JP2006224893A - アンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 制御中における路面状況の急変に影響されることなく常に適切な指示制動トルクを設定し、また、高価なセンサ等を必要とすることなく、制動距離を短縮する。
【解決手段】 実制動トルク演算部20にて求めた実制動トルクと慣性トルク演算部26にて求めた慣性トルクに基づき目標制動トルクを演算し、指示制動トルク演算部28にて目標制動トルクに基づき指示制動トルクを演算し、その演算結果に基づき車輪ブレーキ機構に付与する制動力を制御する。特に、車輪ブレーキ機構に対する制動力制御により車輪がロック状態から回復に転じたときの目標制動トルクに基づき、最大タイヤ前後力相当トルクを演算し、この最大タイヤ前後力相当トルクを指示制動トルクとして設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アンチロックブレーキ制御装置に関し、特に、指示制動トルクに基づき車輪ブレーキ機構に付与する制動力を制御し車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御装置に係る。
アンチロックブレーキ制御装置として、車輪の回転状態に応じて設定した指示制動トルクに基づき、車輪ブレーキ機構に付与する制動力を制御し車輪のロックを防止するものが知られている。例えば、下記の特許文献1には、航空機のホイールを油圧ブレーキによって制動する際に用いられるトルク制御式アンチスキッド制動装置が記載されている。この装置は、ホイールを制動する油圧ブレーキと、油圧ブレーキに供給する油圧を制御するハイドロモジュールと、目標制動トルクを入力する入力手段と、ホイールの回転速度を検出するスピードセンサと、前記油圧ブレーキの作用によって生じる路面摩擦トルクを検出する路面摩擦トルク検出手段と、機体速度を検知する機速検知手段と、ホイールの回転速度と機体速度からホイールのすべり量を演算するすべり量演算手段と、フルブレーキ操作時における路面摩擦トルクがほぼ最大となる点でのホイールのすべり量を判定し、この判定値を目標すべり量として出力する目標すべり量出力手段と、所定の制御モード切換条件により、前記ハイドロモジュールの制御モードをフィードバックトルクが目標制動トルクに一致するようにトルクフィードバック制御されるトルク制御モード又はホイールのすべり量が前記判定値に一致するようにすべり量フィードバック制御されるすべり制御モードに切り換えるモード切換手段とを備えるとされている。
また、特許文献2には、制動トルクセンサの検出トルクと車輪の回転角速度に基づきタイヤトルクが検出され、このタイヤトルクとハイトセンサより検出されるタイヤ荷重によって摩擦係数が検出され、更に摩擦係数の変化等により路面摩擦係数の変化が判定されるアンチスキッド制御装置が開示されている。
特許第2729755号公報 特許第3218815号公報
前掲の特許文献1に記載のトルク制御式アンチスキッド制動装置においては、実測トルクからホイール慣性力を除いた路面摩擦トルクを真の制動トルクとして直接的に検出することができ、かつフルブレーキ操作時における最大トルク点でのホイールのすべり速度を目標すべり速度とすることが可能となり、原理的にブレーキ効率100%を達成することができるとされている。然し乍ら、車両が走行する路面の状況を考慮した場合、路面と車輪との間の摩擦係数は一定ではなく、絶えず変化しているので、路面状況の急変によって摩擦係数−スリップ率特性が変化した場合、目標とするスリップ率が最大路面摩擦トルクに追従できず、制動効率のロスが生ずるおそれがある。
一方、特許文献2に記載のアンチスキッド制御装置においては、アンチスキッド制御中に路面摩擦係数が変化した場合でも、摩擦係数のピークが検出されればそのピークに基づき制動力を制御することができる。しかし、摩擦係数のピークが検出された後にアクチュエータが加圧されるので、現実にはアクチュエータの応答性等に起因しスリップ率は摩擦係数のピーク時以下の値となる。また、摩擦係数のピークが検出されない場合は、摩擦係数変化判定後の最大摩擦係数に基づき制動力が制御されるが、変化判定後、摩擦係数のピークが検出されないと判断されるまでのある一定時間は変化前の制動力が保持され、摩擦係数のピーク検出不能と判断されるのを待つこととなるため、その間大幅な制動効率のロスが生ずるおそれがある。更に、ハイトセンサは非常に高価なものであり、車両装着時には多大な労力が必要となるため、大幅なコストアップとなる。
そこで、本発明は、アンチロックブレーキ制御中における路面状況の急変に影響されることなく常に適切な指示制動トルクを設定し、また、高価なセンサ等を必要とすることなく、制動距離を短縮し得るアンチロックブレーキ制御装置を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、車輪の回転状態に応じて指示制動トルクを設定し、該指示制動トルクに基づき車輪ブレーキ機構に付与する制動力を制御し車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御装置において、前記車輪に対し実際に付与される実制動トルクを検出する実制動トルク検出手段と、前記車輪の回転状態に基づき前記車輪に付与される慣性トルクを演算する慣性トルク演算手段と、前記実制動トルク検出手段によって検出された実制動トルクと前記慣性トルク演算手段にて演算された慣性トルクに基づき目標制動トルクを演算する目標制動トルク演算手段と、該目標制動トルク演算手段の演算結果に基づき前記指示制動トルクを演算する指示制動トルク演算手段とを備えたものとし、該指示制動トルク演算手段は、前記車輪ブレーキ機構に対する制動力が制御され前記車輪がロック状態から回復に転じたときに前記目標制動トルク演算手段が演算した目標制動トルクに基づき、最大タイヤ前後力相当トルクを演算し、該最大タイヤ前後力相当トルクを前記指示制動トルクとして設定するように構成したものである。尚、実制動トルク検出手段は、例えば、車輪ブレーキ機構に付与される制動液圧を検出する制動液圧センサと、その検出出力に基づき、車輪に付与される実制動トルクを演算する演算手段によって構成することができる。
上記アンチロックブレーキ制御装置において、前記指示制動トルク演算手段は、請求項2に記載のように、前記車輪がロック傾向を示すときには前記指示制動トルクを前記目標制動トルクよりも小さい値に設定し、前期車輪のロック傾向が解消したときには前記指示制動トルクを前記目標制動トルクと一致するように設定する構成とするとよい。
また、前記指示制動トルク演算手段は、請求項3に記載のように、前記車輪のスリップ率を演算し、該スリップ率が所定の閾値未満であるときに前記車輪がロック傾向を示すと判定し、前記指示制動トルクを前記目標制動トルクよりも小さい値に設定するように構成することができる。
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のアンチロックブレーキ制御装置によれば、特にアンチロックブレーキ制御時においては、タイヤ最大前後力相当のトルクに基づいて設定される目標制動トルクが指示制動トルクとされて車輪ブレーキ機構に付与されるので、路面状況が急変した場合でも即座に追従することができ、制動効率のロスなく円滑に、車両の制動距離を短縮することができる。
そして、指示制動トルク演算手段を請求項2及び3に記載のように構成すれば、ロック傾向となった車輪に対するロック傾向の解除が瞬時に行なわれるので、制動効率のロスなく円滑に、車両の制動距離を短縮することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るアンチロックブレーキ制御装置を含むブレーキ装置の全体構成を示す。図1において、車両の運転者によってブレーキペダル11に付与される踏力は踏力センサ12によって検出され、その検出出力は通常時指示制動トルク演算部13に入力される。この通常時指示制動トルク演算部13の出力は切換部14を介してアクチュエータ駆動回路部15に入力される。
本実施形態のアクチュエータ16は、公知のマスターシリンダ(図示せず)と、電動機(図示せず)と、この電動機の出力回転軸とマスターシリンダの往復動ピストンとを作用的に連結する回転−直線運動変換部(図示せず)とで構成されており、電動機はアクチュエータ駆動回路部15によって駆動される。マスターシリンダは、車輪ブレーキ機構のアクチュエータであるホイールシリンダ17と液圧的に連結されている。車輪ブレーキ機構としては、例えば公知のディスクブレーキ機構(図示せず)が使用され、マスターシリンダからホイールシリンダ17に付与される制動液圧によって車輪18に対し制動トルクが付与される。
通常時指示制動トルク演算部13は、踏力センサ12の検出出力に対し所定の関係を持った通常時指示制動トルク信号を出力するように構成されており、これによってアクチュエータ16が駆動され、車輪ブレーキ機構のホイールシリンダ17に付与される制動液圧がブレーキペダル踏力に対して所定の関係を持つように調整される。
車輪ブレーキ機構のホイールシリンダ17に付与される制動液圧は、制動液圧センサ19により検出され、その検出出力は実制動トルク演算部20に入力される。この実制動トルク演算部20においては、車輪ブレーキ機構によって車輪18に付与される実制動トルク(My)が演算される。而して、制動液圧センサ19と実制動トルク演算部20により実制動トルク検出手段が構成される。
車輪18の回転速度は車輪速センサ21により検出され、この車輪速センサ21の検出出力は車輪速演算部22に入力される。車輪速演算部22においては、車輪速センサ21の検出出力に基づいて車輪速(回転角速度ω)が演算され、車輪速演算部22の出力は車体速演算部23、車輪減速度演算部24及び車輪スリップ率演算部25に入力される。車体速演算部23では、車輪速演算部22にて演算された車輪速(ω)に基づいて車体速が演算され、その出力は車輪スリップ率演算部25に入力される。車輪スリップ率演算部25においては、これに入力する車輪速(ω)と車体速に基づき車輪18のスリップ率Sが演算される。
車輪減速度演算部24においては、車輪速演算部22にて演算された車輪速(ω)に基づいて車輪減速度(dω/dt)が演算され、その出力は車輪の慣性トルク演算部26に入力される。尚、車輪減速度(dω/dt)は減速側が正とされる。慣性トルク演算部(慣性トルク演算手段)26においては、車輪18の慣性トルク(I・dω/dt)が演算される。ここで、Iは車輪の慣性モーメントである。
そして、実制動トルク演算部20の出力と慣性トルク演算部26の出力は、目標制動トルク演算部(目標トルク演算手段)27に入力され、この目標制動トルク演算部27においてタイヤの前後力相当のトルク(Fx・r)が[Fx・r=My−I・dω/dt]に従って演算され、目標制動トルクとして設定される。ここで、Fxは車輪前後力、rは車輪半径である。目標制動トルク演算部27の出力と車輪スリップ率演算部25の出力は、指示制動トルク演算部(指示制動トルク演算手段)28に入力される。以上の関係をまとめると、図2に示すようになる。尚、タイヤの前後力相当のトルク(以下、単にタイヤ前後力相当という)は、車両に装着されるタイヤ前後力センサ(図示せず)によって直接検出することとしてもよい。
指示制動トルク演算部28においては、特に、車輪ブレーキ機構に対する制動力が制御され車輪がロック状態から回復に転じたときには、目標制動トルク演算部27にて演算された目標制動トルクに基づき、最大タイヤ前後力相当トルクが演算され、この最大タイヤ前後力相当(Fx・r(max))が指示制動トルク(Ta)として設定される。尚、「車輪がロック状態から回復に転じたとき」の判定は、車輪減速度(dω/dt)の変化に基づいて判定することができる。このとき、図8に示すa点とa’点との間は復帰区間の一部にあたり、これに対応する図9のa点とa’点との間においては、本来の目標制動トルクはタイヤの前後力相当のトルク(Fx・r)と一致し、a点から二点鎖線で示すように変化すべきところ、アクチュエータの応答性等の影響によって、a’点から実制動トルクが増加を開始する特性となる。而して、図9(及び図11)に示すように復帰区間が終了するb点にて最大タイヤ前後力相当(Fx・r(max))となり、この値が指示制動トルク(Ta)として設定される。この指示制動トルク(Ta)は、更に、[Ta← Ta・k]として演算される。ここで、係数kは、入力される車輪スリップ率Sと閾値αとの比較結果に応じて図3に示すように設定される。尚、閾値αは、スリップ率とタイヤ前後力の関数に基づいて求めることができるほか、タイヤ前後力と横力の関数に基づいて求めることができる。
即ち、図3のステップ101においてスリップ率(S)が演算され、このスリップ率(S)がステップ102にて所定の閾値(α)と比較され、[S≦α]である場合にはステップ103にて[k=1]と設定され、[S>α]である場合にはステップ104に進み[0≦k<1](又は0<k<1)と設定される。この閾値αは車輪18のロック傾向の有無を判別する基準となるものであり、[S>α]である場合に車輪18がロック傾向にあると判定することができる。而して、ステップ105において指示制動トルク(Ta)に係数kが乗ぜられて指示制動トルク(Ta)が更新される(Ta← Ta・k)。換言すれば、車輪18がロック傾向にない場合(S≦αの場合)には指示制動トルク(Ta)は目標制動トルク(Fx・r又はFx・r(max))と一致するが、車輪18がロック傾向にある場合(S>αの場合)には目標制動トルクよりも小さい値に設定される。そして、この演算結果である指示制動トルク演算部28の出力は、切換部14に入力される。
車輪減速度演算部24の出力と車輪スリップ率演算部25の出力はアンチロックブレーキ制御判定部29に入力される。このアンチロックブレーキ制御判定部29は、車輪減速度、車輪スリップ率及び車体速に基づいてアンチロックブレーキ制御の開始/終了を決定するものであり、アンチロックブレーキ制御時には切換部14に対し切換信号が付与される。切換部14は、アンチロックブレーキ制御判定部29から切換信号が供給されている場合は、指示制動トルク演算部28の出力はアクチュエータ駆動回路部15に入力される。また、アンチロックブレーキ制御判定部29から切換信号が供給されていない場合は、通常時指示制動トルク演算部13の出力はアクチュエータ駆動回路部15に入力される。
以上の構成になるアンチロックブレーキ制御装置10において、車両の走行時に制動のためブレーキペダル11が踏み込まれると、ブレーキペダル踏力が踏力センサ12により検出され、通常時指示制動トルク演算部13によりブレーキペダル踏力に対応した通常時指示制動トルク信号が切換部14を介してアクチュエータ駆動回路部15に入力され、アクチュエータ16が駆動されてマスターシリンダ(図示せず)が駆動され、マスターシリンダにより車輪ブレーキ機構のホイールシリンダ17にブレーキペダル踏力に対応した制動液圧が付与される。これにより、車輪18に対してブレーキペダル踏力に対応した制動トルクが加えられ、車両が制動される。
車両の制動時には車輪速演算部22により車輪速センサ21の検出出力に基づいて車輪18の車輪速(ω)が演算され、車体速演算部23により車輪速(ω)に基づいて車体速が演算され、車輪減速度演算部24により車輪速(ω)に基づいて車輪減速度(dω/dt)が演算される。そして、車輪スリップ率演算部25により車輪速(ω)と車体速に基づいて車輪スリップ率(S)が演算され、アンチロックブレーキ制御判定部29により車輪スリップ率(S)と車輪減速度(dω/dt)に基づいてアンチロックブレーキ制御の開始/終了が決定される。
また、実制動トルク演算部20により制動液圧センサ19の検出出力に基づいて実制動トルク(My)が演算され、慣性トルク演算部26により車輪減速度(dω/dt)に基づいて車輪18の慣性トルク(I・dω/dt)が演算され、目標制動トルク演算部27により目標制動トルク(Fx・r)が演算される[Fx・r=My−I・dω/dt]。更に、前述のように車輪がロック状態から回復に転じたときには、目標制動トルク演算部27にて演算された目標制動トルクに基づき、最大タイヤ前後力相当(Fx・r(max))が演算され、この最大タイヤ前後力相当(Fx・r(max))が指示制動トルク(Ta)として設定される。
車輪ブレーキ機構により車輪18に加えられる実制動トルクが増大される過程において、始めは車輪スリップ率(S)が閾値α未満であり、車輪18はロック傾向にはなく、指示制動トルク演算部28においては係数k=1とされ、従って目標制動トルクFxと同一の指示制動トルクTが切換部14に入力される。アンチロックブレーキ制御判定部29にてアンチロックブレーキ制御の開始が決定されるまでは、指示制動トルク演算部28の出力が切換部14を介してアクチュエータ駆動回路部15に付与されることはないが、アンチロックブレーキ制御判定部29にてアンチロックブレーキ制御の開始が決定されると、指示制動トルク演算部28の出力が切換部14を介してアクチュエータ駆動回路部15に付与されるので、指示制動トルク演算部28から出力される指示制動トルク(Ta)に対応した制動液圧が、アクチュエータ16から車輪ブレーキ機構のホイールシリンダ17に供給され、指示制動トルク(Ta)に対応した制動トルクが車輪18に付与される。
アンチロックブレーキ制御時において、車輪スリップ率(S)が閾値αよりも大きくなった場合、即ち車輪がロック傾向になった場合には、指示制動トルク演算部28においては係数kが[0≦k<1、又は0<k<1]に設定され、従って目標制動トルク(Fx・r)よりも小さい指示制動トルク(Ta)が切換部14に入力される。これにより、アクチュエータ16から車輪ブレーキ機構のホイールシリンダ17に供給される制動液圧が低くなり、車輪18に付与される制動トルクが小さくなるので、車輪18のロック傾向が迅速に解消する。
而して、アンチロックブレーキ制御判定部29にてアンチロックブレーキ制御の終了と判定されると、切換部14により通常時指示制動トルク演算部13の出力がアクチュエータ駆動回路部15に付与されるようになる。
図4はある路面におけるタイヤ前後力(Fx)とスリップ率(S)の関係を示したもので、図5は、図4における車体速、車輪速、タイヤ前後力相当、実制動トルク及び車輪減速度の変化を示すタイムチャートである。図5のc点で車輪がロック状態から回復に転じ、車輪のロック傾向が解消したとき、即ち車輪の復帰時のf点におけるタイヤ前後力相当(Fx・r)の最大値(Fx・r(max))が指示制動トルク(Ta)とされる。図5から明らかなように、c点とd点の区間は、車輪速(ω)の演算遅れ、アクチュエータの遅れにより実制動トルクの増加開始が遅れている。
図6及び図7は、アンチロックブレーキ制御中に、路面摩擦係数(以下、路面μという)が大きい高μ路から、路面μが小さい低μ路に移動した場合における、タイヤ前後力(Fx)とスリップ率(S)の関係、及び車体速等の変化を示すものである。この場合には、車輪速(ω)の回復(復帰)過程であるc点とd点の区間は、タイヤ前後力相当の最大値(Fx・r(max))が指示制動トルク(Ta)とされるため、路面μ変化後、タイヤ前後力は最大となる。尚、この場合において、b点でのタイヤ前後トルク相当が指示制動トルク(Ta)とされることはない。
一方、図8及び図9は、アンチロックブレーキ制御中に、車輪が低μ路から高μ路に移動した場合の一例を示したものである。図9に破線で示した特性は前掲の特許文献2に記載の装置による特性で、斜線部分が本実施形態との制動効率の差を示している。即ち、本実施形態では車輪の回転が回復(復帰)すると同時に(図9のa点)、タイヤ前後力相当の最大値(Fx・r(max))が指示制動トルク(Ta)とされて増圧されるのに対し、特許文献2に記載の装置では摩擦係数のピークが検出されてはじめて増圧が開始するので(c点)、制動効率のロスが生ずることになる。
また、図10及び図11は、アンチロックブレーキ制御中に、車輪が低μ路から高μ路に移動した場合の他の例を示したものである。この例においても、図11に破線で示した特性が前掲の特許文献2に記載の装置による特性で、斜線部分が本実施形態との制動効率の差を示している。即ち、本実施形態では車輪の回転が回復(復帰)すると同時に(図11のa点)、タイヤ前後力相当の最大値(Fx・r(max))が指示制動トルク(Ta)とされて、増圧される。その後は、通常の増圧方法によりその路面におけるタイヤ前後力相当の最大値(Fx・r(max))まで増圧される。これに対し、特許文献2に記載の装置では、路面μが変化しても摩擦係数のピークが検出されないと判定されるまでの一定時間は、変化前の制動力が保持されてしまい、増圧開始(c点)が遅れるため制動効率のロスが生じてしまう。
以上のように、アンチロックブレーキ制御において、車輪の回転(車輪速)が回復(復帰)するときの指示制動トルクは、復帰時のタイヤ前後力相当の最大値となるように制御するのみで、従来以上の制動効率が得られ、制動距離を短縮することができる。しかも、ハイトセンサ等の高価なセンサを必要とすることなく、必要最低限の安価なセンサ類で構成することができるのでコストを最小限に抑えることができる。尚、本発明における指示制動トルクは、上記のようにタイヤ前後力相当のトルクに基づいて設定され、直接スリップ率を用いるものではないので、車輪速センサに依存した遅れの影響を受けることなく、安定した制御が可能となる。
尚、本発明の実施形態は上述の一実施形態に限定されるものではなく、例えばホイールシリンダの代わりに電動機を用いた車輪ブレーキ機構を用いることができる。この場合、アクチュエータ駆動回路の代わりに車輪ブレーキ機構の電動機の駆動回路部を設け、この駆動回路に指示制動トルク信号を付与することとし、車輪ブレーキ機構によって車輪に付与される実制動トルクはクランプ力検出センサを用いて検出すればよい。また、ブレーキペダル踏力に代えてブレーキペダルストロークに基づいて通常時指示制動トルクを演算するように構成することもできる。
本発明の一実施形態に係るアンチロックブレーキ制御装置の全体構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態における指示制動トルクの演算に係るブロック図である。 本発明の一実施形態における指示制動トルクの演算処理を示すフローチャートである。 ある路面におけるタイヤ前後力(Fx)とスリップ率(S)の関係を示したグラフである。 図4における車体速、車輪速、タイヤ前後力相当、実制動トルク及び車輪減速度の変化を示すタイムチャートである。 アンチロックブレーキ制御中に、高μ路から低μ路に移動した場合におけるタイヤ前後力(Fx)とスリップ率(S)の関係を示したグラフである。 図6における車体速、車輪速、タイヤ前後力相当及び実制動トルクの変化を示すタイムチャートである。 アンチロックブレーキ制御中に、車輪が低μ路から高μ路に移動した場合の一例におけるタイヤ前後力(Fx)とスリップ率(S)の関係を示したグラフである。 図8における車体速、車輪速、タイヤ前後力相当及び実制動トルクの変化を示すタイムチャートである。 アンチロックブレーキ制御中に、車輪が低μ路から高μ路に移動した場合の他の例におけるタイヤ前後力(Fx)とスリップ率(S)の関係を示したグラフである。 図10における車体速、車輪速、タイヤ前後力相当及び実制動トルクの変化を示すタイムチャートである。
符号の説明
10…アンチロックブレーキ制御装置
11…ブレーキペダル
12…踏力センサ
13…通常時指示制動トルク演算部
14…切換部
15…アクチュエータ駆動回路部
16…アクチュエータ
17…ホイールシリンダ
18…車輪
19…制動液圧センサ
20…実制動トルク演算部
21…車輪速センサ
22…車輪速演算部
23…車体速演算部
24…車輪減速度演算部
25…車輪スリップ率演算部
26…慣性トルク演算部
27…目標制動トルク演算部
28…指示制動トルク演算部
29…アンチロックブレーキ制御判定部

Claims (3)

  1. 車輪の回転状態に応じて指示制動トルクを設定し、該指示制動トルクに基づき車輪ブレーキ機構に付与する制動力を制御し車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御装置において、前記車輪に対し実際に付与される実制動トルクを検出する実制動トルク検出手段と、前記車輪の回転状態に基づき前記車輪に付与される慣性トルクを演算する慣性トルク演算手段と、前記実制動トルク検出手段によって検出された実制動トルクと前記慣性トルク演算手段にて演算された慣性トルクに基づき目標制動トルクを演算する目標制動トルク演算手段と、該目標制動トルク演算手段の演算結果に基づき前記指示制動トルクを演算する指示制動トルク演算手段とを備え、該指示制動トルク演算手段は、前記車輪ブレーキ機構に対する制動力が制御され前記車輪がロック状態から回復に転じたときに前記目標制動トルク演算手段が演算した目標制動トルクに基づき、最大タイヤ前後力相当トルクを演算し、該最大タイヤ前後力相当トルクを前記指示制動トルクとして設定することを特徴とするアンチロックブレーキ制御装置。
  2. 前記指示制動トルク演算手段は、前記車輪がロック傾向を示すときには前記指示制動トルクを前記目標制動トルクよりも小さい値に設定し、前期車輪のロック傾向が解消したときには前記指示制動トルクを前記目標制動トルクと一致するように設定することを特徴とする請求項1記載のアンチロックブレーキ制御装置。
  3. 前記指示制動トルク演算手段は、前記車輪のスリップ率を演算し、該スリップ率が所定の閾値未満であるときに前記車輪がロック傾向を示すと判定し、前記指示制動トルクを前記目標制動トルクよりも小さい値に設定することを特徴とする請求項2記載のアンチロックブレーキ制御装置。
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