JP6221687B2 - 軸受装置及びスピンドル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受装置及びスピンドル装置に関する。
工作機械等に適用されるスピンドル装置の回転軸は、高速回転して被加工物の切削加工や研削加工を行っている。工作機械用主軸の高速化は著しく発展しており、主軸の高速化を可能にするための潤滑方法はオイルミスト潤滑やオイルエア潤滑が主流であった。しかし、近年では環境対策・省エネ化・省資源化の傾向がある中で、騒音やオイル飛散による環境面への配慮が必要なこと、大量のエアが必要であることの他、オイルミスト供給装置やオイルエア供給装置のような付帯設備が必要となるためコスト面でも不利な点がある。
これらの問題を回避するために、グリース潤滑が再度注目され始めている。グリース潤滑は軸受組込時に封入されたグリースの基油で潤滑を行うが、軸受潤滑に必要な基油の量は限りがあり潤滑寿命に依存する。そのため軸受に封入するグリース量を増加させる対策もあるが、これは粘性抵抗が大きくなるために、高速回転で使用すると軸受発熱が大きくなってしまい、逆に早期のグリース劣化により油膜切れが発生し焼き付きに至ってしまう場合がある。また、高速回転でなくとも、過剰のグリースを封入すると慣らし運転時間が長くなり主軸受交換後の生産ライン復帰に時間を要することになるため生産効率にも影響する。
そこで、特許文献1に記載の転がり軸受のグリース溜り部品を適用することが考えられる。このグリース溜り部品は、内輪、外輪、及びこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受に対して、固定輪である外輪に隣接して配置される。また、グリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して外輪の軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部と、を有する。この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端にスリット状のグリース基油滲み出し口を有する。このグリース基油滲み出し口は、取り外し自在な封止部材で封止される。
そして、グリース溜り部品を転がり軸受に装着した状態では、転がり軸受の運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜りでのヒートサイクルによる圧力変動で、グリースから分離した基油が軸受内挿入部のグリース基油滲み出し口から外輪の軌道面に吐出され、潤滑油の供給が行われる。これにより、軸受の高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを図っている。
特開2008−240828号公報
しかしながら、特許文献1に記載のグリース溜り部品では、上述したように、容器部から突出して外輪の軌道面の近傍まで挿入される軸受内挿入部を有しており、構造が複雑であると共に、グリース溜り部品単体での取り扱いが不便であった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡易な構成でありながら、グリースの長寿命化が可能である軸受装置、及びスピンドル装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 回転輪である内輪と、固定輪である外輪と、前記内輪及び前記外輪の軌道面間に配置された複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する保持器と、をそれぞれ有し、同軸に配置された一対のアンギュラ玉軸受と、
一対の前記内輪の間に配置され、前記内輪と共に回転する内輪間座と、
一対の前記外輪の間に配置された外輪間座と、
を備える軸受装置であって、
前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間には、軸受内部空間が形成され、
前記軸受内部空間における前記外輪の内周面には、グリースが封入され、
前記外輪間座は、軸方向中間部に径方向内側に向かう壁部が凸設され、
前記内輪間座は、軸方向に当接する一対の内輪間座片からなり、
一対の前記内輪間座片は、それぞれ軸方向端部に径方向外側に向かう鍔部が凸設され、
前記外輪間座の内周面と、前記壁部と、前記内輪間座片の外周面と、前記鍔部と、に囲まれてなる間座内部空間片が、前記壁部によって隔てられて一対形成され、
一対の前記間座内部空間片におけるそれぞれの前記外輪間座の内周面には、グリースが封入され、
前記壁部と一対の前記内輪間座片の外周面との間には、一対の前記間座内部空間片を連通する小径ラビリンスが形成され、
前記鍔部と前記外輪間座の内周面との間には、前記間座内部空間片と前記軸受内部空間とを連通する大径ラビリンスが形成され、
前記外輪間座又は前記内輪間座には、前記小径ラビリンスと外部空間とを連通して、空気を供給する空気孔が設けられる
ことを特徴とする軸受装置。
(2) 前記外輪の内周面には、前記軌道面よりも軸方向外側においてカウンターボアが形成される
ことを特徴とする(1)に記載の軸受装置。
(3) 前記大径ラビリンスは、前記間座内部空間片から前記軸受内部空間に向かうにしたがって大径となるテーパ形状である
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受装置。
(4) 前記外輪の内周面及び/又は前記外輪間座の内周面に封入されるグリースは、ゲル状グリースである
ことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載の軸受装置。
(5) 軸方向一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
前記回転軸を(1)〜(4)の何れか1つに記載の軸受装置を介して、回転自在に支持するハウジングと、
を備えることを特徴とするスピンドル装置。
内輪及び内輪間座が高速で回転した場合、ラビリンスには内輪間座の外周面の周速によって、円周方向の空気流が発生するが、この場合、周速が速いほど負圧作用が生じやすい。ここで、壁部と一対の内輪間座片の外周面との間には、一対の間座内部空間片を連通する小径ラビリンスが形成され、鍔部と外輪間座の内周面との間には、間座内部空間片と軸受内部空間とを連通する大径ラビリンスが形成され、大径ラビリンス(軸方向外側)の圧力<小径ラビリンス(軸方向中間側)の圧力となる。したがって、間座内部空間片には、空気孔を介して外部空間から供給された空気が、小径ラビリンス(軸方向中間側)から大径ラビリンス(軸方向外側)に向かって流動する。そして、この空気流により、外輪間座の内周面に封入されたグリースの基油分を、グリース油路を介して軸受内部空間側へ移動させることができる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、壁部によって隔てられた一対の間座内部空間片において、外輪間座の内周面にはグリースが封入されるので、一方の間座内部空間片に封入されたグリースを一方のアンギュラ玉軸受への補給用とし、他方の間座内部空間片に封入されたグリースを他方のアンギュラ玉軸受への補給用とすることが可能となる。これにより、一対のアンギュラ玉軸受それぞれに適切にグリース基油を補給することが可能となり、一方のアンギュラ玉軸受へのグリース基油の補給が不足することを防止できる。
また、外輪間座又は内輪間座には、小径ラビリンスと軸受装置の外部空間とを連通して空気を供給する空気孔が設けられるので、当該空気孔から間座内部空間片に向かって、間欠的又は連続的に、強制的に空気を送り込むことで、軸受内部空間にグリース基油を送り込むことがより容易になる。さらには軸受の回転数や温度等の諸条件に応じて空気圧をコントロールすることで、適正なグリース供給が可能となる。
本発明の一実施形態に係る軸受装置の断面図である。 図1の軸受装置を備えたスピンドル装置の一部断面図である。 変形例に係る軸受装置の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る軸受装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の軸受装置1は、回転輪である内輪11と、固定輪である外輪12と、内輪11及び外輪12の軌道面11a、12a間に配置された複数の玉13と、複数の玉13を転動自在に保持する保持器14と、をそれぞれ有し、同軸に背面組合せで配置された一対のアンギュラ玉軸受10を備える。また、軸受装置1は、一対の内輪11の間に配置され、内輪11と共に回転する円環状の内輪間座20と、一対の外輪12の間に配置された円環状の外輪間座30と、を備える。
外輪12の内周面には、軌道面12aよりも軸方向外側(図1中、左右両側。外輪間座30から離間する方向。)においてカウンターボア12bが形成され、軌道面12aよりも軸方向内側(図1中、外輪間座30に近接する方向。)において平面12cが形成される。
外輪12の内周面と内輪11の外周面との間には、軸受内部空間S1が形成され、軸受内部空間S1における外輪12の内周面(カウンターボア12b及び平面12c)には、グリースG1が封入される。なお、高速回転時の昇温特性と長グリース寿命のバランスを鑑み、通常は軸受内部空間S1の容積に対して、おおむね10〜20%に相当するグリースを封入するのが望ましい。
外輪間座30は、軸方向中間部に径方向内側に向かう壁部32が凸設される。
内輪間座20は、組み込みセットを容易とするために、軸方向に当接する一対の内輪間座片21からなる。一対の内輪間座片21は、それぞれ軸方向外側端部に径方向外側に向かう鍔部22が形成される。
外輪間座30の内周面と、壁部32と、内輪間座片21の外周面と、鍔部22に囲まれてなる間座内部空間片S2a、S2bが、壁部32によって隔てられて一対形成される。これら一対の間座内部空間片S2a、S2bは、間座内部空間S2を構成する。また、間座内部空間片S2a、S2bにおける外輪間座30の内周面には、グリースG2が封入される。
壁部32と一対の内輪間座片21の外周面との間には、一対の間座内部空間片S2a、S2bを軸方向に連通する小径ラビリンスL1が形成され、鍔部22と外輪間座30の内周面との間には、間座内部空間片S2a、S2bと軸受内部空間S1とを軸方向に連通する大径ラビリンスL2が形成される。
外輪間座30には、その外周面から壁部32の内周面を径方向に連通することで、小径ラビリンスL1と軸受装置1の外部空間とを連通する空気孔34が設けられる。この空気孔34には、間欠的又は連続的に、強制的に空気を送り込むことが可能である。
このように構成した軸受装置1では、内輪11及び内輪間座20(内輪間座片21)が高速で回転した場合、小径及び大径ラビリンスL1、L2には内輪間座20の外周面の周速によって、円周方向の空気流が発生するが、この場合、周速が速いほど負圧作用が生じやすい。ここで、壁部32と一対の内輪間座片21の外周面との間には、一対の間座内部空間片S2a、S2bを連通する小径ラビリンスL1が形成され、鍔部22と外輪間座30の内周面との間には、間座内部空間片S2a、S2bと軸受内部空間S1とを連通する大径ラビリンスL2が形成されるので、大径ラビリンスL2(軸方向外側)の圧力<小径ラビリンスL1(軸方向中間側)の圧力となる。したがって、間座内部空間片S2a、S2bには、空気孔34を介して外部空間から供給された空気が、小径ラビリンスL1(軸方向中間側)から大径ラビリンスL2(軸方向外側)に向かって流動する(図1の実線の矢印を参照。)。そして、この空気流により、外輪間座30の内周面に封入されたグリースG2の基油分を、グリース油路を介して軸受内部空間S1側へ移動させることができる。
ここで、グリースG1、G2の基油は繊維構造に相当する増ちょう剤により保持されており、増ちょう剤の繊維間を毛細管現象により基油が移動していくため、外輪12の内周面のグリースG1と外輪間座30の内周面のグリースG2が接することで、基油の移動に必要な増ちょう剤もつながり、その結果グリースG2の基油にグリースG1の基油が加わることになる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、壁部32によって隔てられた一対の間座内部空間片S2a、S2bにおいて、外輪間座30の内周面にはグリースG2が封入されるので、一方の間座内部空間片S2a、に封入されたグリースG2を一方のアンギュラ玉軸受10への補給用とし、他方の間座内部空間片S2bに封入されたグリースG2を他方のアンギュラ玉軸受10への補給用とすることが可能となる。これにより、一対のアンギュラ玉軸受10それぞれに適切にグリース基油を補給することが可能となり、一方のアンギュラ玉軸受10へのグリース基油の補給が不足することを防止できる。
また、外輪間座30には、小径ラビリンスL1と軸受装置1の外部空間とを連通して空気を供給する空気孔34が設けられるので、当該空気孔34から間座内部空間片S2a、S2bに向かって、間欠的又は連続的に、強制的に空気を送り込むことで、軸受内部空間S1にグリース基油を送り込むことがより容易になる。さらには軸受の回転数や温度等の諸条件に応じて空気圧をコントロールすることで、適正なグリース供給が可能となる。なお、空気孔34の数や配置、供給空気の間欠サイクル時間、供給量、供給圧等については軸受構造、配列、使用回転数等に応じて最適な条件を設定すればよい。
また、軸受内部空間S1のグリースG1は、空間容積に対して約10〜20%としているため、慣らし運転時間も短くなり、例えば、このような軸受装置1をスピンドル装置の主軸に用いる場合には、主軸交換後の生産ライン復帰時間を短縮することができる。また、工作機械主軸のように高速回転する場合、アンギュラ玉軸受10周辺部の昇温も上昇するが、それに伴いグリースG1、G2も温度が上昇し、軟化するため、より基油も流動しやすい傾向にある。そのため、本実施形態の軸受装置1は、高速回転に非常に適していると言える。
また、本実施形態のように、外輪12にカウンターボア12bがあるアンギュラ玉軸受10では、カウンターボア12b側において保持器14と外輪12との隙間が大きいため、外輪12の内周面(カウンターボア12b)に封入したグリースG1が溜りやすく、一方、反カウンターボア側(平面12c側)は保持器14と外輪12との隙間が小さいため、グリース溜り量が少ない。この場合、アンギュラ玉軸受10内部において基油潤滑に偏りが発生してしまう。特に、外輪12の内周面で保持器14を案内する外輪案内保持器の場合は、隙間がより小さいので、基油潤滑の偏りが大きくなってしまう。しかしながら、本実施形態では、外輪12の内周面には、軌道面12aよりも軸方向外側においてカウンターボア12bが形成されるので、グリース溜り量が少ない反カウンターボア側(平面12c側)は外輪間座30の近傍に位置することになる。したがって、反カウンターボア側に、外輪間座30の内周面に封入されたグリースG2の基油分が供給されやすくなるため、カウンターボア12b側と反カウンターボア側との基油供給バランスが良好となり、潤滑効率を上げることが可能となる。
さらに、接触角を持ったアンギュラ玉軸受10においては、カウンターボア12bに向かって空気が吸込む現象(いわゆるポンプ作用)が発生するので、軸方向内側(間座内部空間S2側)から軸方向外側(軸受内部空間S1側)に向かって空気の流れが生じ(図1中の実線の矢印を参照。)、外輪間座30の内周面のグリースG2の基油分を、より円滑に軸受内部空間S1側へ移動させることが可能となる。
なお、グリースG1、G2について、一般的なグリースとは異なるゲル状グリースを採用することで、より性能を向上することが可能である。ゲル状グリースは、回転に伴って発生するせん断力によりゲル状から容易に油状となり、せん断力がなくなると速やかにゲル状に回復するという特徴をもっており、低トルク運転を実現することができる。したがって、グリースG1、G2が転走面に供給された際に、ゲル状から油状に変化することで、グリースG1、G2の噛み込みによる瞬間的なトルク変動を防止できる。また、転走面近傍のグリースG1、G2の油状化により、転走面からやや離れた部分のグリースG1、G2との流体的なつながりが良くなり、より周辺部からの基油の補給が促進される。使用されるゲル化剤としては高いゲル化能を有するベンジリデンソルビトール誘導体又はアミノ酸系ゲル化剤が適正とされる。このように、基油潤滑の効率をあげることができる他には、低トルクで慣らし運転時間を短縮できることが可能となる。特に、工作機械主軸用軸受のようにdmn50万以上、あるいはdmn100万以上の用途で効果が期待できる。なお、軸受内部空間S1のグリースG1、及び間座内部空間S2のグリースG2のうち、一方のみをゲル状グリースとしてもよい。なお、グリースG1、G2に、一般的なグリースを適用する場合には、ちょう度を220〜295とすることが好ましく、ゲル状グリースを適用する場合には、ゲル剤:増ちょう剤の割合を50〜80:50〜20とし、ちょう度を265〜275とすることが好ましい。
また、上述した軸受装置1は、例えば、図2に示すようなスピンドル装置40に使用することが可能である。スピンドル装置40は、工作機械用のモータビルトイン式スピンドル装置であり、回転軸41が軸受装置1を介して、ハウジングHに回転自在に支持されている。回転軸41の軸方向一端側(図2中、左側)には、不図示の加工工具が取付けられる。また、ハウジングHは、工具側から順に、軸受外輪押え42、外筒43等によって構成されている。外筒43には、軸受装置1の空気孔34と連通し、空気を供給可能なエア供給孔46が設けられている。
また、スピンドル装置40は、回転軸41と一体回転可能に配置されるロータ44と、ロータ44の周囲に配置されるステータ45とを備える。ステータ45は、その外周面がハウジングHを構成する外筒43に内嵌されて固定される。ロータ44とステータ45とはモータMを構成し、ステータ45に電力を供給することでロータ44に回転力を発生させて回転軸41を回転させる。このとき、回転軸41に外嵌する内輪11や内輪間座20は、回転軸41と共に一体回転する。そして、エア供給孔46から空気孔34に空気を供給することによって、上述したような空気流を発生させ、外輪間座30の内周面に封入されたグリースG2の基油分を、グリース油路32aを介して軸受内部空間S1側へ移動させることができるので、グリースの長寿命化が可能となり、スピンドル装置40のさらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、このスピンドル装置40のようなモータビルトイン式スピンドル装置の場合、アンギュラ玉軸受10の発熱以外に、ロータ44やステータ45の発熱も加わり、封入されたグリースG2がより軟化されるので、グリースG2の軸受内部空間S1側への補給性がより向上する。特に、高速回転中はアンギュラ玉軸受10が焼き付きやすくなるため、潤滑がより必要となるが、回転が高速になるにしたがってグリースG2の補給性も向上するので、スピンドル装置40の高速化とアンギュラ玉軸受10の焼き付きの防止を両立することができる。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、図3に示すように、間座内部空間片S2a、S2bにおける外輪間座30の内周面、及び当該内周面と径方向に対向する内輪間座片21の鍔部22を、間座内部空間片S2a、S2b(軸方向中間側)から軸受内部空間S1(軸方向外側)に向かうにしたがって大径となるテーパ形状とすることによって、大径ラビリンスL2を、間座内部空間片S2a、S2bから軸受内部空間S1に向かうにしたがって大径となるテーパ形状としてもよい。
特に、大径ラビリンスL2の軸方向幅を長く設定すれば、大径ラビリンスL2におけるさらなる差圧効果によって、小径側(間座内部空間S2側)から大径側(軸受内部空間S1側)に向かって、より強い空気の流れを発生させることができる。
大径ラビリンスL2のテーパ角度θは、5°以上45°以下とすることが好ましく、10°以上30°以下とすることがより好ましい。なお、仮に、テーパ角度θが5°より小さい場合には、差圧効果が小さくなり、グリースG2が軸受内部空間S1側へ流入するための空気流が発生しにくくなる。また、仮に、テーパ角度θが45°より大きい場合には、内輪間座20(内輪間座片21)の鍔部22の外周面がシャープエッジとなり、組込み作業等でバリや欠けが発生し易く、大径ラビリンスL2での干渉等の不具合が生じる虞がある。また、大径ラビリンスL2の径方向隙間は、より狭い方が差圧効果を得られやすいので好適であるが、外輪間座30及び内輪間座片21の干渉や部品加工精度等を考慮して、0.15mm〜1.0mm/半径隙間とすることが望ましい。
内輪間座20は、軸受装置1の軸方向中央近傍において、一対の内輪間座片21に分割されて構成されているが、当該分割部は、一対の大径ラビリンスL2と軸方向にオーバーラップしない限り、どの位置に設けても構わない。
また、上述の実施形態では、空気孔34は外輪間座30に設けられるとしたが、小径ラビリンスL1と軸受装置1の外部空間とを連通して空気を供給可能であれば、内輪間座20に設けても構わない。
1 軸受装置
10 アンギュラ玉軸受
11 内輪
11a 軌道面
12 外輪
12a 軌道面
12b カウンターボア
12c 平面
13 玉
14 保持器
20 内輪間座
21 内輪間座片
22 鍔部
30 外輪間座
32 壁部
34 空気孔
40 スピンドル装置
41 回転軸
42 軸受外輪押え
43 外筒
44 ロータ
45 ステータ
46 エア供給孔
L1 小径ラビリンス
L2 大径ラビリンス
S1 軸受内部空間
S2 間座内部空間
S2a、S2b 間座内部空間片
G1、G2 グリース
θ テーパ角度

Claims (5)

  1. 回転輪である内輪と、固定輪である外輪と、前記内輪及び前記外輪の軌道面間に配置された複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する保持器と、をそれぞれ有し、同軸に配置された一対のアンギュラ玉軸受と、
    一対の前記内輪の間に配置され、前記内輪と共に回転する内輪間座と、
    一対の前記外輪の間に配置された外輪間座と、
    を備える軸受装置であって、
    前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間には、軸受内部空間が形成され、
    前記軸受内部空間における前記外輪の内周面には、グリースが封入され、
    前記外輪間座は、軸方向中間部に径方向内側に向かう壁部が凸設され、
    前記内輪間座は、軸方向に当接する一対の内輪間座片からなり、
    一対の前記内輪間座片は、それぞれ軸方向端部に径方向外側に向かう鍔部が凸設され、
    前記外輪間座の内周面と、前記壁部と、前記内輪間座片の外周面と、前記鍔部と、に囲まれてなる間座内部空間片が、前記壁部によって隔てられて一対形成され、
    一対の前記間座内部空間片におけるそれぞれの前記外輪間座の内周面には、グリースが封入され、
    前記壁部と一対の前記内輪間座片の外周面との間には、一対の前記間座内部空間片を連通する小径ラビリンスが形成され、
    前記鍔部と前記外輪間座の内周面との間には、前記間座内部空間片と前記軸受内部空間とを連通する大径ラビリンスが形成され、
    前記外輪間座又は前記内輪間座には、前記小径ラビリンスと外部空間とを連通して、空気を供給する空気孔が設けられる
    ことを特徴とする軸受装置。
  2. 前記外輪の内周面には、前記軌道面よりも軸方向外側においてカウンターボアが形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記大径ラビリンスは、前記間座内部空間片から前記軸受内部空間に向かうにしたがって大径となるテーパ形状である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受装置。
  4. 前記外輪の内周面及び/又は前記外輪間座の内周面に封入されるグリースは、ゲル状グリースである
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の軸受装置。
  5. 軸方向一端側に加工工具が取り付けられる回転軸と、
    前記回転軸を請求項1〜4の何れか1項に記載の軸受装置を介して、回転自在に支持するハウジングと、
    を備えることを特徴とするスピンドル装置。
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