JP2006224487A - 積層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】トナーブロッキングが発生せず、かつトナー定着性良好な積層シートを提供する。
【解決手段】 紙基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂からなる層が積層され、その熱可塑性樹脂層上にバインダーを含有する塗工層を設けた積層シートであって、紙基材が嵩高紙である積層シート。
【選択図】 なし

Description

本願発明は、耐水性を付与した紙基材に熱可塑性樹脂を積層したシートに関する。特に、電子写真印刷用記録シートに関する。
電子写真印刷用の記録シートには、通常、紙が用いられるが、耐水性が要求される場合には、いわゆる合成紙や積層紙が使用される。積層紙は、紙基材に熱可塑性樹脂を積層したもので、例えば、紙基材の片面又は両面に押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等により熱可塑性樹脂を積層して製造される(特許文献1:特許第2763011号公報)。
また電子写真記録用紙として、湿気や雨などの水による破損や変形を防ぐ用途では、プロピレンを主成分とする合成紙やポリオレフィン系フィルムを基材とし、この表面に、トナーの転写性や密着性を上げるため、無機顔料とバインダーから成る受像層を設けることが知られている(特許文献2:特開2003−156866号公報)。
また、低密度かさ増し物質を含有する軽量電子写真複写紙(特許文献3:特開昭47−1439号公報)、密度が0.50〜0.65g/cm3の電子写真記録用紙(特許文献4:特開平10−228128号公報)や、広葉樹から製造する嵩高な機械パルプを使用して紙を嵩高化・低密度化し、電子写真記録用紙の剛度及び白色度等を高める(特許文献5:特開2003−147697号公報)ことが提案されている。
特許第2763011号公報 特開2003−156866号公報 特開昭47−1439号公報 特開平10−228128号公報 特開2003−147697号公報
電子写真印刷方式では、潜像トナーを記録シートに転写した後、200℃程度の高温条件で熱融着し固定する。しかし印刷条件によっては、レーザービームプリンター(LBP)等の記録装置から排紙された印刷済み記録シートは、その熱が冷め切らずトナーが固定していないうちに、次の記録シートが排紙されて上に積み重ねられていく場合がある。大量印刷を行った際には、積み重なった記録シート内部は高温状態が維持されており、さらに記録シート自体の重みも加わるため、下側になる記録シート表面のトナーとそれに接触する上側の記録シート裏面の密着度が高まり、融着を起こす。これがトナーブロッキング(あるいはトナー裏つき)と呼ばれる現象であり、印刷後に記録シートを一枚ずつ捌こうとすると、印刷面からトナーが剥離する問題が発生する。特に、印刷の高速化が進み、熱融着温度がより高温に、印刷間隔がより短くなっているので、放熱が進まず、大量に印刷された堆積シートの高温状態が維持され、トナーブロッキングはますます深刻になっている。
この現象は、熱可塑性樹脂層を積層した積層シートでは、特に、熱可塑性樹脂にも影響して、トナーブロッキング現象が発生しやすい環境となっている。すなわち、熱可塑性樹脂層は、熱を放冷しにくいので、更に一層問題となる。そこで、本発明は、トナーブロッキングが発生せず、かつトナー記録が良好な積層シートを提供することを目的とする。
(1) 紙基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂からなる層が積層され、その熱可塑性樹脂層上にバインダーを含有する塗工層を設けた積層シートであって、紙基材が嵩高紙であることを特徴とする積層シート。
(2) 紙基材がZ−方向(紙の厚み方向)に三分したときの中央部の密度が0.65g/cm3以下であることを特徴とする(1)記載の積層シート。
(3) 熱可塑性樹脂層を2層以上とし、紙基材側にシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(SS-LLDPE)層を設けたことを特徴とする(1)又は(2)記載の積層シート。
(4) 紙基材がパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有し、かつ該有機化合物が、絶乾パルプ100重量%に対し0.3重量%含有されたとき、該有機化合物を含有しないものと比較して引っ張り強さの低下率が6%以上となるものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層シート。
(5) 紙基材が嵩高パルプを含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層シート。
(6) 積層シートが電子写真印刷用記録シートであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の積層シート。
1.少なくとも断面中央部分が低密度な嵩高紙を用いることにより、耐トナーブロッキング性が向上した熱可塑性樹脂積層シートが得られた。
2.耐水性電子写真印刷用記録シートが得られた。
3.嵩高紙と熱可塑性樹脂層との接合力を向上させることができた。
4.細かい網点(ドット)まで印刷することができ、優れた画像再現性を得ることが出来た。
<作用>
耐水性を向上させるために熱可塑性樹脂を積層した積層シートは公知であるが、耐熱性に難点があり、ヒートロールで加熱されるLBP等での印刷の際には、トナーブロッキングが発生し易い危険があった。本発明は、紙基材として嵩高紙を用いることにより、このトナーブロッキングの発生を抑制したものである。
通常の紙基材では、ヒートロールにより加熱された熱は、排出時に表面から放熱される分と紙の内部に蓄熱される分とがある。印刷後の紙表面温度は、放熱により急激に低下するが、高速で大量に印刷された場合には、内部に蓄えられた熱が表面側に移行して、表面温度を再上昇させることとなり、トナーブロッキングが発生する危険が高くなる。
更に、熱可塑性樹脂層は紙に比べて放熱が遅いので、紙内部に熱が多く蓄えられることになり、一層トナーブロッキングの危険が高くなっている。
本発明者は、嵩高紙に多く存在する空隙による断熱性能と低密度による小さい蓄熱性能に着目して、本発明を完成したものである。
即ち、ヒートロールで加熱された積層シートは、表面から放熱されると共に、嵩高紙の断熱作用と低蓄熱力により、内部に蓄熱することなく印字シートは堆積されることとなるので、トナーブロッキングの発生が防止されることとなる。
また、堆積後には、嵩高紙の中央部が断熱層となっているので、他面側から熱が伝導することが押さえられので、他面側から印字側への熱の影響を押さえることができる。
これらにより、放熱性が悪い熱可塑性樹脂層を設けた積層シートであっても、温度上昇が抑えられるため、結果として用紙の温度上昇も抑えられ、トナーブロッキングは良化する。
更に、本発明者は、嵩高紙表面にシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(SS-LLDPE)層を設けることにより、粗面である嵩高紙表面と熱可塑性樹脂層の接着性を向上させた。特に、共押出などのラミネーション方法を採用する場合には、嵩高紙表面と熱可塑性樹脂層との接着強度をより向上させ、剥離を防止できる。
加えて、SS-LLDPE層を設けることにより、積層シート表面の高い平滑性維持を実現した。特に、共押出ラミネーション時や電子写真記録時などの高温処理条件下でもSS-LLDPEは高い粘度を示すことから、嵩高紙表面の凹凸を反映させることなく高い平滑性が付与されて、細かな網点まで印刷可能となり良好な画像を得ることができる。
<紙基材>
本発明の紙基材には、通常のパルプ、填料等が配合された紙(原紙)を用いる。配合されるパルプの種類等は特に限定されない。例えば、広葉樹クラフトパルプ(以下、LBKPとする)、針葉樹クラフトパルプ(以下、NBKPとする)サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、古紙パルプ等が使用される。また、配合される填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、水和珪酸、ホワイトカーボン、酸化チタン、有機填料などの公知の填料を使用することができる。填料の使用量は、パルプ重量あたり6重量%以上が好ましい。さらに必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料、染料、消泡剤などを含有してもよい。
本発明に使用される紙基材の坪量は、30〜200g/m2程度を用いることができるが、好ましくは50〜180g/m2である。密度は、0.65g/cm3以下、好ましくは0.40〜0.60g/cm3である。なお、本発明でいう密度とは、紙基材をZ−方向(紙の厚み方向)に三分したものの中央部分を測定した値をいう。内添填料は紙基材の表面に比較的多く分布し密になりやすいため、本発明では填料の影響の少ない最も嵩高な部分の断熱作用が重要である。
このような低密度、嵩高な紙基材を得るには、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有することが好ましい。パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物は、特に以下の試験により選定することができるものが好ましい。
パルプ組成物に絶乾パルプ100重量部に対し0.3重量部の試験しようとする有機化合物を配合したパルプスラリーを用いて、実験用配向性抄紙機(熊谷理機社製)で、回転速度900rpmにて抄紙し、JIS8209の方法に従ってプレス、乾燥を行う。なお、乾燥条件については、送風乾燥機により、50℃、1時間処理した。この試験用紙を23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、JIS P8113に従って、引張り強さを測定する。引張り強さが低下する化合物が、本発明の繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物である。この時の低下率があまり少ないものは嵩高効果が少なく、そのため多量に添加する必要がある。低下率が大きいものは少量の添加で嵩高効果がある。従って、引張り強さが低下する有機薬品であればいずれのものも使用可能であるが、0.3%配合時の低下率が6%以上のものが好ましく、10%以上の低下率を示すものがより好ましい。
本発明で用いられるパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物(以下、結合阻害剤と略称する)は、疎水基と親水基を持つ化合物で、上記試験で引張り強度の低下作用を有するものである。最近、製紙用で紙の嵩高化のために上市された低密度化剤(あるいは嵩高剤)は本発明の結合阻害剤として適しており、例えば、WO98/03730号公報、特開平11−200284号公報、特開平11−350380号公報、特開2003−96694号公報、特開2003−96695号公報等に示される化合物等が挙げられる。具体的には、高級アルコールのエチレン及び/又はプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイド付加物、あるいは脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、あるいはポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物などを使用することができ、これらを単独あるいは2種以上併用することができる。好ましくは多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物等である。販売されている嵩高薬品としては、BASF社のスルゾールVL、Bayer社のバイボリュームPリキッド、花王(株)のKB-08T、08W、KB-110、-115、三晶(株)のリアクトペイク、日本PMC(株)のPT-205、日本油脂(株)のDZ2220、DU3605、荒川化学(株)のR21001、といった薬品があり、単独あるいは2種以上を併用してもよい。本発明のダル調塗工紙は、嵩高で柔軟な用紙にするために、パルプの繊維間結合阻害剤をパルプ100重量部当たり0.1〜10重量部含有することが好ましく、特に0.2〜1.0重量部を含有することが好ましい。
本発明の紙基材は、上記のように低密度化作用を有する物質を含有する他、例えば前述の特開2003−147697号公報記載の嵩高な機械パルプや、国際公開WO03/010384号公報記載のマーセル化処理した嵩高パルプを使用するなど、各種公知の低密度化手段により嵩高化されたパルプを適宜選択して用いることができる。
紙基材の抄紙方法については特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙した紙基材のいずれであってもよく、もちろん、メカニカルパルプを含む中質紙も使用できる。さらに表面強度やサイズ性の向上の目的で、紙基材に水溶性高分子を主成分とする表面処理剤の塗布を行ってもよい。水溶性高分子としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の、表面処理剤として通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、表面処理剤の中には、水溶性高分子のほかに耐水化、表面強度向上を目的とした紙力増強剤やサイズ性付与を目的とした外添サイズ剤を添加することができる。表面処理剤は2ロールサイズプレスコーターや、ゲートロールコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、及びシムサイザーなどのフィルム転写型ロールコーター等の塗工機によって塗布することができる。
また、本発明においては、表面処理剤の塗布の他に、一般の塗工紙に使用される顔料と接着剤を含む塗工液を上記塗工機を用いて予備塗工したものを使用することができる。特に光沢性が求められる用途にはキャスト塗工紙とすることが望ましい。また、上記表面処理剤を塗布乾燥した後に、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター等を用いて塗工したものも使用することができる。これらの場合の塗工量は片面当り乾燥重量で5〜30g/m2 程度が望ましい。さらに、必要に応じてこの予備塗工した紙基材をスーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の平滑化処理を前もって施しておくこともできる。
<熱可塑性樹脂層>
(熱可塑性樹脂層)
本発明の積層シートは、例えば上記の紙基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を積層したものであり、使用可能な熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン等、ラミネート加工可能な樹脂であれば良い。これら熱可塑性樹脂は単一の樹脂を単層で使用しても、複数の樹脂を複層で使用しても良い。
最外層となる層には、不透明性を持たせる目的で酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機填料を配合することもできる。もっとも、無機填料の配合は、積層シートの表面性を悪化させる原因ともなるため、配合量は、これが配合される最外層に対して25重量%以下、できれば15重量%以下とすることが好ましい。
上記した以外にも、本発明の目的を害さない限り種々の添加剤を添加することができる。例えば、耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ等)、接着性向上剤など、一般的に使用される添加剤を使用することができる。
本発明の積層シートにおいては、紙基材と最外層となる熱可塑性樹脂からなる層との間に、他の熱可塑性樹脂層を積層することが可能である。
特に、紙基材に接する層としては、密着性が良好なことからシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(SS-LLDPE)が好ましく用いられる。SS-LLDPEは、活性点が均一なシングルサイト系触媒により合成されるため、汎用されるチーグラー触媒を用いて合成された直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と比べ、シャープな分子量分布を示す。シングルサイト系触媒の代表的なものとしては、メタロセン系触媒を挙げることができる。これは、2個のシクロペンタジエン環に、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン又はタングステン等の遷移金属原子が、サンドイッチ状に挟まれた構造を有する触媒である。なお、シングルサイト系触媒を用いたLLDPEの合成は、気相法、高圧法、溶液法のいずれの方法で行っても構わない。
嵩高紙は表面が一般紙に比べて粗面であるので、押出ラミネートした場合にSS-LLDPEは熱可塑性樹脂層と紙基材との密着性、及び熱可塑性樹脂層の表面平滑性を改善する作用効果がある。
特に、電子写真方式による記録においては、記録シートを約2000℃程度の高温の熱ロール間に通すために、熱可塑性樹脂が融着することが原因と考えられる、複写機やプリンター故障の走行トラブルが発生しやすい。これらを改善するためには、熱可塑性樹脂の融点が200℃以上と高い熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えばポリエステル系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂などが適するが、耐熱性を満足しても紙基材との密着不良などの問題が生じやすい。そこで、紙基材との密着不良の問題を改善するために、汎用のLLDPE等を紙基材上に設けた場合、高温下での粘度が低いために、押出ラミネートの際や電子写真記録方式による記録の際に、嵩高紙表面の凹凸を反映し、表面平滑性を著しく損ねてしまうという問題が生じる。
よってSS-LLDPEは、熱可塑性樹脂層と紙基材との密着性を一層高め、電子写真記録方式による記録機器内部のロールを通過するのに伴う変形と、加熱定着による熱収縮や膨張などの応力に対しても剥離・変形や亀裂の発生を抑えることに適している。
また、融点が200℃以上の熱可塑性樹脂層とSS-LLDPE層との間には、接着性を有する樹脂を積層すると両者の層間密着性(耐層間剥離性)が向上するため好ましい。このような接着性を有する樹脂としては、変性ポリオレフィン、アイオノマー、あるいはこれらと融点200℃以上の熱可塑性樹脂との混合物からなる樹脂組成物等を挙げることができる。また、同じ種類あるいは異なる種類を選び1層又は2層以上積層してもよい。
変性ポリオレフィンとしては、炭素原子数2〜20のα-オレフィンの単独重合体あるいは共重合体を極性基及びエチレン性二重結合を有するモノマーでグラフト変性した変性物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では特に、ポリメチルペンテン樹脂との接着性が良好なことから、無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましく用いられる。
単独重合体あるいは共重合体の例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度線状ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・ペンテン-1共重合体、エチレン・4-メチルペンテン-1共重合体及びエチレン-ブテン-1共重合体等を挙げることできる。このような単独重合体あるいは共重合体のASTM-D-1238により測定したメルトフローレートは、通常は0.1〜30g/10分、多くの場合1〜20g/10分の範囲内にあり、ASTM-D-2117により測定した融点は、通常は50〜170℃、多くの場合80〜150℃の範囲内にある。さらに、ASTM-D-1505により測定した密度は、通常は0.88〜0.96g/cm3、多くの場合0.89〜0.96g/cm3の範囲内にある。
単独重合体あるいは共重合体の変性剤として使用される極性基及びエチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、クロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のようなカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フマル酸、無水クロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)の酸無水物及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の酸無水物のような無水カルボン酸類;(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、テトラヒドロフタル酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、マレイン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、イタコン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、シトラコン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、フマル酸の(モノ又はジ)アルキルエステルの(モノ又はジ)アルキルエステル、クロトン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、ノルボルネンジカルボン酸の(モノ又はジ)アルキルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のアルキルエステル及びエンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のアルキルエステルのようなエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ-プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートのようなヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステル類; 10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール及びグリセリンモノアルコールのような水酸基含有化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、イタコン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、ブテントリカルボン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、シトラコン酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)の(モノ又はジ)グリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の(モノ又はジ)グリシジルエステル、アリルコハク酸の(モノ又はジ)グリシジルエステル、p-スチレンカルボン酸のグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン及びビニルシクロヘキセンモノオキシドのようなエチレン性不飽和結合を有するエポキシ化合物;アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル及びメタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートモノメタノールアミノハーフソルのような(メタ)アクリル酸のアルキルアミノエステル;N-ビニルジエチルアミン及びN-アセチルビニルアミンのようなビニルアミン類;アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのようなアリルアミン類;アクリルアミド及びN-メチルアクリルアミドのようなアクリルアミド類;p-アミノスチレンのようなアミノスチレン化合物;並びに6-アミノヘキシルコハク酸イミド及び2-アミノエチルコハク酸イミドのようなアミノアルキルコハク酸イミド類を挙げることができる。これらの変性剤は、単独で使用することもできるし、また変性剤の特性が損なわれない範囲内で組み合わせて使用することもできる。これらの変性剤の中では(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸が好ましい。
アイオノマーは、イオン含有高分子で、特に金属イオンあるいは第4級アンモニウムにより部分的にあるいは完全に中和された高分子であり、特にエチレン系高分子鎖に少量の(メタ)アクリル酸をグラフトし、その(メタ)アクリル酸の一部を、Na+、K+、Zn++、Mg++などで中和したものが好ましく使用できる。中でもZnを有すると光沢性が良好で好ましい。
このようなエチレン系アイオノマー樹脂とは、エチレン/α,β-不飽和カルボン酸共重合体(I)、あるいはエチレン/α,β-不飽和カルボン酸/α,β-不飽和カルボン酸エステル共重合体(II)のカルボン酸基の一部、通常5〜80%を、金属イオンにより中和したものである。中和前の上記(I)又は(II)のエチレン共重合体成分のうち、エチレン単位の占める割合は通常約75〜99.5モル%、好ましくは88〜98モル%であり、α,β-不飽和カルボン酸単位の占める割合は通常約0.5〜15モル%、好ましくは1〜6モル%である。また、α,β-不飽和カルボン酸エステル単位の占める割合は通常0〜10モル%、好ましくは0〜6モル%である。さらに、上記(I)又は(II)の共重合体中におけるカルボン酸基のうち、金属イオンにより中和されるカルボン酸基の割合(中和度)は通常5〜80%、好ましくは10〜75%である。
また、上記の変性ポリオレフィン又はアイオノマーと、融点200℃以上の熱可塑性樹脂との混合物からなる樹脂組成物としては、変性ポリオレフィンと融点200℃以上の熱可塑性樹脂、又はアイオノマーと融点200℃以上の熱可塑性樹脂とを共押出ししたり、混合後に押出しして使用することができる。
さらに本発明では、上記のSS-LLDPE、接着性を有する樹脂層以外に、他の熱可塑性樹脂層を適宜設けても良い。このような層を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン等、ラミネート加工可能な樹脂を挙げることができる。
また、紙基材及び熱可塑性樹脂の種類や操業条件等により、紙基材と熱可塑性樹脂層、あるいは熱可塑性樹脂層同士の間の接着性が不良な場合には、紙基材に予め接着層を塗工又は積層することも可能である。接着層としては、上記の接着性を有する樹脂をはじめ、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が使用される。
(形成方法)
紙基材に熱可塑性樹脂層を積層する方法としては、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法以外に、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等のフィルムと紙基材を貼合する方法がある。但し、ウェットラミネート法では片面加工は可能であるが、両面にフィルムを貼合する場合は、溶剤の乾燥時に裏面もフィルムで覆われているために紙基材から蒸発した水分の逃げ場が遮られ、これらが膨張してフィルムを押し上げてしまい、ブリスターと呼ばれる空隙(非接着部分)が発生しやすい。また、ドライラミネート法では紙基材とフィルムとの接着性が甘く、電子写真方式で印刷や記録をする場合、トナーを定着させるためのヒートロールでの加熱によって紙基材中の水分が蒸発、膨張しブリスターを発生させやすく、加工が困難となる。従って、本発明の積層シートを電子写真方式での印刷や記録に用いる場合には、加工法として、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂層は、上述の通り押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等、公知の方法を単独で、又はこれらを適宜組合せて、紙基材に熱可塑性樹脂層を厚さ10〜30μm程度になるように積層して形成する。前記したように、不透明性等を目的として酸化チタン等の無機填料を最外層を形成する樹脂に配合すると、ラミネーション加工性は悪化するが、かかる場合にはこの無機填料が配合された樹脂を無機填料を含まない樹脂と共に共押出しラミネートすれば、樹脂層の厚さを薄くしても、いわゆる膜切れ等のトラブルの発生を押さえて、安定的にラミネーションを行うことができる。また、紙基材や操業条件等により紙基材との接着性が不良な場合には、紙基材に予め接着層を塗工又は積層することも可能であり、最外層あるいは他の層に使用する熱可塑性樹脂と接着性樹脂を共押出しラミネーションすることも可能である。接着性樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が使用される。紙基材の両面に熱可塑性樹脂層が存在する場合、熱可塑性樹脂の種類や積層順序等は、一方の面と他方の面とで同一であっても異なっていても構わない。
<塗工層>
塗工層は、トナー定着層としての役割がありバインダーを主成分として含有する。
(バインダー)
バインダーは、トナー定着性や筆記性に加え積層されている熱可塑性樹脂層との接着性等を考慮して、従来公知のものが適宜選択される。例えば、ポリビニルアルコール、SBR、アクリルエマルジョンといった、スチレン、ブタジエン、各種アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等をモノマー成分とする単独重合体、共重合体及び/又はこれらの変性物を、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂等と混合して、あるいは混合せずに用いることができる。
特に、80℃以上のガラス転移温度を有する親水性高分子物質(A)と、50℃以下のガラス転移温度を有する親水性高分子物質(B)の、Tgの異なる2種類の親水性高分子物質を使用することが好ましい。80℃は印刷後排出時のシート温度に近く、50℃は塗工層の成膜性を良好に保てる温度である。より好ましくは、(A)は印刷シートの排出温度より高い90℃以上、(B)は成膜温度より低い40℃以下が好ましい。
この場合、塗工層の造膜時には、低Tg親水性高分子物質の中に、高Tg親水性高分子物質が溶融せずに粒子形状を維持した状態で存在する、いわゆる海島構造が形成されて存在し、LBP印刷時などには200℃近くのロールでトナーを定着させるため、高Tg親水性高分子物質も溶融状態となり、塗工層とトナーとの密着性が非常に高まって良好なトナー定着性が得られる。トナー定着後、高Tg親水性高分子物質は速やかにガラス状態になるので、その粒子間空隙に入り込んだトナーによるアンカー効果によっても、トナー定着性が向上すると考えられる。同様に、トナー定着後にガラス状態となった高Tg親水性高分子物質の存在は、定着ロール等の高温部の搬送ロールからの剥離性が高く、搬送性も向上する。
親水性の高分子物質は、親水性官能基を有するエマルジョンであることが好ましい。ここでいう親水性とは、水、又は水と少量の有機溶剤から成る媒体中で樹脂が分散又は溶解し、安定化していることを意味する。これら樹脂は、塗工液中では粒子となって分散、又は溶解しているが、塗工し乾燥した際に造膜し塗工層を形成する。
親水性高分子物質としては、スチレン、ブタジエン、各種アクリル酸、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等をモノマー成分とする単独重合体、共重合体及び/又はこれらの変性物と、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を混合して、あるいは混合せず各々単独で使用することが挙げられる。これらの親水性高分子物質は、例えば乳化重合やソープフリー乳化重合、懸濁重合といった従来公知の重合方法により製造され、重量平均分子量は10万以上の高分子であることが望ましい。
中でも、アクリル系ポリマーがトナー定着性の理由から好ましい。アクリル系ポリマーとしては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。(A)と(B)ともアクリル系ポリマーであることが望ましく、特に、80℃以上のガラス転移温度を有するコア部と50℃以下のガラス転移温度を有するシェル部とからなる、コアシェル構造を有するアクリル系ポリマーは、1つの物質で2つの性能を発揮するため、作業性も良好となり好ましく用いられる。このようなコアシェル構造を有するアクリル系ポリマーは、例えば、特開2001−323004号公報等に記載された方法によって製造される。この場合、シェル部は、コアを被覆する膜として形成されているのではなく、コアの周囲に保護コロイドのように存在するものとなっていると考えられる。
親水性高分子物質の使用割合としては、(A)/(B)=80/20〜30/70が好ましい。(A)が多すぎると成膜性、トナー定着性に劣り、(B)が多すぎると搬送性が悪くなる。従って、両者のバランスが重要であり、より好ましくは、(A)/(B)=65/35〜45/55である。
(顔料)
用紙搬送性の点から顔料は含有しないことが望ましいが、印刷時のロール密着性改善のためには使用することができ、例えばシリカ等を挙げることができる。顔料はバインダー100重量部に対し5重量部程度使用する。
(その他添加剤)
例えば滑剤、架橋剤、接着性向上剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料等を添加しても良い。特に、電子写真印刷方式の記録シートとする場合は、帯電防止剤を含有することが望ましい。
(形成方法)
塗工量は特に制限されるものではないが、0.5〜7.5g/m2(乾燥重量)、好ましくは1〜5g/m2(乾燥重量)である。
塗工方法はバーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スライドダイコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等、公知の方法を適宜使用できる。
[実施例]
以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特にことわらない限り部又は%は重量部又は重量%を表す。
<結合阻害剤の選定>
NBKP30部とリファイナーグランドパルプ(RGP)70部を1%スラリーとし、このスラリーに結合阻害剤0.3部を添加混合し、紙料を調整した。この紙料を熊谷理機社製実験用配向性抄紙機にて回転速度900rpmで抄紙し、JIS8209の方法に従ってプレス、乾燥を行った。なお、乾燥条件については、送風乾燥機により、50℃、1時間処理し、テスト用試験紙を得た。この試験紙を温度23℃、相対湿度50%で24時間放置した後、JIS P8113に従って引っ張り強度を測定した。使用した結合阻害剤とその結果を表1に示す。
なお、引っ張り強度低下率は、結合阻害剤を添加しないものとの比較により求めた。
実施例比較例で得られた積層シートについて、以下の評価を行った結果を表2に示す。
<紙基材紙厚>
紙基材全体の厚さをJIS P8118:1998に従って測定した。
<紙基材密度>
JIS P8118:1998に従った。但し測定する紙基材は、Z−方向(紙の厚み方向)に三分したものの中央部分を用いた。すなわち、紙基材の両面を両面圧着テープで挟み、これを試験板に試験面全体に均一の圧力で接着させ、次に試料に対して直角方向(Z−方向)に全試験面に対して均一の引張り応力を、分離するまで掛けて三分割した。
<耐トナーブロッキング性評価>
プリンター(CASIO SPEEDIA N5300)を用いて、A3サイズのサンプルを連続50枚印刷後、一枚ずつ捌いた際のトナーの剥離具合を次の基準で目視評価した。
◎:トナーブロッキング・トナー剥離無し
○:トナーブロッキング一部見られるもののトナー剥離無し
×:トナーブロッキング・トナー剥離有り
<画像再現性>
プリンター(CASIO SPEEDIA N5300)を用いて、A3サイズのサンプルを連続50枚印刷したときの、画像の様子を次の基準で目視評価した。
◎:鮮明な画像が得られている
○:画像に若干のむらが見られるものの実用上問題無い
×:画像にむらが目立つ
<紙基材との密着性>
金属板に両面テープを貼り付け、次に、幅1.5cm、長さ7cmにカットしたサンプルを、金属板に貼り付けた両面テープにサンプルの紙基材の裏面側が接するように貼り付ける。さらに、サンプルの熱可塑性樹脂側の最外層表面に、ニチバン社製透明粘着テープ(商品名セロテープ(登録商標))を強固に密着させ、この透明粘着テープを強制的に剥離して、紙基材とその上の熱可塑性樹脂層との密着性について、次の基準で目視にて評価した。
◎:剥離せず密着性良好
○:若干剥離しやすいが実用上問題なし
×:剥離しやすく密着性に劣り実用上問題あり
製紙用パルプとして化学パルプを100部、填料として軽質炭酸カルシウム12部、パルプ繊維間の結合阻害剤として花王(株)製KB-10を0.4部含有する坪量100g/m2の紙基材を得た。
このようにして作成した紙基材の両面に、熱可塑性樹脂層として溶融ポリメチルペンテン(融点220℃、三井化学社製商品名「TPX DX820」)100重量部を、Tダイを用いて押出温度300℃にて樹脂層厚さが20μmとなるように押出ラミネーションを行い、直ちに、これらの溶融樹脂と紙基材とを、クーリングロールと硬度95度のニップロールを用いて、線圧15kgf/cmで押圧・圧着し、基材シートを得た。
次に、スチレンアクリル酸エステル共重合体の水系分散液(濃度37重量%、Tg:102℃)30重量部、スチレンアクリル共重合体の水系分散液(濃度43重量%、Tg:10℃)70重量部に、帯電防止剤を表面電気抵抗率が1.0×1010となるように混合した後、固形分濃度30重量%の塗工液を調製した。この塗工液を、上記基材シートの両面にグラビア塗工機を使用し7g/m2塗工してトナー定着層を設け、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂層として、溶融ポリメチルペンテンに代えて溶融ポリエチレンテレフタレート(融点254℃、三井デュポンポリケミカル社製商品名「シーラPT7001」)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
熱可塑性樹脂層として、溶融ポリメチルペンテンに代えて溶融ホモポリプロピレン(融点158℃、三井化学社製商品名「F129V」)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
結合阻害剤として、花王(株)製KB-110に代えてBASF製スルゾールVLを用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
結合阻害剤として、花王(株)製KB-110に代えて三晶(株)製リアクトペイクを用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)未叩解品に、濃度15%の水酸化ナトリウム水溶液をパルプ濃度が5%となるように加え、20℃で30分間浸漬してマーセル化処理した。次に、十分に水洗してpH7に調整した後、パルプ濃度5%となるように温水を加えて70℃で2時間処理し、次いで遠心脱水機を用いてパルプと温水を分別し、嵩高パルプを得た。
製紙用パルプとしてこの嵩高パルプ10部及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)(ろ水度410ml)90部、填料として軽質炭酸カルシウム12部含有する坪量100g/m2の紙基材を得た。
このようにして得られた紙基材を用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
実施例1で用いた紙基材の両面に、最外層に溶融ホモポリプロピレン(融点158℃、三井化学社製商品名「F129V」)100重量部、さらに紙基材側層としてシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製KC650T)100重量部を、Tダイを用いて押出温度300℃にて共押出ラミネーションを行った以外は、実施例1と同様にして基材シートを得た。ラミネート樹脂の厚さは、ホモプロピレン層/直鎖状ポリエチレン層を10/10μmとした。
実施例1で用いた紙基材の両面に、最外層に溶融ポリメチルペンテン(融点220℃、三井化学社製商品名「TPX DX820」)100重量部、最外層の直下層に無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(三井化学社製アドマー;SE800)100重量部、さらに紙基材側層としてシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製KC650T)100重量部を、Tダイを用いて押出温度300℃にて共押出ラミネーションを行った以外は、実施例1と同様にして基材シートを得た。ラミネート樹脂の厚さは、ポリメチルペンテン層/変性ポリエチレン樹脂層/直鎖状ポリエチレン層を10/5/10μmとした。
最外層の溶融ポリメチルペンテンに代えて溶融ポリエチレンテレフタレート(融点254℃、三井デュポンポリケミカル社製商品名「シーラPT7001」)を用いた以外は、実施例8と同様にして基材シートを得た。
[比較例1]
結合阻害剤として、花王(株)製KB-110に代えてオレイン酸を用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例2]
結合阻害剤として、花王(株)製KB-110に代えてポリエチレングリコールを用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例3]
結合阻害剤として、花王(株)製KB-110に代えて澱粉を用いた以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
[比較例4]
結合阻害剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
Figure 2006224487
Figure 2006224487
注)表2中、ラミネート樹脂の略称はそれぞれ以下を表す。
TPX:ポリメチルペンテン、PET:ポリエチレンテレフタレート、PP:ホモポリプロピレン、アドマー:無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂、SS-LLDPE:シングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン。
表2から、密度が0.65g/cm3以下である紙基材を使用した場合、耐トナーブロッキング性に優れることが示される。また、このような紙基材は、実施例5と比較例1との差から、引っ張り強さ低下率が6%以上となる結合阻害剤を添加したした場合に得られることがわかる。特に、実施例1と実施例4との差から、10%以上の低下率を示すものがより適しているといえる。

Claims (6)

  1. 紙基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂からなる層が積層され、その熱可塑性樹脂層上にバインダーを含有する塗工層を設けた積層シートであって、該紙基材が嵩高紙であることを特徴とする積層シート。
  2. 紙基材がZ−方向(紙の厚み方向)に三分したときの中央部の密度が0.65g/cm3以下であることを特徴とする請求項1記載の積層シート。
  3. 熱可塑性樹脂層を2層以上とし、紙基材側にシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレン(SS-LLDPE)層を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の積層シート。
  4. 紙基材がパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有し、かつ該有機化合物が、絶乾パルプ100重量%に対し0.3重量%含有されたとき、該有機化合物を含有しないものと比較して引っ張り強さの低下率が6%以上となるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 紙基材が嵩高パルプを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  6. 積層シートが電子写真印刷用記録シートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
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