JP2015102211A - 軸受装置及びスピンドル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡易な構成でありながら、グリースの長寿命化が可能である軸受装置、及びスピンドル装置を提供する。【解決手段】外輪12の内周面と内輪11の外周面との間には、軸受内部空間S1が形成され、軸受内部空間S1における外輪12の内周面には、グリースG1が封入される。外輪間座30は、一対の軸受内部空間S1の間を塞ぐように径方向内側に延在する。外輪間座30の内周面と内輪間座20の外周面との間には、一対の軸受内部空間S1を連通するラビリンスLが形成され、ラビリンスLは、軸方向中間部よりも軸方向外側部において大径となるように形成される。外輪間座30には、一対の軸受内部空間S1とラビリンスLの軸方向中間部とを連通する空気孔34が形成される。ラビリンスLを形成する外輪間座30の内周面には、グリースG2が封入される溝部36が形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、軸受装置及びスピンドル装置に関する。
工作機械等に適用されるスピンドル装置の回転軸は、高速回転して被加工物の切削加工や研削加工を行っている。工作機械用主軸の高速化は著しく発展しており、主軸の高速化を可能にするための潤滑方法はオイルミスト潤滑やオイルエア潤滑が主流であった。しかし、近年では環境対策・省エネ化・省資源化の傾向がある中で、騒音やオイル飛散による環境面への配慮が必要なこと、大量のエアが必要であることの他、オイルミスト供給装置やオイルエア供給装置のような付帯設備が必要となるためコスト面でも不利な点がある。
これらの問題を回避するために、グリース潤滑が再度注目され始めている。グリース潤滑は軸受組込時に封入されたグリースの基油で潤滑を行うが、軸受潤滑に必要な基油の量は限りがあり潤滑寿命に依存する。そのため軸受に封入するグリース量を増加させる対策もあるが、これは粘性抵抗が大きくなるために、高速回転で使用すると軸受発熱が大きくなってしまい、逆に早期のグリース劣化により油膜切れが発生し焼き付きに至ってしまう場合がある。また、高速回転でなくとも、過剰のグリースを封入すると慣らし運転時間が長くなり主軸受交換後の生産ライン復帰に時間を要することになるため生産効率にも影響する。
そこで、特許文献1に記載の転がり軸受のグリース溜り部品を適用することが考えられる。このグリース溜り部品は、内輪、外輪、及びこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受に対して、固定輪である外輪に隣接して配置される。また、グリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して外輪の軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部と、を有する。この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端にスリット状のグリース基油滲み出し口を有する。このグリース基油滲み出し口は、取り外し自在な封止部材で封止される。
そして、グリース溜り部品を転がり軸受に装着した状態では、転がり軸受の運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜りでのヒートサイクルによる圧力変動で、グリースから分離した基油が軸受内挿入部のグリース基油滲み出し口から外輪の軌道面に吐出され、潤滑油の供給が行われる。これにより、軸受の高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを図っている。
特開2008−240828号公報
しかしながら、特許文献1に記載のグリース溜り部品では、上述したように、容器部から突出して外輪の軌道面の近傍まで挿入される軸受内挿入部を有しており、構造が複雑であると共に、グリース溜り部品単体での取り扱いが不便であった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡易な構成でありながら、グリースの長寿命化が可能である軸受装置、及びスピンドル装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 回転輪である内輪と、固定輪である外輪と、前記内輪及び前記外輪の軌道面間に配置された複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する保持器と、をそれぞれ有し、同軸に配置された一対のアンギュラ玉軸受と、
一対の前記内輪の間に配置され、前記内輪と共に回転する内輪間座と、
一対の前記外輪の間に配置された外輪間座と、
を備える軸受装置であって、
前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間には、軸受内部空間が形成され、
前記軸受内部空間における前記外輪の内周面には、グリースが封入され、
前記外輪間座は、一対の前記軸受内部空間の間を塞ぐように径方向内側に延在し、
前記外輪間座の内周面と前記内輪間座の外周面との間には、一対の前記軸受内部空間を連通するラビリンスが形成され、
前記ラビリンスは、軸方向中間部よりも軸方向外側部において大径となるように形成され、
前記外輪間座には、一対の前記軸受内部空間と前記ラビリンスの軸方向中間部とを連通する空気孔が形成され、
前記ラビリンスを形成する前記外輪間座の内周面には、グリースが封入される溝部が形成される
ことを特徴とする軸受装置。
(2) 前記外輪の内周面には、前記軌道面よりも軸方向外側においてカウンターボアが形成される
ことを特徴とする(1)に記載の軸受装置。
(3) 前記ラビリンスは、軸方向外側に向かうにしたがって大径となる少なくとも一つのテーパ部を有する
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受装置。
(4) 前記外輪の内周面及び/又は前記外輪間座の内周面の溝部に封入されるグリースは、ゲル状グリースである
ことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載の軸受装置。
(5) 軸方向一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
前記回転軸を(1)〜(4)の何れか1つに記載の軸受装置を介して、回転自在に支持するハウジングと、
を備えることを特徴とするスピンドル装置。
内輪及び内輪間座が高速で回転した場合、ラビリンスには内輪間座の外周面の周速によって、円周方向の空気流が発生するが、この場合、周速が速いほど負圧作用が生じやすい。ここで、ラビリンスは、軸方向中間部よりも軸方向外側部において大径となるように形成されているため、ラビリンス大径側(軸方向外側部)の圧力<ラビリンス小径側(軸方向中間部)の圧力となる。したがって、一対の軸受内部空間、空気孔、ラビリンスの軸方向中間部(小径側)、ラビリンスの軸方向外側部(大径側)、一対の軸受内部空間の順に、空気の流れが発生する。
そして、ラビリンスを形成する外輪間座の内周面に形成された溝部に封入されたグリース基油分を、上述した空気流により、ラビリンスを介して軸受内部空間側へ移動させることができる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、以上の構成により、一対の軸受内部空間、空気孔、及びラビリンスを組み合わせた閉空間の中で空気の循環作用を発生させることが可能であるため、外輪間座又は内輪間座と外部空間とを連通する通路がなくても、空気の流れが阻害されない。
本発明の一実施形態に係る軸受装置の断面図である。 外輪間座及び内輪間座の断面図である。 外輪間座を軸方向から見た図である。 図1の軸受装置を備えたスピンドル装置の一部断面図である。 変形例に係る外輪間座及び内輪間座の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る軸受装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の軸受装置1は、回転輪である内輪11と、固定輪である外輪12と、内輪11及び外輪12の軌道面11a、12a間に配置された複数の玉13と、複数の玉13を転動自在に保持する保持器14と、をそれぞれ有し、同軸に背面組合せで配置された一対のアンギュラ玉軸受10を備える。また、軸受装置1は、一対の内輪11の間に配置され、内輪11と共に回転する円環状の内輪間座20と、一対の外輪12の間に配置された円環状の外輪間座30と、を備える。
外輪12の内周面には、軌道面12aよりも軸方向外側(図1中、左右両側。外輪間座30から離間する方向。)においてカウンターボア12bが形成され、軌道面12aよりも軸方向内側(図1中、外輪間座30に近接する方向。)において平面12cが形成される。
外輪12の内周面と内輪11の外周面との間には、軸受内部空間S1が形成され、軸受内部空間S1における外輪12の内周面(カウンターボア12b及び平面12c)には、グリースG1が封入される。なお、高速回転時の昇温特性と長グリース寿命のバランスを鑑み、通常は軸受内部空間S1の容積に対して、おおむね10〜20%に相当するグリースを封入するのが望ましい。
図2も参照し、内輪間座20は、組み込みセットを容易とするために、それぞれ軸方向に当接する一対の内輪間座片21からなる。
外輪間座30は、一対の軸受内部空間S1の間を塞ぐように、内輪11や内輪間座20(内輪間座片21)の外周面の近傍まで径方向内側に延在する。外輪間座30の内周面は、軸方向中間部から径方向内側に向かう凸部が凸設されることにより、軸方向中間部における外輪間座小径部32と、軸方向両側部における一対の外輪間座大径部33と、を有する。
内輪間座20(内輪間座片21)の外周面は、軸方向中間部から径方向内側に向かう凹部が凹設されることにより、軸方向中間部における内輪間座小径部22と、軸方向両側部における一対の内輪間座大径部23と、を有する。なお、本実施形態では、一対の内輪間座片21は、軸受装置1の軸方向中央近傍において互いに当接するように、軸方向に略対称となる形状とされているが、この構成に限定されない。すなわち、一対の内輪間座片21は、それぞれ内輪間座小径部22及び内輪間座大径部23を有するものであれば、一方の内輪間座片21の軸方向幅を、他方の内輪間座片21の軸方向幅よりも大きく設定しても構わない。
外輪間座小径部32及び内輪間座小径部22、外輪間座大径部33及び内輪間座大径部23は互いに径方向に対向しており、外輪間座大径部33、内輪間座大径部23、外輪間座小径部32、内輪間座小径部22の順に、直径が小さく設定される。
これにより、外輪間座小径部32と内輪間座小径部22との径方向における間には、小径ラビリンスL1が形成され、一対の外輪間座大径部33と一対の内輪間座大径部23との径方向における間には、一対の大径ラビリンスL2が形成され、外輪間座小径部32と一対の内輪間座大径部23との軸方向における間には、小径ラビリンスL1と一対の大径ラビリンスL2とを径方向に連通する一対の径方向ラビリンスL3が形成される。
このように、外輪間座30の内周面と内輪間座20の外周面との間には、小径ラビリンスL1と大径ラビリンスL2と径方向ラビリンスL3とからなり、一対の軸受内部空間S1を連通するラビリンスLが形成される。
図3も参照し、外輪間座30には、一対の軸受内部空間S1とラビリンスLの軸方向中間部(小径ラビリンスL1)とを連通する複数の空気孔34が周方向に所定間隔(本実施形態では八等配)で形成されている。より具体的に、空気孔34は、外輪間座30の軸方向両側面35同士を連通することにより、一対の軸受内部空間S1を連通する軸方向孔34aと、軸方向孔34aの軸方向中間部から径方向内側に延び、小径ラビリンスL1と連通する径方向孔34bと、から構成される。
また、一対の大径ラビリンスL2を形成する外輪間座30(外輪間座大径部33)の内周面には、溝部36が形成され、当該溝部36にはグリースG2が封入される。さらに、外輪間座30の軸方向両側面35には、軸方向孔34aと大径ラビリンスL2との径方向における間において凹部35aが形成されており、当該凹部35aにはグリースG3が封入される。
このように構成した軸受装置1では、内輪11及び内輪間座20が高速で回転した場合、ラビリンスLには内輪間座20の外周面の周速によって、円周方向の空気流が発生するが、この場合、周速が速いほど負圧作用が生じやすい。ここで、ラビリンスLは、軸方向中間部から順に小径ラビリンスL1、径方向ラビリンスL3、大径ラビリンスL2から構成されて、軸方向中間部よりも軸方向外側部において大径となるように形成されているため、大径ラビリンスL2(軸方向外側部)の圧力<小径ラビリンスL1(軸方向中間部)の圧力となる。したがって、一対の軸受内部空間S1、空気孔34(軸方向孔34a、径方向孔34b)、小径ラビリンスL1、径方向ラビリンスL3、大径ラビリンスL2、一対の軸受内部空間S1の順に、空気の流れが発生する(図2の破線の矢印を参照。)。
そして、この空気流により、外輪間座30の内周面の溝部36に封入されたグリースG2の基油分を、大径ラビリンスL2を介して軸受内部空間S1側へ移動させることができる。また、外輪間座30の軸方向両側面35の凹部35aに封入されたグリースG3の基油分も、軸受内部空間S1へ移動させることができる。ここで、グリースG1〜G3の基油は繊維構造に相当する増ちょう剤により保持されており、増ちょう剤の繊維間を毛細管現象により基油が移動していくため、外輪12の内周面のグリースG1と、外輪間座30の内周面の溝部36のグリースG2又は軸方向両側面35の凹部35aのグリースG3と、が接することで、基油の移動に必要な増ちょう剤もつながり、その結果グリースG2、G3の基油にグリースG1の基油が加わることになる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、一対の軸受内部空間S1、空気孔34、ラビリンスLを組み合わせた閉空間の中で空気の循環作用を発生させることが可能であるため、外輪間座30又は内輪間座20と外部空間とを連通する通路がなくても、空気の流れが阻害されない。
また、軸受内部空間S1のグリースG1は、空間容積に対して約10〜20%としているため、慣らし運転時間も短くなり、例えば、このような軸受装置1をスピンドル装置の主軸に用いる場合には、主軸交換後の生産ライン復帰時間を短縮することができる。また、工作機械主軸のように高速回転する場合、アンギュラ玉軸受10周辺部の昇温も上昇するが、それに伴いグリースG1〜G3も温度が上昇し、軟化するため、より基油も流動しやすい傾向にある。そのため、本実施形態の軸受装置1は、高速回転に非常に適していると言える。
また、本実施形態のように、外輪12にカウンターボア12bがあるアンギュラ玉軸受10では、カウンターボア12b側において保持器14と外輪12との隙間が大きいため、外輪12の内周面(カウンターボア12b)に封入したグリースG1が溜りやすく、一方、反カウンターボア側(平面12c側)は保持器14と外輪12との隙間が小さいため、グリース溜り量が少ない。この場合、アンギュラ玉軸受10内部において基油潤滑に偏りが発生してしまう。特に、外輪12の内周面で保持器14を案内する外輪案内保持器の場合は、隙間がより小さいので、基油潤滑の偏りが大きくなってしまう。しかしながら、本実施形態では、外輪12の内周面には、軌道面12aよりも軸方向外側においてカウンターボア12bが形成されるので、グリース溜り量が少ない反カウンターボア側(平面12c側)は外輪間座30の近傍に位置することになる。したがって、反カウンターボア側に、外輪間座30の溝部36のグリースG2及び軸方向両側面35の凹部35aのグリースG3の基油分が供給されやすくなるため、カウンターボア12b側と反カウンターボア側との基油供給バランスが良好となり、潤滑効率を上げることが可能となる。
さらに、接触角を持ったアンギュラ玉軸受10においては、カウンターボア12bに向かって空気が吸込む現象(いわゆるポンプ作用)が発生するので、軸方向内側(間座内部空間S2側)から軸方向外側(軸受内部空間S1側)に向かって空気の流れが生じ(図1中の実線の矢印を参照。)、外輪間座30の内周面のグリースG2の基油分を、より円滑に軸受内部空間S1側へ移動させることが可能となる。
なお、グリースG1〜G3について、一般的なグリースとは異なるゲル状グリースを採用することで、より性能を向上することが可能である。ゲル状グリースは、回転に伴って発生するせん断力によりゲル状から容易に油状となり、せん断力がなくなると速やかにゲル状に回復するという特徴をもっており、低トルク運転を実現することができる。したがって、グリースG1〜G3が転走面に供給された際に、ゲル状から油状に変化することで、グリースG1〜G3の噛み込みによる瞬間的なトルク変動を防止できる。また、転走面近傍のグリースG1〜G3の油状化により、転走面からやや離れた部分のグリースG1〜G3との流体的なつながりが良くなり、より周辺部からの基油の補給が促進される。使用されるゲル化剤としては高いゲル化能を有するベンジリデンソルビトール誘導体又はアミノ酸系ゲル化剤が適正とされる。このように、基油潤滑の効率をあげることができる他には、低トルクで慣らし運転時間を短縮できることが可能となる。特に、工作機械主軸用軸受のようにdmn50万以上、あるいはdmn100万以上の用途で効果が期待できる。なお、グリースG1〜G3のうち、何れかを選択してゲル状グリースとしてもよい。なお、グリースG1〜G3に、一般的なグリースを適用する場合には、ちょう度を220〜295とすることが好ましく、ゲル状グリースを適用する場合には、ゲル剤:増ちょう剤の割合を50〜80:50〜20とし、ちょう度を265〜275とすることが好ましい。
また、上述した軸受装置1は、例えば、図4に示すようなスピンドル装置40に使用することが可能である。スピンドル装置40は、工作機械用のモータビルトイン式スピンドル装置であり、回転軸41が軸受装置1を介して、ハウジングHに回転自在に支持されている。回転軸41の軸方向一端側(図4中、左側)には、不図示の加工工具が取付けられる。また、ハウジングHは、工具側から順に、軸受外輪押え42、外筒43等によって構成されている。
また、スピンドル装置40は、回転軸41と一体回転可能に配置されるロータ44と、ロータ44の周囲に配置されるステータ45とを備える。ステータ45は、その外周面がハウジングHを構成する外筒43に内嵌されて固定される。ロータ44とステータ45とはモータMを構成し、ステータ45に電力を供給することでロータ44に回転力を発生させて回転軸41を回転させる。このとき、回転軸41に外嵌する内輪11や内輪間座20は、回転軸41と共に一体回転する。そして、上述したように、空気流を発生させることにより、外輪間座30の内周面の溝部36のグリースG2、及び軸方向両側面35の凹部35aのグリースG3の基油分を、軸受内部空間S1側へ移動させることができるので、グリースの長寿命化が可能となり、スピンドル装置40のさらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、このスピンドル装置40のようなモータビルトイン式スピンドル装置の場合、アンギュラ玉軸受10の発熱以外に、ロータ44やステータ45の発熱も加わり、封入されたグリースG2がより軟化されるので、グリースG2の軸受内部空間S1側への補給性がより向上する。特に、高速回転中はアンギュラ玉軸受10が焼き付きやすくなるため、潤滑がより必要となるが、回転が高速になるにしたがってグリースG2の補給性も向上するので、スピンドル装置40の高速化とアンギュラ玉軸受10の焼き付きの防止を両立することができる。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、ラビリンスLは、小径ラビリンスL1と大径ラビリンスL2とを連通する径方向ラビリンスL3(図2参照)に代えて、図5に示すように、軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ角度θ1の第1テーパラビリンスL4を適用してもよい。さらに、図5に示すラビリンスLでは、大径ラビリンスL2の軸方向外側端部と軸受内部空間S1を連通するラビリンスとして、軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ角度θ2の第2テーパラビリンスL5を適用している。
このように、ラビリンスLに軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ部(第1及び第2テーパラビリンスL4、L5)を設けることにより、当該テーパ部では、回転する内輪間座20の外周面において、径の大きい軸方向外側の方が円周方向の空気の流速が速いため、圧力が下がり、その結果、軸方向中間から軸方向外側に向かって空気の流れが生じる。つまり、円周方向の流れとあいまって、らせん状の空気の流れが生じる。これにより、外輪間座30の内周面の溝部36のグリースG2の基油分を、より円滑に軸受内部空間側へ移動させることが可能となる。なお、ラビリンスLに設けるテーパ部は、必ずしも複数である必要はなく、少なくとも一つあればよい。
なお、第1及び第2テーパラビリンスL4、L5のテーパ角度θ1、θ2は、5°以上45°以下とすることが好ましく、10°以上30°以下とすることがさらに好ましい。なお、仮に、テーパ角度θ1、θ2が5°より小さい場合には、差圧効果が小さくなり、グリースG2が軸受内部空間S1側へ流入するための空気流が発生しにくくなる。また、仮に、テーパ角度θが45°より大きい場合には、内輪間座20(内輪間座片21)の外周面23aの軸方向端部25aがシャープエッジとなり、組込み作業等でバリや欠けが発生し易く、第1及び第2テーパラビリンスL4、L5503645での干渉等の不具合が生じる虞があると共に、グリースG2、G3(特にグリースG2)を封入するためのスペースが減少してしまう。また、第1及び第2テーパラビリンスL4、L5の径方向隙間は、より狭い方が差圧効果を得られやすいので好適であるが、外輪間座30及び内輪間座20の干渉や部品加工精度等を考慮して、0.15mm〜1.0mm/半径隙間とすることが望ましい。
また、グリースG2が封入される溝部36は、上述の実施形態では大径ラビリンスL2を形成する外輪間座30の内周面に形成されていたが、ラビリンスLを形成する外輪間座30の内周面に形成されれば任意の位置でよく、例えば、小径ラビリンスL1を形成する外輪間座30の内周面に形成しても構わない。
また、空気孔34は、上述したような軸方向孔34a及び径方向孔34bからなる構成に限定されず、一対の軸受内部空間S1とラビリンスLの軸方向中間部(小径ラビリンスL1)を連通する限り、任意の形状を適用して構わない。また、空気孔34の個数も特に限定されず、周方向において非等配であってもよい。
1 軸受装置
10 アンギュラ玉軸受
11 内輪
11a 軌道面
12 外輪
12a 軌道面
12b カウンターボア
12c 平面
13 玉
14 保持器
20 内輪間座
21 内輪間座片
22 内輪間座小径部
23 内輪間座大径部
23a 外周面
25a 軸方向端部
30 外輪間座
32 外輪間座小径部
33 外輪間座大径部
34 空気孔
34a 軸方向孔
34b 径方向孔
35 軸方向側面
35a 凹部
36 溝部
40 スピンドル装置
41 回転軸
42 軸受外輪押え
43 外筒
44 ロータ
45 ステータ
L ラビリンス
L1 小径ラビリンス
L2 大径ラビリンス
L3 径方向ラビリンス
L4、L5 テーパラビリンス(テーパ部)
S1 軸受内部空間
G1、G2、G3 グリース
θ1、θ2 テーパ角度

Claims (5)

  1. 回転輪である内輪と、固定輪である外輪と、前記内輪及び前記外輪の軌道面間に配置された複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する保持器と、をそれぞれ有し、同軸に配置された一対のアンギュラ玉軸受と、
    一対の前記内輪の間に配置され、前記内輪と共に回転する内輪間座と、
    一対の前記外輪の間に配置された外輪間座と、
    を備える軸受装置であって、
    前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間には、軸受内部空間が形成され、
    前記軸受内部空間における前記外輪の内周面には、グリースが封入され、
    前記外輪間座は、一対の前記軸受内部空間の間を塞ぐように径方向内側に延在し、
    前記外輪間座の内周面と前記内輪間座の外周面との間には、一対の前記軸受内部空間を連通するラビリンスが形成され、
    前記ラビリンスは、軸方向中間部よりも軸方向外側部において大径となるように形成され、
    前記外輪間座には、一対の前記軸受内部空間と前記ラビリンスの軸方向中間部とを連通する空気孔が形成され、
    前記ラビリンスを形成する前記外輪間座の内周面には、グリースが封入される溝部が形成される
    ことを特徴とする軸受装置。
  2. 前記外輪の内周面には、前記軌道面よりも軸方向外側においてカウンターボアが形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記ラビリンスは、軸方向外側に向かうにしたがって大径となる少なくとも一つのテーパ部を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受装置。
  4. 前記外輪の内周面及び/又は前記外輪間座の内周面の溝部に封入されるグリースは、ゲル状グリースである
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の軸受装置。
  5. 軸方向一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
    前記回転軸を請求項1〜4の何れか1項に記載の軸受装置を介して、回転自在に支持するハウジングと、
    を備えることを特徴とするスピンドル装置。

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