JP2006230222A - うどんおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高血圧の人の病人食として冷凍無塩うどんを提供する。
【解決手段】 本発明の冷凍無塩うどんは、練り合わせ時に0℃〜12℃に冷却した水を小麦粉と減圧下で練り合わせて麺帯のもとを形成し、これを圧延して麺帯とし、圧延した麺帯を切断して麺線とし、麺線を茹であげてから素早く冷凍して製造する。このように製造すると、麺帯が固くなりうま味特性を有するうどんとなる。
【選択図】図5
Description
本発明は、うどんおよびその製造方法に関し、特に、病院などで高血圧の人のための病人食として使用できるうどんおよびその製造方法に関する。
生活習慣病の一つである高血圧は、それだけでは疾患ではないため、サイレントキラーと言われるように特別な症状が出ないことが多い。しかし、高血圧の状態を長期間放置しておくと、高い血圧に対抗して働く心臓にはその負担による機能低下が生じ、また高い血圧がかかる血管には壁厚の増加による血管の硬化が生じるため、高血圧は、脳卒中などの脳血管疾患や心臓病、腎疾患など多くの疾病の誘因になるといわれている。
WHOによれば、高血圧は、最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上と定義されているが、2000年の第5次循環器疾患基礎調査によれば、日本人の30歳以上の人のうち、男性は約52%、女性は40%が高血圧に該当する。そのため、厚生労働省などによって、血圧を下げる様々な取り組みが奨励されている。
現在のところ血圧を上げる要因には、「食塩のとりすぎ」、「肥満」、「運動不足」、「精神的ストレス」などが考えられている。このうち、例えば、「食塩のとりすぎ」により高血圧となるのは、以下のように考えられている。すなわち、人が尿中へナトリウムを排泄する腎臓の能力を上回って食塩(塩化ナトリウム)を摂取しすぎると、ナトリウムは尿中に排泄されず体内に残る。そのため体内のナトリウム濃度は増加する。このとき、体内では水分を体に蓄えてナトリウム濃度を調節しようとする働き、循環する血流量は増加する。その結果、増加した血流量を体内に送ろうとして血圧が上がる。したがって、高血圧とならないためにも、あるいは、高血圧の人にとっても「食塩のとりすぎ」には十分な注意が必要である。
ところで、日本人の1日の塩分の平均摂取量は約13gであるが、高血圧などの人では、上記説明したような高血圧の要因である塩分の摂取量を低減するため、正常な人の塩分摂取量の半分程度が適当といわれている。また、日本人の1日の塩分の摂取量のうち半分は味噌・醤油・ソースといった調味料から摂取されるが、残りの半分は主食又は副食を通して摂取されているといわれている。
図1に、食品に含まれる食塩(塩分)の一例を示す。図1に示されるように、多くの食品中には食塩(塩分)が含まれている。例えば、副食であるあじ干物(中1枚60g)には食塩が1g、ハム(1枚20g)には食塩が0.5g含まれている。また、主食にも塩分が含まれており、例えば、食パン(6枚切りの1枚)には食塩が0.8g、茹でうどん(1玉220g)には食塩が0.7g含まれている。このように、1日の食事で摂取される食塩は、副食ばかりでなく、食パンやうどんなどの主食にも塩分が含まれている。また、1日の食事では、多くの栄養素を摂取しなければならず1日の食事で食べる食品の種類は多岐にわたっている。
従って、各食品に含まれる食塩の量は少量であっても、1日の食事の中で塩分の平均摂取量を約13g以下に抑えることには、かなりの努力が必要である。ましてや、1日の塩分の平均摂取量を正常の人の半分程度に抑えなければならない高血圧の人にとっては、更なる努力が必要である。そのため、1日3回の食事で食べる主食の選択は重要であり、今のところ、例えば、病院などにおいて、高血圧の病人食の主食としては、通常、塩分をほとんど含まないご飯が用いられており、塩分を含むうどんは主食として用いられていないされていないのが現状である。なお、うどん中に塩分を含むのはその製造方法に起因している(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平6−113767号公報
特開平7−184574号公報
ところで、病院などで長期間療養が必要な高血圧の病人にとって毎日の食事の主食としてご飯ばかり食べるのは単調で飽きるため、時には、うどんをご飯に代わる主食として食べたいと希望する場合もあると思われる。しかしながら、従来のうどんの製造方法では、食べるときのうま味特性をだすために、その製造工程において塩分の使用が必要なため、製造されたうどん中には、上記説明したように1玉当たり0.7gの食塩を含んでいる。このため、病院などにおいて高血圧の病人の要望に答えて病人食の主食としてうどんを使用できるようにするためには、塩分を極力減らしたうどんとし、さらにいつでも必要なときに簡単に調理できるような冷凍うどんなどの形態で提供できるようにする必要がある。
ここで、従来のうどんの製造方法において塩水を使用しなければならない理由について説明する。例えば、従来は、麺帯の原料である小麦粉を常温、13%程度の塩水と混合し、ミキサーによる練り合わせを大気圧で行ってそばろ状態の麺帯のもとを作り、次に、圧延して麺帯とし、麺帯を例えば6時間放置し麺帯を熟成させてさらに固くしてから切断することにより麺線を作り、次にこの麺線を茹で上げてうどんを製造していた。
上記の従来のうどんの製造方法において、塩水を使用し熟成するのは、麺帯を発酵させて固くすることにより、茹で上げたうどんにうどんのうま味特性(「コシの強さ」、「喉ごしの良さ」、「弾力性」)を付加するためである。
従って、水を使用した場合には、麺帯を固くすることができないので茹で上げたたうどんにうま味特性を付加できない。従って、高血圧の人の病人食として使用できるようにするには塩水を使用しなくとも麺帯を固くし、茹で上げたうどんにうま味特性を付加するなどの技術開発が必要である。
本発明は、上記説明した従来技術の問題点を解決することを出発点としてなされたものであり、その目的は、高血圧の人の病人食として使用でき、かつうま味特性を有するうどんおよびその製造方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態のうどんの製造方法は、以下の構成を有する。すなわち、ナトリウム含有量が200mg/l未満である水を冷却する冷却工程と、前記冷却した水と小麦粉とを減圧下で練り合せて麺帯のもとをつくる混合工程と、前記麺帯のもとを圧延して麺帯にし、麺帯を切断して麺線とする圧延切断工程と、を有することを特徴とする。
ここで例えば、前記冷却工程では、前記水を1℃〜12℃の範囲内の温度に冷却することが好ましい。
ここで例えば、前記混合工程では、前記冷却した水と小麦粉とを8〜140torrの範囲内の減圧下で練り合わることを特徴とする請求が好ましい。
ここで例えば、前記圧延切断工程では、前記麺帯のもとを15分以内に麺線とすることが好ましい。
ここで例えば、前記小麦粉は、中力一等粉であり、前記混合工程の前に前記中力一等粉を冷却することが好ましい。
ここで例えば、前記混合工程では、前記冷却した水を小麦粉と、小麦粉:水=100:42〜52の重量比で練り合せることが好ましい。
ここで例えば、前記麺線を沸騰水中で茹でる工程と、前記茹でた麺線を冷凍する工程と、を更に有し、前記茹でた麺線を冷凍するまでの時間が茹で上がりから15分以内であることが好ましい。
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の冷凍うどんは、以下の構成を有する。すなわち、冷凍したうどん中に含まれるナトリウム含有量が0.01重量%未満であり、茹で上げたうどんを15分以内に冷凍して前記冷凍したうどんとすることを特徴とする。
本発明のうどんの製造によれば、高血圧の人の病人食として使用でき、かつうま味特性を有するうどんを提供できる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、実施の形態に記載されている材料、構成要素、数値などは特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
最初に、本実施形態で使用する「水」について説明する。本実施形態で使用する「水」には、塩分を全く含まない水のほか天然水、水道水など微量の塩分を含む水も含まれる。水質基準に関する厚生省令第69号によれば、水道水として使用できる水中に含まれるナトリウムおよび塩素イオン量は、どちらも最大で200mg/l(基準値)である。したがって、通常の水道水には、微量のナトリウムおよび塩素イオンを含む場合もあるが、ナトリウムおよび塩素イオンが含まれる場合でもその量は、それぞれ200mg/l未満(食塩に単純換算すると400mg/l未満(0.04重量%未満))である。
[本発明の概要]
まず、本発明の「冷凍無塩うどん」およびその製造方法の特徴を説明する。本発明の特徴は、小麦粉を練り合わせるときに1〜12℃に冷却した「水」(水質基準内の微量のナトリウムを含んでもよい)を用い、従来のように麺帯を固くするために塩水を用いない点である。また小麦粉も冷却して用いるのが好ましい。このように、冷却した水や小麦粉を用いて練り合わせることで麺帯を固くすることができるので、茹で上げたうどんにうま味特性を付与することができる。このため本発明の「冷凍無塩うどん」は、微量(0.01重量%未満)のナトリウムしか含まないにもかかわらずうま味特性を有するため、高血圧の人の病人食として使用できる。
まず、本発明の「冷凍無塩うどん」およびその製造方法の特徴を説明する。本発明の特徴は、小麦粉を練り合わせるときに1〜12℃に冷却した「水」(水質基準内の微量のナトリウムを含んでもよい)を用い、従来のように麺帯を固くするために塩水を用いない点である。また小麦粉も冷却して用いるのが好ましい。このように、冷却した水や小麦粉を用いて練り合わせることで麺帯を固くすることができるので、茹で上げたうどんにうま味特性を付与することができる。このため本発明の「冷凍無塩うどん」は、微量(0.01重量%未満)のナトリウムしか含まないにもかかわらずうま味特性を有するため、高血圧の人の病人食として使用できる。
また、本発明の特徴は、練り合わせ時の圧力を、大気圧よりも低い圧力(300torr以下、好ましくは10〜140torr)とする点である。このように減圧とすることで、空気を減らして小麦粉間に水分を素早く浸透させることによりさらに固くした麺帯を短時間で製造することができる。
さらに、本発明の特徴は、麺帯のもとから麺線を切り出すときに短時間(例えば、15分以内)で行う点である。麺帯のもとから麺線を切り出すまでの時間を短縮することで麺帯が柔らかくなりうま味特性が低下することを低減できる。また、本発明の特徴は、茹で上げたうどんを冷凍にするまでを短時間(例えば、15分以内)で行う点である。本発明の「冷凍無塩うどん」は従来の塩分を含むうどんに比べて塩分を含んでいないため茹で上げたうどんの劣化が早い。そこで、茹で上げたうどんを冷凍にするまでの時間を短縮することで、茹で上げたうどんが劣化して柔らかくなりうま味特性が低下することを低減できる。また、使用時に解凍することで、茹で上げたうどんに近いうま味特性が得られる。本発明の「冷凍無塩うどん」100gに含まれるナトリウム量の一例は、2mg(0.002重量%)である。
<冷凍無塩うどんの製造>
次に、上記説明した「冷凍無塩うどん」の原料および製造方法について詳しく説明する。
次に、上記説明した「冷凍無塩うどん」の原料および製造方法について詳しく説明する。
[原料]
「冷凍無塩うどん」の原料としては、小麦粉と食塩をほとんど含まない水道水などの水を使用する。さらに、必要に応じて、少量の他の成分(澱粉)を添加して使用してもよい。
「冷凍無塩うどん」の原料としては、小麦粉と食塩をほとんど含まない水道水などの水を使用する。さらに、必要に応じて、少量の他の成分(澱粉)を添加して使用してもよい。
[水]
「水」として、天然水、水道水などを使用することができる。水道水には微量のナトリウム、塩素を含む場合があるが、多くてもそれぞれ200mg/l未満(水質基準)である。水は、小麦粉を練り合わせ、圧延して得られる麺帯を固くするために、冷却して用いる。図2に、水温と麺帯の固さの関係の一例を示す(小麦粉12℃の場合)。図2から示されるように、水の温度は1〜12℃の温度範囲に冷却するのが好ましく、20℃など冷却しない水を用いて製造された麺帯は柔らかすぎて茹でうどんの食感(うま味特性)が低下するため使用できない。また、水温は低いほど麺帯は固くなるが、水温が低すぎると温度管理が面倒になることから、3℃程度で使用するのが最も好ましい。
「水」として、天然水、水道水などを使用することができる。水道水には微量のナトリウム、塩素を含む場合があるが、多くてもそれぞれ200mg/l未満(水質基準)である。水は、小麦粉を練り合わせ、圧延して得られる麺帯を固くするために、冷却して用いる。図2に、水温と麺帯の固さの関係の一例を示す(小麦粉12℃の場合)。図2から示されるように、水の温度は1〜12℃の温度範囲に冷却するのが好ましく、20℃など冷却しない水を用いて製造された麺帯は柔らかすぎて茹でうどんの食感(うま味特性)が低下するため使用できない。また、水温は低いほど麺帯は固くなるが、水温が低すぎると温度管理が面倒になることから、3℃程度で使用するのが最も好ましい。
[小麦粉]
小麦粉は、中力一等粉を用いるのがよいが、中力一等粉としては、1種類でもあるいは複数の中力一等粉を混合して使用してもよい。例えば、中力一等粉として、オーストラリア産のオーストラリアン・スタンダード・ホワイトと、日本産(例えば、ホクシン製など)を任意の混合比で混合して使用することができる。ここで、オーストラリア産の中力一等粉で製造した麺帯はやや柔らかく、日本産で製造した麺帯はやや固すぎるので、これらを使用する場合には、適度の固さを得る混合比に混合して使用するのがよい。例えば、上記のオーストラリア産と日本産の中力一等粉の場合には、混合比1:1で混合するのがよい。なお、使用時には、使用する水の温度に合わせて冷却して使用するのが好ましい。例えば、水温が3℃の場合、小麦粉の温度は、−2〜18℃に冷却して使用するのが好ましく、より好ましくは、0〜6℃であり、最適な温度は4℃である。
小麦粉は、中力一等粉を用いるのがよいが、中力一等粉としては、1種類でもあるいは複数の中力一等粉を混合して使用してもよい。例えば、中力一等粉として、オーストラリア産のオーストラリアン・スタンダード・ホワイトと、日本産(例えば、ホクシン製など)を任意の混合比で混合して使用することができる。ここで、オーストラリア産の中力一等粉で製造した麺帯はやや柔らかく、日本産で製造した麺帯はやや固すぎるので、これらを使用する場合には、適度の固さを得る混合比に混合して使用するのがよい。例えば、上記のオーストラリア産と日本産の中力一等粉の場合には、混合比1:1で混合するのがよい。なお、使用時には、使用する水の温度に合わせて冷却して使用するのが好ましい。例えば、水温が3℃の場合、小麦粉の温度は、−2〜18℃に冷却して使用するのが好ましく、より好ましくは、0〜6℃であり、最適な温度は4℃である。
[他の成分]
冷凍無塩うどんに甘みなどを付加するために澱粉を添加してもよい。使用する澱粉の種類、量は、冷凍無塩うどんに付加する甘みの程度に応じて適時決定することができる。
冷凍無塩うどんに甘みなどを付加するために澱粉を添加してもよい。使用する澱粉の種類、量は、冷凍無塩うどんに付加する甘みの程度に応じて適時決定することができる。
[練り合せ(混練)工程]
[温度]
冷却した水と小麦粉とを混合し、練り合わせて低温に保持された麺帯のもと(そぼろ状態)を作ることは、麺帯を固くして茹でうどんのうまみ特性を向上するために重要である。そこで、練り上がった麺帯のもとの温度を冷却した水温と同程度の温度の1〜12℃の低温に管理する必要がある。一例を示せば、水温3℃、小麦粉の温度4℃で練り合せた場合に得られる麺帯のもとの温度は6℃である。なお、水温3℃、小麦粉の温度4℃は一例であり、水温、小麦粉の温度を適切な温度にすることにより1〜12℃の適切な温度範囲を得ることができる。
[温度]
冷却した水と小麦粉とを混合し、練り合わせて低温に保持された麺帯のもと(そぼろ状態)を作ることは、麺帯を固くして茹でうどんのうまみ特性を向上するために重要である。そこで、練り上がった麺帯のもとの温度を冷却した水温と同程度の温度の1〜12℃の低温に管理する必要がある。一例を示せば、水温3℃、小麦粉の温度4℃で練り合せた場合に得られる麺帯のもとの温度は6℃である。なお、水温3℃、小麦粉の温度4℃は一例であり、水温、小麦粉の温度を適切な温度にすることにより1〜12℃の適切な温度範囲を得ることができる。
[圧力(真空度)]
冷却した水を用い、さらに練り合わせのときの圧力(真空度)を140torr以下に減圧することにより得られる麺帯の固さを固くすることができる。図3に、圧力(真空度)と麺帯の固さの関係の一例を示す(小麦粉12℃の場合)。図3に示されるように、練り合わせの圧力は、300torr以下、特に、10〜140torrがより好ましく、大気圧では麺帯は柔らかすぎて使用に適さない。
冷却した水を用い、さらに練り合わせのときの圧力(真空度)を140torr以下に減圧することにより得られる麺帯の固さを固くすることができる。図3に、圧力(真空度)と麺帯の固さの関係の一例を示す(小麦粉12℃の場合)。図3に示されるように、練り合わせの圧力は、300torr以下、特に、10〜140torrがより好ましく、大気圧では麺帯は柔らかすぎて使用に適さない。
[小麦粉と水の混合比]
小麦粉と水の混合比は、原料の小麦粉の種類、製造された冷凍無塩うどんの固さやうま味特性に応じて適時決定されるが、例えば、小麦粉:水=1:1.9〜2.4の範囲が好ましい。例えば、オーストラリア産と日本産の中力一等粉を混合比1:1で使用する場合には、小麦粉:水=1:2.1の混合比がよい。
小麦粉と水の混合比は、原料の小麦粉の種類、製造された冷凍無塩うどんの固さやうま味特性に応じて適時決定されるが、例えば、小麦粉:水=1:1.9〜2.4の範囲が好ましい。例えば、オーストラリア産と日本産の中力一等粉を混合比1:1で使用する場合には、小麦粉:水=1:2.1の混合比がよい。
[茹で上げたうどんの劣化防止]
本発明の「冷凍無塩うどん」は従来の塩分を含むうどんに比べて塩分を含んでいないため茹で上げたうどんの劣化が早く進行する。そこで、茹で上げたうどんを冷凍にするまでの時間を短縮することにより茹で上げたうどんの劣化を低減する。図4に、茹で上げたうどんを冷凍にするまでの時間と茹で上げたうどんのこしの強さの関係を示す。茹で上げたうどんを冷凍にするまで15分以内で行うことで、茹で上げたうどんの劣化を抑えて茹で上げ直後に近い高品質に保つことができる。なお60分以上放置すると、劣化が進む商品価値が無くなる。また、「冷凍無塩うどん」とし使用時に解凍することで、茹で上げたうどんに近いうま味特性が味わうことができる。
本発明の「冷凍無塩うどん」は従来の塩分を含むうどんに比べて塩分を含んでいないため茹で上げたうどんの劣化が早く進行する。そこで、茹で上げたうどんを冷凍にするまでの時間を短縮することにより茹で上げたうどんの劣化を低減する。図4に、茹で上げたうどんを冷凍にするまでの時間と茹で上げたうどんのこしの強さの関係を示す。茹で上げたうどんを冷凍にするまで15分以内で行うことで、茹で上げたうどんの劣化を抑えて茹で上げ直後に近い高品質に保つことができる。なお60分以上放置すると、劣化が進む商品価値が無くなる。また、「冷凍無塩うどん」とし使用時に解凍することで、茹で上げたうどんに近いうま味特性が味わうことができる。
[製造方法]
次に、本発明の「冷凍無塩うどん」の製造方法について説明する。本発明の「冷凍無塩うどん」は下記に示す工程(1)〜(6)によって製造する。
(1)冷却工程
水を冷却し、小麦粉を冷やす。
(2)練り合せ(混練)工程
冷却した水と小麦粉とを真空ミキサーで減圧下で練り合わせて麺帯のもと(そぼろ状態の)を作る。
(3)圧延工程
麺帯のもとをプレス機で加圧して1つの固まりにし、圧延して麺帯にする。
(4)切出工程
麺帯を麺線に切り出す。
(5)釜茹工程
切り出した麺線を沸騰した釜で所定時間(例えば、8分)茹で上げる。
(6)洗浄・凍結工程
茹であげたうどんは、表面のぬめりを水道水で除去後、急速冷凍庫中で凍結させる。
次に、本発明の「冷凍無塩うどん」の製造方法について説明する。本発明の「冷凍無塩うどん」は下記に示す工程(1)〜(6)によって製造する。
(1)冷却工程
水を冷却し、小麦粉を冷やす。
(2)練り合せ(混練)工程
冷却した水と小麦粉とを真空ミキサーで減圧下で練り合わせて麺帯のもと(そぼろ状態の)を作る。
(3)圧延工程
麺帯のもとをプレス機で加圧して1つの固まりにし、圧延して麺帯にする。
(4)切出工程
麺帯を麺線に切り出す。
(5)釜茹工程
切り出した麺線を沸騰した釜で所定時間(例えば、8分)茹で上げる。
(6)洗浄・凍結工程
茹であげたうどんは、表面のぬめりを水道水で除去後、急速冷凍庫中で凍結させる。
本発明の冷凍無塩うどんは、上記(1)〜(6)の工程によって製造することができるが、上記説明した各工程について具体例を用いてより詳しく説明する。
[(1)冷却工程]
冷却器で水を1〜12℃に冷却する。小麦粉は冷蔵庫で例えば4℃に冷やす。
冷却器で水を1〜12℃に冷却する。小麦粉は冷蔵庫で例えば4℃に冷やす。
[(2)練り合せ工程]
冷却した水と小麦粉とを真空ミキサーを用いて減圧条件、例えば、10〜140torrで練り合わせる。水と小麦粉の重量比は、例えば、小麦粉:水=1:1.9〜2.4である。真空ミキサーは、(有)厨研設備メーカ製のものを使用し、6〜7分練り合わせてそぼろ状態の麺帯のもとを作る。
冷却した水と小麦粉とを真空ミキサーを用いて減圧条件、例えば、10〜140torrで練り合わせる。水と小麦粉の重量比は、例えば、小麦粉:水=1:1.9〜2.4である。真空ミキサーは、(有)厨研設備メーカ製のものを使用し、6〜7分練り合わせてそぼろ状態の麺帯のもとを作る。
[(3)圧延工程]
麺帯のもとを6kg計量し、ローリングプレス機((有)厨研設備メーカ製)に入れ、加圧して一つのかたまりとし、さらに、30秒間圧延して、600mm×200mm×40mmの板状の麺帯に成形する。
麺帯のもとを6kg計量し、ローリングプレス機((有)厨研設備メーカ製)に入れ、加圧して一つのかたまりとし、さらに、30秒間圧延して、600mm×200mm×40mmの板状の麺帯に成形する。
[(4)切出工程]
麺帯を麺機(讃岐麺機(株)メーカ製、手打ち麺機)で圧延して、最終的に450mm×450mm×3mmの薄板状物としてから機械包丁で4mm幅の麺線に切り出す。
麺帯を麺機(讃岐麺機(株)メーカ製、手打ち麺機)で圧延して、最終的に450mm×450mm×3mmの薄板状物としてから機械包丁で4mm幅の麺線に切り出す。
[(4)釜茹工程]
切り出した麺線を、沸騰水を含む茹で釜(讃岐麺機(株)メーカ製、反転釜)中で、8分茹であげる。
切り出した麺線を、沸騰水を含む茹で釜(讃岐麺機(株)メーカ製、反転釜)中で、8分茹であげる。
[(5)洗浄工程]
洗い漕(讃岐麺機(株)メーカ製)中で水道水を用いて茹で上がったうどんを洗浄して表面のぬめりを除去し、さらに5℃の冷水を用いて冷却する。なお、5℃の冷水で冷却するのは、次の凍結工程による凍結時間を短縮するためである。
洗い漕(讃岐麺機(株)メーカ製)中で水道水を用いて茹で上がったうどんを洗浄して表面のぬめりを除去し、さらに5℃の冷水を用いて冷却する。なお、5℃の冷水で冷却するのは、次の凍結工程による凍結時間を短縮するためである。
[(6)凍結工程]
洗浄した茹でうどんを−30℃から−40℃に保持した急速冷凍庫((株)クールテックメーカ製)中で30分保持して凍結させて冷凍無塩うどんとする。
洗浄した茹でうどんを−30℃から−40℃に保持した急速冷凍庫((株)クールテックメーカ製)中で30分保持して凍結させて冷凍無塩うどんとする。
[性能評価]
次に、上記方法で製造した冷凍無塩うどんの性能評価について説明する。冷凍無塩うどんの評価は、(1)麺帯による評価、(2)茹で上がったうどんの食感によるうま味特性の評価、(3)総合評価により行う。以下、各評価方法について説明する。
次に、上記方法で製造した冷凍無塩うどんの性能評価について説明する。冷凍無塩うどんの評価は、(1)麺帯による評価、(2)茹で上がったうどんの食感によるうま味特性の評価、(3)総合評価により行う。以下、各評価方法について説明する。
[(1)麺帯による評価]
麺帯は、下記に示す「滑らかさ」、「粘弾性」、「外観」の3基準で評価した。
(1)「滑らかさ」
○(良好):麺帯の表面は餅のつき上がりのようにつるっとした状態の場合、
×(不良):麺帯の表面にひび割れが見うけられる場合(水分不足)あるいは、プレス時に、麺帯の表面に水分が出てくる場合(水分過多)、
(2)「粘弾性」
○(良好):麺帯の両端を持ったら、徐々に伸る場合、あるいは、麺帯のもとを親指で押して深さ3cm程の穴をあけてから指を抜くと、抜いた瞬間から5秒ほどで、その穴が深さ1cm位まで盛り返してくる場合、
×(不良):上記の3cmの穴をあけるのに、大きな力が必要の場合、
(3)「外観」
○(良好):プレス機から取り出した麺帯のもとが600mm×200mm×40mmの板状に成形される場合、
×(不良):上記形状に成形されない場合。
麺帯は、下記に示す「滑らかさ」、「粘弾性」、「外観」の3基準で評価した。
(1)「滑らかさ」
○(良好):麺帯の表面は餅のつき上がりのようにつるっとした状態の場合、
×(不良):麺帯の表面にひび割れが見うけられる場合(水分不足)あるいは、プレス時に、麺帯の表面に水分が出てくる場合(水分過多)、
(2)「粘弾性」
○(良好):麺帯の両端を持ったら、徐々に伸る場合、あるいは、麺帯のもとを親指で押して深さ3cm程の穴をあけてから指を抜くと、抜いた瞬間から5秒ほどで、その穴が深さ1cm位まで盛り返してくる場合、
×(不良):上記の3cmの穴をあけるのに、大きな力が必要の場合、
(3)「外観」
○(良好):プレス機から取り出した麺帯のもとが600mm×200mm×40mmの板状に成形される場合、
×(不良):上記形状に成形されない場合。
[(2)うま味特性の評価]
茹で上がったうどんの食感によるうま味特性は、茹で上がったうどんをつゆに入れ、10名の試食者に試食してもらい、下記に示す「コシの強さ」、「喉ごしのよさ」、「弾力性」の3基準で評価してもらった。
(1)「コシの強さ」
○(良好):シコシコ感がある(うどんを噛むと麺の中心部に水分含有率の低い部分がある)
×(不良):うどんの断面が一律に固すぎるか、うどんの断面が一律に柔らすぎる
(2)「喉ごしのよさ」
○(良好):ツルツル感がある(うどんの表面がすべすべで滑るように喉を通り抜ける)
×(不良):うどんが固く、歯でよく噛んでからでないと飲み込めない
(3)「弾力性」
○(良好):モチモチ感がある(うどんを噛むと歯にまとわりつく、舌で押したときはね返る場合)
×(不良):うどんを噛むと、ボソボソに細かく切れる。
茹で上がったうどんの食感によるうま味特性は、茹で上がったうどんをつゆに入れ、10名の試食者に試食してもらい、下記に示す「コシの強さ」、「喉ごしのよさ」、「弾力性」の3基準で評価してもらった。
(1)「コシの強さ」
○(良好):シコシコ感がある(うどんを噛むと麺の中心部に水分含有率の低い部分がある)
×(不良):うどんの断面が一律に固すぎるか、うどんの断面が一律に柔らすぎる
(2)「喉ごしのよさ」
○(良好):ツルツル感がある(うどんの表面がすべすべで滑るように喉を通り抜ける)
×(不良):うどんが固く、歯でよく噛んでからでないと飲み込めない
(3)「弾力性」
○(良好):モチモチ感がある(うどんを噛むと歯にまとわりつく、舌で押したときはね返る場合)
×(不良):うどんを噛むと、ボソボソに細かく切れる。
[(3)総合評価]
総合評価は、麺帯による評価およびうま味特性の評価に基づいて、以下で評価した。
○:病人食に好ましい
△:病人食に適す
×:病人食に適さない
総合評価は、麺帯による評価およびうま味特性の評価に基づいて、以下で評価した。
○:病人食に好ましい
△:病人食に適す
×:病人食に適さない
本発明の「冷凍無塩うどん」の製造方法とたうどんの性能について、以下、具体的に説明する。
[実施例1〜6(図5)、比較例1〜6(図6)]
図5に、本製造方法で製造した6種類のうどんの原料配合、製造条件を示す。図5において、実施例1は、小麦粉として、オーストラリアン・スタンダード・ホワイト(オーストラリア産)とホクシン製(日本産)の中力一等粉とを混合比1:1で混合したものを使用し、原料配合を、水:小麦粉=1:2.1の重量比で混合したものを用いた。水は冷却器で3℃に冷却した水道水を用いた。小麦粉も冷蔵庫で4℃に冷却したものを使用した。水と小麦粉とは、真空ミキサーで40torrの減圧下で6分間練り合わせてそぼろ状の麺帯のもと(温度6℃)を作り、次に、麺帯のもとを6kg計量し、プレス機で加圧して1つの固まりとし、さらに30秒圧延して麺帯にした。次に、麺帯を5分以内に4mm幅に切り出し、切り出した麺線を沸騰した釜で8分茹でた。茹でたうどんを水道水で30秒間洗浄して表面のぬめりを除去し、さらに5℃の冷水で冷却してから急速冷凍庫中で30分凍結させて冷凍無塩うどんとした。茹でてから急速冷凍庫中に入れるまでの時間は5分以内であった。また、こうして得られた実施例1のうどん100mgに含まれるナトリウム量を、栄養表示基準成分分析法の検査方法である原子吸光光度法で測定したところ2mg(0.002重量%)であった。
図5に、本製造方法で製造した6種類のうどんの原料配合、製造条件を示す。図5において、実施例1は、小麦粉として、オーストラリアン・スタンダード・ホワイト(オーストラリア産)とホクシン製(日本産)の中力一等粉とを混合比1:1で混合したものを使用し、原料配合を、水:小麦粉=1:2.1の重量比で混合したものを用いた。水は冷却器で3℃に冷却した水道水を用いた。小麦粉も冷蔵庫で4℃に冷却したものを使用した。水と小麦粉とは、真空ミキサーで40torrの減圧下で6分間練り合わせてそぼろ状の麺帯のもと(温度6℃)を作り、次に、麺帯のもとを6kg計量し、プレス機で加圧して1つの固まりとし、さらに30秒圧延して麺帯にした。次に、麺帯を5分以内に4mm幅に切り出し、切り出した麺線を沸騰した釜で8分茹でた。茹でたうどんを水道水で30秒間洗浄して表面のぬめりを除去し、さらに5℃の冷水で冷却してから急速冷凍庫中で30分凍結させて冷凍無塩うどんとした。茹でてから急速冷凍庫中に入れるまでの時間は5分以内であった。また、こうして得られた実施例1のうどん100mgに含まれるナトリウム量を、栄養表示基準成分分析法の検査方法である原子吸光光度法で測定したところ2mg(0.002重量%)であった。
なお、図5では、実施例1の原料配合、製造条件を基準として表示する。実施例2〜6は実施例1と水温、真空度、配合比を変更した場合の実施例であり、表中に比較対照を明記した。実施例2は、水温が10℃の場合であり、実施例3、4は、真空度が、140、300torrの場合であり、実施例5、6は、配合比が、1:1.9,1:2.4の場合である。。
また、図5には実施例1〜6の条件で製造したうどんの性能を、前述の「麺帯による評価」、「うまみ特性による評価」、「総合評価」で評価した結果を合わせて示している。
図6に、比較例の6種類のうどんの原料配合、製造条件、性能評価結果を示す。比較例1〜6のうどんは、実施例1と同様の製造方法で製造し、図6の比較対照に示すように実施例1と異なる原料配合、製造条件のみを変更して製造したものである。
[水温の影響]
図5の実施例1,2と図6の比較例1を用いて、練り合わせ工程で、真空ミキサーの真空度40または140torrにおける水温の影響を比較する。水温を3〜10℃に冷却すると、麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1,2)、水温20℃(冷却しない)では、麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良となる(比較例1、2)。このことから、水温は3〜10℃程度に冷却する必要がある。この結果は、麺帯が固くなったことに起因すると考えられる。
図5の実施例1,2と図6の比較例1を用いて、練り合わせ工程で、真空ミキサーの真空度40または140torrにおける水温の影響を比較する。水温を3〜10℃に冷却すると、麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1,2)、水温20℃(冷却しない)では、麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良となる(比較例1、2)。このことから、水温は3〜10℃程度に冷却する必要がある。この結果は、麺帯が固くなったことに起因すると考えられる。
[真空度の影響]
図5の実施例1、3、4と図6の比較例3を用いて、練り合わせ工程で、水温3℃における真空ミキサーの真空度の影響を比較する。真空度を40〜140torrまで減圧すると、麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1,3)、真空度を300torrとすると、麺帯は良好であるが茹で上がったうどんのこしの強さが低下し、大気圧では、麺帯の粘弾性、外観および茹で上がったうどんのうま味特性(こしの強さ、喉ごしの良さ)が低下する(比較例3)。このことから、真空度は40〜140torr程度まで減圧する必要がある。この結果は、十分に減圧することで小麦粉間に水分が素早く浸透して固い麺帯になったことに起因すると考えられる。
図5の実施例1、3、4と図6の比較例3を用いて、練り合わせ工程で、水温3℃における真空ミキサーの真空度の影響を比較する。真空度を40〜140torrまで減圧すると、麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1,3)、真空度を300torrとすると、麺帯は良好であるが茹で上がったうどんのこしの強さが低下し、大気圧では、麺帯の粘弾性、外観および茹で上がったうどんのうま味特性(こしの強さ、喉ごしの良さ)が低下する(比較例3)。このことから、真空度は40〜140torr程度まで減圧する必要がある。この結果は、十分に減圧することで小麦粉間に水分が素早く浸透して固い麺帯になったことに起因すると考えられる。
[水温と真空度との影響]
比較例1,2より、練り合わせ工程において、水温20℃(冷却しない)の場合には、真空度を140から40torrまで減圧しても麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良好のまま変化しない。また、実施例1、3、4と比較例3より、練り合わせ工程において、水温3℃に冷却した場合には、真空度が760→300→140〜40torrと減圧の程度を大きくするにつれ麺帯および茹で上がったうどんの性能が向上する。このことから、水温を3〜10℃(麺帯のもとの温度3〜10℃程度)に冷却し、真空度を300torr以上、好ましくは40〜140torrに減圧することは、うま味特性を有する「冷凍無塩うどん」をつくるための必須の条件である。
比較例1,2より、練り合わせ工程において、水温20℃(冷却しない)の場合には、真空度を140から40torrまで減圧しても麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良好のまま変化しない。また、実施例1、3、4と比較例3より、練り合わせ工程において、水温3℃に冷却した場合には、真空度が760→300→140〜40torrと減圧の程度を大きくするにつれ麺帯および茹で上がったうどんの性能が向上する。このことから、水温を3〜10℃(麺帯のもとの温度3〜10℃程度)に冷却し、真空度を300torr以上、好ましくは40〜140torrに減圧することは、うま味特性を有する「冷凍無塩うどん」をつくるための必須の条件である。
[圧延後およびゆで上がり後の処理]
実施例1と比較例4との比較により、麺帯のもとを15分以内に圧延して得られる麺帯をただちに麺線に切り出す場合の麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1)、6時間保持してから切り出す場合には、麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良となる。この結果から、麺帯のもとは15分以内に圧延して麺線に切り出すのがよい。この結果は、麺帯が劣化し柔らかくなったためである。また、図には示さなかったが、実施例2,3において、保持時間を6時間と変更した場合にも比較例4と同様の結果が得られた。また、図4に示したように、ゆであがったうどんのこしの強さは時間と共に低下し、好ましくは60分以内、より好ましくは15分以内に冷凍庫に保管する必要があり、60分以上冷凍庫に保管するしない場合も比較例4と類似する結果が得られた。この結果は、麺帯が劣化し柔らかくなったためである。
実施例1と比較例4との比較により、麺帯のもとを15分以内に圧延して得られる麺帯をただちに麺線に切り出す場合の麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1)、6時間保持してから切り出す場合には、麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良となる。この結果から、麺帯のもとは15分以内に圧延して麺線に切り出すのがよい。この結果は、麺帯が劣化し柔らかくなったためである。また、図には示さなかったが、実施例2,3において、保持時間を6時間と変更した場合にも比較例4と同様の結果が得られた。また、図4に示したように、ゆであがったうどんのこしの強さは時間と共に低下し、好ましくは60分以内、より好ましくは15分以内に冷凍庫に保管する必要があり、60分以上冷凍庫に保管するしない場合も比較例4と類似する結果が得られた。この結果は、麺帯が劣化し柔らかくなったためである。
[水温、真空度、圧延後およびゆで上がり後の処理]
上記結果をまとめると、うま味特性を有する「冷凍無塩うどん」を製造する条件は、水温を3〜10℃に冷却し小麦粉も水温に応じて冷却し(麺帯のもとの温度は3〜10℃程度)、真空度が40〜140torrであり、15分以内に麺帯のもとを圧延して得られる麺帯を切断して麺線にし、茹であがったうどんは茹であがりから15分以内に冷凍庫に保管したものである。
上記結果をまとめると、うま味特性を有する「冷凍無塩うどん」を製造する条件は、水温を3〜10℃に冷却し小麦粉も水温に応じて冷却し(麺帯のもとの温度は3〜10℃程度)、真空度が40〜140torrであり、15分以内に麺帯のもとを圧延して得られる麺帯を切断して麺線にし、茹であがったうどんは茹であがりから15分以内に冷凍庫に保管したものである。
[原料配合(水:小麦粉比)の影響]
実施例1、5,6と比較例5,6との比較により、原料配合を水:小麦粉=1:1.9〜2.4で使用すると、麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1、5,6)、原料配合が水:小麦粉=1:2.5、あるいは水:小麦粉=1:1.8の場合、麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良になる(比較例5,6)。このことから、原料配合も麺帯および茹で上がったうどんの食感に影響を及ぼすので、本実施例の場合、水:小麦粉=1:1.9〜2.4が適当である。
実施例1、5,6と比較例5,6との比較により、原料配合を水:小麦粉=1:1.9〜2.4で使用すると、麺帯および茹で上がったうどんの食感は良好であるが(実施例1、5,6)、原料配合が水:小麦粉=1:2.5、あるいは水:小麦粉=1:1.8の場合、麺帯および茹で上がったうどんの食感は不良になる(比較例5,6)。このことから、原料配合も麺帯および茹で上がったうどんの食感に影響を及ぼすので、本実施例の場合、水:小麦粉=1:1.9〜2.4が適当である。
[付記]
最後に、本実施例と特開平11−266812号公報(以下、先行技術文献という)との違いについて付記する。先行技術文献には、穀粉の70重量%以上の中力一等粉を用い食塩を添加しないうどんの製造方法を開示している。その製造方法によれば、穀粉、水、添加物をミキサーを用いて混合し生地に調製し、その生地を混練後、減圧下、すなわち600torr以下の減圧下で押し出すことが記載されており、また、生地の変成や劣化の防止のなどの点から、混練時の生地の品温は60℃以下が好ましく、20〜55℃で行うことがより好ましいと記載されている(先行技術文献の明細書:段落[0016]〜[0017])。この20〜55℃の温度範囲は、本実施例では、常温あるいは加温された温度の範囲に相当する温度である。このように、先行技術文献には、混練時の生地の品温を20〜55℃(常温あるいは加温された温度)に保つことにより生地の変成や劣化を防止するうどんの製造方法が記載されている。
最後に、本実施例と特開平11−266812号公報(以下、先行技術文献という)との違いについて付記する。先行技術文献には、穀粉の70重量%以上の中力一等粉を用い食塩を添加しないうどんの製造方法を開示している。その製造方法によれば、穀粉、水、添加物をミキサーを用いて混合し生地に調製し、その生地を混練後、減圧下、すなわち600torr以下の減圧下で押し出すことが記載されており、また、生地の変成や劣化の防止のなどの点から、混練時の生地の品温は60℃以下が好ましく、20〜55℃で行うことがより好ましいと記載されている(先行技術文献の明細書:段落[0016]〜[0017])。この20〜55℃の温度範囲は、本実施例では、常温あるいは加温された温度の範囲に相当する温度である。このように、先行技術文献には、混練時の生地の品温を20〜55℃(常温あるいは加温された温度)に保つことにより生地の変成や劣化を防止するうどんの製造方法が記載されている。
一方、本実施例では、冷却器を用いて3〜12℃程度の冷却した水を冷却した小麦粉と混合し、真空度が40〜140torrの減圧下で練り合わせることにより、得られる麺帯を固くして茹で上がったうどんの食感を良好にする「冷凍無塩うどん」の製造方法を記載している。本実施例で得られる麺帯のもとの温度は、冷却器を用いて3〜12℃に冷却した水と同程度の温度(3〜12℃)であり、冷却した水や小麦粉を使用することで麺帯のもとを低温に保持することを特徴とする(例えば、水温3℃に冷却した水と4℃に冷却した小麦粉とを用いて練り合わせた麺帯のもとの温度は6℃である。)。このように麺帯のもとを低温に保持するのは麺帯を固くして茹で上がったうどんのうま味特性を良好とするためである。なお本実施例の比較例として、冷却しない18℃の水と小麦粉とを用いて麺帯のもとを製造したところ、その温度は20℃(常温以上)となり、こうして得られた麺帯は柔らかくなり、茹で上がったうどんのうま味特性が低下した。
従って、混練時の生地の品温を20〜55℃(常温又はそれ以上に加温)にして生地の変成や劣化を防止することを開示した先行技術文献と、3〜12℃程度に冷却した水を用いて水温と同程度の温度の麺帯のもと(先行技術文献の生地に相当)を作ることにより麺帯に固さを付与する本実施例とでは、練り合わせの温度の設定の考えは全く逆の方向を向いているといえる。このように、先行技術文献には、冷却した水や小麦粉を用いて固い麺帯のもとを作ることについての記載や示唆はない。
Claims (8)
- ナトリウム含有量が200mg/l未満である水を冷却する冷却工程と、
前記冷却した水と小麦粉とを減圧下で練り合せて麺帯のもとをつくる混合工程と、
前記麺帯のもとを圧延して麺帯にし、麺帯を切断して麺線とする圧延切断工程と、
を有することを特徴とするうどんの製造方法。 - 前記冷却工程では、前記水を1℃〜12℃の範囲内の温度に冷却することを特徴とする請求項1に記載のうどんの製造方法。
- 前記混合工程では、前記冷却した水と小麦粉とを8〜140torrの範囲内の減圧下で練り合わることを特徴とする請求項1に記載のうどんの製造方法。
- 前記圧延切断工程では、前記麺帯のもとを15分以内に麺線とすることを特徴とする請求項1に記載のうどんの製造方法。
- 前記小麦粉は、中力一等粉であり、前記混合工程の前に冷却することを特徴とする請求項1に記載のうどんの製造方法。
- 前記混合工程では、前記冷却した水を小麦粉と、小麦粉:水=100:42〜52の重量比で練り合せることを特徴とする請求項1に記載のうどんの製造方法。
- 前記麺線を沸騰水中で茹でる工程と、
前記茹でた麺線を冷凍する工程と、
を更に有し、
前記茹でた麺線を冷凍するまでの時間が茹で上がりから15分以内であることを特徴とする請求項1に記載のうどんの製造方法。 - 冷凍したうどん中に含まれるナトリウム含有量が0.01重量%未満であり、
茹で上げたうどんを15分以内に冷凍して前記冷凍したうどんとすることを特徴とするうどん。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005046194A JP2006230222A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | うどんおよびその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013223461A (ja) * | 2012-04-23 | 2013-10-31 | Nisshin Flour Milling Inc | 麺類の製造方法 |
JP2014100106A (ja) * | 2012-11-21 | 2014-06-05 | Torigoe Flour Milling Co Ltd | 高食味食感の食物繊維入りうどん |
JP2014236670A (ja) * | 2013-06-06 | 2014-12-18 | テーブルマーク株式会社 | 冷凍麺の保存安定性を向上する方法 |
-
2005
- 2005-02-22 JP JP2005046194A patent/JP2006230222A/ja not_active Withdrawn
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