JP2006225503A - 黒色微粒子と黒色微粒子分散液及び黒色遮光膜並びに黒色遮光膜付き基材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の黒色微粒子は、AgSn合金を主成分とし平均粒子径が1nm以上かつ300nm以下の微粒子の表面が、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)等の金属酸化物、あるいはポリアミン化合物等の有機高分子化合物からなる絶縁膜により被覆されていることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
このカラー液晶ディスプレイにおいては、透明基板上にマトリックス状に配列されているR(赤)、G(緑)、B(青)の各画素には、その表示面におけるコントラストを向上させるために、遮光性の高いブラックマトリックスが形成されている。
このブラックマトリックスは、特に、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス型の液晶ディスプレイ(TFT−LCD)においては、TFTの光が誘起するリーク電流を防止するとともに、各画素の表示面以外の光の透過を阻止して各画素のコントラストを向上させることにより、表示装置としての画質を向上させることができる。
TFTアレイ基板側に形成する場合、ブラックマトリックスが画素電極およびTFTに直接接触することになるために、ブラックマトリックスに高い絶縁性が要求される。
一方、カラーフィルタ側に形成する場合、特に横電界駆動方式の液晶ディスプレイ(LCD)の場合には、カラーフィルタ側のブラックマトリックスにも高い絶縁性が要求される。
この様なブラックマトリックス形成用材料としては、例えば、表面を樹脂や酸化ケイ素により被覆して絶縁化させたカーボンブラックやチタンブラックを有機溶媒中に分散させた分散液(例えば、特許文献1、2参照)、銀微粒子等の金属微粒子を有機溶媒中に分散させた分散液(例えば、特許文献3、4参照)が提案されている。
セルギャップにムラが生じた場合、表示面に色むらが発生し易くなり、その結果、表示面の品質が低下することとなる。
また、ブラックマトリックスと各画素との重なりが大きくなると、各画素におけるブラックマトリックスの占有面積が大きくなり、各画素の開口率が低下するという問題点があった。開口率が低下した場合、各画素の輝度が低下し、その結果、表示装置の表示面全体の輝度が低下することとなる。
また、液相法で表面処理を行った場合、粒子が液相中に分散している状態で表面処理することができるので、気相法に比べて均一に表面処理することが可能であるが、例えば、カーボンブラックやチタンブラックは、粒子同士が凝集した粉末状態で得られるために、これらを水や有機溶剤中に分散させることが非常に困難である。
特に、黒色銀微粒子を用いた分散液の場合、ゼラチンを用いて銀微粒子を合成しているために、合成した後にゼラチンを完全に除去することができず、したがって、銀微粒子を有機溶剤中に均一分散させることが難しい。この場合、ゼラチンを用いないと銀微粒子を合成することができない。
前記絶縁膜は、金属酸化物または有機高分子化合物であることが好ましい。
前記銀錫合金は、銀を47.6重量%以上かつ90重量%以下含有してなることが好ましい。
この黒色遮光膜を液晶ディスプレイ等の平面型表示装置のブラックマトリックスに適用すれば、膜厚を薄くすることでブラックマトリックスと各画素との重なりを小さくすることができ、各画素のセルギャップのムラを小さくすることができ、画素の均一化を図ることができる。したがって、表示面に色むらが発生し難くなり、表示面の品質を向上させることができる。また、各画素の開口率を向上させることができ、表示装置の表示面全体の輝度を向上させることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
この微粒子は、AgSn合金が主成分であればよく、他の金属成分として、例えば、Ni、Pd、Au等が含まれていてもよい。
また、この微粒子は、AgSn合金微粒子の他、Ag微粒子やSn微粒子が混在したものであってもよい。
このAgSn合金は、化学式AgxSnにて表した場合、化学的に安定したAgSn合金が得られるxの範囲は1≦x≦10であり、化学的安定性と黒色度が同時に得られるxの範囲は3≦x≦4である。
x=1の場合、 Ag/AgSn =0.4762
x=3の場合、 3・Ag/Ag3Sn=0.7317
x=4の場合、 4・Ag/Ag4Sn=0.7843
x=10の場合、10・Ag/Ag10Sn=0.9008
となる。したがって、このAgSn合金は、Agを47.6重量%以上かつ90重量%以下含有した場合に化学的に安定なものとなり、Agを73.17重量%以上かつ78.43重量%以下含有した場合にAg量に対し効果的に化学的安定性と黒色度を得ることができる。
金属酸化物としては、絶縁性を有する金属酸化物、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化チタン(チタニア)等が好適に用いられる。
また、有機高分子化合物としては、絶縁性を有する樹脂、例えば、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミン化合物等が好適に用いられる。
この絶縁膜は、表面改質技術あるいは表面のコーティング技術により容易に形成することができる。特に、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリエトキシド等のアルコキシドを用いれば、比較的低温で、膜厚の均一な絶縁膜を形成することができるので好ましい。
また、AgSn合金を主成分とし平均粒子径が1nm以上かつ300nm以下の微粒子の表面を、金属酸化物からなる絶縁膜により被覆することにより、Ag粒子やSn粒子等の金属微粒子に比べて耐熱性に優れたものとなり、しかも、機械的強度が高く、摩耗し難い。
溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の一価アルコール類、エチレングリコール等の二価アルコール類、β−オキシエチルメチルエーテル(メチルセロソルブ)、β−オキシエチルエーテル(エチルセロソルブ)、β−オキシエチルプロピルエーテル(プロピルセロソルブ)、ブチル−β−オキシエチルエーテル(ブチルセロソルブ)等のエチレングリコールエーテル(セロソルブ)類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル等のエステル類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
この黒色遮光膜を基材の一主面に形成すれば、黒色遮光膜付き基材となる。
基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス基材、プラスチック基材(有機高分子基材)を挙げることができる。また、その形状としては、平板、フィルム状、シート状等が挙げられる。また、上記のプラスチック基材としては、プラスチックシート、プラスチックフィルム等が好適である。
プラスチック基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、セルロースアセテート、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル、ポリイミド、エポキシ、フェノキシ、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート等から適宜選択することができる。
例えば、分散液が塗布された基材を、大気中、室温(25℃)に放置するか、あるいは所定の温度、例えば、大気中、50℃〜80℃の温度にて加熱することにより、分散液に含まれる溶媒を散逸させ、黒色遮光膜とする。
また、CIE(国際照明委員会)により規格化されたCIE明度L*が10以下、色度a*が−1以上かつ1以下、色度b*が−1以上かつ1以下、光学濃度であるOD値が3以上であることが好ましい。
CIE明度L*は、低いほど黒色度が向上し、特に、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置のブラックマトリックスとして用いた場合には、低いほど表示コントラストが向上する。そこで、表示コントラストが良好な範囲である10以下を好ましい範囲とした。
OD値は、低いと十分な遮光性が得られず、また、低いOD値の膜で十分な遮光性を得るためには膜厚を厚くせざるを得ず、特に、液晶ディスプレイ(LCD)等のブラックマトリックスとして用いた場合、膜厚が厚くなることにより、表示ムラ等が生じ易くなる。そこで、膜厚が薄い場合であっても、十分な遮光性が得られる範囲を3以上とした。
以下により黒色微粒子を調製した。
(1)シリカコーティングAgSn合金球状微粒子A
平均粒子径が10〜30nmの黒色AgSn合金球状粒子の水分散液(固形分の濃度:15重量%、住友大阪セメント社製)100gを純水を用いて10倍に希釈した溶液に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)0.1重量%含有水溶液1200gを加えて撹拌し、A液とした。
次いで、上記のA液をNaOH水溶液(0.1N)によりpHを9.5に調整し、このA液に上記のB液をゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。次いで、限外濾過を用いて、この溶液から未反応の水ガラス、MPS、イオン等を除去し、その後濃縮し、分散液を得た。
次いで、この分散液から遠心分離、フリーズドライ等により溶液と微粒子を分離し、乾燥することにより、シリカコーティングAgSn合金球状微粒子Aを得た。
上記のA液に酢酸(0.1N)を加え、pHを4.8に調整した。次いで、この溶液に、テトラエトキシシラン1重量%含有水溶液300gを滴下した後、加熱して60℃とし、この温度にて2時間撹拌した。次いで、限外濾過を用いて、この溶液から未反応のMPS、テトラエトキシシラン、酢酸を除去し、その後濃縮し、分散液を得た。
次いで、この分散液から遠心分離、フリーズドライ等により溶液と微粒子を分離し、乾燥することにより、シリカコーティングAgSn合金球状微粒子Bを得た。
(実施例1)
シリカコーティングAgSn合金球状微粒子A100gに分散剤(ソルスパース20000:アビシア(株)製)2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを加え、ビーズミルを用いて分散し、シリカコーティングAgSn合金集合粒子分散液を得た。この分散液に、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体:64重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:26重量部、イルガキュア907:9重量部からなるバインダーを50g加え、混合し、塗布液を得た。この塗布液をガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、室温(25℃)にて乾燥後、紫外線(UV)を照射して厚み0.6μmの黒色膜を形成した。
実施例1にて、シリカコーティングAgSn合金球状微粒子Aの替わりにシリカコーティングAgSn合金球状微粒子Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の黒色膜を形成した。
シリカコーティングされていないAgSn合金球状粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして黒色膜を形成した。
シリカコーティングされたカーボンブラックを用いたこと以外は、実施例1と同様にして黒色膜を形成した。
シリカコーティングされたチタンブラックを用いたこと以外は、実施例1と同様にして黒色膜を形成した。
実施例1〜2及び比較例1〜3それぞれの黒色膜の体積抵抗を測定した。測定は、日本工業規格JIS C 2103−1991「体積抵抗率試験」に準拠して、4端子法により測定した。
また、この黒色膜の光学濃度であるOD値を透過濃度計を用いて測定した。
また、この黒色膜の黒色度を評価するために、この黒色膜のCIE明度L*、色度a*、b*を、CIE(国際照明委員会)により規格化されたL*a*b*表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
一方、比較例1の黒色膜は、OD値が4以上であり、CIE明度L*も低く、色度a*、b*の絶対値も小さいものの、体積抵抗が4.1×106Ωcmと低く、絶縁性が低下していることが分かった。
また、比較例2、3の黒色膜は、体積抵抗が1010Ωcmより大きく、CIE明度L*も低いものの、OD値が2前後と小さく、色度a*、b*の絶対値も1を超えており、実施例1、2の黒色膜に対して黒色度、遮光性共に劣っていることが分かった。
Claims (6)
- 銀錫合金を主成分とし平均粒子径が1nm以上かつ300nm以下の微粒子の表面が、絶縁膜により被覆されていることを特徴とする黒色微粒子。
- 前記絶縁膜は、金属酸化物または有機高分子化合物であることを特徴とする請求項1記載の黒色微粒子。
- 前記銀錫合金は、銀を47.6重量%以上かつ90重量%以下含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の黒色微粒子。
- 請求項1、2または3記載の黒色微粒子を含有してなることを特徴とする黒色微粒子分散液。
- 請求項4記載の黒色微粒子分散液を塗布してなることを特徴とする黒色遮光膜。
- 基材の一主面に、請求項5記載の黒色遮光膜を備えてなることを特徴とする黒色遮光膜付き基材。
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