JP2006229323A - 伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 OFDM方式のディジタル放送を移動受信する環境下における情報伝送路の状況を推定可能にし、更に、この推定結果を基に受信状態を制御し、受信性能を向上する。
【解決手段】 遅延プロファイル生成回路9において遅延プロファイル信号を生成し、ゴースト判定回路10はこの遅延プロファイル信号について、移動車輌の走行時に発生するゴーストの有無を切換スイッチ8からの伝送モードの信号を基に判定し、これら遅延プロファイル信号およびゴースト有無の判定信号とを蓄積部11を介し窓制御回路13へ送出する。窓制御回路13はガード相関信号生成回路12からのガード相関信号および前記蓄積部11からの信号とによりFFT回路5のFFT窓位置を設定制御する。
【選択図】 図5

Description

この発明は直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式のディジタル放送を移動受信する環境下における情報伝送路の状況を推定可能にし、さらに、この推定結果を基に前記放送の受信状態を制御するようにした伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置に関するものである。
多数のキャリアを使用し、情報を分散させて伝送する直交周波数分割多重(以下、「OFDM」とする)方式のディジタル放送の受信において、その放送による情報の伝送路状況を推定する手段として、遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイルの算出が挙げられる。この遅延プロファイルは、現在受信している到来パス(伝送路)環境を知ることができ、このため、例えば山岳等の反射による遅延波が混在するマルチパス環境や、SFN(単一周波数ネットワーク)によって発生するマルチパス環境下において、遅延パスの成分がシンボル間干渉を起こさない、即ち、全てのパス成分がガードインターバルの範囲内に入るようなFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)窓の開始位置を決定する手段として用いることができる。
上記遅延プロファイルに関する従来の技術として例えば以下のものがある。
従来例その1として、この技術は、特殊な電波や受信機を用いることなく、既存の電波を利用して情報伝送路の伝播条件を求めることを目的とし、その構成として、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)演算器によりベースバンド信号に対してFFT処理を行って周波数軸信号に変換し、このFFT演算器の出力の周波数軸信号から周波数軸上に配置されている、振幅・位相等化用のスキャッタードパイロット(SP)信号(以下、「パイロット信号」とする)のみをパイロット信号抽出器により抜き出す。続いて、振幅・位相周波数特性検出器により、振幅・位相等化用のパイロット信号を補間し、振幅、位相に関するそれぞれの周波数特性信号を生成し出力する。IFFT(Inverse Fast Fourier Transform;逆高速フーリエ変換)演算器により、振幅・位相周波数特性検出器の出力の時間軸信号を求め、遅延時間に対す遅延波受信電力量を検出する。このようにして検出された電力量を遅延プロファイルとして、予め決められた形式で表示器に表示し、必要ならばデータ保存器に保存しておく(例えば、特許文献1参照)。
従来例その2として、この技術は、OFDM変調方式によるディジタル放送を受信する際に、前ゴースト信号を含む遅延波を受信した場合にも、速やかにFFT窓(ウインドー)を適切な位置へ制御し、受信信号の品質を向上させることを目的とし、その構成として、OFDM信号の伝送シンボルから有効シンボル期間を切り出してフーリエ変換するFFTと、前記OFDM信号とその遅延信号との相関を求めてガード相関結果を出力するガード相関部と、前記OFDM信号のパイロット信号を逆FFT演算して遅延プロファイルを求める遅延プロファイル演算部と、前記ガード相関結果に応じた信号と前記遅延プロファイルに応じた信号とを混合し、前記演算範囲を制御するタイミング信号を前記混合した結果の信号に基づいて生成するタイミング信号生成部とを備えたディジタル放送受信装置を得るようにしたものである(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−115087号公報 特開2004−96187号公報
OFDM方式ディジタル放送の受信における従来の遅延プロファイルの生成技術、または遅延プロファイルの利用技術は以上のように構成され、前者については特殊な電波や受信機を用いることなく情報伝送路の伝播条件を求めることができ、後者については受信信号の品質を向上できるといった効果を奏するが、これら双方の技術はディジタル放送受信装置が移動車輌等に搭載され、高速移動した場合の環境については対処していない。
このように、ディジタル放送受信装置が移動車輌等に搭載され、高速移動した場合、前述のようなマルチパス環境下において発生する通常の「遅延波」(前述の「前ゴースト」もそれに当る)とは異なる、本来は存在しない「ゴースト」が発生する。このゴーストは静止状態では発生せず、移動車輌等の走行速度が速くなるほど主波(真の信号)と拮抗するレベルとなる性質を有している。
このため、高速移動の環境下において前記従来例その1の構成により遅延プロファイルを生成してもゴーストの存在を判定できず、伝送路の状況の推定精度が劣るという問題があった。
また、このゴーストは上記のように通常の遅延波とは異なるので、前記従来例その2の構成のようにFFT窓の制御を実施すると、このFFT窓制御の状態がゴーストによって変化し、この結果として誤動作を起こし受信障害を招くという問題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、OFDM方式のディジタル放送を受信するディジタル放送受信装置が移動車輌等に搭載されて高速移動した場合において、従来同様に遅延プロファイルを生成するとともに、この生成した遅延プロファイルからゴースト有無の判定を可能にして伝送路の状況の推定の精度を向上し、さらに、このゴースト判定の結果を加味してFFT窓制御し、放送信号の受信性能の向上を図った伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置を得ることを目的とする。
この発明に係る伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置は、複数のキャリアおよびパイロット信号とを有した直交周波数分割多重信号を直交復調した直交復調信号を時間軸信号から周波数軸信号へフーリエ変換するフーリエ変換回路と、前記直交周波数分割多重信号の伝送モードを表す信号を発生出力するモード出力手段と、前記フーリエ変換回路よりの周波数軸信号から抽出したパイロット信号の位相および振幅を基に遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成する一方、移動車輌の走行時に発生するゴーストが前記遅延プロファイル信号に存在するか否かについて前記伝送モードを表す信号を基に判定し、ゴースト有無の判定信号を発生し、これら遅延プロファイル信号および判定信号とを伝送路推定情報として保存または出力する伝送路推定手段とを備えたものである。
この発明によれば、直交周波数分割多重信号の伝送路を推定する伝送路推定手段をディジタル放送受信装置に備え、この伝送路推定手段において、遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成するとともに、移動車輌の走行時に発生するゴーストの有無の判定信号を発生し、これら遅延プロファイル信号および判定信号とを伝送路推定情報として保存または出力するように構成したので、ディジタル放送受信装置が移動車輌等に搭載され、高速移動した場合の環境下においても、マルチパス環境下において発生する通常の「遅延波」のみならず、この遅延波と異なる前記「ゴースト」の存在有無を把握でき、移動車輌が走行時にあっても直交周波数分割多重信号の伝送路を推定することができ、伝送路推定のレベルを向上できる。
また、上記伝送路推定結果でディジタル放送受信装置を受信制御することにより、このディジタル放送受信装置の受信性能の向上が可能となる。
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
図1において、この伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置は、受信アンテナ1、チューナ部2、A/D変換部3、直交復調回路4、フーリエ変換回路(以下、「FFT回路」とする)5、モード検出回路6、入力装置7、切換スイッチ8、遅延プロファイル生成回路9、ゴースト判定回路10および蓄積部11とで構成される。
上記構成において、チューナ部2は受信アンテナ1から入力された放送電波(RF信号)から所望のOFDM方式ディジタル放送を選局し、所定周波数およびレベルの中間周波(IF)信号に変換する。
A/D変換部3はチューナ部2からの中間周波(IF)信号をアナログ信号からディジタル信号へ変換する。
直交復調回路4はA/D変換部3からのディジタル信号を直交復調してI信号(同相成分)およびQ信号(直交成分)に分割した直交復調信号を出力する。
FFT回路5は直交復調回路4からのI信号およびQ信号を時間軸信号から周波数軸信号にフーリエ変換する。
モード検出回路6は直交復調回路4からのI信号およびQ信号を基に、OFDM方式ディジタル放送の現在の伝送モードを自動検出する。なお、この伝送モードは日本の現行方式の場合、モード1〜モード3の3種類である。
入力装置7は上記伝送モードをユーザが手動操作により指定入力するものである。
切換スイッチ8はモード検出回路6により自動検出した伝送モードまたは入力装置7により指定した伝送モードのいずれかを表す信号を選択し切り換えるものであり、ユーザが手動操作して決定する。
上記モード検出回路6、入力装置7および切換スイッチ8とでモード出力手段を形成する。
遅延プロファイル生成回路9はFFT回路5から出力される周波数軸信号を用いて、この周波数軸上に配置されている振幅および位相等化用のパイロット信号(SP)を抽出し、その他のキャリアについて補間した後にIFFT処理して時間軸信号に逆フーリエ変換し、遅延時間に対す遅延波受信電力量を算出して遅延プロファイル信号を生成する。
上記パイロット信号の配置関係を図2に示す。図2はパイロット信号配置関係の説明図であり、「○」は情報データを示す。
図2に示すように、パイロット信号(SP)は12キャリア毎、且つ、4シンボル毎の予め決められたキャリア位置に配置されて放送される。また、このパイロット信号はBPSK変調(2相位相変調)されて送出されるが、配置されるキャリア位置に対応して位相および振幅が規定されており、これら位相および振幅の変動を調べることで伝送路の周波数特性を知ることができる。その他の情報データ伝送用のキャリアの周波数特性は、例えば直線補間するなどして推定し、全てのパイロット信号の周波数特性と、推定されたその他全てのキャリアの周波数特性からIFFTの処理を施し、電力量を求めることで遅延時間に対す遅延波受信電力量の関係を表す遅延プロファイルを得る。
ゴースト判定回路10は遅延プロファイル生成回路9で生成された遅延プロファイル信号について、切換スイッチ8からの伝送モードの信号より決定されるパイロット信号キャリアの周波数間隔に相当する時間間隔の位置に等間隔で「波」が存在するかを調べ、この位置に検出された場合に同調位置以外の「波」を「ゴースト」と判定し、「ゴースト有り」の判定信号を出力する。これに対し、「ゴースト」として判定しないときには「ゴースト無し」の判定信号を出力する。
上記ゴーストの発生の様子を図3に示す。図3はゴースト発生の説明図である。
前述のように、ディジタル放送受信装置が移動車輌等に搭載されて高速移動した場合、例えば図3中の丸(○)印に示すような位置にゴーストが発生する。このゴーストが通常の遅延波と異なる等のゴーストの性質については既に説明した通りである。ゴースト判定回路10は遅延プロファイル信号について、通常の遅延波と異なる前記図3のようなゴーストの有無を判定し、その判定結果としての判定信号を出力する。
蓄積部11は遅延プロファイル生成回路9で生成された遅延プロファイル信号を保存するが、この保存の際にゴースト判定回路10から出力されるゴースト有無の判定信号を合わせ、伝送路推定情報として保存する。
上記遅延プロファイル生成回路9、ゴースト判定回路10および蓄積部11とでこの実施の形態1における伝送路推定手段を形成する。
また、上記説明中の受信アンテナ1、チューナ部2、A/D変換部3、直交復調回路4およびFFT回路5はディジタル放送受信機能を形成し、モード検出回路6、入力装置7および切換スイッチ8とで形成されるモード出力手段、および遅延プロファイル生成回路9、ゴースト判定回路10および蓄積部11とで形成される伝送路推定手段は伝送路推定機能を形成している。
次に、図1の基本動作について説明する。
受信アンテナ1で受信された放送電波から所望のOFDM方式ディジタル放送がチューナ部2で選局され、所定周波数およびレベルの中間周波(IF)信号に変換される。この中間周波(IF)信号はA/D変換部3においてディジタル信号化され、直交復調回路4へ入力する。直交復調回路4はこのA/D変換部3からのディジタル信号を直交復調してI信号およびQ信号に分割し、これらI信号およびQ信号をFFT回路5およびモード検出回路6へ送出する。
FFT回路5は直交復調回路4からのI信号およびQ信号を時間軸信号から周波数軸信号に変換し、後段の復号回路(図示せず)および遅延プロファイル生成回路9へそれぞれ送出する。この復号回路以降において放送の原情報データが再生される。
また、モード検出回路6においては直交復調回路4からのI信号およびQ信号を基に、ディジタル放送波の現在の伝送モードを検出し、検出した伝送モードの信号を切換スイッチ8へ送出する。この切換スイッチ8で選択されたモード検出回路6による伝送モードまたは入力装置7により指定した伝送モードのいずれかの信号がゴースト判定回路10へ送られる。
一方、遅延プロファイル生成回路9はFFT回路5から出力される周波数軸信号から振幅および位相等化用のパイロット信号(SP)を抽出し、その他のキャリアについて補間した後にFFT処理して時間軸信号に変換し、遅延時間に対す遅延波受信電力量を算出して遅延プロファイル信号を生成する。生成された遅延プロファイル信号はゴースト判定回路10および蓄積部11へ送出される。
ゴースト判定回路10は遅延プロファイル信号について「ゴースト」の有無を判定し、その判定信号を蓄積部11へ出力する。
上記遅延プロファイル生成回路9で生成された遅延プロファイル信号はゴースト判定回路10から出力されるゴースト判定信号と合わせて蓄積部11に保存される。
次に、ゴースト判定回路10の判定動作について図4で説明する。
図4はゴースト判定回路10におけるゴースト判定の処理を示すフローチャートである。
図4において、ステップST1では、伝送モードの結果からパイロット信号キャリアの周波数間隔を算出し、ゴーストの時間間隔を算出することでゴースト位置を算出する。
ステップST2では、遅延プロファイル生成回路9から出力された遅延プロファイル結果から、一定のスレッショルド以上のレベルを持つピークを検出する。
ステップST3では、検出されたピークが複数個あるか判定し、複数個ある場合(ステップST3−YES)は、ステップST4へ進み、複数個ない場合(即ち、1個)(ステップST3−NO)は、ステップST6へ進む。
ステップST4では、検出されたピークの位置がステップST1で算出したゴースト位置と一致しているか、かつ、一定間隔の周期となっているか判定し、これら2つの条件を満たしている場合(ステップST4−YES)は、ステップST5へ進み、これら2つの条件を満たさない場合(ステップST4−NO)は、ステップST6へ進む。
ステップST5では、判定信号「ゴースト有り」を蓄積部11へ出力する。
ステップST6では、判定信号「ゴースト無し」を蓄積部11へ出力する。
以上のように、この実施の形態1によれば、直交周波数分割多重信号の伝送路を推定する伝送路推定手段を形成する遅延プロファイル生成回路9、ゴースト判定回路10および蓄積部11とをディジタル放送受信装置に備え、遅延プロファイル生成回路9において遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成し、ゴースト判定回路10において、移動車輌の走行時に発生するゴーストの有無を切換スイッチ8からの伝送モードの信号を基に判定し、これら遅延プロファイル信号およびゴースト有無の判定信号とを伝送路推定情報として蓄積部11に保存するように構成したので、ディジタル放送受信装置が移動車輌等に搭載され、高速移動した場合の環境下においても、マルチパス環境下において発生する通常の「遅延波」のみならず、この遅延波と異なる前記「ゴースト」の存在有無を把握でき、移動車輌が走行時にあっても直交周波数分割多重信号の伝送路を推定することができ、伝送路推定のレベルを向上できる。
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図であり、遅延プロファイルにゴースト判定結果を加味してディジタル放送の受信機能側に属するFFT回路5の窓制御を行い、ディジタル放送の受信性能の向上を図ったものである。
図5において、図1と同一のものについては同一符号を付してあり、この図5の構成が図1と異なる点は、ガード相関信号生成回路12および窓制御回路13を設けている点である。これらガード相関信号生成回路12および窓制御回路13とでフーリエ変換制御手段を形成する。なお、図1と同一符号のものについての説明は省略する。
上記構成において、ガード相関信号生成回路12は直交復調回路4からのI信号およびQ信号を基に、シンボルの境界位置およびシンボル長(期間)とを表すガード相関信号を生成する。なお、このガードインターバルは直接波(真の信号波である主波)と遅延波等とのシンボル間干渉の影響を少なくするために相隣接するシンボル間に挿入される一定の時間間隔である。このガード相関信号はFFT回路5の窓制御の基準となる信号である。
窓制御回路13はFFT回路5におけるフーリエ変換処理の実行期間となる「FFT窓(ウインドウ)」の位置を設定制御するものである。このFFT窓は上記シンボル間干渉が生じないようにするためのフーリエ変換範囲を意味する。このため、窓制御回路13は上記ガード相関信号生成回路12からのガード相関信号と蓄積部11に保存された遅延プロファイル信号およびゴースト情報とを基にFFT回路5のFFT窓位置を設定制御する。
次に、図5の窓制御回路13によるFFT回路5の窓制御の動作について説明する。なお、図1と同一符号のものから部分の動作説明は省略する。
窓制御回路13では、例えば通常はガード相関信号生成回路12からのガード相関信号を基にFFT回路5のFFT窓位置を設定制御する。これに対し、蓄積部11を介した遅延プロファイル生成回路9からの遅延プロファイル信号に遅延波が存在し、ゴースト判定回路10からの判定信号が「ゴースト無し」の場合には、ガード相関信号から算出されるFFT窓位置の補正を実施し、遅延波等とのシンボル間干渉を回避する。
上記に対し、蓄積部11を介した遅延プロファイル生成回路9からの遅延プロファイル信号に遅延波が存在するとともに、ゴースト判定回路10からの判定信号が「ゴースト有り」の場合には、上記遅延プロファイル信号によるFFT窓位置の補正は実施しないようにする。
以上のように、この実施の形態2によれば、FFT回路5のFFT窓位置を設定制御する窓制御回路13を設け、この窓制御回路13には、伝送路の状態を表す遅延プロファイル信号およびゴースト有無の判定信号とが蓄積部11を介し入力するとともに、ガード相関信号生成回路12からのガード相関信号が入力し、これら信号が入力された窓制御回路13は、通常はガード相関信号生成回路12からのガード相関信号を基にFFT回路5のFFT窓位置を設定制御し、これに対し、蓄積部11からの遅延プロファイル信号に遅延波が存在し、ゴースト有無の判定信号が「ゴースト無し」の場合には、ガード相関信号から算出されるFFT窓位置の補正を実施し、さらに、蓄積部11からの遅延プロファイル信号に遅延波が存在するとともに、ゴースト有無の判定信号が「ゴースト有り」の場合には、上記遅延プロファイル信号によるFFT窓位置の補正は実施しないように構成したので、ゴーストは無く、マルチパス環境下の遅延波が存在するときにはFFT窓位置が修正されて遅延波等とのシンボル間干渉を回避でき、ゴーストが有る場合には遅延プロファイル信号によるFFT窓位置の前記修正が停止され、これによりゴーストによるFFT窓位置制御の状態変化が防止され、誤動作による受信障害を回避し、放送信号の受信性能を向上することができる。
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図であり、発生したゴーストを除去してFFT回路5の窓制御を行い、ディジタル放送の受信性能の向上を図ったものである。
図6において、図1または図5と同一のものについては同一符号を付してあり、この図6の構成が図5と異なる点は、ゴースト除去回路14を設け、蓄積部11を削除している点である。なお、図1または図5と同一符号のものについての説明は省略する。
上記構成において、ゴースト除去回路14には遅延プロファイル生成回路9から出力される遅延プロファイル信号およびゴースト判定回路10から出力されるゴースト判定信号とが入力する。このゴースト除去回路14では、ゴースト判定回路10からのゴースト判定信号に基づいて、ゴーストが無い場合には遅延プロファイル生成回路9から出力される遅延プロファイル信号そのものを窓制御回路13へ出力する。これに対し、例えば前記図3に例示したようなゴーストが有る場合にはゴーストの発生位置の電力量をノイズレベルに減衰させ、修正した遅延プロファイル信号を窓制御回路13へ出力する。
窓制御回路13では前記図5(実施に形態2)と同様に、例えば通常はガード相関信号生成回路12からのガード相関信号でFFT窓位置制御を実施し、遅延プロファイル信号に遅延波が存在する場合にはFFT窓位置を補正する。
以上のように、この実施の形態3によれば、遅延プロファイル信号中のゴーストをノイズレベルに減衰させるゴースト除去回路14を設け、このゴースト除去回路14はゴースト判定回路10から出力されるゴースト有無の判定信号に基づいて、ゴーストが無い場合には遅延プロファイル生成回路9から出力される遅延プロファイル信号そのものを窓制御回路13へ出力し、ゴーストが有る場合にはゴーストを減衰させ修正した遅延プロファイル信号を窓制御回路13へ出力するように構成したので、この窓制御回路13によるFFT回路5の制御において、前記図5(実施に形態2)で説明した、「ゴースト有り」の場合における「遅延プロファイル信号によるFFT窓位置の補正の停止」が不要となり、ゴースト発生環境下においてもこのFFT窓位置補正が可能となり、これにより、ゴーストによるFFT窓位置制御の状態変化が防止され、誤動作による受信障害が回避されるとともに、前記図5(実施に形態2)に比し、正常な受信動作が行われて放送信号の受信性能を一層向上することができる。
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図であり、ゴースト判定回路16におけるゴースト判定に移動車輌等の車速情報を取込み、ゴースト判定の精度の向上を図ったものである。
図7において、図1または図5と同一のものについては同一符号を付してあり、この図7の構成が図5と異なる点は、車速測定回路15を設けている点、ゴースト判定回路16におけるゴースト判定に車速情報を取込んでいる点、および蓄積部11を削除している点である。この車速測定回路15とゴースト判定回路16および遅延プロファイル生成回路9とでこの実施の形態4における伝送路推定手段を形成する。なお、図1または図5と同一符号のものについての説明は省略する。
上記構成において、車速測定回路15には車輌から出力される車速パルス信号が入力し、車速測定回路15はこの車速パルス信号をもとに現在の車速を計算する。計算された車速の情報はゴースト判定回路16へ送出される。ゴースト判定回路16は車速から求められるゴーストの相対比を求め、パイロット信号間隔に相当する時間間隔の位置に等間隔で存在し、前記相対比程度の、同調位置以外の波を「ゴースト」と判定し、「ゴースト有り」の判定信号を窓制御回路13へ出力する。これに対し、「ゴースト」として判定しないときには「ゴースト無し」の判定信号を出力する。
窓制御回路13には上記判定信号とともに遅延プロファイル生成回路9から出力される遅延プロファイル信号が入力し、以下、窓制御回路13は前記図5(実施の形態2)と同様にFFT回路5のFFT窓位置の制御を実施する。
次に、この実施の形態4におけるゴースト判定回路16の判定動作について図8で説明する。図8はゴースト判定回路16におけるゴースト判定の処理を示すフローチャートである。
図8において、ステップST11乃至ステップST14の処理は前記図4(実施の形態1)におけるステップST1乃至ステップST4の処理と同様である。従って、その説明は省略する。
ステップST15では、ステップST14において、検出されたピークの位置がステップST11で算出したゴースト位置と一致し、かつ、一定間隔の周期となっている場合には(ステップST14−YES)、車速測定回路15からの車速情報からゴーストの相対レベルを算出する。
ステップST16では、検出されたピークがステップST15で算出されたゴーストの相対レベル以上か否かについて判定し、ピークが算出相対レベル以上の場合(ステップST16−YES)は、ステップST17へ進み、ピークが算出相対レベル以上でない場合(ステップST16−NO)は、ステップST18へ進む。
ステップST17では、判定信号「ゴースト有り」を窓制御回路13へ出力する。
ステップST18では、判定信号「ゴースト無し」を窓制御回路13へ出力する。
なお、このステップST18における「ゴースト無し」の判定信号は、「ステップST13−NO」または「ステップST14−NO」の場合にも窓制御回路13へ出力されることについては前記図4(実施の形態1)と同様である。
なお、この実施の形態4における伝送路推定手段を図1の構成に適用してもよい。
以上のように、この実施の形態4によれば、車輌から出力される車速パルス信号をもとに現在の車速を計算する車速測定回路15を設け、ゴースト判定回路16は遅延プロファイル生成回路9からの遅延プロファイル信号中のゴースト有無の判定にこの車速測定回路15で計算した車速情報を加味して判定するように構成したので、ゴースト判定の精度を実施の形態1(図4)に比し向上でき、これにより、このゴースト判定結果を用いる窓制御回路13によるFFT回路5の窓位置制御が向上し、放送信号の受信性能を向上することができる。
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図であり、ドップラー周波数から移動車輌の車速を推定し、この車速推定情報をゴースト判定回路16におけるゴースト判定に取込み、ゴースト判定の精度の向上を図ったものである。
図9において、図1または図7と同一のものについては同一符号を付してあり、この図9の構成が図7と異なる点は、図7の車速推定回路15に代えて、ドップラー周波数測定回路17および車速推定回路18を設けている点、ゴースト判定回路16におけるゴースト判定に推定の車速情報を取込んでいる点である。このドップラー周波数測定回路17、車速推定回路18、遅延プロファイル生成回路9およびゴースト判定回路16とでこの実施の形態5における伝送路推定手段を形成する。なお、図1または図7と同一符号のものについての説明は省略する。
上記構成において、ドップラー周波数測定回路17ではFFT回路5から出力される周波数軸信号のうち、コンティニュアスパイロット信号を用いてドップラー周波数を算出し、ドップラー周波数情報を車速推定回路18へ出力する。車速推定回路18では、ドップラー周波数から現在の車速を推定し、ゴースト判定回路16へ車速推定情報を出力する。
上記コンティニュアスパイロット信号が送出される放送方式において、コンティニュアスパイロット信号はシンボル位相が変化しないパイロットのため、時間経過における位相変化からドップラー周波数を算出することができる。このドップラー周波数と受信周波数(RF)との関係から車速を推定できるので、この車速推定情報からゴースト判定回路16においてゴーストの相対比を求める。
このゴースト判定回路16以降の動作については前記図7(実施の形態4)と同様である。
なお、この実施の形態5における伝送路推定手段を図1の構成に適用してもよい。
以上のように、この実施の形態5によれば、FFT回路5から出力される周波数軸信号のうち、コンティニュアスパイロット信号を用いてドップラー周波数を算出するドップラー周波数測定回路17と、算出したドップラー周波数から現在の車速を推定する車速推定回路18とを設け、ゴースト判定回路16は遅延プロファイル生成回路9からの遅延プロファイル信号中のゴースト有無の判定にこの車速推定回路18で推定した推定車速情報を加味して判定するように構成したので、車輌からの車速パルスの取り出しが困難なことから前記図7(実施の形態4)の車速測定回路15が設けられない場合にも推定車速を用いたゴースト判定が可能となり、これにより、実施の形態4と同様にゴースト判定の精度を実施の形態1(図4)に比し向上でき、この結果、このゴースト判定結果を用いる窓制御回路13によるFFT回路5の窓位置制御が向上し、放送信号の受信性能を向上することができる。
この発明の実施の形態1による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。 図1に関するパイロット信号配置関係の説明図である。 図1に関するゴースト発生の説明図である。 この発明の実施の形態1による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置のゴースト判定回路におけるゴースト判定の処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置のゴースト判定回路におけるゴースト判定の処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態5による伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 受信アンテナ、2 チューナ部、3 A/D変換部、4 直交復調回路、5 FFT回路、6 モード検出回路、7 入力装置、8 切換スイッチ、9 遅延プロファイル生成回路、10,16 ゴースト判定回路、11 蓄積部、12 ガード相関信号生成回路、13 窓制御回路、14 ゴースト除去回路、15 車速測定回路、17 ドップラー周波数測定回路、18 車速推定回路。

Claims (6)

  1. 情報を分散して伝送する複数のキャリアおよび振幅・位相の基準となるパイロット信号とを有した直交周波数分割多重信号を直交復調した直交復調信号を時間軸信号から周波数軸信号へフーリエ変換するフーリエ変換回路と、
    前記直交周波数分割多重信号の伝送モードを表す信号を、前記直交復調信号からの自動検出または手動による指定により発生出力するモード出力手段と、
    前記フーリエ変換回路よりの周波数軸信号からパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号の位相および振幅を基に遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成する一方、移動車輌の走行時に発生するゴーストが前記遅延プロファイル信号に存在するか否かについて前記モード出力手段からの伝送モードを表す信号を基に判定し、ゴースト有無の判定信号を発生し、これら遅延プロファイル信号および判定信号とを伝送路推定情報として保存または出力する伝送路推定手段とを備えた伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置。
  2. 情報信号のシンボル間に挿入されるガードインターバルとこのシンボルとの境界位置および前記ガードインターバルを含めたシンボル長とを表すガード相関信号を直交復調信号より生成し、生成したガード相関信号と、伝送路推定手段から入力される遅延プロファイル信号およびゴースト有無の判定信号とを基に、真の信号波である主波と遅延波とのシンボル間干渉を生じないようにフーリエ変換回路のフーリエ変換実行期間となる窓位置を設定制御するフーリエ変換制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置。
  3. 伝送路推定手段は、フーリエ変換回路よりの周波数軸信号からパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号の位相および振幅を基に遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成する遅延プロファイル生成回路と、
    移動車輌の走行時に発生するゴーストが前記遅延プロファイル信号に存在するか否かについてモード出力手段からの伝送モードを表す信号を基に判定し、ゴースト有無の判定信号を発生するゴースト判定回路と、
    前記遅延プロファイル生成回路からの遅延プロファイル信号および前記ゴースト判定回路からの判定信号とを保存する蓄積部とで構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置。
  4. 伝送路推定手段から入力される遅延プロファイル信号およびゴースト有無の判定信号とを基に、前記判定信号がゴースト無しのときには前記遅延プロファイル信号を出力し、前記判定信号がゴースト有りのときにはゴースト成分を除去した遅延プロファイル信号を出力するゴースト除去回路を設け、フーリエ変換制御手段は前記ゴースト除去回路から出力された遅延プロファイル信号およびガード相関信号とでフーリエ変換回路の窓位置を設定制御することを特徴とする請求項2記載の伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置。
  5. 伝送路推定手段は、フーリエ変換回路よりの周波数軸信号からパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号の位相および振幅を基に遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成する遅延プロファイル生成回路と、
    移動車輌から出力される車速パルス信号を基に現在の車速を計算する車速測定回路と、
    移動車輌の走行時に発生するゴーストが前記遅延プロファイル信号に存在するか否かについてモード出力手段からの伝送モードを表す信号および車速測定回路からの車速データとを基に判定し、ゴースト有無の判定信号を発生するゴースト判定回路とで構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置。
  6. 伝送路推定手段は、フーリエ変換回路よりの周波数軸信号からパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号の位相および振幅を基に遅延時間に対する遅延波受信電力量の特性を表す遅延プロファイル信号を生成する遅延プロファイル生成回路と、
    フーリエ変換回路からの周波数軸信号に含まれるコンティニュアスパイロット信号を用いてドップラー周波数を算出するドップラー周波数測定回路と、
    前記ドップラー周波数測定回路で算出したドップラー周波数から現在の車速を推定する車速推定回路と、
    移動車輌の走行時に発生するゴーストが前記遅延プロファイル信号に存在するか否かについてモード出力手段からの伝送モードを表す信号および車速推定回路からの推定車速データとを基に判定し、ゴースト有無の判定信号を発生するゴースト判定回路とで構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の伝送路推定機能付ディジタル放送受信装置。
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