目の排ガス通気部を覆うように2段目が配置され積層したものの断面図を示す。(v)においては混合効果が高くアンモニアの均一化が促進される。また(a)は邪魔板15A(又は15B)の両端に矩形状の排ガス通気部15aが穿設された構造である。アンモニアを含む排ガスは、前記排ガス通気部15aに一旦集中した後に分散されるため、アンモニアと排ガスとが十分に混合され、アンモニア濃度分布の均一化が図れる。同様に、(b)は邪魔板15A(又は15B)の両端と中央部に矩形状の排ガス通気部15bが穿設された構造であり、(c)は邪魔板15A(又は15B)に矩形状の排ガス通気部15cが複数穿設された構造であり、(d)は邪魔板15A(又は15B)に溝状の排ガス通気部15dが複数並列に穿設されたスリット構造であり、(e)は邪魔板15A(又は15B)にパンチング処理を施して複数の微小な排ガス通気部15eを穿設した多孔質構造であり、(f)は邪魔板15A(又は15B)の外周に排ガス通気部15hが設けられ、該邪魔板15を邪魔板支持棒15iで支持した構造となっている。これらの構造において、前記排ガス通気部15a〜eは排ガス流が低圧力損失となるように形成する。何れの構造においても、排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が達成でき、後段の触媒層16における脱硝効率を向上させることが可能となる。
尚、前記邪魔板15A(又は15B)の構造は、上記した構造に限定されるものではなく、排ガス中のアンモニア濃度分布を均一化させる構造であれば何れでも良いことは勿論である。
前記触媒層16に用いる触媒の形状は、ペレット状、ハニカム状、繊維状、シート状等の何れを用いてもよいが、特にペレット状触媒であることが好ましい。これは、ダイオキシン類のように分子量が大きい有害物質の分解においては、触媒をペレット状、繊維状、又はシート状にすることで触媒表面近傍の境膜抵抗を下げることができ、分解性能を著しく向上させることができるが、比較的製造が容易であり安価であるものはペレット状触媒であるからである。またその形状から排ガス脱硝装置10をより小型化することができ、触媒層16を通過する排ガスの撹拌効果も有するためである。また、該触媒層16としては、例えば酸化バナジウム系、酸化タングステン系、酸化モリブデン系、酸化チタン系、酸化珪素系の金属触媒を好適に用いることができる。
該触媒層16では、この上流側で注入されたアンモニアの存在下で、排ガスと触媒とが接触することにより触媒反応が起こり、排ガス中の窒素酸化物(NO)が窒素ガス(N)と水(HO)に分解・除去される。該触媒層16は、複数積層して配置しても良い。
以上の構成を有する排ガス脱硝装置10についてその作用を説明すると、前記アンモニア供給管13から滴下されたアンモニア液30は前記アンモニア液受け皿14に貯留され、該受け皿14内にて排ガス31の顕熱を利用して気化し、アンモニアガスとして排ガス31中に混合される。アンモニアガスと混合した排ガス31は邪魔板15により撹拌され、アンモニアガスが排ガス中に略均一に分散した状態で触媒層16に導入される。そして、前記排ガス31はアンモニア共存下で触媒層16を通過する際に触媒反応により排ガス中のNOを窒素と水に分解する。
このように本実施例では、アンモニア供給部12がアンモニア供給管13とアンモニア液受け皿14のみで構成されることから、装置を簡素化でき、且つ装置の小型化、省スペース化が可能となる。また、アンモニア液30の気化に外部熱源を利用する必要がないことから、ランニングコストを削減でき、且つ水蒸気等を利用しないことから燃焼設備にて発生する水蒸気を発電に回すことができる。さらに、液垂れの発生がないため、機器の腐食や触媒の溶出欠損等の不具合を回避することができ、またアンモニア液供給孔が閉塞し難いため、安定的に脱硝処理を行うことが可能となる。さらにまた、邪魔板15を設けているため、アンモニアガスと排ガス31が十分に混合するため脱硝性能の向上が達成できる。
本実施例は、特にアンモニア噴霧後触媒に到達するまでの滞留時間が少ない場合に有効である。また本実施例では、上下方向のガス流れでダクト断面積が小さく、アンモニア液受け皿にて気化に必要な面積が確保できない場合や横方向のガス流れにおいても効果的にアンモニア液を気化させ均一に混合させることができる。
また、本実施例では前記アンモニア液受け皿14を水平に配置しているが、図7に示されるように、前記アンモニア液受け皿14を、アンモニア供給孔より離れた側が下方となるように傾斜させるようにしても良い。これにより、アンモニア供給孔から滴下したアンモニア液が受け皿14の全面に素早く流れるようになり、受け皿全面より均一にアンモニア液を気化させることができ、排ガス中へのアンモニアガスの分散性を向上させることが可能となる。
ここで、前記アンモニア受け皿14が以下の条件である時に、アンモニア液を気化させるのに必要となる伝熱面積を有することを検討する。
上記したように前記アンモニア液受け皿14は、前記ダクト内のガス流路断面積に対して、該アンモニア液受け皿14がガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内となるようにし、好ましくは前記面積比率を2〜50%の範囲内としている。
具体的な実施例として、図6に示すような平底(厚さ2mm)の受け皿14を想定した場合、アンモニア液30を気化させるのに必要となる受け皿底面面積について検討を行ない、ダクト断面積に対する受け皿底面面積の割合について推算した結果を示す。
処理対象としては、ごみ焼却炉から排出される排ガスを用いた。この排ガスは、ガス量50,000Nm3/h、温度200℃、NO濃度100〜150ppm、アンモニア当量比0.7〜1.0、ダクト内流速0.5〜10m/sである。
検討にあたっては、排ガス流れがあるダクト内において、受け皿14内に存在するアンモニア液30が、受け皿底面からの伝熱及び上方液面からの対流伝熱により蒸発すると仮定し、供給したアンモニア液30が気化するのに必要となる受け皿底面面積を推算し、ダクト断面積に対する割合を導出した。
アンモニア液受け皿14が最小となるケースとして、処理NO量が少なく、(NO濃度100ppm、脱硝率70%程度を想定し、NH当量比0.7)空塔速度が10m/sと速い場合、ダクト断面面積が2.4m2に対し受け皿底面面積が0.063m2であり、受け皿の面積割合は2.6%となる。その他アンモニア液受け皿14が大きくなる条件での結果については、下記表1に示す。
さらに、ダクト内での排ガス偏流や、受け皿14のダスト等汚れ付着や腐食による伝熱不良、NH制御における応答遅れによるNH供給量増大などに対する安全率を見込み、アンモニア液受け皿が最大となるケースとして受け皿の面積割合は80%となる。この値は、過度の圧力上昇をもたらさない適当な値である。
これより、ダクト断面面積に対するNH液受け皿底面面積の割合は2〜80%、好ましくは2〜50%の範囲内で、この範囲内において前記アンモニア受け皿14はアンモニア液を気化するのに十分な伝熱面積を有することが確認された。
尚、これは平底の受け皿について想定したものであり、受け皿の壁が高く側面からの熱伝達も考慮できる場合はこの限りではない。このような受け皿の場合には、底面及び側面のうちアンモニア液との接触面の面積の和を上記受け皿底面面積として考えることで、アンモニア液受け皿の形状を決定することができる。
Figure 2006231200
図8に本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図を示す。本実施例2に係る一体型濾過集塵装置20は、前記実施例1に記載した排ガス脱硝装置10を備える。実施例1と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20は、上部に筒状の濾布が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
前記集塵部は、本体上部に設けられた濾布固定部より複数の濾布24が懸架され、ガス流に沿って並列に配置されている。該集塵部では、排ガス31に含有される煤塵や該集塵装置20の上流側で噴霧した消石灰等の薬剤などが濾布表面に付着、堆積してダスト層を形成する。一方、排ガス中に含有される酸性ガスは、同伴される薬剤との間で中和反応を起しながら前記堆積したダスト層の表面に到達するが、ここを通過する際に残存する酸性ガスが前記ダスト層中の未反応薬剤との間でさらに中和反応を起し、酸性ガスの殆どがここで除去される。
前記濾布24は定期的に洗浄することが好ましい。洗浄は、濾布24の上方に逆洗ノズル(不図示)を配し、空気を該逆洗ノズルに送り込み、ベンチュリ効果を利用して濾布24に高圧空気を噴霧して、濾布に付着したダスト層を払い落とす。払い落とされた飛灰を含むダストは、前記本体21の下部のホッパより排出される。
本実施例に係る一体型濾過集塵装置20では、前記排ガス入口22より装置本体21内に導入された排ガス31は、まず濾布24を通過して煤塵等が除去された後、前記アンモニア供給部12にて供給されるアンモニアガスと混合され、前記邪魔板15を通過する際に撹拌混合されてアンモニアガスが分散され、触媒層16に導入される。該触媒層16では、アンモニア共存下での触媒反応により排ガス中のNOが窒素と水に分解される。
このように、本実施例に係る集塵装置20では、集塵部と脱硝層16を一体化した装置構成としたため装置の小型化が図れ、また前記排ガス邪魔板15を設けたため、排ガス中のアンモニア濃度分布の均一化が可能となり、脱硝性能の向上を達成することができるとともに、集塵装置20により捕集された煤塵からアンモニア臭を無くすことができる。
比較例
図9に本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図を示す。本比較例に係る一体型濾過集塵装置20’において、前記実施例2と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示すように、この一体型濾過集塵装置20’は、上部に濾布24が装着され且つ下部がホッパ状で形成される本体21と、本体下部に設けられた排ガス入口22と、本体上部に設けられた排ガス出口23と、を有し、前記排ガス入口22から前記排ガス出口23まで上方に向けて排ガス31が通過するようになっている。
前記本体21内には、複数の筒状の濾布24が配列された集塵部と、その上方で前記排ガス出口23の近傍に配置された触媒層16と、前記濾布24と前記触媒層16との間に配設された前記アンモニア供給部12と、該アンモニア供給部12と前記触媒層16の間に配設された邪魔板15と、が収容されている。
次に、本比較例の特徴的な構成として、図10及び図11を参照して前記アンモニア供給部12の構成について説明する。本比較例にて前記アンモニア供給部12は、内部にアンモニア液30が供給される通路17bと、該通路17bの外周に、アンモニア液30が浸透する微細孔を複数有した多孔質体17aとからなるアンモニア供給体17により構成される。
前記アンモニア供給体17は、図10(a)に示されるように円筒状であっても良いし、(b)に示されるように角筒状であっても良く、さらに表面が凹凸を有していても良く、その形状は限定されない。また、前記多孔質体17aは、金属多孔質体、セラミックス多孔質体、耐熱高分子多孔質体等が好適に用いられる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、前記アンモニア供給体17は、平面上で2次元的に結合した形状であっても良いし、(c)に示されるようにガス流れ方向に排ガス流路を形成するように結合していたり、ランダムに3次元的に結合していても良い。
さらに、前記アンモニア供給体17は、一又は複数配置することも可能である。
比較例によれば、前記アンモニア供給体17に供給されたアンモニア液30は、多孔質体17aから供給体表面に浸透し、前記排ガス31との接触面又は微細孔を浸透する途中において排ガス31のもつ顕熱により気化され、排ガス中にアンモニアガスが混合する。
このように、アンモニア液30をそのまま排ガスダクト内に供給し、アンモニア供給体17の全面から均等に気化させることにより、アンモニアガスの均一分散効果が高まる。
図12及び図13に、本発明の実施例3に係る排ガス処理設備を示す。本実施例3の排ガス処理設備は、前記実施例2に記載した一体型濾過集塵装置20を備える構成となっている。
図12に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段若しくは同時に、消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
前記潮解性を有する酸性ガス除去剤41は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、重曹(NaHCO)、炭酸ナトリウム、(NaCO)等のナトリウム系薬剤、或いは水酸化カリウム(KOH)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸カリウム(KCO)等のカリウム系薬剤を用いることができる。好適にはこれらの薬剤を液状若しくはスラリー状で用いると良く、噴霧にはディスク状のロータリーアトマイザー等を用いることができる。また、前記液状薬剤の噴霧の際に既存の減温塔に導入して噴霧しても良く、これにより排ガスの減温効果も同時に得られる。
一方、前記消石灰42は粉末状であることが好ましいが、スラリー状であっても良い。
尚、これらの薬剤の導入量は、前記酸性ガス除去剤41の当量比が2.0以下で、且つ前記消石灰42の当量比が2.0以下であることがよい。
酸性ガス除去剤は潮解性を有するため、過剰に投入すると未反応の酸性ガス助剤がべたついて濾布に目詰まりを生じてしまう。また、酸性ガス除去剤や消石灰を多く使用すると薬剤コストが増大してしまう。このため、当量比は2.0以下がよいのである。
さらに、好ましくは、前記酸性ガス除去剤の当量比が0.5〜1.5で、且つ前記消石灰42の当量比が0.1〜1.6であることがよい。
酸性ガス除去剤は、特に、水酸化ナトリウム(NaOH)などの強アルカリ性物質では反応性が高いため導入した薬剤はほぼ全量反応に寄与することから、消石灰との複合効果が得られる当量比0.5以上で濾布目詰まりを起こさない1.5以下とすることが好ましいのである。また消石灰についても最低限の濾布保護剤としての役割を果たす当量比0.1以上とし、酸性ガス除去剤で残存する酸性ガスを十分除去できる1.6以下とするのが好ましい。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で200℃程度まで減温した後、該排ガスに酸性ガス除去剤41を噴霧し、HCl、SO等の酸性ガスを中和除去した後、後段若しくは同時に消石灰42を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤21で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。そして、集塵装置20で除塵及びダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物の除去を行なうとともに、前記アンモニア供給部12より放出されるアンモニアガスの存在下で前記触媒層16にて脱硝及びガス状ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物の分解が行なわれ、これらの有害物質が除去された処理ガス32は煙突43より大気放出される。
本実施例によれば、消石灰42に加えて、酸性ガスの中和効率が高く除去性能に優れた酸性ガス除去剤41を組合わせることで、薬剤使用量が減少するとともに濾過集塵装置10で捕集される飛灰処理量も減少するため、薬剤コスト及び灰処理コストが低減する。
また、酸性ガス除去剤41のように潮解性の高い薬剤を用いることにより、消石灰粒子近傍に水が介在して消石灰と酸性ガスとの中和反応が促進され、消石灰42の反応効率が高まり、一段と除去効率が高くなる。
また、酸性ガス除去剤41では、噴霧後の反応性生物や未反応物質が非常に細かい微粒子となる上に潮解性を有するため、従来は濾布24の目詰まりが起こり寿命が短くなったり、濾布24の保護するための助剤(珪藻土など)を大量に噴霧しなければならなかったが、本実施例では消石灰42を後段で噴霧することにより、この消石灰42が酸性ガス除去性能に寄与しながら濾布保護剤としての役割を果たすため、濾布を保護するための助剤噴霧量を著しく低減するか又は噴霧する必要がなくなるため、低コストで効率的に酸性ガスを除去できる。
さらに、減温塔で酸性ガス除去剤41を噴霧することにより、新たな薬剤供給スペースや供給座を設置することなく、且つ水が介在することで酸性ガスとの中和反応速度がより促進され薬剤使用量が減少することでコストが低減する。
このように、酸性ガス除去剤41及び消石灰42の供給により酸性ガス除去性能が向上して触媒の被毒劣化が抑制されるため、触媒層前段において排ガスの再加熱を行う必要が無い。従って、触媒層16を集塵部と一体化した本実施例2及び3に示した一体型濾過集塵装置20、20’を好適に採用できイニシャルコスト低減に繋がる上に、再加熱エネルギーを節約できランニングコストも低減することができる。
図13に、図12に示した排ガス処理装置の他の一例で、薬剤導入量制御装置を具備した排ガス処理設備を示す。該排ガス処理設備では、燃焼設備40から排出された排ガス31に水を噴霧して冷却する減温塔44と、該減温塔44内に液状の酸性ガス除去剤41を噴霧する酸性ガス除去剤導入手段と、該酸性ガス除去剤導入手段の後段にて排ガスに消石灰42を導入する消石灰導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガス32を大気放出する煙突43と、を備えている。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるSOx濃度を連続的に検出し、該検出されたSO濃度が所定のSO濃度以下となるように、酸性ガス除去剤導入量及び消石灰導入量の少なくとも何れか一方を制御する制御装置45を備えている。該制御装置45では、例えば検出SO濃度が所定基準値以上であった場合に、酸性ガス除去剤41を増量するように制御するか、或いは消石灰42を増量するように制御しても良いし、また、酸性ガス除去剤41と消石灰42の導入量を比率制御するようにしても良い。
また、前記集塵装置20の下流側にて前記処理ガス32に含有されるHCl濃度あるいはSO濃度とHCl濃度を同時に連続的に検出し、該検出されたHCl濃度あるいはSO濃度がそれぞれ所定のHCl濃度あるいはSO濃度以下となるように制御してもよい。
このように、SO濃度を集塵装置20の下流側にて連続モニタリングし、所定SO濃度濃度以下となるよう薬剤ガス除去剤及び消石灰の噴霧量を適正化することで、無駄な薬剤供給が無くなりランニングコストが低減するとともにSOによる触媒の被毒劣化を抑制できる。
図14に本実施例に係る排ガス処理設備につき説明する。実施例3と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
同図に示されるように、この排ガス処理設備は、燃焼設備40から排出された排ガス31に消石灰42を導入する消石灰導入手段と、該消石灰導入手段の後段に、潮解性を有する酸性ガス除去剤41を導入する酸性ガス除去剤導入手段と、前記一体型濾過集塵装置20と、該集塵装置20からの処理ガスを大気放出する煙突43と、を備えている。
前記排ガス処理装置では、まず燃焼設備40からの排ガス31をボイラー及び減温塔(不図示)で130〜250℃程度、好ましくは150〜210℃程度まで減温した後、該排ガスに消石灰42を噴霧し、HCl、SO等の酸性ガスを粗取りした後、後段に潮解性を有する酸性ガス除去剤41を噴霧して、排ガスダクト内及び前記集塵装置20の集塵部表面のダスト層において、前記酸性ガス除去剤41で除去しきれず残留する酸性ガスを中和除去する。
このように特に酸性ガス濃度が高い場合の処理において、除去性能は低いものの安価な消石灰により酸性ガスを粗取りした後、中和効率が高く除去性能に優れた潮解性を有する酸性ガス除去剤を少量噴霧し所定の濃度まで除去することで薬剤コストの増大を抑制し、トータルとして経済的かつ効率的に酸性ガスを除去できる。なおこの場合も、未反応の消石灰が存在するため濾布保護剤としての役割を果たす。
本発明の実施例1に係る排ガス脱硝装置の概略断面図である。 図1のアンモニア供給部の例を示す概略平面図である。 図1のアンモニア液受け皿の例を示す概略斜視図である。 図1の排ガス脱硝装置を備えた一体型濾過集塵装置の斜視図である。 本実施例1に係る邪魔板の例を示す平面図である 実施例1の具体的な装置構成を説明する図である。 本発明の実施例1の他の構成を示す脱硝装置の概略断面図である。 本発明の実施例2に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図である。 本発明の比較例に係る一体型濾過集塵装置の概略断面図である。 図9のアンモニア液供給体の例を示す概略斜視図である。 図9のアンモニア供給部の例を示す概略平面図である。 本発明の実施例3に係る排ガス処理設備を示す図である。 図12に加えて薬剤導入量制御装置を具備した排ガス処理設備を示す図である。 本発明の実施例4に係る排ガス処理設備を示す図である。
符号の説明
10 排ガス脱硝装置
11 ダクト
12 アンモニア供給部
13 アンモニア液供給管
14 アンモニア液受け皿
15 邪魔板
16 触媒層
17 アンモニア液供給体
20、20’ 一体型濾過集塵装置
24 濾布
30 アンモニア液
31 排ガス
32 処理ガス
41 潮解性を有する酸性ガス除去剤
42 消石灰
45 制御装置

Claims (11)

  1. 排ガス中の窒素化合物を除去する触媒部と、該触媒部より上流側のガス流路に配置されたアンモニア供給部と、を備えた排ガス脱硝装置において、
    前記アンモニア供給部が、前記ガス流路内にアンモニア液を供給するアンモニア液供給管と、該アンモニア液供給管の下方に配置され、該アンモニア液供給管から供給されたアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化する伝熱面積を有するように形成されたアンモニア液受け皿とから構成されることを特徴とする排ガス脱硝装置。
  2. 前記アンモニア供給部と前記触媒部との間のガス流路に、前記アンモニア液受け皿から気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる排ガス分散部を設けたことを特徴とする請求項1記載の排ガス脱硝装置。
  3. 前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板で形成されることを特徴とする請求項2記載の排ガス脱硝装置。
  4. 前記排ガス分散部は、排ガス通気部を有する邪魔板が間隔を存して複数段積層された構造であり、
    ガス流上流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが混合されるように前記排ガス通気部が形成され、ガス流下流側に位置する前記邪魔板は、前記排ガスが整流化されるように前記排ガス通気部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の排ガス脱硝装置。
  5. 前記アンモニア液受け皿が、前記アンモニア液供給管のアンモニア液供給孔より離れた側を下方に向けて傾斜させて配置されることを特徴とする請求項1若しくは2記載の排ガス脱硝装置。
  6. 前記ガス流路の断面積に対して、前記アンモニア液受け皿のガス流路断面を占める面積比率が2〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1若しくは2記載の排ガス脱硝装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の排ガス脱硝装置を装置本体内に備えた一体型濾過集塵装置であって、
    前記装置本体内の前記アンモニア供給部よりガス流上流側に濾過材が配設された集塵部を有し、排ガスの窒素化合物を除去するとともに煤塵、ダイオキシン類等の有機ハロゲン化合物を含む有害物質を除去することを特徴とする一体型濾過集塵装置。
  8. 装置本体内に、濾過材が配設された集塵部と、該集塵部に対してガス流下流側に設けられた触媒部とが収容されるとともに、前記集塵部と前記触媒部との間にアンモニア供給部が設けられ、排ガスに含有される煤塵及び窒素酸化物、有機ハロゲン化合物を含む有害物質を同時に除去するようにした一体型濾過集塵装置において、
    前記アンモニア供給部が、内部にアンモニア液が供給されるアンモニア通路と、該通路の外周を形成する多孔質体とからなるアンモニア供給体により構成され、該多孔質体の微細孔から浸透したアンモニア液を前記排ガスの顕熱により気化するようにし、
    前記触媒部よりガス流上流側に、前記気化したアンモニアガスを排ガス中に分散させる邪魔板を設けたことを特徴とする一体型濾過集塵装置。
  9. 請求項7若しくは8記載の一体型濾過集塵装置を備えた排ガス処理設備であって、
    前記一体型濾過集塵装置の上流側に、潮解性を有する酸性ガス除去剤を前記排ガスに導入する酸性ガス除去剤導入手段と、消石灰を前記排ガスに導入する消石灰導入手段とを設け、前記排ガスに含有される窒素酸化物、煤塵及び有機ハロゲン化合物を含む有害物質とともに酸性ガスを除去するようにしたことを特徴とする排ガス処理設備。
  10. 前記一体型濾過集塵装置の上流側に配設された減温塔に前記酸性ガス除去剤導入手段を付設し、該減温塔にて液状の酸性ガス除去剤と水を前記排ガスに噴霧するようにしたことを特徴とする請求項9記載の排ガス処理設備。
  11. 前記一体型濾過集塵装置の下流側に、排ガス中のSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方を連続的に検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出されたSO濃度或いはHCl濃度の少なくとも一方に基づき、前記酸性ガス除去剤の導入量及び前記消石灰の導入量のうち少なくとも何れか一方を制御するようにしたことを特徴とする請求項9記載の排ガス処理設備。
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