JP2006226427A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 軸受内に封入した潤滑剤だけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる転がり軸受を提供する。潤滑油を通す隙間を形成する隙間形成部品と外輪との間の通油性を向上させる。
【解決手段】 内輪1、外輪2、およびこれら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在し保持器4により保持された複数の転動体3を有する転がり軸受に、潤滑剤溜り形成部品6と隙間形成部品7と通油材12とを設ける。潤滑剤溜り形成部品6は、内部に潤滑剤溜り8が形成されていて、上記外輪2に接して設けられる。隙間形成部品7は、潤滑剤溜り8から外輪2の軌道面2aの付近まで連通する隙間14を、その軌道面2aの形成された周面に沿って形成する部材であり、外輪2に設けられる。通油材12は、潤滑剤溜り形成部品6の潤滑剤溜り8から隙間形成部品7の軸受軸方向の途中まで設置すると共に、前記隙間14における前記通油材12の先端から隙間形成部品7の先端までの隙間幅を、他の部分よりも狭くする。
【選択図】 図1
【解決手段】 内輪1、外輪2、およびこれら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在し保持器4により保持された複数の転動体3を有する転がり軸受に、潤滑剤溜り形成部品6と隙間形成部品7と通油材12とを設ける。潤滑剤溜り形成部品6は、内部に潤滑剤溜り8が形成されていて、上記外輪2に接して設けられる。隙間形成部品7は、潤滑剤溜り8から外輪2の軌道面2aの付近まで連通する隙間14を、その軌道面2aの形成された周面に沿って形成する部材であり、外輪2に設けられる。通油材12は、潤滑剤溜り形成部品6の潤滑剤溜り8から隙間形成部品7の軸受軸方向の途中まで設置すると共に、前記隙間14における前記通油材12の先端から隙間形成部品7の先端までの隙間幅を、他の部分よりも狭くする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、工作機械主軸等の支持に用いられる転がり軸受に関する。
工作機械主軸軸受の潤滑方法として、メンテナンスフリーで使用可能なグリース潤滑、搬送エアに潤滑オイルを混合してオイルをノズルより軸受内に噴射するエアオイル潤滑、軸受内に潤滑油を直接に噴射するジェット潤滑等の方法がある。最近の工作機械は、加工能率を上げるために、ますます高速化の傾向にあり、主軸軸受の潤滑も比較的安価で簡単に高速化が可能なエアオイル潤滑が多く用いられてきている。しかし、このエアオイル潤滑法は、付帯設備としてエアオイル供給装置が必要であることと、多量のエアを必要とすることから、コスト、騒音、省エネ、省資源の観点から問題がある。また、オイルの飛散によって環境を悪化させる問題もある。これらの問題点を回避するため、最近ではグリース潤滑による高速化が注目され始め、要望も多くなってきている。
グリース潤滑は、軸受組立時に封入されたグリースのみで潤滑するため、高速運転すると、軸受発熱によるグリースの劣化や、軌道面、特に内輪での油膜切れのため、早期焼き付きに至ってしまうことが考えられる。特に、dn値が100万(軸受内径mm×回転数rpm )を超えるような高速回転領域では、グリース寿命を保証するのは困難である。
グリース寿命を延長させる手段として、新しい提案も紹介されている。一つには、外輪軌道面部にグリース溜りを設けて高速長寿命を狙った提案(特許文献1)がある。またスピンドル外部に設けたグリース補強装置により、適宜軸受部に給脂して潤滑する提案(特許文献2)がある。
特開平11−108068号公報
特開2000−113998号公報
しかし、上記各提案例の技術は、エアオイル潤滑と同等の使用回転数(>dn値150万)や、またメンテナンスフリーを考えると満足できるものではない。
このような課題を解消するものとして、本出願人は、潤滑剤溜り形成部品と、その潤滑剤溜りから外輪の軌道面付近まで連通する隙間を形成した隙間形成部品とを備えるものを提案した(特願2003−424619号)。しかし、隙間形成部品と外輪間の隙間における通油性に、今一つ改良の余地がある。
このような課題を解消するものとして、本出願人は、潤滑剤溜り形成部品と、その潤滑剤溜りから外輪の軌道面付近まで連通する隙間を形成した隙間形成部品とを備えるものを提案した(特願2003−424619号)。しかし、隙間形成部品と外輪間の隙間における通油性に、今一つ改良の余地がある。
この発明は、これらの課題を解消することを目的としたものであり、隙間形成部品により形成した隙間における通油性に優れ、高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる転がり軸受を提供するものである。
この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在し保持器により保持された複数の転動体を有する転がり軸受において、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に接して設けられて内部に潤滑剤溜りを形成した潤滑剤溜り形成部品と、前記固定側軌道輪に設けられ前記潤滑剤溜りから固定側軌道輪の軌道面の付近まで連通する隙間を、その軌道面の形成された周面に沿って形成する隙間形成部品と、前記潤滑剤溜りから隙間形成部品に対して潤滑剤中の潤滑油を導く通油材とを備え、前記通油材を潤滑剤溜り形成部品の潤滑剤溜りから隙間形成部品の軸受軸方向の途中まで設置すると共に、前記隙間における前記通油材の先端から隙間形成部品の先端までの隙間幅を、他の部分よりも狭くしたものである。
この構成の転がり軸受は、軸受組立時に、潤滑剤溜りに潤滑剤(例えばグリース)を充填すると共に、潤滑剤溜りから隙間形成部品の軸受軸方向の途中まで通油材を設置して使用される。潤滑剤溜りに充填された潤滑剤中の潤滑油は、通油材により隙間形成部品の途中まで十分通油され、さらに隙間形成部品の先端部の幅の狭い隙間での毛細管現象により固定側軌道輪の軌道面に常に供給される。これにより、転がり軸受の高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。
隙間形成部品は、必ずしも全周に設けなくても良いが、全周に連続して設けることで、固定側軌道輪の軌道面に全周から上記の潤滑油供給が行え、潤滑性に優れたものとできる。潤滑剤溜りについても、全周に連続して設けた場合は、潤滑油の供給性により優れたものとなる。
隙間形成部品は、必ずしも全周に設けなくても良いが、全周に連続して設けることで、固定側軌道輪の軌道面に全周から上記の潤滑油供給が行え、潤滑性に優れたものとできる。潤滑剤溜りについても、全周に連続して設けた場合は、潤滑油の供給性により優れたものとなる。
この発明において、前記固定側軌道輪が外輪であっても良い。その場合、潤滑剤溜り形成部品は外輪に接して設けられ、かつ隙間形成部品も外輪に設けられる。この隙間形成部品と外輪の内径面との間に前記潤滑剤溜りから外輪軌道面の付近まで連通する隙間が形成される。
この発明において、上記転がり軸受がアンギュラ玉軸受であって、外輪の内径面に前記潤滑剤溜り形成部品を有するものとしても良い。潤滑剤溜り形成部品は、軸受正面側に配置することが好ましい。
潤滑剤溜り形成部品を外輪の内径面に配置することにより、潤滑剤溜りへの潤滑剤の充填、および潤滑剤溜りから隙間形成部品の軸受軸方向の途中まで通油材を設置した状態で、軸受をスピンドル装置等へ組み込むことができ、組込の作業性が向上する。
潤滑剤溜り形成部品を外輪の内径面に配置することにより、潤滑剤溜りへの潤滑剤の充填、および潤滑剤溜りから隙間形成部品の軸受軸方向の途中まで通油材を設置した状態で、軸受をスピンドル装置等へ組み込むことができ、組込の作業性が向上する。
この発明において、上記転がり軸受が円筒ころ軸受であって、外輪の軸方向の少なくとも一方に前記潤滑剤溜り形成部品を有するものとしても良い。
円筒ころ軸受の場合も、上記と同様に、潤滑剤溜りから外輪軌道面に潤滑油を連続供給できる。円筒ころ軸受の場合は、前記潤滑剤溜り形成部品および隙間形成部品を軸受の両側に設けることが好ましい。円筒ころ軸受の場合、転動体となるころが、ある程度の長さを有するため、両側から潤滑油を供給することが、軸方向に偏りなく供給できて、潤滑上好ましい。これにより、高速化と長寿命化、メンテナンスフリーをより増進させることができる。
円筒ころ軸受の場合も、上記と同様に、潤滑剤溜りから外輪軌道面に潤滑油を連続供給できる。円筒ころ軸受の場合は、前記潤滑剤溜り形成部品および隙間形成部品を軸受の両側に設けることが好ましい。円筒ころ軸受の場合、転動体となるころが、ある程度の長さを有するため、両側から潤滑油を供給することが、軸方向に偏りなく供給できて、潤滑上好ましい。これにより、高速化と長寿命化、メンテナンスフリーをより増進させることができる。
この発明において、隙間形成部品の転動体側先端位置を、保持器の端部よりも転動体側としても良い。
隙間形成部品の転動体側先端位置を保持器の端部よりも転動体側とすることで、軌道面への給油効率が向上する。
隙間形成部品の転動体側先端位置を保持器の端部よりも転動体側とすることで、軌道面への給油効率が向上する。
この発明において、前記転がり軸受は、工作機械の主軸の支持に用いたものであっても良い。
工作機械主軸は、加工効率向上のための高速回転と、加工精度確保のための軸受発熱防止と、稼働停止時間短縮による生産性向上等のために、メンテナンスフリーが強く望まれる。そのため、この発明の転がり軸受を用いることで、この発明における軸受内の潤滑剤溜りに充填した潤滑剤だけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できるという利点が効果的に発揮される。
工作機械主軸は、加工効率向上のための高速回転と、加工精度確保のための軸受発熱防止と、稼働停止時間短縮による生産性向上等のために、メンテナンスフリーが強く望まれる。そのため、この発明の転がり軸受を用いることで、この発明における軸受内の潤滑剤溜りに充填した潤滑剤だけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できるという利点が効果的に発揮される。
この発明の転がり軸受は、固定側輪に接して設けられて内部に潤滑剤溜りを形成した潤滑剤溜り形成部品と、前記固定側軌道輪に設けられ前記潤滑剤溜りから固定側軌道輪の軌道面の付近まで連通する隙間を、その軌道面の形成された周面に沿って形成する隙間形成部品と、前記潤滑剤溜りから隙間形成部品に対して潤滑剤中の潤滑油を導く通油材とを備え、前記通油材を潤滑剤溜り形成部品の潤滑剤溜りから隙間形成部品の軸受軸方向の途中まで設置すると共に、前記隙間における前記通油材の先端から隙間形成部品の先端までの隙間幅を、他の部分よりも狭くしたため、前記隙間形成部品により形成した隙間における通油性に優れ、軸受内の潤滑剤溜りに充填した潤滑剤だけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成することができる。
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1において、この転がり軸受は、内輪1、外輪2、および内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有し、潤滑剤溜り形成部品6と、隙間形成部品7と、通油材12とを備える。複数の転動体3は、保持器4に保持される。内外輪1,2間の軸受空間の一端は、シール5によって密封されている。この転がり軸受はアンギュラ玉軸受であり、シール5は軸受背面側の端部に設けられる。潤滑剤溜り形成部品6および隙間形成部品7は、軸受正面側に設けられる。軸受正面側では潤滑剤溜り形成部品6がシールを兼ねており、軸受正面側からの潤滑剤漏れが防止される。図において、交差したハッチングで示す部分は通油材12を示す。潤滑剤はここではグリースであるが、油であっても良い。
潤滑剤溜り形成部品6は、内部に潤滑剤溜り8を形成したリング状の部品であり、外輪2の正面側の幅面に接して設けられる。潤滑剤溜り形成部品6の内径側には内輪位置決め間座26が配置され、両者の間に微小な隙間が形成されている。
この例では、潤滑剤溜り形成部品6は、外輪2の正面側の幅面に接して設けられる外輪位置決め間座9と、この外輪位置決め間座9の内径面に嵌合される外向き溝形の潤滑剤溜り形成部品本体10とからなる。外輪位置決め間座9と潤滑剤溜り形成部品本体10とで挟まれる内部空間が潤滑剤溜り8とされる。
この例では、潤滑剤溜り形成部品6は、外輪2の正面側の幅面に接して設けられる外輪位置決め間座9と、この外輪位置決め間座9の内径面に嵌合される外向き溝形の潤滑剤溜り形成部品本体10とからなる。外輪位置決め間座9と潤滑剤溜り形成部品本体10とで挟まれる内部空間が潤滑剤溜り8とされる。
外輪位置決め間座9は、内径面における外輪2と反対側端に、潤滑剤溜り形成部品本体10の側壁部10aの先端を嵌合させる係合用段差部9aを有している。潤滑剤溜り形成部品本体10は、潤滑剤溜り8に潤滑剤を充填し通油材12を配置した後に上記側壁部10aを外輪位置決め間座9の係合用段差部9aに係合させる。また、この係合用段差部9aの内径面の止め輪溝に止め輪(いずれも図示せず)を係合させることで、潤滑剤溜り形成部品本体10が外輪位置決め間座9に対して軸方向に固定される。潤滑剤溜り形成部品本体10における上記側壁部10aの外径面と、外輪位置決め間座9における係合用段差部9aとの間、および外輪位置決め間座9とこれに接する外輪2との隣接部の内径面には、図示しないOリング等の密封部品がそれぞれ設けられ、これにより潤滑剤の漏れ防止が図られる。
隙間形成部品7は、潤滑剤溜り8から外輪2の軌道面2aの付近まで連通する隙間14を、その軌道面2aの形成された周面に沿って形成するリング状のものである。この隙間形成部品7は、潤滑剤溜り形成部品本体10に一体に形成されている。すなわち、潤滑剤溜り形成部品10の軸受隣接側の側壁部10bにおける外径端部から一体に延びて、隙間形成部品7が形成されている。
通油材12は、潤滑剤溜り8から隙間形成部品9に対して潤滑油を導く部材であり、フェルト,紙,織布などが用いられる。潤滑剤がグリースの場合は、その基油である潤滑油が通油材12で通油される。この通油材12は、潤滑剤溜り8から隙間形成部品9の軸受軸方向の途中まで設置される。ここで言う途中は、軸方向の中央付近であっても、先端付近であっても良い。この例では、通油材12は、隙間形成部品9の先端付近まで設けられている。
図2に拡大して示すように、アンギュラ玉軸受では、正面側の外輪カウンターボア部の内径面2bが、転動体3の組込み性から幅面側を大径とするテーパ面とされている。上記隙間形成部品7は、このテーパ面2bに沿って隙間14を形成するように、外輪軌道面2aの付近まで延びている。この隙間14のうち、通油材12の先端から隙間形成部品9の先端までの隙間14aの隙間幅は、他の部分(通油材12の配置部分)の隙間14bの隙間幅より狭く設定されている。隙間形成部品7の転動体3側の先端位置は、保持器4の端部よりも転動体3側とされ、転動体3の通過する経路の幅内に位置している。
上記構成の作用を説明する。軸受組立時に、潤滑剤溜り8には潤滑剤(例えばグリース)を充填すると共に、潤滑剤溜り8から隙間形成部品7の軸受軸方向の途中まで通油材12を設置しておく。潤滑剤溜り8に充填された潤滑剤中の潤滑油は、通油材12によりその毛細管現象等による通油作用によって、隙間形成部品7の途中(隙間14bの部分)まで十分通油される。ここまで通油された潤滑油は、さらに隙間形成部品7の先端部の幅の狭い隙間14bでの毛細管現象により外輪2の軌道面2aに供給される。これにより、潤滑油が常に微量ずつ軌道面2aに供給され、転がり軸受の高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。隙間形成部品7の転動体3側の先端位置は、保持器4の端部よりも転動体3側とされているので、固定側輪である外輪2の軌道面2aへの給油効率が向上する。
図3は、上記実施形態の転がり軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の例を示す。この工作機械用スピンドル装置では、上記転がり軸受の2個を、背面組み合わせとして用いている。2個の転がり軸受23,24は、ハウジング22内で主軸21の両端を回転自在に支持する。各転がり軸受23,24の内輪1は、内輪位置決め間座26および内輪間座27により位置決めされ、内輪固定ナット29により主軸21に締め付け固定されている。外輪2は、外輪位置決め間座9、外輪間座30および外輪押え蓋31,32によりハウジング22内に位置決め固定されている。ハウジング22は、ハウジング内筒22Aとハウジング外筒22Bとを嵌合させたものであり、その嵌合部に、冷却のための通油溝33が設けられている。
主軸21は、その前側の端部21aに工具またはワーク(図示せず)を着脱自在に取付けるチャック(図示せず)が設けられ、後ろ側の端部21bは、モータ等の駆動源が回転伝達機構(図示せず)を介して連結される。モータは、ハウジング22に内蔵しても良い。このスピンドル装置は、例えばマシニングセンタ、旋盤、フライス盤、研削盤等の各種の工作機械に適用できる。
この構成のスピンドル装置によると、この実施形態の転がり軸受23,24における高速化、長寿命化、メンテナンスフリー化の作用が、効果的に発揮される。
図4は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受は、図1の実施形態において、潤滑剤を含浸させた通油材12Aを、潤滑剤溜り形成部品6の潤滑剤溜り8から隙間形成部品7の隙間14bにわたってその全体に設置したものである。潤滑剤を含浸させた通油剤12Aとして、例えば、含油したフェルトや固形潤滑剤(含油したプラスチックなど)を用いることができる。その他の構成は、図1の実施形態と同様である。
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の転がり軸受は、図1の実施形態において、外輪2の内径面2eに潤滑剤溜り形成部品6Aを配置することで、内外輪1,2間の軸受空間の内部に潤滑剤溜り8を形成している。この例では、図1の例における外輪位置決め間座9は潤滑剤溜り形成部品6Aの構成部品とされず、図1の例における潤滑剤溜り形成部品本体10に相当する単独の部品で潤滑剤溜り形成部品6Aが構成されている。潤滑剤溜り形成部品6Aは、外向き溝形の断面形状とされ、隙間形成部品7が一体に設けられている。その他の構成は、図1の実施形態と同様である。
この実施形態は、外輪2の軌道面2aの中心から軸受背面側の幅面までの長さよりも、潤滑剤溜り形成部品6Aの配置側である軸受正面側の幅面までの長さを長くし、この長くした部分の外輪内径面2eに、潤滑剤溜り形成部品6Aを嵌合している。この場合に、内外輪1,2は同一幅寸法であり、規格寸法よりも幅寸法を片方へ大きくしており、その外輪2の幅寸法を増加した部分の内径面2eに、上記のように潤滑剤溜り形成部品6Aを嵌合させている。
外輪2の軌道面2aに続く内径面2bの部分は、図1に示すアンギュラ玉軸受と同じく、転動体3の組込性を考慮してテーパ面とされており、このテーパ面の内径面2bに続く円筒面状とした内径面2eに、潤滑剤溜り形成部品6Aを嵌合している。この内径面2eと潤滑剤溜り形成部品6Aとで挟まれる内部空間が、潤滑剤溜り8とされる。
潤滑剤溜り形成部品6Aにおける側壁部6bの外径端部に隙間形成部品7が一体に形成され、この隙間形成部品7が外輪2の内径面2bに沿って軌道面2aの近くまで延ばされて隙間14が形成されること、およびその隙間の幅については、図1の実施形態の場合と同様である。
潤滑剤溜り形成部品6Aの軸受外側の側壁部6aは外輪内径面2eに形成された係合用段差部2fに係合させ、この係合用段差部2fの内径面の止め環溝に係合する止め環(いずれも図示せず)により軸方向に固定してある。
潤滑剤溜り形成部品6Aにおける側壁部6bの外径端部に隙間形成部品7が一体に形成され、この隙間形成部品7が外輪2の内径面2bに沿って軌道面2aの近くまで延ばされて隙間14が形成されること、およびその隙間の幅については、図1の実施形態の場合と同様である。
潤滑剤溜り形成部品6Aの軸受外側の側壁部6aは外輪内径面2eに形成された係合用段差部2fに係合させ、この係合用段差部2fの内径面の止め環溝に係合する止め環(いずれも図示せず)により軸方向に固定してある。
内輪1の幅寸法増加部分における内径面は、軌道面1aに隣接する内径面1bの部分よりも段差を持って小径とした小径面部1cとされる。この小径面部1c側に潤滑剤溜り形成部品6Aの内径部を張り出させることで、潤滑剤溜り8を広く確保している。その他の構成は図1の転がり軸受の場合と同様である。
この実施形態では、潤滑剤溜り形成部品6Aを外輪2の内径面2eに配置しているので、潤滑剤溜り8に潤滑剤を充填し、潤滑剤溜り8から隙間形成部品7の軸受軸方向の途中まで通油材12を設置した状態で、この転がり軸受をスピンドル装置等へ組み込むことができる。そのため軸受組込の作業性が向上する。
図6は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は図1に示す第1の実施形態における潤滑剤溜り形成部品6の構成を円筒ころ軸受に適用したものである。潤滑剤溜り形成部品6は、外輪2の軸方向の両側に隣接して設けている。その他の構成は図1の実施形態の場合と同様である。
この実施形態の場合、両側の潤滑剤溜り8から外輪軌道面2aに潤滑剤中の潤滑油を連続供給できる。円筒ころ軸受の場合、転動体3となるころが、ある程度の長さを有するため、両側から潤滑剤中の潤滑油を供給する方が、軸方向に偏りなく供給できて潤滑性向上の面で好ましい。これにより、高速化と長寿命化、メンテナンスフリーをより増進させることができる。
なお、上記各実施形態では、潤滑剤溜り形成部品6,6Aおよび隙間形成部品7を外輪2側に設けた場合につき説明したが、内輪1が固定側輪となる場合は、内輪1に潤滑剤溜り形成部品6,6Aおよび隙間形成部品7を設けるようにする。
1…内輪
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
4…保持器
6,6A…潤滑剤溜り形成部品
7…隙間形成部品
8…潤滑剤溜り
12…通油材
14…隙間
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
4…保持器
6,6A…潤滑剤溜り形成部品
7…隙間形成部品
8…潤滑剤溜り
12…通油材
14…隙間
Claims (6)
- 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在し保持器により保持された複数の転動体を有する転がり軸受において、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に接して設けられて内部に潤滑剤溜りを形成した潤滑剤溜り形成部品と、前記固定側軌道輪に設けられ前記潤滑剤溜りから固定側軌道輪の軌道面の付近まで連通する隙間を、その軌道面の形成された周面に沿って形成する隙間形成部品と、前記潤滑剤溜りから隙間形成部品に対して潤滑剤中の潤滑油を導く通油材とを備え、前記通油材を潤滑剤溜り形成部品の潤滑剤溜りから隙間形成部品の軸受軸方向の途中まで設置すると共に、前記隙間における前記通油材の先端から隙間形成部品の先端までの隙間幅を、他の部分よりも狭くした転がり軸受。
- 請求項1において、固定側軌道輪が外輪である転がり軸受。
- 請求項2において、アンギュラ玉軸受であって、外輪の内径面に前記潤滑剤溜り形成部品を有する転がり軸受。
- 請求項2において、円筒ころ軸受であって、外輪の軸方向の少なくとも一方に前記潤滑剤溜り形成部品を有する転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、隙間形成部品の転動体側の先端位置を、保持器の端部よりも転動体側とした転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記転がり軸受を工作機械の主軸の支持に用いた転がり軸受。
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- 2005-02-18 JP JP2005041586A patent/JP2006226427A/ja not_active Withdrawn
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