JP6354148B2 - 軸受装置及びスピンドル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸受装置及びスピンドル装置に関する。
工作機械等に適用されるスピンドル装置の回転軸は、高速回転して被加工物の切削加工や研削加工を行っている。工作機械用主軸の高速化は著しく発展しており、主軸の高速化を可能にするための潤滑方法はオイルミスト潤滑やオイルエア潤滑が主流であった。しかし、近年では環境対策・省エネ化・省資源化の傾向がある中で、騒音やオイル飛散による環境面への配慮が必要なこと、大量のエアが必要であることの他、オイルミスト供給装置やオイルエア供給装置のような付帯設備が必要となるためコスト面でも不利な点がある。
これらの問題を回避するために、グリース潤滑が再度注目され始めている。グリース潤滑は軸受組込時に封入されたグリースの基油で潤滑を行うが、軸受潤滑に必要な基油の量は限りがあり潤滑寿命に依存する。そのため軸受に封入するグリース量を増加させる対策もあるが、これは粘性抵抗が大きくなるために、高速回転で使用すると軸受発熱が大きくなってしまい、逆に早期のグリース劣化により油膜切れが発生し焼き付きに至ってしまう場合がある。また、高速回転でなくとも、過剰のグリースを封入すると慣らし運転時間が長くなり主軸受交換後の生産ライン復帰に時間を要することになるため生産効率にも影響する。
そこで、特許文献1に記載の転がり軸受のグリース溜り部品を適用することが考えられる。このグリース溜り部品は、内輪、外輪、及びこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受に対して、固定輪である外輪に隣接して配置される。また、グリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して外輪の軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部と、を有する。この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端にスリット状のグリース基油滲み出し口を有する。このグリース基油滲み出し口は、取り外し自在な封止部材で封止される。
そして、グリース溜り部品を転がり軸受に装着した状態では、転がり軸受の運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜りでのヒートサイクルによる圧力変動で、グリースから分離した基油が軸受内挿入部のグリース基油滲み出し口から外輪の軌道面に吐出され、潤滑油の供給が行われる。これにより、軸受の高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを図っている。
特開2008−240828号公報
しかしながら、特許文献1に記載のグリース溜り部品では、上述したように、容器部から突出して外輪の軌道面の近傍まで挿入される軸受内挿入部を有しており、構造が複雑であると共に、グリース溜り部品単体での取り扱いが不便であった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡易な構成でありながら、グリースの長寿命化が可能である軸受装置、及びスピンドル装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 回転部材に外嵌する内輪と、固定部材に内嵌する外輪と、前記内輪及び前記外輪の軌道面間に配置された複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する保持器と、をそれぞれ有し、同軸に配置された一対のアンギュラ玉軸受と、
一対の前記内輪の間に配置され、前記内輪と共に回転する内輪間座と、
一対の前記外輪の間に配置された外輪間座と、
を備える軸受装置であって、
一対のアンギュラ玉軸受の前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間には、一対の軸受内部空間が形成され、
一対の前記軸受内部空間における前記外輪の内周面には、グリースが封入され、
前記外輪間座の外周面には、グリースが封入されるグリース封入溝が凹設され、
前記外輪間座には、前記グリース封入溝に封入されたグリースを前記一対の軸受内部空間に供給可能な一対の給油孔が設けられ、
前記固定部材には、前記グリース封入溝と連通して、空気を供給する空気孔が設けられ
前記外輪間座は、軸方向中間部に径方向内側に向かう壁部が凸設され、
前記内輪間座は、軸方向に当接する一対の内輪間座片からなり、
一対の前記内輪間座片は、それぞれ軸方向端部に径方向外側に向かう鍔部が凸設され、
前記鍔部の軸方向内側面と前記壁部の軸方向外側面との間には、径方向に延びる第1隙間が形成され、
前記鍔部の外周面と前記外輪間座の内周面との間には、軸方向に延びる第2隙間が形成され、
前記給油孔は、前記第1隙間に連通し、
前記第1隙間は、前記第2隙間に連通し、
前記第2隙間は、前記軸受内部空間に連通する
ことを特徴とする軸受装置。
) 前記第1隙間は、軸方向内側から軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ形状である
ことを特徴とする()に記載の軸受装置。
) 前記第1及び第2隙間の少なくとも一方は、ラビリンス隙間である
ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の軸受装置。
) 前記給油孔には、多孔質材製で内部に微細流路を有する栓状部材が設けられる
ことを特徴とする(1)〜()の何れか1つに記載の軸受装置。
) 前記外輪の内周面及び/又は前記グリース封入溝に封入されるグリースは、ゲル状グリースである
ことを特徴とする(1)〜()の何れか1つに記載の軸受装置。
) 前記外輪の内周面には、前記軌道面よりも軸方向外側においてカウンターボアが形成される
ことを特徴とする(1)〜()の何れか1つに記載の軸受装置。
) 前記回転部材と前記固定部材とを備えるスピンドル装置であって、
前記回転部材は、軸方向一端側に加工工具が取り付けられる回転軸であり、
前記固定部材は、前記回転軸を(1)〜()の何れか1つに記載の軸受装置を介して、回転自在に支持するハウジングである
ことを特徴とするスピンドル装置。
本発明によれば、固定部材の空気孔から外輪間座のグリース封入溝に向かって、空気を供給して圧力をかけることにより、グリース封入溝に封入されたグリースの基油分を、外輪間座の給油孔を介して一対の軸受内部空間側へ移動させることができる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、軸受の回転数や温度等の諸条件に応じて、固定部材の空気孔から供給される空気の圧力をコントロールすることで、適正なグリース供給が可能となる。
スピンドル装置の一部断面図である。 第1実施形態に係る軸受装置の断面図である。 第2実施形態に係る軸受装置の断面図である。 第3実施形態に係る軸受装置の断面図である。 第4実施形態に係る軸受装置の断面図である。 第5実施形態に係る軸受装置の断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る軸受装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の軸受装置1は、例えば、図1に示すようなスピンドル装置40に適用することが可能である。スピンドル装置40は、工作機械用のモータビルトイン式スピンドル装置であり、回転部材としての回転軸41と固定部材としてのハウジングHとを備え、回転軸41が軸受装置1を介してハウジングHに回転自在に支持されている。回転軸41の軸方向一端側(図1中、左側)には、不図示の加工工具が取付けられる。また、ハウジングHは、工具側から順に、軸受外輪押え42、外筒43等によって構成されている。外筒43には、後述する外輪間座30のグリース封入溝33(図2参照。)と連通し、空気を供給可能な空気孔46が設けられている。この空気孔46には、間欠的又は連続的に、強制的に空気を送り込むことが可能である。
また、スピンドル装置40は、回転軸41と一体回転可能に配置されるロータ44と、ロータ44の周囲に配置されるステータ45とを備える。ステータ45は、その外周面がハウジングHを構成する外筒43に内嵌されて固定される。ロータ44とステータ45とはモータMを構成し、ステータ45に電力を供給することでロータ44に回転力を発生させて回転軸41を回転させる。このとき、回転軸41に外嵌する内輪11や内輪間座20は、回転軸41と共に一体回転する。
図2に示すように、軸受装置1は、回転軸41に外嵌し、回転輪である内輪11と、ハウジングHの外筒43に内嵌し、固定輪である外輪12と、内輪11及び外輪12の軌道面11a、12a間に配置された複数の玉13と、複数の玉13を転動自在に保持する保持器14と、をそれぞれ有し、同軸に背面組合せで配置された一対のアンギュラ玉軸受10を備える。また、軸受装置1は、一対の内輪11の間に配置され、内輪11と共に回転する円環状の内輪間座20と、一対の外輪12の間に配置された円環状の外輪間座30と、を備える。
外輪12の内周面には、軌道面12aよりも軸方向外側(図1中、左右両側。外輪間座30から離間する方向。)においてカウンターボア12bが形成され、軌道面12aよりも軸方向内側(図1中、外輪間座30に近接する方向。)において平面12cが形成される。
外輪12の内周面と内輪11の外周面との間には、軸受内部空間S1が形成され、軸受内部空間S1における外輪12の内周面(カウンターボア12b及び平面12c)には、グリースG1が封入される。なお、高速回転時の昇温特性と長グリース寿命のバランスを鑑み、通常は軸受内部空間S1の容積に対して、おおむね10〜20%に相当するグリースを封入するのが望ましい。このようにグリース量を設定することにより、慣らし運転時間が短くなり、スピンドル装置40の主軸交換後の生産ライン復帰時間を短縮することができる。
外輪間座30は、軸方向中間部に径方向内側に向かう壁部32が凸設される。
内輪間座20は、組み込みセットを容易とするために、軸方向に当接する一対の内輪間座片21からなる。一対の内輪間座片21は、それぞれ軸方向外側端部に径方向外側に向かう鍔部22が形成される。
鍔部22の軸方向内側面と壁部32の軸方向外側面との間には、径方向に延びる第1隙間C1が形成され、鍔部22の外周面と外輪間座30の内周面との間には、軸方向に延びる第2隙間C2が形成され、壁部32の内周面と内輪間座20(内輪間座片21)の外周面との間には、軸方向に延びる第3隙間C3が形成される。第3隙間C3は第2隙間C2の径方向内側端部と連通し、第2隙間C2は第1隙間C1の軸方向内側端部と連通し、第1隙間C1は軸受内部空間S1と連通する。また、第1及び第3隙間C1、C3に比べて、第2隙間C2はその隙間量が非常に小さく設定されており、ラビリンス隙間を構成している。なお、第2隙間C2の隙間量は、0.15mm〜1.0mm/半径法とすることが望ましい。
ここで、外輪間座30の外周面にはグリース封入溝33が凹設されており、当該グリース封入溝33を満たすようにグリースG2が封入される。また、外輪間座30には、グリース封入溝33の底部の軸方向両端部と、第2隙間C2とを連通する一対の給油孔34が設けられており、この一対の給油孔34は軸方向外側に向かうにしたがって径方向内側に傾斜するように形成される。
このように構成した軸受装置1では、ハウジングHの空気孔46から外輪間座30のグリース封入溝33に向かって、空気を供給して圧力をかけることにより、グリース封入溝33に封入されたグリースG2の基油分を、一対の給油孔34及び一対の第2隙間C2を介して一対の軸受内部空間S1側へ移動させることができる。
ここで、グリースG1、G2の基油は繊維構造に相当する増ちょう剤により保持されており、増ちょう剤の繊維間を毛細管現象により基油が移動していくため、外輪12の内周面のグリースG1とグリース封入溝33のグリースG2が接することで、基油の移動に必要な増ちょう剤もつながり、その結果グリースG2の基油にグリースG1の基油が加わることになる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
また、軸受の回転数や温度等の諸条件に応じて、ハウジングHの空気孔46から供給される空気の圧力をコントロールすることで、適正なグリース供給が可能となる。なお、空気孔46の数や配置、供給空気の間欠サイクル時間、供給量、供給圧等については軸受構造、配列、使用回転数等に応じて最適な条件を設定すればよい。
また、第2隙間C2はラビリンス隙間であるので、当該第2隙間C2において、毛細管作用と同様のことが生じ、グリース封入溝33に封入されたグリースG2と外輪12の内周面に封入されたグリースG1との連通が、より促進される。
また、軸受内部空間S1のグリースG1は、空間容積に対して約10〜20%としているため、慣らし運転時間も短くなり、このような軸受装置1をスピンドル装置40の主軸に用いる場合には、主軸交換後の生産ライン復帰時間を短縮することができる。また、工作機械主軸のように高速回転する場合、アンギュラ玉軸受10周辺部の昇温も上昇するが、それに伴いグリースG1、G2も温度が上昇し、軟化するため、より基油も流動しやすい傾向にある。そのため、本実施形態の軸受装置1は、高速回転に非常に適していると言える。
また、スピンドル装置40のようなモータビルトイン式スピンドル装置の場合、アンギュラ玉軸受10の発熱以外に、ロータ44やステータ45の発熱も加わり、封入されたグリースG2がより軟化されるので、グリースG2の軸受内部空間S1側への補給性がより向上する。特に、高速回転中はアンギュラ玉軸受10が焼き付きやすくなるため、潤滑がより必要となるが、回転が高速になるにしたがってグリースG2の補給性も向上するので、スピンドル装置40の高速化とアンギュラ玉軸受10の焼き付きの防止を両立することができる。
また、本実施形態のように、外輪12にカウンターボア12bがあるアンギュラ玉軸受10では、カウンターボア12b側において保持器14と外輪12との隙間が大きいため、外輪12の内周面(カウンターボア12b)に封入したグリースG1が溜りやすく、一方、反カウンターボア側(平面12c側)は保持器14と外輪12との隙間が小さいため、グリース溜り量が少ない。この場合、アンギュラ玉軸受10内部において基油潤滑に偏りが発生してしまう。特に、外輪12の内周面で保持器14を案内する外輪案内保持器の場合は、隙間がより小さいので、基油潤滑の偏りが大きくなってしまう。しかしながら、本実施形態では、外輪12の内周面には、軌道面12aよりも軸方向外側においてカウンターボア12bが形成されるので、グリース溜り量が少ない反カウンターボア側(平面12c側)は外輪間座30の近傍に位置することになる。したがって、反カウンターボア側に、外輪間座30のグリース封入溝33に封入されたグリースG2の基油分が供給されやすくなるため、カウンターボア12b側と反カウンターボア側との基油供給バランスが良好となり、潤滑効率を上げることが可能となる。
さらに、接触角を持ったアンギュラ玉軸受10においては、カウンターボア12bに向かって空気が吸込む現象(いわゆるポンプ作用)が発生するので、軸方向内側から軸方向外側に向かって空気の流れが生じ(図2中の実線の矢印を参照。)、外輪間座30のグリース封入溝33に封入されたグリースG2の基油分を、より円滑に軸受内部空間S1側へ移動させることが可能となる。
なお、グリースG1、G2について、一般的なグリースとは異なるゲル状グリースを採用することで、より性能を向上することが可能である。ゲル状グリースは、回転に伴って発生するせん断力によりゲル状から容易に油状となり、せん断力がなくなると速やかにゲル状に回復するという特徴をもっており、低トルク運転を実現することができる。したがって、グリースG1、G2が転走面に供給された際に、ゲル状から油状に変化することで、グリースG1、G2の噛み込みによる瞬間的なトルク変動を防止できる。また、転走面近傍のグリースG1、G2の油状化により、転走面からやや離れた部分のグリースG1、G2との流体的なつながりが良くなり、より周辺部からの基油の補給が促進される。使用されるゲル化剤としては高いゲル化能を有するベンジリデンソルビトール誘導体又はアミノ酸系ゲル化剤が適正とされる。このように、基油潤滑の効率をあげることができる他には、低トルクで慣らし運転時間を短縮できることが可能となる。特に、工作機械主軸用軸受のようにdmn50万以上、あるいはdmn100万以上の用途で効果が期待できる。なお、軸受内部空間S1のグリースG1、及び間座内部空間S2のグリースG2のうち、一方のみをゲル状グリースとしてもよい。また、グリースG1、G2に、一般的なグリースを適用する場合には、ちょう度を220〜295とすることが好ましく、ゲル状グリースを適用する場合には、ゲル剤:増ちょう剤の割合を50〜80:50〜20とし、ちょう度を265〜275とすることが好ましい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る軸受装置1について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、上述の実施形態と基本的構成が同一であるため、相違部分について詳述し、同一部分については説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態では、第2隙間C2に加え、第1隙間C1もラビリンス隙間とされる。また、グリース封入溝33は、径方向内側に延びて壁部32の内部まで延在し、全体として断面略T字形状とされる。また、一対の給油孔34は軸方向に延びて、グリース封入溝33の径方向内側端部と第1隙間C1とを連通するように設けられる。
このような構成によれば、空気圧によりグリース封入溝33及び給油孔34から供給されたグリースG2は、第1隙間C1(鍔部22の軸方向内側面)に到達し、内輪間座20の回転による遠心力によって第1隙間C1を径方向外側に移動し、第2隙間C2を介して軸受内部空間S1に供給される。したがって、グリースG2の軸受内部空間S1側への移動をより促進させることが可能となる。
また、本実施形態においては、第2隙間C2に加えて第1隙間C1もラビリンス隙間であるので、これら第1及び第2隙間C1、C2において、毛細管作用と同様のことが生じ、グリース封入溝33に封入されたグリースG2と外輪12の内周面に封入されたグリースG1との連通が、より促進される。なお、第1隙間C1の軸方向における隙間量は、0.15mm〜1.0mmとすることが望ましい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る軸受装置1について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、上述の実施形態と基本的構成が同一であるため、相違部分について詳述し、同一部分については説明を省略する。
図4に示すように、外輪間座30の壁部32の軸方向外側面、及び当該軸方向外側面と対向する内輪間座片21の鍔部22を、軸方向内側から軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ形状とすることによって、第1隙間C1を、軸方向内側から軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ形状としてもよい。
このように構成した軸受装置1では、内輪11及び内輪間座20が高速で回転した場合、第1及び第2隙間C1、C2には、内輪間座20の鍔部22の周速によって、円周方向の空気流が発生するが、この場合、周速が速いほど負圧作用が生じやすい。ここで、第1隙間C1は、軸方向内側から軸方向外側に向かうにしたがって大径となるように形成されているため、「第1隙間C1小径側(軸方向内側)の圧力>第1隙間C1大径側(軸方向外側)の圧力≒第2隙間C2の圧力」となる。したがって、第1及び第2隙間C1、C2には、軸方向内側から軸方向外側に向かって空気の流れが発生する。そして、この空気流により、給油孔34から供給されたグリースG2の基油分を、第1及び第2隙間C1、C2を介して軸受内部空間S1側へ確実に移動させることができる。これにより、グリースの長寿命化が可能となり、さらなる高速回転に対応することが可能となる。
なお、第1隙間C1のテーパ角度θは、5°以上45°以下とすることが好ましく、10°以上30°以下とすることがさらに好ましい。なお、仮に、テーパ角度θが5°より小さい場合には、差圧効果が小さくなり、グリースG2が軸受内部空間S1側へ流入するための空気流が発生しにくくなる。また、仮に、テーパ角度θが45°より大きい場合には、内輪間座片21の鍔部22がシャープエッジとなり、組込み作業等でバリや欠けが発生し易く、第1隙間C1での干渉等の不具合が生じる虞がある。また、第1隙間C1の径方向隙間は、より狭い方が差圧効果を得られやすいので好適であるが、外輪間座30及び内輪間座20の干渉や部品加工精度等を考慮して、0.15mm〜1.0mm/半径法とすることが望ましい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る軸受装置1について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、第3実施形態と基本的構成が同一であるため、相違部分について詳述し、同一部分については説明を省略する。
図5に示すように、給油孔34のグリース封入溝33との連通部(上流端)には、多孔質材製である栓状部材50が埋め込まれている。多孔質材としては、多孔質高分子材、多孔質金属燒結体、多孔質セラミック燒結体等が挙げられる。このうちの多孔質高分子材としては、軟質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、フェノール樹脂フォーム、尿素樹脂フォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ビスコーススポンジ、ラバーフォーム、シンタクチックフォーム等の、連続気泡を有する多孔質高分子材が挙げられる。また、多孔質金属燒結体としては、鉄系材料、銅系材料、ステンレス系材料、ニッケル系材料、クロム系材料等の燒結体を使用できる。また、多孔質セラミック燒結体としては、アルミナ、ジルコニア等を使用できる。
この栓状部材50の内部には、上流側(グリース封入溝33側)と下流側(第1隙間C1側)を連通する微細流路が形成されている。したがって、ハウジングHの空気孔46から空気圧を加えた場合、グリース封入溝33に封入したグリースG2は、栓状部材50の微細流路内に押し込まれ、この微細流路を通じて給油孔34の下流側に送られる。
したがって、使用するグリースG2の性状(基油粘度やちょう度)に応じて、当該栓状部材50の空隙率(内部に存在する微細流路の大きさ)や、断面積、長さを適宜変更することにより、栓状部材50を通過して軸受内部空間S1側に供給されるグリース量を調整することが可能となる。特に、空気孔46から供給される空気の圧力や、空気加圧時間を適切に設定すれば、一定量のグリース量を軸受内部空間S1に供給することが可能である。なお、グリースG2への空気加圧は、必要に応じて最適な間隔で実施してもよく、最適な基油量が常時維持されるように、最適な加圧圧力を常時負荷するようにしてもよい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る軸受装置1について説明する。なお、本実施形態の軸受装置は、第4実施形態と基本的構成が同一であるため、相違部分について詳述し、同一部分については説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の栓状部材50は、給油孔34の第1隙間C1との連通部(下流端)に、締め代をもって打ち込まれることによって埋め込まれている。このような構成とすることにより、第4実施形態に比べて、製作容易とすることができる。なお、栓状部材50の給油孔34の下流端への固定方法は、必要に応じて、接着やねじ込み等、他の方法を用いても構わない。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
1 軸受装置
10 アンギュラ玉軸受
11 内輪
11a 軌道面
12 外輪
12a 軌道面
12b カウンターボア
12c 平面
13 玉
14 保持器
20 内輪間座
21 内輪間座片
22 鍔部
30 外輪間座
32 壁部
33 グリース封入溝
34 給油孔
41 回転軸(回転部材)
42 軸受外輪押え
43 外筒
44 ロータ
45 ステータ
46 空気孔
50 栓状部材
C1 第1隙間
C2 第2隙間
C3 第3隙間
M モータ
S1 軸受内部空間
H ハウジング(固定部材)
θ テーパ角度

Claims (7)

  1. 回転部材に外嵌する内輪と、固定部材に内嵌する外輪と、前記内輪及び前記外輪の軌道面間に配置された複数の玉と、前記複数の玉を転動自在に保持する保持器と、をそれぞれ有し、同軸に配置された一対のアンギュラ玉軸受と、
    一対の前記内輪の間に配置され、前記内輪と共に回転する内輪間座と、
    一対の前記外輪の間に配置された外輪間座と、
    を備える軸受装置であって、
    一対のアンギュラ玉軸受の前記外輪の内周面と前記内輪の外周面との間には、一対の軸受内部空間が形成され、
    一対の前記軸受内部空間における前記外輪の内周面には、グリースが封入され、
    前記外輪間座の外周面には、グリースが封入されるグリース封入溝が凹設され、
    前記外輪間座には、前記グリース封入溝に封入されたグリースを前記一対の軸受内部空間に供給可能な一対の給油孔が設けられ、
    前記固定部材には、前記グリース封入溝と連通して、空気を供給する空気孔が設けられ
    前記外輪間座は、軸方向中間部に径方向内側に向かう壁部が凸設され、
    前記内輪間座は、軸方向に当接する一対の内輪間座片からなり、
    一対の前記内輪間座片は、それぞれ軸方向端部に径方向外側に向かう鍔部が凸設され、
    前記鍔部の軸方向内側面と前記壁部の軸方向外側面との間には、径方向に延びる第1隙間が形成され、
    前記鍔部の外周面と前記外輪間座の内周面との間には、軸方向に延びる第2隙間が形成され、
    前記給油孔は、前記第1隙間に連通し、
    前記第1隙間は、前記第2隙間に連通し、
    前記第2隙間は、前記軸受内部空間に連通する
    ことを特徴とする軸受装置。
  2. 前記第1隙間は、軸方向内側から軸方向外側に向かうにしたがって大径となるテーパ形状である
    ことを特徴とする請求項に記載の軸受装置。
  3. 前記第1及び第2隙間の少なくとも一方は、ラビリンス隙間である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受装置。
  4. 前記給油孔には、多孔質材製で内部に微細流路を有する栓状部材が設けられる
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の軸受装置。
  5. 前記外輪の内周面及び/又は前記グリース封入溝に封入されるグリースは、ゲル状グリースである
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の軸受装置。
  6. 前記外輪の内周面には、前記軌道面よりも軸方向外側においてカウンターボアが形成される
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の軸受装置。
  7. 前記回転部材と前記固定部材とを備えるスピンドル装置であって、
    前記回転部材は、軸方向一端側に加工工具が取り付けられる回転軸であり、
    前記固定部材は、前記回転軸を請求項1〜の何れか1項に記載の軸受装置を介して、回転自在に支持するハウジングである
    ことを特徴とするスピンドル装置。
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