JP4211665B2 - 車両用制動力制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は上記の点に着目してなされたものであり、液圧の供給形態が異なる第1及び第2のブレーキ系統に対してアンチスキッド制御を行う場合に、一方のブレーキ系統でのABS作動によりABS作動が早い、という早期作動感を感じにくくすることができる車両用制動力制御装置を提供することを課題にしている。
図1は、本発明の実施形態を示す概略構成図である。ブレーキペダル1の操作と連動するタンデム式のマスターシリンダ2は、運転者のペダル踏力に応じた液圧を、左前輪のホイールシリンダ3FLと右前輪のホイールシリンダ3FRとに供給する。ブレーキペダル1とマスターシリンダ2との間には、例えばエンジンの負圧を利用してペダル踏力を倍力するバキュームサーボ式のブレーキブースタ4が介装されている。また、マスターシリンダ2と前輪のホイールシリンダ3FL・3FRとの間には、コントローラ5によって駆動制御され、ホイールシリンダ3FL・3FRの液圧を減圧、保持、増圧できるABSアクチュエータ6が介装されている。一方、任意の液圧を発生可能なBBWアクチュエータ7は、コントローラ5によって駆動制御され、運転者のブレーキ操作に応じた液圧を後輪のホイールシリンダ3RL・3RRに供給する。すなわち、前輪側は、運転者によるブレーキペダル1の機械的操作から油圧を伝達媒体にして制動力を発生させるハイドロリックブレーキで構成され、一方の後輪側は、運転者のブレーキ操作に応じた制動力制御を行うブレーキバイワイヤで構成されている。
ABSアクチュエータ6は、図2に示すように、マスターシリンダ2からの液圧を前輪ホイールシリンダ3FL・3FRへ供給するノーマルオープン型の増圧弁8L・8Rと、前輪ホイールシリンダ3FL・3FRの液圧を減圧するノーマルクローズ型の減圧弁9L・9Rと、前輪ホイールシリンダ3FL・3FRから抜いた液圧を一時的に蓄えるリザーバ10L・10Rと、リザーバ10L・10Rに蓄えられた液圧をマスターシリンダ2に戻すABSポンプ11と、で構成されている。すなわち、増圧弁8L・8Rを開放し、減圧弁9L・9Rを閉鎖するときに、運転者のブレーキ操作に応じて前輪ホイールシリンダ3FL・3FRの液圧を増圧できる。また、増圧弁8L・8Rと減圧弁9L・9Rとを共に閉鎖するときに、前輪ホイールシリンダ3FL・3FRの液圧を保持できる。また、増圧弁8L・8Rを閉鎖し、減圧弁9L・9Rを開放したときに、前輪ホイールシリンダ3FL・3FRの液圧を減圧でき、このときリザーバ10L・10Rに蓄えられた液圧がABSポンプ11によってマスターシリンダ2側へ戻される。したがって、コントローラ5は、これら増圧弁8L・8R、減圧弁9L・9R、及びABSポンプ11を駆動制御することにより、前輪ホイールシリンダ3FL・3FRの液圧を増圧、保持、減圧する。
BBW制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、先ずステップS1で、下記(1)式に示すように、マスターシリンダ圧Pmから前輪制動力Ffを算出する。ここで、k1は係数である。
Ff=k1×Pm ………(1)
続くステップS2では、下記(2)式に示すように、マスターシリンダ圧Pmに応じて車両制動力Ftotalを算出する。
Ftotal=f(Pm) ………(2)
続くステップS3では、下記(3)式に示すように、車両制動力Ftotalから前輪制動力Ffを減じて後輪の目標制動力Frを算出する。
Fr=Ftotal−Ff ………(3)
続くステップS4では、後輪の目標制動力Frを制動力指令値としてBBWアクチュエータ7に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。
ABS制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、先ずステップS11で、各車輪速Vwiのセレクトハイやセレクトセカンドや平均値などの何れかに基づいて車体速度Vを推定してから、下記(4)式に従って、各車輪のスリップ率Siを算出する。
Si=(V−Vwi)/V ………(4)
続くステップS12では、各スリップ率Siが所定値Sa以上であるか否かを判断する。この判定結果が、Si<Saであるときにはロック傾向にないと判断してステップS13に移行し、ABSを非作動状態にしてから所定のメインプログラムに復帰する。
ポンプ駆動停止処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、先ずステップS31で、前輪でABS作動しているか否かを判定する。前輪でABS作動してなければ所定のメインプログラムに復帰し、ABS作動していればステップS32に移行する。
ステップS33では、目標制動力Frに対応する後輪ホイールシリンダの目標圧と、後輪ホイールシリンダの実圧との差が所定以上であるか否か、すなわち実圧−目標圧≧所定値(例えば、1bar程度)であるか否かを判定する。この差が所定未満であれば所定のメインプログラムに復帰し、所定以上であれば後輪の制動力を増加させるときの応答特性が前輪に対して遅れていると判断してステップS34に移行する。
続くステップS35では、リザーバ余裕量が所定以上(例えば、50%〜80%以上)であるか否かを判定する。リザーバ余裕量が所定未満であるときには所定のメインプログラムに復帰し、所定以上であればステップS36に移行する。
ステップS36では、ABSポンプ11を駆動停止状態に制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
先ずステップS41で、図7の制御マップを参照し、単位時間あたりの前輪ホイールシリンダ3FL・3FRからの流入量ΔVinを前輪ホイールシリンダ圧Pfに応じて算出する。この制御マップは、前輪ホイールシリンダ圧Pfが増加するときに、徐々に大きくなる増加率で流入量ΔVinが増加するように設定されている。
続くステップS43では、下記(5)式に示すように、リザーバ10L・10Rに蓄えられた液量の増加分ΔVresを算出する。
ΔVres=ΔVin−ΔVout ………(5)
Vres=Vres(n-1)+ΔVres ………(6)
続くステップS45では、下記(7)式に示すように、リザーバ余裕量Vtを算出してからリザーバ余裕量算出処理を終了する。ここで、Vfullはリザーバ10L・10Rの容量である。
Vt=Vfull−Vres ………(7)
今、運転者が急なブレーキ操作を行ったとすると、ブレーキ操作と連動してマスターシリンダ2からの液圧が前輪のホイールシリンダ3FL・3FRへ供給されると共に、ブレーキ操作に応じたBBWアクチュエータ7からの液圧が後輪のホイールシリンダ3RL・3RRに供給される。
また、後輪ホイールシリンダ3RL・3RRの目標圧と実圧との差分が所定未満であるときには(ステップS33の判定が“No”)、後輪ABSの作動遅れは、制動力を増加させるときの応答遅れが原因ではないと判断して、アンチスキッド制御によるポンプ駆動を許容する。これにより、単に前輪側の路面摩擦係数が後輪側に対して低いために後輪ABSの作動が遅れているとき等、ABSが適切に作動するときには、このABS作動を運転者に認識させて注意を喚起できる。
また、上記の一実施形態では、マスターシリンダ圧Pmに応じて前輪制動力Ffや車両制動力Ftotalを算出しているが、これに限定されるものではなく、ブレーキペダル1の操作量から検出してもよい。また、車両制動力Ftotalから前輪制動力Ffを減じて後輪目標制動力Frを算出しているが、これに限定されるものではなく、運転者のブレーキ操作に応じて算出できればよいので、マスターシリンダ圧Pmやブレーキペダル1の操作量(ストローク又は踏力)から算出してもよい。
2 マスターシリンダ
2a リザーバタンク
3FL・3FR 前輪ホイールシリンダ
3RL・3RR 後輪ホイールシリンダ
4 ブレーキブースタ
5 コントローラ
6 ABSアクチュエータ
7 BBWアクチュエータ
8L・8R 増圧弁
9L・9R 減圧弁
10L・10R リザーバ
11 ABSポンプ
12 BBWポンプ
13 吸込弁
14 減圧弁
15、16、17 圧力センサ
18 車輪回転センサ
Claims (7)
- 液圧の供給形態が異なる第1及び第2のブレーキ系統と、制動時の車輪のロック傾向を検知して液圧を制御するアンチスキッド制御を、前記第1及び第2のブレーキ系統に対して行うアンチスキッド制御手段と、を備えた車両用制動力制御装置において、
前記アンチスキッド制御手段は、前記第1のブレーキ系統を減圧させたときの液圧を蓄えるリザーバと、該リザーバに蓄えられた液圧を液圧供給側に戻すポンプとを備え、
前記第1のブレーキ系統のみで車輪のロック傾向を検知したときに、前記第2のブレーキ系統で車輪のロック傾向が検知されるまで、前記ポンプの駆動を停止させるポンプ駆動停止手段を備えることを特徴とする車両用制動力制御装置。 - 前記ポンプは、前記第1のブレーキ系統の液圧を、運転者のブレーキ操作と連動して液圧を発生するマスターシリンダ側へ戻すように構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用制動力制御装置。
- 前記ポンプ駆動停止手段は、前記第2のブレーキ系統で制動力を増加させるときの応答特性が前記第1のブレーキ系統に対して遅れているときに、前記アンチスキッド制御手段による前記ポンプの駆動を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制動力制御装置。
- 前記ポンプ駆動停止手段は、運転者の急なブレーキ操作を検知したときに、前記第2のブレーキ系統で制動力を増加させるときの応答特性が前記第1のブレーキ系統に対して遅れていると判断することを特徴とする請求項3に記載の車両用制動力制御装置。
- 前記ポンプ駆動停止手段は、前記リザーバの容量の余裕が所定以上あるときに、前記アンチスキッド制御手段による前記ポンプの駆動を停止させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用制動力制御装置。
- 前記アンチスキッド制御手段は、前記ポンプ駆動停止手段によって前記ポンプの駆動を停止されている間、前記第1のブレーキ系統の減圧を制限することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用制動力制御装置。
- 前記アンチスキッド制御手段は、前記第1のブレーキ系統の液圧を保持制御することによって、当該第1のブレーキ系統の減圧を制限することを特徴とする請求項6に記載の車両用制動力制御装置。
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