JP2006336767A - 軸受潤滑装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑剤を無駄無く外輪間座から軸受内部に確実に供給することが可能な低価格な軸受潤滑装置を提供する。
【解決手段】相対回転可能に対向配置された軌道輪(外輪8a,10a、内輪8b,10b)間に転動自在に組込まれた複数の転動体14を有する複数の軸受8,10と、隣り合う軸受の一方の軌道輪相互間(外輪8a,10a相互間)に介在された環状の間座(外輪間座6)と、間座に形成された給油通路6gと、給油通路から軸受方向に延出した噴射ノズル6fとを備えており、給油通路に充填された潤滑剤を噴射ノズルから軸受内部に向けて噴射する軸受潤滑装置であって、間座の外径6s寸法は、一方の軌道輪の外径8s,10s寸法に略一致或いはそれ以上に設定されている。この場合、一方の軌道輪はハウジング2に固定されており、間座の外径寸法は、ハウジングの内径2s寸法に略一致或いはそれ以上に設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば各種の圧縮機や工作機械などの回転駆動系に使用される軸受を潤滑するための軸受潤滑装置に関する。
従来から、例えば各種の圧縮機や工作機械などの回転駆動系に使用された軸受には、当該軸受内部の摩擦や磨耗を減らし、焼付きを防止するために種々の潤滑方式(例えば、グリース潤滑、油潤滑)の軸受潤滑装置が用いられている。一例として油潤滑方式には、オイルエア潤滑、オイルミスト潤滑、アンダーレース潤滑、ジェット潤滑などの強制潤滑方式があるが、高速回転される圧縮機や工作機械の軸受潤滑装置には、ジェット潤滑方式が多用されている。この場合、ジェット潤滑方式の軸受潤滑装置において、例えば図2(a)に示すように、ハウジング2の給油穴4から給油された潤滑油は、外輪間座6に形成された給油通路6gに充填された後、噴射ノズル6fから両軸受8,10内部に向けてジェット噴射される(特許文献1参照)。
また、例えば軸受回転中に当該軸受8,10から発生する熱を効率良く放熱させるために、軸受潤滑装置には、両軸受8,10内部に給油された潤滑油を円滑に排油する各種の排油機構が設けられている。例えば図2(b)に示す排油機構には、軸受8,10の両外輪8a,10aの外側面に排油取込口12が増設されており、軸受8,10から流出した潤滑油は排油取込口12からハウジング2内に連通形成された排油管路12gを介して外部に排油される。また、例えば図2(c)に示す排油機構には、外輪間座6の下部に排油取込口12が一体成形されており、軸受8,10から流出した潤滑油は排油取込口12から排油管路12gを介して外部に排油される。更に、例えば図2(d)に示す排油機構には、ハウジング2と両外輪8a,10aとの間に軸方向に排油管路12gが延出されている。
ところで、例えば各種の圧縮機や工作機械などの回転駆動系において、ハウジング2に固定される両外輪8a,10aは静止輪として構成されており、ハウジング2と両外輪8a,10aとの「はめあいの許容差」などについては、ハウジング2に対する軸受8,10の組込性を考慮して“すきまばめ(H7)”が一般的に用いられている。この場合、外輪間座6は両外輪8a,10aよりもマイナス公差で組込まれるため、例えば図2(a)に示すように、外輪間座6の外径寸法は、両外輪8a,10aの外径寸法(ハウジング2の内径寸法)よりも小さくなり、その結果、ハウジング2の内径と外輪間座6の外径との間には若干のすきまαが構成されることになる。
しかしながら、外輪間座6を両外輪8a,10aよりもマイナス公差で組込んだ構成では、ハウジング2の給油穴4から給油された潤滑油が、ハウジング2と外輪間座6との間のすきまαをつたって上述したような排油機構から漏出し易くなる。例えばハウジング2と外輪間座6との間のすきまαから両外輪8a,10aの面取り部を経由し、そのまま排油取込口12から排油管路12gに漏出する場合がある。このような状態では、外輪間座6の給油通路6gに潤滑油が充分に供給されないことも想定され、そうなると、噴射ノズル6fから両軸受8,10内部に充分な潤滑剤が供給されない虞がある。この場合、潤滑剤の漏出量を予め想定し、多量の潤滑剤を供給する方法も考えられるが、大方の潤滑剤が無駄になってしまうといった問題が生じる。
また、軸受8,10には、その潤滑性や回転性を維持するために充分な潤滑剤量が設定されているため、かかる設定値に潤滑剤量が満たない状態で軸受8,10を駆動させると、軸受内部の摩擦や磨耗が増加し、焼付きが生じることで、軸受寿命を短命化させてしまう虞がある。この場合、潤滑剤の漏出を防止するために、例えばハウジング2と外輪8a,10aとの間や、ハウジング2と外輪間座6との間或いは外輪間座6と外輪8a,10aとの間にOリングを介在させる方法も考えられるが、軸受構造が複雑化すると共に部品点数が増加して、軸受潤滑装置の製造コストが上昇してしまう。
特開平11−82523号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、潤滑剤を無駄無く外輪間座から軸受内部に確実に供給することが可能な低価格な軸受潤滑装置を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、相対回転可能に対向配置された軌道輪間に転動自在に組込まれた複数の転動体を有する複数の軸受と、隣り合う軸受の一方の軌道輪相互間に介在された環状の間座と、間座に形成された給油通路と、給油通路から軸受方向に延出した噴射ノズルとを備えており、給油通路に充填された潤滑剤を噴射ノズルから軸受内部に向けて噴射する軸受潤滑装置であって、間座の外径寸法は、一方の軌道輪の外径寸法に略一致或いはそれ以上に設定されている。この場合、一方の軌道輪はハウジングに固定されており、間座の外径寸法は、ハウジングの内径寸法に略一致或いはそれ以上に設定されている。
本発明によれば、外輪間座の外径寸法を軸受の外輪の外径寸法と略一致或いはそれ以上に設定することにより、潤滑剤を無駄無く外輪間座から軸受内部に確実に供給することが可能な低価格な軸受潤滑装置を実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る軸受潤滑装置について図1を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態に適用した複数の軸受8,10は、相対回転可能に対向配置された軌道輪(外輪8a,10a、内輪8b,10b)と、軌道輪間に転動自在に組込まれた複数の転動体14とを備えており、これら隣り合う軸受8,10の一方の軌道輪相互間(外輪8a,10a相互間)には、環状の間座6(以下、外輪間座6という)が介在されている。
また、これら各軸受8,10を潤滑する軸受潤滑装置には、外輪間座6に形成された給油通路6gと、給油通路6gから各軸受8,10方向に延出した噴射ノズル6fとが設けられている。なお、他方の軌道輪相互間(内輪8b,10b相互間)には、環状の間座16(以下、内輪間座16という)が介在されており、外輪間座6及び内輪間座16を介在させた状態で、外輪8a,10a又は内輪8b,10bを軸方向に押圧することで、各軸受8,10に所定の予圧を与えることができる。
複数の軸受8,10としては、例えば転動体14として玉を適用した各種玉軸受や、転動体14としてころを適用した各種ころ軸受などを想定することができるが、ここでは一例としてアンギュラ玉軸受を適用し、図面上において、2つのアンギュラ玉軸受8,10が外輪間座6を介して背面組合せ(DB形)に配列されている。なお、軸受8,10の組合せは、これに限定されることは無く、例えば正面組合せ(DF形)や並列組合せ(DT形)としても良い。
また、各軸受8,10には、複数の転動体(玉)14を回転自在に保持する保持器18が設けられているが、保持器18の種類についても特に限定されることは無く、例えばもみ抜き保持器、冠形保持器、波形保持器など軸受の種類や使用目的に応じて任意の保持器18を選択することができる。更に、このような軸受構成品(外輪8a,10a、内輪8b,10b、転動体(玉)14、保持器18)の材質についても特に限定されることは無い。
このような軸受潤滑装置において、一方の軌道輪(外輪8a,10a)はハウジング2に固定され、他方の軌道輪(内輪8b,10b)は、図示しない回転軸に固定されている。この場合、回転軸を回転させることで外内輪(8a,10a、8b,10b)を相対回転させている間、例えばハウジング2の給油穴4から給油された潤滑油は、外輪間座6に形成された給油通路6gに充填された後、噴射ノズル6fから両軸受8,10内部に向けてジェット噴射される。
本実施の形態では、このような給油に際し、潤滑油を無駄無く外輪間座6から軸受8,10内部に確実に供給するために、外輪間座6の外径6s寸法を一方の軌道輪(外輪8a,10a)の外径8s,10s寸法に略一致或いはそれ以上に設定している。別の捉え方では、外輪間座6の外径6s寸法をハウジング2の内径2s寸法に略一致或いはそれ以上に設定している。なお、外輪8a,10aとハウジング2との間の「はめあい」組合せは、「すきまばめ」或いは「しまりばめ」のいずれでも良い。
この場合、外輪間座6の外径6s寸法をハウジング2の内径2s寸法に略一致或いはそれ以上に設定する方法としては、例えばハウジング2の内径2s寸法はそのままにして、外輪間座6の外径6s寸法をハウジング2の内径2s寸法よりも大きくする方法や、例えば外輪間座6の外径6s寸法はそのままにして、ハウジング2の内径2s寸法を外輪間座6の内径6s寸法よりも小さくする方法などを適用することができる。
いずれの方法でも、ハウジング2の内径2s寸法と外輪間座6の外径6s寸法との間のすきまαを無くし或いは小さくしたり、外輪間座6とハウジング2との「はめあい」組合せを「しまりばめ」或いは「中間ばめ」とすることで、外輪間座6とハウジング2との“すきま”からの潤滑油の漏出を防止することができる。
ここで、ハウジング2の内径2s寸法よりも外輪間座6の外径6s寸法が小さい場合の寸法差を“すきま”と呼び、逆に、ハウジング2の内径2s寸法よりも外輪間座6の外径6s寸法が大きい場合の寸法差を“しめしろ”と呼ぶ。この場合、ハウジング2と外輪間座6の「はめあい」組合せについては、“しめしろ”のできる組合せを「しまりばめ」と呼び、部品(ハウジング2、外輪間座6)の実寸法によって“すきま”ができたり“しめしろ”ができたりする「はめあい」を「中間ばめ」と呼ぶ。
以上、本実施の形態によれば、ハウジング2と外輪間座6との間のすきまαを無くし或いは小さくしたり、相互の「はめあい」組合せを「しまりばめ」或いは「中間ばめ」とすることで、ハウジング2と外輪間座6との間から潤滑油を漏出させること無く外輪間座6の給油通路6gに潤滑油を充分に供給することが可能となる。ここで、一般的に流体の流出量は、その流路の断面積と流速との関係で現され、かかる関係をハウジング2と外輪間座6との間のすきまに当てはめると、当該すきまの断面積の二乗で潤滑油の漏出量が増加することになる。
かかる関係によれば、ハウジング2と外輪間座6との間のすきまを無くする(小さくする)ことで、潤滑剤の漏出量を少なくできるため、潤滑油を外輪間座6から軸受8,10内部に無駄無く且つ確実に供給することが可能となる。この結果、軸受内部の摩擦や磨耗を減少させると共に焼付きも抑えることができるため、軸受寿命を延命化させることが可能となる。これにより、当該軸受8,10を使用した例えば各種の圧縮機や工作機械などの回転駆動系を長期に亘って安定して且つ滑らかに回転駆動させ続けることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、既存の軸受や軸受潤滑装置の構成をそのまま利用し、ハウジング2と外輪間座6との間のすきまαを無くし或いは小さくしたり、相互の「はめあい」組合せを「しまりばめ」或いは「中間ばめ」とするだけの構成であるため、軸受や軸受潤滑装置の構造を簡素化することができると共に、部品点数も増加させる必要がない。これにより軸受潤滑装置の製造コストを大幅に低減させることが可能となる。
更に、ハウジング2と外輪間座6との間の接触が確実になるため、軸受の発熱をより効果的に放出できる。
なお、上述した実施の形態において、外輪間座6とハウジング2との“しめしろ”について具体的な数値を特定していないが、例えば各種の圧縮機や工作機械などの回転駆動系(高速回転する駆動系)を想定すると、この場合、例えば、軸受外径寸法の許容差が、
外径50を超え〜80mm以下で、0〜−9μmのとき
外径80を超え〜120mm以下で、0〜−10μmのとき
外径120を超え〜150mm以下で、0〜−11μmのとき
外径150を超え〜180mm以下で、0〜−13μmのとき
外径180を超え〜250mm以下で、0〜−15μmのとき
外輪間座6とハウジング2との許容差は、
径寸法50を超え〜80mm以下のとき、+30〜0μmや+13〜−6μm
径寸法80を超え〜120mm以下のとき、+35〜0μmや+16〜−6μm
径寸法120を超え〜180mm以下のとき、+40〜0μmや+18〜−7μm
径寸法180を超え〜250mm以下のとき、+46〜0μmや+22〜−7μm
程度に設定することが好ましい。
本発明の一実施の形態に係る軸受潤滑装置の主要部分の構成例を拡大して示す断面図。 (a)は、従来の軸受潤滑装置の主要部分の構成例を拡大して示す断面図、(b)は、排油機構の構成例を示す断面図、(c)は、排油機構の他の構成例を示す断面図、(d)は、排油機構の他の構成例を示す断面図。
符号の説明
2 ハウジング
4 給油穴
6 外輪間座
6g 給油通路
6f 噴射ノズル
8,10 軸受
14 転動体
16 内輪間座
18 保持器

Claims (2)

  1. 相対回転可能に対向配置された軌道輪間に転動自在に組込まれた複数の転動体を有する複数の軸受と、隣り合う軸受の一方の軌道輪相互間に介在された環状の間座と、間座に形成された給油通路と、給油通路から軸受方向に延出した噴射ノズルとを備えており、給油通路に充填された潤滑剤を噴射ノズルから軸受内部に向けて噴射する軸受潤滑装置であって、
    間座の外径寸法は、一方の軌道輪の外径寸法に略一致或いはそれ以上に設定されていることを特徴とする軸受潤滑装置。
  2. 一方の軌道輪はハウジングに固定されており、間座の外径寸法は、ハウジングの内径寸法に略一致或いはそれ以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の軸受潤滑装置。
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